[92966]の末尾で、蔵王が グレートジャンクション候補であったこと
[25889]に触れました。
地名コレクションに関しては、2006年に みやこ♂ さん が手を挙げ
[55632]、早速「市町村界一点交差」コレクションの名で 事前登録が行なわれました
[55637]。
しかし、平成合併の影響など諸事情の影響もあった故でしょうか、残念ながら 未だにデビューしていません。
グリグリさんが十番勝負関連資料として作ってくれた
市区町村隣接関係一覧[89308]が、このコレクション作りに役立つことに気がつきました。
奥多摩/郡内接点【…と勝手に命名】を Mapionで例示し、説明します。
ご覧のように三頭山の山頂西側にある4市町村の接点。このジャンクションを「奥多摩/郡内 Jct」と記すことにします。甲州の呼び方では、甲府盆地の「国中」と対比して、都留地方を「郡内」と呼びます。
関係市町村は、時計回りに A:東京都西多摩郡奥多摩町、B:同檜原村、C:上野原市、D:山梨県北都留郡小菅村です。
「市区町村隣接関係一覧」の山梨県を見ると、上野原市と奥多摩町、小菅村と檜原村とが「点隣接」であることが ピンクの彩色によって 示されています。【当然のことながら、東京都を見ても同じ結果が得られます。】
これは、地図から得られる AとC、BとD の関係と同じ情報を伝えており、この2対の点隣接情報が すなわち グレートジャンクション情報 であることを示しています。
この手法で47都道府県を閲覧すれば、全国のグレートジャンクションを簡単に集めることができます。
補足説明
Mapion地図は 最大縮尺のスケール19まで拡大しても 4市町村の接触が1点に集中していることを別に確認していますが、周辺情報がわかるように スケール15で示してあります。
地理院地図の最大縮尺はスケール#18でしたが、境界線はスケール#17までであり、しかも不明瞭であり、 AとCとが普通に隣接しているようにも見えます
[87841]。
国土地理院は、面積調・地名調書などを通じて各自治体との接触を持っており、隣接関係に関しても 最も信頼できるデータを持っている筈と思われます。現に、Mapionに描かれている境界線の一部が、境界未定のために地理院地図では示されていない例が多数あります。
[92966]で記した蔵王における 上山市・蔵王町間の県境線 は、その一例です。
このように一長一短があるのですが、境界線が見易いことは 何と言っても Mapionの持つ利点です。
そして、【全くの想像ですが、】「厳密には境界未定」であることを知りながらも、実用的な見地から 何らかの処置で対応しているのではないでしょうか?
すなわち、推測にある程度の自信がある境界については、境界線を描いてしまう。
自信度合いが低いが、ある程度推測できる境界は、色分けにより暗に示しておく。
権利がらみの争いなどには使えないとしても、地理趣味の私達にとっては有り難いサービスです。
このように、Mapionは お役所の地図とは一味違う 民間地図だと思われます。
その最大縮尺図により隣接状況を確認した「市区町村隣接関係一覧」は、実用的に妥当なデータであると考えられ、「市町村界一点交差コレクション」も、このデータを利用して完成させたいと考えます。
方法論の能書きが長くなりましたが、
[25592] みやこ♂ さん を改訂したグレートジャンクションのリストです。
我が国で唯一の存在。5町村が関係する「羊蹄山 Jct」から始めます。
No.1 都道府県:北海道 名称:
羊蹄山 Jct 関係市町村:【後志】A倶知安町/B京極町/C喜茂別町/D真狩村/Eニセコ町 記事番号:
[25592]-3
以下、4市町村のジャンクションです。
No.2 北海道
阿寒奥春別 Jct 【釧路】A弟子屈町/B標茶町/C鶴居村/D釧路市
[25592]-2
No.3 福井
越前今立 Jct a福井市/B今立郡池田町/C越前市/D鯖江市
[25592]-8
No.4 東京・山梨
奥多摩/郡内 Jct A西多摩郡奥多摩町/B檜原村/C上野原市/D北都留郡小菅村
[82209]
No.5 長野
斑尾山 Jct A飯山市/B中野市/C上水内郡飯綱町/D信濃町
[25592]-6
No.6 京都
木津川 Jct A綴喜郡井手町/B木津川市/C相楽郡精華町/D京田辺市
[25592]-9
No.7 奈良
吉野口芋ケ峠 Jct A高市郡明日香村/B吉野郡吉野町/C大淀町/D高市郡高取町
[25592]-10
No.8 徳島・香川
讃岐/阿波 Jct A東かがわ市/B阿波市/C美馬市/Dさぬき市
[25592]-13
No.9 佐賀
筑紫天山 Jct A佐賀市/B小城市/C多久市/D唐津市厳木町
[25592]-15
各行の末尾に記した記事番号からわかるように、9件中8件は 2004の当選編にあった18件の生き残りです。
当選編の約半数は、平成合併により失格しました。
1件だけ、残念編
[25588]-30から昇格。
これ以外にも多くの候補が提案されましたが、最終審査まで通ったジャンクションは皆無でした。
【追記】ジャンクションの名称について
No.1 羊蹄山 Jct のように有名地名の場合は、そのまま使えます。
No.4 の三頭山となると、聞いただけで場所を知ることは困難です。そこで、知名度のある奥多摩を用い、甲州側の地域名・郡内も併用しました。
No.2 阿寒奥春別 のように冠称も使いました。
No.3 の地図には 付近の地名も記されていないので、国名の越前と・郡名の今立で代表させました。
No.7 の吉野口は、飛鳥時代の吉野への入口という趣旨です。
No.8 も、最初は地形の「日開谷(ひがいだに)川」を使ったのですが、知名度がないので 国名連称の讃岐/阿波で間に合わせました。
それぞれのジャンクションについて、適切な名称を考えてみるのも、なかなか興味のあることでした。