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落書き帳

【第二十九回十番勝負 問十:解説記事】

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[76787] 2010年 11月 14日(日)22:46:54【3】伊豆之国 さん
いつか二人で行きたいね、雪が積もる頃に‥終着駅はどこにあるのか?(第29回十番勝負「問十」関連)
[76774]で約束した通り、今回の十番勝負・問十の共通項「孤独な終着駅」に関連する記事を書いてみることにします。

この問のテーマは、「市内にただ一つの終着駅」。これに類する記事([70157]k-aceさん‥「終着駅のある(あった)町村」)も過去に出ていることもあるので、今回は「該当する市」については割愛して、「該当しない市」についての考証を進めることにしましょう。
この問で「NG」として例示された市は、函館・本巣・いなべ・那覇の各市ですが、それらの市について、「NG」とされた理由と、各々のタイプに類する市について拾い上げてみることにします。

(1)函館市。JRとしては函館駅が終着駅ですが、その駅前から市電が出ており、しかもその市電の終着駅も複数(3ヶ所)あります(それ以前に、JRは函館駅の次の五稜郭駅で函館線と海峡線の2方向に分かれており、既にその理由により「NG」になっていると考えられます)。このタイプには、他に長崎市が当てはまりましょう。なお、共通項発表([76757])では「路面電車は対象外」としていますが、後述しますが過去にはこの「路面電車の定義」([70404])が絡んだ「微妙な市」が存在していたことと、路面電車絡みのこのタイプの「NGの市」は前記の2市以外にはなさそうなので、「路面電車は除く」というくだりは外すのがよいと思われます。

(2)本巣市。この市を通っている鉄道は、5年前に名鉄揖斐線が全廃されて以降、樽見鉄道ただ一つだけになっています。しかし、その樽見鉄道、終着駅・樽見駅は確かに本巣市ですが、途中で隣の揖斐川町との間を出入りしており、谷汲口・高科の2駅が揖斐川町にあります([76757])。このタイプに類する市は、現在は他には無さそうですが、実は過去には例がありました。それは、旧・新湊市。この市を通っていた旅客鉄道は、万葉線(旧・加越能鉄道)だけ(他に貨物線のJR新湊線)。「中伏木」駅で新湊市域に入ってから、終着駅「越ノ潟」までずっと新湊市のように思えます。しかし、実は高岡市域が張り出しているところがあり、「中新湊」駅の住所は微妙なところで高岡市になっています([67775])。更に、その万葉線。全区間を路面電車タイプの車両が直通していますが、六渡寺~越ノ潟間は法規上「地方鉄道」扱い。実質的にはこの区間も「路面電車」として扱って差し支えないのですが([70404])、いずれにしても大変「微妙な市」が存在していたのでした。

(3)いなべ市。市内を通っているのは、いずれも三岐鉄道の三岐線と北勢線(こちらは以前は近鉄でしたが)。しかしそれぞれの終点(西藤原・阿下喜)はお互いに離れており、また両線の起点の市(四日市市と桑名市)も異なります。朝倉市(西鉄と甘木鉄道の甘木駅。もっともこちらはお互いに目と鼻の先ですが)もこれと同類と考えられましょう。日立電鉄があった5年前までの常陸太田市([76764]MasAkaさん)も、朝倉市と同タイプでした。幻になった「南セントレア市」も、このタイプに入るところでした(名鉄河和線・河和駅(美浜町)、知多新線・内海駅(南知多町))。

(4)那覇市。市内にあるのは「ゆいレール」だけで、那覇市内で完結しています。これに近い例は、昭和47年に茶屋町~児島間が廃止され、63年に瀬戸大橋線が開通するまでの下津井電鉄(平成2年末に廃止)があった旧・児島市でした。しかし、児島市は昭和42年に倉敷市の一部になっていて、その時期にはもう存在していませんでした。

ところで、ここ数年の間にも鉄道路線の開業や廃止が相次ぎ、「該当する市」にもいくつか出入りがありました。新線開通により新たに仲間入りしたのはつくば市ですが、逆に路線の廃止によって仲間入りすることになった市には、前述の常陸太田市の他、碧南市(名鉄三河線の碧南~吉良吉田間が6年前に廃止)と島原市(島原鉄道の島原外港以南が2年前に廃止)があります。島原鉄道の一部廃止により、「該当する市」が南島原市(島原市内に「南島原」駅(存続区間)があるので紛らわしい!)から島原市に移っています。

♯もう暦の上では冬。今回のタイトルは、この問の第一アナグラムの解「孤独な終着駅」にちなみ、そしてこの問でNGの例とされた函館市を故郷とする、「灰色楽隊」の哀愁のバラード"Winter Again"([69202])の一節から取りました‥。

【1,2】誤字・誤記訂正
【3】朝倉市について追記
[77090] 2010年 12月 23日(木)15:27:51【1】伊豆之国 さん
思い出には、二人が歩いた足跡を残して‥
「新趣向・十番勝負」、練習問題は何とかクリアですが‥

ところで今更ですが、前回・第29回十番勝負の問十・「孤独な終着駅」。該当する33市について、それぞれ「該当する市」になった期日を調べてみることにしました。該当することになった期日が新しい順に並べると、次のようになります。

市名終着駅路線該当市となった日理由備考期日の新しい順
島原島原外港島原鉄道H20.4.1島原外港-加津佐間廃止1
合志御代志熊本電鉄H18.2.27市制2
志布志志布志日南線H18.1.1市制市制以前に旧国鉄2線廃止で孤独化3
大野九頭竜湖越美北線H17.11.7和泉村を編入4
那須烏山烏山烏山線H17.10.1市制5
つくばつくばつくばEXPH17.8.24つくばEXP開業6
常陸太田常陸太田水郡線(支線)H17.4.1日立電鉄廃止[76764]MasAkaさん7
南砺城端城端線H16.11.1市制8
志摩賢島近鉄志摩線H16.10.1市制9
東温横河原伊予鉄道横河原線H16.9.21市制10
伊豆修善寺伊豆箱根鉄道駿豆線H16.4.1市制11
碧南碧南名鉄三河線H16.4.1碧南-吉良吉田間廃止関連記事11
郡上北濃長良川鉄道H16.3.1市制13
田原三河田原豊橋鉄道渥美線H15.8.20市制14
むつ大湊大湊線H13.4.1下北交通大畑線廃止大畑町はH17にむつ市に編入15
黒石黒石弘南鉄道弘南線H10.4.1黒石線廃止16
宿毛宿毛土佐くろしお鉄道中村線H9.10.1中村線延伸17
あきる野武蔵五日市五日市線H7.9.1秋川市と五日市町が新設合併18
稚内稚内宗谷本線H1.5.1天北線廃止19
枕崎枕崎指宿枕崎線S59.3.18鹿児島交通南薩線廃止20
勝山勝山えちぜん鉄道勝山永平寺線S49.8.13勝山-京福大野間廃止当時は京福電鉄越前本線21
玉野宇野宇野線S47.4.1玉野市営電鉄廃止[60960]22
南足柄大雄山伊豆箱根鉄道大雄山線S47.4.1市制22
下田伊豆急下田伊豆急行S46.1.1市制24
加西北条町北条鉄道S42.4.1市制当時は国鉄北条線25
三浦三崎口京急久里浜線S41.7.7京急久里浜線が三浦海岸まで延伸現在の終着駅・三崎口へはS50.4.26開業26
根室根室根室本線S34.6.20根室拓殖鉄道廃止27
箕面箕面阪急箕面線S31.12.1市制28
十和田十和田市十和田観光電鉄S31.10.10市名改称S30.2.1に「三本木市」として市制29
境港境港境線S31.4.1市制30
常滑中部国際空港名鉄空港線S29.4.1市制当時は常滑線・常滑駅が終着駅。空港線は実質的には常滑線と一体([76794]星野彼方さん)31
男鹿男鹿男鹿線S29.3.31市制32
氷見氷見氷見線S27.8.1市制33

したがって、「新形式・十番勝負」で出題した場合、新しい順に答えるとすると

 問n:島原市、合志市、志布志市、大野市、那須烏山市(想定解数:33市)

となり、金メダルはつくば市が獲得、以下常陸太田市、南砺市の順で、最後が氷見市ということになります。

一方、逆に「該当することになった期日が早い順」で並べようとすると、一つ扱いが微妙な市が出てきます。それは、十和田市の扱い。「十和田市」の市名が誕生したのは、昭和31(1956)年10月10日ですが、市制は前年の2月1日に「三本木市」として施行されており、「市制施行日」もこの「三本木市」の発足日と規定されているようです。これに従うと

 問n:氷見市、男鹿市、常滑市、十和田市、境港市(想定解数:33市)

となりますが、「市名の誕生日」で並べるとすると

 問n:氷見市、男鹿市、常滑市、境港市、十和田市(想定解数:33市)

という順になります。このいずれの場合でも、「金」は箕面市となり以後の回答順位も変わりは無いのですが、このあたりの取り扱いをどうするのか、物議を醸す恐れも出てきそうです。


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