[11671]夜鳴き寿司屋さん
フィンランドの歴史は把握していたのですが(中略)
中欧のほかの3カ国はファシスト政権が成立しており(他にもノルウェーやクロアチアにも傀儡ファシスト政権あり)
[11684]ニジェガロージェッツさん
小生もロシアとフィンランドの領土問題では、親フィンランド派ですが
私が書き込める話は少なくなりつつあるかも、と思っていたこの頃、反応したくなる話題を提供して頂き、ありがとうございます。日本で北欧と言うと、スウェーデンの印象が強いし、スウェーデン関係の本がほとんどなので、フィンランドの経緯をご存知の方が他にもいらっしゃることを知り、驚きました。ニジェガロージェッツさんは、ロシア側からのご賢察でご存知かも、とは思っておりましたが。
北欧を5カ国(フィンランド、アイスランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)と表現するときが、最も国数が多いわけですが、その中で、フィンランドは拙稿
[11654]にてご紹介したように、民族も違えば言語も違います。アイスランドは、私が持っている資料では「われら北欧人」(東海大学出版会)で簡単にふれられている程度で、ご紹介できるほどのデータを持ち合わせていませんので、お詳しい方のフォローをお願いしたいと思います。それ以外の3カ国は、共同でスカンジナビア・エアを運行するなど密接な関係で、特に言語の関係は、おもしろいです。
ノルウェー人にとって、デンマーク語を読むのは容易だが、聞く方は読むほどに理解できない。スウェーデン語は読むのは困難だが、話されるとよくわかる。デンマーク人に言わせると、聞く分にはノルウェー語とスウェーデン語の違いがわからない、とのこと(以上は、古~い「地球の歩き方」から引用)。日本語で強引に例えると、各地の地域言葉どうしのような関係、といったところでしょうか。
と、引用とは関係のない書き出しになってしまいましたが、ノルウェーのこと。親ナチスの政権が樹立されたのは事実とはいえ、親ノルウェー派の私としては、若干ご説明したくなりました。
ノルウェーは、11世紀に国内を統一しました。1397年に、スウェーデン、デンマークとの同君連合(カルマル同盟)を結成しましたが、次第に主導権がデンマークへ移っていきました。しかし、1523年にカルマル同盟は解体し、1536年にはデンマークがノルウェーを併合しました。しかし、1814年のデンマークとスウェーデンのキール条約により、今度はスウェーデンの支配下になりました。しかし、ノルウェーはこれを受け入れず、同年、ノルウェー憲法を制定しました。スウェーデンは、その独立と新憲法を認めつつも、スウェーデン王がノルウェー王を兼ねる、という形になりました。
ちなみにノーベル賞が創設されたのは1901年。まだ、ノルウェーがスウェーデンの支配下にあった頃で、平和賞だけノルウェーなのは、その関係です。1905年には、平和裏にスウェーデンからの独立をはたし、第一次対戦中は中立を保てましたが、第二次大戦時にはドイツにあっという間に占領されてしまいました。占領前から、ノルウェー国内にはクィスリングを党首とする親ナチスの政党があってナチスとは連絡を取り合っており、そういう意味では、「一部の」ノルウェー人がナチスを招き寄せ、傀儡政権を樹立させた、という表現が正しいかもしれません。
このときに、ノルウェー国王が、スウェーデンへの受け入れを要望したにもかかわらず拒否され、イギリスに行かざるをえなかった、という事実は、その後の国民感情に影響を与えているようです。あまり、スウェーデンのことを悪く言いたくない(私が好きだった女性の母国だから)のですが、フィンランドとの関係でも、スウェーデンがフィンランドとの同盟に合意していれば、フィンランドはドイツとくみすることがなかったかもしれない、と思います。現実に、スウェーデンはドイツ軍の資材、兵器輸送を1940年に承認しているのですから。
勢いでもう少し付け加えると、パワーポリティクスの中で、スウェーデンはしたたかであり、それによって近世の200年弱も中立を保ってきました。北欧の強国だからできたことでしょうが、では、かつて支配下にあった小国(フィンランド、ノルウェー)はどうすればいいのか???自国スウェーデンのためなら関係ないと言い捨てるのか???とたぶんに政治学的になりがちなので、この話はここで終わりにします。このあとに、実はだいぶ書き加えたのですが、考え直して削除しました。
ノルウェーの話に戻りますが、そのような経緯があったものの、反ナチスへの国内でのレジスタンス運動は盛んで、ドイツの降伏により、ようやく独立を回復しました。それで、そのような経緯があったため、第二次大戦後は、すぐにNATO(ネイトオゥ)に加盟しました。余談ですが、フランス語ではOTANとつづりが全く逆になることを、昨今のニュースで初めて知りました。ちなみに、1945年7月8日にノルウェーは対日宣戦布告してますが、枢軸国側に宣戦布告したかどうかが、敵国条項適用可否の判断につながっているのですか?そうだとすれば、あまりに酷い判断基準です。
実は、ワタクシ、ムンクの絵(特に色づかい)が好きでして、それでノルウェーのことを調べたのでした。日本でムンクと言うと「叫び」の印象が強すぎて、好きというとエェッ?と引かれてしまうのですが、叫びだけではありませんので、念のため。実はホームステイしたことがありますが、ムンクが好きと言うと、皆さん快く迎え入れてくれたような気がします。他にも作曲家グリーク、作家イプセン、そして彫刻家ヴィーゲランが有名です。
ちなみに、私が行ったことのある北欧は、11月中旬から1月中旬まででして、なんといっても日が出ている時間が短い。ぜひ、夏のトップレス北欧を見たいと思いつつ、その願いは、なかなか叶いません。ノルウェーで泊めていただいた家の女性は、たいへん心根の優しい女性で、私が親ノルウェー派になった一因でもあります。
ノルウェーの紹介というよりは、私情を含めてスウェーデンを絡めた話になってしまいましたが、以上でお話をおわりたいと思います。