箕面市
[89899]があるのは、言うまでもなく大阪府です。
Minoh市を問題にするからには、何故 Osaka府なの? という疑問も出てきます。
文化庁の
現代仮名遣いを見ると、原則と特例があることがわかります。
長音に関しては、アイウエの各列については同じ母音字(あいうえ)を添えるが、オ列の長音だけは「う」を添えるというのが原則で、おとうさん 灯台 若人 おうむ 買おう 遊ぼう お早う 扇 などの例が示されています。
原則に従えば「大阪」は「おうさか」になりますが、「おおさか」になるのは
表記の慣習による特例が定められているからです。
助詞の「を」「は」「へ」動詞の「いう」など自然に身についている表記の他、「ぢ」「づ」の使い方があります。
そして6番目に記されているのが、「オ列仮名+お」のケースであり、例示の中に「おおきい(大)」があります。
これに従って「大阪」の表記は「おおさか」になります。
その先の説明文によると、これらは歴史的仮名遣いでオ列の仮名に「ほ」又は「を」が続くものであり、その発音には次の2種類があるが、表記は共に「オ列仮名+お」となるとのことです。
1 オ列の長音として発音される
2 オ・オ、コ・オのように発音される
「大きい」は歴史的仮名遣いでは「おほきい」と書きました。
対照表参照。
従って「大阪」は歴史的仮名遣いでは「おほさか」であったが、現代仮名遣いで「おおさか」になったということのようです。地名ではないが、「ほのほ(炎)→ほのお」などが2の事例でしょうか。
ここまでは、「おほさか」だった大阪が、「おうさか」でなく「おおさか」となった仮名遣いの説明でした。
本題の ローマ字 に移ります。
「ローマ字」という言葉は、日本語を書き表す文字として「漢字・仮名」との対比で使われています。
文字自体の名はローマ帝国時代にラテン語の表記に使われた「ラテン文字」ですが、これを使って日本語を書き表すルールを含むシステム全体を「ローマ字」と呼んでいるようで、訓令式とかヘボン式とかいう名でルールを区別しています。
日本政府が昭和29年12月9日の
内閣告示第一号で
「国語を書き表わす場合に用いるローマ字のつづり方」 として定めているのは、一般には訓令式を踏襲した第1表で、国際関係その他従来の慣例を改めがたい事情にある場合に限定してヘボン式を踏襲した第2表も許容されています【両者の違いは し、つ、ち、ふ、… 等】。
「そえがき」にも重要なルールが示されており、長音に関わる部分は次の通りです。
4 長音は母音字の上に ^ (山形の長音符号)をつけて表わす。
なお、大文字の場合は、母音字を並べてもよい。
ルールには示されていませんが、「ローマ字のつづり方」は日本語の発音を書き表わす規則であり、現代仮名遣いで書き記された仮名文字をラテン文字に直す規則ではありません。
従って、「大阪→おおさか→Oosaka」ではなく、「大阪の発音(オーサカ)→O^saka」となります。
のばす母音字Oが大文字なので、Oosakaも許容されるように思われますが、見たことがありません。
私達の使うPCは、このルールより後に生まれた製品であるにもかかわらず、母音字の上に符号を付ける仕組みになっていないし、仮にできたとしても面倒です。
実際問題としては、PCが普及する前の手書き時代から、山形であれマクロンであれ、母音の上に長音符号を付けるローマ字ルールは嫌われ、「Osaka」という表記が使われていました。
では、この「Osaka」は 如何なる性格の言葉なのか?
訓令式にせよヘボン式にせよ長音符号の省略を認めるルールはないので、「日本語のローマ字つづり」ではない。
それは、英語のような外国語の中で、大阪を意味するものとして通用している地名、要するに「英語そのもの」なのでしょう。
「Tokyo」、「Kobe」など有名地名はすべて同様ですが、更に英語化を進めてゆくと、「Tokio」になってしまうのでしょうか。
東京海上