[16469] Issie さん
土地の所有関係が「飛び地」を生んだ,という例になるのでしょうね。
政治的な妥協の結果として人為的に境界が設定され、結果、飛び地ができた例をひとつ挙げたいと思います。
アメリカがカナダとの間で持つ飛び地をご存知でしょうか(飛び地の定義はさておき:笑)。アラスカ…は簡単に思いつきますが、他にもあります。
アメリカ・カナダ国境の西半分は、北緯49度線に沿って真っ直ぐ引かれていますが、その西端、バンクーバーの南に、バンクーバー島へのフェリーが発着するツワッセンという町があり、さらに南の半島が「ワシントン州ポイントロバーツ(Point Roberts)」として、小さいながらアメリカの飛び地になっています。位置関係については以下のHPの地図が分かりやすいと思います。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/6062/world/uscanada2.htm
18世紀以降、スペインやイギリスの船が周辺の探検にやってきましたが、この場所に定住する者はなく、この地の帰属が確定し飛び地となったのは19世紀の話です。
独立後のアメリカはミシシッピー川を越えて、西へ西へと領土拡張(購入や割譲)を続けていました。これに対し、イギリス(当時のカナダは英領)も、バンクーバー島のビクトリア(現在はブリティッシュコロンビア州の州都)を拠点として、毛皮の交易活動を中心に利害関係を有していました。
19世紀半ばになると、西部開拓の進行に伴い、両国の国境を画定する必要がでてきたわけですが、アメリカ側は、従来、ロッキー山脈以東で確定していた、北緯49度線を延長する形で国境が設定されるべきだと主張しました。地図を見るとわかりますが、この案は北緯49度をまたいでいるバンクーバー島を二分し、しかもイギリスの一大拠点であるビクトリアがアメリカ領になるということで、イギリスには受け入れがたいものでした。イギリスは妥協として、「大陸部分では北緯49度を国境とするが、バンクーバー島はイギリス領とする」との案を提示し、結果的に合意にいたりました。
その際、大陸側の国境を直線的に設定する結果、ポイントロバーツが飛び地になるという点について、考慮が払われたのか、ちょっと調べてみましたが、「飛び地問題」がまともに検討されたという形跡はないようです。通信事情や交通事情も悪く、測量も完全ではない当時、遠く離れたワシントンやロンドンの外交官には、49度線延長に伴い飛び地が生ずることさえ気づかなかったというのが真相だと思います。仮に知っていたとしても、アメリカ側は領土が増える分に文句ないでしょう。イギリス側はビクトリア確保が交渉で譲れない一線で、人も住まない岬など、どうでもよかったでしょうけど。
この結果、ポイントロバーツは北緯49度以南ということで、アメリカ領となり、現在に至ったわけです。
(参考)
http://www.pointroberts.com/history.htm
このポイントロバーツ、飛び地好きとしては非常に興味そそられるところであり、先日、「アメリカなのでガソリンが安いから」という大義名分で実際に行って来ました。人口750人、ガソリンスタンドが数軒(安いのでカナダからの客が結構いました)、スーパーが1軒、カジノ(古いパチンコ屋といった雰囲気)が1件といったところで、基本的には海に面したコテージが立ち並ぶ、静かな村という風情でした。アメリカなので、ものの値段などはドル表示でしたが、カナダドルも通用します。
(追加)
P.S.
[18999] 般若堂そんぴん さん
999とかお好きですね(笑)