[56491] hmtさん
[56514] 音無鈴鹿さん
[56526] むっくんさん
果樹の話題は野菜ほど得手ではありませんが、「みかんの北限」についてちょっと興味が出てきたので調べてみました。
[56532]右左府さんも書かれている通り「何を以って北限とするのかが微妙」なのですが、とりあえずYahoo!の「みかん 北限」での検索結果を10ページほど掘り返してみて、北限として紹介されている(自ら謳っているところも含む)温州みかんの商業的栽培を行っているところ(神奈川県より北のところ)を拾って見たところ、次のようなところがありました。
福井県敦賀市
福井県福井市
埼玉県寄居町
埼玉県東秩父村
茨城県桜川市
茨城県日立市
茨城県北茨城市
群馬県藤岡市
栃木県那須烏山市
福島県広野町
(各地区に関して、検索記事を読み進めていく中で一番最初に出てくる記事をリンクしてみました。広野町のは、別途検索してみると本格的な商業栽培ではなくて行政による試験的な栽培ではないか、と思われました。なお、家の庭に温州みかんが生っている、と言う記事の最北は
岩手県大船渡市のものでした)
たぶん、各地区ともある瞬間には「商業栽培としてはおおむね最北」だったことがあるのでしょう。
上記の市町村にあるみかん園の特徴として「主にみかん狩りを行う観光農園として経営されている」事が挙げられると思います。
農林水産省の統計ページ内のみかんの出荷の統計を見ていくと上記の県はひっくるめてその他扱いされており、市場出荷を行っていたとしても微々たるものであると考えられます。
おそらく、「市場に出荷しようとすると収穫量や収穫時の品質で栽培適地の産地のものには太刀打ちできないが、それでも少々北の方でも何とかお客さんが金を払って食べてくれるレベルの温州みかんは作れるようになった」…と言うことなのでしょう。
寄居町風布にみかんが持ち込まれたのは戦国時代、北条氏の手によるもの…とされているようですし(
参考サイト)、上に挙げた産地の中には明治時代や大正時代に栽培が始まったところもあるようです。
そうすると、平均気温の上昇の影響も有るには有るのでしょうが、少なくとも上に示した範囲内での温州みかんの栽培地域の北への拡大は、米などと同様に栽培技術の改良や品種改良が進められた結果と考えた方が良いような気がします。
ただし、気になるポイントはあるにはあります。
太平洋側は「最北の地」が徐々に移動して歩いている形跡がありますが、日本海側は福井県まで。
家の庭レベルだと佐渡や秋田で温州みかんが生っているところがあるらしいのですが、商業栽培は福井県内が日本海側ので最北のようです。
(石川県内で温州みかんを商業的に栽培したい人がいる、と言う話を以前聞いたことがあるのですが、その後の話を耳にしないため、結局頓挫したらしく…)
太平洋側の「北限」産地は雪がほとんど降らないところだと思いますが、日本海側はどうしても雪の影響が出るため、福井から北になかなか北上できない…と言うことでしょうか。
温州みかんのみに注目する場合、日本海側でもみかんの商業的生産地の北上が始まったとしたら、その時がまさに「地球温暖化の影響」と言えるのではないでしょうか。
今年のような冬が今後何年も続けば起こりえない話ではないと思います。
あと、「温暖化の影響がどこまで出ているか」を考えていく上で重要と思われるもう一つのポイントが
[56526]むっくんさんが引用している地球環境研究センターニュースの中に隠れています。
それは温州みかんの栽培適温には下限だけでなく上限もあると言う事。
植物を栽培する場合、栽培環境の温度を上げることは比較的容易な場合が多いですが、温度を下げることはなかなか難しいので、地球温暖化の影響は「北限の北上」よりもむしろ「南限の北上」という形で現れやすいものと考えます。
##なお、上記の温州みかんに関する考察はあくまで人が手を加えている「植物栽培」について当てはまってくる話と考えます。
自然に動いて歩くもの…自生植物の北限南限とか、海の魚の分布とか、昆虫の分布とか…が北に動いている事例は多数有りますので、地球温暖化について切り込むにはそう言う方向から入っていくのが良いのかも。
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[56526] むっくんさん
ミバエを根絶させたように、カンキツグリーニング病の予防が出来ればいいのですが。。。
カンキツグリーニング病は細菌が原因の病気だそうです。
植物の病害のうち、細菌が原因の病気に対する農薬というのは予防的な効果のものしか無く、しかも植物の体内に取り込まれて効果を発するような薬剤がないために「植物の外側に細菌が付着して感染するもの」でないと効果がありません。
(カビの仲間が原因の植物病害の場合、菌の種類にもよりますがいろいろな効果の農薬があります。一方でウイルスが原因の植物病害は植物に散布して予防や治療ができる様な薬剤はなく、ウイルスが植物に触れないようにする…中間宿主の防除、土壌の消毒、作業する道具の消毒等々…しか予防法が有りません)
カンキツグリーニング病の菌は中間宿主であるミカンキジラミがみかんの汁を吸った際に直接木の中に潜り込んでしまうため、薬剤での防除が困難な病害と言うことになります。
そうなると病原菌を運ぶミカンキジラミをどうにかすることが重要である訳ですが、根絶という方法は要は「一定区域内にいるその生物の繁殖を人為的におさえて絶滅させてしまう」と言うことなので、「必ず有性生殖で繁殖すること」「世代交代の期間が極端に短くないこと」「自力で隣の島まで移動できないこと」「不妊虫を作る技術が開発されている」「容易な人工飼育法が開発されている」などの条件がそろわないと実施が困難です。
現在ミカンキジラミの生態の解明が急ピッチで進められているようですので、それ次第で根絶を目指すのか、現在に引き続きこれ以上の北上を押さえる形になるのかが決まってくると思います。
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余談。
隣県に住まうものとして富山の鱒ずしの話題も気になっているのですが、さすがにこれから書いていくと徹夜になってしまいそうなので明晩以降に…(書ければいいなぁ…)
※誤字の訂正、記事リンクの追加など