ようやく果たした和歌山県上陸が本土でなく飛び地
[68877] 稲生 さんの怪記録を祝して(?)、
飛び地スレッド(一部を表示) を再開します。
大阪国際空港ターミナルビル付近は 2県・3市の境界。ここに複雑に入り乱れた、多数の小さな飛び地が存在
[68767]。
それは、どうやら転用された農地の残影らしく、同様の隠れ飛び地は他の県にもある(あった)らしいことも知りました。
話題の発端になった練馬区西大泉町の飛び地も、その大きさからいうと野菜畑1枚分くらいです。
練馬大根畑だったのかどうか知りませんが、ここが農地のままなら、周囲が片山村→新座町→新座市と移り変わっても話題の主になることはなかったでしょう。
ところが住宅地開発の波がこの付近にも押し寄せ、登記簿を確認した結果、この畑だけは練馬区であることがわかりました。“1974年発見”とか。
住宅が建ち人が住み始めると、学校やゴミ収集という生活面からも東京都民であるという意識が生じます。
“埼玉県かと思ったら、東京の学校へ通えるんだって。ラッキー!”てな感じだったのでしょうか。
これでは、練馬区が新座市に引き渡したいと考えても、なかなか実現しません。
[68738]参照。
飛び地の問題は、単に地図(地籍図)上の問題ではなく、住民の有無を抜きに考えることはできないことを教えています。
農家が、住所と異なる市町村内に耕作地を持つことはよくあることで、出作地とも呼ばれるようです。
台地上の野菜農家も低地になにがしかの水田を持ち、水田地帯の村人も台地上に野菜畑を必要とします。
[44818]で紹介した絵図
飛び地がいっぱいの130年前 には、武蔵野台地の上福岡に点在する低地の村々の出作地が描かれていました。
これらの出作地は、福岡町→上福岡市に統合され、最後に大井町内に残った上福岡市南台飛び地も、ふじみ野市の誕生で消滅しました。
[45344] 太白 さん
「出作」という地名もあります。ウオッちずで検索すると12件(うち10件は四国)。発音は「しゅっさく」「でづくり」「でさく」とまちまち。
松戸市役所新松戸支所の所管区域 には、“小金(字金切、出作)”と記され、「出作」という地名が関東にもあることがわかります。
「小金・出作」は約1ヘクタール余の面積で、流山市「木地区・区画整理事業」計画区域の中にあり松戸市の飛び地的な存在である。
松戸市政懇談会報告
上記新松戸支所の所管区域の次を見ると「小金飛地」。これは大字と思われますが、正面から「飛地」を名乗る地名もあるのですね。
そこで、またウオッちずで検索すると「飛地」は170件。但し大部分は「○○市飛地」のような表記であり、地名そのものではないようです。重複を除いても 106市町村。国内には、少なくともこれだけの数の飛び地が存在することを示しています。
唯一の地名らしい表記は「初富飛地」。所在地はまたもや松戸市で、地形図を表示させてみると八柱霊園付近ですが、「初富飛地」という注記を見出すことができません。火葬場付近にある串崎新田(本体は鎌ヶ谷市初富の近く)飛び地のことでしょうか?
最後に一言。
「出作」そのものではないかもしれせんが、農村集落と離れた場所にある使用収益目的の用地として、山林があります。
村の本体と離れた場所にある山林が飛び地になっている著名な事例が、長野県上伊那郡
南箕輪村 です。
地図の中央付近が飛び地の山林。木曽山脈(中央アルプス)の北端付近です。
伊那市の領域を隔てて 天竜川沿い伊那谷に位置する村の本体は、地図の右下に見えます。
飛び地面積20.1km2というから、本体の面積とほぼ同じですね。日本最大の無人飛び地のはずです。