[96425] 鳴子こけし さん
『台』の字が何故濁らないのか。中国の発音まで遡っての考察が続いていますが、身も蓋もなく言ってしまえばこの字に限らず中国語の発音に於ける清濁はあてになりません。というのも現代の中国語では、上海を中心に話される呉語を除き、ほとんどの地域で清濁の対立はなくなってしまっている
コメントありがとうございます。
日本に漢字の読み(呉音、漢音)が伝来する前の中国音が必要だと思い、
[96413]では後漢時代の音を出してみました。
濁音が無気音に移行したのは唐代とのこと(「牛島他「中国文化叢書1 言語」)なので、後漢時代であれば中国語に清濁の対立はあります。
唐代以降に、古代漢語の清濁と現代中国語(普通話)の有気音/無気音との対応がつかなくなるほどの音韻変化があったのかは実は知らないのですが、地理の話題とますます遠ざかっていく(笑)こともあり、「ピンインのt/d は清濁の対立ではないこと」には特に触れる必要はないと思っていました。
※こんなことを書いていると何だか専門家のようですが、単なる中国語の一学習者です。
いずれにしろ、日本語の漢音や呉音の解明に関しては、現代中国語の発音はあくまでも参考でしかないことは私も他の皆さんも理解していると思います。
[96417] 伊豆之国 さん
「台」が音符として使われている「形声文字」はいくつかあり、「治」「始」など、「タイ」から大きく変化しているものもあるので、おそらく古い時期にはお互いに近い発音だったのでしょうか。
私も不思議に思い、また「新字源」を見てみたところ、「始」の音符は本来「台」ではなく、変形して「台」になったようです。
「治」の音符は「台」なのですが、「台」にはイという読みもあり、この音を表す音符だそうです。
なお、現代中国語で「台」自体を「イ」(に近い音)で読む例は知りませんが、饴(飴)のピンイン表記はyíです。(治はzhì)
※清濁との対応がわかりやすいように、「無気音」と「有気音」の順番を入れ替えた。
※※最終センテンスの「治」についての言及を()に入れた。
※※※「こういう変化がなかったとすれば、普通話のピンイン表記のt/d を清濁として話をしても結果に変わりはないこと」を削除。「いずれにしろ~」の一文を追加。誤字訂正。