[96453] 2018 年 9 月 2 日 (日) 21:21:48 伊豆之国 さん
ご指名いただいておりながら,17週間もお返事をお書きせずに,大変失礼いたしております。
年が変わる前に,「神戸市武庫郡西灘村」の存在について,門外漢ながらも,地元市民の感覚にて,考えるところを述べておきます。
JR東灘信号場の北東部分の一角、実はここだけは神戸市ではなく「武庫郡 西灘村」が残っているのです。1929年に神戸市に編入されたものの、国鉄敷地内であった為、編入されず残っているモノです
(中略)
神戸市内には「御崎村」「東尻池村」が「神戸市の大字として」現存しています
「神戸市ではない」といった表現を使用しましたが、実際は「神戸市武庫郡」の扱いの様で、「灘区内にありながら灘区ではない」事になります。
すなわち「神戸市武庫郡西灘村」です
表題の地名につきまして,その存在が確認できるのは,
[96453]伊豆之国さんがおっしゃるように,拙
[75442]に引用した
神戸市固定資産(土地)地番参考図になりますが,これは利用条件の冒頭にも注意書きされているように,内容を証明するものや申請その他の資料として用いることが出来ない参考図です。
神戸市内の地名(町名および大字)については,神戸市の公式サイト内より
神戸市町名一覧表(pdf)を閲覧していただき,また
神戸市区設置条例も参考にしていただければ,すべてが網羅されています。また,神戸市内の陸地において,どこの区にも属していない所というのは,埋め立て途上の未登記地を除いては,聞いたことはありません。
「西灘村」或いは「武庫郡西灘村」がここに書かれていないということは,公式には認められていない地名ということになるのでしょう。過去の拙稿に於いて,度々話題にした兵庫区東尻池村,兵庫区御崎村については,町名一覧にも区設置条例にも挙げられている正式な地名です。
この町名一覧表や区設置条例を金科玉条のように扱い,書かれていないものを全否定するのも地名好きとしては冷淡ですので,もう少し掘り下げてみましょう。
まず,1929(昭和4)年に神戸市に編入された武庫郡西灘村については11の大字があり,タイトルの「河原」はその一つでした。編入後は「神戸市河原」,1931(昭和6)年の区設置後は「神戸市灘区河原」となりましたが,1931~33(昭和6~8)年にかけて全域に新町名が付けられ消滅したことになっています。(角川日本地名大辞典 28兵庫県)
表題の小字「中ノ内」と「風呂前」の一部については,国鉄用地の中で市街化から外れ,小字を冠したまま地番が残ってしまったということでしょう。兵庫区で存在が認められている東尻池村と同じような経緯かと推察します。
仮に,固定資産(土地)地番参考図を正しいものとして信用するのであれば,神戸市区設置条例の制定(昭和23年1月1日 条例第1号)の段階での地名漏れの可能性が出てきます。一方,固定資産(土地)地番参考図に於いても,「西灘村」は余計な誤記ではないかと感じられます。