[45357]eiji_t の続きです。
2)日立市の誕生
昭和14年9月に日立町、助川町が合併して「日立市」誕生。まずはそこに至る経緯から。
日立村に日立鉱山(明治38)日立製作所(明治43)発足。両社の発展とともに人口も増え、大正13年町制施行「日立町」。
助川町の経緯は、明治22年の町村制施行で助川村,会瀬村が合併して「高鈴村」。村名は地区の西部にある山から取る。助川駅開設(明治30)、鉱工業の貨物が増大。また助川地区には鉱工業の従事者が住み、人口が増えて大正14年に町制施行「助川町」。町名は旧2村の内、助川地区の発展が進み、奈良時代からの歴史のある名である助川に戻したもの。
昭和5年には助川町に日立製作所海岸工場(現日立事業所)が完成。日立,助川両町は地理的にも産業的に密接な関係になり、この頃から日立町,助川町に合併の話が出る。
何度か合併問題は不調に終わるが、昭和14年ようやく同意にこぎ着ける。
しかし新自治体の名称でこじれる。助川町は「日立助川市」を提案、日立町が拒否。妥協案の「茨城市」も両者に不満。ついに県に一任となって、県は歴史のある「助川」より知名度の「日立」を選ぶ。
その後、助川地区に工場が拡充、商店街が発展し市の中心となる。助川町が企業誘致で日立市に名称変更したという、誤った説が拡がる。
[45165]に「地名学の専門家も誤解していた」と書きましたが、こんな例を見つけました。、
企業名由来の自治体名を持つ唯一の市である豊田市の改名運動に、日立市の名が利用されたそうです。
『豊田市史』(第4巻第2章)
挙母市(豊田市の旧市名)商工会議所の有志が、昭和33年に市名変更の「請願書」を市議会に提出しましたが、そこに企業名由来の自治体名の例として「日立市」が挙げられていたのです。
豊田市の場合も強い市名変更反対があり、名古屋裁判所へ行政訴訟まで起こされたそうです。