[70907]Issie さん
何となく“北”の方が「河」で,“南”の方が「江」であるようにも思えるけれど,必ずしもそうでないのは,東北部の中朝国境や中ソ,…もとい,中ロ国境の 鴨緑江,図們江(朝鮮側では豆満江),烏蘇里江,黒竜江 で明らか。逆に,長江下流部に網目のように広がる支流にも「河」と呼ばれるものが多くあるようです。さらに現在でも「水」と呼ばれるものもたくさんある模様。
とすると,本家中国でもこれらの語尾の使い分けに明確な“法則”はないのでしょう。
残念ながら、根拠となる論文には十分触れられていませんが、故橋本萬太郎氏の「現代博言学」では、ご指摘の中国大陸における「江」と「河」の分布について図示しつつ、以下のような記載されております。
「江」という漢字によってあらわされることばが、南アジア諸語と、また「河」という字によってあらわされることばが、アルタイ語とむすびつけられそうなことは、いまでは、ほぼうたがいないようにおもわれる。
(同書370ページ)
すなわち、両者とも、中国語に取り入れられた、異なった非漢語的要素に由来するという考察です。(ここだけ読むと唐突なようですが、同書では、中国語の「方言」の成立について、漢語が他の言語に覆いかぶさった結果であることを説明しており、これは実際に、現在では有力な見方となっているようです。)
続いて、同書では、日本語と「さわ」と「たに」について、元々は異なる言語における同意語が、日本語に組み入れられた結果、意味が分化したものではないかという考察を行っております。
以上、先刻ご承知の内容のような気もしますが、ご参考まで。