[84017] 白桃 さん
全国の町の人口を国勢調査年毎に整理して一覧表にするとき、「大野町」とか「大和町」とかいっぱいあり、自分でも何県なのか混乱しそうなので、()をつけてその中に漢字を一字入れることにしました。
個人的な資料整理の目的ならば、例えば 渡島大野は 01大野町、越前大野は 18大野町、豊後大野は 44大野町と、都道府県コードで区別しておくのが便利であり、正統的でもある と思います。
[84028] futsunoおじ さん(末尾のコメント)
しかし、この落書き帳の常連さんたちには常識である
自治体コード も、社会全体での認知度は必ずしも高くありません。
そこで、一般社会を対象に発信する情報においては、受信者が理解可能で、かつ簡潔な省略表記を使う意義が出てきます。
例えば「大阪」という地名は、本来は「都市名」です。「大阪」の他に「堺」「高槻」「岸和田」など別の都市や金剛山地までを含む範囲に設けられた「大阪府」という自治体を「大阪」と呼ぶこと自体が「省略表記」です。
この省略表記法が 自治体名に持ち込まれた「大阪狭山市」は、それ自体が 新たな正式名称になってしまったので 仕方がないのですが、マスコミで耳にする“大阪岸和田市”などという言い方は、どうも気になります。
僅か1字のことでもあり、省略せずに“大阪府岸和田市”と正式の呼び方をしてもらいたいものです。
さて、地名は「良い意味の漢字」を使った2字のものが主流であり、都道府県名(県名と省略します)もその例外ではありません。
例えば柴田勝家が本拠にしていた越前国北ノ庄は、江戸時代には縁起の良い字を用いた地名に改められ、「福井」と呼ばれた親藩の城下町になりました。明治になってからは、福井藩>福井県>足羽県(郡名由来)>敦賀県>石川県の一部を経て、明治14年に「福井」に県庁を置く 第2次「福井県」の管轄地となりました
[64833]。
「福島県」も県庁所在都市「福島」に由来し、都市名は文禄年間に杉目城から改称された福島城に由来。
吾妻おろしが吹きつける「吹島」を縁起の良い「福島」に改めたという説があります。
地名由来辞典
「福岡県」も城下町「福岡」由来で、こちらは黒田長政ゆかりの地・備前国邑久郡福岡にちなむ地名。
福岡になる前の地名も福崎だそうですから、最初から縁起の良い地名だったのですね。
福岡と博多との関係については、まるちゃんさんの記事
[17397]があります。
このようなわけで、おめでたい「福」を頭文字とする県が3つもあると、1字略記を選ぶ時に重複問題が生じます。
自動車のナンバープレートに1字略記が使われた時代には、台数の多い福岡県が「福」を獲得。福島と福井は2文字表記となりました
[84046]。もともと、省略表記につき 絶対に1字にしなければならない理由 もないと思われ、1字が無理なら2字を使うというのは妥当な選択であると思われます。
スポーツ新聞の競輪・競艇欄にある選手の出身県表示
[84027]は「1字」にこだわっています
[84027]。
福井の「井」はともかく、福島を「島」としたため、その煽りを受けて島根が「根」になってしまったのは 少し無理筋か。
県名に重複文字が使われていないのは、北海道・青森・岩手・秋田・栃木・群馬・埼玉・千葉・新潟・岐阜・三重・兵庫・鳥取・熊本・沖縄の 15県です。
先頭文字を優先させると、その重複がないのが、茨城・東京・神奈川・富山・石川・静岡・滋賀・京都・奈良・和歌山・島根・岡山・広島・徳島・香川・高知・佐賀・鹿児島の 18県あります。
未解決として残る 14県が、
[84028] futsunoおじ さんの記事に列挙されています。
山形、山梨、山口、福島、福井、福岡、愛知、愛媛、宮城、宮崎、長野、長崎、大阪、大分
特別の読者が限定されている競輪の事例では、特殊ルールを定めて「1字」を守ることも可能だったでしょう。
しかし、「普通の人」を対象にする場合は「1字への拘り」を捨て、2字を許容したり
[84046]、フルネーム(1927~1933、1964年~)に改める
[84050]。
ナンバープレートの事例は、これが省略表記問題解決の王道であることを教えていると思います。
要するに、「誰のための省略表記なのか?」ということ考えましょう ということです。