[95238]でちょっと触れたセンター試験。日本地理の大問6だけ解説をしておきましょう。問題は新聞掲載のだと小さくで見づらいので、予備校ホームページの
こちらのPDFをどうぞ。
今年のテーマは岐阜県高山市。もともと観光地で有名だし、映画「君の名は。」やアニメ「氷菓」の舞台としても知られており、高校生にとっつきやすい場所だったか?
問1:気温の年較差と冬季の日照時間表から、どれが高山・富山・浜松かを特定させる問題
・太平洋側は冬に晴れが多く、日本海側や内陸は雪が多い=日照時間が少ない→アが浜松
・沿岸部より内陸の方が気温の年較差が大きい→イが富山、ウが高山
従って、正解の組み合わせは6番。
問2:高山市の旧市町村別の人口密度・老年人口割合・平均世帯人員数の図の読み取りと背景の分析をする問題
選択肢1・2番は図の読み取り問題で、見ての通りなので問題なし。選択肢3番の「平均世帯人員数が…中心部で低いのは核家族や単身世帯の割合が”低い”から」というのは、一般的なイメージの「町中は1人暮らしや核家族が多い」というのに反するので誤り。選択肢4番は田舎で高齢者のみの世帯が増えている→世話をする人がいないので買い物や通院が困難になる、などのニュースでもおなじみの話。
従って、正解(誤文)は3番。
問3:高山市の農林水産物の流通に関する問題
・「当時(昔)は、大都市から離れていたことが、農産物の[域内/域外]消費を促していた」
いわゆる地産地消というものなので、空欄は「域内」。直前が「近郊の農家にとって~販売する」とあるので、文脈上も「域内」になる。
・「高山から[名古屋/松本]方面に運ばれたブリは……高価なものでした」
2つ前の職員のせりふ「海の魚を食べることが困難な地域にも運ばれていました」とあるので、空欄に入るのは海に近い名古屋ではなく「松本」。
従って、正解の組み合わせは4番。
問4:高山市街地の地形図読み取り問題
・選択肢1番「上二之町から南へ向かう通りでは……丁字路が作られている」
地図上で上二之町の南5mmほどのところに丁字路が2つあるのが分かる。
・選択肢2番「市内を南から北へ流れる宮川」
三角点・水準点・標高点の数値を見ると南より北の方が低いので、川も北へ流れているはず。
・選択肢3番「吹屋町の北側から東側にかけては……寺院に由来する町名のつけられている地区が確認できる」
地図に「天性寺町」や「宗猷寺町」がある。
・選択肢4番「苔川と並行する幹線道路に面して工業団地が造成」
一般論としては郊外のバイパス沿いに工業団地があることもあるけれど、この設問では工場が集中している事実はなく、この選択肢は誤り。
従って、正解(誤文)は4番。地図記号や表記ルールの知識はほとんどいらないのでラク。
問5:高山市の旅行者数の推移グラフと外国人旅行者数の地域別割合の表の読み取りと背景の分析をする問題
・選択肢1番「交通条件の改善は旅行者数の維持を保証するものではない」
交通条件が悪化したとはまったく言及されていないのに旅行者が減少していることがあるので、改善したからといって旅行者が維持されるとは限らないということになる。
・選択肢2番「高山市は……相対的に宿泊を伴わない通過型の観光地」
文中の数値より、岐阜県全体の観光客数は日帰り(3731)・宿泊(629)となっており、宿泊客は全体の15%ほど。グラフより高山市の観光客数は日帰り(210)が宿泊(130)となっており、宿泊客は全体の4割弱。※数字の単位は万人 よって、高山市は宿泊客の割合が高いことが分かるため、この選択肢は誤り。
・選択肢3番「2015年の高山市の宿泊客数の約2割を外国人旅行者が占めている」
グラフより、2015年の高山市の宿泊客数は130万人ほど。表より、高山市の外国人旅行者数は26.8万人。130万人の2割は26万人となるのでだいたい合っている。
・選択肢4番「外国人旅行者の地域別割合をみると、高山市は全国に比べて、ヨーロッパやオセアニアの割合が高い」
表を見れば分かる通り、ヨーロッパが25.1%(高山)と6.3%(全国)、オセアニアが6.6%(高山)と2.2%(全国)となっている。
従って、正解(誤文)は2番。今回の設問では図表の複雑な比較はなかったが、割合なのか実数なのか、単位は何か…はしっかりチェックしなければならない。
問6:写真から植生帯を特定させる問題
・高山帯=森林限界より上なので木が生えない→写真A
・亜高山帯=針葉樹林→写真C 残った山地帯→写真B
従って、正解の組み合わせは2番。
<まとめ>
大問6を通してみると、教科書で学ぶ知識はあまり必要ない印象を受けました。ろくに正解できずに「教科書から正解が導けないじゃないか」とわめくような人は地理学習に向いていないと思います。