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埼玉県“忍市”をめぐって 〜市制施行に係る行政手続の考察〜

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記事数=7件/更新日:2006年2月11日/編集者:YSK

埼玉県行田市は1949年5月3日に当時の忍町が市制施行して誕生しました。埼玉県告示は忍町を「忍市」とし、「忍市」発足と同時に行田市に改称することを許可するといった内容になっている一方、国の告示は忍町が直接行田市となったように記述しているようです。市発足と共に改称した市の中では特徴的な経過を辿った「忍市」の例を紐解きながら、市制施行に係る行政手続について整理します。

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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[28534]2004年5月23日
mul-sa
[28536]2004年5月23日
YSK
[28543]2004年5月23日
Issie
[28544]2004年5月23日
Issie
[45537]2005年10月9日
グリグリ
[45560]2005年10月10日
Issie
[45717]2005年10月16日
グリグリ

[28534] 2004年 5月 23日(日)13:27:23mul-sa さん
「消滅した市」について
初めまして。mul-saと申します。しばしばこのページのデータにはお世話になっている者です。
たまたま今日「雑学ページ」の「東京市ってあったの?-消滅した市」を見つけました。眺めていて気づいた点がありましたので、ここに書き込みさせて頂きます。

ここのコーナーでは、市制施行と改称が同日であっても、市制施行→改称という手続をとった市については対象としていますよね?気づいた点というのは、これにあたると思われるのに載っていない市があるということです。

私の住む埼玉県において、市制施行と改称を同時に行った市は以下の五つです。

忍町→行田市  武蔵町→入間市  足立町→志木市  大和町→和光市  福岡町→上福岡市

なお、東松山市などは松山町と周辺村が合併した際に市制施行したのでこれにあたらないようです

このうち、行田市は市制施行の後改称、和光市と入間市は改称の後市制施行を行っています(これは、市の例規に書かれているようです。志木と上福岡はweb上に例規が見つからなかったため分かりませんでした)。よって、少なくとも「消滅した市」として、「埼玉県忍市」が挙げられ、「埼玉県足立市」「埼玉県福岡市」も挙げられる可能性があります。

それにしても、改称と市制施行が同時に行われる際にも書類上では二段階に分ける、市制施行が先の場合と改称が先の場合とがあるというのはなかなか興味深いですね。

以下、参考にしたサイトです

http://www.city.gyoda.saitama.jp/reiki_old/reiki_itiran/r_taikei_01.html
http://www.city.iruma.saitama.jp/reiki/reiki_mokuji/r_taikei_main.html
http://www.city.wako.saitama.jp/reiki_int/reiki_mokuji/r_taikei_main.html
[28536] 2004年 5月 23日(日)14:21:13YSK[両毛人] さん
Re:「消滅した市」について
[28534]mul-saさん
はじめまして、興味深いご指摘ありがとうございます。

ご指摘の雑学・「消滅した市」については、「落書き帳アーカイブズ」内「市制施行日に名前を変えた市とは?」内に収録されています、[118]Issieさんの記事が元になっています。

市制施行日に名前を変えた市とは?
http://uub.jp/arc/arc7.html

この中で、上福岡市及び志木市については、福岡町→上福岡町→上福岡市、足立町→志木町→志木市とという過程を経ていると紹介されていますので、「消滅した市」にはあたらないと考えられます。

一方、行田市については、Issieさんの調査では、忍町→行田市と直接移行したと紹介されていまして、mul-saさんご紹介の、行田市例規集にある「埼玉県告示」の内容と異なっていますね。

ところで、[27855]Issieさんによりますと、市の発足に関わる告示については、新旧憲法両体制下においても国が告示する事項であるように読み取れるのですが、この「忍市市制施行」や「忍市を行田市に改称すること」は県の告示となっています。行田市の市制施行は1949. 5. 3ということで、地方自治法草創期には、県が告示を行っていた時期があったということなのでしょうか。

調べてみましたら、私の住む太田市(1948.5.3市制施行)も県告示によって市になっています。

1948.4.1に市制施行した磐田市の場合を確認すると、

昭和23年3月18日
静岡県告示第105号
静岡県議会の議決を経て地方自治法第8条の規定により、昭和23年4月1日から磐田郡磐田町を磐田市とする。

とあります。

Issieさんにお伺いしたいのですが、忍町→行田市と、改称と市制施行を2段階に分けずに直接移行した、という結論に至った根拠は何だったのでしょうか。
[28543] 2004年 5月 23日(日)19:00:52【1】Issie さん
行田市の件
[28536] 両毛人 さん
忍町→行田市と、改称と市制施行を2段階に分けずに直接移行した、という結論に至った根拠は何だったのでしょうか。

「昭和24年総理庁告示第28号」(1949年4月23日付け)によれば,「北埼玉郡忍町」を廃して,その区域をもって「行田市」を設置する,というような文章になっています(原文ママではありません)。

地方自治法草創期には、県が告示を行っていた時期があったということなのでしょうか。

現行憲法・地方自治法施行後は,市町村すべての廃置分合について,最終的には国が告示しています(内務省存続時は内務大臣名の“内務省告示”。以後,自治省設置までは内閣総理大臣名の“総理庁告示”および“総理府告示”)。
ですから,「行田市」の設置に関しても「総理庁告示」で告示することで事前手続きが完了しています。

昭和23年3月18日
静岡県告示第105号
静岡県議会の議決を経て地方自治法第8条の規定により、昭和23年4月1日から磐田郡磐田町を磐田市とする。

「磐田市」について,国のほうでは同年4月2日付けの「総理庁告示第39号」で告示しています(ちなみに,「第38号」は「富士郡吉原町」を廃して「吉原市」を設置する,というもの)。

国の告示文のフォーマットは,現在も「…旨,県(都道府)知事から届出があった」というものです。
実は都道府県レベルの告示文というのは,ここで初めて見たのですが,

静岡県議会の議決を経て地方自治法第8条の規定により、

というフォーマットなのですね。
このあたりの流れを見ると,この段階では「あくまでも都道府県の方が主体」というニュアンスがあるようにも感じます。
国の告示の日付を見れば解るように,こちらは完全な「事後報告」ですが…

さて,細かいところはどうなのでしょうか…。
[28544] 2004年 5月 23日(日)20:44:36【1】Issie さん
↓のつづき
よく読んだら,下の発言,前段と後段とで論旨が食い違っていますね。

「行田市」の設置に関しても「総理庁告示」で告示することで事前手続きが完了しています。

…と書いたけど,この時期,国の告示はほとんどが市が発足してから後に出された「事後報告」です。たまたま,「行田市」は5月3日の発足に対して,総理庁告示の日付は4月23日で,告示の方が先行していますが。

以前にも書いたのですが,
内務省が廃止・解体されて,地方行政関連の事務が内閣総理大臣管轄下(総理庁が管掌)に移された1948年1月1日以降,1949年6月の「総理庁」から「総理府」への改変を経て,1952年末までの期間は,ほとんどの場合で「市」の発足が「告示」に先行しています。

具体的には,
1) 1948年1月1日 発足の 大阪府茨木市,静岡県島田市,奈良県大和高田市 については,内務省が滑り込みで,前年末の12月27日付けで告示しています(昭和22年告示第393~395号)。
2) 総理庁による告示の最初は,岩手県一関市 の設置についての「昭和23年告示第26号」。4月1日の市の発足に対して,告示の日付は4月2日でした。
3) 同じ1948年4月1日に発足した 福岡県武生市,岡山県児島市,静岡県吉原市,静岡県磐田市 も同じ4月2日に告示されています(この順序で告示第27,28,38,39号)。
4) 同じ4月1日発足でも,大阪府八尾市 は4月9日付(告示第53号),大阪府泉佐野市 は4月10日付(告示第56号),北海道苫小牧市 は4月21日付(告示第76号)で告示されています。
5) この間に,4月15日付(告示第67号)で4月5日発足の 愛知県碧南市 が,やはり「事後報告」で告示されています。
6) 1950年8月1日発足の 京都府綾部市 の場合,それが総理府から告示されたのは2ヵ月以上後の10月4日付(昭和25年告示第283号)です。ちなみに,同じ日に発足した 茨城県古河市 の告示は9月5日付(告示第259号)。
7) こうした“逆転期”の最後となるのが,1952年8月1日の発足の後,9月10日付で告示された 富山県氷見市(昭和27年告示第202号)と 島根県益田市(同告示第208号)。
8) 次の,1953年2月1日発足の 岡山県西大寺市 の告示は“事前”の 1月27日付(昭和28年告示第8号)で,以降はおおむね“事前”の告示となっています。

この間,告示が市の発足に先行したのは,
 1949年5月3日 発足の 埼玉県行田市 についての 4月23日付告示(第28号)
 1950年1月1日 発足の 宮崎県日南市 についての 前年12月29日付告示(昭和24年第175号)
 1951年3月1日 発足の 京都府宇治市 についての 1月12日付告示(第2号)
 1952年1月1日 発足の 岡山県玉島市 についてに 前年12月25日付告示(昭和26年第425号)
の4例のみ。

参考までに,1948年5月3日発足の 群馬県太田市 についての総理庁告示は 5月22日付 です(昭和23年告示第108号)。

やはり,この時期の手続きは現行のものとはやや違っていたのだろうと思うのですが,「地方自治法」の“最初バージョン”は実はまだ読んでいないのです。
…あるいは,法律本体ではなく,施行規則レベルの規定でしょうかねえ。
[45537] 2005年 10月 9日(日)12:13:44オーナー グリグリ
市制施行日の編入
[44880] 2005 年 9 月 13 日 (火) 23:56:22 オーナー グリグリ
「合併経験がない」という概念を考えた場合に、鹿嶋市や潮来市のように、市制施行日当日に町が町を編入したあと市制施行するのは、実質的には新設合併と同じで市制施行時に合併していると考えられると思います。このようなケースは「合併経験がない市」とは言いたくないと言うのがポリシーです。鹿嶋市、潮来市などと同じケースが宇土市にもあったことを発見し、......(以下略)
「合併経験がない市」を考える過程で、市制施行日当日の編入は実質的に新設合併と同じと述べていますが、上記にある宇土市、鹿嶋市、潮来市の編入は以下の経緯です。

市制施行日市名市制施行日の編入等
1958.10.1宇土市網田村 編入
1995.9.1鹿嶋市大野村 編入(同時に鹿島町から鹿嶋町に改称)
2001.4.1潮来市牛堀町 編入

他にも調べてみると昭和29年以前には編入と同時の市制施行が多いようです。茨城県に多く、結城市、龍ヶ崎市、下妻市、水海道市、常陸太田市、それに消滅した、下館市、那珂湊市、勝田市が該当しそうです。他には、栃木県の日光市、今市市、群馬県の富岡市、埼玉県の鴻巣市、千葉県の東金市、などが見つかります。関東地方だけ市町村要覧によって調べたのですが、おそらく、昭和29年以前の市制施行の例にも編入と同時の市制施行の例が埋もれているのではないかと思います。関東地方ではありませんが、小松市のHPの歴史には「昭和15年には小松町と近隣の安宅町のほか周辺の牧村、板津村、白江村、苗代村、御幸村、粟津村の6か村が合併し、全国176番目の市制を敷きました。」との記述があり、これが新設合併なのか編入合併なのかはよくわかりません。むじながいりさんのつかんぼやとによると新設合併のようですが。

そこで、新たな疑問です。新設合併と編入合併という手続きが明確に定義されたのはいつからなのでしょうか。アーカイブ「編入?新設?市町村合併の種類などについて」を確認しましたが記述が無さそうですねぇ。そう言えば「忍市」の件も実は引っかかっています。忍市も市制施行日のみに存在した市とすべきではないかと。

ちょっと脱線しましたが、整理すると以下のようなところでしょうか。

(1) 新設合併と編入合併の行政手続きが明確に定義されたのはいつか
(2) 忍市の件などを考えると、国と県の行政手続きの定義なども整理する必要があるのか

#勘違いがあったらご指摘ください
[45560] 2005年 10月 10日(月)11:57:50Issie さん
Re:公報と官報
[45541] 紅葉橋律乃介 さん
旧憲法時代には町村の異動は告示がなく、すなわち市への編入も告示事項ではなかった模様。

[27855] は結構前かと思ったら,去年でしたね。
旧憲法体制下でありますが,直接の根拠は法律としての「市制」に求めた方がいいように思います。そして,現行憲法の施行された1947年5月3日からは「地方自治法」。

(前にも書いた覚えがありますが,
「市制」という言葉には,漠然と“「市」という制度”を意味する場合と,狭い意味で1888年に公布,翌年に施行され,1911年に全面改正された“「市制」という名前の法律”を指す場合とがあります[「町村制」も同じ]。
だから厳密には“法律を「施行」する”という意味で「市制施行」と言った場合,施行すべき法律「市制」は60年近くも前に廃止されていますから,おかしな表現ということになります。けれども,実際には“「市」という制度”という意味で自治体自体も含めて広く使用されていますから,それはそれでいいのでしょう。
ただし,1947年5月2日までは「市制施行」とは,単に“「市」になる”という意味だけではなくて,“「市制」という法律がその地域に施行される”という意味であった,ということは留意しておいた方がいいように思います。もっとも,「どう違うの?」と聞かれても,その答えはよくわかりませんが。
一方で,「町制」「村制」「区制」などという法律はありませんから,こちらは単純に“「町」(村・区)という制度”という意味でもっぱら使われるのでしょう。)

話を戻して,
前発言の通り,町村が既存の市に“編入”される場合は内務省の告示事項ではなかったようですが,既存の市が他の市に“編入”される場合には,その「市」を“廃止”することになりますからそれについての告示が内務省から出されています。京都府伏見市がその実例です(以下の日付は施行日ではなく告示公布の日付)。

 ・京都府伏見市 →京都市へ編入:昭和6年内務省告示第56号(1931年3月23日)

「市制」下で消滅した他の3市のうち,

 ・京都府東舞鶴市 →舞鶴市と合体して「舞鶴市」を新設:昭和18年内務省告示第341号(1943年5月19日)
 ・兵庫県飾磨市 →姫路市ほかと合体して「姫路市」を新設:昭和21年内務省告示第21号(1946年2月27日)

この2つは,“合体”により“改めて新設”された「兵庫県尼崎市」(昭和11年内務省告示第117号:1936年3月21日),「大阪府岸和田市」(昭和17年内務省告示第157号:1942年3月20日)と同じ手続きです。
もう1つの「東京府東京市」の場合は,法律である「東京都制」(昭和18年法律第89号:1943年6月1日)によって廃止されていて,これは内務省の告示事項ではありませんでした。

[45537] グリグリ さん
忍市

最近は便利な世の中になって,多くの自治体が「例規集」をネット上で公開していますね。で,そのうちの多くがその冒頭に当該自治体の成り立ちについての根拠法令を収録しています。
ただ,どこにその“ルーツ”を求めるかは必ずしも統一されているわけではなくて,“国レベル”(内務省→総理庁→総理府→自治省→総務省)の告示をそれとしているものもあれば,(都道)府県告示を収録してるところもあります。何も収録せずに,いきなり「市役所の位置を定める条例」を冒頭に置く自治体も少なくないのですが。

行田市の場合は 埼玉県告示 に根拠を求めているようで,

----------------------------------------------------------------------------
○忍町を忍市とする告示
昭和24年3月29日
埼玉県告示第129号
地方自治法第8条の規定により、昭和24年5月3日から、北埼玉郡忍町を忍市とする。

○忍市を行田市とする名称変更を許可した告示
昭和24年3月29日
埼玉県告示第130号
地方自治法第3条により忍市を行田市とする。市の名称変更の条例を許可した。
----------------------------------------------------------------------------

…という告示を前提にした

----------------------------------------------------------------------------
○忍町を忍市とされた場合における新市の名称変更に関する条例
昭和24年3月3日
公布
忍市を行田市に変更する。
附 則
この条例は、忍町を忍市とされた日からこれを施行する。
-----------------------------------------------------------------------------

という忍町の条例で「行田市」が誕生したことを跡付けることができます。

国レベルでの告示は4月23日付の「総理庁告示第28号」ですが,ここでは「忍町」が直接「行田市」になるように記載されています。上の経緯を経た途中経過を省略しているのですね。
「行田市」の場合は 5月3日 の発足に先立って“告示”が行われているのですが,1948年から1951年の間に発足した「市」の多くは発足よりも告示の方が遅い“事後報告”となっています。
占領下,内務省が解体された下でのできごとですが,このあたりの手続きは“独立”後とは違っていたのかもしれませんね。

市の例規集からもう1つ,
ちょうど“旧憲法/市制”体制から“現行憲法/地方自治法”体制への切り替えの隙間にはまって国レベル(内務省)の告示では確認することのできない 鳴南市→鳴門市 の改称(1947年5月15日実施)について,鳴門市が公開している例規集に

----------------------------------------------------------------------
○市名変更条例
昭和二十二年五月十日
条例第三号
鳴南市を鳴門市と変更する。
附 則
本条例は、徳島県知事の許可を得て昭和二十二年五月十五日から施行する。
-----------------------------------------------------------------------

というのがあって,とりあえず「鳴南市条例」に根拠を求めることができそうです。

もう1つ,赤間関市→下関市 というのが確認できていないのですが,下関市の例規集にはその“ルーツ”が収録されていませんでした。
[45717] 2005年 10月 16日(日)15:13:25【1】オーナー グリグリ
「忍市」の件
[45649] 2005 年 10 月 15 日 (土) 06:33:30【1】 オーナー グリグリ
「官報と公報」「忍市」の件、フォローをありがとうございました。個別の事例の確認とともに、時代変遷を整理してみたいと思います。忍市のように例規集から同様の例を洗い出しましょう。他にもいくつか事例があったと記憶していますが。
この件について整理してみました。

[45537] 2005 年 10 月 9 日 (日) 12:13:44 オーナー グリグリ
(1) 新設合併と編入合併の行政手続きが明確に定義されたのはいつか
既存の市を含む新設合併と、既存の市への編入合併の行政手続き上の違いは、一旦、市を廃止するかどうかの違いであり([184]の まがみさんの記事参照)、行政手続きとして明確に定義されたというか識別できるようになったのは、明治22年の市制・町村制施行以降であると考えてよい。

では、私が[45537] で提起した疑問、「単独市制施行+同日編入」と「新設合併」はいつから識別可能なのか、です。宇土市や鹿嶋市のように「町へ編入後、単独市制施行」という行政手続きが確認できるものは厳密に言うと「新設合併」ではないことがわかります。

[45537] 2005 年 10 月 9 日 (日) 12:13:44 オーナー グリグリ
小松市のHPの歴史には「昭和15年には小松町と近隣の安宅町のほか周辺の牧村、板津村、白江村、苗代村、御幸村、粟津村の6か村が合併し、全国176番目の市制を敷きました。」との記述があり、これが新設合併なのか編入合併なのかはよくわかりません。むじながいりさんのつかんぼやとによると新設合併のようですが。
と書きましたが、「小松町を含む2町6村の新設合併」であるのか、行政手続き上「小松町へ周辺1町6村を編入後単独市制施行」あるいは「小松町が単独市制施行後即日周辺1町6村を編入」の可能性もあるのではないかと言う疑問を持ったわけです。しかしながら、地方自治法が施行される前であり、町村の編入は内務省の告示事項ではなかったことから、簡単に言ってしまえば、区別が付かないということでしょうか。

つまり、「単独市制施行日当日の町村編入が識別可能なのは昭和22年5月3日の地方自治法施行後であり、それ以前およびそれ以降でも告示などで確認ができない場合は新設合併と考えるのが妥当である」との結論です。

「それ以降でも告示などで確認ができない場合」があるのかどうか分かりません。過去に話題になった日南市もHPの例規集に宮崎県告示が載っており、新設合併であることが確認できます。

さてもう一件「忍市」の件。

[45537] 2005 年 10 月 9 日 (日) 12:13:44 オーナー グリグリ
(2) 忍市の件などを考えると、国と県の行政手続きの定義なども整理する必要があるのか
こちらは、「単独市制施行日の町村編入」と同じように「単独市制施行日の改称」問題です。鹿嶋市はこの両方が同時に発生したケースです。実はもう一市、八女市も同時に発生しているケースであることを確認しました。すなわち、「福島町へ川崎村などが編入→福島市→八女市へ改称」。

「単独市制施行日の改称」には過去にも議論されていますし、雑学「南大阪市ってどこにあるの?」にもありますが、次の2つのケースがあります。なお、Issieさんの[118]の書き込みが雑学ページのルーツです。

(1) 「単独市制施行→即日改称」
Issieさんの[118]にリストアップしている市制施行日に改称した市が該当します。八女市、京田辺市などです。「忍市」の件もこのケースではないかとの議論です。

(2) 「改称→即日単独市制施行」
こちらも、Issieさんの[118]にリストアップされている市で、大和郡山市、鹿嶋市などです。八女市と鹿嶋市では編入、改称、市制の順序が違うんですね。すなわち、「八女市:編入→市制→改称」「鹿嶋市:編入→改称→市制」。

さてそこで、「忍市」の件です。アーカイブ「市制施行日に名前を変えた市とは?」ですでに議論されていることの繰り返しになりますが、「忍町→忍市→行田市」については、Issieさんが[45560] で詳しく書かれているように、行田市の例規集に明確に「忍市」の存在が明記されています。

Issieさんの[118]にある土佐市(高岡町)にも高岡市の可能性があるのですが、土佐市のHPに公開されている例規集には、昭和三十三年四月一日付けの「総理府告示第四百七十一号」が引用されており、「地方自治法第八条第三項の規定により高知県高岡郡高岡町を土佐市とする旨高知県知事から届出があった」としか記載がありません。「高岡市」を経由したのかしていないのかは不明です。高知県告示を当たるしかないでしょう。

ということで、「忍市」については以下の雑学に追加しました。

★ 南大阪市ってどこにあるの?(短命の市)
★ 東京市ってあったの?(消滅した市)
★ 平市ってどこにあるの?(短い市町村名・長い市町村名)

#もう少しうまくまとめたかったのですが....

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