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編入?新設?市町村合併の種類などについて

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記事数=21件/更新日:2005年11月10日/編集者:YSK

市町村合併とは、2つ以上の市町村が1つの新しい市町村になることなのですが、実はいろいろな種類があるようなのです。その説明や具体例などについてのメッセージ集です。市制施行などの手続きについても、併せて掲載しています。

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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[93]2000年12月30日
Issie
[97]2001年1月8日
Issie
[98]2001年1月8日
Issie
[99]2001年1月8日
Issie
[118]2001年1月19日
Issie
[123]2001年1月21日
Issie
[124]2001年1月21日
Issie
[127]2001年1月22日
Issie
[177]2001年2月26日
M.K.
[178]2001年2月26日
M.K.
[183]2001年2月26日
M.K.
[184]2001年2月27日
まがみ
[7397]2003年1月6日
BANDALGOM
[7723]2003年1月15日
BANDALGOM
[7769]2003年1月16日
BANDALGOM
[7773]2003年1月16日
なお
[7815]2003年1月17日
BANDALGOM
[7853]2003年1月18日
BANDALGOM
[45541]2005年10月9日
紅葉橋律乃介
[45560]2005年10月10日
Issie
[46494]2005年11月6日
Hiro_as_Filler

[93] 2000年 12月 30日(土)02:15:48Issie さん
「篠山市」の場合
もう1つ。

具体例として,「篠山市」の場合はこういう手続がふまれました。

平成11年(1999年)1月13日付け 自治省告示第7号
 兵庫県多紀郡篠山町ほか3町を廃して「篠山町」を設置
 この処分は同年4月1日から有効

平成11年(1999年)3月23日付け 自治省告示第68号
 兵庫県多紀郡篠山町ほか3町を廃して「篠山市」を設置
 この処分は同年4月1日から有効
(「告示」のとおりの表現ではありません)

というわけで,篠山市の場合は4町合併による“新たな篠山町”の設置についての告示がまず出された後,町ではなく「篠山市」を設置することが改めて告示されて,前の告示第7号は事実上チャラになっています。

こういうこともある,というわけ。
[97] 2001年 1月 8日(月)20:31:05Issie さん
即日改称の市
年が明けてやっと図書館の営業も始まったので,懸案の事項を調べてきました。ただし,図書館(麻布の都立図書館)にある資料の関係で,とりあえず1971年以降の分について。

1972. 4. 1:福岡県筑紫郡大野町 → 大野市 → 大野城市
1972. 4. 9:埼玉県入間郡福岡町 → 上福岡町 → 上福岡市
1972. 5. 5:東京都西多摩郡秋多町 → 秋多市 → 秋川市
1972.10. 1:京都府乙訓郡長岡町 → 長岡市 → 長岡京市
1987.10. 1:大阪府南河内郡狭山町 → 狭山市 → 大阪狭山市
1995. 9. 1:茨城県鹿島郡鹿島町 → 鹿嶋町 → 鹿嶋市
1996. 9. 1:北海道札幌郡広島町 → 広島市 → 北広島市
1997. 4. 1:京都府綴喜郡田辺町 → 田辺市 → 京田辺市

「鹿嶋市」の場合,次の手順で発足に至りました。
・茨城県鹿島郡大野村を廃して,その区域を同郡鹿島町に編入(1995年8月8日付自治省告示第143号)
・茨城県鹿島郡鹿島町を「鹿嶋町」と改称(同日付自治省告示第144号)
・茨城県鹿島郡鹿嶋町を「鹿嶋市」とする(同日付自治省告示第145号)
 ※いずれの処分も1995年9月1日より有効

一方,「北広島市」の場合は,
・北海道札幌郡広島町を「広島市」とする(1996年8月8日付自治省告示第171号)
・北海道広島市を「北広島市」と改称(同日付自治省告示第172号)

というわけで,
「上福岡市」と「鹿嶋市」の場合は,市になる前に改称
「大野城市←大野市」「秋川市←秋多市」「長岡京市←長岡市」「大阪狭山市←狭山市」「北広島市←広島市」「京田辺市←田辺市」の場合は,市になってから改称,という手順になるわけですね。
[98] 2001年 1月 8日(月)20:53:20Issie さん
即日改称の市(2)
自治省告示を検索していて気づいたのですが,市制施行と同時に改称して新しい市が成立する場合には,必ず2段階の処分が行われるのですね。つまり,「市制施行」の手続と「自治体名変更の手続」と。この2つが同時に行われることはありません。
地方自治法によれば,この2つは手続が違いがあるからです。
「村」を「町」にする(町制施行),「町」を「市」にする(市制施行)ためには当該市町村および都道府県の議会の承認を得た後,都道府県知事から自治大臣にその旨の「届出」がなされ,それを自治大臣が告示することで手続が完了します。自治大臣(自治省)がそれを拒否することはなくても,最終的な権限は国の側にあるのですね。
で,自治体名の変更については,当該市町村および都道府県が条例でそれを定め,都道府県知事が自治大臣に「報告」し,それを自治大臣が告示することで完了します。権限をもっているのは国ではなくて都道府県の方。
だから,ある自治体が単独で「町」または「市」になる場合,自治省が管轄するのは“語尾の付け替え”の部分だけで“名前”の方には手を出せない。改称する場合には,その前か後に都道府県の方で名称を変更する条例を作る必要がある,という仕組みになっているようです。
それに対して,たとえば茨城県の谷田部町以下の4町村合併で「つくば市」が発足した場合のように,複数の自治体の合併によって新しい自治体を設置する場合には「改称」の手続は不要です。このような「市町村の廃置分合」の手続は市制の場合と同じです。
[99] 2001年 1月 8日(月)21:07:15Issie さん
即日改称の市(3)
さてそうすると,たとえば茨城県の磯原町以下6町村の合併で新設された「茨城市」改め「北茨城市」と,「大野城市」以下のように単独の「町」が「市」になり同日に名称が変更された場合とは,若干性格が違うような気もします。
ま,結果は同じなんですけどね。

ところでこの即日改称の市,「市」になった瞬間に名前が変わってしまうのだから,実際にはその名前で存在した瞬間はないわけですよね。ということは,「1日だけ存在した」というよりは「1日も存在しなかった」と解釈した方がいいようにも思います。
何か,“数え年”と“満年齢”の違いにも似ているような気もしますが。
[118] 2001年 1月 19日(金)20:49:57Issie さん
即日改称の市:完結編
やっと平日の午後に職場を抜け出すことができたので,残りの懸案事項を調べてきました。やっぱ,普通のお役所ではないのだから休日も営業してほしいものです >国会図書館。

「市」になるにあたって,直前の「町」から“即日改称”されたものについて,以前の報告分も含めて,3つのタイプに分類しました。

(1) 市設置後に即日改称
1954. 4. 1:福岡県八女郡福島町 → 福島市 → 八女市
1956. 3.31:茨城県多賀郡磯原町ほか5町村 → 茨城市 → 北茨城市
1959. 1.15:大阪府南河内郡南大阪町 → 南大阪市 → 羽曳野市
1966.11. 1:大阪府三島郡三島町 → 三島市 → 摂津市
1966.11. 1:大阪府南河内郡美陵(みささぎ)町 → 美陵市 → 藤井寺市
1970.10. 1:東京都北多摩郡大和町 → 大和市 → 東大和市
1970.10. 1:東京都北多摩郡久留米町 → 久留米市 → 東久留米市
1970.11. 3:東京都北多摩郡村山町 → 村山市 → 武蔵村山市
1972. 4. 1:福岡県筑紫郡大野町 → 大野市 → 大野城市
1972. 5. 5:東京都西多摩郡秋多町 → 秋多市 → 秋川市(現あきる野市)
1972.10. 1:京都府乙訓郡長岡町 → 長岡市 → 長岡京市
1987.10. 1:大阪府南河内郡狭山町 → 狭山市 → 大阪狭山市
1996. 9. 1:北海道札幌郡広島町 → 広島市 → 北広島市
1997. 4. 1:京都府綴喜郡田辺町 → 田辺市 → 京田辺市

(2)改称当日に市に昇格
1954. 1. 1:奈良県生駒郡郡山町 → 大和郡山町 → 大和郡山市
1954. 3.31:福島県石城(いわき)郡湯本町 → 常磐町 → 常磐市(現いわき市)
1958. 9. 1:青森県上北郡大三沢町 → 三沢町 → 三沢市
1958.11. 3:静岡県磐田郡二俣町 → 天竜町 → 天竜市
1966.11. 1:埼玉県入間郡武蔵町 → 入間町 → 入間市
1970.10.26:埼玉県北足立郡足立町 → 志木町 → 志木市
1970.10.31:埼玉県北足立郡大和町 → 和光町 → 和光市
1970.11. 1:山口県都濃郡南陽町 → 新南陽町 → 新南陽市
1970.12. 1:愛知県東春日井郡旭町 → 尾張旭町 → 尾張旭市
1972. 4. 9:埼玉県入間郡福岡町 → 上福岡町 → 上福岡市
1995. 9. 1:茨城県鹿島郡鹿島町 → 鹿嶋町 → 鹿嶋市

(3)市制施行と同時に改称(新名称で市に昇格)
1949. 5. 3:埼玉県北埼玉郡忍(おし)町 → 行田市
1959. 1. 1:高知県高岡郡高岡町 → 土佐市

つまり,(1) の各市が「一瞬で消滅した市」ということになります。

(3) のように,市への昇格と名称変更が同時に行われた(1つの告示の中で,旧町名から新市名で直接「市」とされた)例が2つあったのには「おや?」と思いました。

なお,上の中には市町村合併によって“全く新しい市”が設置された例は含みません。その点で,6町村の合併で全く新しい「茨城市」が設置されたにもかかわらず,それが即日「北茨城市」に改称された,というのはやはり例外です。
[123] 2001年 1月 21日(日)18:02:43Issie さん
合体改称市制
>グリグリさん
時間の制約もあるので(何しろお役所ですから一般利用は5時までです。職場から都心までは2時間近くかかるので時間があまりありません),調査に行く前に,以前に作成した「市一覧表」から「改称の行われた市」のリストを作って,それについてだけ確認する方法をとりました。常陸太田市の場合は「常陸太田町」からの市制としてあったので,絞込みには引っかからず,確認をしていないのです。
同じく,陸前高田市のように合併で新設された市についても今回は省略しました。この場合,“従前の自治体”が「廃止」されてその区域に改めて「新自治体」が設置された,と解釈すべきだと考えたからです。
ただし,「赤間関市→下関市」の改称についての確認をしている際に,偶然,広島県の「呉市」が「安芸郡呉町」からの市制施行で設置されたという内務省告示をみつけました。でも手許の資料では呉市は「和庄町」以下の合併による改称市制となっています。
戦前の「市制・町村制」下では「市」を設置する場合だけ内務省が告示するという制度だったようで,町村の廃置分合や市の改称(町村も)については内務省告示には掲載されていません。
多くの資料では呉市は和庄町以下の合併市制で発足したと記載されていますから,告示を信用するとすれば合併によって一旦「呉町」が設置された後,即日市制が施行されて「呉市」になったのかもしれません。
戦後の「地方自治法」の下では町村の廃置分合や自治体の解消についても告示される(総理庁→総理府→自治省)ことになっていますからこのあたりの確認はもう少しやりやすいとは思いますが,呉市のように合併の際に“新しい名称”で「町」が発足し,それが即日「市」に昇格した,という例があるかもしれません。
[124] 2001年 1月 21日(日)18:27:58Issie さん
Re:市制施行日
>この記述が本当に正しいのかどうか気になっています。つまり、市制施行日の
>定義は本当に明確なのかどうか?

あくまでも私の見解ですが,そのような定義はないのではないでしょうか。
そもそも「その市がいつ発足したか」などということは,行政上何の意味もありませんから,制度としての定義は不要だと思います。

長野市の場合,篠ノ井市や松代町その他の町村との合併は「編入」ではなく,(旧)長野市も一旦廃止した上で改めて「長野市」という自治体が設置されるという手続で行われました(「大長野市」という表現もあったようです)。でも,市制施行日を含めて実際は(旧)長野市のものを引き継いでいます。
現在の「富士市」は,吉原市と(旧)富士市の合併で成立したものですが,市町村コードの配列(市制施行順に並んでいる)では(旧)富士市ではなく,吉原市の位置に現在の富士市が置かれています。
一方で,岩手県の釜石市や一関市の場合,「(大)長野市」の場合と同じ手続で周辺町村の合併が行われたことがあるのですが,こちらは市町村コードの配列では(旧)釜石市や(旧)一関市が削除されて改めて配列の末尾に(新)釜石市や(新)一関市が置かれています。ここでは,新旧の自治体は同一名であっても「別の自治体」であるという意識があるように思います。
ただし,「市制施行日」についてどう扱われているかは確認していません。

なお,「市制」の施行によって最初の「市」が設置されてから100年たった1989年に当該各市で「市制施行百周年」の記念行事が行われましたが,これについて,同じ「市」であっても「大日本帝国憲法・市制」下と「日本国憲法・地方自治法」下とでは存在の根拠が違うのだから“連続した百年”と考えるのは適当ではない,という批判がありました。
この見解に,私は半分賛成します(もう半分は,「百周年」と考えてもいいではないか,とやはり思っています)。
[127] 2001年 1月 22日(月)09:33:12Issie さん
市どうしの合併
>グリグリさん
市制施行日の定義については,下に書いたとおりあくまでも私の推測なので,もしかしたらきちんとした定義があるのかもしれません。
(大)長野市や東大阪市,富士市,上越市など市どうしの大型合併が1960年代後半周辺に集中するのは,それを促進する法律(名前は失念)が制定・施行されたからです。この場合,市どうしの関係は「対等合併」というのが建前です。
であるのに,長野市のように事実上(旧)長野市への「吸収合併」として扱われるのか,それとも東大阪市や上越市のように「リセット」として扱われるかは,結局関係する市どうしの力関係によるものなのもしれません。
長野市と篠ノ井市では圧倒的に長野市の方が有力ですが,布施市の場合はほかの河内市や枚岡市とさほど違うわけではない。高田市と直江津市とでは高田の方が有力だけど,直江津にもそれなりの自己主張があって,つまりは高田市への吸収合併ではなく,直江津市との対等合併,つまりどちらも廃止されて「上越市」という全く新しい市の発足となった。
まして,北九州市のように関係5市のそれぞれが強烈な個性を持つ場合は,小倉市への吸収合併ではなく完全な対等合併として扱うしかないでしょうね。

今回の西東京市の場合は,両方の市長が失職して,ともに新市長選に立候補という,ものすごくわかりやすい「対等合併」の例ですが,今予定されている「潮来市(仮称)」の場合は,牛堀町が潮来町に吸収合併(編入)された上での市制施行になります。
[177] 2001年 2月 26日(月)12:33:33M.K. さん
はっ、と思い当たったこと(1)
先週、通勤電車の中「はっ、と思い当たったこと」で、思わずグリグリさんにメール差し上げてしまったのでした。まいど煩わせまして、申し訳ありません。(^^;)
それに、練れていない文章でしたから、さぞ分かりにくかったと思います。反省して、「落書き帳」では書き直してみます。少しはマシになるといいのですが。

メールの件は、また蒸し返すようですが、市の雑学「東京市ってあったの?(消滅した市)」のページにある、下の記述のことだったのです。
------------------------------------------
「若松市→会津若松市」「宇治山田市→伊勢市」が編入と合併であるにも関わらず、合併・編入による消滅のグループではなく改称による消滅のグループに入っていますが、これは、合併・編入後の中心都市が市名を改称したためです。「倉敷市」が「児島市・玉島市」と合併し「倉敷市」となったケースと同じで、同時に市名を改称したにすぎないからです。……
------------------------------------------
このページでグリグリさんは、「合併・編入による消滅」と「改称による消滅」とに、きちんと分類なさっています。そして、「合併」を「新設合併」の意味で、「編入」を「編入合併」の意味で使い分けておられるのだと思います。(ちなみに、略して「合併特例法」と呼ばれる法律では、新設のケースも編入のケースもあわせて広い意味の「合併」に当てはまります)
さらに、俗に「対等合併」というのは「新設合併」のこと、「吸収合併」というと「編入合併」のことを指します。

「新設合併」のケースは例えば、総務省告示っぽく書いてみますと(正確ではありません)…
「田無市と保谷市を廃して、その区域をもって西東京市を置く」
ということになり、田無市と保谷市は名前もろとも法人格も消滅し、新しい法人(地方自治体も民間の会社と同じように「法人」です)、人間にたとえればまったく別人の西東京市がその地に発足したわけです。
ところで鹿児島市、長野市なども新設合併を経験していますが、この場合は…
「鹿児島市と谷山市を廃して、その区域をもって鹿児島市を置く」
ということになり、旧・鹿児島市の名前と法人格もいったん消滅してしまうのですね。生まれ変わった鹿児島市は以前と同じ名称が付けられたものであっても、法律上は今や違う「法人」、無理して人間にたとえれば(^^;)別人が二代目を襲名したようなものなのです。
(といっても、人間と自治体では違いますから、鹿児島市の住民にとっては、以前と法人格が変わったといっても実感がともなわないでしょうね。そのあたりが、市の誕生日すなわち「市制施行日」の捉え方に主観が入ってくるゆえんかな、と思うのです)

「編入合併」のケースを例えれば、
「亀田市を廃して、その区域を函館市に編入する」
という記述になるのでしょうか。編入された側の亀田市は、もちろん名前もろとも法人格も消滅しますが、編入した側の函館市は以前と変わらぬ法人、人間ならば(見た目ちょっと太りはしましたが)同一人物のままの函館市ということになります。
[178] 2001年 2月 26日(月)12:37:47M.K. さん
はっ、と思い当たったこと(2)
いっぽう、自治体の「名称変更」とは、これも人間にたとえれば同一人物が改名するのと同じことです。新設合併も吸収合併もともなわずに「挙母市」が「豊田市」に名称変更した例などは、すっきりしていますね。
ただ、仮に前の「編入」の例で、函館市が亀田市を編入した日に、同時に心機一転「渡島市」に名称変更したとしたらどうでしょう。これは「編入」という手続きと「名称変更」という手続きを完全に分けて考えなければいけない気がします。「亀田市」は編入されたことによる消滅。「函館市」のほうは、たまたま亀田市を編入した日と重なりましたが、手続き上は名称変更ですね。(外見はちょっと太りましたが、同一人物のままなのですから)

ここにいたって、新設合併の場合は旧自治体すべてが消滅し、その地に新たに設置された「生まれたばかりで名のない赤ん坊」のような自治体に初めて命名することになるのですから、そもそも新設合併に「名称変更」という語句を使うのは、(法律を厳密に解釈した場合には)おかしいのではないかと思い始めたのです。

そこで、各種地名辞典などで記述が食い違う場合には個人的に拠り所としている『全国市町村要覧』を当たってみました。会津若松市と伊勢市の「合併、境界変更等の状況」という欄から、関係個所だけ抜き書きしてみます。
【会津若松市】
明32.4.1 市制施行
昭30.1.1 名称変更 若松市
昭30.1.1 編入 湊村 一箕村 高野村 神指村 門田村 大戸村 東山村
【伊勢市】
明39.9.1 市制施行
昭30.1.1 編入 豊浜村 北浜村 城田村
昭30.1.1 編入 四郷村
昭30.1.1 名称変更 宇治山田市
同要覧では新設合併を「合体」、編入合併を「編入」、他の自治体の一部だけを吸収した場合を「境界変更」と、語句の面でかなり正確に使い分けています。すると、会津若松市と伊勢市、二つのケースとも新設合併ではなく編入合併であり、そうだとすれば上記の架空の(^^;)「函館市」→「渡島市」のケースと同じではないかと思ったのです。つまり、同一人物が名前だけ変えたのと同じ、まさしく「名称変更」です。

以下、まとめなのですが。
1.新設合併の場合に「名称変更」という用語を使うのはそもそもおかしい。(とはいっても、使っている文献もあるのですよね…(^^;)) ですから、「倉敷市」の場合を引き合いに出されている部分だけは、ちょっと違うのではないかと思います。
2.会津若松市と伊勢市のケースは、同じ日の「編入」と「名称変更」を完全に分けて考えるべきではないでしょうか。
そして、いずれにしても両方とも他の自治体を「編入した」側のケースですから…最終結論は、
3.「合併・編入による消滅」の「編入」を、「編入された」場合と定義すれば万事解決するのではないでしょうか。

うーん、実は、自信のない個所もたくさんありまして。どなたか救いの手を差し伸べていただけますと幸いです。
そして、一度反省したのに、また長くてすみません。
[183] 2001年 2月 26日(月)23:46:34M.K. さん
これでもうやめます
夕食後に、もういちど考えてみました。自分はいったい、どういうことが言いたかったのか。(^^;)

グリグリさんは、市の雑学「東京市ってあったの?(消滅した市)」のページの表で、宇治山田の欄に「伊勢市(周辺5村と合併)」と記載なさっています。ところが私、以前から、1955.1.1の伊勢市の地域で行なわれた合併は、新設合併ではなく編入合併だと認識していたのです。それで「あれっ?」と思ったのがことの発端でした。
たぶん、グリグリさんが利用なさった文献では、このときの合併を新設合併と受け取れるような記述がしてあるのだと想像いたします。本当のところは、旧自治省の告示か三重県議会の議事録で確認するのがいちばんですが、私の場合、そうやって確かめる以前に「これは編入だ」という確信めいた予感が先に立ちまして。(^^;)

もちろんグリグリさんは、新設合併と編入合併の違いをご承知なのですけれど、伊勢市のケースを新設合併と思われたために、あえて倉敷市のケースを引き合いに出してフォローする必要が生じ、あの文を書かれたのだと想像いたします。

でも、伊勢市のケースも会津若松市と同じく編入合併だとしたら、どうでしょう。周辺の村を編入しても、市域が広くなっただけで、編入の前と後でも変わらぬ同じ市です。「編入による(市名の)消滅」と言った場合、ふつうは編入「された」ことによる消滅を指しますので、それさえ明確にしておけば済むのではないでしょうか。編入「した」側の市が名称を変えた場合は、それこそ「同時に市名を改称したにすぎないからです。」という一文だけで一件落着すると思ったのです。

また、そうなるとかえって、『「倉敷市」が「児島市・玉島市」と合併し「倉敷市」となったケースと同じ』ではなくなってしまうのです。倉敷市の合併は間違いなく新設合併でしたから、(旧)倉敷市も児島市も玉島市もいったん廃して、「倉敷市」という名の市を新設する手続きを踏んだものです。新設した市にかつての市と同じ名前を付けたか、まったく新しい名前を付けたかという違いだけで、手続き上はむしろ「倉敷市」「あきる野市」「沖縄市」のケースが3つとも同じということになりますから。

と、以上のことが言いたかったようなのです。
もうこのへんで、終わりにいたします。すみませんでした。
おっと、締めくくってしまう前に、伊勢市がほんとうに新設合併だったのかどうか、ちゃんと確認しておきますね。肝心なことでした。(^^;)
[184] 2001年 2月 27日(火)12:09:17まがみ さん
消滅市名その他
お久しぶりです。まがみです。

さて、市町村の名称が変わったり、なくなったりするケースは、合体、編入、名称変更の3つがあります(この際、都制移行は無視します)。これらは、市の法人格が消滅するのかしないのか、という点に着目すればいいのではないでしょうか。

1.合体

田無市と保谷市が合体して西東京市となるように、今までの市はいったん消滅して、新しく市ができる場合。西東京市のようにこれまでとはまったく違う市名を採用すると、合体(=新設合併)ということがわかりやすいのですが、市名が変わらなかった倉敷市・児島市・玉島市が合体して倉敷市になったり、長野市(篠ノ井市)、福山市(松永市)、大分市(鶴崎市)、鹿児島市(谷山市)などもこのケースです。これは、合体前の市名と合体後の市名が同一ですが、市の法人格はまったく別です。合体は、市の法人格が消滅するので、市の法人格が消滅しない「編入」や、法人格が消滅せず名称だけが変わる「名称変更」と同時に起こることはありません。

2.編入

亀田市が函館市に取り込まれたように、ある市が他の市に組入れられる場合。「編入する」側の市(ここでは函館市)の法人格は消滅しません。一方、「編入される」側の市(ここでは亀田市)は法人格が消滅します。泉市、守山市(愛知)などもこのケースです。編入は、市の法人格は消滅しませんので、市の法人格が消滅する「合体」と同時に起こることはありません。逆に、市の法人格が消滅しない「名称変更」と同時に起こることはあります。

3.名称変更

単に名前を変える場合。挙母市(豊田市)、東葛市(柏市)、鳴南市(鳴門市)などがこれです。下で出てきた宇島市(豊前市)や、「1日だけ存在した市」の南大阪市(羽曳野市)、美陵市(藤井寺市)などもこれに当たります。単に市名を変えただけで市の法人格は消滅しません。よって、市の法人格が消滅する「合体」と同時に起こることはなく、市の法人格が消滅しない「編入」と同時に起こることはあります。

会津若松市のケースでは、編入と名称変更が同時に起こったわけで、市の法人格は消滅していないことになります。つまり若松市(福島)の名称が消えたのは「名称変更」によるもので、グリグリさんの記述は正しいです。伊勢市もこれと同じく、市の法人格は消滅せず、単に「名称変更」に過ぎません。ただ、伊勢市については編入ではなく合体としているものもあるみたいですね。「全国市町村要覧」では編入となっていましたが、どこかで合体となっているのを見たような…(記憶にないのですみません)。一方、倉敷市の場合は合体なので、いったん(旧)倉敷市の法人格は消滅しました。だから会津若松市のケースとは異なることになります。

市の法人格が消滅するかしないか、ということは、市長選挙が行われるかどうか、というように置き換えてみてもいいかもしれません。合体の場合は、たとえ合体前と合体後で市名が同一であっても、市長選挙があります。一方、編入や名称変更の場合は、市長選挙は行われないはずです。(このあたり、間違っていたらすみません)

たぶんこのような感じでいいと思うのですが…。長々と書いてしまい、失礼しました。
[7397] 2003年 1月 6日(月)09:56:30BANDALGOM[走り屋] さん
2つの市町村が新設合併する場合の名称
前述の通り、福井県芦原町・金津町の新市名公募では「芦原市」と書き、「市役所は金津に」と書きましたが、2つの市町村が合併する場合には、ネームバリューがある名称、あるいは郡名・地域名と一致したり、共有する山・川などの名称を持つ一方の市町村名を新市町村名にして、もう一方の市町村に新庁舎を置くという方向が望ましいと思います。

山梨県南部町・富沢町の合併では名称は南部町、新庁舎は富沢町になりましたし、愛媛県内子町・五十崎町の合併でも名称は内子町、新庁舎は五十崎町に決まっていますが、これらがモデルケースではないかと思います。
南部町の場合は奥州南部氏の発祥の地という由緒がありますし。

静岡県浜岡町・御前崎町も名称は御前崎、庁舎は浜岡という方向のようですが、御前崎はネームバリューがあり、一方の浜岡は「浜松と静岡の中間」なので1字ずつとったという話ですから、妥協の産物という批判もあるようですが、別にいいと思いますね。

現在合併協議が行われているところでは鳥取県東伯町・赤碕町や熊本県中央町・砥用町などがこのケースに該当すると思いますし、まだ協議会は設置されていませんが、利尻島の2町が合併する場合でも町名は「利尻富士町」、役場は利尻町でいいと思います。
[7723] 2003年 1月 15日(水)20:00:29BANDALGOM[合併研究家] さん
市の降格、奥能登の動き
[7717]kenさん

>> いっそのこと、Jリーグのように、降格という制度は必要かもしれません。
>これは合併促進に、即効性あるでしょうね。
>いや、でも降格になっても名前は守りたいというところもあるかも。日光市とか、鳥羽市とか、
>輪島市とか、富良野市とか。

人口5万人未満の市の降格という意見もよく聞きますが、旧産炭地の市や釜石市のような市を除けば、3万人-5万人の市の大半は、昭和の大合併期から昭和40年代末まで存在した特例で市になったところなんですね。

そして今また、合併特例による4万人引き下げで篠山市が、さらに3万人への引き下げで潮来市が誕生し、今年は5万人未満の市が5市(「山県市」・「東かがわ市」・「瑞穂市」・「田原・赤羽根新市」・「いなべ市」)誕生することになりますから(来年になればもっと)、降格の実施となれば3万人未満の市ということになるでしょう。

しかし「飛騨市」や「東白川郡新市」、「芦原・金津新市」、「壱岐市」、「養父郡新市」、「仁賀保・金浦・象潟新市」、「市川大門・六郷・増穂・鰍沢新市」、「東部・北御牧新市」、「高吾北新市」、「玖珠郡新市」は3万人ギリギリ。
「合併したら3万人で市にする」ということで市になったあと、3万人を割り込み、降格なんていったらシャレになりませんから、3万人未満の降格も非現実的ですね。

ひとつ気になるのは、「江津市・桜江町」と「豊後高田市・真玉町・香々地町」の合併ですね。
この両地域は合併しても3万人未満ですが、編入合併ならそのまま市として残れます。
しかし対等合併となると、江津市、豊後高田市もそれぞれ廃止されることになり、合併特例法の市昇格要件引き下げは3万人までですから、合併後に「町」ということになってしまいます。
そのあたりのことが当局者は分かっているのだろうか・・・。


>そういえば、輪島市でわき道にそれますが、奥能登地方は合併機運はないんですかね?
>話が拡散してすみません。

「奥能登地方」の範囲を輪島・珠洲両市、鳳至・珠洲両郡と考えれば、今のところ
今のところ、でるでるさんのページにも出ている「能都町・柳田村・内浦町合併協議会」だけですね。
合併後の人口約2万3千人となれば、現在の輪島・珠洲両市と似た規模になりますね。

あとは輪島市のラブコールを拒んで2町合併を優先させようとしている、という穴水・門前町、それに輪島・珠洲市がどうなるかです。
「西尾私案」に代表されるペナルティーの対象は1万人未満ですから、輪島・珠洲市は合併しなくても
いいことにはなりますが。
[7769] 2003年 1月 16日(木)20:39:47BANDALGOM[合併研究家] さん
新設合併では3万人に満たなければ降格では
[7724]ヒロオさん
>今回の合併特例法では、市の場合は合併しても降格はありません。現在、市であるところは
>自分たちの市をさらに体力向上させるために合併するわけです。合併しても3万人未満の市でも、
>市のままであり続けるわけです。

合併特例法で降格制度がないのは知っていますが、地方自治法の市制施行要件の一つは人口5万人、それが今、合併推進のために合併した場合に3万人に引き下げられているわけです。
編入合併の場合は、編入する市が存続しますから、降格制度がない以上、それが人口3万人に満たなくても市であり続けることができます。

しかし新設合併の場合はどうでしょう。
合併する市町村がすべて廃止され、その区域に新しい自治体を置くわけですから、改めて地方自治法の市制施行要件、現在は合併特例法によって3万人に引き下げられていますが、それが適用されることになるわけです。
先述した江津市と桜江町、豊後高田市と真玉・香々地町の合併の場合、合併して3万人に満たないですが、それぞれ江津市、豊後高田市への編入合併ならば降格はありません。
しかし、新設合併で新自治体を置くことになれば、現状では降格となってしまいます。

市を含む合併ならば、新設合併で人口3万人に満たなくても降格はない、という確約でもあれば、新設合併でもいいわけですが、それがないならば「合併して町に降格」をあえて選ぼうとしているといえます。

どうも最近の傾向を見ていますと、旧郡の中心市町が周辺の人口が少ない町村の編入を希望し、それに対して町村側は新設合併を希望することが多いのですが、「新設合併=対等合併」では必ずしもなく、実質吸収になることが多いのです。
新設合併ばかり推し進めれば、ひらがな市名がやみくもに増える結果にもつながりますが、吸収されてしかるべき町村は編入合併を受け入れる必要もあると思うところです。
[7773] 2003年 1月 16日(木)21:18:36【1】なお[KN] さん
合併による市制移行
[7771]合併研究家 さん

[6132]にある通り新設合併(対等合併)の場合でも途中で現行市町村廃止がありますがその中に市が入っていれば編入合併で市になれます。

市となるべき要件の特例
(第5条の2、第5条の3、附則第2条の2)
 平成16年3月31日までに、合併する場合に限り、市制施行のための要件を、人口3万以上とするとともに、連たん要件等の人口以外の要件を不要とする。
 平成16年4月1日から平成17年3月31日までに、合併する場合に限り、市制施行のための人口に関する要件は、4万以上とする(連たん要件等の人口以外の要件は必要)。
 なお、市の全域を含む区域をもって平成17年3月31日までに行われる新設合併にあっては、市制施行のための要件をいずれか備えていない場合でも備えているものとみなす。
http://www.soumu.go.jp/gapei/ のページ内にあります。
それも知っていれば行ってください。
[7815] 2003年 1月 17日(金)13:08:02BANDALGOM[合併研究家] さん
市の権限・合併方式・市より人口の多い町との合併
[7795]kenさん
>町村にはなくて、市しか持っていない権限っていうのは、ないんですよ。
[7806]fさん
>いろいろとあるんだけどなあ。たとえば
http://www.town.yuya.yamaguchi.jp/gyomu/kikaku/gkikaku6.html
>を見てもらえればわかるのですが。自治体としての規模に応じて
>事務処理権限が異なる、ということですかね。

「ないんですよ」とはっきり言い切られると、長年地方自治制度を研究してきた者としては、唖然とさせられるものがあります。
fさんが貼り付けられているHPの通りなのですが、このようなHP・文献をよくお調べになった上で「ないんですよ」という結論になったのでしょうか。

市は福祉事務所の設置が義務づけられていますが、町村は都道府県がそれを肩代わりする。
これによって福祉施策でも、都道府県の場合は画一的ですが、市は独自の施策がとれます。
「教育委員会の史跡名勝天然記念物の現状変更等の許可」とか、「商店街振興組合及び商店街振興組合連合会の設立認可、定款の変更の認可等」が市にはできて町村にはできないというのも大きいですね。
まあ、政令指定都市や中核市と一般市の違いに比べたら微々たるものですが、「町村にはなくて市しか持っていない権限」はあります。


[7796]uttさん
>例えば、山口県の美祢市は隣の山陽町より小さいですよね?
>このような市と町でも、吸収合併ってありうるのでしょうか??
>吸収される方が大きい場合も吸収合併としてみとめられるのでしょうか??

この場合は吸収合併はありえませんね。
新設合併にしてしかるべきなのは、
1.さいたま市のように、同格の市町村2つ以上が合併する場合。
諏訪地域は岡谷・諏訪・茅野市が、宇摩地域は伊予三島・川之江市がほぼ同格ですから、
これに相当します。
2.静岡市と清水市のように、合併対象の人口規模が最大市町村の半分程度以上の市町村と
合併する場合。
3.篠山市のように、人口規模が最大市町村の半分程度以上の市町村を1つ以上含んだ合併の場合
(旧篠山町2万2千人、旧丹南町1万5千人)
だと思います。
人口6万人の市、3万5千人の町、1万人の町の合併の場合は、新設合併にしてしかるべきです。
問題は人口6万人の市と、1万人の町、5千人の村が合併する場合です。
この場合は編入合併にしてしかるべきところですが、往々にして町村側が「新設合併」を要求するのです。
新設合併が決まっている長野県東部町・北御牧村の場合、2万5千人の町と5千人の村の合併ですし、同じく山梨県河口湖町・勝山村・足和田村・上九一色村(南部)の場合は2万人弱の町と2千人前後の村の合併ですから、このような場合は編入でもおかしくないところです。

島原市周辺の合併協議が方式をめぐって難航していますが、ここの場合は島原市の半分以上の町は一つもありませんから、編入してしかるべきなのです。
一方、取手市と藤代町の合併協議も方式をめぐって難航していますが、8万人と3万5千人、ここは新設にするか編入にするかのボーダーラインってところですね。
藤代町が4万人以上なら新設でしかるべきですし、3万人未満なら編入でしかるべきところですが。


[7808]HMさん
>県の決めた枠組みでは市より人口の多い町とその市との
>合併枠なので少し戸惑っています。
[7811]白桃さん
>日出町は杵築市より人口が多い

私が思い付いたのは笠間市と友部町ですが、杵築市と日出町もそうでしたね。
穂高町も大町市より多いですがここでは合併は検討されていませんし。
[7853] 2003年 1月 18日(土)08:46:29BANDALGOM[合併研究家] さん
市と町、新設合併と編入合併
[7825]雑魚さん

>中心地区付近において、50号線に比肩するここ一番の幹線道路が、なかなか確立されなかった
>友部の地勢を考えると一概に優劣を論じたものでもない、という気はします。

市町村の力関係を総人口だけでみることが多いですが、中心市街地の人口を見ると、やはり笠間の方が大きいのでしょうね。
笠間と友部が協力し合って、本当の「対等合併」で水戸市に負けない地域の核になりうるような都市づくりを進めていけばいいのですが、「友部に主導権を奪われたくない」と笠間が逃げた、という話には、やはり保守的な目先だけの都市運営というものを感じます。


[7828]しらうおさん
[7831]ヒロオさん

>「地域経済総覧」なんかでも、「市」と「町村」の扱いが全然違いますよね。
>歌志内市が出てるのに...って思ってる人は多いはず。

そうですね。
「村」のような「市」がある一方で、「市」のような「町」がある。
なのに「市」のような「町」が、「村」のような「市」より下に見られてしまう現実があるわけです。
「市」のような「町」には、「市」に準じた扱いをする必要があると思います。

>市昇格の要件として、市街地の連たん数も基準になるため必然的に市街地が形成され、
>サービス施設も集積するといったことが挙げられます

まずは2005年の合併特例法期限までの様子を見ないといけないですが、その後は市制施行の人口要件を、合併するとしないとに関わらず一律4万人にしていいでしょう。
4万人以上の町村は、市並みの様相を呈しているところ、市と遜色ないところがほとんどでしょうから。
また、2万人以上で中心市街地の要件や、公共施設の要件を満たしたところは、「特例町村」のような形で、市に準じた扱いをしていけばいいと思うのです。


[7848]uttさん

>なお、ちょっと古い本(1995年発行)なので、豊見城村は今はみなさんご存知のとおり
>市制要件も緩和され、市制を敷いていますが。

市制要件の緩和は合併した場合だけです。
豊見城は2000年の国勢調査で人口が5万人を超え、本来の地方自治法の規定に沿って単独で市制施行しています。

>編入合併の条件は、何か法律でもあるのでしょうか??
>それで、たとえば以前この掲示板で議論になった彦根市、犬上郡の場合は、
>編入合併にならない(なれない)のですか??

いえ、特に法律で決まっているわけではなく、新設にするか編入にするかは自由です。
ただ、最大市町の人口と合併対象市町村の人口の差が非常に大きく、どう見ても編入でおかしくないところで、郡部が新設合併を要求するケースが多く、島原市周辺のようにそれが原因で難航していることを問題視しているのです。
彦根市と犬上郡の場合も、人口差から考えたら編入でしかるべきところですが、郡部の要求で新設合併ということになったのでしょう。

もちろん、最大市町より人口が少なくても、「市」並みの「町」ということもあるのですが、その場合には最大市町の半分程度以上の人口規模にはなると思います。
鹿児島県加治木町・隼人町は「市」並みの「町」と言えるところですが、加治木町で国分市の半分程度、隼人町は国分市の半分を大きく上回りますし。

このような場合には、新設合併にしてしかるべきなのです。
昨年、国分市と隼人・霧島・福山町で住民発議が行われ、隼人町と霧島町の合併協設置議案否決という結果に終わりましたが、ここの場合には[7815]で私が書いた、「人口規模が最大市町村の半分程度以上の市町村を1つ以上含んだ合併の場合」に相当します。
[45541] 2005年 10月 9日(日)21:21:19紅葉橋律乃介 さん
公報と官報
[45537] 2005年10月 9日(日)12:13:44 グリグリオーナー
新設合併と編入合併の行政手続きが明確に定義されたのはいつか

 検索してみると、[27855]でIssieさんが次のように書かれています。

旧憲法および市制・町村制下では,「市」の異動(新設・合体)については内務省から告示がなされ,それが官報で公開されるという手順がとられていますが,町村の廃置分合については内務省が告示する事項ではなかったようで,官報や法令全書には掲載がないようです。町村の既存の「市」への編入も,告示はされていません。
既存の「市」の,他の既存の「市」への“編入”については,実例がないので不明です。
また,赤間関市 →下関市 の“改称”に関わる告示を見つけ出すこともできませんでした。

 旧憲法時代には町村の異動は告示がなく、すなわち市への編入も告示事項ではなかった模様。
 逆に、告示がある場合は編入ではなく、いったん既存の市を廃して改めて設置、つまり新設合併と言うことができます。


忍市の件などを考えると、国と県の行政手続きの定義なども整理する必要があるのか

 町村の告示がなかった時代の異動は、都道府県の公報で見られると思われます。また、現憲法下になっても、昭和20年代はまだ省略して掲載されていたようで、「忍町→行田市」のように、別々の手続きがまとめて載せられていますね。
 とは言え、今の法律の下では確実に手続きが別のはずです。やはり公報で逐一調査するしかないのではないでしょうか?
[45560] 2005年 10月 10日(月)11:57:50Issie さん
Re:公報と官報
[45541] 紅葉橋律乃介 さん
旧憲法時代には町村の異動は告示がなく、すなわち市への編入も告示事項ではなかった模様。

[27855] は結構前かと思ったら,去年でしたね。
旧憲法体制下でありますが,直接の根拠は法律としての「市制」に求めた方がいいように思います。そして,現行憲法の施行された1947年5月3日からは「地方自治法」。

(前にも書いた覚えがありますが,
「市制」という言葉には,漠然と“「市」という制度”を意味する場合と,狭い意味で1888年に公布,翌年に施行され,1911年に全面改正された“「市制」という名前の法律”を指す場合とがあります[「町村制」も同じ]。
だから厳密には“法律を「施行」する”という意味で「市制施行」と言った場合,施行すべき法律「市制」は60年近くも前に廃止されていますから,おかしな表現ということになります。けれども,実際には“「市」という制度”という意味で自治体自体も含めて広く使用されていますから,それはそれでいいのでしょう。
ただし,1947年5月2日までは「市制施行」とは,単に“「市」になる”という意味だけではなくて,“「市制」という法律がその地域に施行される”という意味であった,ということは留意しておいた方がいいように思います。もっとも,「どう違うの?」と聞かれても,その答えはよくわかりませんが。
一方で,「町制」「村制」「区制」などという法律はありませんから,こちらは単純に“「町」(村・区)という制度”という意味でもっぱら使われるのでしょう。)

話を戻して,
前発言の通り,町村が既存の市に“編入”される場合は内務省の告示事項ではなかったようですが,既存の市が他の市に“編入”される場合には,その「市」を“廃止”することになりますからそれについての告示が内務省から出されています。京都府伏見市がその実例です(以下の日付は施行日ではなく告示公布の日付)。

 ・京都府伏見市 →京都市へ編入:昭和6年内務省告示第56号(1931年3月23日)

「市制」下で消滅した他の3市のうち,

 ・京都府東舞鶴市 →舞鶴市と合体して「舞鶴市」を新設:昭和18年内務省告示第341号(1943年5月19日)
 ・兵庫県飾磨市 →姫路市ほかと合体して「姫路市」を新設:昭和21年内務省告示第21号(1946年2月27日)

この2つは,“合体”により“改めて新設”された「兵庫県尼崎市」(昭和11年内務省告示第117号:1936年3月21日),「大阪府岸和田市」(昭和17年内務省告示第157号:1942年3月20日)と同じ手続きです。
もう1つの「東京府東京市」の場合は,法律である「東京都制」(昭和18年法律第89号:1943年6月1日)によって廃止されていて,これは内務省の告示事項ではありませんでした。

[45537] グリグリ さん
忍市

最近は便利な世の中になって,多くの自治体が「例規集」をネット上で公開していますね。で,そのうちの多くがその冒頭に当該自治体の成り立ちについての根拠法令を収録しています。
ただ,どこにその“ルーツ”を求めるかは必ずしも統一されているわけではなくて,“国レベル”(内務省→総理庁→総理府→自治省→総務省)の告示をそれとしているものもあれば,(都道)府県告示を収録してるところもあります。何も収録せずに,いきなり「市役所の位置を定める条例」を冒頭に置く自治体も少なくないのですが。

行田市の場合は 埼玉県告示 に根拠を求めているようで,

----------------------------------------------------------------------------
○忍町を忍市とする告示
昭和24年3月29日
埼玉県告示第129号
地方自治法第8条の規定により、昭和24年5月3日から、北埼玉郡忍町を忍市とする。

○忍市を行田市とする名称変更を許可した告示
昭和24年3月29日
埼玉県告示第130号
地方自治法第3条により忍市を行田市とする。市の名称変更の条例を許可した。
----------------------------------------------------------------------------

…という告示を前提にした

----------------------------------------------------------------------------
○忍町を忍市とされた場合における新市の名称変更に関する条例
昭和24年3月3日
公布
忍市を行田市に変更する。
附 則
この条例は、忍町を忍市とされた日からこれを施行する。
-----------------------------------------------------------------------------

という忍町の条例で「行田市」が誕生したことを跡付けることができます。

国レベルでの告示は4月23日付の「総理庁告示第28号」ですが,ここでは「忍町」が直接「行田市」になるように記載されています。上の経緯を経た途中経過を省略しているのですね。
「行田市」の場合は 5月3日 の発足に先立って“告示”が行われているのですが,1948年から1951年の間に発足した「市」の多くは発足よりも告示の方が遅い“事後報告”となっています。
占領下,内務省が解体された下でのできごとですが,このあたりの手続きは“独立”後とは違っていたのかもしれませんね。

市の例規集からもう1つ,
ちょうど“旧憲法/市制”体制から“現行憲法/地方自治法”体制への切り替えの隙間にはまって国レベル(内務省)の告示では確認することのできない 鳴南市→鳴門市 の改称(1947年5月15日実施)について,鳴門市が公開している例規集に

----------------------------------------------------------------------
○市名変更条例
昭和二十二年五月十日
条例第三号
鳴南市を鳴門市と変更する。
附 則
本条例は、徳島県知事の許可を得て昭和二十二年五月十五日から施行する。
-----------------------------------------------------------------------

というのがあって,とりあえず「鳴南市条例」に根拠を求めることができそうです。

もう1つ,赤間関市→下関市 というのが確認できていないのですが,下関市の例規集にはその“ルーツ”が収録されていませんでした。
[46494] 2005年 11月 6日(日)07:29:07【1】Hiro_as_Filler[Hiro(&TOKO)] さん
Re[2]:編入と境界変更
おはようございます。

[46468] じゃごたろ さん
ところでこの変遷には、「編入」は触れられているのに、「境界変更」は触れられていません。具体的には、1958年7月1日に岡谷市の一部が下諏訪町へ「編入」されていることは示されているのですが、諏訪市のHPに記載されている「境界変更」は特に示されていません。この間、諏訪ICにあった茅野市の飛び地が無くなっていたりします。

「編入」と「境界変更」とは異なるものなのでしょうか?
「岡谷市の一部が下諏訪町へ編入」と「諏訪市内の茅野市の飛び地解消」の2ケースの違いは、前者は「岡谷市の一部→下諏訪町」という一方的な編入であり、後者は「茅野市の一部→諏訪市」「諏訪市の一部→茅野市」という双方の編入(交換)ということなのですが、どちらも告示上のタイトルは「市町の境界変更」「市の境界変更」というように、境界変更として扱われています。したがって、岡谷市のケースも、諏訪市HPで境界変更と書かれているものも、すべて告示上は境界変更となっています。
つまりのところは、
[46485] むじながいり さん
わかりません。同じ変更であっても資料によって編入になっていたり境界変更になっていたりすることがありますので。境界変更も編入されることには変わりないし…と思って特に区別はしていません。何か法的に違いがあったりするのでしょうかね?
というように資料によっての表記の揺れだと考えられます。
ちなみに、「廃置分合」と「境界変更」は、法人格の異動の有無ではっきり分けられます。

※参考
●総理府告示第二百三十五号
   市町の境界変更
 地方自治法第七条第一項の規定により長野県岡谷市の次の区域を諏訪郡下諏訪町に編入する旨、長野県知事から届出があつた。
 右の境界変更は、昭和三十三年七月一日からその効力を生ずるものとする。
 昭和三十三年七月一日
    内閣総理大臣 岸  信介
諏訪郡下諏訪町に編入する区域
 岡谷市大字長地字樋之口・・・(以下略)

●総理府告示第二百二十七号
   市町の境界変更
 地方自治法第七条第一項の規定により長野県諏訪市の次の区域を諏訪郡茅野町に編入する旨、長野県知事から届出があつた。
 右の境界変更は、昭和三十三年七月一日からその効力を生ずるものとする。
 昭和三十三年六月三十日 
    内閣総理大臣 岸  信介
諏訪郡茅野町に編入する区域
 諏訪市大字中洲字新井下・・・(以下略)

○ 自治省告示第百五十六号
   市の境界変更
 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第七条第一項の規定により、長野県諏訪市と茅野市との境界を次のとおり変更する旨、長野県知事から届出があつた。
 右の境界変更は、昭和五十二年九月一日からその効力を生ずるものとする。
 昭和五十二年八月二十三日
           自治大臣 小川 平二
諏訪市に編入する区域
 茅野市大字ちの字中島・・・(以下略)
茅野市に編入する区域
 諏訪市大字四賀字後山・・・(以下略)

○自治省告示第七十六号
   市の境界変更
 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第七条第一項の規定により、長野県諏訪市と茅野市との境界を次のとおり変更する旨、長野県知事から届出があった。
 右の境界変更は、平成四年五月一日からその効力を生ずるものとする。
 平成四年四月十八日
           自治大臣 塩川正十郎
諏訪市に編入する区域
 茅野市宮川・・・(以下略)
茅野市に編入する区域
 諏訪市大字中洲字新井下・・・(以下略)

【1】改行位置変更など

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