[75225] 桜通り十文字 さん
都心部において、郊外からのロングラン列車も含めほとんどが各駅停車になっているのには、地域エゴを別にしても理由があります。
東京と大阪には環状のJR線がありますね。山手線と大阪環状線です。さて、郊外から都心部に向かう鉄道路線(地下鉄等への乗り入れも含む)にはある特徴があります。
この「環状線」の外側では優等列車はある程度の規模の駅以外通過になるのですが、内側では原則として全てが各駅停車なのです。郊外からの路線が都心部まで貫通している京阪(京橋-淀屋橋)や近鉄(鶴橋-大阪難波)~阪神なんば線がわかりやすい例だと思います。東京に多い私鉄と地下鉄の相互乗り入れでも、郊外の速達列車は地下鉄区間では基本的に各駅停車になっています。(まぁ中央線快速という、ほぼ正反対の特徴を持つ例外もありますが)
それはなぜか?乗換の回数を減らす、あるいは乗換を便利にするためです。
JR東西線を例に考えますと、北新地駅に利用が集中している現実はありますが、一方で大阪市内の他の駅を見ると、京橋と大阪天満宮~海老江間の各駅で他路線への乗換が可能になっています。これらの駅に全列車が停車することによって、各駅のアクセス性を高めるとともに乗換ルートをいろいろ用意することで利用を分散させ、北新地駅(≒梅田)への集中を少しでも減らす事を意図しているのです。阪神なんば線も新設の全駅が地下鉄と接続しており、混雑する梅田や難波を乗換駅にしなくても市内各方面に行けることをアピールしています。(なかなか浸透はしていないようですが。)
「環状線」内には地下鉄の密なネットワークが存在しているので、乗客の流れを一駅に集中させるより、「交差」点ごとに振り分けた方が、トータルで利便性が上がると考えられているのです。
路線単体で考えても
・都心内のみの利用客も多いのに、駅によって乗れない列車があったり運行間隔がバラバラになる不便の方が大きい | |
・そもそも都心部区間は速度を出せないので、大した時間短縮にならない | |
・速度の異なる列車が存在すると、時間あたりの運行可能本数が減る | |
といったデメリットがありますから、沿線の反対など無くても、通過列車を設定することに既存線を改良してまで対応するインセンティブは、あまり強くなり得ないと思います。
JR東西線は最近できた新線ですが、40年も前に都市交通審議会で緊急に建設すべきと答申されたものの国鉄時代は放置され、後にJR西日本単独で建設するのは無理ということで三セク作って上下分離にして何とか開業にこぎ着けたわけで、言葉は悪いですが「金をケチった」作りなのはウラ話でも何でもなく、そういう経緯から誰でも想像できそうな話です。それでも尼崎駅の配線はがんばった方だと思いますが、北新地駅も(優等列車対応と言うより線内の拠点駅という意味で)2面4線にしておいてほしかったですね。
赤羽線
板橋駅・十条駅の反対運動については存じませんが、ラッシュ時の「詰まり」防止を考えるとすれば、むしろ乗降の多い赤羽駅に待避線を作って列車が交互発着できるようにした方がいいような気がします。
それから、湘南新宿ラインが駅もない田端の方を迂回しているのは、既存の貨物専用線を転用したからという理由です(この線の開業はJR化後ですから、金をケチって実現させたのです)。歴史的には、赤羽線は山手線と合わせて東北本線と東海道本線を短絡するために作られたのですから、湘南新宿ラインがこちらを通るべきだったのでしょうが、埼京線に取られてしまいました。
東京メトロ東西線
昔から快速運転する地下鉄として有名でしたが、国鉄(JR)中央線への乗り入れ部分は緩行線、つまり「各停専用線」につながっています。乗り入れ区間は地下鉄の延長だから各停で、速達列車は並行する快速線に乗り換えればいい、という考えがあったのかもしれません。千代田線と常磐線もそうなっていますが、これは今から考えるともったいないですね。
さて、快速運転している東陽町以東と東葉高速についてですが、
待避ができる駅は葛西・妙典・原木中山・八千代緑ヶ丘の4駅しかなく
この区間にそれだけ待避駅があれば十分だと思います。それどころか
ダイヤ改正で八千代緑ヶ丘の待避線も使わなくなっています。
ってことは、待避駅がなくても快速込みのダイヤが組めるってことですよね。