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記事タイトル
発言者
[66853]2008年9月22日
自治体の海上境界問題(1) 陸地の延長の「地先の海」 hmt
[66856]2008年9月23日
自治体の海上境界問題(2) 陸地の延長ではない「海洋」 hmt
[66863]2008年9月24日
自治体の海上境界問題(3) 海域の占有許可 hmt



[66853] 2008 年 9 月 22 日 (月) 23:12:26 hmt さん
 自治体の海上境界問題(1) 陸地の延長の「地先の海」
hmt 自治体の海上境界

[66802] [66803] 88 さん
“海上部で各地方公共団体同士は「接している」”というご意見[66057]に対して、[66732]で疑問を投げかけたところ、参考文献や国有財産法などを引いて詳細な解説をしていただき、ありがとうございます。
領海の外側である接続水域は対象外ということになりましたが、“内水及び領海は、各都道府県、各市町村の区域に含まれる”という結論は変らないご意見でした。

これまでの対話から、海上に地方自治体の区域はあるか?という問題について、私は「地先の海」と「海洋」とを区別してみたらと考えるようになりました。
ここで「海洋」とは、“海洋(「地先の海」を除く)”という意味で、便宜上括弧を付けて表示しました。
いわば「陸の視点」と「海の視点」により、取り扱いが区別されるという考えです。

実は[66057] 88さん の問題提起は、領海・接続水域といった「海の視点」からの制度を根拠とするものでした。
これに対する[66732]hmtも、同じく海の視点での疑問を呈したつもりでしたが、文中に地方自治法第5条という「陸の視点」からの発言が混ざっていました。
そこから88さん の得意分野に移ってしまい、[66802]で「陸の視点」の代表的な見解を示されたわけです。

地方自治法には、地方自治体の区域が海上に及ぶか否かについては明記されておりません。
しかし、「陸の視点」からして、地方自治体の区域が内水及び領海に及ぶ「場合がある」ことについては私も否定しません。
例えば[66732]で及した海水浴場。このような「陸地に接続した海面」は、地理的には 満潮時水涯線より先の「海」ですが、社会的には 「いわば陸地の付属物」です。

そのようなわけで、「逐条 地方自治法」の下記の記載は、特に違和感なく受け入れることができます。
市町村の地先の水域等は、やはりその区域に含まれるものとして取り扱うことが適当である。

落書き帳の過去記事で「地先」を検索すると、“住所未確定の場所を表す”とありました[19985]
多数の具体的な事例中には、「木更津市中島地先海ほたる」[46757]という、○○地先△△形式もありました。
香川県宇多津町にあるという「海底の私有地」という記事([19987]太白さん)も、興味深い事例でした。

「地先」という言葉は、このように土地の延長・付属物の性格をもち、土地の表示に「地先」という言葉を加えて、「その付近」であることを示しています。参考
地先漁=海岸から見える程度の沖での漁(大辞林)という用法もあります。

最初に示していただいた、地方公共団体成立の三要素のうち、場所的構成要素と人的構成要素とは、“その一定の区域内に住所を有する者”というように、相互に関連した存在です。
さて、「海」はそこに“住所を有する者”(定住者、住民)が現れる可能性のある地域でしょうか?

浅い海中には、厳島神社の例が示すように建築が可能です。このような海ならば、定住者が出る可能性があります。
例えば沖ノ鳥島環礁内には、人工地盤上に3階建ての建物を含む 気象観測基地 があります[26266]。但しこれは無人。
外国ならば、海上集落の例があります。大東亜戦争の激戦地ホーランディア、現在は ジャヤプラ(西イリアン) は 湾口の砂嘴の先端にあります。その他にも、よく似た水上集落がいくつかリンクされています。

埋立てによる土地造成(地方自治法第九条の四)が可能性な海面も、住民が現れる可能性があります。

このように、自治体を構成する人 の定住地ないしは定住的社会活動の場となり得る「地先の海」については、「地理的」には海であっても「社会的」には陸に準じた扱いをして、自治体の区域と認めることは妥当と思われます。

「逐条 地方自治法」に示された見解によると、
市町村の区域は、(中略)その地域に接続する領海及び上空、地下に及ぶと解されている。その限度は自治権の及び得る範囲である(行判昭12.5.20)。
とのことです。
限度として示されている“自治権の及び得る範囲”とは、海上の場合、例えば自治体構成住民による定住的活動の及ぶ範囲、平たく言えば“地先漁”という言葉に示された海岸から見える程度の沖、少し広く解釈しても 住所から日帰り仕事のできる「地先の海」 という程度の範囲の海と解することができるのではないでしょうか。

昨年制定された 海洋基本法 の第二十五条では、陸域の活動に起因する沿岸の海域の諸問題に注目し、沿岸域の総合的管理につき規定しています。[66716]で言及した閉鎖性海域は、そのような陸地の影響の大きい海の一例でしょう。
「地先の海」は、このような総合的管理の面からも、陸上の地方自治体との関係を明らかにしておく必要が生じてくることでしょう。

[66856] 2008 年 9 月 23 日 (火) 15:00:59【1】 hmt さん
 自治体の海上境界問題(2) 陸地の延長ではない「海洋」
hmt 自治体の海上境界

区域や境界を考える対象である地方公共団体にとり、住民(地方自治法第十条)は不可欠な構成要素です。
住民は市町村の区域内に住所を持ち、定住しています。地方自治体の住民は定住的活動をしており、他の地方自治体や「地先の海」で仕事をしても大部分は帰宅してきます。
「日本全国引き回し」とまで言われた出張や、時には終電乗り過ごしにより帰宅できないこともあるようですが…

なお、民法には“各人の生活の本拠をその者の住所とする”(22条)とあります。
船員のように船の上を事実上の生活の拠点としている人たちもいますが、普通は陸上を住所として登録しており、船舶は勤務場所として扱われているようです。
もっとも、最近のニュース によると、遠洋漁船は住所だから、納税義務のない「国内に住所を有しない者」との推定を受けられるはず という趣旨の訴えを起こした人たちもいます。

このように、住民が住所を置き定住的活動をするのは陸地であり、陸地こそは地方自治体の本来的な区域です。
「地先の海」[66853]は、海の中でも例外的に陸地に準じた取扱ができる区域ですが、それは海の ほんの一部です。

さて、「海洋」(括弧付きは前報同様に「地先の海」を除く意味です)は、地方自治体>住民>住所>陸地>その延長である「地先の海」から一線を画した存在です。
陸と海との断面を示した hypsographic curve で明らかなように、「地先の海」が含まれる水深約200m以下の海(大陸棚)は、固体地球の表面という観点からすれば、本質的には陸地の延長部です。過去の氷河時代には陸地であり、現在は温暖化で水没しているだけの土地とも言えます。

「内水及び領海」の範囲は、このような海底地形とは無関係に設定されているので、内水の範囲内でさえ、駿河湾や富山湾のような深い海があります。

このような本当の「海洋」では、埋立や海上プラットフォーム建設は技術的に不可能であり、陸上活動の延長的な性格は希薄になります。
陸地に引かれた地方自治体境界線を ここまで延長する理由はなさそうです。

「海洋」に関しては、本質的に市町村区域設定範囲ではないため「境界自体がない」のだと思われます。
たとえそれが「内水及び領海」であっても、潜在的境界の存在を前提とした「境界未定」ではありません。

昨年 海洋基本法 が制定され、祝日法改正前は海の日だった7月20日から施行されました。
海洋政策担当大臣の任命、総合海洋政策本部令の公布が行なわれ、2008/3/18には 海洋基本計画pdf が決定されています。

この法律に関係する海洋政策は多岐にわたり、その所管官庁も多数に及んでいます。水産・海底資源・海洋環境保全・海運・海上の安全・治安・防災・海洋調査や海洋科学技術・海洋産業・離島の保全等々。

前報で触れた沿岸域の総合的管理のように、「地先の海」に関係する施策もあるわけですが、従来はともすれば「陸の視点」に偏りがちだった世の中を、「海の視点」からも見直す契機になるものと思われます。

海洋基本法によると、海洋に関する施策の策定・実施は国の責務(8条)ですが、地方公共団体の責務(9条)も規定されています。
国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定・実施する
自治体境界のない 「海洋」と 地方公共団体の「地先の海」という区別 をわきまえれば、前者については 国の仕事だが、後者については 地方公共団体が分担するもの と理解することができます。

[66863] 2008 年 9 月 24 日 (水) 22:35:21 hmt さん
 自治体の海上境界問題(3) 海域の占有許可
hmt 自治体の海上境界

[66803]で示していただいた 国有財産法 を手がかりに、海上の自治体境界を考えてみます。
海域は、特に根拠を問うまでもなく国有であり[66057]、国有財産法第三条2項の行政財産として、その管理義務は 本来的には それを所管する各省各庁の長にあります(第五条)。

しかし、国が本来果たすべき国有財産管理の一部は、第一号法定受託事務(地方自治法第二条9項)として、都道府県又は市町村が行うことができます(第九条3項)。

その一例として示されたのが一般海域の占用許可です。[66803] 88さんが、とある資料で確認したように、下津井瀬戸大橋の香川県側一般海域占用許可申請(本州四国連絡橋公団)を受けてこれを許可したのは、国ではなく香川県でした。

これは手続的には香川県一般海域管理条例によるものとしても、香川県に管理権がある実体的根拠は、国有財産法施行令 第六条2項一号です。
都道府県が行うこととする事務は…次(イ〜カ)に掲げる国有財産の取得、維持、保存、運用及び処分。

申請書の海域占有目的に、坂出市櫃石地先海域の道路鉄道併用橋というように記載されていたと推測すると
国道30号に指定されている岡山市と高松市とを結ぶ道路のための橋梁ですから、申請海域は、前記政令「チ」の“一般国道の用に供する国有財産”に該当します。海域占有とは海底の土地に構造物を作ることだけでなく、橋桁部分などの空間占有も含んでいます。そして、占有する場所が「坂出市櫃石地先海域」だから、その“国有財産の運用”にあたる占有許可は香川県が行う事務となります。

要するに、先ず具体的な占有目的(橋梁架設)と場所とが示され、それに応じて海域の管理者がきまるという構図が見えます。
香川県が「坂出市櫃石地先海域」に、岡山県が「倉敷市下津井田之浦一丁目地先海域」について それぞれ占有許可を出した結果として、両県が隣接することになった。

これが「海上の隣接問題」に対する公式の答えではないでしょうか。

もっとも、本来は国が行なう事務を県が委託されただけなのに、「県の区域」になったと言えるのかという疑問は残ります。
[66803] 88さん の次の発言も、自治体の区域と管轄権との違いを指摘しています。
管轄権は自治体の区域とはまったく関係がありません。

たしかに、自治体の区域は県と市町村とで重複していますが、両者の管理権の重複は一般的にはないことからも、管轄権の所在と自治体区域とが「同一でない」ことは明らかです。
しかし、「まったく関係なし」ではなく、「自治体の管轄権の及ぶ区域は自治体区域内である」(逆は真ならず)ということは言えるのではないでしょうか。
つまり、県の区域だからといって知事の管轄になるとは限らないのですが、香川県の区域でない海域における国有財産管理事務を香川県が受託することはあり得ないと思われます

香川県と岡山県とが隣接した理由が、隣接海域にある国有財産占有許可を両県が出したからということになると、法定受託事務に無関係だった坂出市と倉敷市とは、どのような理由で隣接しているのか?
県が許可した海域が、それぞれの市の「地先」だったからでしょうか。
その結果、橋の固定資産税がそれぞれの市に入ることになりました。
湖の「地先水域」を分割して編入するのとは少し事情が異なりますが、「地先の海」も自治体の財源になります。

市町村が登場した機会に、[66732]で呈した疑問
市町村については、そもそもどのような行政事務に関して海上に管轄権があるのでしょうか?
の解決を求めて、国有財産法で市町村が受託することができるとされる事務は何か調べてみた結果、それは政令第六条7項に規定された文化財保護法関係の事務だけのようです。従って、前記坂出市と倉敷市のように県の隣接に付随する場合は別として、市町村独自の理由で国有財産管理区域が海上に及ぶ可能性はないと思われます。

香川県と岡山県との間には、瀬戸大橋より前から多くの航路が存在していました。港湾関係で前記政令に該当するものがあるとしても、2つの県の地先が隣接する状態に該当する箇所はありません。もちろん、広島県と香川県との関係[66732]についても同様。



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