またローカルバスの話です。こちらはコミュニティバスではなく路線バスですが、最近ではめずらしいローカルバス路線の新規開業がありました。
徳島市に隣接する佐那河内村と神山町へは水系が異なることもあり従来は徳島を基点に異なる路線のバスで行かなければならなかったものが、徳島バスの時刻表を調べていたら回遊できることがわかりました。昨年(2008年)10月より佐那河内線の一部が神山町の町役場のある寄井中まで路線延長されたのです。1日で勝浦、上勝、佐那河内、神山町の4町村を回ろうと何通りかのルートを検討し、その中で最も効率が良いと思った方法は、午前中勝浦と上勝に行き、いったん徳島に戻ってから佐那河内へ行き、そこで2時間待って次のバスで神山町に行くことでした。
佐那河内村役場前(バス停名は中辺)から乗ると、運転手が「佐那河内から乗って神山まで行く客は初めてだ」と言い驚いていました。この区間は国道438号線の府能峠を越えるのですが、2007年12月に1,387メートルの新府能トンネルが開通し、その後に路線延長があったようです。バスはまず旧道を走り麓の集落で数名の高校生を降ろし、私以外乗客ゼロになってからバイパス入口へ1キロくらい戻りトンネルに向かいました。運転手の話によると、このトンネルを作るための条件にこの間の路線バスも通すということがあったらしいということでした。
トンネルの開通によって、神山町から徳島に行くには従来からの鮎喰川沿いのルートに比べ、車ならば10分くらい、バスだと従来ルートに比べ5分くらい短縮になったそうです。バスの従来ルート
神山線時刻表 には鮎喰川の左岸、右岸など経由地の異なるものが3つありますが1日に18本あり70分前後要します。それに対して新ルート
佐那河内線時刻表は6本ありますが徳島市内に行く人がときとぎ利用する程度だそうで、新規延長区間だけを乗る人は皆無とのことでした。
帰路は鮎喰川沿いの従来ルートにしました。吉野川への合流地点までは順調に来たのですが、そこからは徳島市内に向かっては夕方で雨が降っていたこともありかなりの渋滞に巻き込まれ、1時間半も要してしまいました。
道路交通としては新トンネルの効果はあったのでしょうが、バス路線としてはどうなのでしょうか。バス会社も過去の経緯から一定期間運行するとしてもそのうちに廃止してしまうのではないかなどと思ってしまいます。そうであれば私は幸運な時期に乗った、ということかも知れません。