[84526] 白桃 さんの書き込み
ひと昔、いやふた昔ぐらい前には、停まらない駅がいくつかある「鈍行列車」がたくさん走っていたような記憶が・・・
駅をいくつかとばす「鈍行」と、ひと駅、ひと駅停まっていく「鈍行」となんか区別していましたっけ???
から始まって、落書き帳を賑わせている「各駅に停まらない鈍行」の話題ですが、私も一つこの「列車」に乗らせていただきます。
この白桃さんの記事を見て思い出したのが、私が以前
[63598]で「讃岐平野の秘境駅」というタイトルで書き込んでいた
香西・讃岐府中・八十場・讃岐塩屋の各駅は一日に1~3往復しか停まっていません
予讃線の高松-多度津間の「超閑散駅」を初め、国鉄時代には全国各地で見られた「鈍行(普通列車)でもその多くが通過し、ろくに停まらない駅」の話でした。この記事を引用した「時刻表名探偵」(石野哲氏著・昭和54年)にもいくつか挙げられていますが、このような「秘境駅」(ここで言う「秘境駅」とは、「列車そのものの本数が非常に少ない、駅の周囲に人家もなく乗降客がほとんどない」といった「純粋」なものではなく、「幹線や大都市近郊などの路線で、列車が頻繁に運行されているにもかかわらず、『鈍行』さえその多くが通過し、停車する列車が極めて少ない」という駅を指します)については、私もその後
[63634]に続きを書き込んでいますが、そのほかに私が記憶していたものをいくつか挙げると、国鉄の幹線では次のような駅がありました。
東北本線 | | 斗米(現「いわて銀河鉄道」)、苫米地(現「青い森鉄道」) |
総武本線 | | 榎戸、飯倉、倉橋 |
中央本線 | | 東山梨、別田(現・春日居町)、東塩尻(信号場を客扱い、時刻表では臨時駅の表示。現在は廃止) |
信越本線 | | 西松井田、茨目 |
山陰本線 | | 高津(「石原」([84479]白桃 さん)の隣の駅)、久代、敬川 |
高徳線 | | 八栗口 |
土讃線 | | 入明、円行寺口 |
最後に挙げた土讃線の例は、「名探偵」にも詳しく取り上げられているのですが、この両駅、なんといずれも高知市内、しかも高知駅の次と、そのまた次の駅。しかし駅間距離はわずか800m、近くを「土電」が並行して走っていることもあってか、この両駅に続けて停まる列車がほとんどなくてどちらか一方だけしか停まらない列車がほとんどで、両駅に続けて停まる列車は片道1本だけ、という状況だったことが書かれています。このような「幹線の秘境駅」は、非電化(だった)路線に多く見られ、ディーゼル車の導入により新設された駅が多かったようで、短い編成のディーゼル車のみが停車し、SLやDLの引く長い編成の列車はホームに編成全体がかからず、また加速が悪かったことも影響しているようです(
[63602] 役チャン さん、
[63609] hmt さん、
[84531] スナフキん さん)。また、列車交換のための信号場を便宜上客扱いしている、といった例もいくつかあったようで、総武本線の「都賀」駅~「奇跡の復活」を遂げた?NTJ会長 さんのお膝元のお隣~は、それまでの信号場から昭和40年に「仮乗降場」として客扱いを開始したころは、まだ電化もされておらず、朝夕のラッシュ時のみにディーゼル車が数往復停車していただけという、今から見れば信じられないようなのどかな光景が見られていたのでした。
幹線以外でも、陸羽東線の「塚目・東大崎(?)」など、陸羽西線「羽前前波」、氷見線「越中国分」、七尾線「中津幡・能瀬・南羽咋」、小浜線「西敦賀・若狭有田・勢浜」など、和歌山線「下兵庫」など、徳島線「三加茂」など…と、それこそ全国あちこちに見られました。JRになってからも、北海道では新たに正規の駅として全国版の時刻表に載った、元「仮乗降場」扱い(北海道内の時刻表のみに掲載)の小駅の多くは、通学時間帯など以外は「鈍行」でも素通りするものが多くあり、こうした「仮乗降場上がり」の駅は、過疎化で利用客が事実上皆無になったりして、既に廃駅になったものも数多く見られます。
私鉄にも、このような「秘境駅」が大都市圏にさえも見られました。神戸電鉄の「菊水山」駅は、こうした「大都会の秘境駅」の代表格としてよく話題に取り上げられました。神戸市街から六甲山中への「登山列車区間」の真っ只中にあるこの駅は、周りには人家が全く見られず、近くにある水道局の施設の点検でたまに降りる人がいるくらいだったそうで、「鈍行」でもほとんどの列車が通過で、結局その後廃駅となったようです。
北陸鉄道の石川線では、以前は日中の列車が全て「準急」として運行され、押野・野々市・曽谷・小柳の各駅は日中は1本も列車が停まらない、という状況でした。前の2駅は金沢の中心地に直結するバスを優先、後の2駅は周辺人口・利用者が少ないためだったようですが、現在は全て各駅停車で運行されているようです。また、島原鉄道では、かつては「急行」(有料)とは別に、本諫早-愛野間と、現在は廃線となっている島原外港-深江間のそれぞれの中間駅の一部を通過する「鈍行」がありました。こちらもバスとの競合回避と役割分担の意味もあったと思われます(現在は無料の急行があるようです)。「琴電」の長尾線にも、以前は両隣の駅との距離が短い井戸駅に停まらない「鈍行」があり、富山地方鉄道には越中中村通過の「鈍行」がありました。富士急には、上大月に停まらない「鈍行」が今も残り、えちぜん鉄道にも通過駅がある「鈍行」があるようです。
ところで、「各駅停車」と呼んでいるのに「各駅に停まらない」という変な列車もあります。東急大井町線は、田園都市線二子玉川-溝の口間の複々線化によってそれまでの二子玉川から溝の口まで延長されたのですが、この区間にある二子新地・高津の両駅には田園都市線のホームだけで、大井町線はホームのない線を通るので「鈍行」でも原則として停車しません(日中の一部と、早朝・深夜に運行される鷺沼への出入庫列車のみ、ホームのある田園都市線の線路を走り、両駅に停車します)。駅のアナウンスでは「各駅停車溝の口行きがまいります。この列車は二子新地・高津には停まりません」というように放送し、表示機でもこの両者を色分けして区別しているのですが、やはりどうにも違和感があります。2駅停まらないだけで「区間快速」などというのもやはり変なので、両駅通過のものを「普通」と呼称して区別する(南海のケース…
[84528] 星野彼方 さん)というのも一法だとは思うのですが、何か名案はないのでしょうか? この大井町線のケースと同類の、阪急の3線並列区間・梅田-十三間(中間にある中津駅には京都線のホームがなく、神戸線・宝塚線のみ停車)ではどのように表現しているのでしょうか…。こうした、「秘境駅」と呼ばれるほどのものではないにしろ、「鈍行」の一部も止まらない、といった駅には、ほかにも例があったようです。非電化時代の関西線(大和路線)の加美・久宝寺(
[63602])などは極端なケースだったのでしょうが、かつて私が見たことがあるものとしては、「鈍行」の半数が通過していて日中は40分おきにしか列車が停まらなかった名鉄瀬戸線の「矢田」駅の例がありました。余談ですが、名鉄にはローカル線を中心に、利用客が少なく「鈍行」でも通過するものが多い駅が結構あり、路線自体は健在でも、こうした駅が結局廃止に追い込まれたケースも多く見られます。
[84526] 白桃 さん
[84531] スナフキん さん
[84534] NTJ会長 さん
そういえば、昔は大きな駅ではどこでも見られた「駅弁の立ち売り」というのもすっかり見かけなくなりましたねぇ…。時刻表に「弁」マークがあっても、ホームには駅弁屋の影も形も見えず、コンコースの売店のみで売られている、という駅も多そうです(八王子駅など)。一昔前に見かけた仙台駅や新潟駅の立ち売りは今も健在なのでしょうか? 今夏の旅(
[84083])で、東武下今市駅でその「駅弁の立ち売り」が健在だったことに感激したのですが…。