[22297] なおさん
[22300] じゃごたろ さん
諏訪は太平洋側というのは存じておりますが、なぜ、大きな山が無いのに
長野が雪で松本・諏訪が快晴となるのですか?
少し前にも話題にしたことがありますが,松本・長野の両市に居住した経験から…
簡単に言えば,日本海から押し寄せた雪雲が長野には(何とか)届くけど,松本までは届かないからです。
水系からいえば,長野県のうち南信の諏訪と伊那谷が天竜川水系,木曽谷が木曽川水系で太平洋側,残りの東北信(佐久平・上田平・善光寺平)と中信の大部分(松本平)が信濃川(千曲川)水系,神城盆地を中心とする白馬・小谷両村の区域が姫川水系で日本海側となって,“両斜面”を分ける大分水界は,草津白根~浅間山~碓氷峠~甲武信ヶ岳~八ヶ岳~霧ヶ峰~塩尻峠~鳥居峠~乗鞍岳… とつながっているのですが,気候上の境界はずっと北側にあって,長野県の大部分は「内陸気候」,もっと大きな眼で見れば「太平洋側気候」に属します。
「日本海側」の多雪地域は,以前にも触れた 高社(たかやしろ/こうしゃ)山~飯縄(いいづな)山~仁科三湖(とくに木崎湖)ラインでもって限られます。
もちろん,上信国境の志賀高原は雪が多く降りますが,善光寺平では高社山以北の飯山地域が多雪地帯で,中野以南は積雪がぐんと減少します。
長野市の場合は,北に隣接する牟礼村との境に当たる峠がその境界に相当し,南斜面の長野市側では徐々に積雪が減少します。だから,善光寺→長野駅→犀川→川中島→千曲川→更埴あらため千曲市の順に積雪がなくなってゆきます。
松本平では,最北の木崎湖を境に積雪が増え,大町市街はそれほど雪は多くありません。松本で雪の日,というのはとても少ないものです。
大雑把に言えば,長野市(犀川以北)で雪が降るのは「冬型」の気圧配置が特に強まって,日本海側に「山雪型」の雪が降るときです。
それに対して,松本や諏訪・伊那谷で雪が降るのは,台湾方面で発生した低気圧が発達しつつ日本の南岸に沿って通過したとき,つまり東海や関東といった太平洋側で雪や雨(東京では雨でも,信州は寒いから雪)の降るときで,これを信州では「かみゆき(上雪?)」と呼んでいます。
実は「東信」の上田・佐久地方は,冬の雪も少なく,夏の雨もさほど多くなく(地形上の太平洋斜面,つまり東海・関東地方で雨が降ってしまう),瀬戸内地域とならぶ(あるいは,それ以上に)降水量の少ない地域なのです。
少し以前まで茅野を中心とする諏訪南部は寒天の産地として知られていましたが,それも冬の乾燥が激しい,つまり雪がほとんど降らない気候によるものです。
そのかわり,これら「気候上の太平洋側」の地域では冬の冷え込みがたいへんに厳しく,一度積もった雪はなかなか融けません。ただ,陽射しはあるので朝はとても冷え込んでも,日中はそこそこ気温が上がります。
「気候上の日本海側」の長野以北で雪が降る日には,雲におおわれているので朝の冷え込みはそれほどでもなくても,日中は全く気温が上がらずに一日中氷点下,つまり真冬日となることがしばしばです。
そう考えると,松本と長野,どちらが寒いか,判断に苦しむところがあります。
いずれにせよ,こうした事情を踏まえて,気象庁の予報区分では現在,長野県を「北部」(飯山,長野,大町)・「中部」(上田・佐久,松本・諏訪,安曇)・「南部」(伊那,木曽,飯田)の3地域に区分して,それぞれに天気予報を出しています。