落書き帳には、2003年の
2県にまたがる島で登場した取揚島。
小さな無人島ですが、その南西部が岡山県の飛地とも思われるために
[41400]などで話題になりました。
戦後の1955/3/1、国鉄山陽本線のバイパス・赤穂線が播州赤穂から日生(ひなせ)まで延長開業し、「備前福河」駅が開業しました。当時の所在地・岡山県和気郡福河村大字
福浦の中で「村名」に由来する駅名ですが、「福河」とは明治合併における「
福浦村と寒河(そうご)村」とを組合せた合成地名でした。
実はこの福河という村名、駅が開業した月の末日(1955/3/31)には日生町との昭和合併で消滅します。
行政関係者としては明治以来の村名を駅名に残したかったのかもしれません。しかし、江戸時代の旧村名、そして明治合併以来の大字名として住民が使ってきた「
福浦」を駅名にした方がよかったかも?
そんなことを考えたのは、1963/9/1に、本土部分の
福浦集落(明治合併前の旧・岡山県和気郡
福浦村)ぐるみで、岡山県和気郡日生町から兵庫県赤穂市への境界変更が行なわれたからです。この境界変更の結果、
「備前」なのに兵庫県
という違和感のある状態になりました
[46914]。
…でも、違和感の由来は「福河駅」ではなくて「備前」を冠したことでした。備前を冠した理由は謎。
それはさておき、
変遷情報岡山県では見ることができませんが、変遷情報兵庫県の
詳細を見ると、境界変更対象地域は「日生町大字
福浦の区域(【中略】を除く。及び
福浦地先海面のうち【後略】)」と記されており、
昭和38年自治省告示第106号により確認することができます。
実は、私としては【中略】の部分に記された多数の地名に注意を払っておらず、
[95311]以降の
福浦スレッドから脱落しています。
その後、Nさん、YTさん、ekinenpyouさんからの情報もありました。皆さんの記事により、鹿久居島の一部が
福浦に含まれていたことを含め、「備前
福浦」の範囲は、私が最初に考えていたような単純なものでないことを認識しました。
そして、最新の記事
[95394]に記されていた 下記2件の資料を拝見して、ふと気がついたのは、A「土地に係る字の区域・名称」とB「住所表示」との違いです。
A
岡山県告示H17-214 2コマ【備前市成立時(2005/3/22)】
B
新市の住居表示
前者Aは土地に係るものであり、居住者の有無に関係なく、すべての土地に適用される。
合併前の字:和気郡吉永町吉永中→【合併日の字】上欄:備前市吉永中→下欄:備前市吉永町吉永中
後者Bは人に係るものであり、居住者の居る土地に限定して適用される。
合併前の住所表示:和気郡吉永町吉永中→新住所表示:備前市吉永町吉永中
この例示に従って考えると:
無人の取揚島については、A「土地に係る字の区域・名称」のみ存在し、岡山県告示H17-214により「大字」という言葉を使わなくなった 備前市日生町
福浦に属する。【住居表示は当然ながら存在せず。】
合併前の字:和気郡日生町大字
福浦→【合併日】上欄:備前市大字
福浦→備前市日生町
福浦
[95394]で存在が確認されたA「字の区域・名称」の第6欄:備前市大字
福浦→備前市日生町
福浦は、「大字」という言葉を使用しなくなったことの他に、遠く東に離れた取揚島まで含めた旧日生町域全部の土地の字名として「日生町」という言葉を冠するようにしたことを示しているようです。
「備前市日生町
福浦」という字に取揚島以外の土地があるか否かは不明です。
しかし、旧日生町の4字名と違ってB住所表記には日生町
福浦がありません。
このことは、たとえ取揚島以外にこの字名の土地があっても、居住地ではないことを示しています。