ご無沙汰しておりました。紫魔法師です。
大変遅れましたが、
高速道路由来の地名についてご返答いただきました皆さん、ありがとうございました。
[49557](YSKさん)
JR難波駅はかつて「湊町駅」という名前であったと思います。
1994年9月4日に関西国際空港の開港にあわせ、湊町駅に隣接する
大阪シティエアターミナル(OCAT)が開設されたのと、当駅から関西空港駅までの直通列車の運転を開始し、JRとしての難波の最寄り駅となったため「
JR難波駅」と改称されました。
道頓堀川に船着場があったから
昔の大阪ミナミについては
このサイトが参考になります。
もともと開業したときの湊町駅は道頓堀川に面していました。しばらくして駅正面に道頓堀川に通じる船着場が開設されています。このことから察するに、湊町駅は大阪ミナミへのアクセスとともに、道頓堀川の水運と南河内・奈良方面の鉄道輸送の結節点として設置されたものと思われます。現在も湊町に残る広い空き地は貨物駅のヤードの名残です。
さて、現在のJR難波駅は千日前通の南側にある地下駅ですが、昭和末期までの湊町駅は道頓堀川寄りにあり、千日前通は北に迂回していました。上に阪神高速、下に大阪市営地下鉄千日前線が湊町駅を横断する形になっていましたが、1989年12月28日に南に移転し、千日前通が直線化されました。このときには既に湊町駅への貨物列車は廃止され、道頓堀川への水運もなくなっていましたので、結節点の役割はとうに失われていました。
そして関空が開港し、JR難波駅に改称してから1年半後の1996年3月22日に地下化され、西側のOCATの下に移るのですが、これは新今宮駅~JR難波駅間の連続立体交差化と今宮駅の大阪環状線ホーム設置の工事の関係で、関空開港後にずれ込んでしまったのでしょう。ともあれ、地下化によってOCATと一体化されましたが、OCATの利用が不振で関空への直通列車が廃止されてしまい(高速バスがOCATに乗り入れていますが)、地下鉄・近鉄などの難波駅へも地下道で直結されたものの、乗り換え距離はかえって伸びてしまい、中途半端な感は否めません。ただし、JR難波駅から福島・梅田方面へのなにわ筋線が計画されており、JR湊町駅ホームの末端部は西に振ってなにわ筋方面に向かう準備がされています。
「みなと」について「港」と「湊」の字が充てられることが多いのですが、この字の使い分け方について一定の規則性のようなもの
まず漢字の意味から推測しますと、「港」は「さんずい」と「巷(ちまた)」に分割されます。「巷」には「
交差点」のような意味がありますから、「港」とは「水の交差点」のような意味です。「湊」は「さんずい」と「奏」に分割されますが、「奏」を「奏でる」と解釈すると意味がわからなくなります。実は「奏」には「集まる」という意味があり、「
輻輳(ふくそう)」の「輳」も「集まる」という意味に由来しています。合わせると、「湊」は「水上の物の集まる場所」のような意味合いです。
いずれにしてもこれは漢字としての解釈であり、日本語(大和言葉)の「みなと」の由来は「水(み)」+「な(=の)」+「門(と)」ですから、「港」でも「湊」でも同じ意味になります。
MapFanでの検索は「港町」が177件、「湊町」が84件で「港町」のほうが優勢です。常用漢字に含まれているのが「港」だけだからでしょうか。両方の表記とも全国各地に存在しており、特に地域性は見られません。関西は大阪市と
神戸市が「湊町」なので「湊」のほうが目立ちますが、明石市は「
港町」です。面白いのは鹿児島県いちき串木野市で、「
港町」(旧串木野市)と「
湊町」(旧市来町)の両方が存在します。全般的に見ると「港町」のほうが「湊町」よりも大きな港湾部を持つことが多いようですが、漢字の意味には大きさの違いはありません。