今回の"Challenge Trial"、初めて問題を作る側になってからの感想を。
まず、今回の問題として採用された、他の実行委員のお三方が作成された問題について。
いずれも駿河の民さんが作成された問一(他の市名を含む)と問二(新幹線の停車駅がある)は、多くの解答者の感想にもある通り、わかりやすい共通項で、解答のペースも早く、まさに「入門コース」にふさわしい平易な問題だったと感心しました。一方、同じく駿河の民さん作成の問三の共通項「国際会議観光都市」というのは、実は私も「実行委員」の一人として問題をメールで見るまでは全く知らなかった事項でした。SVも地図ヒントも、問題の「核心」からはいまいち外れているように見え、私も「答える」側に立っていた場合、おそらく共通項を見つけるまでに相当な苦戦を強いられたのは必至で、「本番」の十番勝負に出しても結構な難問の部類に入ったのではないかと思いました。「観光」ということまではおおよその推測がついていたでしょうが、例えば日光のような、高名な世界遺産があり国際的にも知名度が高いと思われる観光地が入っていないなど、「観光都市」としての「世間一般の常識」からはやはりずれているように見えることが難問化した理由ではないかと思いました。
デスクトップ鉄さんのが作成された3問のうち、問八(大学名になっている市)の解答のペースが意外に遅かったのは、私にとって少し意外でした。この問八は、デスクトップ鉄さんから受け取った問題をメールで見た時に、ほぼ一瞬で共通項が分かった問題でした。特に「受験世代」にいる中高生世代の人にとっては、大学の名前を知る、覚えることは必須だと思うのですが…
問九については、「本物」の富士山が見えない地域にこんなに「ふるさと富士」が見えることにちなんだ「富士見」地名が多いことにびっくりしました。k_itoさんが答えた刈谷市(
[105112])の富士見町は、南アルプスの山々に遮られて富士山が見えない場所にあるので(
[105203]、
富士山ココ)、「謎」ですが(市内に「富士松」という地域(旧村名、駅名)もありますが、直接富士山には関係なさそうに見えます…
[83651])、名古屋市中区の
富士見町も富士山の見えない場所にあり、北斎の「富嶽三十六景」の「尾州不二見原」(通称・桶屋富士)はこの場所と言われますが、「南アルプス連峰のある山を見誤ったらしい」との説が有力なようです。
問十の「村と複数隣接」は、「本番」の過去問にもあり、無理のない問題だと思いますが、SVのヒント意味がいまいちわからず、苦しんだ方もいたようです。もう少しわかりやすい画像が欲しかったような気がします。
さざ波さんの2問は、データベースを熟知している人ほど有利な設問ですね。問四は人口問題だとわかれば容易で、良問だと思います。問五は、「自治体コードが2番目」。市の誕生が2番目に古い市が大半を占めている中にあって、福岡市(北九州市のほうが早く政令指定都市になったから?)や、やはり誕生が2番目でなくしかも今や県内人口最小の市になっている室戸といったイレギュラーになっている市があったりして、苦戦を強いられた方が多かったような気がしました。
最後に、私の出題は問六と問七の2問でしたが、「立候補(の準備)宣言」はしたものの、その時点で用意できそうなのが3問程度(
[104735])しかない、という状況で、それ以降に新たな候補を追加作成という指示が出てから「急ごしらえ」で作った問題には、他の実行委員のと共通項や方向性が被ったり、共通項が自分でも「少し難しい」と感じていたりして、結局、当初からほぼ形が出来上がっていた、今回の2問が結果的に残った形になりました。
問六については、既に
[105185][105196]に書き込んでいるので、簡単に感想を書くことにしますが、「高校野球」への関心が高いか
そうでないかによって解答できた順位に差ができたように見え、SVの読み違え(操作による焦点のわずかなずれが原因で、自分の視線に入っていなかった薬屋の大看板に目が行った)をした人も出たのでしょう。
残る問七については、「作成秘話」を書くことにします。
問七の共通項は、「読み仮名が『ら』で終わる市」。この問を作るのにあたっては、「大ベテラン」の方はもしかしたら気づいていたかもしれない、と
[105185]で書きましたが、この問の「元」となったのは、「本番」の第27回の問三。
問三:相模原市、小田原市、上野原市、橿原市、井原市
■「原」の文字を含む町村に隣接する市
想定解数:41市
隣接系にひねりを加えても、問一、問二の流れで共通項の導き出しはそう難しくないと想定していましたが、そうでもなかったようです。とくに、「らで終わる市、除くひらがな市」という思いもよらなかった共通項に多くの方が惹き寄せられたのにはびっくりしました
(
[74966])
この「想定外の別解」の大量発生により、デスクトップ鉄さんの「十番勝負研究所」の難易度分析で最難問クラスの「Eランク」に堂々輝いた?この「第27回問三」を逆手にとって、「この別解のほうを共通項にした問題を作ろう」と思い立ったのが今回の「立候補」のきっかけでした。(今更なんですが、グリグリさんも周章狼狽したというこの「別解による誤答の嵐」の発生は、「該当しない市」として島原市か南島原市(お互いに隣接しているが、「原」の付く町村とは隣接しない)を提示していれば防げたでしょう。別解とは必ずしも関係するわけではありませんが、NGの市を提示していれば難易度をだいぶ下げられたと見られる過去問は、他にもいくつかあったと思います。)
問題作成にあたっては、「入門コース」ということで「迷彩や小細工はしない」、ということを基に、ひらがな市を含め読みが「ら」で終わる44市を共通項としたうえで、お題の市を選ぶにあたっては、第27回の共通テーマが「政令指定都市相模原市誕生」ということから、その時に全問共通でお題に提示されていた相模原市をまず残し、「ひらがな市を含む」ということからさくら市を、それと同音の佐倉市を入れ、更にその時に「ら」で終わる市でただ2つだけ正答になっていた米原市と庄原市を入れる、ということで問題の形を決めることにしたのでした。
ちなみに、その第27回問三で「想定外の別解の罠」にはまって誤答した解答者(第一回採点前)は12名でしたが、このうち今回解答した EMMさん・おがちゃんさん・鳴子こけしさん・油天神山さん、「12年前のリベンジ」を果たすことができてよかったですね…。
トライアルで引っ掛けは無いとは思いつつ、流石に怖いのでデータベース検索で想定解数を確認
(
[105195] 海辺を飛ぶ鳥さん)
問題を見た瞬間「第二十七回問三」を思い出してしまい、気付くのが遅れた
(
[105224] 勿来丸さん)
という声も出てはいましたが、感想を送ってきた方々も口をそろえて「わかりやすく気づきやすい共通項」だった、と感じ取ったことで、「入門コース」にふさわしい問題を作ることができて、「自画自賛」できたと思いました。
ところで次回以降にまた「作る側」に回るかどうかですが、今回惜しくも「選外」になって問題について、共通項を見直して作り変え、また新たな問題を考えるなどして「再挑戦」もあり、としていたのですが、未開人さん(
[105216])が早くも意欲を示し、また今回答える側に回った勿来丸さんも、再び作成側に回る意思もありそうなので(
[105224])、今の段階ではまだ何とも言えませんが、「見物」する側に回る可能性が高そうな気がします…。