1万年数千年も前のことです。
地球は 長く続いていた氷河時代を脱して、「ヒト(Homo sapiens)にとり 住みやすい時代」が到来しました。
この時代、メソポタミアでは 農耕と牧畜による定住生活が実現しました。
現在の国名で言うと 中東の イラクから シリア付近に及ぶ地域で、「肥沃な三日月地帯」という呼び方もあります。
確かに水資源のある温帯地域ではありますが、地球上で特に「肥沃な地帯」であるとも思われず、 適切な表現であるか否か は疑問です。
それはさておき、この地域で始められた農耕と牧畜とによって、ヒトは食料を求めて放浪する その日暮らしから脱しました。
定住するヒトビトが増えれば、自ずからヒトビトの交流も盛んになり、文明の時代に 足を踏み入れることになった と理解されています。
食料を求める放浪生活から、決まった場所で確実食料を確保することができる定住生活へ。
農耕と牧畜による定住への条件は、ある程度の「肥沃な地帯」であることを求められたものの、さほど厳しい条件ではなく、隣接地域に拡散することができました。
農耕と牧畜による 世界的な定住化。
遠く離れた日本の事情は 少し違いました。
この地では、森など自然の恵みによって 採取経済ながらも 定住可能な社会 が 独自に誕生しました。
狩猟・漁労により食料を得る効率は 農耕・牧畜ほどには高くないので、飛躍的に多数の人々を 集団として養うことは不可能であった と思われます。
しかし、小集団であっても 家族単位を超越した規模の人数が 同じ場所での定住を開始したことにより、交流は一段と深まりました。
これが、ドングリの森の実りで定住できるようになった 縄文時代です。
時事通信
「縄文遺跡群」世界遺産へ 三内丸山など登録勧告―諮問機関が「定住社会の発展を示す」
2021年05月26日21時45分
【図解】北海道・北東北の縄文遺跡群
日本最大級の縄文集落跡で知られる三内丸山遺跡(青森市)など17の遺跡で構成される「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田各県)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、
国際記念物遺跡会議(イコモス)が世界文化遺産への登録を勧告した。文化庁 2021/5/26
登録勧告、広がる喜び 「縄文遺跡群」地元自治体
自然遺産の「奄美大島、徳之島、沖縄県北部および西表島」(鹿児島、沖縄両県)の登録も10日に勧告されて
おり、いずれも7月にオンラインで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式決定される見通し。
国内の世界遺産は、これまでに23件登録されている。
縄文遺跡群が登録されれば、文化遺産は 2019年の「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府)に続き20件目となる。
登録が勧告された17遺跡は、竪穴住居跡などの集落跡や環状列石(ストーンサークル)、共同墓地などで構成される。
国の特別史跡に指定されている三内丸山遺跡と大湯環状列石(秋田県鹿角市)のほか、北黄金貝塚(北海道伊達市)、御所野遺跡(岩手県一戸町)などの史跡も含まれる。
●縄文時代は約1万5000年前に始まり、稲作が本格化する弥生時代まで1万年以上続いた。
●農耕や牧畜を基盤とした同時期の世界の他地域と異なり、●採集や漁労、狩猟を なりわい とする定住生活で、
イコモスは「先史時代の●農耕を伴わない定住社会と複雑な精神文化に加え、定住社会の発展段階やさまざまな
環境変化への適応を示している」と評価した。
一方、「不適切な構造物」の撤去なども求めた。大湯環状列石は中央部に道路が通っており、文化庁は自治体と協議し対応を検討する。