都道府県市区町村
白桃研究所長による人口テーマ専門誌

DID人口の意義と疑義

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記事数=14件/更新日:2021年12月5日

DID人口とは言うまでもなくDIDの人口のことなのですが、これを初めて目にしたときの感激といえば、母校が甲子園に初出場したときのソレと同じ位でした。
確かに、「都市的地域」の特性を明らかにするネライで設定されたDIDですから、DID人口は都市的地域の規模等を知るための指標として、万能であるとは言い難いが「切り札」的存在である、と言っても良いでしょう。また、訪れた土地から感じる「都会らしさ」を心の中ではじきだした数字、それに一番近くなるものは(少なくとも今のところは)DID人口ではないでしょうか?
しかしながら、DIDが登場してから50年以上経過した現在においては、DID人口に未練を残しながらも新たなカードを求める声もあるようです。
ここでは、DID人口の有効性を評価するとともに、その弱点や矛盾、ひいては問題点を指摘した記事を集めました。

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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[14523]2003年5月2日
千本桜
[15501]2003年5月19日
千本桜
[16096]2003年5月29日
千本桜
[19628]2003年9月4日
千本桜
[23561]2004年1月9日
YSK
[25441]2004年2月27日
千本桜
[35399]2004年11月29日
千本桜
[42917]2005年7月9日
白桃
[42927]2005年7月9日
千本桜
[60951]2007年9月1日
千本桜
[70230]2009年5月20日
inakanomozart
[73398]2009年12月26日
rigst
[80951]2012年6月12日
白桃
[103256]2021年12月3日
千本桜

[14523] 2003年 5月 2日(金)02:32:38千本桜[軒下提灯] さん
白石vs角田vs大河原vs柴田
いざ対決!ライバル都市といえば、宮城県南部の小都市群も捨て難い。なんの特徴もなさそうな地域ですが、実は、市と町の都市機能が拮抗あるいは逆転する不思議な地域です。市より町の方が都市的だったりしますから、市とは何か、町とは何か、都市とは何かを問題提起してくれる有り難い地域なのです。なにしろ、中心性や拠点性をめぐって、町が市と丁々発止の都市間競争を展開します。しかも1対1などという単純なものではありません。三つ巴どころか四つ巴の混戦模様。もう目が離せません。
リング上の都市は、白石市、角田市、大河原町、柴田町。リングネームで呼ぶなら、既に江戸時代には地域最大の町場を形成していた「オールド・ジョウカマチ白石」。都市なのか村落なのか分からないけど田園都市を名乗る「シニア・コメドコロ角田」。裁判所から税務署まで役所なら何でも揃う「アダルト・ヤクショ大河原」。海軍火薬廠が置かれて急発展した「ヤング・チュウトンチ柴田」。それぞれの都市の特徴が出ていますが、リングネームはちょっと長すぎます。やはり簡単に、白石市、角田市、大河原町、柴田町でいきましょう。
統計数値をもとに2市2町の都市の大きさを比較します。まず、平成12年国勢調査時の人口は、白石市40,793人、柴田町39,485人、角田市34,354人、大河原町22,767人です。でも、市町村の人口から都会度をイメージしても始まりません。市町村ごとに面積が異なるし、市街地の広がりも違いますから。
市町村人口の代わりに人口集中地区(DID)人口を比較します。平成12年国勢調査時の人口集中地区人口は、柴田町17,464人、大河原町15,025人、白石市13,176人、角田市7,425人です。あらあら不思議。都市地域ともいえるDIDの人口は、町が市を凌駕しています。これが宮城県南部の都市間関係の特徴です。しかし、DID人口をそのまま都市の大きさと考えるのは危険です。DID人口は常住人口であって昼間人口ではありませんから、都市の活動状況を考えるには物足りません。都市機能の郊外化が進み、商店はじめ役所までもが郊外へ転出します。DIDから都市機能が逃げて行くのです。はたして、私たちはDIDを都市地域と信じて、その統計数値にしがみついていて良いのでしょうか?。人口集中地区(DID)が設定されて40年以上経過しました。社会は変わったのです。都市地域をとらえるための地域区分として、新たに昼間人口集中地区の設定を総務庁に望みます。
街の賑わいや活気を知る手掛かりに最高路線価があります。平成14年分の最高路線価(1平米あたり)は白石市白石駅前通91,000円、大河原町大河原駅前通86,000円、柴田町船岡駅前通68,000円、角田市本町国道113号61,000円です。こうして見ると、路線価はとても的確に都市の大きさの差を表わしているように感じます。ただし、あてになるのは同じ地域の都市間比較に限ります。栃木県足利市の最高路線価は125,000円、佐野市100,000円です。足利と佐野の差がちゃんと出ています。ところが、徳島県鴨島町は165,000円、香川県土庄町155,000円、高知県土佐山田町145,000円です。足利と四国の都市を比較したら滅茶苦茶になります。それにしても、どうして四国の町は路線価評価額が高いのですか?。九州の町と比べても、東北の町と比べても、やはり四国の町の路線価はべらぼうです。不思議。どなたか理由を教えて下さい。
ライバル同士の都市間競争は熾烈な商圏争奪を展開します。1999年の商業統計調査による年間小売販売額は、柴田町388億円、大河原町376億円、白石市376億円、角田市290億円。ここでも町が市を凌いでいます。柴田町、大河原町、白石市の差は僅かですから、売場面積5千平米の大型店が1つ出店すると、ひっくり返る差です。宮城県南部の都市間関係で面白いのは、市から町へ買物に行くことです。白石市は大河原町の、角田市は柴田町と大河原町の商圏に組込まれています。なんとも珍妙!。
人口や経済では町に追越されそうな市ですが、知名度ではどうでしょう。白石市と大河原町の知名度をくらべると、白石市の圧勝じゃないかと思います。なぜなら、大河原の人って「白石の近くの大河原から来ました」と言いますが、白石の人は「大河原の近くの白石から来ました」とは言いません。これで都市の勝ち負けは決まりです。
[15501] 2003年 5月 19日(月)12:48:38千本桜[軒下提灯] さん
人口集中地区から逃げ出す都市機能
[15473]NSさん
DID(人口集中地区)の人口及び面積・各市におけるDID及び非DIDの分布状況などもやはり考慮する必要があるのでしょうか。

NSさん、こんにちは。都市の大きさを知る上で、人口集中地区は大変参考になると思います。また、人口集中地区の人口数を眺めているだけでも楽しくなるものです。でも、1つ疑問に思うことがあるのですよ。それは、人口集中地区内から郊外へ向かって、都市機能が逃げ出している現状です。つまり、人口集中地区と都市機能集積エリアが噛み合わなくなっているのではないかという疑問です。
[16096] 2003年 5月 29日(木)06:55:34千本桜[軒下提灯] さん
郊外型商業集積ゾーン
中心街から郊外へ商業機能が逃げ出している。中心街より郊外が賑やかだったりして・・・。宮城県の主な郊外型商業ゾーンとしては、仙台市近郊のほかに、気仙沼市田中前、迫町佐沼中江、石巻市中里、大河原町国道4号バイパス沿道などがあります。

迫町佐沼の中江地区などは、もはや郊外というより中心街の趣すらあります。でも、事業所が集積して都市活動が盛んに行なわれていても、そこに住居を構えている人が少なく人口密度も高くありませんから、DID(人口集中地区)には組込まれていません。最も都市的な地区がDID(人口集中地区=都市地域)から外れている。このことを思うと、DID(人口集中地区)の定義見直しが必要なのでは、と思ったりします。前にも同じような意見を書いたかもしれません。前のことは直ぐ忘れて困ります。
[19628] 2003年 9月 4日(木)22:40:28千本桜[軒下提灯] さん
大洗VS大子
[19616]深海魚さん
主観的な市街規模においても大洗優勢ではなかったかな、

 大子より大洗優勢ではなかったかなとする深海魚さんの意見、ごもっともかもしれません。人口集中地区を形成していても、さほど都市らしさが感じられない町(大洗・波崎)と、人口集中地区がなくても都市らしい町(鉾田・大子)を対比させてみたのですが、大洗vs大子となると大洗優勢と感じる割合が高いかも知れません。観光シーズンなどは特にそう感じるかも。
それにしても、大子町の人口減少は激しいですね。古河が市制施行した当時、大子にも市制施行の噂があったとか(又聞きですから真偽のほどは分かりません)。古河市が誕生した昭和25年には、現在の大子町域に4万4千人が住んでいましたから、まんざら嘘ではなさそうです。
[23561] 2004年 1月 9日(金)01:15:19YSK[両毛人] さん
都市地域という区分
[23544]軒下提灯さん
私も、いつも考えさせられる命題ですね。地元両毛地域はもはや都市とか農村とかそういった概念を超越した混沌世界になっていると言っても過言ではないですし、まだほんの一部ですが全国の諸地域を見てみても、中心地システムが明瞭な地域もある一方で、多くの地域においては人々の生活行動の多様化に起因する、秩序のない商業構造、事業所の立地構造が認められているように思いますね。今後、市町村合併が進行すると、自治体ごとのデータはますますその地域の実態とかけ離れていくように思います。都市地域を示すといわれる、DID(人口集中地区)とか、市街化区域などの区分法も、万能ではなくなっていくことと思います。

いずれにしても、都市的地域が分散してしまったことは確かなようです。

どうでしょうか、もうこの際地域の分析にあたって、「都市地域」の区分はしない、というのは。

一定規模以上の都市における、多くの中心地機能、中枢管理機能などが高度に集積した市街地は別として、多くの地域においては、巨大な敷地と、一定規模の集客見込みがあれば、大型ショッピングモールが立地し得るポテンシャルは持っているものと思われ、その地域に店が集る、という現象は、その地域の立地特性というよりは、進出側と受け入れ側の利害などがたまたまうまくいった、とかそういった地域の特性以外の要因によるところが大きいのではないかとさえ思います。

また、いわゆる「市街地」の住民にしろ、「農村地域」の住民にしろ、生活様式や使用している家具や家、得られる情報などに根本的な差異はなくなっていますよね。農村地域の住民といっても、大なり小なり都市的なライフスタイルを送っているわけです。

地域間の絶対的な格差を見るのではなく、地域間の「較差」を楽しむ、地域のノーマライゼーションを推進したい私としては、都市地域とか、農村地域とかいった区分はせずに、その地域そのままを見つめていくほうがより楽しいのではないかな、と思います。
[25441] 2004年 2月 27日(金)09:40:55千本桜[軒下提灯] さん
両毛5都市考/人口集中地区人口変化球編
平成12年国勢調査による人口は
足利市163,140人 足利市を100とした場合
太田市147,906人 太田市は91
桐生市115,434人 桐生市は71
私の記憶では、昭和30~40年代の両毛地域で最も繁華な町は桐生だった。だが現在、足利市の人口を100とすると、太田市は91、桐生市は71。桐生の凋落ぶりは否定できない。でも、実際に町なかを歩いてみると足利と桐生の間に100対71の開きは感じられない。


平成12年国勢調査による人口集中地区人口は
足利94,700人 足利を100とした場合
桐生88,575人 桐生は94
太田82,866人 太田は88
両毛地域の人口集中地区人口を見てみましょう。足利を100とすると、桐生94、太田88。なんだか、市域人口よりも人口集中地区人口の方が都市の大きさをリアルに伝えてくれそうです。でも、人口集中地区人口は必ずしも都市の大きさを表わしている訳では有りませんから要注意。


平成12年国勢調査による人口集中地区人口変化球
太田115,121人 太田と大泉の人口集中地区を統合した場合の人口集中地区人口
桐生100,265人 桐生と大間々の人口集中地区を統合した場合の人口集中地区人口
足利94,700人 
人口集中地区もまた、行政界という見えないククリで分断されています。しかし、太田と大泉の人口集中地区は互いに拡大膨張して、連続状態になっています。空の上から見下ろせば桐生と大間々も一体の都市状態です。この考えに基づいて人口集中地区を組替えてみましょう。両毛地域の人口集中地区は1位太田、2位桐生、3位足利になりました。いったい、両毛で一番大きな都市はどこなのでしょうね。渾沌としてきました。
[35399] 2004年 11月 29日(月)06:21:00千本桜[軒下提灯] さん
♪X+Y=LOVE
[35332]Issie さん
1郡まるごと合体して誕生する「市」。あれって,Cityなんですかね。
あれをCityとは呼びたくありません。でも新聞は、あれをCity的イメージに包み込んで報道したがりますね。一昨日の河北新報は、「新たな都市へ現実味」と題して合併特集を組んでいました。「新たな都市」って、1郡まるごと合体して誕生する栗原市などを指しているのですが、「新たな市」と書けば良いものを「新たな都市」と書き綴るのは何故でしょう。ひょっとして世間は、「町+村=市」とか「村落+村落=都市」と思っているのでしょうか。なに?、村落+村落=都市だと?。ちあきなおみさんに唄ってもらいましょう。

歌唱/ちあきなおみ ♪「X+Y=LOVE」
X それはあなた Y それは私
プラス イコール ラヴ
ラヴ ラヴ アイ ラヴ ユー
愛しあっていれば 二人はいつもプラス
X それは鴬沢町 Y それは花山村
プラス イコール 都市
都市 都市 都市なのよ
合併すれば 栗原は明日から都市
破談なんて いやよ
村落なんて いらないわ
XプラスY XプラスY
イコール ラヴ イコール ラヴ
鴬沢プラス花山 村落プラス村落
イコール 都市 イコール 都市

世間のイメージでは、村落はマイナスで都市はプラスなのでしょうか?。その辺の心理はともかく、村落主体の市を都市と呼ぶのは嫌です。全国すべて市になって良いです。そのかわり、国は明確な都市地域を設定して国民に提示して欲しいと思います。夜間人口を基準としたDIDを都市地域とするのは感覚的に合わない部分がありまして・・・。望むのは、昼間人口を基準とした昼間人口集中地区の設定と、昼間人口集中地区昼間人口の公表です。
[42917] 2005年 7月 9日(土)09:05:44白桃 さん
土曜の朝の人口「へりくつ」
[5646][42916]では、小売吸引人口(一種の商圏人口)についての疑念を書いた白桃でありますが、では、その都市の規模・実力を計るのに一番実態に近い人口は一体ナンなのか。いまだに良くわからないのです。各人口の弱点をもう一度整理すると、
1.小売吸引人口
調査年ごとの小売販売額の流動性が大きく、人口変化にどれほど連動しているのか?
都道府県一人あたりの小売販売額ではなく、国民一人あたりの小売販売額で除したとしても、購買力や物価に地域の差異がある
2.DID人口
小規模市町村ほど人口の切り捨てが行われる
大都市周辺にある諸都市の数値が異常に高くなる
3.事業所就業者人口
第1次産業人口がほとんど無視される
4.常住人口(夜間人口)
労働する場と居住の場が異なる自治体(市町村)にある人口が多すぎる
5.昼間人口
週休二日制の問題、労働者人口=生活者人口ではない

で、なんとか人口で表現したい場合、白桃0.7人分は浦安市、白桃0.3人分は東京23区内、とするか
いやいや、「こころの住所」を加味し、白桃0.5人分は東かがわ市、0.2人分は浦安市、0.2人分は岡山市、0.1人分は23区内……

あ~だんだん何を言いたいのかわからなくなってしまう   
[42927] 2005年 7月 9日(土)23:31:55千本桜 さん
人口
[42916]白桃さん
「小売販売額」そのものがイマイチ信憑性に欠けると考えている私は、ちょっとオカシイのでしょうか。
いいえ、とても正常だと思います。そもそも小売と卸売を明確に区別できるのか?、さらには事業主が調査に正しく答えているのか?などなど、疑問は尽きません。

[42917]白桃さん
その都市の規模・実力を計るのに一番実態に近い人口は一体ナンなのか。いまだに良くわからないのです。
私もいまだに判らないのです。判っていたらとっくに飛びついています。でも、「これが正解だ!」というものを提示されてしまったら、それを一巡した後は急速に熱が冷めてしまいそうで怖い。わからないから何十年も趣味として続けられるのです。白桃さんも同じ。お互い50を過ぎても子供のまんま。次の国勢調査結果を見るまでは死ねない死ねないと言いながら、5年毎の国勢調査に引きずられて今日まで生きてきたのでしょう。その思い、わかりますよ。同じですから。

1.小売吸引人口
田んぼの中にぽつんと巨大ショッピングセンターができて吸引人口を増やしても、それをもって都市の規模がアップしたと思いたくないのは何故だろう。これは「都市とは何か」に行きつく問題だと思うけど。

2.DID人口
初めてDID人口(昭和35年の)なるものを見たとき感じたのは、田園地帯の中心都市に対し鉱山町、港町のDID人口が相対的に多いということでした。鉱山町や港町は、鉱山、港の近くに労働者が集中居住して都市を形成しますが、田園地帯では農民が都市地域(DID地区内)に集中居住する必要がないからでしょう。当たり前と言えばそれまでですが、それを知った時は新鮮な驚きでした。例えば、田園地帯の中心都市下館よりも港町大洗の市街地人口(DID人口)が多い。遠野より松尾、倉敷より玉野、鹿屋より串木野の方が多いなどです。いくら昭和35年のこととはいえ、倉敷より玉野の方が大きい都市だなんて1万円貰っても言えません。百万円なら考えますが。と言う訳でDID人口は都市の規模に直結はしませんね。参考にはなりますが・・・。

5.昼間人口
学校は従業者も学生も昼間人口にカウントされるのに、商店は従業者だけカウントされて買物客はカウントされません。旅館も従業者だけで宿泊客はカウントされません。昼間人口とは従業地・通学地人口のことですから当り前といえば当り前。でも、本当に知りたいのは買物客や通院客、観光客などを含めた入込人口ですよね。調査するのが難しいとは思いますが、そのような統計が有れば良いと思います。観光客などを含めた昼間人口ですと、ディズニーランドを抱えた浦安市が一気にドーンと跳ね上がる可能性があります。流山、習志野、佐倉、八千代を蹴落として千葉県第7位の都市に跳ね上がる。あ~、都市の実態から掛離れてしまいそうな気がしないでもありませんが、浦安って実際はどうなんでしょう?。現時点においても流山、佐倉、八千代より都市らしい所だと想像していますが・・・。
[60951] 2007年 9月 1日(土)09:02:19千本桜 さん
都市の重心移動とDID(人口集中地区)の空虚
路線価だけで都市の重心点を特定するのは少々味気ないので、これに景観上の都市らしさを加味してみます。つまり景観と路線価を掻き混ぜて自分なりに各都市の重心点を探し出すのです。そのような目で宮城県内の都市を見た場合、この30年ほどの間に石巻の重心は中央二丁目周辺から石巻駅周辺へ直線500メートル程度移動。古川(現・大崎市)も七日町周辺から古川駅方面へ600メートルほど移動しています。この二都市は路線価、景観ともに完全に重心移動してしまったようです。気仙沼は最高路線価が八日町・南町周辺から本郷・南郷周辺へ1,500メートルほど移動しましたが、景観的にはまだ八日町・南町が重心点の面目を保っているように感じられます。以上三都市の重心移動はDID(人口集中地区=都市地域)の中で繰り広げられている現象です。

しかし、佐沼(現・登米市)の場合は少し状況が異なります。佐沼の重心も一市八日町通りから中江に700メートル移動しました。平成19年分の最高路線価も中江にあり、景観的にも中江を中心街だと感じる人は多いはずです。ところが、中江は平成17年国勢調査結果でも人口集中地区(都市地域)から外れているんですよね。都市の重心点が都市地域に含まれないという空虚な現象が起きています。もう、人口集中地区をもって都市地域とするのは実情にそぐわない社会になったのでしょう。このような社会変化を思えば、実情に合った都市地域を明らかにするために統計上の新たな地域単位を画定すべきだと思うのですが、国にはその考えがあるのでしょうか。こういうことを質問してもホイ来た!と教えてくださる方は少ないと思うのですが、黛ジュンだって♪夕月の中で、「♪おしえてほしいの 都市の重心が都市から離れたわけを みるものの統計が むなしく見えるの~」って唄ってたじゃないですか?。お!、黛ジュンって都市地理学が好きだったんだね!!(汗)。
[70230] 2009年 5月 20日(水)06:00:00inakanomozart さん
二面性の静岡市
[70229] 2009年 5月 20日(水) 00:45:44  らるふさん
実は、静岡市は驚くべき例外で、清水市と合併する前は静岡県より人口密度が低かったのです。合併で名前を引き継いだ市の人口密度が高くなるのは珍しいと思います。
驚くべきという表現に驚いてしまいました。(笑)
それはともかく、清水市と合併以前の方が人口密度が低かったというのは、69年に旧安倍郡の6か村(清沢村、大川村、玉川村、大河内村、梅ケ島村、井川村)を吸収合併したからなのですね。
この合併は、当時から過疎に悩むこの地域を、高度成長期で余裕のあった静岡市が引き受けたということでしょう。

この地域は全域が山間部で、面積は850平方キロもあるのに、現在の人口は6千人程度(合併当時でも1万人台の人口だったと思います。)しかありません。
特に南アルプスを抱える旧井川村は、最も広大ですが大半が無人の地域です。

平坦地の少ない静岡市は、69年の旧安倍6か村との合併以前から「人口過密な狭小な市街地」と「過疎な山間部」という二面性を持つ市だったのですが、この合併でさらにそれが大幅に拡大されたのでした。

個人的には、都市の実態を反映したDID人口密度の数字に比べ、単純に面積から割り出した人口密度はあまり意味のない数字だと思っています。
[73398] 2009年 12月 26日(土)02:05:31rigst さん
DIDとその問題点
[73392] 千本桜さん
南陽市のように2つのDID(赤湯地区と宮内地区)を合算して10,000人超とみなすことに抵抗を感じるのですよ。
 少なくとも、都市雇用圏に関しては合算"するべき"かと考えています。DIDや市街地の数・規模・分布にかかわらず市町村単位で集計されており、DIDだけを合算しないとなると却って信頼性が損なわれると思うのです。
 とはいえ実のところ、心情的には場合によりけりかなと思っております。というのも、距離が十分に近く結びつきの強いDIDであれば合算してもそれほど問題なく、そしてその結びつき度合いを判断するのがかなり難しいと考えているからです。
 例えば石狩市のDIDは幅100mもない防風林で分割されていますし、長岡市の大島DIDや酒田市の袖浦(若宮浦)DIDは長岡・酒田の中心DIDとは川一本隔てて橋で繋がっていますが別勘定になっています。また名張市などは10000人を超えるDIDが名張駅西の古くからある市街ではなくニュータウン(桔梗が丘駅東方)でして、そうなると「最大DIDだけで10000以上なんだから都市雇用圏の中心としての要件の1つをを文句無しに満たした!」とも「主要施設がある中心市街のDIDが10000未満ってのもどーなのよ」とも思えて悩ましく感じます。千本桜さんが例として挙げられた南陽市宮内・赤湯は内心確かに私も同意見なのですが、じゃあ石狩市とか長岡市とか名張市も合算しちゃいけんのかい?どの辺から"別"なの?などと考えだすと如何ともしがたいのです。
 もちろん、都市機能の分布だとかメッシュ昼夜間人口比とか距離的指向性とかを持ち出せば説得力をもたせられるのでしょうけども、そこまでやると恐らく学術論文にまで発展させられます。データさえ揃えば挑戦してみたいとは思うのですが……。

 身も蓋もない言い方をしてしまうと、DID自体がそれほど信頼性のあるものではないと考えております。最大の欠点は「人口関係が設定基準となっているにも関わらず、人口と無関係な設定もなされる点」です。例を挙げれば、三沢市や千歳市のDIDは空港施設を含むため非常に広大になるなど、DID人口密度やDID面積をもって市街規模を判断することが難しくなっています。また「連担が調査基本区に左右される点」も大きく、どれだけ大きな工場群でも"都市的地域"とみなされない場合があるという問題があります。DIDは上下水道ほかインフラ整備の優先度決定などにも使えるのですが、上記2つの問題が若干足を引っ張ることになっているという考えを持っています。都市圏もそうですが、地域性やより小さな単位を考慮せずに一元的に定義しようとすると矛盾まみれになるぞ、というのが師の教えです。

 それでも、DIDとか都市圏とか人口とかのデータ・分類はやっぱり好きなんですけどね。各市町村が記録したDIDの最大値とその年代分布だとか、1960年のn%通勤通学圏だとか、矛盾まみれを百も承知のリビドー全開で調べていたりもします。北海道・近畿・九州の分も忘れておりませんよ~。
[80951] 2012年 6月 12日(火)11:21:36【1】白桃 さん
「都市を感じる」には
この前、近所を散歩しようと思ってズボンをはいたら、あるはずの位置にポケットがない。南砺、「後ろ前」逆にはいていたのでした。(汗)
こういうとき、トシを感じる・・・。
いきなり脱線しましたが、「都市を感じる」ために一番よい方法は、しばらくその都市(土地、地域)に住んでみる、でも、なかなか出来ることではありません。
次善の策として、そこを訪れてみる。これには費用がかかることは仕方ないとして、隈なく見ることは難しい。大体、そこの中心部を眺めることでお茶を濁す。中心部が必ずしも繁華街や官庁街であるとは限りませんが、相対的に賑やかな地区であり、DID(人口集中地区)、いや、もっと正確にいうなら、「昼間人口集中地区」(千本桜さん、[80942]他)の一部に該当することが一般的だと思います。
だとすれば、「昼間人口集中地区」の昼間人口を知ることによって、表象的ではありますが、その「都市を感じる」ことが可能です。
ところがどっこい、[80942]千本桜さん
本当に欲しいのは、市町村の境界線に拘束されずに集計された昼間人口集中地区昼間人口です。しかし、その基礎データがないですね。
まったくその通りで、残念ながら私が信愛する国勢調査では「昼間人口集中地区」の設定がありません。国勢調査といえば、公表に時間がかかりすぎているのでは、と感じているのです。
2010年国勢調査も、昼間人口がようやく公表されるようですが、それを待って
DID人口×昼間人口比率
でもって、「似非昼間DID昼間人口」を算出してみようかナ・・・。
それは、「DIDの昼間人口」でもなく、ましてや、「昼間人口集中地区の昼間人口」ではありませんが、仕方ありません。
私は、DID人口を絶対視しているわけではありませんが、これを見てますと、「数字が語る都市の賑わい」を強く感じるのです。
もっとも、本当に感じているのは、「数字が語る斜陽都市の悲哀」なんですが・・・

[80946]グリグリさん
白桃さん、人口研究所マガジン創りませんか?(あっ、無理強いしていますね^^)
この言葉をおききするのがコワかった^x^)、しかし、見て見ぬフリはできません。
幸か不幸か、私にはお金はないけど時間が有り余っております。
hmtマガジンのように読み応えのあるものは作れないでしょうし、ひとりよがり、自己満足・・・的なものになるかもしれませんが、積極的に取り組んでみたいと思いますので、具体的なご指示をいただければ幸いです。
[103256] 2021年 12月 3日(金)19:28:34千本桜 さん
2020年国勢調査の人口集中地区人口を見て思うこと
[103255] 白桃さん
2020年国勢調査の人口集中地区人口を閲覧することができました。ありがとうございました。
仙南地域は町が強くて市が弱いのが特徴。人口集中地区人口は予想していた通り、柴田町と大河原町が増加し、白石市と角田市が減少しています。しかし、増減幅は予想より小幅でした。
かわいそうなのは気仙沼。あの大都会気仙沼市(三陸地方では大都会の1つ)の人口集中地区人口が、たったの5,790人。嘘でしょうという感じ。人口集中地区人口を基にして都市の大きさを量るのは止めようかと思う気持ちが強くなります。問題は基本単位区の設定の仕方にあるのではないでしょうか。
大仙市(大曲)と薩摩川内市(川内)の人口集中地区人口も受け入れがたい。境界地図がまだ公表されていないので、はっきりしたことは分かりませんが、大曲は1つの市街地に見えるのに2つの人口集中地区に分離され、、川内も2つに分離されています。大曲は川幅100m足らずの丸子川を境に、川内は川幅200mちょっとの川内川を境に l と ll に分離されたものと推測します(予想が間違っていたらごめんなさい)。
この程度の川幅で人口集中地区が分離され、細切れにされると困惑します。都市の規模が見えなくなるように思います。静岡市の人口集中地区などは川幅600mの安倍川にも分断されることなく、丸子や用宗あたりまで伸びています。和歌山市も同じです。市街地を川幅500mの紀ノ川が横断していますが、人口集中地区は分離されません。
もし、静岡市や和歌山市と同じ考えで人口集中地区を設定するなら、幅200mちょっとの海峡で隔てられた尾道と向島の人口集中地区を1つに統合したい。結局なんだかんだ言っても、国と私では人口集中地区に求めるものが異なるので、埒があかないことなのでしょう。

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白桃研究所長による人口テーマ専門誌

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