[48851] むっくん さん
京都市役所の住所としては(中略)8通りが考えられます。
住所が(1)~(8)のいずれになるかは、住人(使用者)の意思によるはずです。
このケースでは、京都市が選んだ(1)の 京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488 が正しい京都市役所の住所なのではないでしょうか。
[48946] inakanomozart さん
京都市役所は建物が御池通りに向いている気がするのですが、もしそうだとしたら「寺町御池」より「御池寺町」の方が正確なような気がするのですがどうでしょうか?
[48954] たもっち さん
実は、あの建物は西側の寺町通り向きが正面なんですよ。
すいません、ウソです(笑)。
(中略)何か歴史的な経緯がありそうな気がしますね。それこそ、市役所の建物が建つ以前に遡るような。
[48963] むっくん さん
それでは、市役所の建物が建つ以前の歴史をひも解いてみましょう。
以下は、京都の事情に疎い者が、これらの記事を読んで抱いた感想です。
現在の京都市役所は4つの道路に囲まれた1ブロック全部を占めているので、4隅の交差点と縦横2方向とを組み合わせると
[48851]で列挙された8通りが考えられるわけですが、外部(世間一般)に対して場所を指示するという住所表示の第一義から考えれば、広い御池通りに南面した庁舎という見方が妥当であり、inakanomozart さんの疑問はもっともと思われます。
しかるに、明治31年の市役所開庁位置が“寺町通御池上る東入”であり
[48879]、昭和55年の変更前が“ 寺町通押小路下る…”、変更後が“ 寺町通御池上る…”
[48866]と少なくとも2回の変更を経た歴史があるのに、一貫して「寺町通」が先になっているのは、それなりの理由があるように思われました。
その有力な理由として想像したのが、歴史的に、寺町通だけに面した最初の庁舎があって、その影響が後を引いている可能性です。
むっくんさんによる歴史的解明
[48963]は、この想像を一応裏付けてくれるものでした。
明治31年というと、市制特例が廃止され、自治体としての京都市が発足した時ですが、この時代には御池通と押小路通との東端が寺町通止まりであり、京都府栽培試験場跡地である現在地(の西側?)に建設された京都市議事堂内で開庁した当初の京都市役所が名乗るべき住所
[48879]としては、それが面する唯一の道路であり、実質的に洛中の最東端の通りでもあった「寺町通」以外の選択肢はなかったようです。
“寺町通御池上る東入”と表示されているので、「寺町通」に直接面していたのではなく、少し引っ込んでいたのでしょう。
市電開通前の河原町通側には、入り口があったとしてもせいぜい裏門でしょう。
京都市庁舎の沿革 によると、三代目の現庁舎は、昭和6年に完成しています。東館が先行していることから、旧庁舎は西側にあり、東側が空地だったことが推定されます。
南に面して新築された
現庁舎 に対応して、狭いながらも御池通が東側に延長されたものと思われます。そして
[48963]は、この延長により「寺町通御池」交差点が2つに分かれてしまったので、市役所の住所表示が「寺町通押小路下る」へと変更されたと考えています。
第2次大戦末期の強制疎開(空襲に備えた防火用の空地作り)を経て、戦後に拡張直線化して整備された「広い御池通」に面した市役所は、昭和55年に至って「寺町通御池上る」という現在の表記になりました
[48866]。
このような住所表記の選択変更が「京都市役所の意思」によるものであることは疑いのないところでしょうが、それは“行政当局”としての京都市役所の決定でしょう。
まあ、そう決定させた根拠は、“住人(使用者)”
[48851]としての京都市役所が「4つの道路のうち、寺町通を正面とする」と意思表示したからでしょうが。
さて、昭和55年当時、市役所の建物は「広い御池通」に正面を向けており、市役所敷地を取り囲む四隅の交差点のうち、市役所玄関から最寄の交差点であり、かつ最大規模でもある交差点は「河原町御池」になっていました。現在の地下鉄「京都市役所前」駅の副駅名として括弧内に表示されている名
[48970]でもあります。
住所の表示が、外部(世間一般)に対しての位置の指示を第一義とするものならば、昭和55年に変更した際に、なぜこの「わかりやすい」南東隅交差点を基準点としなかったのでしょうか?
“過去からのいきさつで南北の道は「寺町通」にする”という理由では弱いように思われます。東西の道については、過去のいきさつにとらわれずに変更しているのですから。
では、外部に対して位置を明示することよりも、市役所内部からの観点で住所を決めることを優先すると、現在でも「寺町通」を先にしたい理由があるのではないか?
もしかすると、市長室が庁舎の寺町通側にあるのか?
京都市庁舎配置図pdf を見ると、市長室は正面玄関の真上の3階にあります。
「正門」が寺町通側にある? まさかね。
ひょっとして、御所に尻を向けているのは畏れ多いとかいう理由で、建前だけでも西を向いていることにしている?
そうか、
[48954]たもっちさんの
実は、あの建物は西側の寺町通り向きが正面なんですよ。
は冗談ではなくて、案外真実を突いているのかもしれない!!
どうも“住人(使用者)の意思により”選択された「寺町通」という住所について、的確な理由がつかめません。このあたりで降参。
【追記】
アーカイブズ
京都の街と道のつながり ~京都市街地の特色ある住所表記~ を拝見しました。
過去の記事を読んで、京都の座標式表示法のルール
[10434] [11886] [11905] [15956] や例外
[11893] が、だいぶわかってきたような気がします。
[15956]で まがみ さんによる高倉小学校の4つの表記例。
そのうちの一つ(1)が住人の意思で選択され、住民票などの公式の住所表示として使われているものですが、他の表記も「間違い」ではなくて、使っても良い。(2)は(1)と同様に一般的によく使われ、(3)と(4)ははあまり使わないが、烏丸通から東に入ることを示すことで、他所の人にわかりやすく伝える言い方でこれもOK。要するにわかれば良ろしいとという考え方のようですね。