お邪魔してます。
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そこでもアクセントの問題とイントネーションの問題は混在していますよ.
ご紹介したページ(accent.htm)で、アクセントとイントネーションについてそれぞれ説明していますよね。イントネーション科(アクセント科)のページで混同して書かれていることには気付きませんでした。
まあ、別にぼくはあの「音調研東京発音・アクセント教室」の回し者でも何でもありませんから、あのページの担当者を擁護するつもりは全くありません。東京弁の指導をする教室なので必要以上に東京アクセントを持ち上げているのは理解できるのですが、「無アクセント」を退化の果てと書いている点については、ぼくも噴飯物だと思います。(金田一秀穂先生いわく「茨城弁はもっとも進化した日本語」だそうです。)
えーっと、要は私の言いたかったのは、以下のようなことです。
「金沢」のピッチ変化をより具体的に表そうとして「_ ̄―_」のように書かれた事は理解できます。ただ、「か」より「な」が上がり、「な」より「ざ」が下がるのが単語のアクセント位置によるものであるのに対し、「ざ」より「わ」が下がるのはアクセント位置の話とは関係なく、多くの方言で共通に現れるピッチの自然な低下によるものと考えられると思うので、わざわざ別の音程を当てて書くと混乱しませんか?
東京方言前提の話で申し訳ないですが、例えば「神奈川」のアクセントは「_ ̄__」と表すのが一般的です。「_ ̄―_」と書くとより正確にピッチを表しているように見えるかもしれませんが、じゃあ、「― ̄―_」だと誤りですか?「昨日、神奈川に行って…」なんていう文章の中では、「か」の音程を「が」よりも高く発音しても不思議はないですよね。でも、そう発音しても「アクセントが違う」とは認識されない訳です。
さらに言うと、「港区」は「_ ̄ ̄_」と表されるのが一般的なのですが、「な」と「と」は正確に同じ音程ではなく、(普通は「み」<「な」≦「と」>「く」ですが)「と」の方がほんの少し低く発音されるケースもあります。つまり「_ ̄―_」と書いても間違いではないことになってしまいますが、これじゃ「金沢」と同じアクセントだと言おうとしているみたいですよね。EMMさんのおっしゃるように、こういうピッチ変化を正確に表そうとしたら、3段階でも全然足りない訳です。
だから、アクセントについて話をするときは、ピッチ変化の大部分を捨象して高低の二段階のみ(もっと言うと上がり目と下がり目の場所だけ)で表すようにしませんか、というのが世間一般の考え方だと思います。実際どう発音されているか、より、どこまでなら許容されるかを表していると思えばいいかもしれません。(例えば、金沢の「ざ」と「わ」を同じ音程で発音しても、訛っているとは言われないですよね。)
ここまで踏まえた上で、なおも多段階アクセントで表記されるということであれば、上記をご理解いただいているという前提で今後いろいろとツッコミを入れさせてもらいます(_o_)。
で、元の話題の方に戻っていきますと、地下鉄車内の自動アナウンスなどは、基本的には標準アクセントの訓練を受けたプロが原稿を読み、鉄道会社側の人がチェックして、耳障りな点だけアクセントやイントネーションを直してもらうという形で録られているので、東京弁と大きくずれている発音は現地発音になるのでしょうね(「長堀鶴見緑地線」など)。その一方で聞き逃されたり問題視されなかったところは、東京風アクセントのまま残るのでしょう(実例としては、京都市の地下鉄烏丸線と地下鉄東西線で「お乗換です」の発音が違っている点が挙げられます;地名でなくて恐縮ですが)。
まあ、地名に関しては、よそ者には正確な発音は難しいですよね。京都の地名なんて、茨城弁(祖父母が茨城出身です)や長岡弁(両親が新潟県長岡市出身です)の中では京風に読むことすらためらわれます(^^;)。流入者が多いところでは発音のゆれが多数発生しているのかもしれません。NHKの標準アクセントなんて、ほとんど現地読みを取り入れることをあきらめているのではないかと思われる節もあります。