[91392] Takashi
実は横浜市についてはどうなっているかお話ししようかとも思っていたのですが長くなりましたので別稿として改めたいと思います。
神戸市との比較で同じ港町の横浜市について人口の増減を考えてみたいと思います。
2010年から2015年の間横浜市全体としては増加しています(増加率+1.01%)が、行政区別に分けてみるとある傾向が見られることがわかります。
・中心部の西区と中区は増加している
・中心部より東京の都心に近い各区(鶴見区・神奈川区・港北区・緑区・青葉区・都筑区)もやはり増加している
・中心部より東京の都心から離れた各区(南区・保土ケ谷区・金沢区・港南区・旭区・瀬谷区・栄区・泉区)では減少している(ただし磯子区と戸塚区では増加している)
この傾向と昼夜間人口比率、さらに区に常住している通勤者の内東京23区または横浜市の中心部(西区と中区)を通勤地としている人の割合を表にすると以下のようになります(ちなみに参考としてあげた藤沢市は横浜市よりも東京の都心より離れていますが人口は増加しています)。
区名 | 昼夜間人口比率(%) | A | B | C |
鶴見区 | 92.0 | 29.2 | 3.8 | 4.86 |
神奈川区 | 99.9 | 26.7 | 10.3 | 2.43 |
西区 | 179.7 | 28.7 | | 3.89 |
中区 | 166.6 | 23.4 | | 1.59 |
南区 | 78.7 | 18.5 | 17.8 | -0.63 |
保土ケ谷区 | 84.0 | 21.8 | 12.9 | -0.52 |
磯子区 | 83.8 | 18.2 | 15.6 | 1.85 |
金沢区 | 93.5 | 19.0 | 9.0 | -3.33 |
港北区 | 94.0 | 32.1 | 5.7 | 4.49 |
戸塚区 | 87.0 | 23.8 | 7.2 | 0.37 |
港南区 | 78.4 | 19.5 | 12.3 | -2.55 |
旭区 | 78.8 | 17.0 | 9.7 | -1.53 |
緑区 | 82.6 | 20.8 | 4.5 | 1.57 |
瀬谷区 | 82.1 | 13.5 | 7.9 | -1.80 |
栄区 | 77.8 | 20.0 | 9.1 | -2.11 |
泉区 | 77.8 | 16.6 | 8.1 | -1.07 |
青葉区 | 77.2 | 40.6 | 2.3 | 1.83 |
都筑区 | 96.4 | 26.7 | 4.5 | 5.28 |
(参考)藤沢市 | 93.2 | 14.6 | 4.3 | 3.53 |
A:区に常住している通勤者の内東京23区を通勤地としている人の割合(%)
B:区に常住している通勤者の内横浜市中心部(西区と中区)を通勤地としている人の割合(%)
C:2010年の国勢調査人口に対する2015年の国勢調査人口の増減比(%)
人口が増加している区はおおむね東京23区を通勤地としている人の割合が高い一方、人口が減少している区はおおむね東京23区を通勤地としている人の割合が低い傾向にあります(ただし18%から22%の範囲では増加している区と減少している区が混在しています)。
一方、横浜市中心部を通勤地としている人の割合と人口の増減にはあまり関係はないように見受けられます(しいていうなら中心部に近い区では横浜市中心部を通勤地としている人の割合が高く、中心部から離れた区では横浜市中心部を通勤地としている人の割合が低いというある意味当然の結果を見いだすことができることでしょうか)。
昼夜間人口比率は……あまり関係ないですね。
東京の都心に近い区では開発もしくは再開発が進み東京で働く人がそこに住むようになって人口が増加する一方、東京の都心から離れた区では最初の開発が一段落しそこに住んでいた人がより生活に便利なところを求めた結果人口が減少しているのではないかと思われます。横浜市の中心部に近いかどうかはあまり関係ないのでしょう。そういう意味では
東京から見ると市内全域が通勤圏と見られる傾向にあるためか中心部から少し離れたところでも全く違う都市圏とはあまり感じられません。存在感がないわけではないのですが、東京のそれが周囲を圧倒してしまっているのでしょう(これについては首都圏の他の政令指定都市にも同じようなことが言えると思います。)。
ということが言えるのかもしれません。
ちなみに神戸市で同じようなことをしてみます。(ちなみに参考としてあげた明石市は神戸市よりも大阪市より離れていますが人口は増加しています)。
区名 | 昼夜間人口比率(%) | A | B | C |
東灘区 | 96.4 | 18.5 | 13.2 | 1.58 |
灘区 | 98.0 | 11.9 | 20.5 | 2.01 |
兵庫区 | 121.3 | 5.4 | 21.0 | -1.22 |
長田区 | 102.3 | 4.7 | 15.6 | -3.61 |
須磨区 | 86.7 | 6.4 | 17.5 | -2.95 |
垂水区 | 77.8 | 6.1 | 15.0 | -0.39 |
北区 | 81.7 | 7.1 | 14.1 | -3.07 |
中央区 | 219.1 | 9.1 | | 6.98 |
西区 | 94.7 | 4.8 | 11.9 | -1.37 |
(参考)明石市 | 90.1 | 5.1 | 9.8 | 0.88 |
A:区に常住している通勤者の内大阪市を通勤地としている人の割合(%)
B:区に常住している通勤者の内神戸市中央区を通勤地としている人の割合(%)
C:2010年の国勢調査人口に対する2015年の国勢調査人口の増減比(%)
人口が増加している区はおおむね大阪市を通勤地としている人の割合が高い一方、人口が減少している区はおおむね大阪市を通勤地としている人の割合が低い傾向にあります。ただし大阪市を通勤地としている人の割合は横浜市内各区における東京23区を通勤地としている人の割合より低いのが特徴的です。
一方、神戸市中央区を通勤地としている人の割合と人口の増減にはあまり関係はないように見受けられます(しいていうなら神戸市中央区に近い区ではを通勤地としている人の割合が高く、神戸市中央区から離れた区では神戸市中央区を通勤地としている人の割合が低いというある意味当然の結果を見いだすことができることでしょうか)。ただし、東灘区以外では神戸市中央区を通勤地としている人の割合が大阪市を通勤地としている人の割合より高い傾向にあることが特徴的でしょうか。
昼夜間人口比率は……あまり関係ないですね。
[91386] ニジェガロージェッツさん
また,大阪から見て通勤圏外と言われる兵庫区や長田区へは,JR線に乗れば三宮から数分(新長田で7分)しかかかりません。しかし,どうも大阪からは全く別の都市圏に感じられるそうで,これも神戸の存在感がそう言わしめているのでしょうか。
興味深いことに神戸市中央区では大阪市を通勤地としている人の割合が9.1%なのにその先の兵庫区や長田区では大阪市を通勤地としている人の割合が5%前後と低くなっています。また兵庫区や長田区では昼夜間人口比率が100%以上で高いという特徴があります。といっても住んでいる区内で働いている人がかなり多いわけでもなくどちらかというと(神戸市中央区と同様)他の市区町村から通勤者を受け入れる一方で他の市区町村に通勤者を送り出しているようです。
どうやら神戸市内に住む人のうちかなりの人は(神戸市中央区を含む)神戸市内で働くことを前提に住むところを決めているようです(実際、神戸市に常住している通勤者の内神戸市内を通勤地としている人の割合は76.0%と横浜市に常住している通勤者の内横浜市内を通勤地としている人の割合である61.0%に比べて高いです)。横浜市内に住む人には東京23区内で働くことを前提に住むところを決めている人がそれなりにいる(実際、横浜市に常住している通勤者の内東京23区を通勤地としている人の割合は24.6%で神戸市に常住している通勤者の内大阪市を通勤地としている人の割合である8.4%に比べて高いです)ことと比べると対照的かもしれません。そのあたりが神戸のもつ存在感につながるのかなとも思います。
うまくまとめようとしたのですが、あまりまとまらなくて申し訳ございません。
なお、今回のデータ作成には
[91400]で紹介した昼夜人口見える化ツールを用いたことを追記しておきます。