[65903] Issie さん
(引用者前略)・・・常用漢字表への切り替えで通常の使用の場では「丶のない塚」に統一されたものと思われます。
地名で用いられる「塚」の字体についても基本的にはこの流れに乗っているのではないかと思います。
「法人」としての自治体がその字体に特別なこだわりを見せない限り,常用漢字表への移行とともに“自動的”に標準字体である「丶のない塚」に統一されたと考えていいのでないでしょうか。
地名以外に関しては、無条件で「丶のない塚」に統一された、との話はよく理解できます。地名に関しては、「『法人』としての自治体がその字体に特別なこだわりを見せない限り」ということも、現実にありそうで理解できます。
[65962] 2008 年 8 月 7 日 (木) 16:39:38 hmt さん
常用漢字表の 前書き には、“この表は,固有名詞を対象とするものではない”と記されています。
私も、この「固有名詞を対象とするものではない」という一言がずっと引っかかっています。固有名詞はいわゆる「旧字体のまま」と考えていたのですが、現実には改称を含めなんらの手続きがなく、新字体に置き換わっているのが実態です。最近では、確固たる自信はありませんが、私はそれなりに整理して次のように仮説をたてました。
・以前からある固有名詞はこの際新字体に置き換える。ただし、特定の意思を表示して旧字体を使用することを妨げない。
・今後新たに固有名詞を定めようとする場合には、対象としない。
これにより、「丶あり塚」は原則として『自動的に』「丶なし塚」に置き換えられ(「條」→「条」なども同様)、ただし、特段の意思表示を示したものは従前どおりいわゆる「旧字体」を引続き使用している(例:奈良県五條市)という仮説です。(同様の考え方が、当用漢字の導入時にもなかったのでしょうか?)
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官報情報検索サービス(テキスト版、イメージ版)による確認した結果です。
| 施行年月日 | 自治体名 | 変更種別 | 変更対象自治体名 | 告示等年月日 | 告示等番号 |
(1) | S26.3.15 | 川辺郡宝▲町 | 町制/改称 | 川辺郡小浜村 | S26.5.4 | 総理府告示第106号 |
(2) | S29.4.1 | 宝▲市 | 新設/市制 | 武庫郡良元村,川辺郡宝▲町 | S29.3.29 | 総理府告示第315号 |
(3) | S30.3.10 | 宝▲市 | 編入 | 宝▲市,川辺郡長尾村 | S30.3.10 | 総理府告示第343号 |
(4) | S30.3.14 | 宝▲市 | 編入 | 宝▲市,川辺郡西谷村 | S30.3.14 | 総理府告示第348号 |
(5) | S30.4.1 | 伊丹市 | 境界変更 | 伊丹市,宝▲市の一部 | S30.3.31 | 総理府告示第1031号 |
(6) | H15.4.1 | 宝■市 | 特例市 | 特例市に指定 | H14.12.13 | 政令第372号 |
(6)は、イメージ版の政令を見ると明らかに「丶あり」です。テキスト版では異体字のため、「宝#市」と表記されます。
(1)~(5)は、イメージ版では文字が潰れてしまい判別できません。テキスト形式では、「丶なし」です。このため、イメージ版でも「丶なし」であるとは想像しますが、はっきりわかりません。上記で「▲」は「丶なし塚」、「■」は「丶あり塚」です。
直近の特例市の指定でも、敢えて「丶あり塚」を使用しており、
インターネット版「官報」で頻出している法務省告示の「日本国に帰化を許可する件」でも、宝づか市居住の人は「丶あり塚」を使用しています。これらから、おそらく「丶あり塚」が正式であろうと「推測します」(正式な根拠ではありませんが)。
前述の私の仮説でもある、「『宝づか市』が敢えて『丶あり塚』を使用する意思表示をしている」ことを確認したかったのですが、十分検証できず、上記仮説は推測の域を出ませんでした。
[65927][65930] でIssie さんが各自治体のHPでの表示を検証されていますが、現実に自治体で事務を行う段階で、例えば自治体名の字体が違うからといって受理できないと言うと事務が進みませんから、「許容」しているだけであると考えます。塩竈市が、「塩釜市」を許容しているように(
塩竈市HP「竈」の字の書き方)。
[65930] でIssie さんが
「戸籍関係証明交付申請書」の pdfファイル を拡大してみると,あて先の「宝塚市長」にも,本籍地の「宝塚市」という書き出しも,「丶のない塚」が使われています。市民はともかく,少なくとも“宝塚市役所”では「丶のない塚」を“公式”の表記としているものと思われます。
と述べておられますが、自治体の名称を「正式に」規定しているのは、改称であれば自治体の条例、新設合併であれば総務省等の告示ですから、ご紹介の戸籍の例は、「"公式"の表記」ではなく、単に「公式HPに掲載されているもの」に過ぎないでしょう。この例は、
・ | 正式には『丶あり塚』であるのは承知しているが、市民の便宜上、また、漢字変換の都合上(「丶あり塚」だと文字化けしやすいことがある)、あえて『丶なし塚』で代用した。 |
・ | 様式作成者(またはHP担当者)が何も考えずに「丶なし塚」を使用しただけである。 |
のいずれかでしょう。
自治体の、「『そういう部署』の担当者以外は、表記や正式な町名などに無頓着」で、公式HPなどでは誤りが多いことを拙稿
[59202] の「余談・・・・「公式文書」」の箇所でも述べております。公式HPに表現されているだけでは信憑性に乏しく、「本当の根拠」を追究することの重要性と困難さを改めて感じます。
なお、本稿は「自治体名」(行政地名)の議論であり、自治体名はきちんと一つに規定されているはずであるので答は2つとないはずだ、ということ、「地名」は揺らぎ等で表記の幅もあるであろうことを意識したうえでの投稿ですので、念のため申し添えます。