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愛ヒメと書く訳 —地名は当用漢字を超える—

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記事数=30件/更新日:2004年6月12日/編集者:special-week

宝塚市、芦屋市などは本来独自の漢字が使われているが、通常はパソコンなどで表示することができない。どうしてなのか?漢字と地名の関係を解読してみよう。

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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[568]2001年12月14日
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[568] 2001年 12月 14日(金)09:10:35miki さん
宮城県塩竈市の場合...。
この場合、公文書では「竈」を使うそうです。
しかし、字画が難しい漢字なので一般的には「釜」も使われています。
...どちらを書いても間違いではありません。
詳しい事は市HP
http://www.city.shiogama.miyagi.jp/
に書かれています。
[577] 2001年 12月 16日(日)19:53:34Issie さん
伊豫市
なるほどね。
だから1990年の「国政調査報告」までは「伊豫市」と書いてあったのが,95年から「伊予市」となってたのか。
こりゃ「官報」には載りませんな。
だって「豫」と「予」は“同じ漢字”だから。
“改称”にはなりませんからね。

そうか。
きっとほかにもこうやって“こっそり”と字や読み方を変えてしまった自治体があるのかもしれない。
「つ」の大小とか,濁点の有無とか,漢字の字体の変更とか…。
ちゃんと自治大臣(総務大臣)を通して「自治省(総務省)告示」の形で改称している自治体もありますけどね。
こんなことがあるとすると,「ケ」の大小にこだわるなんて,およそ意味のないことだなぁ…。

ま,たとえいまだに「伊豫市」が“正式”だと市が言い張ったとしても,きっと普通の人は「豫」なんて書かないでしょうね。
だって,「豫」と「予」は同じ漢字だから。
むしろ当用漢字の時代には「豫」なんて使ってはいけない文字だった。
だから「予」に書き換えたんだもの。
誰も書かなきゃ“正式”だなんて言い張ったって何の意味もない。
伊予市の判断は当然のことだと思います。
[970] 2002年 2月 25日(月)20:38:14Issie さん
庄内
庄内地方は廃藩置県4ヵ月後の1871年11月2日の府県統合で「酒田県」となりました。しかし,1875年8月31日付けで県庁が移設され「鶴岡県」となっています。
1876年8月の全国的な府県再編で米沢盆地の「置賜県」とともに村山・最上地方の「山形県」に統合されています。

「庄」と「荘」。
本来の漢字自体としては別々の文字でしょう。しかし実際の使用上は「同じ意味の文字」として扱われ,お互いに“交換可能”です。
とはいっても長年の習慣で,秋田県の「本荘」と埼玉県の「本庄」,一般名詞でも「荘園」と「庄屋」というように一応の書き分けが成立して定着していることも多いのですが。それでも,「本荘/本庄」「荘園」「庄屋」の「荘/庄」は全部語源が同じですね。

というわけで,本来は「荘内」も「庄内」もどちらの表記も“あり”です。
ただし現在ではもっぱら「庄内」の表記が広く行われ,公式の行政地名の表記としても採用されている,というわけですね。

> 旧制の中学や高女、特に公立校の分布も、人文地理的な考察には一部
> 資する様です。税務署や合同庁舎なども又然りですね。

そうそう。
実業学校も含めて,どこにどういう順番でどういう種類の学校が設置されたのか,というのは設置者である府県が地域をどのように把握していたかをある程度反映します。
別に旧制起源の伝統校に限らず,人口が急増した都市で小中学校や公立高校がどこに,どの学校を母体に設置されたかを追う,というのも面白いかもしれません。
[1088] 2002年 3月 11日(月)17:11:56miki さん
「墨田」と「隅田」
当時、「隅」という字は当用漢字になかったわけです。
常用漢字になって「隅」が登録されました。
それで同音の「墨田」が区名に選ばれたそうです。
[1702] 2002年 6月 1日(土)17:37:38miki さん
>1645
さぬき市。
あれは仕様がありませんね。
「讃」が常用漢字ではなかったですし。
それにひらがなの方がみんなに分かりやすかった...「讃岐市」だと読みにくいですからね。
東かがわ市の場合は「東香川」でも分かりますが、少し平凡だと思って「東かがわ」にしたのでしょう。
[2291] 2002年 7月 22日(月)10:14:22miki さん
ひたちなか
>我が茨城では常陸太田、ひたちなかが該当しますが、勝田と那珂湊の合併時点で既に
常陸那珂港がありながら、後者(ひたちなか)が平仮名表記になったのは何故だろう? やはり今時は仮名表記が柔らかい感じとして好感されるのかな。
...「常陸那珂」ではやっぱり少し硬いですが、それだけではありません。
やっぱり常用漢字の問題でしょう。
「常陸」は常用漢字に登録されていますが、読みが登録されていませんし、「那珂」は常用漢字に登録されていません。
[2341] 2002年 7月 28日(日)20:20:59実那川蒼[あんどれ] さん
JIS外の漢字を使った市町村
JIS外漢字が正式であるとはっきり述べているのは東京都葛飾区くらいでしょうか。
神奈川県逗子市、埼玉県蓮田市、青森県蓬田町、鹿児島県祁答院町なども
JIS外漢字が正式である可能性があります。

このうち、蓮田市は「蓮」が平成2年に人名漢字に追加されてJIS漢字と同じ字体に
なっていますが、それ以後で正式に「蓮」の字体を変更した様子はないようです。
ただし、ホームページではJIS漢字をそのまま使っています。

同じようでも、奈良県都祁村は正式に偏を示偏からネ偏に変えてJIS漢字どおりにしたとか。
[2358] 2002年 7月 31日(水)10:50:26miki さん
高知県檮原町
>JIS外漢字が正式であるとはっきり述べているのは東京都葛飾区くらいでしょうか。
>神奈川県逗子市、埼玉県蓮田市、青森県蓬田町、鹿児島県祁答院町なども
>JIS外漢字が正式である可能性があります。
高知県檮原町。
ここも微妙ですね。
新聞やHPなどでは略字を使っていますね。
P.S.
蓬田町?蓬田村ですよ。
[2366] 2002年 7月 31日(水)21:38:55いわ さん
Re: 2359
>正式な表記が別にある場合も含めて、
>自治体名が JISや当用音訓に準拠する傾向が見られるのは、
>IT進捗に伴うデータベース化を踏まえたものですかね。

一般にJIS漢字と呼んでいるものの初版、
すなわちJIS X 0208:1978を制定したときの資料によれば、
郡町村名を第一水準で表記できることを目的としたとあります。

例えば、
姶良町の「姶」、三潴町の「潴」、留辺蘂町の「蘂」などが、
企画原案時点での第二水準から第一水準へ移っています。

ただこれにも色々とありまして、
1 第二次企画で一部の文字に対して地名で使われているにもかかわらず第二水準へ移動してしまった。
2 一般的と思われている漢字表記と当該自治体の主張する表記が実は異なっていた
などにより、全ての自治体名を第一水準で表記できないといった問題はあります。

私の住んでいる某私鉄沿線の一番奥へ行くと長瀞町というところがありますが、
JIS内で表現しようとすれば当然「長瀞町」となりますが、
市のサイトを拝見すると
http://www.mojikyo.gr.jp/gif96/018/018659.gif
上の字体を使用されているようです。

長瀞町役場
http://www.town.nagatoro.saitama.jp/
[3551] 2002年 10月 4日(金)19:01:46Issie さん
飛騨
[3547]
>手持ちの陣容では出力がおぼつきませんが、要するに 「騨」 の旧字体ですよね。
>確かに 「飛騨」 と称する場合、旧字体使用例が間々見られましたね。

…というより,そもそも「新字体」というのは(当時の)当用漢字に対して適用されるものなのです。
飛騨の「騨」という字は当用漢字ではないので,新字体の適用対象ではないのです。
だから“つくり”の部分は「単」の新字体(上が“ツ”)ではなく,旧字体(“口”2つ)のままが「正式」な字体ということになります。
とはいっても,「飛騨」であることがわかればいいのだから,私たちはそんなに気にする必要はないと思いますよ。

参考までに,
手許にある高校の地図帳(検定済みの「教科書」です)では,きちんと“口2つ”の旧字体になっています。
[4878] 2002年 11月 14日(木)11:26:54まがみ さん
なぜ「飛鳥区」でないのか
[4868]ヒロオ さん
> 東京都北区ならいっそのこと区のシンボルである飛鳥山から飛鳥区とかがいいなあと思うけどねえ。

東京都北区の場合は、当初「飛鳥区」にするはずでしたが、「あすか」の読みは常用漢字には無いため、「飛鳥区」にするのを諦めたという経緯があります。

今からでも改称すればよいのですが、区名として定着していることや改称に伴う費用がかかり過ぎるから改称しないのかも知れません。
[5557] 2002年 11月 28日(木)19:17:59Issie さん
島と嶋
>「鹿嶋」と「鹿島」の漢字表記の由来,

「しま」という漢字は現在では「島」と表記するのが普通ですが,これは「当用漢字字体表」(昭和24年4月28日内閣告示)を根拠とするものです。
ここで「標準の字体」が規定されて以来,これが“唯一”の字体であるように理解されがちなのですが,本来,「島」と「嶋」は“同じ漢字”です。さらに「嶌」という字体もありますね。要は「山」と「鳥」というパーツがそろっていればいいわけで,その組み合わせ方は本来こだわりがなかったようです。その中でポピュラーだったのが「島」と「嶋」だったのでしょう。
江戸時代に「鹿嶋郡」と表記する例が多かったのは,当時は「島」よりも「嶋」の方が一般的だったということだと思います。

「当用漢字字体表」以来,わずかな字体の異同にうるさくなって,「鹿島」と「鹿嶋」とが書き分けられるようになったのですが,元々お互いの違いはないのです。むしろ,当用漢字の精神から言えば「鹿嶋市」は“間違い”なのでしょうね。漢字テストではバツを食らうことでしょう。
ただし,固有名詞の場合は規定の限りではないので,あえて「鹿嶋」という表記にしたのでしょう。それに,今は「当用漢字」よりも制限の弱い「常用漢字」だし。
[7067] 2002年 12月 28日(土)00:21:22ぎゅんた さん
閖上について
昨日このHPを知ったばかりの新参ですが、またもカキコします。
宮城県名取市に「閖上」という所があります。
ここは基本的に漁港なのですが、市街地区域については住居表示が実施されております(七丁目まである)。戦後当用漢字以外の漢字を制限する動きがあり、住居表示の実施に際しても単に当用漢字にないというだけの理由で多くの歴史的地名が消えていきましたが、この閖上の「閖」は、何と、当用漢字でないどころか、ここ名取市閖上を指すためだけに用いられているいわゆる国字(伊達の殿様が創作した漢字だそうです)なのに、ちゃんと住居表示に用いられています。その意味で名取市はエライ。
ちなみに、何と読むかご存知ですか。
ユリアゲと読みます。
[14857] 2003年 5月 7日(水)18:34:04special-week さん
こだわる自治体の漢字表記

 自治体名称の漢字表記にはかなりこだわりがあります。もちろん、茅ヶ崎市や駒ケ根市のようにヶとケの違いはアーカイブにもなっているので、それはhttp://uub.jp/arc/arc60.html をご覧になっていただければよいと思うのであえて言及いたしません。
 今回問題にしたいのは、宝塚市の「塚」や芦別市と芦屋市の「芦」の字の違いです。と言っても、この書き込みを見ただけでは「何のこと?」と疑問の方もいらっしゃるでしょう。
 それなので、まずhttp://www.city.takarazuka.hyogo.jp/ (宝塚市ホームページ)をご覧ください。左上に宝塚市という表記がありますが、よくよく見てみると字が違います。そうなんです。宝塚市の「塚」は特別な字なんですね。

 芦別市http://www.city.ashibetsu.hokkaido.jp/Cgi-bin/odb-get.exe?WIT_template=AM02000
 芦屋市http://www.city.ashiya.hyogo.jp/
 この2つの公式ホームページを見ると芦別市と芦屋市の違いが分かると思います。「芦」の字が違いますね。こういった漢字は、普通のパソコンでは表示できません。それなので、宝塚市さん、芦屋市さん、変えてください。とお願いしても無理でしょうね。長年使ってきた字ですから。
 どうして最初から普通の字を使わなかったんだろう?
[14860] 2003年 5月 7日(水)18:57:09紅葉橋律乃介[紅葉橋瑤知朗] さん
愛ヒメ県と書くわけ
[14857]special-weekさん

>芦別市と芦屋市の「芦」の字の違いです。
>どうして最初から普通の字を使わなかったんだろう?

まず、普通の字とすれば「蘆」になります。これを簡略化したのが「草かんむり+戸の旧字体」です。
パソコンでは「芦」としか表示できませんが、この文字を使う市町村では、「草かんむり+戸の旧字体」を使います。
別にこの文字を選んだわけではなく、たまたまパソコンでで使う文字に選ばれなかっただけなんです。

この他、小樽の「樽」とか、愛媛の「媛」。身近(?)なものでは葛飾などの「葛」でしょうかね。

わたしが疑問なのは、どうして市町村名ぐらい、ちゃんと表わせないのか。名字なんかよりよっぽど少ないんですが…。
[14926] 2003年 5月 8日(木)16:00:43実那川蒼[あんどれ] さん
漢字問題
[14857](special-weekさん)
[14860](紅葉橋瑤知朗さん)
常用漢字と人名用漢字は専用の漢字表がありますので、字体に関する問題は基本的に起きないのですが(例外もあり。後述します)、常用漢字表にも人名用漢字表にも含まれない漢字(表外漢字といいます)では日本政府公認の漢字表が最近までなかったので、いろいろな字体が存在するという問題がありました。一部の表外漢字については「印刷標準字体」を定めましたが、それ以外の表外漢字は放置されたままだったり、印刷標準字体とそれまで新聞社などが使っていた漢字が異なる(たとえばしんにょうの1点と2点の違い)という問題が発生してしまいました。

それに加えて、ワープロやパソコンの漢字の字体の基準になっているJIS漢字表では独自の基準によって字体が定められたので、従来の活字で伝統的に用いられてきた字体と異なる字体が定められてしまった漢字も出ました。「芦」や「葛」、「樽」がこれに当たります。

また、当用漢字に一部の漢字を追加した常用漢字の制定は1981年と新しく、これ以降に追加された人名用漢字も含めて、それ以前から自治体が使っていた漢字と異なる字体になってしまったケースもあります。「塚」や「媛」、「蓮」はこのケースです。これらの漢字は、現在表示されている字体が常用漢字または人名用漢字の字体となっています。

またJIS漢字には「包摂」というややこしい概念がありまして、たとえば「芦」の「戸」の1画目が横棒になっている字体と、左払いになっている字体と、点になっている字体の3種類がありますが、3種類の字体全てを1つのコードで扱うという決まりがあります。このような場合、3種類の字体を「使い分ける」ことはもちろん不可能で、結果としてJIS漢字の代表的な字体として挙げられている、「戸」の1画目が横棒の字体しか入力できないことになるわけです。

P.S.
愛媛県の「媛」は1990年に人名用漢字に追加され、字体が従来のものと変更になっているわけですが、それと同時に「愛媛県」の字体は人名用漢字と同じ字体に変更になったのでしょうか?
愛媛県のホームページは人名用漢字と同じ字体を使っていますね。
http://www.pref.ehime.jp/
[15376] 2003年 5月 17日(土)04:40:35実那川蒼[あんどれ] さん
村山市と当用漢字
[15208](軒下提灯さん)
でも、もっと分かりやすくて相応しいのは楯岡市でしょう。
楯岡市にならなくて村山市になったのは、「書きやすい」とか「当用漢字(現在は常用漢字)である」というのもあるのかもしれません。楯岡はどちらの漢字も当用漢字ではありません。

同時期に市制施行した尾花沢市、東根市、天童市、寒河江市、上山市
これらの市名は全て当用漢字で構成されています。

山形市内には「当用漢字にない」という理由でひらがな書きになった地名もあるそうなので、当用漢字を好むお国柄(?)があったのかもしれません。
[15608] 2003年 5月 20日(火)22:58:18ニジェガロージェッツ さん
「塚」 と 「岡」
このところ、ロシア関連ばかりレスしていたので、少々和風の話題を。

[14857]special-week さん
それなので、まずhttp://www.city.takarazuka.hyogo.jp/ (宝塚市ホームページ)をご覧ください。左上に宝塚市という表記がありますが、よくよく見てみると字が違います。そうなんです。宝塚市の「塚」は特別な字なんですね。

亀レスで申し訳ございません。
宝塚市の「塚」の文字ですが、ご指摘のように現在の「常用漢字表」のなかの「塚」の字とは異なっており、旧字体の「塚」(「豕」のうち「彡」の部分のまん中に点が入っている)です。
つまり「宝塚」の場合、「宝」は新字体、「塚」は旧字体、という変則的な自治体名です。
ところが、この「塚」の字は1981年10月に従来の「当用漢字」1850字が、「常用漢字」1945字に改訂された際、追加となった95字のうちの1字です。
ということは、1981年以前の「当用漢字」の時代(1946年から1981年)には、現在の「塚」の字は公式には存在せず、単なる略字だったということでしょうか。宝塚市が誕生した1954年当時は、今でも宝塚市が公式に使っている「点つきの塚」が正しい字であったのでしょう。

この旧当用漢字外の文字で、新たに加えられた95字の中には、地理でよく使われるところでは、「塚」の他に「崎」「岬」「杉」「渓」「潟」「堀」「桟」「縄」「垣」「屯」「竜」「磨」「仙」等でしょうか。(1978年中学校卒業の小生は、これらの文字を国語で習っていません)

しかし、一般広く使用されている字でも、常用漢字に追加されなかった字が多くあります。
最も使用頻度が高いのは[15376]にて、あんどれさんもご説明されています 「岡」ではないでしょうか?
県名で「岡山」「福岡」「静岡」があり、県庁所在地では「盛岡」が加わり、あと人口10万以上の市名では「岡崎」「長岡」「高岡」「延岡」と続きます。
この「岡」の字がなぜ常用漢字から漏れたかの経緯は存じませんが、推測するとすれば
1.「おか」の字は「丘」がある。
2.「海」に対する「おか」は「陸」。(陸を「おか」と訓読みするのは常用漢字表には、ない)
3.「岡目八目」の岡ように「かたわら、そば」を表す「おか」は「傍」。(傍を「おか」と訓読みするのは常用漢字表には、ない)
といったところでしょうか?
(ならば一層のこと、静岡市と清水市が合併したのを期に「静丘市」とやってたら???)

あと、「岡」以外に常用漢字表にない文字で、府県名に用いられているのは
「愛媛」の「媛」、大阪の「阪」、奈良、神奈川の「奈」、岐阜の「阜」、山梨の「梨」、埼玉の「埼」、栃木の「栃」、「茨城」の「茨」でしょうか。
[15642] 2003年 5月 21日(水)14:06:35紅葉橋律乃介[紅葉橋瑤知朗] さん
常用というもの
[15608]ニジェガロージェッツさん

>つまり「宝塚」の場合、「宝」は新字体、「塚」は旧字体、という変則的な自治体名です。
ところが、この「塚」の字は1981年10月に従来の「当用漢字」1850字が、「常用漢字」1945字に改訂された際、追加となった95字のうちの1字です。

 「全国市町村要覧」によると、神奈川県平塚市は現在の「塚」。ほかはほとんど旧字体で書かれているようです(どこが新字か、は抜き出していないのではっきりしませんが)。
 81年というとかなり昔のように思いますが、「常用漢字」になったからといって、自動的に新字体を使うわけではないんですね。

>あと、「岡」以外に常用漢字表にない文字で、府県名に用いられているのは
「愛媛」の「媛」、大阪の「阪」、奈良、神奈川の「奈」、岐阜の「阜」、山梨の「梨」、埼玉の「埼」、栃木の「栃」、「茨城」の「茨」でしょうか。

 実際に、その漢字は普段の言葉では使わないんですね。くだものの「ナシ」はどう書くんだろう……。

[15615]雑魚さん

>「名探偵 コナン」 の命名感覚は、「シャーロック・ホームズ」 の原作者にちなんだものでしょうか。

 コナンの“本名”江戸川コナンは、「江戸川乱歩」と「コナン・ドイル」から付けられたようです(ちなみに明日は、そのコナン・ドイルの生誕144周年)。
 「名探偵コナン」には、米花(べいか)とか拝戸(はいど)なんて地名も登場しています。

[15609]Issieさん
>「コナン」 と言えば,あたしたちだと 「未来少年コナン」 なんですなぁ。

 わたしはでるでるさんと、どうやら同い年ですが、観たのは「未来少年」が先です。主人公がのび太をやっている人だと分かった時には……。
[15733] 2003年 5月 22日(木)23:12:48【1】miki さん
地名の漢字表記
[15727]紅葉橋瑤知朗さん
私がとっている中国新聞では、2001年の3月1日から固有名詞に「龍」や「嶋」などが使用できるようになりました。
それまでは「竜ケ崎市」「竜野市」のような表記がありました。
しかし、宮城県塩竈市に至っては今でも「塩釜市」を使用しています。
[15836] 2003年 5月 24日(土)19:32:19紅葉橋律乃介[紅葉橋瑤知朗] さん
岩見澤市でもいいわけ?
[15792][15805]TKS-Hさん

 いろいろ興味深い資料の提供、ありがとうございます。

>1. 市町村の名称の字体が当用漢字字体表にない従来の字体である場合において、当用漢字字体表の字体を用いて書き表わすこととしても、地方自治法第3条第3項の規定による名称変更に該当しないものである。
2. 右の場合においても、当該市町村が不動産登記その他法令に基く手続等を行うにあたり、その名称を当用漢字字体表の字体によつて書き表わしても法令上有効なものと認められる。また、個人及び法人が各種登記その他法令に基く手続等を行うにあたつて住所を書き表わす場合、市町村名及び市町村内の町名又は字名の書き表わし方についても同様である。


 これによって、知らないうちに地名の文字が変わってしまったんですね(旧仮名遣いなのはなぜ?)。
 逆に、そのまま“旧字体”を使いつづけても良いようですね。元に戻すのも可能?

 当用漢字のはるか昔に消滅した地名は、やはり現在の字体で表記すべきなんでしょうか??


 ところで、安芸乃島関の引退が決定しました。シコ名のとおり、広島県出身です。<「安芸」は広島のことなんだ>、と“旧”国名が気になったきっかけになった力士。お疲れさまでした(年寄「藤島」襲名予定)。
[16395] 2003年 6月 7日(土)01:24:50ありがたき さん
ちょっと長い出張から帰りまして~その2 「しおがま」市にて
[16391]にてわたしが
宮城県「しおがま」市に行ってまいりました。
と書いたのは、漢字が何種類かあったものですから。

市の名前として正しいのは「塩竈市」ですが、警察署は「塩釜」警察署、郵便局も「塩釜」郵便局、駅や道路の表記でも「塩釜」が使われていました。信号に付いている交差点名では「塩釜市○○」となっていました。しかし、道路に設置の看板でも「塩竈神社」については「竈」の字を使ってました。残念ながら市役所の前を通る機会がなかったので、自分の目では未確認です。泊まったホテルは「○○塩釜」、日本通運系の運送会社は「塩竈運送」でした。パソコンの辞書のATOK15では「塩竃」という変換候補もありますが、この3泊4日では見かけませんでした。沖縄の「なわ」が「縄」「繩」みたいな感じなんでしょうか?

えっと、実は結果報告だけで特に分析はまだしてません。感覚的には、市(市役所)では「塩竈」ですが、その他の役所、公共機関等の名前は書きやすい「塩釜」、会社や施設は古いものは「塩竈」で新しいものは「塩釜」っぽい…ということくらいしかわかりませんね。
[16406] 2003年 6月 7日(土)12:25:41スナフキん さん
「しおがま市」のこと
[16395]ありがたきさん
お察しの通り、「市」の絡む施設は基本的に「塩竃」を使っています。その他官公署はもっぱら、書きやすさや読みやすさなどを優先して「塩釜」を使いますね。これは過去、わが社で表記上の問題にぶち当たった際、現地に直接問い合わせをして判明したことだそうで、あの頃から基準は特に変えられていないと思われます。神社が「塩竃」なのは歴史的経緯からでしょうね、むしろ市が「塩竃」にこだわっている理由もそれかもしれません。民間施設の営業所名などはもう個々の判断に任せているみたいですね。市の厳格な考え方になびいたほうが適当なケースもあるでしょうし、簡便な表記で済ませても問題ないケースだって当然あるでしょう。

この話はうろ覚えですが、市が管轄するところの小学校では、何と自治体の名称(すなわち、自分の住所ということになりますが)をきちっと書けるよう、常用漢字でもない「竃」の字を筆順から教えているのだとか。すごい徹底ぶりに驚いたことです。
[16409] 2003年 6月 7日(土)12:59:51まがみ さん
旧字体関係
[16395]ありがたき さん
[16406]スナフキん さん
塩竈市
[568]でも取り上げられていますが、塩竈市の見解によると、公文書関係は「塩竈市」で統一しており、ただし戸籍の届出などは「塩釜」でも受理するというような形をとっているようです。

また、塩釜市HP>市の概要>塩竈市の「竈」の書き方
http://www.city.shiogama.miyagi.jp/
にも同様の内容が載っています。それによれば、やはり「塩竈市」の字にこだわるのは、塩竈神社によるところが大きいようです。
[22662] 2003年 12月 10日(水)04:29:41EMM さん
混乱の元は戦後の国語政策
ホントは金沢市の河岸段丘の話の続きを書きたいのですが、なかなかまとまらないのでいつかの機会に書きたいと思います。
と言いつつ、別の気になった書き込みにレスをつけている私(・・;
しかも書いていたら弾みで一回消えてしまったので、書き直してます(TxT)


[22645] 太白 さん

もし、『旧字体は別の字ではないが、異字体は別の字である』というのであれば、それを合理的に説明できる理由を教えていただければ幸いです。

昭和21年に内閣訓令・内閣告示で示された「当用漢字表」、昭和24年に内閣訓令・内閣告示で示された「当用漢字字体表」、昭和56年に内閣告示で示された「常用漢字表」の中で字体が新たなもの変更・統一された漢字の、旧来使われていた字体が「旧字体」、漢字表に載った字体が「新字体」になります。
字体の変更に当たって、払いかたや点の方向、はねの有る無しなどの簡単な変更については総合的な説明で終わっていますが、字体の省略や大幅な変形、俗字への統一など、字体が大きく変わったものについては漢字表の中にわざわざ新字体に対応する旧字体がかかれています。
「豫→予」は昭和21年の当用漢字表ですでに字体が変更されています。
この旧字体と新字体については、同じ漢字であるという国のお墨付きがある、と言って良いと言うことになるでしょうか。
(と言うよりも、国がムリヤリ字の形を変えた、と言う方が適当かもしれませんが)



一方、異字体は「本来起源が同じなのに途中で字の形が変わったもので、同じ意味で使用される字」や「本来の起源は異なるものの、読みや意味が同じため、混同して使われる漢字」を総称したものになります。
現在の常用漢字表に記載されている漢字の中で、異字体が存在するものは数多くあるはずです。
かつては、同じものを漢字で書くときに、異字体が入り乱れて使われていたと考えられます。
しかし、一部は当用漢字の新字体として採用されたり、一部は当用漢字表(現・常用漢字表)と人名漢字表に「別の字」として採用されていたりしていますが、ほとんどの異字体は当用漢字の字体が定められる課程の中で完全に「通常の使用は認めない別の字」扱いされてしまっています。
悪い見方をすれば「無かったこと」になっていると言えるかもしれません。
「嶋」は「島」と起源が同じなのですが、当用漢字表や常用漢字表の中には旧字体としても出てこないので、国サイドでは「別の字」扱いされてしまうと思います。

なお、当用漢字字体表以降に字体が改正された漢字の旧字体については、多くが暫定的に(と言ってもずっと続いていますが)人名に使っても良いことになっており、戸籍法の規則で「人名用漢字許容字体表」としてまとめられています。
戸籍法は昭和23年にできており、それ以降に変更になった字体はとりあえず古いものも使える形にしておこう、と言うことだそうです。
しかし、「豫」は21年の当用漢字表で「予」に帰られてしまったので、「人名用漢字許容字体表」に入れてもらえませんでした。
そのため、現在ではほとんど使われない字になってしまっています。
戦前から苗字や地名などの固有名詞として使われていたものであれば、当用漢字に無い字でもそのまま使い続けられているので、伊予市も「かつて伊豫の国」であったことを盾にがんばっていたのでしょうが、いかんせん世の中で「豫」の字が使われなくなり、表記に混乱を来してきたか何かの理由で、[577]のIssieさんの書き込みにもあるように、「こっそり」表記を「伊予市」に統一してしまったのではないでしょうか?
この場合、当用漢字表の内閣訓令なり内閣告示なりを根拠として行ったと言うことにしたので、自治体名変更の官報告示はいらない、と言うことになっているのでしょう。

鹿嶋市の場合も、異字体の表記揺れの範囲で古文書の中に「鹿嶋」という名称が出てくる可能性は大いにあると思うので、そういうものを根拠として「常用漢字表では同じ漢字と言うことになっていない」「鹿島町」から「鹿嶋市」に漢字を変更した可能性もあるのでは、と考えてみたりします。
これはあくまで私の想像ですが。
もし、完全に新しい名称をひねり出して、そこに常用漢字表(大目に見ても人名漢字表まで)に含まれない漢字を使っていたとしたら、許してもらえるのでしょうか?
ただ、鹿嶋市の場合は「とにかく市町村合併させることが目的の」合併特例法が絡んでくるので、運用上でとんでもないウルトラCがあったかもしれませんが。

長々と書きましたが、要点だけ書いてしまえば、伊予市の漢字の変更と、鹿嶋市ができるときの「嶋」の字が採用された事例は、背景や根拠となっている法律・法令が違ったから、と言うことなのではないでしょうか。

…と、ここまで書いてから、当用漢字の件に関しては、落書き帳アーカイブスの「愛ヒメと書く訳 ―地名は当用漢字を超える―」に同じような記載がいくつかあるのを見つけてしまいました。
[22678] 2003年 12月 10日(水)21:50:23TGRS さん
帰属未定地(主に鷹島・津倉瀬)
[22460]hmtさん
[22560]オーナー グリグリさん
[22569]hmtさん
[22592]オーナー グリグリさん
『日本の島事典』(三交社1995)では、hmtさんのとおり、南方四島は我が国では唯一どこの市町村にも帰属していない地域、とされています。なぜこう判断されているのか、考えてみました。

グリグリさんが挙げられている
それでも面積推定を行っていない陸地部分の境界未定地は、[21667]で示したとおり、以下の6カ所(東京都は2カ所)があります
のうち、埋立地は島とはみなさないと思うので(「島」の定義とは?という疑問はこの際おいておきます)除外すると、3か所が残ります。
 ・東京都 南方四島
 ・三重県 紀伊長島町及び海山町入会地(大島等の島嶼)
 ・鹿児島県 鷹島および津倉瀬
『日本の島事典』にはその島の所属する自治体名が記載されているのですが、それによると
 ・南方四島 と、鯱岩(しゃちいわ)・長根(ながね)・三石(みついし)
   …八丈支庁管内
 ・大島等の島嶼(この図書中では大島・木生島・平瀬島)
   …紀伊長島町(「海山町入会地(平瀬島は紀勢町入会地)」の旨注記あり)
 ・鷹島・津倉瀬
   …笠沙町
とされています。

『日本の島事典』には「自治体名は『1992離島統計年報』などによる」と書かれていたのですが、『離島統計年報』は有人島だけを対象とした統計なので、これらの島は非掲載でした。

次に、『日本の島事典』で取り上げた島嶼は『日本島嶼一覧(改訂版)』(日本離島センター1982)を元にしている、という記述があったのですが、これによると、大島・木生島・平瀬島は紀伊長島町の、鷹島・津倉瀬は笠沙町の所属であるとされています。

おそらく、『日本の島事典』が南方四島を我が国唯一の所属未定地域としているのは、これが根拠ではないかと思います。

ちなみに、『日本島嶼一覧』を参考にしたと思われる『島嶼大事典』(日外アソシエーツ1991)には、鷹島・津倉瀬が各2つずつあります。笠沙町の鷹島・津倉瀬は宇治群島に属するもの、下甑村の鷹島・津倉瀬は甑島列島に属するもの、とされています。大島があちこちにあるように([22525]みかちゅうさん)同じ名前の島や岩礁もたくさんありますから、2つあることが間違いである、という断定は今のところできません。笠沙町の津倉瀬は「つくらんせ」、下甑島の津倉瀬は「つくらせ」という読みがふられていましたし。

今回この2つの島の存在を初めて知ったのですが、こんなところに島があるとは知りませんでした。
国土地理院の地形図閲覧サービス( http://mapbrowse.gsi.go.jp/)では、1:25000の地形図が閲覧できますが、これだと分図扱いになっているものの位置図がないので、“こんなところ加減”がわかりにくいかと思います。1:200000地勢図だと簡単にわかるのですが…。

それぞれの島嶼に対応する地形図・地勢図の図名は以下のとおりです。気になった方はぜひご覧ください。
 鷹島津倉瀬
 1:25000手打宇治群島
 1:50000手打薩摩黒島
 1:200000甑島黒島

ところで、大島等の島嶼も、鷹島・津倉瀬も、本当は「所属未定」が正しいのだと思います。とはいえ、地形図の注記にも書いてあるのですが「~等の島嶼」ってのも意外と曖昧ですね。
[22696] 2003年 12月 11日(木)02:22:41【1】faith さん
鹿児島、竜と龍
[22687] ゆうさん

以前は「鹿児嶋」「鹿兒島」「鹿兒嶋」などと書かれてたものが「当用漢字」以後、「鹿児島」へ統一されました。この場合も「改称」はされてません。
よく知らないのですが、これは、一般人の表記が今より多様だったということであって、例えば鹿児島県庁(鹿児嶋懸廰?)や鹿児島市が出す公文書では表記は決まっていたのでは?
「龍野市」が公式表記を「竜野市」に変更したとしてもそれは「改称」には当たらないのでしょう。
起源はどうあれ、字形から言っても、JISで別の漢字コードが振られていることから言っても、今では龍と竜は別の漢字と思います。

ご参考(私の意見を強化するものではないが、「龍」と「竜」の並立の経緯が手短にまとめられています)
http://www.shinchosha.co.jp/shoushin/kanji_ichiran/kanji9807.html

※「鹿児島県庁」→「鹿児島県庁や鹿児島市」に訂正。その前に「例えば」を挿入
[22704] 2003年 12月 11日(木)12:37:04太白 さん
福嶋? 廣嶋? 鹿兒嶋? 嶋根?
[22662] EMM さん
地名の漢字に関するアーカイブは読んだのですが、十分理解できていなかったので、大変勉強になりました。未収録記事ですが[15792][15805]も参考になりますね。

伊予市の漢字の変更と、鹿嶋市ができるときの「嶋」の字が採用された事例は、背景や根拠となっている法律・法令が違ったから、と言うことなのではないでしょうか。
なるほど、理念として「納得」ないし「共感」はしていないのですが、鹿嶋市問題を論理的に説明可能な考え方として「理解」いたしました。丁寧な解説をありがとうございました。

書いていたら弾みで一回消えてしまったので、書き直してます(TxT)
自分色登録されてはいかがですか? もっとも「訂正」はできても「復活」はできませんが(笑)。

一方で…

[22687] ゆう さん
「鹿児島」「鹿兒嶋」から「児」「兒」を取ると「鹿島」「鹿嶋」になるのですが、これはどう見たらよいのでしょうか。
[22696] faithさんがフォローされてますが、もし、かつて公文書上も「鹿兒嶋縣」「鹿兒嶋市」なり「嶋根縣」という表記が使われていて、特段改称の告示がされていなければ、面白い(?)ことになりますね。

[22696] faith さん
起源はどうあれ、字形から言っても、JISで別の漢字コードが振られていることから言っても、今では龍と竜は別の漢字と思います。
伊予市の「予」と「豫」も別なJISコードなので、必ずしも別の漢字かどうかの判断基準にはならないと思います。もっとも、総務(自治)省の判断基準自体に疑義があるという立場なら別ですが。
[22755] 2003年 12月 13日(土)01:25:31ゆう さん
地名の文字の話
地名の文字関係にご意見くださった皆さんありがとうございます。
特にEMMさんの[22730]は共感する部分が多かったです。

[22696]faithさん
「龍」と「竜」の並立の経緯が手短にまとめられています
拙稿[22687]では、各字が当用漢字・常用漢字にどのように採録され、またはされなかったかの検討をしていませんでしたね。
ところで、 [15805]TKS-Hさんご紹介の「自治庁行政局通知」の別紙、文部省調査局長の回答でもひかれている「公用文作成の要領」に興味深い記述をみつけました。
当用漢字表以外の漢字についても、当用漢字字体表の字体に準じた字体を用いてもよい。
いわゆる「表外字」の扱いの話題は当用漢字直後からあったんですね。

[22696]faithさん
これは、一般人の表記が今より多様だったということであって、例えば鹿児島県庁(鹿児嶋懸廰?)や鹿児島市が出す公文書では表記は決まっていたのでは?
鹿児島県や鹿児島市での公文書の扱いは調べきれていないのですが、mikiさんの[568]や、まがみさんの[16409]でも紹介されている塩竃の例は示唆的です。
http://www.city.shiogama.miyagi.jp/01/kamakakikata/kakikata.htm
町時代には、公文書でも「釜」を使用することがありました。
公文書の表記が必ずしも統一されていた訳ではないことの例だと思います。特に、「竃」と「釜」とは字義も違う「完全な別の字」です。

昭和57年にアンケートを行い、(略)市民の55%から「不便を感じない」といった回答
この1982年・55%という数をどう見るかは難しいですね。

いずれにしても、現在のように印刷業関連に従事していない者が簡単に「活字書体」を入手できるようになったのはつい最近のことだという事実も考慮しておく必要があると思います。


それで、元々の「鹿嶋市」の問題ですが、「『常陸鹿島市』や『新鹿島市』などではどうしても嫌」という市側と、「『鹿島市』は絶対に駄目」という国側の双方の妥協によるものですから、それが他との整合性に疑いがあるのは承知の上での措置だと理解しています。(それでもあーだこーだいいたくなるのは…)



一方、JISコードがらみの話題ですが…
[22731]スナフキんさん
正確に表記するため、実際には他の文字から部首の一部を引っ張ってきて合成し、何とかうまい具合に表現できるように
ご苦労お察し申し上げますが、これは電子化以前から共通の問題ではないでしょうか。つまり、活版印刷のほうが、新たな活字を起こすコストは大きかったことと思います。

[22730]でEMMさんも述べられてますが、工業規格というものは想定する使用目的と制定時の技術水準が 大きな影響を与えます。特に技術水準は重要で、JIS漢字コードがはじめて制定された1978年当時、それをフル実装するのは大変なことでした。使用目的で言えば、規格とは関係ありませんが、0ゼロとOオー、1イチとIアイを区別しない刻印機もあります。工業製品とはそういうものではないでしょうか。
とはいえ、その後の変化に対応すべく新しい規格も策定されています(JIS X 0212《補助漢字》やJIS X 0213《第3,4水準漢字》)。事情があって広く普及するまでには至ってませんが。

それから、かつて[15014]にも書いたのですが(…ん?)、JIS漢字は字体を定めた規格ではありません。ですから「PCで表現できない文字」というのは正しくなくて「情報交換できない文字」とでも言うべきものです。
[29229] 2004年 6月 12日(土)02:02:17実那川蒼[あんどれ] さん
市名復活、人名用漢字追加、電略
[29225](作々さん)
出水市・高尾野町・野田町合併協議会の新市名称選定委員会が10日の協議会後に開かれ、前回までに18点(らしい)候補を「出水市」「いずみ市」「泉市」「新出水市」「北薩市」の5点に絞り込みました。7月8日に最終決定されるそうです。
「泉市」だと守山市(愛知県→滋賀県)に次いで2度目の市名復活ですか?
「北薩市」ですか。鹿児島県民は「薩摩」「さつま」が好きなんですね。旧国名(およびその通称)が好きな都道府県はほかには長野県の「信州」と、あとどこなんでしょうか?

さて、人名用漢字が大幅に増加されますが、その中には「薩」も含まれています(正しくはJIS X 0208:1997の例示字体≒MS明朝の字体ではなくていわゆる「正字」)。それだけではなく、都道府県名、および都道府県庁所在地の市名、さらには特別区の区名のすべての漢字が常用漢字・人名用漢字の範囲内で書けるようになります。ちなみにすべての市名はフォローしていません(一部だけ調べたところ、砺波市の「砺」と鯖江市の「鯖」が入っていない)。

[29159](みかちゅうさん)
佐伯 さえき ヘキ
「さいき」が正しい読み方です。ちなみにビーチバレーの佐伯美香選手も「さいき」と読みます。この辺にはこだわっておきたいので(謎)。

電略というと、東京は(旧管理局名は省略)「トウ」、名古屋は「ナコ」と素直なのに、京都は「キト」、大阪は「オサ」、神戸は「コヘ」と関西の主要駅は揃いも揃って素直じゃありません(笑)。

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