[97112]他 千本桜さん
「伊豆地方のDID名称論争」で話がかみ合わない理由、ここまで来て思ったのは、どうも「名づけの視点」が違うのではないか、ということになるのでは、と感じてしまうのですが。
私がDID名称を考えるのにあたっては、もちろんまず自治体名や古くから使われている地名などを採用するのが優先ですが、それと共に「なるべく(その地域になじみがない人にも)わかりやすい名称にする」と言うことを考え、また「複数の自治体にまたがる場合などは、あまり長い名称を避けるため、連名は2つまでに、地域を統合する名称があればこれを使う」と言ったことも考慮に入れた上で、(もちろん全国を調べまくると言うような暇はないので)まずいくつか当たったところから「あくまで自分で考えた名称をつける」というものでした。
「函南」の件で迷ったのは、まさに
[97109]で千本桜さんがおっしゃる通りで、以前から「函南駅」のイメージがどうしても先行し、駅から遠く別の線の駅が最寄になっている、町域の外れにある地域が実際の中心地になっていることがなかなか飲み込めなかったのがその原因でした。
その函南町ですが、
[97115] で ekinenpyouさんから情報が出てきましたので、じっくり拝見させていただきました。
函南町立函南小学校の学校沿革より(所在地は仁田148)
明治6年6月20日
「第二大学区第一番中学区第八小学校函南学校」として大土肥妙高寺に開校
明治の大合併よりも前に中郷・函南という名称が使われていた
具体例を紹介しておきます
「函南」と言う名称が、この学校名が初出だと言うことになると、明治22年の合併・町村制施行による「函南村(→町)」の名称は、その学校名に由来する地名、と考えることができそうです。
>ぺとぺとさん
「学校由来地名」、ご検討をお願いいたします。
そこでやはり気になったのが、なぜ函南村にできた駿豆線の駅が「伊豆仁田」になったのか、と言うこと。
[97091] で書いていた
函南村は誕生から既に30年余りを過ぎていたとはいえ、「函嶺【=箱根】(中略)の南」ということから名づけられた人為的な名称であり、その頃はまだ地名として成熟してはおらず
と言うくだりは誤りだったとわかったので訂正しますが、だとすると、すでに定着している「函南」を採らず、あえて「仁田」を名乗ったのかというのが「謎」めいてきます。
[97091] に書いたように
【郷土の英雄である】仁田四郎の高い知名度と、その末裔の尽力によってできた駅ということで、「仁田」のつく駅名が採用された
と言うことで、駅付近の地名であると同時に、「郷土の英雄と、開業に尽力したその末裔とを顕彰した、一種の『人名由来駅名』でもある」と言う一面も持つのではないか、とあれこれ考えたのですが、本当はどうだったのでしょうか。
「伊豆仁田」駅の開業から12年後、東海道線の熱海廻りの新ルートが全通することになり、当初は函南村内に駅が作られる予定がなかったのが、当時の村民の新駅誘致運動が奏功し、新線開通と同時に「函南」駅の開業にこぎつけた、と言う話は
[97091]で書き込んでいたのですが、函南村民の誘致運動によってできた、村内とはいえ中心集落からは遠い場所にある新駅が、村名を取って「函南」駅になった結果、「村の中心から離れた場所にある駅が村の名を名乗る」「村の(実質)中心駅は別の名の駅」と言うことになって、よその人から見ればわかりにくいと言う結果になってしまった、と言うことでしょうか。
ここで函南町内にある2つの鉄道駅、函南駅と伊豆仁田駅の利用客数について調べてみると、「伊豆箱根」の最新データがないようなので、少し古い数値になりますが、wikiによると、両者を比較できる最新年である2004年についてみると、函南駅が2,115人(1日当り平均乗客数)、伊豆仁田駅は1,699人(同)と、函南駅のほうが優勢です。これは、大幹線上にある駅とローカル私鉄の駅(いずれも「鈍行」しか停車しない)との差、また東京方面に出るのには函南駅のほうがより有利、と言ったことも考えられますが、函南駅付近には月ぎめの駐車場が多数存在する(wikiによる)と言うので、伊豆仁田駅のほうがより近い人でも、マイカーで函南駅に出て東海道線を使う人がかなりいるのではないかと言うこと(大場駅と函南駅を結ぶバスもありますが、1時間に1本あるかないか(
伊豆箱根バス時刻表より)で、函南駅(日中1時間に3本程度)・伊豆仁田駅(1時間に4本程度)に発着する電車の本数に比べてかなり少ない)、それと北隣にある大場駅は住所は三島市ですが函南町との境界近くにあり、境界線に近い間宮・仁田地区のそれぞれ北部など、大場駅を利用する人もかなりの数に上るとみられること(大場駅の2004年の乗客数は2,978人)、さらに伊豆仁田駅の近くに県立田方農業高校があり、その通学生の利用が駅の利用者数の中でかなりのウェートを占めると思われることなどを総合して考えると、市街地から遠く立地条件としてはやや不便とは言うものの、利用者数で勝る函南駅のほうが、「函南町の代表駅」としては伊豆仁田駅よりふさわしいのかもしれませんが、いかがなものでしょうか。
余談ですが、現存の市について、「(DIDのある)中心地域にある駅が市名と異なる駅名で、後から市街地から離れた場所に作られた市名と同名の駅がある」、という例としては、まず
千曲市(DIDがあるのは、旧更埴市の屋代駅周辺と、千曲川の西側にある稲荷山地区、それと千曲川を挟んで旧戸倉・上山田両町にまたがる戸倉上山田温泉の3箇所。千曲駅の周辺にはDIDがなく、市役所の最寄り駅でもない)あたりが思い浮かんだのですが、他にもこういう例はあるのでしょうか。
なお、「中郷」のほうは、これも村の誕生前に学校名に使われたと言うことですが、
[97115] で添付されている「大日本地名辞書」の記事を見る限りでは、おそらく江戸時代から既にこの地域一帯を示す広域名称として使われていたと思われるので、「学校由来地名」には当たらないでしょう。
川奈駅付近のDIDは、
[97091]に書いた通り、やはり「川奈」でよいと思います。隣接地区の「玖須美元和田」との間には、過去の複雑な経緯があってややこしいようですが、わざわざ3地名連続で長く言いにくい名称にするよりも、ゴルフ場などの知名度で圧倒し人口分布でも優位である「川奈」で代表させたほうが「簡潔でわかりやすい」と思ったからです。
静岡県内では、
富士市から富士宮市にかけての地域とか、その西の富士川と薩[土垂]峠の間、旧東海道沿いに
旧富士川・蒲原・由比の各町にかけて連続する地域とか、他にも名称で揉めそうな地域がいくつかありそうですが、他のメンバーの方々の守備範囲に入るようですので、これ以上タッチしないことにします。
さて、ここからは「観光経県値」について。まだまだ「試行錯誤」の段階が続いているようですが、現段階で公開されている表に基づいて計算したてところ、
191点と言うことになりました。この数字は果たして「かなり高い」と言うことになるのでしょうか?
「観光経県値」作成に当たって、「観光した」との定義は、次のように決めることにしています。
・その市区町村の経県値(認市区町村度)が「●」(3・歩いた)以上である
・市区町村経県値が「●」の場合でも、ビジネスやショッピングのみが目的の場合、乗換えなどのために短い区間を歩いただけの場合は「観光した」ことに該当しない(ビジネスでの出張でも、帰りにできた余裕時間を使って観光地に立ち寄ったりした場合は『観光した』とした)
・市区町村経県値が「○」(4・泊まった)であっても、ただ宿泊のみが目的であった場合(ビジネスホテルなど)は「観光した」としない(宿泊が主目的でも、温泉旅館やリゾートホテルの場合は『観光した』ことに該当するとした)
「観光したことがない」地域は、全国47×5=235地域のうち、44地域となりました。そのうち、「該当する範囲の全市町村に一度も足を踏み入れていない(通過もしていない)」地域は、離島地域など、ざっと数えて12箇所ほど。その他は「ビジネスのみ」、「通過のみ」か「乗換えや、SA・PAでの休憩のみ」と言ったところ。その大半はやはり西日本ですが、関東近辺では、茨城県「古河・下妻」(五霞町の「中の島公園」への社用(
[65870])と、あと30数年前の常総線~水戸線~旧筑波鉄道の乗り換えのみ)と山梨県「都留・大月」(大月駅での中央線~富士急の乗換えと、上野原市の「談合坂SA」での休憩のみ)の2箇所が「観光未経県」で残っていました。
「観光した」エリアが全くない県はなく、1つのみなのは、徳島県と鹿児島県。鹿児島県は、観光した鹿児島市(桜島を含む)と指宿市(
[81852])が同一エリアになっていたためであり、結局「観光経県値」が最も低いのは徳島県(阿波踊り見物のみ)と言うことになりました。
県内全エリアが「観光した」ことになった県は、26都道県がありましたが、「広大なエリア内の1市町村だけとか、端っこだけ」と言うところも結構あり、たとえば北海道の場合、地域が広大で短期間ではとても広い範囲を回るのが困難なこともあり、「旭川・富良野」ブロックでは、上川町の層雲峡のみ(旭川市にも宿泊していますが、観光目的の旅行とはいえ、駅前のビジネスホテルに泊まっただけで町歩きはせず)、「釧路・帯広」も、「濃霧で湖面が全く見えなかった」摩周湖(
[65698])・屈斜路湖など(弟子屈町)と、現在は釧路市の一部となっている阿寒湖を見ただけで、その帰りに釧路空港から羽田へ直行。「網走・稚内」も、観光したのは宗谷岬(稚内市)とサロベツ原野(豊富町)、それと知床半島(斜里町)という、それぞれ「端っこ」に当たる部分でした。
♯各県別の観光ブロックの分け方と、名称についての話題には、また暇があったら反応するかと思っています…。
【1】誤字訂正他
【2】函南駅などの利用客数比較について追記