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88さんの記事が10件見つかりました

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[80270] 2012年 2月 11日(土)12:30:4788 さん
合併に際しての地名の表記について その1(事実編)
[80250] hmt さん
[80251] Issie さん
市区町村変遷情報をご活用いただきありがとうございます。
[80251] Issie さん の
「町村制村」の名前は,さらなる合併でその村自体が消滅してしまえば一緒に消えてしまいます。所詮,新しく“デッチ上げられた”地名に過ぎない,ということなのかもしれません。
は、まったく同意見です。
hmtさんによる事例研究も、その通りかと思います。
付け加えるならば、私は現状を次のように見ています。
(1)明治の大合併時に誕生した、従来はその名称が存在しなかった「『町村制』村」は、昭和の大合併の時にかなり消滅した。旧大字名≒明治に大合併時の直前の町村名≒近世村名は、新自治体の町名・大字名等として活用することにより、存続した。
(2)昭和の大合併で誕生した町村名は、平成の大合併において、「合併前の町村名を尊重する」との名のもとに、引き続き利用されている。
 具体的には、従来の大字名の前に冠することによって「○○町△△」(○○:昭和の大合併時の町村名、△△:旧大字名≒近世村名)とされたところが多い。
(3)地方自治法上の正式な町名・字名は「○○町△△」を一纏めとして行うことが正式である。(注:例外あり)
 しかし、自治体の記載、報道などでは「○○町」までで止められ、正式な「○○町△△」とされることは少数派である(「□□市○○町」が座りがよいためか、単に「○○町」が町名、と意識されるためか)。このため、いわば“デッチあげられた”地名である「○○」が残存し、本来の歴史ある地名である「△△」が軽視されている現状がある。さらに、町名変更などの際に消滅する懸念がある。

私なりの見解の総括は、末尾にまとめて述べます。
――――――――――
具体例をご紹介しながら述べます。
まず、地方自治法
第260条 政令で特別の定をする場合を除く外、市町村の区域内の町若しくは字の区域をあらたに画し若しくはこれを廃止し、又は町若しくは字の区域若しくはその名称を変更しようとするときは、市町村長が当該市町村の議会の議決を経てこれを定め、都道府県知事に届け出なければならない。
を掲示しておきます。

事例として、近年の各種災害の発生時において、報道等に際しての地名の表記を挙げます。まずは、基本的に事実等のみを述べます。
■1「五條市大塔町」(平成23年(2011年)の紀伊半島等における台風12号による被害)
奈良県HPの記事
台風12号被害状況の視察(五條市大塔町)
五條市大塔町内まで
朝日新聞
五條市大塔町の赤谷地区にできた土砂ダム
毎日新聞
奈良県五條市大塔町赤谷、同県十津川村長殿にできた土砂ダム
▼正式な表記
新生五條市合併協議会(第3回)協議「第8号町名・字名の取扱いについて」(pdfファイル)の、協議会での決定事項では、「吉野郡大塔村」を「五條市大塔町」に置き換えることが「見た目」の変化ですが、実は、ポイントは
現在の大字の区域をもって、町の区域を新たに画することとする
というところです。つまり、従来の「大字辻堂」という「大字」の区域をもって、「大塔町辻堂」という「町」の区域を画する、ということです。
「大塔町」ではなく「大塔町辻堂」が、地方自治法第260条の「町」の区域である、ということの趣旨です。
実際には、正式な根拠であるH17.7.19付け奈良県告示第231号 (pdfファイル)は次のとおりです。
奈良県告示第二百三十一号
地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百六十条第一項の規定により、五條市長から次のとおり字の名称を変更する旨の届出があった。
この処分は、平成十七年九月二十五日からその効力を生ずる。
(略)
平成十七年七月十九日
奈良県知事 柿本善也
新町名現字名
(略)(略)
大塔町辻堂大字辻堂
大塔町殿野大字殿野
(略)(略)
「大字辻堂」という「字」(大字)が、「大塔町辻堂」という「字」(大字)に名称を変更した、ということです。「字」の区域は、変更がありません。
「五條市」の下位区分に「大塔町」があり、そのさらに下位区分として「辻堂」「殿野」があるのでは決してありません。「五條市」の下位区分として「大塔町辻堂」「大塔町殿野」があるのです。一段階です。
さらに、「大塔町赤谷」は、存在しません。

歴史を振り返ります。
「大塔」は、M22.4.1付け奈良県町村制施行時吉野郡 大塔村として発足し、由来は、Wikipediaによると、
後醍醐天皇の皇子、大塔宮護良親王が元弘の変の際にこの地の豪族戸野兵衛・竹原八郎らに匿われたことに由来する。
とのことです(参考)。
一方、「辻堂」「殿野」は、この町村制施行前の近世村として「辻堂村」「殿野村」が存在しており、大塔村発足後はこれらの地域は「大字辻堂」「大字殿野」となっていました。
「大塔村」という自治体が町村制以前にあったのではないようです。
五條市HP内の旧大塔村の歩みでも、「大塔町」という町名があるかのような表現をしています。
「赤谷」は、赤谷緑地公園や各種資料の位置関係などから、五條市大塔町清水の一部であるようです。

■2「輪島市門前町」(平成19年(2007年)の能登半島地震における報道)
国土交通省北陸地方整備局HP「第1章 能登半島地震の概要」(pdf)3コマ目(p.7)
輪島市門前町から志賀町にかけて
中日新聞記事(記者コラム;窓)
輪島市門前町で避難所運営に
▼正式な表記
輪島市HP内(合併に伴う)住所のご案内
例えば、輪島市門前総合支所(旧鳳珠郡門前町役場)の住所は、次のように変更になりました。
石川県鳳珠郡門前町字走出6の69番地 → 石川県輪島市門前町走出6の69番地
元々の「門前」は、市制町村制施行(石川県)鳳至郡 櫛比村となった時の従前の 鳳至郡 門前村であり、「走出」は 鳳至郡 走出村でした。「櫛比」は、この付近が櫛比郷であることからの名称のようです。「門前」は、曹洞宗大本山總持寺祖院(元々は横浜市鶴見区に移転した曹洞宗大本山總持寺)に由来します。
これを、輪島市との合併前の 鳳珠郡(←鳳至郡) 門前町 では、「字走出」という、実質的にいわゆる大字として取り扱って(地番区域も近世村(=走出村)単位と思われる)表記していたのでしょう。
輪島市・門前町合併協議会第3回協議会会議録(pdfファイル)の17コマ、第3回合併協議会会議資料(pdfファイル)の99コマに、記載があり、輪島市としての町または字の設定の告示がweb上に見当たりませんが、協議のまま確定したとすると、
従前の町・字の名称の前に「門前町」を付し、住居表示上の「字」は表記しない。
であるので、「門前町走出」「門前町門前」が、現在の町または字の名称及び区域でしょう。(輪島市の正式な町・字の告示は、web上には見当たりませんでした。)
由来からみると、現在の「門前町門前」の範囲が本来の「門前」でしょう。

■3 平成22年(2010年)の奄美大島豪雨
「奄美市住用町」
日テレnews24内豪雨報道

奄美豪雨 奄美市住用町から中継
読売新聞鹿児島地域記事
奄美市住用町で
▼正式な表記
奄美市HP「合併後の住所表示」も参照してください。
また、長文の引用ですが、第16回協議会(平成17年3月10日開催)報告第26号(pdfファイル)
18/129頁を転載します。
協議第31号
町名・字名の取扱いについて
町名・字名の取扱いについては,次のとおり提案する。
1 町・字の区域は現行のとおりとする。
2 町・字の名称については,次のとおりとする。
(1) 名瀬市については,従前の町名又は,大字に名瀬を冠したものをもって大字とする。
(2) 笠利町については,従前の町名を従前の大字に冠したものをもって,大字とする。
(3) 住用村については,従前の村名を町名とし,これを従前の大字に冠したものをもって,大字とする。
3 前項については,地域自治区の設置期間終了後に適用することとする。
平成16年12月24日提出(平成17年1月7日承認)
奄美大島地区合併協議会
会 長 平田 隆義
「住用町」は、奄美大島地区合併協議会において、
名瀬市,大島郡住用村及び同郡笠利町の廃置分合に伴う地域自治区の設置に関する協議書で設置された、S40.3.29法律第6号市町村の合併の特例に関する法律(現在では廃止済)の第5条の5による「地域自治区」の名称です。
S40.3.29法律第6号市町村の合併の特例に関する法律
(地域自治区の設置手続等の特例)
第5条の5 市町村の合併に際しては、地方自治法第202条の4第1項の規定にかかわらず、合併関係市町村の協議で定める期間に限り、合併市町村の区域の一部の区域に、一又は二以上の合併関係市町村の区域であつた区域をその区域とする同項に規定する地域自治区(以下「合併関係市町村の区域による地域自治区」という。)を設けることができる。
2 市町村の合併に際し、合併市町村の区域の全部又は一部の区域に、合併関係市町村の区域による地域自治区を設ける場合においては、地方自治法第202条の4から第202条の8までの規定により条例で定めるものとされている事項については、合併関係市町村の協議により定めるものとする。
3 前二項の協議については、合併関係市町村の議会の議決を経るものとし、その協議が成立したときは、合併関係市町村は、直ちにその内容を告示しなければならない。
4 合併市町村は、第一項及び第二項の協議により定められた事項を変更しようとするときは、条例でこれを定めなければならない。
この地域自治区は、前述の名瀬市,大島郡住用村及び同郡笠利町の廃置分合に伴う地域自治区の設置に関する協議書第3条の規定により、平成28年3月31日まで設置されます。

通常は、町・字の名称又は区域の変更があれば、新設合併施行時のH18.3.20付けで、地方自治法第260条第2項 ([80177]参照。鹿児島県ではなく奄美市告示)により、行われるのですが、上記合併協議会での決定事項「3 前項については,地域自治区の設置期間終了後に適用することとする。」により、
地域自治区大字
~H28.3.31住用町大字役勝
H28.4.1~住用町大字役勝
ということになります。
M41.4.1付け大島郡 沖縄県及島嶼町村制施行時の大島郡 住用村になるまでは、村名としての「住用」はありません。もっとも、「住用方」と呼ばれた地域ではあったようです(作々さんHP内の市制町村制以前の町村名(鹿児島県))。

報道された時点では、「奄美市住用町」とは、「自治体名+地域自治区名」であり、現時点でも同様です。この点、「五條市大塔町」「輪島市門前町」とは事例が異なります。
ただし、前述の規定により地域自治区が廃止されたH28.4.1以降に「奄美市住用町」と表記すると、「五條市大塔町」「輪島市門前町」と同様になります。


次稿に続きます。
[80263] 2012年 2月 9日(木)00:32:3488 さん
★祝 変遷情報検索
[80254] グリグリ さん からアナウンスのあった、市区町村変遷情報変遷情報検索。グリグリさんから幾つか利用方法の例示があり、hmtさんも[80257]加積を試していただいています。
皆さんもいろいろと試していることと思いますが、何かと、遊べる機能であると思います。市区町村変遷情報が、ますます、「生きる」機能であると思います。
これもひとえに、こうしたHPの場を提供し、市区町村変遷情報の編集作業・表示が容易なプログラム・システムを作成し、今回の変遷情報検索機能をも作成した、グリグリさんに負うところが大きいのは言うまでもありません。また、編集作業に際し、落書き帳その他の場でご意見・ご指摘を多数お寄せくださった皆さんに、改めて感謝申し上げます。

こうして変遷情報検索を試してみると、改めて、個々の情報の精度が求められることを実感しております。未だにご指摘に対応できていないものも多数あります。例えば、最近はずっと[78466]以降のむっくんさんによる東京府関連の情報の確認作業を行っているのですが、複雑かつ悩ましいものも多く、なかなか、前に進んでおりません。各種宿題ばかりが山積しておりますので、少しでも減らしたいと思います。

――――――――――
せっかくですので、変遷情報検索の事例を、私ならではの観点から。

まずは、個人的な地元である、高松、ついでにお隣の松山

グリグリさんが[80254]で例示していただいた八幡は、[79692]拙稿での記述を踏まえたものと想像します。
その[79692]で触れた、大野中野小野

編集作業の過程で、結構よく見かけた町村名の一つ、河内
多いとまでは言えないものの、珍しくもなかった、在家

全国にあるのが自明である、府中国府国分

全国に同一の地名は複数ある方が自然である、という例示でした。

――――――――――
[80260] グリグリ さん 
西彼杵郡 雪浦村の件、確認の上、修正しました。失礼しました。
 
[80178] 2012年 1月 21日(土)22:29:5588 さん
地番区域、町・字(大字・小字)について
地番区域に着目して、いくつか例を示しながら、(自治体の中の)町・字(大字・小字)について述べます。長久手市の例と同様の事例・類似の事例もあります。

香川県高松市が、S31.9.30付けで周辺15町村を編入合併した際の、町名設定時のS31.9.30高松市告示第105号の5
の抜粋です。
・・(15町村を)廃し,その区域を高松市に編入したので同区域に町を設立しその町名を次の通り定め,昭和31年9月30日から施行する。
設定町名同左区域
東山崎町旧川添村大字山崎の区域
三谷町旧三谷村の区域
香西東町旧香西町字新田の区域
香西本町旧香西町字香西の区域
香西南町旧香西町字西打の区域
香西西町旧香西町字平賀上の区域
香西北町旧香西町字平賀下の区域
西山崎町旧円座村大字山崎の区域
鬼無町旧上笠居村の区域
中山町旧下笠居村字中山の区域
植松町旧下笠居村字植松の区域
生島町旧下笠居村字生島の区域
神在川窪町旧下笠居村字川窪の区域
亀水町旧下笠居村字亀水の区域
例えば、東山崎町, 西山崎町 は、それぞれ直前は木田郡(旧山田郡)川添村大字山崎, 香川郡円座村大字山崎 ですが、元をたどれば、山田郡山崎村, 香川郡山崎村 です。三谷町は、直前の香川郡三谷村がM23.2.15には(高野村(微)を除くと)単独でそのまま町村制を施行しましたので、やはり近世村単位です。
これらは、いずれも、近世村=(高松市における地方自治法上の)町=地番区域です。

一方、上記の旧香川郡香西町(元は中笠居村), 上笠居村, 下笠居村 は、小字単位の地番区域です。旧上笠居村は、上記告示の約2箇月後に、次のとおり町名が変更となりました。
S31.11.19高松市告示第122号
高松市鬼無町の町名を次の通り変更し,昭和31年11月19日より施行する。
設定町名同左区域
鬼無町是竹旧上笠居村字是竹
鬼無町佐料旧上笠居村字佐料
鬼無町藤井旧上笠居村字藤井
鬼無町佐藤旧上笠居村字佐藤
鬼無町山口旧上笠居村字山口
鬼無町鬼無旧上笠居村字鬼無
現在の香川県立高松西高等学校を例に述べます([49211]拙稿でも書いていますが、改めて)。
S31.9.30からS31.11.18までの間は、例えば町名が「鬼無町」でしたが、地番区域が字(小字)単位であったので、「鬼無町257番1」では、字山口に限らず6つの字のうちで特定ができないため、必ず「字山口」を表示する必要がありました。
S31.11.19からは、町名が「鬼無町山口」となったので、その町名のあとに「257番1」となりました。
現在は、(元)小字=(高松市における地方自治法上の)町にいわば昇格=地番区域です。
正式には「鬼無町」という町はないのですが、「○○町」=町 という誤解が浸透しており、そのままの誤った使用が多々見られます(香川県HP内など。ちなみに同ページ内の「国分寺町」との表記も誤り。正しくは国分寺町新居、国分寺町国分など)。
#wikipediaの「鬼無町藤井、鬼無町是竹、鬼無町佐料、鬼無町佐藤、鬼無町山口、鬼無町鬼無の6町からなる」との表記は正しい。同ページ中の2.2 町名の変遷 欄も参照。
高松市例規集第1編 通規/第1章 通則にある
(高松市)公称町名一覧表も参照。これは、地方自治法第260条第2項に基づき告示された町名をまとめたものと推測。
#高松西高校所在地の「地番」は「高松市鬼無町山口257番1」(小字なし)、「住所」は「高松市鬼無町山口257番地1」。

この例で、例えば「高松市山口町」「高松市是竹町」などとなっていれば、今回の長久手市の例と同様となります。一方、旧下笠居村の例は、旧小字が市の町名となったという意味では、長久手市の例と同様でしょう。旧中笠居村→香西町の例も、旧小字名そのものではなく、東西南北本をつけたとは言え、類似の例でしょう。
結果的に、この隣接した、旧上笠居村・旧中笠居村→香西町・旧下笠居村の3村とも、いずれも、元々は小字単位の地番区域です。いずれも、結果的に小字が町名に昇格?し、現在では町単位での地番区域で、「小字なし地域」となっています。区画整理事業があったわけではありません。
#香川郡香西町字平賀上→(現)高松市香西西町(小字なし)、の例・・高松市香西西町297番5(地価公示・地価調査マップより)
なお、「高松市上笠居町」「高松市中笠居町」とならなかったため、「上笠居」「中笠居」と使用例を聞くことは今日ではまずありません。
「下笠居」は、高松市立下笠居小学校高松市立下笠居中学校下笠居郵便局などにその名残があります。

さきほどふれた、「高松市鬼無町」と「高松市鬼無町山口」との関係、「高松市国分寺町」と「高松市国分寺町新居」との関係。この2つの違いは大きいのです。
「高松市国分寺町新居」には、下位にさらに「字○○」があるのです。この字(小字)は、地番区域ではないので、不動産取引時等を除いて通常は(*)省きます。国分寺町新居、つまり近世村の「新居村」が地番区域です。
例:高松市国分寺町新居字下向田1558番
そして、同様に近世村単位が地番区域であり、その下位区分として小字がある事例として、旧山田郡山崎村である、高松市東山崎町字八反地347番6も例示します。

香川県内では、大半が、近世村単位の地番区域であり、小字単位の地番区域はわずかです。

#地番区域を導入するときの制度や時代背景について、また、全国における地番区域の設定の例(近世村単位か、小字単位か、など)については、[66728][66729]拙稿でもご紹介していますのでご参照ください。地域による相違も大きいようです。

(*)「通常は」の件については、別途、近日中に詳細版を執筆中です。実は、これに関する投稿は、3年以上前から書き足し書き足ししていたのですが、これを機会に、遂に、上梓することといたします。
[80177] 2012年 1月 21日(土)21:58:3488 さん
市町村の区域内の町・字の変更等の告示について~知事が行うか市町村長が行うか
[80176]で触れた、S22.4.17法律第67号地方自治法の、第252条の17の2を受けた、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村の長が管理し及び執行する件についての、全国の調査結果です。各都道府県ごとに、例規集のトップページ並びに根拠となる条例及びその結果事務を管理し執行する市町村を記しました。調査対象とした事務は、第260条第1項及び第2項の、市町村の区域内の町・字の区域の変更等の、届出・告示の事務に関しての条例の制定状況は、次のとおりです。
あらかじめお断りです。個々の条例へ直接リンクがつながらず、各都道府県の例規集のトップページからログインした後で、個々の条例のリンクへ飛ぶ必要があったり、または、そのトップページからそのまま下位層へたどって個々の条例へ進む必要があるところがあります。上手いリンクの方法がわからなかったので、そのままリンクを張っておきます。

番号例規集HP年月日条例番号条例事務処理市町村
1北海道H12.3.29北海道条例4号北海道総合政策部の事務処理の特例に関する条例各市町村
2青森県H11.12.24青森県条例第54号青森県知事の権限に属する事務の事務処理の特例に関する条例各市町村
3岩手県H11.12.17岩手県条例第62号岩手県の事務を市町村が処理することとする事務処理の特例に関する条例*1
4宮城県H11.12.21宮城県条例第54号事務処理の特例に関する条例各市町村
5秋田県H16.12.24秋田県条例第71号市町村への権限移譲の推進に関する条例市町村
6山形県H11.12.21山形県条例第36号山形県事務処理の特例に関する条例各市町村
7福島県H17.10.18福島県条例第111号福島県地方自治法に係る事務処理の特例に関する条例各市町村
8茨城県H11.12.24茨城県条例第44号茨城県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例各市町村
9栃木県H11.12.27栃木県条例第31号栃木県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例市町
10群馬県H11.12.22群馬県条例第43号群馬県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例各市町村
11埼玉県H11.12.24埼玉県条例第61号知事の権限に属する事務処理の特例に関する条例各市町村
12千葉県H12.3.24千葉県条例第1号千葉県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例各市町村
13東京都H11.12.24東京都条例第106号特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例なし?
H11.12.24東京都条例第107号市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例なし?
14神奈川県H11.12.24神奈川県条例第41号事務処理の特例に関する条例市町村
15新潟県H12.3.31新潟県条例第8号新潟県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例各市町村
16富山県H11.12.22富山県条例第50号富山県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例各町村
17石川県H11.12.17石川県条例第37号石川県の事務処理の特例に関する条例なし?
18福井県H11.12.24福井県条例第44号福井県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例各市町
19山梨県H11.12.21山梨県条例第47号山梨県の事務処理の特例に関する条例*2
20長野県H11.12.20長野県条例第46号知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例市町村
21岐阜県H12.3.24岐阜県条例第4号岐阜県事務処理の特例に関する条例なし?
22静岡県H11.12.24静岡県条例第56号静岡県事務処理の特例に関する条例全市町
23愛知県H11.12.17愛知県条例第55号愛知県事務処理特例条例*3
24三重県H12.3.24三重県条例第2号三重県の事務処理の特例に関する条例*4
25滋賀県H18.12.28滋賀県条例第71号滋賀県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例市町
26京都府H12.3.28京都府条例第4号京都府の事務処理の特例に関する条例市町村
27大阪府H17.3.29大阪府条例第7号大阪府市町村の区域内のあらたに生じた土地の確認及び町又は字の新設等に関する事務に係る事務処理の特例に関する条例当該市, 町又は村
28兵庫県H11.12.20兵庫県条例第53号知事の権限に属する事務に係る事務処理の特例に関する条例なし?
29奈良県H12.3.30奈良県条例第34号奈良県事務処理の特例に関する条例なし?
30和歌山県H11.12.24和歌山県条例第38号和歌山県の事務処理の特例に関する条例各市町村
31鳥取県H11.12.24鳥取県条例第35号鳥取県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例各市町村
32島根県H11.12.21島根県条例第45号知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例各市町村
33岡山県H11.12.21岡山県条例第51号知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例各市町村
34広島県H11.12.21広島県条例第34号広島県の事務を市町が処理する特例を定める条例なし?
35山口県H12.3.24山口県条例第2号山口県の事務処理の特例に関する条例各市町
36徳島県H11.12.24徳島県条例第30号徳島県の事務処理の特例に関する条例各市町村
37香川県H11.12.22香川県条例第40号香川県事務処理の特例に関する条例*5
38愛媛県H12.3.24愛媛県条例第11号愛媛県事務処理の特例に関する条例各市町
39高知県H12.3.28高知県条例第7号高知県の事務処理の特例に関する条例*6
40福岡県H11.12.27福岡県条例第37号福岡県事務処理の特例に関する条例各市町村
41佐賀県H12.3.23佐賀県条例第2号佐賀県事務処理の特例に関する条例*7
42長崎県H12.3.24長崎県条例第45号長崎県の事務処理の特例に関する条例*8
43熊本県H11.12.20熊本県条例第58号熊本県知事の権限に属する事務処理の特例に関する条例各市町村
44大分県H11.12.24大分県条例第37号大分県の事務処理の特例に関する条例各市町村
45宮崎県H11.12.24宮崎県条例第40号宮崎県における事務処理の特例に関する条例*9
46鹿児島県H12.3.28鹿児島県条例第7号鹿児島県事務処理の特例に関する条例各市町村
47沖縄県H12.3.31沖縄県条例第4号沖縄県の事務処理の特例に関する条例各市町村

*1市町村(釜石市, 紫波町, 住田町, 大槌町, 山田町, 岩泉町を除く。)
*2甲府市, 富士吉田市, 都留市, 山梨市, 大月市, 韮崎市, 南アルプス市, 北杜市, 甲斐市, 笛吹市, 上野原市, 甲州市, 中央市, 市川三郷町, 身延町, 富士川町, 昭和町, 道志村, 西桂町, 忍野村
*3名古屋市, 豊橋市, 岡崎市, 一宮市, 瀬戸市, 半田市, 春日井市, 豊川市, 津島市, 碧南市, 刈谷市, 豊田市, 安城市, 西尾市, 蒲郡市, 犬山市, 江南市, 小牧市, 稲沢市, 新城市, 大府市, 知多市, 知立市, 尾張旭市, 高浜市, 岩倉市, 豊明市, 日進市, 田原市, 愛西市, 清須市, 北名古屋市, みよし市, あま市, 長久手市, 東郷町, 豊山町, 大口町, 扶桑町, 大治町, 東浦町, 南知多町, 美浜町, 幸田町, 設楽町, 東栄町及び豊根村
*4各市町(四日市市, 桑名市, 鈴鹿市, 東員町を除く。)
*5高松市, 善通寺市, 東かがわ市
*6安田町, 本山町, 土佐町
*7各市, 吉野ヶ里町, みやき町, 玄海町, 有田町, 大町町, 江北町, 白石町, 太良町
*8長崎市, 島原市, 大村市, 平戸市, 松浦市, 佐々町
*9宮崎市, 都城市, 延岡市, 日南市, 小林市, 日向市, 串間市, 西都市, えびの市, 三股町, 高原町, 国富町, 綾町, 高鍋町, 木城町, 川南町, 都農町, 門川町

多くの県で、町・字の変更等の告示については、知事ではなく、当該市町村長がその事務を管理し執行するように条例が制定されていることがわかります。
実務上は地方分権の理念の実践、事務の簡素化が行われているのでしょうが、我々一般市民にとっては、当該告示をweb上などで確認することが結果的に困難となっています。
まあ、そういう告示そのものを確認しようとする者は少数派であり、住民にとっては、別の方法で広報・周知が図られていれば、何ら実害はないのでしょうが。
[80176] 2012年 1月 21日(土)21:47:5888 さん
長久手市の大字・字について
[79915] グリグリさん
[79929] 千本桜 さん
近世村と大字の件については、これまでにも私も何度も述べてきたし、スタンスは基本的は千本桜さんと同様なので、別の観点から述べます。
主として地番区域と町・字についてです。

町・字の正式なものの根拠は、地方自治法にあります。
S22.4.17法律第67号地方自治法
第260条 政令で特別の定をする場合を除く外、市町村の区域内の町若しくは字の区域をあらたに画し若しくはこれを廃止し、又は町若しくは字の区域若しくはその名称を変更しようとするときは、市町村長が当該市町村の議会の議決を経てこれを定め、都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出を受理したときは、都道府県知事は、直ちにこれを告示しなければならない。
3 第一項の規定による処分は、政令で特別の定めをする場合を除くほか、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。
つまり、正式には、上記の第260条第2項の規定による都道府県知事による告示を確認することが必要です。
例1:H16.12.6三重県告示第932号
桑名市,桑名郡多度町,長島町の新設合併に伴う旧多度町,長島町の区域の字の名称の変更の告示(旧桑名市の区域の字の名称は変更なし)
例2:H17.2.22香川県告示第163号
丸亀市,綾歌郡綾歌町,飯山町の新設合併に伴う旧綾歌町,飯山町の区域の字の名称の変更の告示(旧丸亀市の区域の字の名称は変更なし)
#条文のとおり地方自治法上は、「町」と「字」しかなく、いわゆる「大字」や「小字」は「字」に含まれます(S23.8.9行政実例)。

都道府県告示は都道府県の公報(注:広報ではない)に掲載されます。web上での公報は、こちらに一覧があります。
しかし、現実には、我々一般市民が第260条第2項の規定による告示を確認することは容易ではありません。なぜならば、「第260条第1項の規定による都道府県知事への届出」「第260条第2項の規定による都道府県知事による告示」は、現在では、市町村長が処理することとなっているところが多いですからです。
これは、従前からも市町村長が処理する一部には例はありましたが、いわゆる「地方分権一括法」及びこれを受けた条例に基づき、かなりの数の市町村長が処理しています。
H11.7.16法律第87号地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(地方分権一括法)第1条により、地方自治法第252条の17の2以下が追加され(その後さらに一部改正)、現在は次の条文になっています。
(条例による事務処理の特例)
第252条の17の2 都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村が処理することとすることができる。この場合においては、当該市町村が処理することとされた事務は、当該市町村の長が管理し及び執行するものとする。
(第2項以下略)
これを受けて、各都道府県では、条例を制定して、当該市町村の長が、事務を管理し執行している例が多々あります。この例については、別稿にて一覧を示します。

今回の長久手市の件で愛知県の告示があれば、と思って当初は、探そうとしたのですが・・・。
愛知県法規集の「第1編 総規」「第6章 行政組織一般」にあるH11.12.17条例第55号愛知県事務処理特例条例別表第一により、地方自治法第260条第1項及び同条第2項の件は、長久手市において事務を処理することとされています。このため、告示は、愛知県告示ではなく長久手市告示の形で行われます。
(#お断り:条例へ直接リンクをたどれないかもしれません。その際は、上記愛知県法規集から上記のとおりたどってください。)
愛知県告示であれば、各都道府県の公報一覧から愛知県公報を確認すればよいのですが(例・・H23.9.2付け愛知県告示第507号常滑市の字区域の設定 (pdfファイル))、長久手市告示は愛知県公報にはもちろん掲載されず、また、長久手市告示はweb上には見当たりません。おそらく、長久手市役所の庁舎前の掲示板に1月4日付けで張り出されたり、庁舎内で閲覧できたり、等の形での周知でしょう。内容によっては、長久手市例規集の中に、告示であっても掲載されるものもありますが。
上述のとおり、長久手市告示を確認することはできませんでした。

一方、登記情報提供サービスで調べてみました。
長久手市の「町名・大字選択」画面では、190の大字と思われるものが並びました。これは、今回、ご紹介のあった、長久手市HP内の市制移行後の住所などについて市制施行後の住所一覧 (pdfファイル)と同じです。
この大字が地番区域ではなく、下位区分の小字が地番区域である場合は、この大字をクリックしてさらに下位層へ進む必要がありますが、そのようなことはありませんでした。つまり、この190の大字が、現在では地番区域となっています。

[79915] グリグリさん ご紹介の、長久手市HPの市制移行後の住所などについてによると、
大字長湫にある「荒田」「菖蒲池」「段ノ上」「平池」「仏ケ根」は、大字の付かない地区にも同じ名称が隣接して存在しますが、これらの地区では地番の重複がないため、市制施行後は大字の付かない地区と同じ名称とし、区域も一つに統合します。
です。具体的には、
愛知郡長久手町大字長湫字荒田長久手市荒田
愛知郡長久手町字荒田長久手市荒田
愛知郡長久手町大字長湫字菖蒲池長久手市菖蒲池
愛知郡長久手町字菖蒲池長久手市菖蒲池
愛知郡長久手町大字長湫字段ノ上長久手市段の上
愛知郡長久手町字段ノ上長久手市段の上
愛知郡長久手町大字長湫字平池長久手市平池
愛知郡長久手町大字長湫字平池長久手市平池
愛知郡長久手町大字長湫字仏ヶ根長久手市仏が根
愛知郡長久手町大字長湫字仏ヶ根長久手市仏が根
となる、ということです。
[79929] 千本桜 さん も検証されているように、大字長湫は土地区画整理事業が進行しています。土地区画整理事業に伴う住所変更についてのページを見ると、H22.10.9から長湫中部土地区画整理事業の換地処分により住所が一部変更となった、とあります。住所変更の実施区域についてはこちら (pdfファイル)を見ると、この時に、例えば「愛知郡長久手町大字長湫字荒田」の一部が区画整理事業の換地処分にあわせて、既に「愛知郡長久手町荒田」となっており、また、当該地に隣接した土地区画整理事業が行われなかった地域は、そのまま「愛知郡長久手町大字長湫字荒田」として残存していたことがわかります。「段の上」「仏が根」も同様です。

試しに、字名地番の旧新対照表はこちら (pdfファイル)から、このH22.10.9から新大字名「荒田」となった区域を抜粋すると、次のとおりです(変更後の地番順に並び替え、「番」を補足)。
該当大字名該当字名地番新大字名新字名地番
大字長湫字荒田39番9荒田101番
大字長湫字荒田40番19荒田102番
大字長湫字荒田39番3荒田103番
大字長湫字荒田39番3荒田104番
大字長湫字荒田40番15荒田105番
大字長湫字荒田40番1荒田106番
大字長湫字荒田39番1荒田107番
大字長湫字荒田41番11荒田108番
大字長湫字荒田41番12荒田109番
大字長湫字荒田40番2荒田110番
大字長湫字荒田41番13荒田111番
大字長湫字荒田41番14荒田112番
大字長湫字荒田40番11荒田113番
大字長湫字荒田39番6荒田114番
大字長湫字下鴨田49番荒田202番
大字長湫字下鴨田43番3荒田203番
大字長湫字下鴨田43番3荒田204番
大字長湫字下鴨田43番4荒田205番
大字長湫字下鴨田43番4荒田206番
大字長湫字下鴨田50番4荒田207番
大字長湫字下鴨田50番4荒田208番
大字長湫字下鴨田50番4荒田209番
大字長湫字下鴨田50番1荒田210番
大字長湫字下鴨田49番荒田211番
大字長湫字下鴨田50番1荒田302番
大字長湫字下鴨田50番1荒田303番
つまり、新しく大字「荒田」となった区域の地番は、101番以降、303番までを設定しています。

今回、長久手市となり、残余の大字長湫字荒田の区域も、すべて、大字を「荒田」とする、とのことですが、先述の登記情報提供サービスにより、この大字「荒田」の地番を抽出してみました。
1番110番215番317番220番322番425番226番537番2102番112番208番
1番210番315番417番321番123番125番326番637番6103番113番209番
1番311番115番518番121番223番225番426番738番2104番114番210番
1番1611番316番118番221番323番325番528番138番7105番201番211番1
1番2112番116番218番321番423番425番628番238番8106番202番211番2
1番2212番416番318番421番523番525番729番144番107番203番211番3
1番2313番416番419番121番624番126番129番245番108番204番301番
9番114番416番519番222番124番226番233番446番109番205番302番
9番215番116番719番322番224番326番336番248番110番206番303番
10番115番217番120番222番324番426番436番5101番111番207番
前述の、土地区画整理事業によるH22.10.9からの大字「荒田」は101番以降ですが、H24.1.4の長久手市市制施行と同時に従前の「大字長湫字荒田」から大字「荒田」となった区域は、48番までであり、地番が重複しないことがわかります。ということは、H22.10.9の土地区画整理による換地処分時の地番設定の時に、今回の「大字長湫字荒田」を大字「荒田」にすることも、既に織り込んでいたと推測します。

おそらく、「段の上」「仏が根」「菖蒲池」「平池」も、同様のことがあったのだと推測します。

#実は、上記の調査を実施するのにあたり、費用はかかっていません。同サービスを利用するのには、事前にクレジットカード等の情報を含めて登録することが必要ですが、今回の調査に際しては、費用がかかるより前の段階(無料でできる範囲。もう1クリックして詳細な情報を得ようとすれば費用がかかるところ)で止めました。費用をかければキリがありませんので。

続きます。
[80123] 2012年 1月 15日(日)11:59:0388 さん
Re:国分寺市の市制施行日
本年もよろしくお願いいたします。

[80116] オーナー グリグリ さん
>88さんへ
変遷情報の国分寺市の市制施行日が間違っているようです。
S39.10.20付け自治省告示第123号を確認しました。S39(1964).11.3市制施行と確認し、修正しました。失礼しました。

○ 自治省告示 第百二十三号
町を市とする処分
 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第八条第三項の規定により、東京都北多摩郡国分寺町を国分寺市とする旨、東京都知事から届出があつた。
 右の処分は、昭和三十九年十一月三日からその効力を生ずるものとする。
  昭和三十九年十月二十日       自治大臣 吉武 恵市
[79802] 2011年 12月 31日(土)20:19:2488 さん
ゆく卯くる辰
今年も、市区町村変遷情報に明け暮れた1年でした。市区町村変遷情報の編集作業のお手伝いを始めてから5年超、市制町村制施行時の情報までを遂にひととおり完成させました([78755])。まだまだ、修正すべき個々の情報や、全体構成の検討など、課題は山積していますが、ここまで来られたのも、ご贔屓にしてくださる皆様、ご指摘をいただく皆様のお蔭です。改めて御礼申し上げます。
ご指摘に対する回答など、年越し処理としてしまったものもあります。申し訳ございません。逐次、対応してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
――――――――――
例年に倣い、今年の経県値をまとめてみました。今年は全体として、あまり出かけていないなあ、との自覚がありましたが、そのとおりの数値が出ました。過去数年と比較すると、次のとおりです。
経県値備考
H23(2011)61点
H22(2010)68点[77148]
H21(2009)85点[73500]
H20(2008)105点[67803]
H19(2007)78点[62990]
H18(2006)63点[55756]
H17(2005)51点[47738]
今年は野球(四国アイランドリーグプラス(IL))関係は47点、それ以外は38点でした。
IL関係に限れば、GW中に四国各県を1,500キロ車で走ったり、8月に土曜に四万十市を日帰り、翌日日曜に土佐清水市を日帰り、など、四国内はよく動いたつもりです。
しかし、四国から出る機会は例年以上に少なく、会津オフ会がなければ静岡県以東には行かなかったのです。
それにしても、全体の傾向として、お出かけの機会が減りつつあるのではないか、と、上の表を見つめているところです。

――――――――――
本年も大変お世話になりました。皆様、よいお年をお迎えください。
明年もよろしくお願いいたします。
[79796] 2011年 12月 30日(金)23:32:0788 さん
市区町村変遷情報 小レス
[79760][79772][79782] 中島悟 さん
たくさんのご指摘をありがとうございます。
([79775][79792] hmt さん からも、関連するコメントをいただきました。)
#他の方からのコメントも、私に関連したものが続出しており、うれしい悲鳴を上げております。逐次対応してまいりますので、しばらくお待ちいただければ幸いです。

正直言って、市区町村変遷情報のうち、市制町村制施行時の情報は、まだまだ修正箇所が多くあるだろうと思っていますが(まだご指摘に対応ができていないものもあるのは事実)、それ以降のもの(都道府県別日付順)は、皆様のご指摘を受けてかなり修正してきましたので、誤りがあったとしても微々たるものではないか、との思い込み(根拠なし)がありました。
ところが、今回の中島悟さんのご指摘や、最近とある読者の方からメールでのご指摘があったこともあり、まだまだ、単純ミスや不整合が残っていることを実感しています。
個々のデータの修正作業のみで比較的容易に完結するものは、取り急ぎ、以下のとおり対応しましたので、ご報告いたします。
他方、再確認・再調査に念を入れて対応したいもの(時間を要するもの)、市区町村変遷情報の全体の構成に関するもの、表記方法の方針に関わるもの、将来構想(データベース化、試行品などの検討中の課題)に関するもの、などは、レス・対応を後日とさせていただくものがあります。それらにつきましては、少々お待ちいただければありがたいです。

[79782] 中島悟 さん の
私の[79760][79772]は、
市町村合併情報の施行時から現在までの町村数を各郡別に集計して、食い違いが出た所を調べたものです。
とのお言葉はからは、中島悟 さん が、市区町村変遷情報をデータ面からきっちりと、合理的に調査・確認されたことが窺え、心強く感じているとともに、感謝いたします。

――――――――――
[79760] 中島悟 さん
■S40(1965).5.1付けで 福島県 郡山市 となる従前の町村名の一部について 安積郡 三穂田町 or 安積郡 三穂田村
S39.12.28付け自治省告示第157号により確認しました。安積郡 三穂田村 と修正しました

■T15(1926).10.1付けで 東京府 北豊島郡 岩淵町 となる従前の町名について 北豊島郡 岩淵町 or 北豊島郡 岩淵村
単なる入力誤りでした。M22.5.1の市制町村制施行時において既に北豊島郡 岩淵町でした。北豊島郡 岩淵町 と修正しました

■S29(1954).7.1付けで 山梨県 山梨市 となる従前の町村名の一部について 東山梨郡 山梨町 or 東山梨郡 山梨村
S29.7.1付け総理府告示第590号を確認しました。東山梨郡 山梨村 と修正しました

■S28(1953).5.1付けで 因島市 となる従前の町村名の一部について 豊田郡 東生口町 or 豊田郡 東生口村
M22(1889).4.1付け 広島県市制町村制施行時の村名について 豊田郡 南井口村, 東井口村, 北井口村 or 豊田郡 南生口村,東生口村,北井口村
まず、因島市発足時の件については、S28.3.27付け総理府告示第56号を確認しました。豊田郡 東生口村 と修正しました
また、広島県市制町村制施行時の件は、M22.3.8付け(広島)県令甲第22号6コマ目及び7コマ目を確認しました。これらはもちろん生口島のことでもあり、単なる入力ミスでした。いずれも修正しました(豊田郡 南生口村豊田郡 東生口村豊田郡 北生口村)。

■S32(1957).2.11付けで 高知県 幡多郡 大月町 となる従前の町村名の一部について 幡多郡 月灘町 or 幡多郡 月灘村
大変失礼しました。[78777]拙稿での修正漏れです。幡多郡 月灘村 と修正しました

■T14(1925).2.1付けで 広島県 安芸郡 江田島村 に編入される 津久茂村 の所属郡について 安芸郡 or 佐伯郡
津久茂村はM22.4.1付けでの広島県市制町村制施行時の時点から佐伯郡 津久茂村であり、その後の郡変更もありません。ご指摘のとおり、佐伯郡 津久茂村 と修正しました

■変更種別について 新設 or 新設/町制
以下の変遷については、すべて総理府告示により、従前・変更後の町村名や、合併形式から、いずれも村から町となったことを確認し、新設/町制と修正しました。
合併年月日合併後自治体名告示年月日告示番号
S30(1955).3.15千葉県安房郡丸山町 S30.3.15総理府告示第351号
S30(1955).3.31千葉県安房郡長狭町 S30.3.30総理府告示第730号
S30(1955).1.1滋賀県神崎郡五個荘町 S29.12.28総理府告示第1206号
S30(1955).3.1福岡県京都郡豊津町 S30.3.1総理府告示第314号
S30(1955).3.1福岡県京都郡勝山町 S30.3.1総理府告示第315号
S30(1955).4.1福岡県八女郡広川町 S30.3.28総理府告示第518号
S30(1955).4.1長崎県西彼杵郡野母崎町 S30.3.29総理府告示第667号
S26(1951).4.1宮崎県西臼杵郡日の影町 S26.4.11総理府告示第67号
S29(1954).12.1鹿児島県薩摩郡薩摩町 S29.12.1総理府告示第1042号
なお、千葉県 安房郡 丸山町、滋賀県 神崎郡 五個荘町 の件は、それぞれ、従前の 安房郡 千倉町の一部、蒲生郡 安土町の一部を含むもものの、村同士の合併に町の一部が参加した形であり、町を引き継いだとは言えないため、やはり「町制」である、と判断しています。

■S28(1953).11.3付けで 茨城県 筑波郡 上郷町 となる変更種別について
S28.10.27付け総理府告示第207号を確認しました。町制 と修正しました

■M24(1891).9.15付けで 栃木県 下都賀郡 石橋町 となる変更種別について
ご指摘のとおり、下都賀郡 姿村の一部 が分立して 石橋町 となるので、分立/町制 と修正しました

■T14(1925).4.1付けで 和歌山県 東牟婁郡 下里町 となる変更種別について
ご指摘のとおり、町制 と修正しました

■T9(1920).1.1付けで 広島県 豊田郡 木ノ江町 となる変更種別について
ご指摘のとおり、豊田郡 東野村の一部, 中野村の一部 が分立して 木ノ江町 となるので、分立/町制 と修正しました

■S16(1941).1.1付けで 鹿児島県 肝属郡 根占町 となる変更種別について
ご指摘のとおり、町制/改称 と修正しました
なお、現在のところ、「町制」と「改称」を全く同時に行う場合、「町制/改称」に統一しております。
もっとも、「町制」の後に「改称」を行う場合も「町制/改称」、「改称」の後に「町制」を行う場合は「改称/町制」としております。これらの場合分けは、将来構想としています([70815]拙稿参照)。

■S24(1949).12.1付けで 埼玉県 児玉郡 若泉村 から 児玉郡 渡瀬村, 阿久原村 が発足する変更種別について
ご指摘のとおり、従前の 児玉郡 若泉村 は廃されていますので、分割 と修正しました(児玉郡 渡瀬村児玉郡 阿久原村)。

■S23(1948).7.1付けで 長野県 下伊那郡 豊村 から 下伊那郡 売木村, 和合村 が発足する変更種別について
S23(1948).6.2付け総理庁告示第115号を確認しました。
長野県下伊那郡豊村を廃し、大字売木の区域を以て売木村を、大字和合の区域を以て和合村を置く
ですので、分割 と修正しました(下伊那郡 売木村下伊那郡 和合村)。

■栃木県 上都賀郡 板来村 を分割して 上都賀郡 板荷村, 小来川村 が発足する年月日について
この件は、[74516] むっくん さん でご指摘をいただき、[77619]で修正したのですが、その際の入力誤りです。
[74516] むっくん さん ご紹介の、M26(1893).3.18付け(栃木県)告示第42号により、M26.3.18付け分割です。上都賀郡 小来川村 を M26.3.18 分割 と修正しました

■S29(1954).11.3付けで 新潟県 佐渡郡 金井村 が発足する従前の町村名について
S29.11.2付け総理府告示第943号を確認しました。従前は 佐渡郡 金沢村, 吉井村の一部 と修正しました

■市制町村制施行時の 岐阜県 恵那郡 三濃村 のその後について
この関連レスは、[79772][79782] 中島悟 さん、[79775][79792] hmt さん と続いております。
この、分立に関する諸事例等に来ましては、後日、改めてレスします。

■市制町村制施行時の 静岡県 富士郡 白糸村 のその後について
・S32.11.2付け総理府告示第482号により、S33.4.1付けで 富士郡 北山村, 上野村 が富士宮市へ編入
・S33.4.1付け総理府告示第115号により、S33.4.1付けで 富士郡 上井出村, 白糸村 が富士宮市へ編入
この 白糸村 の編入が遺漏していました。修正しました

■市制町村制施行時の 新潟県 雑太郡 相川町(村)について
変更種別は正しく「新設/町制」としていたのですが、自治体名が誤っていました。雑太郡 相川町 と修正しました
新潟県の町村数の件につきましては、後日といたします。

■町村制施行時の 奈良県 吉野郡 上市町(村) について
[78774]で修正済みのつもりだったのですが、投稿だけを対応して、市区町村変遷情報の入力も、手元のexcelデータの修正作業も、従前の誤った「吉野郡 上市村」のままでした。失礼しました。
吉野郡 上市町 と修正しました

■愛知県の市制町村制施行時の市町村数
■広島県の市制町村制施行時の市町村数
■長崎県対馬国の島嶼町村制施行時の町村数
■北海道室蘭区の区制施行時の件
■小笠原諸島の件
これらは、後日といたします。

――――――――――
[79772] 中島悟 さん
市制町村制施行時の情報(茨城県)の北相馬郡4町21村の郡名誤りについて
単なる入力ミスでした。北相馬郡と修正しました。

■S18(1943).9.8付け 埼玉県 大里郡 寄居町 に編入される 従前の 白鳥村 の所属郡について
ご指摘のように、町村制施行時から秩父郡 白鳥村であることからも、秩父郡 白鳥村と修正しました

■S30(1955).2.11付けで 三重県 志摩郡 磯部町 となる従前の 神原村 の所属郡について
S30.2.11付け総理府告示第181号を確認しました。度会郡 神原村 ほかを廃し、神原村大字檜山、大字栗木広及び大字山原 の区域を 志摩郡 磯部村 に編入する(神原村 の残余は 度会郡 南勢町 に、また、S30.2.11付け総理府告示第182号により 志摩郡 磯部村 及び 的矢村 を廃し 磯部町 に)を確認しました。M22.4.1付けの市制町村制施行時でも度会郡 神原村です。よって、度会郡 神原村と修正しました

■S33(1958).10.20付けで 島根県 那賀郡 旭村 に編入される従前の 市木村 の所属郡について
S33.10.18付け総理府告示第357号を確認しました。邑智郡 市木村 を廃し、邑智郡 瑞穂町 と 那賀郡 旭村 に分裂して編入されるものです。M22.4.1付けの市制町村制施行時でも邑智郡 市木村です。よって 邑智郡 市木村 と修正しました

■北海道上川郡・中川郡の件
後日といたします。

――――――――――
[79782] 中島悟 さん
冒頭にも述べましたが、再掲し、別の観点から。
私の[79760][79772]は、
市町村合併情報の施行時から現在までの町村数を各郡別に集計して、食い違いが出た所を調べたものです。
以前から述べているように、私はいわゆる「近世村」に着眼しています。近世村は一千年以上の歴史を持つものが多くあり、また、明治以降の三次にわたる大合併も、この近世村同士の合併(さらには再合併・再々合併)と考え、また、現在の町・大字はこの近世村であることが多いからです。
逆に、現在から遡ってみれば、[79692]拙稿でも述べたように、近世村単位に「因数分解」することができる、ということです。
市の数が増え、範囲が大きく広がることによって郡の数がかなり減少しています。また、以前は30や40を超える町村を抱えた郡も多かったのと対照的に、現在では数町村であったり、1町だけしか存在しない郡も多々あることを鑑みれば、郡における町村の推移に着目することは有意義であると考えています。

長崎県西彼杵郡淵村などの件は、後日コメントいたします。
[79762] 2011年 12月 24日(土)11:13:4288 さん
Re2:和徳町と和徳村
[79755] すまーとぼーい さん
はじめまして。
市区町村変遷情報の編集作業を担当しております88と申します。

さて、弘前市(和徳町と和徳村)の件です。
既に[79756] 播磨坂 さん からもレスがあり、[79757]ですまーとぼーい さん からもすでに回答されているところです。

私の見解も、お二人と同様です。

一部補足します。(根拠規定等は[76874] むっくん さん によります。)
M22.4.1市制町村制施行時の、弘前市の廃置分合の根拠はM22.2.12付け(青森県)告示第13号です。弘前市となる従前の旧町名の中に、中津軽郡和徳町があります(9行目の2段目)。また、M22.2.20付け(青森)県令第14号にも、弘前市を含む県内市町村の廃置分合の内容が記されています(ただしこの県令は、M28年青森県告示第37号などそれ以降の改正が反映されていることに注意)。
M22.4.1付けで発足した中津軽郡 和徳村の廃置分合の根拠は、前掲の、M22.2.20付け(青森)県令第14号の111コマ目、左ページ上段左端です。

[79756] 播磨坂 さん が述べられているように、この時すでに、弘前市となった旧中津軽郡和徳町と、中津軽郡和徳村(旧中津軽郡和徳村ほかから成立)とが存在していることがわかります。

なお、S30.3.1付けで中津軽郡和徳村が弘前市に編入されたのは、官報情報検索サービスで改めて確認したところ、次のとおりです。中津軽郡和徳村はS30.3.1付けで編入されるまで存続したことは間違いありません。
● 総理府告示 第二百七十六号
市村の廃置分合
 地方自治法第七条第一項の規定により、青森県中津軽郡清水村、和徳村、豊田村、堀越村、千年村、東目屋村、藤代村、新和村、船沢村、高杉村及び裾野村を廃し、その区域を弘前市に編入する旨、青森県知事から届出があつた。
 右の廃置分合は、昭和三十年三月一日からその効力を生ずるものとする。
 昭和三十年三月一日
内閣総理大臣 鳩山 一郎

今回、気になったのは、ご紹介のあった、S11年に弘前市が「弘前駅を含む和徳村大字和徳、高崎、堅田(一部)を編入」とのウィキペディアの記述です。現在までのところ、市区町村変遷履歴情報(青森県)では、このS11の和徳村大字和徳ほかの弘前市への境界変更を無いものとしていました。
各種文献によると、事実関係は次のとおりです(正式な文献名は[55681]の冒頭にあります)。
・「総覧」「幕末以降」「便覧」・・・記載なし
・「辞典」・・・S11.1.1付けで中津軽郡和徳村大字和徳,大字高崎,大字堅田の一部を弘前市へ境界変更
「辞典」にも記載のあるこの境界変更が事実であれば、S30.3.1付けでの中津軽郡和徳村の弘前市への編入(消滅)時には、「大字和徳, 大字高崎, 大字堅田の一部」は対象外ということになります。
また、近世村(≒大字単位)は対象とする、という市区町村変遷情報の編集方針から、S11.1.1付けの情報が事実であれば、追加する必要があります。

私自身は弘前市に関する資料をこれ以上持ち合わせていないこともあり、どなたか、詳しい情報をお持ちでしたら、お教えいただければ幸いです。

#私の経験からの感覚的なもの(根拠はまったくありません)では、このS11.1.1付けの境界変更は事実だろう、という気がします。
[79737] 2011年 12月 14日(水)12:56:0088 さん
第8回落書き帳公式オフ会「ミニ十番勝負」
取り急ぎ。
[79734] むっくん さん
M22以前の廃置分合については、「幕末以降」をそのまま転用したものです。これらについては、出題には直接関係がなく、あくまで「参考」のつもりであったので、精査をしておりません。

[79736] 千本桜 さん
住居表示の「○」欄の表示の疑問点については、単なる「×」の誤記です。個々の市の条例を全て確認し、さらにマピオンの地図で住居表示実施の有無を読み取り、「1番1号」か「1番地1」かを判断し、記載しています。
当該問題は、元々は落書き帳投稿用のものを転用したものであり、一連の「住所とは何か」の投稿の導入のつもりでした。根拠条例へのリンクも手元にはまとめておりますので、追って修正版をお示しします。

両件とも、追って修正版を用意しますので、暫くお待ちいただければ幸いです(>グリグリさん、皆様 )
なお、忘年会シーズンにつき、時間は長めでお願い致します。


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