[69541] むっくん さん
[69553] Issie さん
沖縄県の市町村の変遷について、資料情報などを頂きありがとうございます。じっくり、読み応えがありそうです。また、しっかり読んで理解できれば、沖縄の制度についての理解が深まりそうです。熟読・整理後に、また投稿したいと思います。
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そのためにも、溜まっているレスを放出しておきます。
[68520][68872][69366] むっくん さん
いつもありがとうございます。
まずは、
[69366] むっくん さん で解説のあった、告示日と施行日の関係についてです。以前にも、
[65445] むっくん さんで、いろいろとご紹介いただきましたが、今回、私もいろいろと調べている中で、次の資料を確認しました。
「法制執務提要<第2次改訂新版>」(平成4年5月20日第2次改訂版第18刷、編者:佐藤達夫、発行:学陽書房)
編者の佐藤達夫氏は元法制局長官で、他の執筆者も法制局OBが名を連ねています。ちょっと長文ですが、p.342-343を引用します。
施行期日のきめ方には、いろいろの規定の仕方があるが、前に法令の起案形式の項で詳述した。ただ、附則で特に施行期日を明示しなかった場合にはどうなるか、という問題がある。こういう例は、最近の立法ではほとんど見当たらないが、もしそういうことがあった場合には、法例第一条に、「法律ハ公布ノ日ヨリ起算シ満二十日ヲ経テ之ヲ施行ス但法律ヲ以テ之ニ異ナリタル施行期日ヲ定メタルトキハ此限ニ在ラズ」とあるから、法律については、この規定によることになることは疑いがない。会計検査院規則及び最高裁判所規則についても、同様の規定がある(会計検査院規則の公布に関する規則三条、裁判所公文方式規則三条)。また、地方自治体の条例、規則等についても、同様の規定があり、ただ、この期間を十日としている(地方自治法十六条三項・五項)。
しかるに、その他の政令や省令等については何ら規定がないので、解釈上問題を生ずる。旧公式令、勅令、閣令及び省令については、右の法例の規定と同様のことを規定していたのであるが、この公式令が廃止されたあと、これに代わるべき立法がなされていないからである。実際問題としては、個個の政令、省令等において、原則として、その施行期日をそれぞれ定めているから、無理に解釈をきめる実益もないが、もしそういう例があれば、一般には、恐らく公布の日から施行すると解すべきであろう。
[65445] むっくん さん で、「法令とその施行日との関係」として、いろいろとご紹介いただきました。
上記文献中に出てくる
法例(M31.6.21法律第10号)についても、ご紹介いただきました。
また、
地方自治法の規定についてご紹介しておくと、次のとおりです。
第十六条
3 条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して十日を経過した日から、これを施行する。
4 (略)
5 前二項の規定は、普通地方公共団体の規則並びにその機関の定める規則及びその他の規程で公表を要するものにこれを準用する。但し、法令又は条例に特別の定があるときは、この限りでない。
さて、
[69366] むっくん さん 及び上述の私の発見した文献から見ると、結果から見ると、告示日(公布日)=施行日という結論は同じのようです。これらにより、特に施行期日が定められていない場合、告示日(公布日)=施行日という結論でよい、と私も考えます。
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という結論を出したところで、閑話休題。
[68520] むっくん さん のご指摘への対応です。
毎回私が参考にしている4文献(
[55681]冒頭、
市区町村変遷情報トップページにも記載)では元号表記なのですが、私が西暦を( )で追記しています。ただし、「辞典」は( )で複数案を併記していることも多いので、混乱を防ぐために西暦併記を割愛しております。
■青森県上北郡野辺地村→野辺地町の町制施行年月日について M30(1897).8.27 or M30(1897).8.29
「総覧」・・・M30(1897).8.27
「幕末以降総覧」・・・M30(1897).8.27
「便覧」・・・M30(1897).8.27
「辞典」・・・M30.8(9).27
ご紹介の
M30(1897).8.29付け青森県告示第166号に従い、M30(1897).8.29付け町制施行と判断し、
修正しました。
■山形県北村山郡楯岡村→楯岡町の町制施行年月日について M25(1892).3.18 or M25(1892).3.15
「総覧」・・・M25(1892).3.18
「幕末以降総覧」・・・S25.3.18(元号のみ誤記とするとM25(1892).3.18)
「便覧」・・・M25(1892).3.18
「辞典」・・・M25.3.18
ご紹介の
M25(1892).3.15付け山形県告示第19号に従い、M25(1892).3.15付け町制施行と判断し、
修正しました。
■山形県最上郡古口村からの最上郡角川村の分立年月日について M25(1892).7.8 or M25(1892).6.18
■山形県最上郡豊里村からの最上郡豊田村の分立年月日について M25(1892).7.8 or M25(1892).6.18
「総覧」・・・M25(1892).7.8
「幕末以降総覧」・・・M25(1892).7.8
「便覧」・・・M25(1892).7.8
「辞典」・・・M25.7.8
ご紹介の
M25(1892).6.18付け山形県告示第49号に従い、M25(1892).6.18付け分立と判断し、修正しました(
最上郡角川村、
最上郡豊田村)。
■山形県西置賜郡白鷹村からの西置賜郡十王村の分立年月日について M25(1892).7.8 or M25(1892).6.21
■山形県西置賜郡豊川村の一部の西置賜郡添川村への境界変更年月日について M25(1892).7.8 or M25(1892).6.21
「総覧」・・・M25(1892).7.8
「幕末以降総覧」・・・M25(1892).7.8
「便覧」・・・M25(1892).7.8
「辞典」・・・M25.6.1(M25.7.8)
ご紹介の
M25(1892).6.21付け山形県告示第50号に従い、M25(1892).6.21付け分立・境界変更と判断し、修正しました(
西置賜郡十王村、
西置賜郡添川村)。
■千葉県安房郡館山町の新設合併年月日について T3(1914).3.1 or T3(1914).4.1
「総覧」・・・T3(1914).3.1
「幕末以降総覧」・・・T3(1914).3.1
「便覧」・・・T3(1914).3.1
「辞典」・・・T3.4.1
ご紹介の、従来から信憑性が高いと判断している
郡市町村廃置分合表(大正3年1月1日-大正7年12月31日)(編著・出版:内閣統計局、大9.3.31)などに従い、T3(1914).4.1付け新設合併施行と判断し、
修正しました。
■新潟県中蒲原郡鳥屋王村から鳥屋野村への改称年月日について M23(1890).12.17 or M24(1891).2.__
「総覧」・・・M23(1890).12.17
「幕末以降総覧」・・・M23(1890).12.17
「便覧」・・・M23(1890).12.17
「辞典」・・・M23.12.17
ご紹介の
M23(1890).12.__付け新潟県令甲第86号、
M24.2.__付け新潟県令甲第17号、及び
M24.2.__付け新潟県告示第17号を確認しました。ご指摘のとおり、一度取り消されていることを確認し、M24(1891).2.__付け改称と判断し、
修正しました。
■M34(1901).11.1付け新潟県古志郡下塩谷村 新設合併の合併前町村名について 五日市村 or 五日町村
「総覧」・・・五日町村
「幕末以降総覧」・・・五日町村
「便覧」・・・五日町村
「辞典」・・・五日町村
これは単なる入力誤りのようです。五日町村に
修正しました。
■石川県(能美郡→石川郡)しらみねむらの表記について 白峯村 or 白峰村
「総覧」・・・M22(1889).4.1は白峰村、S24(1949).6.1は白峯村
「幕末以降総覧」・・・M22(1889).4.1、S24(1949).6.1とも一貫して白峰村
「便覧」・・・白峰村
「辞典」・・・白峰村
「新版 漢字源」(1999年4月1日改訂新版第6刷、学習研究社)によると、「峰」(JIS区点コード4286、JIS16進コード4A76)の異体字として、「峯」(JIS区点コード4287、JIS16進コード4A77)が挙げられています。「島」「嶋」の関係と同じです。
このため、明白に「峯から峰への改称」が判明せず、また、「峰」が常用漢字でもあることから、むっくんさんの言及にもあった拙稿
[67802]と同様に自動的に置き換えたと判断し、
[56275]拙稿で提案させていただいた旧字体の例に倣い、ご紹介のあった
M22(1889).3.8付け石川県令第23号の「白峯村」の表記にかかわらず、M22(1889).4.1時点から「白峰村」と表記することとします。よって、S24(1949).6.1付けの能美郡から石川郡への郡変更を「白『峰』村」と
修正しました。
■山梨県南巨摩郡増穂村からの南巨摩郡穂積村の分立年月日について M25(1892).4.1 or M25(1892).3.31
■山梨県南都留郡西湖村からの南都留郡長浜村の分立年月日について M25(1892).4.1 or M25(1892).3.31
■山梨県東八代郡黒駒村の新設合併年月日について M25(1892).4.1 or M25(1892).3.31
■同 合併前町村名について 「東八代郡下黒駒村,上黒駒村,藤野木村」 or 「東八代郡上黒駒村,藤野木村」
「総覧」・・・3件ともM25(1892).4.1(下黒駒村記述あり)
「幕末以降総覧」・・・3件ともM25(1892).4.1(下黒駒村記述あり)
「便覧」・・・3件ともM25(1892).4.1(下黒駒村記述あり)
「辞典」・・・南巨摩郡穂積村分立M25.4.1、南都留郡長浜村分立M25.3.29(M25.4.1)、東八代郡黒駒村新設合併M25.4.1(下黒駒村記述あり)
ご紹介の
M25(1892).3.31付け山梨県告示第34号に従い、M25(1892).3.31付け分立・新設合併と判断し、修正しました(
南巨摩郡穂積村、
南都留郡長浜村、(
東八代郡黒駒村)。
なお、下黒駒村の取扱いについては、ご紹介の各資料の記載内容により、ご推察のとおり、
M25(1892).3.31付け山梨県告示第34号が下黒駒村の記載が遺漏しているだけと私も判断し、そのままとしております。
■長野県西筑摩郡福島村→福島村の町制施行年月日 M26(1893).6.30 or M26(1893).5.27
「総覧」・・・M26(1893).5.27
「幕末以降総覧」・・・S26.5.27(元号のみ誤記とするとM26(1893).5.27)
「便覧」・・・M26(1893).5.27
「辞典」・・・M26.5.27
これは単なる入力誤りのようです。ご紹介の
M26(1893).5.27付け長野県告示第56号もあり、
修正しました。
続きます。