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国立公園・国定公園

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記事数=17件/更新日:2017年9月3日

奄美群島国定公園が、2018年夏の 世界自然遺産登録 を目指して 2017/3/7に 国立公園になりました。
これを機に、日本の国立公園だけでなく、国定公園も含めて一覧表を作ることを思い立ちました。

内容的には疎密まちまちですが、現在日本全国にある 34の国立公園と 56の国定公園 合計90の自然公園について 主な変遷情報を含むリストを作ることができたので、これを機会に hmtマガジンとしてまとめておきました。

シリーズ記事は、ラムサール条約湿地や東海自然歩道など、関連する制度についても扱っています。

修正記録
2017/9/3: 名称変更記事(2017/8/8 阿寒国立公園→阿寒摩周国立公園)を追加する機会に、主な過去記事も追加しました。

★推奨します★(元祖いいね) グリグリ


[92742] 2017年 3月 11日(土)14:57:16【1】hmt さん
国立公園(1)三陸復興国立公園
[92739] k-ace さん 奄美群島国立公園
[92740] Takashi さん
日本で5番目の 世界自然遺産登録(2018年夏) を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の推薦書は、2017/2/1に 日本政府からユネスコに提出、受理されました。朝日デジタル
今回の「奄美群島国立公園」誕生は、「やんばる国立公園」[90614]に続いて、この世界自然遺産登録を見据えたものなのでしょう。

但し、国立公園と世界遺産とは目的が違うため、両者が相容れない事例もあります。
[79238] hmt
1972年に小笠原国立公園が指定された時には、南硫黄島も入っていましたが、1975年に国立公園区域から除外。
なぜ? それは、自然公園法に基づく国立公園が「自然環境の保護」と同時に「利用増進を図ること」を目的としているからです。南硫黄島の「手つかずの自然」を保護するには、これでは不十分。

なお やんばる国立公園 は、ピーくん さんの記事の3ヶ月後、2016/9/15に指定されました。
ヤンバルクイナやヤンバルテナガコガネで知られるヤンバルには 「山原」という字が使われており、沖縄本島北部、山が連なり森が広がる地域です。

それはさておき、今日は 大地震と津波のあった 2011/3/11 から6年を経過した記念日です。

国立公園と言えば、リアス式海岸で知られた 陸中海岸国立公園 があった…
と考えているうちに、「三陸復興国立公園」という名に変っていることに気がつきました。

落書き帳過去記事にも登場していない。これはまずい。…というわけで、少し書きます。
環境省の 国立公園一覧 の東北地区を開くと、次の記述。

戦後の1955年に指定された「陸中海岸国立公園」が、大地震津波の2年後 2013年に区域を拡張して「三陸復興国立公園」に改名。陸域面積 28537haで、青森・岩手・宮城の3県にまたがる。

なるほど、区域が拡張されて「陸中海岸」という名が不適当になったわけか。
Wikipediaにも同様の記載があるが、「面積は12,212 ha」とあり、大幅に違う。

そこで環境省のページに戻って、概要・計画書を見ると、陸域公園面積(ha)は 宮城県 14882、岩手県 11232、青森県 2423 合計 28537ha。

計画変更などの経緯という項目があり、昭和30年の公園指定から平成27年までの要点がわかりました。
昭和39年:陸中国南端の釜石市大根崎から南の宮城県気仙沼市(陸前国)まで公園区域が拡張されているが、まだ陸奥国に及んでいないので「三陸」を使わずに済ませていたようです。
平成25年:青森県蕪島など(陸奥国)の拡張あり、公園名称変更。

そして、面積への影響が大きかったのは平成27年の拡張でした。
平成27年:宮城県内牡鹿半島など区域拡張。これは南三陸金華山国定公園(139km2)を編入したもので、これにより三陸復興国立公園の面積は大きく広がり、宮城県区域が最大になりました。
Wikipediaに記されていたのは2012年(陸中海岸時代)の面積のまま未修正だったのでした。

国立公園の区域拡張による名称変更はずっと前からあります。
みやこ♂さんの記事がある 尾瀬のような国立公園分割事例 も見逃すことができません。

この記事は、とりあえず 三陸復興国立公園 についてのみ記しましたが、記事検索してみると、霧島錦江湾国立公園など近年名称変更された国立公園も登場していません。
今回の記事で概ね理解できた調査手法を用いて、全国の国立公園について、簡単な変遷履歴を含めた一覧表を作っておきたいと思っています。

ずっと昔のことになりますが、[23882] グリグリさん に記されている構想にも沿ったものであろうと思います。
こちらも構想がありまして、どちらかというと「都道府県プロフィール」のメニューにしようかと思っていました。日本三景、日本三名園、国立公園、国定公園、世界遺産、島、湖沼、など基本情報に加え、百名山、滝百選、など。えい、時間よ止まれ!

【1】シリーズ化に伴い、タイトル変更
[92743] 2017年 3月 12日(日)18:10:35hmt さん
国立公園(2)国立公園の名称変更
[92742] で言及した一覧表の作成に着手しました。最初に気になったのが 国立公園名の変更 です。

国立公園の最初に改称例は 1955/3/15で、富士箱根国立公園の伊豆半島地域への拡張による「富士箱根伊豆国立公園」への変更でした。
国立公園の場合は この方式が前例として定着してしまったのですが、さすがに三連称名はいかにも長すぎ、しばらくの後続改称は二連称名でした。
1956/7/10 十和田八幡平国立公園、1956/7/20 雲仙天草国立公園、1963/4/10 大山隠岐国立公園、一つ飛んで 1986/9/10 阿蘇くじゅう国立公園、2007/8/1 西表石垣国立公園、そして 2013/5/24 三陸復興国立公園。

1964/3/16に 霧島国立公園が 屋久島地域と錦江湾国定公園とを編入しましたが、新名称は「霧島屋久国立公園」で、鹿児島県の地名三連称となる「霧島屋久錦江湾国立公園」は実現しませんでした。
錦江湾は島津家久の歌に由来する鹿児島湾の別名で、「鹿児島県民のほとんどは、錦江湾と呼んでいる。」そうです(Wikipedia)。

この愛着ある「錦江湾」が、思わぬ展開で復活したのは、48年後でした。
世界自然遺産に登録(1993)された屋久島が 独立した国立公園として分離することになり、いわば「名称の空席」ができたのです。このようにして 2012/3/16に三度目の名称である「霧島錦江湾国立公園」が実現し、同時に錦江湾北部・姶良カルデラ関係の国立公園拡張も行なわれました。

ついでに記すと、3月16日というのは 国立公園指定記念日です。遡れば 1934/3/16に瀬戸内海・雲仙・霧島の3ヶ所が最初に国立公園として指定された日だったのでした。[34551]地球人さん

ここまでは、国立公園の指定地域変更と名称とを合致させようとする動きとして理解することができます。
でも、[92742]で記したように、国立公園地域の一部が陸前に及んでも「陸中海岸」で済ませている例もありました。

名称が地域の全体をカバーしていない代表例は「秩父多摩国立公園」でした。
首都圏に近い関東山地にあるこの国立公園は、火山国の日本では珍しい 水成岩の岩塊 を主としており、埼玉県の「秩父」・東京都の「多摩」という地名により代表されていました。

国立公園面積の37%を占める山梨県(東京都28%,埼玉県27%,長野県8%)からは 1987年頃から働きかけがあったようですが、2000/8/10 三連称の「秩父多摩甲斐国立公園」への改称が実現しました。
東京湾に注ぐ秩父と多摩だけでなく、駿河湾に注ぐ川を持つ甲斐が、山地トリオの一角に加えられたのでした。
[92746] 2017年 3月 19日(日)17:39:52【2】hmt さん
国立公園(3)国立公園・国定公園一覧表 1 南西諸島と九州
今朝のテレビで沖縄 慶良間の海が放送されていました。2014/3/5 国立公園指定。3月5日は 珊瑚(サンゴ)の日です。番組は 翌2015年制作で、その再放送でした。
新規の国立公園が指定されたのは 1987年の釧路湿原以来 27年ぶりのことでした。
その後、昨年の やんばる[90614]、今年の奄美群島[92739]と 立て続けに南西諸島で国立公園が誕生。

そこで[92742]で言及した一覧表を、南西諸島と九州から始めたいと思います。

どのような一覧表になるか、構想の固まらないうちに走り出したのですが、ここのサイトに出入りするうちに習性になった「変遷情報」への関心から、年代順という選択肢もありました。
しかし、メインとなる筋は やはり地域別で、拡張・改称・分立などを主とする変遷情報は、同一地域内で二次的な形で記載するのが適切でしょう。

環境省の 国立公園一覧を見ると、日本地図上の北から南へ国立公園33【奄美群島未収録】の番号が付けられています。地域別の配列は これを基礎にしたいと思いますが、琉球・奄美の話題から始まったことでもあり、南西→北東という逆順にします。

上記一覧からは地図によるリンクの他に、7地区【管轄地方環境事務所別】の国立公園にも移れます。
しかし、地図12番の上信越が地区順では中部になるなど、両者の順番は必ずしも一致していません。
実は [92742]で言及した一覧表作成の動機の一つに、この「国立公園一覧」から「一覧表」型式に行けないことがあったのですが、その後の調査で データ集の中に「国立公園の概要」という名の一覧表があることがわかりました。
pdf型式は H29/3/31現在で 34国立公園すべてが揃っていました。何故かword型式のデータは半年古く、33国立公園です。

順番という点で付言すると、12番目の上信越から分立した妙高戸隠連山は17番目に記されています。
やはり国立公園については、都道府県のような「正式の順番や番号」は存在しないようです。
南西から始めるのは 多くの日本地図帳が採用している順でもあり、必ずしも「逆順」とは言えないようです。

国立公園について、指定地域の拡張・それに伴うことが多い名称変更・分立などの変遷は、しばしば国定公園がらみの情報になります。
ということで、一覧表の対象には 国定公園も加える ことにしました。
国定公園を指定するのは環境省ですが、その管理は都道府県です。従って環境省のサイトには国定公園の情報が少ないように思われますが、先に挙げたデータ集には 国定公園の概要という一覧表もありました。
URLの中に「quasi」という単語が使われていますが、英語では「quasi national park」と言うのでした。

表の中など 文字数を節約する必要があるので、NP=国立公園 QP=国定公園という略記を多用します。
【1】[92749] みやこ♂ さん の助言に従い、略記を2文字に改めました。

上記「国定公園の概要」では、例えば蔵王QPの関係都道府県として「山形・宮城」と記されています。
都道府県を単純にコード順に並べたものでないことから、(面積順との記載はないが)重みを考慮した記載であると思われたので、今回の一覧表に採用しました。
なお、国立公園については都道府県別の面積データがあるので、三陸復興NP:宮城/岩手/青森 のように「/」で区切って最終的に宮城県が最大になっている現状[92742]を明示しました。

変遷情報の要になる国立公園の区域拡張に関しては、要領よくまとめた資料を発見することができずにいたのですが、自然公園の今後のあり方についての会議の参考資料の中から 適切な資料 を発見しました。これを利用します。

資料集めがらみで前置きが長くなりましたが、「NP・QP一覧表」の第一回として「南西諸島と九州」を示します。

表の説明
No.:南西から北東に進むための便宜的なもの。
現:NPは現存する国立公園、QPは現存する国定公園で、最新の変遷情報と日付、現在の面積、都道府県を記載
初:最初に国立公園又は国定公園として指定された情報と日付
【2】現在はNPである錦江湾(1955)、奄美群島(1974)の最初の QP指定も この欄に入力する。

変遷情報が少ない公園は、1行に「NP NP」or「QP QP」と並んで完結するが、変遷を記したNPでは、現在列のNPと初指定のNPとが別行になる。特に No.8 霧島の場合は 5行を使って編入や分立・改称を記載し、初指定もNPとQPの両方を示した。8.1行では、原生自然保全を目的とした指定地の一部削除も記載した。 
8~8.4行の日付で見るように、2012年の分立・改称から 1934年の初指定へと遡って変遷を記録する。

名称:国立公園はNP、国定公園はQPと略記。
変遷, 注釈など:【括弧内】は指定区域に入った地名など。
面積haと都道府県:現在のデータのみ。

No.名称---変遷, 注釈など日付面積ha都道府県
1NP西表石垣NP【石垣島】拡張改称2007/8/140653沖縄
1.1NP西表NP復帰時に移管1972/5/25
2NPNP慶良間諸島NP沖縄海岸QPの一部から分立2014/3/53520沖縄
3QPQP沖縄戦跡QP復帰時に移管1972/5/153127沖縄
4QP沖縄海岸QP2014慶良間NP分立2014/3/54872沖縄
4.1QP沖縄海岸QP【本島西海岸など】復帰移管1972/5/15
5NPNPやんばるNP(区域に沖縄海岸QPの一部)2016/9/1513622沖縄
6NP奄美群島NPQPから変更2017/3/742181鹿児島
6.1QP奄美群島QP→2017NP1974/2/15
7NPNP屋久島NP霧島屋久NPから分立2012/3/1624566鹿児島
8NP霧島錦江湾NP改称(屋久島N分立)2012/3/1636586鹿児島/宮崎
8.1霧島屋久NP屋久島一部削除(原生自然保全)1975/5月
8.2霧島屋久NP【屋久島と錦江湾QP】編入1964/3/16
8.3QP錦江湾QP→1964霧島NPに編入1955/9/1
8.4NP霧島NP1934/3/16
9QPQP甑島QP2015/3/165447鹿児島
10QPQP日南海岸QP1955/6/14542宮崎 鹿児島
11QPQP九州中央山地QP1982/5/1527096熊本 宮崎
12QPQP祖母傾QP(そぼかたむき)1965/3/2522000大分 宮崎
13QPQP日豊海岸QP1974/2/158518大分 宮崎
14NP阿蘇くじゅうNP改称1986/9/1072678熊本/長崎/鹿児島
14.1阿蘇NP【由布鶴見(高崎山)】拡張1953/9/1
14.2NP阿蘇NP【久住町等も最初から指定】1934/12/4
15NP雲仙天草NP天草五橋追加1967/12月28279熊本/長崎/鹿児島
15.1雲仙天草NP【天草】拡張改称1956/7/20
15.2NP雲仙NP1934/3/16
16NPNP西海NP1955/3/1624645長崎
17QPQP壱岐対馬QP1968/7/2211946長崎
18QPQP玄海QP1956/6/110152福岡 佐賀 長崎
19QPQP耶馬日田英彦山QP1950/7/2985024福岡 熊本 大分
20QPQP北九州QP【皿倉山, 平尾台】1972/10/168107福岡
[92754] 2017年 3月 23日(木)19:32:23hmt さん
国立公園(4)国立公園・国定公園一覧表 2 四国・中国と近畿
本題の前に、[92746]阿蘇くじゅうNP に関係する補足です。
大分県の「くじゅう」については、日田盆地に集まる3川の一つ・玖珠川が久住山麓から西流しており、かつては 筑後川の本流とされていたことに触れています[91405]
杖立川記事では、その上流は田の原川迄しか記しませんでしたが、そのの小田川も「くじゅう連山」へと遡っており、杖立も「くじゅう」に発する水系に属していたのでした。
「ひらがな表記」の理由は、玖珠郡九重町<飯田村と竹田市久住町<直入郡久住町とがあるためでしょう。

飯田村と久住町の名は、1934/12/4の内務省告示571号で確認でき、阿蘇国立公園は その発足時から 久住山や中岳【九州本土最高峰】などを含んでいたことがわかります。
にもかかわらず、1986年の改称で国立公園名に「くじゅう」が入るまで、実に 51年9月以上を要しました。
秩父多摩に「甲斐」が追加[92743]される迄の50年1月よりも長い前例があったのでした。

本題の「NP・QP一覧表」の第二回は「四国・中国と近畿」としました。
環境省・近畿地方環境事務所の管轄地域は 滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の6府県ですが、この表では 便宜上 三重県を含めた7府県としました。

「NP・QP一覧表」中での大物は「瀬戸内海NP」です。
陸域面積672km2は大雪山NPに遠く及びませんが、海域8370km2を含めると最大面積の国立公園です。
「1934年 国立公園第1号」の一つですが、最初の指定地は 備讃瀬戸付近の3県内に限られていました。

地図*で見るように、拡張前の瀬戸内海国立公園の東端は 小豆島の寒霞渓や岡山県の牛窓でした。屋島 直島 下津井 塩飽等を経て 西端は香川県の三崎と広島県の阿伏兎崎との間に境界線が引かれているようです。
* 日本交通公社編:観光と国立公園 S24 三省堂 の挿入図

そして、戦後 1950/5/18の 第2次指定により 淡路島周辺から周防灘の姫島に至る 陸上主要部が追加されました。
瀬戸内海NPは大拡張の結果、現在と近い姿になりました。
参考までに、告示に記されている9県の中から 適当に拾った地名を例示しておきます。
和歌山 加太/ 洲本 福良/ 鳴門/ 室津 赤穂 家島/ 日生 玉野 児島 寄島/ 坂出 琴平 善通寺/ 尾道 三原 瀬戸田 忠海 安芸津 安浦 御手洗 倉橋島 広島 五日市 厳島/ 麻里布 久賀 屋代 室津 上関 光 下松 徳山 防府/ 今治 宮浦 関前/ 姫島
同日の別告示で、それまで阿蘇NPであった高崎山が瀬戸内海NPに編入されたようですが官報未確認。

第3次指定は 1956年です。陸域が六甲山系主要部や国東半島で拡張された他に、紀淡海峡・関門海峡などの海域が指定されました。

国立公園指定地は、六甲地域に見られる 1971年以降の区域縮小 による変化もありました。六甲地域管理計画書10/75。別荘や奥池分譲地など 常住人口の多い六甲地域の特異性があるようです。

瀬戸内海国立公園に関係する県は 11府県に及んでいます。表の中に書ききれないので、ここに別記します。
陸域面積の多い順に 香川/兵庫/広島/愛媛/山口/岡山/大分/徳島/和歌山/福岡の10県。そして海域のみの大阪府。

National Park・Quesi-national Park 一覧表 2 四国・中国と近畿

No.名称-変遷, 注釈など日付面積ha都道府県
21NP足摺宇和海NPNPに変更 改称1972/11/1011345高知/愛媛
21.1足摺QP【宇和海】追加→1972NP1964/3月
21.2QP足摺QP1955/4/1
22QPQP石鎚QP1955/11/110683愛媛 高知
23QPQP剣山QP1964/3/320961徳島 高知
24QPQP室戸阿南海岸QP1964/6/16230徳島 高知
25QPQP北長門海岸QP1955/11/112384山口
26QPQP秋吉台QP1955/11/14502山口
27QPQP西中国山地QP1969/1/1028553島根 広島 山口
28QPQP比婆道後帝釈QP1963/7/248416鳥取 島根 広島
29NP大山隠岐NP【隠岐 島根半島 三瓶蒜山】改称1963/4/1035353島根 広島 山口
29.1NP大山NP1936/2/1
30NP瀬戸内海NP六甲など一部を解除して縮小1971-19936724210県【本文】
30.1瀬戸内海NP【高崎山】を阿蘇NPから編入1956/5/1
30.2瀬戸内海NP【六甲・国東半島】紀淡海峡など1956/5/1
30.3瀬戸内海NP9県に及ぶ大規模追加【本文】1950/5/18
30.4NP瀬戸内海NP【備讃瀬戸】1934/3/16
31QPQP氷ノ山後山那岐山QP1969/4/1048803兵庫 岡山 鳥取
32NP山陰海岸NP←QP1963/7/158783兵庫/鳥取/京都
32.1QP山陰海岸QP→1963NP1955/6/20
33QPQP琵琶湖QP1950/7/2497601滋賀 京都
34QPQP明治の森箕面QP1967/12/11963大阪
35QPQP丹後天橋立大江山QP丹後半島は若狭湾QPから分割2007/8/319023京都
36QPQP大和青垣QP1970/12/285742奈良
37QPQP若狭湾QP1955/6/119197福井 京都
38QP金剛生駒紀泉QP【和泉山脈】拡張改称1996/10/223119大阪 奈良 和歌山
38.1QP金剛生駒QP1958/4/10
39QPQP高野竜神QP1967/3/2319198奈良 和歌山
40NP吉野熊野NP【鬼ヶ城以北】追加1975/12月61406奈良/三重/和歌山
40.1吉野熊野NP【錆浦】追加1970/7月
40.2吉野熊野NP【潮岬】追加1954/2月
40.3NP吉野熊野NP1936/2/1
41QPQP京都丹波高原QP2016/3/2568851京都
42QPQP室生赤目青山QP1970/12/2826308三重 奈良
43NPNP伊勢志摩NP1946/11/2055544三重
44QPQP鈴鹿QP1968/7/2229821三重 滋賀
[92757] 2017年 3月 27日(月)17:20:27hmt さん
国立公園(5)国立公園・国定公園一覧表 3 中部と関東
「NP・QP一覧表」第三回は 中部から関東の各都県に進みます。NP=国立公園 QP=国定公園。
表の中には NP NP と並ばずに、中間に変遷情報が記載されている国立公園がいくつかあります。
その中でも歴史ある観光地・「富士箱根」と「日光」の名を冠した2つのNPについて 最初に記します。

富士山というと国立公園の中でも「日本一の山」だと思ってしまいます。
しかし国立公園制度ができ、戦前に 12国立公園が作られた際、富士箱根は 3回に分けて指定された中で ラストグループ【1936年組】でした。

1936/2/1 内務省告示32号で指定された地域は富士山地域と箱根地域でしたが、戦後の1955年に伊豆半島に拡張されて 「富士箱根伊豆国立公園」と改称。
更に1964年に 東京都所管の伊豆七島QPを併合したが、名称は変わらず。
4区域からなる富士箱根伊豆NPの基礎情報

単純な拡張と それに伴う改称という「富士箱根伊豆」に比べて、日光・尾瀬地区の変遷はもっと複雑な事情があるようです。

日光NP 最初の指定である1934/12/4 内務省告示569号に記された区域分図縦覧役場を見ると 次のようになっており、日光地域だけでなく その北西にある尾瀬地域も指定されていることが分かります。
栃木県上都賀郡今市町/日光町/塩谷郡栗山村、群馬県利根郡片品村、福島県南会津郡檜枝岐村、新潟県北魚沼郡湯ノ谷村。正しくは湯之谷村のようですが、この程度の表記違いは しばしば告示の中に現れるので、気にしないことにします。

戦後になると1950/9/22 厚生省告示253号で 日光地区の北北東にある那須甲子・塩原・鬼怒川の温泉郷が追加指定されました。

このように拡大された「日光」国立公園についての議論は昔からあったようです。[29045]によると
昭和初期の日本山岳会の会報を見ると,当時は「奥日光の尾瀬」という言葉が当たり前のように使われていた

みやこ♂さんと違い この地域には詳しくありませんが、[29045][51625]などの尾瀬関係 落書き帳過去記事集から、自然風景地の保護とその利用という「二兎を追う」自然公園法が、尾瀬の扱いで転機にさしかかってきたことを感じます。
「二兎を追う」国立公園制度の中でバランスを取ろうとした政策が、保護に重点を置く「尾瀬NP」を 利用に重点を置く「日光NP」から分立させる という「かなりびっくり」[51584]の処置になったのではないか。
私は 2007年の「尾瀬国立公園」誕生を このように理解しました。

尾瀬分立後の国立公園変遷履歴を全国的に追うと、屋久島NPの分立(2012)、慶良間諸島NPの分立(2014)、妙高戸隠連山NPの分立(2015)と続いており、前2者は保護を重視する世界遺産がらみです。

尾瀬の大きな特色に湿原があります。そこで連想するのが 1987年に誕生した釧路湿原NPです。
最近も[92746]で ちょっとだけ言及しましたが、1980年に日本最初のラムサール条約登録湿地になったことが評価されたものと言われています。
尾瀬分立をもたらした国立公園行政の転機は、このあたりに端を発していたのかもしれません。

尾瀬NPに戻ると、その一部は新潟県に及んでいます。妙高戸隠連山NPも同様に、中部・関東に関係深いNPです。
この2NPは 当然のように今回集計の分に入れてあります。
しかし新潟県単独の「佐渡弥彦」や東北と関係するNP・QPは次回送りとしました。ご承知ください。

National Park・Quesi-national Park 一覧表 3 中部と関東

No.名称--変遷, 注釈など日付面積ha都道府県
45QPQP揖斐関ケ原養老QP1970/12/2820219岐阜
46QPQP飛騨木曽川QP1964/3/318074岐阜 愛知
47QPQP三河湾QP1958/4/109457愛知
48QPQP愛知高原QP1970/12/2821740愛知
49QPQP天龍奥三河QP1969/1/1025720長野 静岡 愛知
50NPNP南アルプスNP1964/6/135752山梨/長野/静岡
51QPQP越前加賀海岸QP1968/5/19794石川 福井
52NP白山NP←白山QP1962/11/1249900石川/岐阜/福井/富山
52.1QP白山QP→1962NP1955/7/1
53QPQP能登半島QP1968/5/19672石川 富山
54NPNP中部山岳NP1934/12/4174323富山/長野/岐阜/新潟
55NP富士箱根伊豆NP【伊豆七島】QPを編入1964/7/7121695静岡/山梨/東京/神奈川
55.1伊豆七島QP→1964NPに編入1955/4/1
55.2富士箱根伊豆NP【伊豆半島】拡張改称1955/3/15
55.3NP富士箱根NP1936/2/1
56NPNP小笠原NP1972/10/166629東京
57QPQP丹沢大山QP1965/3/2527572神奈川
58QPQP明治の森高尾QP1967/12/11777東京
59NP秩父多摩甲斐NP改称2000/8/10126259山梨/東京/埼玉/長野
59.1NP秩父多摩NP1950/7/10
60QPQP八ヶ岳中信高原QP1964/6/139857長野 山梨
61QPQP妙義荒船佐久高原QP1969/4/1013123群馬 長野
62NPNP妙高戸隠連山NP←上信越高原NPから分立2015/3/2739772新潟/長野
63NP上信越高原NP分立により妙高戸隠削除2015/3/27148194長野/群馬/新潟
63.1上信越高原NP【妙高戸隠】拡張1956/7/10
63.2NP上信越高原NP1949/9/7
64QPQP南房総QP1958/8/15690千葉
65QP水郷筑波QP【筑波山・加波山】追加1969/2/134956茨城 千葉
65.1QP水郷QP→1969水郷筑波QP1959/3/3
66NP日光NP←分立により尾瀬を削除2007/8/30114908栃木/福島/群馬
66.1日光NP【那須甲子 塩原 鬼怒川】1950/9/22
66.2NP日光NP【最初は尾瀬と日光】1934/12/4
67NPNP尾瀬NP←日光NPから分立2007/8/3037200群馬/福島/新潟/栃木
[92766] 2017年 3月 29日(水)18:14:48hmt さん
国立公園(6)東海自然歩道と沿道の国定公園など
[92760] k_ito さん
東海自然歩道との関連が気になりました。
沿道にあたる国定公園の指定もちょうどその頃です。関連させた事業なのでしょうか。

国定公園の調査中に見た資料の中にも「東海自然歩道」という言葉は度々出て来ました。
両者の関連は私も気になっており、これを機会に立ち入ってみました。

東海自然歩道を始めとする長距離自然歩道も環境省の管轄です。従って、国定公園などの自然公園と 全く無関係ということはないと思います。

最初の資料は、東海自然歩道連絡協会の 東海自然歩道MAP

コース両端が同日(1967/12/11)に指定された国定公園であり、その後3年間で沿線に6国定公園が指定され、東海自然歩道の整備期間(1970-1974年度)へと続いたことは、ご指摘の通りです。

そこで、このMAPに示された東海自然歩道の厳選コースを見ると、高尾の次は相模湖付近となっていました。
hmtの出身地から少し離れていますが、落書き帳ではお馴染みの「津久井」の一部です。

東海自然歩道の神奈川県内コース。簡略図を見ると、南側に丹沢大山国定公園が記されていますが、両者の関係は不詳です。大きな図にも、自然公園の境界線が描かれていません。

そこで、神奈川県内の自然公園を見ます。相模湖は「県立陣馬相模湖自然公園」(1983/12/16指定)となっており、国定公園の指定地域外であることが確認できました。

このことにより、西日本においては 東海自然歩道の整備に合わせて その沿道で複数の国定公園が誕生したのは事実としても、東海自然歩道の事業は「その沿道のすべてを国定公園化する」というほど「直接に関連させた事業」ではない ことがわかりました。では 国定公園の予備軍的なもの迄含めて、沿道を自然公園化する事業なのか? そのあたりは不詳です。

[92760]で作成していただいた表は、国定公園の指定日順になっています。
地理的感覚からすると、ルート順がわかりやすいと思われるので、東海自然歩道沿道の 11国定公園に富士箱根伊豆国立公園を加えた12自然公園について、東から西への順番に並べ直してみました。

それぞれの自然公園について、1箇所ずつですが、QP or NP 地域内の地名と、東海自然歩道コースガイドのイラストをリンクしておきます。
丹沢大山QPの例で説明すると、丹沢山塊の最高峰・蛭ヶ岳の北にある袖平山付近を通過するルートを示します。
地形図 では少し西に東海自然歩道という注記が見え、少し東の 1433mは 東海自然歩道全コースの最高地点です。

東海自然歩道沿道の NP・QP【東から西へ】 と 公園内コースの一部

58 明治の森高尾QP 高尾山 
57 丹沢大山QP 袖平山
55 富士箱根伊豆NP 青木ヶ原樹海
49 天龍奥三河QP 鳳来寺山
48 愛知高原QP 猿投山
46 飛騨木曽川QP 犬山
45 揖斐関ヶ原養老QP 養老
44 鈴鹿QP 湯の山
42 室生赤目青山QP 室生寺【注】
36 大和青垣QP 三輪山
33 琵琶湖QP 比叡山
34 明治の森箕面QP 箕面

【注】有名観光地・室生寺の名を使いましたが、イラストでは室生口大野の駅が示されているものの、お寺の本体が見つかりません。キャンプ場の下あたりに隠れているようです。
[92767] 2017年 3月 31日(金)17:43:39hmt さん
国立公園(7)国立公園・国定公園一覧表 4 新潟県・東北6県・北海道
「NP・QP一覧表」は第三回までで 那須岳-燧ヶ岳-妙高山を結ぶ線のあたりまで来ました。およそ北緯37度線の近く、国立公園名【数字は行番号】で言うと  66.1日光NP那須地区-67尾瀬NP-62妙高戸隠連山NPです。
第四回は およそ北緯37度に沿った県境線【新潟県と福島県との南限線】より北にある NP=国立公園 QP=国定公園 に進みます。

陸中海岸NPから拡張・改称した「三陸復興NP」については、既にこのシリーズの第1回[92742]で記しました。

[92757]では ちょっとだけ湿原に触れました。今回の一覧表には「釧路湿原NP」を始めとして湿原関連の NP・QPがあるので、ラムサール条約についてのコメントも考えました。

しかし、現存する数で 34の国立公園と 56の国定公園 合計90に 過去の名称を加えた一覧表の完成を優先させます。

広い北海道については、14総合振興局・振興局一覧の順に A~Nの文字を使い、その位置を示すことも試みました。
【道央】 A:空知 B:石狩 C:後志 D:胆振 E:日高 
【道南】 F:渡島 G:檜山 
【道北】 H:上川 I:留萌 J:宗谷 
【道東】 K:オホーツク L:十勝 M:釧路 N:根室

北海道支庁設置条例(1948年の旧条例)では 石狩 渡島 檜山 後志 空知 上川 留萌 宗谷 網走 胆振 日高 十勝 釧路 根室 という順でしたが、条例と行政組織規則の規定を併せた 現在の名称と所管区域 は 上記のように改められています。[71706]

National Park・Quesi-national Park 一覧表 4 新潟県・東北6県・北海道

No.名称---変遷, 注釈など日付面積ha都道府県
68QPQP越後三山只見QP八海山などと奥只見1973/5/1586129新潟 福島
69QP佐渡弥彦米山QP【米山】拡張改称1981年29464新潟
69.1QP佐渡弥彦QP→1981拡張改称1950/7/27
70NPNP磐梯朝日NP1950/9/5186389山形/福島/新潟
71QPQP蔵王QP1963/8/839635山形 宮城
72QPQP鳥海QP1963/7/2428955秋田 山形
73QPQP栗駒QP1968/7/2277122岩手 宮城 秋田 山形
74NP三陸復興NP【南三陸金華山】QPを編入2015/3/3128537宮城/岩手/青森
74.1三陸復興NP【種差海岸など】編入/改称2013/5/24
74.2QP南三陸金華山QP→2015編入1979/3/30
74.3NP陸中海岸NP1955/5/2
75QPQP早池峰QP1982/6/105463岩手
76QPQP男鹿QP1973/5/158156秋田
77NP十和田八幡平NP【八幡平】拡張改称1956/7/1085534青森/秋田/岩手
77.1NP十和田NP1936/2/1
78QPQP津軽QP1975/3/3125966青森
79QPQP下北半島QP1968/7/2218641青森
80QPQP大沼QP1958/7/19083北海道F
81QPQP日高山脈襟裳QP1981/10/1103447北海道EL
82QPQPニセコ積丹小樽海岸QP1963/7/2419009北海道C
83NPNP支笏洞爺NP1949/5/1699473北海道BCD
84QPQP暑寒別天売焼尻QP1990/8/143559北海道BI
85NPNP大雪山NP1934/12/4226764北海道HL
86NPNP釧路湿原NP1987/7/3128788北海道M
87NPNP阿寒NP1934/12/490481北海道MKL
88NPNP知床NP1964/6/138636北海道KN
89QPQP網走QP1958/7/137261北海道KN
90NP利尻礼文サロベツNP【サロベツ】QPの拡張改称1974/9/2024166北海道J
90.1QP利尻礼文QP→1974拡張改称NP1965/7/10
[92772] 2017年 4月 3日(月)19:32:59hmt さん
国立公園(8)ラムサール条約関連
2週間前の[92746]と同じような文章で始めますが、4月2日のテレビで 熊本 御輿来(おこしき)海岸が紹介されていました。

私はこの珍しい地名を知りませんでしたが、宇土半島北岸に位置し、有明海の大潮(干潮)と日の入りとが重なる時に現れる神秘的な砂紋が 絶景として知られているようです。
ミサゴや、絶滅危惧種に指定されているクロツラヘラサギなど鳥類も登場していました。

しかし、現在のところ 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約【ラムサール条約】や、国立公園・国定公園については、未指定と思われます。
熊本県の 三角大矢野海辺県立自然公園には指定されており、日本の渚百選、日本の夕日百選の選定地でもあります。

有明海をずっと北に進むと、シギ・チドリ類の飛来地である広大な 荒尾干潟があり、東よか干潟(佐賀市東与賀町)と肥前鹿島干潟とを加えた3つの干潟がラムサール条約湿地になっています。国立公園・国定公園にはなっていません。

ラムサール条約は 1971年に締結され、その正式名称が示す対象は 「水鳥を主役とする生態系である湿地」です。
日本の加入は 1980年で、「釧路湿原」が第1号指定地でした。
その後の動きを見ると、湿原だけでなく、干潟・藻場・サンゴ礁・浅海域【慶良間諸島】・地下水系【秋吉台】・人工遊水地【渡良瀬遊水地】なども対象に含む「水辺の生態系」の保全という観点に拡大されているようです。

串本沿岸海域。これも 湿地ではなく 「海」そのもの ですが、サンゴ礁北限から かなり北に外れた海域でありながら 高密度のサンゴ群落を形成しており、2005年にラムサール湿地?として登録されています。

上記 串本のページは、「ラムサール条約登録湿地関係市町村会議」のものです。
TOPページは、登録年順リストと配置図になっており、リンクによって 解説文に進むことができます。

例えば みやこ♂ さんが 湿原コレクション の中で提供している 落書き帳記事集の対象である 06_別寒辺牛湿原」については、解説文に「保護の制度:国指定鳥獣保護区特別保護地区」と記されています。

前記・串本のページでは「保護の制度:国立公園海中公園地区・普通地域」となっており、両者の違いから国立公園指定の有無を判断できます。
コウノトリの野生復帰で知られる 39_円山川下流域・周辺水田には、「国立公園特別地域、河川区域」とあり、「山陰海岸」から少し内陸に入った所にも、国立公園区域があることがわかります。

番号とラムサール条約登録年との関係
 1980年:01  1985年:02  1989年:03  1991年:04  1993年:05-09  
 1996年:10  1999年:11  2002年:12-13  2005年:14-33  
 2008年:34-37  2012年:38-46  2015年:47-50

落書き帳を KW=ラムサール条約 で検索すると、驚くほど多数の記事があります。言うまでもなく 十番勝負に4回も登場したからですが、度重なる追加指定や廃置分合の結果として、同じ問題でも その都度該当する市が変化する という妙味が 出題者のお気に召した結果なのでしょう。[68312] 問八 「まさかまたラムサール?」

2005年には一挙に 20件もの指定がありました。
1986年 阿蘇くじゅうNPへの改称[92754]より前の 1978年に NHK「みんなの歌」で放送された『坊がつる讃歌』。
山岳地域に形成された中間湿原としては、国内最大級の面積を有し、我が国を代表する湿地のタイプ
と記された 21_くじゅう坊ガツル・タデ原湿原も、2005年にラムサール湿原として登録されました。
湿原の植生を維持するために、春の野焼きが行なわれており、これは 45_渡良瀬遊水地なども同様です。

地名コレクション。『湿原』では地図リンク有効。『希少地名(一般)』の「坊がつる」は地図が出ません。

今回の記事は国立公園(および国定公園)のシリーズなので、次のリストを作りました。

国立公園・国定公園指定地内のラムサール条約湿地

No.自然公園名Ram条約湿地名所在地備考
90利尻礼文サロベツNP29サロベツ原野北海道J豊富町/幌延町
89網走QP31濤沸湖北海道K網走市/小清水町
87阿寒NP14阿寒湖北海道M釧路市
86釧路湿原NP01釧路湿原北海道M釧路市+3
84暑寒別天売焼尻QP32雨竜沼湿原北海道A雨竜町
80大沼QP42大沼北海道F七飯町
69佐渡弥彦米山QP10佐潟新潟市西区
67尾瀬NP28尾瀬群馬県片品村など
66日光NP27奥日光の湿原日光市戦場ヶ原など
63上信越高原NP48芳ヶ平湿地群日光市
54中部山岳NP43立山弥陀ヶ原・大日平富山県立山町
51越前加賀海岸QP08片野鴨池加賀市
51越前加賀海岸QP41中池見湿地敦賀市
48愛知高原QP44東海丘陵湧水湿地群豊田市矢並湿地など
40吉野熊野NP22串本沿岸海域和歌山県串本町
37若狭湾QP23三方五湖福井県若狭町/美浜町
33琵琶湖QP09琵琶湖大津市など
32山陰海岸NP39円山川下流域・周辺水田豊岡市
30瀬戸内海NP40宮島廿日市市厳島の南西部
26秋吉台QP15秋吉台地下水系山口県秋芳町/美東町
14阿蘇くじゅうNP21くじゅう坊ガツル・タデ原湿原竹田市/大分県九重町
7屋久島NP33屋久島永田浜鹿児島県屋久島町
2慶良間諸島NP20慶良間諸島海域沖縄県渡嘉敷村/座間味村
1西表石垣NP24名蔵アンパル石垣市アンパル(網張)
[29045] 2004年 6月 7日(月)01:13:22【1】みやこ♂[みやこ] さん
日光国立公園
[27501]で 両毛人 さん が,[27527]で 月の輪熊 さん が日光国立公園の名称に尾瀬を加えてもよかろうに,と記述されています。ずっと気になっていましたが,ちょうど両毛人さんが尾瀬に行ってこられたとのこと,以下「日光国立公園の名称変更」について書いてみます。

現在ある28の国立公園のうち,指定後に名称が変更となったものを当初指定順に記せば,
雲仙(天草),霧島(屋久),阿蘇(くじゅう),十和田(八幡平),富士箱根(伊豆),大山(隠岐),秩父多摩(甲斐),足摺(宇和海),利尻礼文(サロベツ)の9つです。
各々( )内が追加された地域名です。このうち,区域拡張を伴わないのは,秩父多摩甲斐国立公園のただ一つです。これについては[27527]で 月の輪熊 さん がご指摘になったとおりです。

では,日光国立公園を見てみましょう。昭和9年に「国立公園第1期生」として当初の区域指定を受けて以降,大きく区域が変化したのは昭和25年に那須・塩原区域を加えた時だけです。つまり,尾瀬は当初から日光国立公園に含まれていました。
しかも,昭和初期の日本山岳会の会報を見ると,当時は「奥日光の尾瀬」という言葉が当たり前のように使われていたのがわかります。例えば,尾瀬を奥日光と呼んだ人の中には武田久吉博士がいます。尾瀬を広く一般に知らしめた人です。当時のアクセスは日光からが主だったようなので,こういうことになったのでしょう。

また,追加で取り込まれた那須・塩原地域については,大正~昭和期の国立公園選定にあたっても調査の対象とされたものの,実際には指定が見送られ,拡張に際しての昭和22年の審議会でも「準国立公園(後の国定公園)」という言葉が使われるほどに「日光に比べれば劣った地域」と扱われていました。実は武田博士はこの審議会の委員にもなっています。
つまり,日光があくまでも唯一の巨人であって,その他の地域は付帯のもの,という考えがあり,そのため日光国立公園の名称が変更にならなかった,といいますか変更する機会もなかったのだと言えるでしょう。
それほどまでに「日光」は大きな存在だったのですが,その後様々な要因によって相対的地位が低下し,現在に至ったわけです。様々な風景地が“発見”され,個別の地名が舞台に踊り出してきて「日光」の意味する地域が狭まってきた現在,最早一般的に「日光」という地名からイメージするのは「現在の日光市域の大部分」でしかないでしょう。
ですから「日光国立公園」の改称を求める意見には「ごもっとも」とうなずきたくなってしまいます。とはいえ私個人としては国立公園の名前は「日光」のままがいい,と根強く思っているのですけれどね・・・。

蛇足
現在,一般的には「いろは坂」を登り切ったらそこから「奥日光」だ,と言われているようです。しかし,私が学生のころは「竜頭の滝」が表と奥の境でした。つまり中禅寺湖までは表日光で戦場ヶ原からが奥日光だと。このように地域呼称は常に変化しているわけですが,それにしても尾瀬まで奥日光とは・・・。他に呼びようがなかったということなのでしょう。ちなみに日光国立公園の南隣には「前日光県立自然公園」というのがあります。これで奥・表・前と来たわけですが,残念ながら「裏日光」というのは聞きませんです(強いて言えば奥鬼怒温泉郷でしょうか)。
※ 恥ずかしいけど愛郷精神あふれる誤記を訂正
[51584] 2006年 6月 1日(木)04:25:09みやこ♂ さん
実は,かなりびっくりしてます。
YSK さん,自然公園の話題に対し[51519]のレスをつけていただき,ありがとうございました。
そして同じく YSK さん[51577]「尾瀬国立公園」。
下野新聞にも出ていました。こちらの記事で気になったのは,分離する境界について小委員会委員長の「栃木県に失礼のないように」という発言と,「栃木・群馬両県境での分離も選択肢のひとつ」という見解です。
まるっきり,国立公園が道具として扱われていますねぇ。国立公園って,かたまった区域が大切なので,だからこそこれまでも複数の県に跨っているものが多いわけなんですが。それにかつて国立公園は「むやみに数を増やさないように」考えられていたのですよ。

県境を公園境になんかしたら,そりゃぁもう,「見え見え」じゃないですか。う~ん,なんだか急いでるなぁ。

「尾瀬国立公園」の初記録のようなものを挙げてみますと,
1 21世紀に指定された「初めての国立公園」
2 既存の国立公園から分立した「初めての国立公園」
3 他の国立公園と隣接する「初めての国立公園」
という感じでしょうか。

ところで下野新聞にも「(公園面積を)環境省内規の3万haにするため,5千haの国有林を追加」とありました(会津駒ヶ岳あたりでしょうか)。ということは,今のところ「尾瀬国立公園」にあてがわれている日光国立公園の面積は,約2万5千haということになります。
ちなみに日光国立公園の全面積は140,021haで,うち栃木県分は103,479haですから,差し引き36,542haが栃木を除く3県分の面積になります(ちなみに群馬県分は21,607ha)。2万5千haとの1万haの食い違いは,おそらく那須地域に接する福島県の甲子地域ではないでしょうか。それくらいはありそうです。
となると,栃木・群馬・福島・新潟の県境付近がそっくり「引っ越し」になりそうなのですが・・・。へえぇ,丸沼・菅沼や奥白根山の群馬県側は「尾瀬」になるんだ。ふぅ~ん・・・。
[51625] 2006年 6月 3日(土)02:53:32みやこ♂ さん
尾瀬国立公園の分立に想う(長文御寛恕)
わたくし,生粋の両毛人間です。栃木県民としての意識はかなり薄いと自覚しております。足繁く館林市や太田市に出没し,日光への往復も高速道路を使わないなら「今市経由」よりは「大間々経由」を選択します。ですから群馬県にはとても親近感を抱いており,もし佐野市を含む両毛地区が栃木県を離脱し,群馬県にお嫁入りするならそれだっていい,とさえ思っています(何かと迷惑でしょうが・・・「鶴舞う形」も崩れちゃうし・・・)。

[51585] YSK さん
栃木県が今回の事態になる前に「日光尾瀬国立公園」への改称をのんでいれば、今回のようなことには至らなかったのかもしれません。それだけ群馬県の尾瀬への思い入れは強いということなのかもしれません。小委員会委員長の谷津議員は、うちの選挙区(群馬3区)の選出だったりします・・・。
はて,改称について環境省から正式に栃木県に相談は来ていなかったと思います。新聞報道では気づきませんでした。尾瀬サミットで3県知事が盛り上がってそういう発言があり,それに対して日光市が「う~ん,ちょっとなぁ」とか返事をした,というのがわたくしの認識でした。
いずれにせよ,制度発足以来70年余も続いてきた「国と地域の協同関係」を一昨年国が一方的に破棄して以来,「国立公園行政は国のモノ」になっていますから,地域としては口をはさむことは難しいと思います。実際に,栃木県は態度を保留しているハズです。

[51590] 稲生 さん
富士箱根伊豆国立公園という立派な国立公園が1都3県にわたって存在していますよね。日光・尾瀬の両地域は一つの国立公園と存続することで相乗効果を発揮するということは,ないんでしょうか?
わたくしは「相乗効果を発揮するのは難しい」と思います。富士箱根伊豆国立公園の場合は,富士山の見える景観を軸として成り立っているように見えます。「富士景観を中心としてまとまった国立公園である」と言ってもいいかもしれません。
日光地域と尾瀬地域との間には,そこまで強力な接着剤はありません。公園区域も,利用のための動線が弱く(というかほとんどない)一体ではありません。それを強化するための大規模な開発も許されない環境下にあります。現実的に,経由する人を除いて栃木県から尾瀬を目指して入山する人は皆無でしょう。しかも両者は自然公園としての性格がかなり異なっているため,利用形態も全く違っていると言わざるを得ません(ただし,そのような国立公園は「日光」だけではありません)。
そんな両地域を一体として「日光」を冠した国立公園にした理由は,ここでは詳細に触れませんが,端的に言えば当時の担当官たちの考えによります。わたくしが今回の騒動(嫌な表現ですが,あえて記します)に今ひとつ釈然としない気分を抱いているのは,今回の登場人物が,パイオニアであった彼らの考えを理解せぬまま,あるいは知らぬままに,突っ走っている観があるからです。


国立公園第一期生である戦前の12公園で,設定当時に地名併記していたのは「富士箱根」と「吉野熊野」の2つだけでした。しかし残りの10公園のうち,半分の5公園が後に連称になっています。富士箱根も伊豆地域を加えて「富士箱根伊豆」と3地名併称となりました(3連称は他に「利尻礼文サロベツ」があるだけです)。つまりこれら,「連称公園の増加」という事実は,時代を経るに従って興味地の“発見”や勃興が続き,核心地が多極化していくのが当然であることを示しています(簡単に書けば,ですけど)。

ところで自然公園制度は,純粋に自然保護を目的としたものではありません。法の究極の目的は「国民の幸せ」ですし,そこに至る手段(そして中間目的)は「風景の保護と利用」であるからです。一見,相反する概念の「保護」と「利用」とが,同じ「目的」として同居しています。今から40年ほど前,公園内の自然破壊が話題になったのは,「保護」の意識が低く「利用」だけを単純に追求した結果であるといわれています。
自然保護のための法律は別にあります。「自然環境保全法」がそれです。しかしながら,同法(及び都道府県条例)に基づく区域指定面積は,全国土のわずか0.2%(自然公園面積は3種併せて14.21%)にしかすぎません。特に重要な自然地域を保護する,という意味しか果たしていないのです。
自然公園法の目的の解釈が,「“風景”の保護(と利用)」から「自然“景観”の保護」→「自然保護」へと変質し,公園区域が「自然保護の区域」として扱われるようになっていったのは,このような現状にもよるでしょう。振り子は利用から保護へ振れたのです。

昭和49(1974)年,北海道の利尻礼文国定公園が,サロベツ地区を含めて国立公園に昇格した時点で「もう新たな国立公園の区域指定はない」と言われていたそうです。ところが,昭和62(1987)年,「釧路湿原」が国立公園に指定されました。これは,世間の自然保護運動の高まりによるものです。それまでは,このような場所は,自然公園にはならなかった。なぜなら昔は湿原というものに価値を見いだしていなかった社会だったわけだし,その後も,もし国立公園に指定しても,中間目的の「風景の保護と利用」のうち,「保護に偏重する区域であった」からなんですね。しかしながら前述のとおり,そのころには目的の解釈が変質していた。そのために,このような国立公園が成立しえたわけです(今回の「尾瀬」国立公園は,どちらかといえば,こっちの類型に属するといえましょう)。
いずれにせよ,釧路湿原国立公園はかなり例外的な扱いで誕生したもので,全国的に類例の区域が少ないことから,「今度こそ最後だ,もうあり得ない」とまで言われたものでした。

そして今回。
まさか,既設の国立公園を二つに割って,新たな公園を生み出そうとは思いもよりませんでした。
「過去の常識」が通用しなくなっているということなのですね。

かつて国は,国立公園の新規指定に慎重でした(拡張含む)。「国立公園ブランド」を大切に考えていたのです。そういう過去の常識を通用させないこと自体が,いいことなのかどうなのかはわかりません。むろん「地域の誇りとする場所の名前を国立公園の名称にしたい」という思いはわかります。ただ「思い」です。どうやったって定量化できません。定量化できないモノの評価はきわめて困難ですから,あとは権限を有する人がエイヤッと決めるしかないわけです。だからその「エイヤッ」に筋が通っていないといけない,と思うのですね。時代や法解釈は変わっても,同一の法律上で動くからには「筋の一貫性」「素性の良さ」が求められると思うのです。それが「過去の常識」だと思うのです。「慣習」と言い換えても良いかもしれない。
今回,いままでの“慣習”を破ってまで分立を選択した以上,国は今後,似たような案件に振り回され,国立公園ブランドの安売りを拒めなくなるのではないか,と危惧します。
そもそも,談話にあったという「栃木県に迷惑をかけない」とはどういう意味なのでしょう。まるで後ろめたさの裏返しの表現ではありませんか。皮肉なことにこの表現が,日光国立公園成立及び拡張に,どれだけ深く強く栃木県が関係しているかという事実(ここでは詳しくは触れません)を物語っているような気がします。ご本人たちは意識していないかもしれませんが。

新聞では,観光目的の来訪者増加を期待する声が掲載されていましたが,いまや「国立公園」であるというだけで客を呼べる時代ではありません。最近は世界遺産でしょうか,それに替わるモノは。それにしても,ひととき話題になって一過性の集客があったとしても,それって長続きしません。何より新国立公園の核心地域である尾瀬ヶ原は,長いことオーバーユースが問題になっている地域です。これ以上集客を求める気持ちが理解できません。人混みの自然公園に行って,一体誰が自然を満喫できるというのでしょう。

丸沼・菅沼地域の帰属にも興味があります。もし公園境を県境に忠実に設定すると,奥白根山地域を含めた丸沼・菅沼地域が新公園の飛び地(に限りなく近いもの)になります。それを免れるためには相当広く拡張する必要があります。ここは残るんじゃないかな。
会津駒ヶ岳は燧ヶ岳に近いし,間違いなく拡張されるでしょう。武尊山も十分尾瀬に連坦しています。新公園に指定しても違和感ありません。間にある坤六峠の紅葉は,それはそれは美しいものです。


さてそれでは最後にわたくしの見解を。わたくしはあくまでも「日光国立公園」としての現状維持(名称変更・区域分割ともになし)を基本として考えます。しかし尾瀬の魅力や知名度に思いをいたせば,国立公園名に「尾瀬」を冠することもありうる話でしょう。積極的に支持はしませんが,ブザマに分割されるくらいなら「地名併記を選ぶ」と,そういう考えです。
筋論からいえば,設定権者である国に対して「尾瀬周辺地域の拡張をしつつ,“日光尾瀬国立公園”への改称で解決すべき課題である」といいたいのですけれどもねぇ。

たいへん長々と,失礼いたしました。本当は「なぜ尾瀬を含めて日光国立公園なのか」を強調しなくてはいけなかったのでしょうけれど。
[79238] 2011年 8月 24日(水)14:34:32【1】hmt さん
世界遺産になる小笠原群島 (10)小笠原の島々の自然 生物編
小笠原諸島という名[79228]による「世界自然遺産登録」。
ここで、小笠原の自然に触れておきます。

最初に、国際自然保護連合(IUCN)による評価報告を伝える 2011年5月のチラシ をリンクしておきます。
世界遺産委員会による 最終決定 の1段階前ですが、登録を適当と認めた理由(生態系の価値)や指摘事項、要請事項、区域を示す地図などが 要領よくまとめられています。

本格的な資料としては、世界遺産一覧表記載推薦書 (日本政府 2010年1月)があります。全体で 234コマもある pdfファイルです。7~14コマが要旨で、小笠原の自然については、「該当するクライテリア」として、3項目の評価基準につき陳述がなされています(要旨 12コマ、本文107~112コマ)。

(viii) 地形・地質:数百万年にわたる島弧の進化過程を示す証拠が陸上に露出
(ix) 生態系:陸産貝類(適応放散による種分化)、植物(海洋島独自の進化)、南硫黄島(手つかずの自然)
(x) 生物多様性:限られた陸域に、固有種を含めた多様な動植物種が生存

先に紹介したチラシにあったように、3項目のうち、小笠原諸島の特殊な生態系が評価され、登録になりました。
陸の貝類(チラシに写真)は、外界から隔絶された海洋島の中で独自に適応放散し、多くの種に分化した代表例 です。

小笠原の自然にとって、今後の大きな問題として、外来種対策があります。
世界遺産登録により観光客の目が向けられることは、地域振興にとっては役に立つでしょう。
しかし、自然環境保護の立場からすると、観光客の増加は、大きな危険因子です。
一時は危機遺産に指定されたガラパゴス[78644]の二の舞を踏んではなりません。

自然環境保護に関する制度として 最も有名なのは 国立公園でしょう。小笠原も国立公園に指定されています。
しかし、今回の世界自然遺産指定区域の中で 重要な地位を占めながら、小笠原国立公園の区域外の場所があります。
それがどこか お分かりですか?

それは、標高 916m 都内島嶼部の最高峰・南硫黄島[74102]です。大島三原山 764m、三宅島雄山 814m、八丈富士 854m、父島中央山 318m、母島乳房山 463mですが、問題は 高さよりも、海からいきなり聳える ピラミッド状の孤島 という立地です。
黒潮を越えて 日本列島から 1200kmも離れ、有史以来大陸と繋がったことのない 海洋島。これに加えて 荒波に侵食された断崖という バリアもあります。

生き物を容易に侵入させない この火山島に到達した限られた種は、手つかずの自然生態系に進化し、貴重な存在になっています。父島では夜行性の オガサワオオコウモリが、天敵のいないこの島では、日中でも空を飛びまわるとか。

実は、1972年に小笠原国立公園が指定された時には、南硫黄島も入っていましたが、1975年に国立公園区域から除外。
なぜ? それは、自然公園法に基づく国立公園が「自然環境の保護」と同時に「利用増進を図ること」を目的としているからです。南硫黄島の「手つかずの自然」を保護するには、これでは不十分。そこで使われたのが 自然環境保全法に基づく「原生自然環境保全地域」です。

土地利用が大きく制約される 原生自然環境保全地域 は、全国でも 5ヶ所しか指定されていませんが、南硫黄島は 屋久島の一部【注】と共に最初に指定され(1975)、国立公園の区域外になりました。
【注】
南硫黄島と違い 大きな屋久島の中で、屋久島原生自然環境保全地域 は、ごく一部です。
なお、霧島屋久国立公園は、霧島・錦江湾地域と屋久島地域とに 分割することが検討されている由。

1982年環境庁により 原生自然環境保護地域指定地の 総合的な学術調査が実施された翌年、南硫黄島の全体が 自然環境保護の理由で立入禁止となりました。
最近の島の様子は、25年ぶりに 東京都環境局と首都大学東京 により行なわれた 2007年自然環境調査 により知ることができます。同行NHK取材班による ダーウインが来た!サイエンスゼロ
1982年・2007年と2回の調査が、いずれも6月に行なわれた理由は、島に近づくことのできる 唯一の季節 であるとのことです。
[90614] 2016年 6月 21日(火)21:29:08ピーくん さん
33番目国立公園
どなたも書き込みされていないようなので
中央環境審議会(環境相の諮問機関)は20日、沖縄本島の北部地域を「やんばる国立公園」として新たに指定するよう、丸川珠代環境相に答申した。
これを受け環境省は、早ければ夏ごろに官報で告示。33番目となる国立公園が誕生する。
やんばる国立公園は、政府が2018年の世界自然遺産登録を目指す「奄美・琉球」地域に含まれる。
国立公園の総面積は約1万7300ヘクタールで、沖縄県の国頭、大宜味、東3村にまたがる。
記事
[92739] 2017年 3月 8日(水)21:51:48k-ace さん
奄美群島国立公園
昨日、奄美群島国立公園が誕生しました。
奄美群島国立公園は、奄美大島、徳之島、喜界島、沖永良部島、与論島の5つの島の陸域およそ42000ha、海域およそ33000haで構成。国立公園の指定は奄美大島、徳之島の世界自然遺産登録の前提条件。世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の来年夏の登録実現に向け一歩前進。
ブラタモリが先週土曜日と25日、4月1日の放送分が奄美大島で、今後の放送分が奄美の森/奄美の海なのはこのタイミングに合わせた?(奄美大島でのブラタモリロケは2月のようですが)
また拙稿[92408]でも書いた通り、LCCのバニラエア、関西~奄美便が今月26日就航開始となります。
[92740] 2017年 3月 8日(水)22:56:10【1】Takashi さん
Re:奄美群島国立公園
[92739] k-aceさん

昨日、奄美群島国立公園が誕生しました。

ブラタモリが先週土曜日と25日、4月1日の放送分が奄美大島で、今後の放送分が奄美の森/奄美の海なのはこのタイミングに合わせた?(奄美大島でのブラタモリロケは2月のようですが)

奄美群島国立公園を指定する件が官報に掲載されたのは昨日ですが、その前段階として環境省が中央環境審議会から「奄美群島国立公園の新規指定について」の答申を受けたのが2016年12月26日で、それが省内で覆る可能性はあまりなさそうですので、ブラタモリの放送を奄美群島国立公園の誕生に合わせた可能性は高いと思います。

P.S. 前回[92732]の書き込みで発生した不具合は今回見られませんでした。修正して下さりありがとうございます。
[92749] 2017年 3月 20日(月)10:04:03【1】みやこ♂ さん
国立公園シリーズ、楽しみにしています
hmtさんの表記シリーズ、楽しみです。
で、傍からお願いなのですが、略称を「NP」と「QP」にしてはいただけないでしょうか。
その方が一般的でよろしいかと存じます。勝手を言いましてどうもすみません。

またリトルさん、7差路情報をありがとうございます。視聴したいと思います。
(このところ家にパソコン環境がなくスマホからの書き込みゆえ充分意をつくせません、どうもすみません)

後刻追記:hmtさん、ありがとうございます。
[93650] 2017年 9月 2日(土)16:18:18ピーくん さん
名称変更
「阿寒国立公園」について、摩周地域の公園区拡張等に併せ、8月8日(火)に「阿寒摩周国立公園」へ名称変更することと致しまたのでお知らせします 。
環境省

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