[3717]雑魚さん。
[3733]Issieさん。詳細なフォロー有難うございます。
ロシアの重複区名について、ロシアのHP、[www.mojgorod.ru] で区(rajon,okrug)を有する都市を全てあたり、区名を列挙する作業を夜帰宅してから始め、
[3714]にまとめ上げた頃には夜中3時近くになってしまいました。もっと解説的なことも書いておきたかったのですが時間も時間でしたので碌に誤りの確認もせず、書き込みをしてしまいました。(今日の仕事中の眠たかった事・・)Issieさんのご指摘通りPとRを間違うというロシア語常習者特有の間違いをしていました。(あと、HとN,CとSをよく間違うのですが・・)
あとロシア文字からのローマ字への翻字法ですが、私の場合ロシアの友人と電子メールをやり取りする際、お互いに「イー」と「イ・クラートコエ(短い・イ)」を区別するため前者を I 、後者は J で表わすようにしています。また「ウィ」は Y で、「ユー」と「ヤー」はそれぞれ Yu と Ya に翻字していますが、「イェー」と「エー」は混同することが少ないのでともに E としています。
それと、ロシアの地方自治制度上の rajon(ラヨン)と okrug(オークルク)の違いですが、モスクワ市のオークルクは別格でソ連時代にあった32のラヨンを10のオークルクに統合したもので、それぞれ60~130万人の人口を擁しています。ですが、それ以外の地方都市における両者の違いについては正直なところ判りません。大体において人口7~30万ぐらいの規模です。
また rajon を敢えてカタカナで書く場合、以前は私もIssieさんと同じく「ライオン」としていましたが、発音に沿って書けばアーカッチ、オーカッチの違いなく「ラヨン」と発音するようで、岩波ロシア語辞典にもそのように注記しています。それにしてもフランス語に同じ単語があったとは驚きです。因みにロシア語では「デパートの売り場」は otdel です。
さて、雑魚さんがお感じのようにすでにソ連崩壊から10年以上も経ちますが、こと区名に関しては未だに「ガチガチのソ連」が健在です。
ご指摘のように「十月(十月革命)」「ソビエト」「メーデー」「プロレタリア」などは典型的なイデオロギー関連の用語ですが、それ以外にもソ連創設期に活躍した人名を冠するものが多く、以下、
レーニン ロシア革命の指導者、ソ連の創設者。1924年脳梗塞で死去。
キーロフ 革命家。1934年暗殺。
フルンゼ 革命家、軍人。1925年手術の失敗で死去。
ジェルジンスキー 革命家、KGBの創設者。1926年死去。
カリーニン 共産党活動家。1946年死去。
オルジョニキーゼ 革命家。1937年スターリンと衝突し自殺。
スヴェルドロフ 共産党活動家。1919年急死。
ヴォロシーロフ 軍人、ソ連初の元帥。1969年死去。
クイビシェフ 革命家。
ロモノーソフ 18世紀の学者、詩人。
などです。また、「自動車工場」や「トラクター工場」など、いかにも労働者本位(建前だ!)のお国柄が伺えそうです。
余談ですが、ニジニノヴゴロドに住んでいた時「自動車工場(アフタザヴォーツカヤ)」と言う名のウオッカが売られており、私も料理酒がわりに買っていました。確かに自動車工場はニジニノヴゴロドのシンボル的存在ですが、飲料につけるような名称には思えず、感覚的に違和感を覚えましたが(まるで神戸・灘の清酒に「造船工場」と銘うつようなもの)、当のニジェガローツィ連中にとっては極あたりまえの名称だそうで、何の違和感もないようです。
こんな感覚ですから、イデオロギー色の強い区名などは全く気にもしないのではないのでしょうか。第一、ロシアでは住所に区名を書きません。市名の次には通り名(町名)、次に住居番号です。このためかどうか解りませんが通り名はよく歴史的旧称にもどされたのを見かけます。私見ながら近い将来もこのままの区名で押し通すのでは?と思っています。ニジニノヴゴロド市モスクワ区のHPに以前この区の名称が「スターリン区」だったと紹介されていましたが、さすがにスターリン批判の時代に改称されたようです。
市名についてはソ連時代に改称させられた都市名の多くが旧称に戻されました。
ご参考までにソ連崩壊前後にロシアで旧称にもどされた都市名を列挙します。(これも数え上げればキリがないのですが、とりあえず主なもの)
レニングラード → サンクトペテルブルグ
カリーニン → トヴェーリ
ゴーリキー → ニジニノヴゴロド
アンドロポフ → ルィビンスク
ブレジネフ → ナベレージヌィエ チェルヌィ
クイビシェフ → サマーラ(サマーラ州)
クイビシェフ → ボルガル(タタールスタン共和国)
オルジョニキーゼ → ヴラジカフカス
スヴェルドロフスク → エカテリンブルグ
州都の都市名が変わり、州名も変わったのは
( )内は現地での発音にそって書いてみました。
クイビシェフ州(クィブィシェフスカヤ オーブラスチ)→ サマーラ州(サマールスカヤ オーブラスチ)
カリーニン州(カリーニンスカヤ オーブラスチ) → トヴェーリ州(トヴィルスカーヤ オーブラスチ)
ゴーリキー州(ゴーリカフスカヤ オーブラスチ) → ニジニノヴゴロド州(ニジェガローツカヤ オーブラスチ)
州都の都市名が変わったにも拘らず州名の変わっていないのは
レニングラード州(リニングラーツカヤ オーブラスチ)
スヴェルドロフスク州(スヴィルドローフスカヤ オーブラスチ)
州都の都市名、州名ともに変わらないのは
キーロフ [歴史的旧称ヴャートカ]、キーロフ州(キーロフスカヤ オーブラスチ)
ウリヤノフスク[同、シンビルスク]、ウリヤノフスク州(ウリヤーノフスカヤ オーブラスチ)
カリーニングラード[同、ケーニヒスベルグ(ドイツ領)]、カリニングラード州(カリニングラーツカヤ オーブラスチ)
その他、イデオロギー色の強そうな都市名
トリヤッチ[ウリヤノフスク州、歴史的旧称スタヴロポリ]・・イタリア共産党員の名、旧称は北カフカス地方の大都市スタヴロポリと紛らわしい。
エンゲリス[サラトフ州、歴史的旧称ポクロフスク]・・旧ヴォルガ・ドイツ人自治州(戦時中に解体)の州都
[3717]
>モスクワのレニングラード駅(現在は改称?)
Issieさんの仰るとおりレニングラード駅(リニングラーツキー ヴァグザール)のままです。
モスクワ地下鉄の駅名はかなり変わりましたが。
>一つの駅が複数方面の路線を集約するという事は基本的に無いのでしょうか。
詳しくは判りませんがモスクワの場合、方面としては「基本的に無い」と思います。ただ、似たような方向に行く列車でも別々の駅から発車していました。たとえば、同じニジニノヴゴロド行きの列車でも「ヤールマルカ号」はカザン駅(カザンスキー ヴァグザール)から、「ニジェガロージェッツ号」はクルスク駅(クールスキー ヴァグザール)の出発でした。
[3733]
>「カリ―ニングラード」は「ケーニヒスブルク」に戻るんでしょうか。
私は「戻らない」と思います。ソ連崩壊当時にカリ―ニングラード市民に市名についてのアンケートを取ったのが日本の新聞記事に出ていましたが、かなりの高率(92パーセントぐらいだったか?)で「ケーニヒスベルク」に改称すべきとの意見だったように記憶しています。が当時、ロシアの飛び地となったカリーニングラード州そのものがドイツに売却されるのでは?との噂が広まり、当局の神経を逆撫でしたことがありました。その辺りの警戒もあるのでは。