戦後の樺太、千島および北方四島(ロシア連邦サハリン州)について
過去の書き込み
[2593]で人口の推移という形で各市町の盛衰と現状をご紹介させて頂き、
また
[2683]では「市」の成立について書き込みさせて頂きました。
最後に、サハリン州を構成する州都ユジノサハリンスク市と17の「地区」を調べましたので、結果を纏めてみました。
(管理人様の意図しておられる「都道府県市区町村」の範疇から大きく逸れてしまいそうで恐縮です。)
ロシア語で「区」を表わす[raion (rayon)]という単語には行政上2つの意味があり、
1)大都市の行政区
例えば「ニジニノヴゴロド市ニジェガローツキー区」、「ウラジオストク市レーニンスキー区」等。
2)共和国[respublika]、地方[krai]、州[oblast']、等を構成する行政単位
ここでは、大都市の「区」と混同しないように「地区」とします。
サハリン州には17の「地区」が存在し、また、ユジノサハリンスク市はどの地区にも属さず独立した存在です。やや複雑ですが、ここで言う「ユジノサハリンスク市」は狭義のユジノサハリンスク市とは違い、その郊外を含んでいます。
なお、「地区(raion)」は男性名詞で、これにかかる名称は形容詞男性形を取り「---スキー」といった語尾形になりますが、日本語にする場合は一般には地名(固有名詞)で表わすことが多いようなので、ここでも「アニフスキー地区」「オヒンスキー地区」などとはせず、「アニワ地区」「オハ地区」などと表記します。また、「市」「町」「村」の表記については
[2593]で書いているようにしています。
区域は旧日本時代の郡市町村名(南樺太)を書き、現在の主な集落を挙げておきます。
人口は2000年1月1日現在のものですが、一部私の推測が入っていることをお断りします。
1)ユジノサハリンスク市 人口187.0千人(都市人口181.9千人)
豊原市東部(鈴谷川より東)、川上村、豊北村のうち川上線沿線
ユジノサハリンスク市(豊原)、シネゴルスク(川上)、ノヴォアレクサンドロフスク(小沼)、ルゴヴォエ(草野)
2)アニワ地区 人口15.6千人(都市人口8.6千人) 中心都市アニワ市
留多加郡、豊原市西部(鈴谷川より西、但し川上線沿線は除く)豊北村(川上線沿線は除く)
アニワ市(留多加)、キリロヴォ(雨龍浜)、ベレズニャキ(富岡)
3)コルサコフ地区 人口46.4千人(都市人口40.5千人) 中心都市コルサコフ市
大泊郡
コルサコフ市(大泊)、オジョルスキー(長浜)、ノヴィコヴォ(弥満)、オホーツコエ(富内)
4)ドリンスク地区 人口32.7千人(都市人口27.5千人) 中心都市ドリンスク市
豊栄郡落合町、栄浜村、白縫村
ドリンスク市(落合)、ソコル(大谷)、ブイコフ(内淵、美保)、ウグレザボーツク(川北、深草)、ヴズモーリエ(白浦)、ア
ルセンチエフカ(真縫)
5)ネヴェリスク地区 人口30.8千人(都市人口29.9千人) 中心都市ネヴェリスク市
本斗郡
ネヴェリスク市(本斗)、ゴルノザヴォーツク市(内幌)、シェブニノ(南名好)、ヤスノモルスキー(阿幸)
6)ホルムスク地区 人口56.9千人(都市人口51.9千人) 中心都市ホルムスク市
真岡郡
ホルムスク市(真岡)、チェーホフ市(野田)、プラヴダ(広地)、ヤブロチヌイ(蘭泊)、ピャチレーチエ(逢坂)、コストロム
スコエ(小能登呂)
7)トマリ地区 人口14.3千人(都市人口12.4千人) 中心都市トマリ市
泊居郡、恵須取郡珍内町
トマリ市(泊居)、クラスノゴルスク市(珍内)、イリインスキー(久春内)、ペンゼンスコエ(名寄)、ノヴォセロヴォ(追手)
8)ウグレゴルスク地区 人口36.3千人(都市人口31.4千人) 中心都市ウグレゴルスク市
名好郡(西柵丹村安別を除く)、恵須取郡(珍内町を除く)
ウグレゴルスク市(恵須取)、シャフチョルスク市(塔路)、テリノフスキー(北小沢)、ウダルヌイ(大平)、ボシニャコヴォ
(西柵丹)、レソゴルスコエ(北名好)、ポレーチエ(鵜城)
9)マカロフ地区 人口11.6千人(都市人口10.4千人) 中心都市マカロフ市
知取郡
マカロフ市(知取)、ヴォストーチヌイ(元泊)、プガチョーヴォ(馬群潭)、ザオジョールノエ(樫保)
10)ポロナイスク地区 人口35.8千人(都市人口33.5千人) 中心都市ポロナイスク市
敷香郡(敷香町の初問以北と散江村の北緯50度線付近を除く)
ポロナイスク(敷香)、ルオニードヴォ(上敷香)、ガスチェロ(内路)、ヴァフルシェフ、ヴォストーク、チフメネヴォ(内
川)、レルモントフカ(泊岸)、ヴラジーミロヴォ(野頃)、ノーヴォエ(新問)
11)スミルヌィフ地区 人口17.0千人(都市人口7.7千人) 中心都市スミルヌィフ町
北緯50度線両側一帯
スミルヌィフ(気屯)、ヴリゥクルイ(初問)、ポベジノ(古屯)、ピェルヴォマイスコエ(雁門)、ロシノ(半田)、オノール、ピリ
ヴォ
12)トゥイモフスコエ地区 人口21.5千人(都市人口9.3千人) 中心都市トゥイモフスコエ町
北樺太中央凹地一帯
トゥイモフスコエ、アルギ=パギ、ヤスノエ、ベロレーチエ
13)アレクサンドロフスク=サハリンスキー地区 人口21.8千人(都市人口18.9千人) 中心都市アレクサンドロフスク=サハリンスキー市
北樺太日本海側
アレクサンドロフスク=サハリンスキー市、ムガチ、ドゥエ、ヴィアフトゥ
14)ノグリキ地区 人口14.6千人(都市人口12.4千人) 中心都市ノグリキ町
北樺太オホーツク海側
ノグリキ、カタングリ、ヴァル
15)オハ地区 人口37.6千人(都市人口32.5千人) 中心都市オハ市
北樺太北端部および間宮海峡(狭義、ロシア名ネヴェリスキー海峡)沿岸一帯
オハ市、コレンド、ヴォストーチヌイ、トゥンゴル、エハビ、モスカリヴォ、ルィブノエ、ピリトゥン、ポギビ、ネフチェゴルスク
(大震災により崩壊)
16)北クリル地区 人口3.8千人(都市人口3.7千人) 中心都市セヴェロクリリスク市
千島列島計吐夷島以北
セヴェロクリリスク市(柏原)、バイコヴォ(片岡)
17)クリル地区 人口8.0千人(都市人口2.1千人) 中心都市クリリスク市
千島列島新知島、武魯頓島、知理保以島、得撫島および北方四島のうち択捉島
クリリスク市(紗那)、ブレヴェストニク(天寧)、レイドヴォ(別飛)
18)南クリル地区 人口6.3千人(都市人口3.8千人) 中心都市ユジノクリリスク町
国後島、色丹島、歯舞諸島
ユジノクリリスク(古釜布)、ゴロヴニノ(泊)