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特別区(東京23区)は、どのような自治体なのか?

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記事数=14件/更新日:2004年8月10日/編集者:YSK

東京都の千代田区や新宿区などのいわゆる「東京23区」は、地方自治体としては「特別区」と呼ばれる種類に属します。東京23区以外に、特別区はありません。この「特別区」とはどのような自治体なのでしょうか?関連記事を集めてみました。

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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[51]2000年7月15日
グリグリ
[54]2000年9月1日
Issie
[195]2001年3月8日
M.K.
[3715]2002年10月9日
黒髪
[3723]2002年10月9日
ken
[3746]2002年10月10日
[3779]2002年10月11日
蘭丸
[10264]2003年3月3日
まがみ
[10286]2003年3月3日
ken
[10335]2003年3月4日
まがみ
[16979]2003年6月18日
まがみ
[18933]2003年8月9日
まがみ
[30512]2004年7月13日
M.K.
[30542]2004年7月14日
まがみ

[51] 2000年 7月 15日(土)18:39:46オーナー グリグリ
東京都の所在地
神奈川太郎さんへ
東京都の都庁所在地については、これまでにも新宿区ではないのですか、という質問を何回か受けています。私の見解は次のとおりです。
都道府県庁所在地というのは法律や行政で定められたものではなく、所在地と言うことであれば番地まで含めた住所を表示するのが正確な表現になると思います。一方、これまでの学校などの教育の中で県庁所在地という表現で、都市名が使われるのが慣習化していると思います。東京以外は何も問題ないのですが、東京の場合は23区という特別区が市町村に準じる行政単位になっているので本来なら都庁所在地は東京都新宿区になると思います。ただ、東京都の都庁所在地は一般的には23区の総称として「東京」という言い方をしていると思います。
[54] 2000年 9月 1日(金)22:52:45Issie さん
はじめまして (東京都の都庁所在都市)
旧樺太に存在していた「市」についての情報を探していてここにたどり着きました。「豊原市」のほかに「真岡(まおか)市」もあった,ということのようですね。次の機会に市制施行日なんかを調べてみたいと思います。
というのも,私も自分のHPで同じような「市一覧表」を掲載しているので。
なかなか,大変な情報量ですね。

さて,「東京都」の都庁所在都市について,私も「新宿区」ではなくて「東京」とすべき(せざるを得ない)と考えています。
「東京府」の時代,府庁所在地は文句なく「東京市」でした。
現在の「東京都」は,その「東京府」と「東京市」とが統合されて発足しました(厳密には現行憲法施行日の1947年5月3日を境に,以前の「東京都制」による「東京都」と,以降の「地方自治法」による「東京都」は別物です)。
以前の「東京市」の事務は「東京都」が引き継ぎましたから,「東京都」はたとえば「神奈川県」と同格であると同時に,「横浜市」とも同格ということになります。
「千代田区」以下の23区が,あくまでも完全な「市」でなく,ワンランク下の「特別区」であるのも,そういう事情です。「東京都制」下では,たとえば「麹町区」や「神田区」,そして両区が統合された「千代田区」は,横浜市の「中区」と同格でした。地方自治法で「特別区」という制度がつくられて,23区は“「市」に準ずる”ことになりましたが,やはり「区」なのです(だから,一時期「区長」は公選されなかった)。
というわけで,神奈川県の県庁所在地を「横浜市」とするなら,それと同格で東京都の都庁所在地となるのは「東京都」ということになります。でも,これでは少し変な感じ。
普通の感覚では23区が横浜市や千葉市と同格と感じるのでしょうが,この23区だけを総称する行政区画は現在存在しないのです。そこで,とりあえず,正式な行政区画名ではないけれども,23区全体の総称として「東京」とするしかない,と考えるわけです。
なお,1889年の市制施行で「東京市」が発足する以前も,「東京」という都市を総合して管轄する行政区画はありませんでした。「東京府」は都市部だけではなく,郊外の郡(荏原,東多摩,南豊島,北豊島,南足立,南葛飾)の地域も管轄していましたから。都市部には,それぞれに独立した「麹町区」以下の15区が設置されていました。
同じことは,「上京区」と「下京区」から成っていた「京都」と,「東区」「南区」「西区」「北区」で構成されていた「大阪」についても言えます。
[195] 2001年 3月 8日(木)20:06:32M.K. さん
都庁所在地
>最近の情報で正式に「新宿区」になるというような話があるのでしょうか?
私も正確な情報をつかんでいないのですが、そういう方向になる(かもしれない)根拠として思い当たることはあります。
東京23区の従来の位置づけについては、過去ログの[54]でIssieさんが語り尽くしておられますね。23区の地域については、『「東京都」はたとえば「神奈川県」と同格であると同時に,「横浜市」とも同格』だったのです。
地方自治法が、市町村を「基礎的な地方公共団体」、都道府県を「市町村を包括する広域の地方公共団体」と位置づけているのに当てはめると、東京23区の地域だけは特殊なことに、それらが両者とも「東京都」でした。
ところが、昨年(2000年)の4月1日に制度改革が行なわれまして、東京の特別区は地方自治法上でも「基礎的な地方公共団体」と位置づけられ、地位が向上しました。
このことによって、東京都庁所在地が「新宿区」と表記されるようになるのかな…と、想像だけはできるんですが、確かめてみないと何とも言えません。これは、調べてこないといけません。(^^;)

都市対抗野球では、例えば東京多摩地区の東芝府中が出場すると「府中市代表」。ところが23区内に事業所のあるプリンスホテルなどが出場すると「東京都代表」とされていたんです。これからは、どうなっちゃうのでしょう…。最後、あまり関係なくて、すみません。
[3715] 2002年 10月 9日(水)03:11:01黒髪 さん
特別区(東京23区)
[3678]Kenさん
>特別区は、法律上は、独立した地方自治体で、市などと同様の扱いを受ける、という位置付けだったように思うのですが、何か致命的な法律上の制約はありますでしょうか?
[3682]fさん
>人口50万以上の市でないと指定都市になれませんから、現状では無理ですね。まずは市になることからはじめましょう。

世田谷区は「市」になれない!?
ここの書き込みで何度も「市になるための要件」について述べてきましたが、実は大前提があるのです。地方自治法第8条では「市となるべき普通地方公共団体は、左記に掲げる要件を具えていなければならない」となっています。
世田谷区は「普通地方公共団体」ではなく「特別地方公共団体」なのです(地方自治法第1条の2)。「普通地方公共団体」とは、都道府県市町村の7種類しかありません。
同じく地方自治法第8条で「町となるべき普通地方公共団体は・・・」と書いています。あら大変。「町」にもなれないようです。
結論:まずは「村」になって「普通地方公共団体」の地位を確保しましょう。「村」になるための制約は無いようですから。
(法の解釈が間違っている、他に関係法令がある等、気付いた事があれば遠慮なく書き込んでください)

[3685]Kenさん
>固定資産税が、市であれば、市の収入ですが、23区の場合は都の収入だったり。

間違いではないですが、知らない人が見ると誤解しそうなので。
東京23区では本来、市町村税である固定資産税、市町村民税法人分、特別土地保有税、都市計画税、事業所税を東京都が賦課徴収しています。と言っても東京都の総取りではなく、52%(都市計画税、事業所税は除く)は交付金として区に戻しています。
ここで勘違いしてはいけないのは、例えばA区100億円のうちの52%、すなわち52億円がA区に戻ってくるのかというと、そうではないのです。
23区が平等に事務を遂行できるよう、区の財政状況に応じて再配分されます。10億円になったり、150億円になったり。ちなみに今年度の交付額は全体で約7,500億円で、最低は渋谷区の0円、最高は足立区の約823億円です。
[3723] 2002年 10月 9日(水)14:30:21ken さん
特別地方公共団体
[3715] [3718] [3722]
よく見てみますと、地方自治法の
第283条に
1. この法律又は政令で特別の定めをするものを除くほか、第2編及び第4編中、市に関する規定は、特別区にこれを適用する。
とあり、

第8条
1. 市となるべき普通地方公共団体は、左に掲げる要件を具えていなければならない。
   ・人口5万以上を有すること。
   ・・・(以下云々)
は「第2編」中の規定ですから、

第283条を適用すれば、市に関する規定は特別区にも適用されるんですよね。
間違っているかな?

特別区の廃止は
第281条の4
1 市町村の廃置分合又は境界変更を伴わない特別区の廃置分合又は境界変更は、関係特別区の申請に基づき、都知事が都の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
で、できるようですね。
[3746] 2002年 10月 10日(木)09:37:00f さん
東京23区
[3731]
> なぜ、東京は特別区なのか教えてください。

東京都が普通地方公共団体になったとき、都の内部組織であった区も自治体としての地位が与えられました。しかし完全な自治体になれなかったのです。つまり自治権が制限されていて、普通の市町村が持っているような権利を都が持ったままになっています。

> 世田谷区が市になって何かメリットはあるのでしょうか。

ということで世田谷区が自分でできることが一般の市程度に増えます。
[3779] 2002年 10月 11日(金)08:27:40【2】蘭丸 さん
都道府県の相違と来歴
 過去ログで、都道府県の違いや、歴史に関するものがありましたので、私の知っている限りの情報を書かせていただきます。

 現行の都道府県制度は、地方自治法上、地位についてその名称による差異は全くなく、同等のものとして一律に規定しています。単に現行法の制定当時に存在した沿革上の名称をそのまま踏襲したまでのことです。ですから、地方自治法や都道府県条例では、市となるための要件や町となるための要件などは規定されていても、「府となるための要件」や「都となるための要件」は存在しないわけです。

 特に府と県はその実態から言って全く同じものです。なぜ、「府と県は」かというと、東京都の特別区の存在が「都」に府県とは違った役割を持たせているからです。
 すなわち、東京都はその区域の内、市町村の区域については通常の府県の権能を有し、特別区の区域については府県と市の両方の権能を有するという離れ業をやってのけています。これも一言で言えば、沿革上の都の組織を踏襲した結果です。戦時中、首都の一体的な行政遂行を目的として東京府と東京市を統合した「東京都制」が施行されましたが、戦後も「東京市」が復活することなくそのままの形が残されたわけです。戦後、区長の公選が行われましたが、昭和27年に議会選任制(都知事の同意のもと、議会が選任)となり、特別区は再び都の内部団体としての色彩が濃くなります。しかし、これでは通常の有権者は基礎自治体である市町村と広域自治体である府県の両方の自治に参加できるのに、特別区の有権者は都の自治にしか参加できない(通常の地方自治は二層制だが、特別区では一層制)という問題点が指摘され、昭和50年、区長公選が復活し、平成11年には基礎自治体に昇格して他の市町村なみの体裁を整えるにいたったのです。
 しかし、依然として都区財政調整制度や、23区職員の一括採用、消防・水道の都による運営など、通常の市町村とは異なる面が多く、やはり現在も名実共に「特別区」なのです。

 また、現在の「都」は、戦前の「東京都制」とは違って、東京に限った制度ではないので、例えば神奈川県や大阪府を大都市行政の一手段として「都」とすることは法理論上は可能です。そもそも、都と特別区の定義自体が自治法にはない、と言った方が早いでしょうか。

 道についても、沿革上の呼称をそのまま用いているだけであり、元来、一地方名であったものが府県と同じ位置付けをされた、という経緯の違いがあるだけで府県と同様のものです。

 ちなみに王政復古ののち、府は10府ありました。このことに触れている書物がわりと少ないので以下に列挙してみます。

 箱館府、東京府(←江戸府)、神奈川府、新潟府(←越後府)、甲斐府、
 度会府、京都府、大阪府、奈良府、長崎府
 ※東京府は江戸府から、新潟府は越後府から改称したものですが、新潟府とその後別個に成立した越後府とが
  一時並立した時期もあった様です。これを含めると11府あったことになります。

 この10府の内、のちに残る3府以外は全て1年足らずで廃止されている様です。しかし、当時の政府がどこを要地と考えていたかを物語る興味深い事実だと思います。

 それにしても、いろいろな統計をとる際に、23区は一つの都市と見なされながら、それを指す適切な言葉が存在しないのにはやっぱり違和感ありますよね。例え「特別区」、「23区」と表記しても、他のケースでは「神奈川県-横浜市-都筑区」のように住所表記と一致するのに対し、「東京都-特別区-渋谷区」なんていう住所ないですよね。
[10264] 2003年 3月 3日(月)01:29:30まがみ さん
特別区の市への転換(法律編)
最近、再び特別区の再編問題が話題になりそうなので([10242] [10244]など)、過去ログを参照しつつ、主として法律面からまとめてみました。不備な点はご叱責賜りたく。ちなみにこの原稿、書くのに3時間かかりました…


●特別区の位置付け

現行の地方自治法では、「特別区は、基礎的な地方公共団体」とされており、基本的には市と同様の立場にあります。
特別区の廃置分合は、その特別区の議会で議決して、都知事に申請。都議会で議決されると、総務大臣に届け出ることで廃置分合が可能です。市町村の場合と同じです。また、都内の市町村を廃止して特別区を設置することもできます。
市町村の合併の特例に関する法律(=いわゆる合併特例法)も、特別区は市と同視すると明記しています。
  →基礎的な地方公共団体…第281条の2 特別区の廃置分合…第281条の4 合併特例法…第17条

以前、千代田区が「千代田市」を目指すという新聞記事が載ったことがありました([348])。これについては、[349] [352] [354] [369] [377]などで意見が出されていました。さらに、特別区が市になることについて、法律的な観点からは、[3718] [3723] [4895]にあります。また、現状ではどの程度議論が進んでいるかについて、[7045] [7658]に言及があります。


●市制施行の手続き

さて、実際に市制施行するときは、どのように手続きをすれば良いのでしょうか。過去ログによれば、

[3715]黒髪 さん
市になれるのは「普通地方公共団体」に限られる。ということは、まず「村」になって「普通地方公共団体」の地位を確保してから、市制施行。

[3722]f さん
(世田谷区の例で)世田谷区を廃し、同一の区域をもって「世田谷市」を設置。

の2案が出ています。でもこの2案、実質的には同じといえます。つまり、世田谷区の例でいえば、
・世田谷区を廃止
・廃止した世田谷区と同一の区域をもって、普通地方公共団体たる「世田谷村」を設置
・世田谷村を世田谷市として市制施行

上2つは第281条の4 第1項、市制施行については第8条1項により、それぞれ可能です。
これら3つの手続きを同一の日に行なうことにより、実質的に区を市に変えることができます。
(ただし、世田谷村を設置するに際しては、第7条第1項の規定を根拠とすることはできません。第281条の3で、特別区に関しては第7条の適用は除外されています。)

ただし、千代田区についてのみ、人口が5万人を割り込んでいることから、市制施行できません。
東京都条例によれば、町となるには「最近5年間人口増加の傾向」になければなりませんが、千代田区の場合は幸いにも増加傾向ということですので、この方法で少なくとも「千代田町」にはなれます。

なお、
[3723]ken さん
特別区を市とする場合は、
確かに地方自治法二編の規定は、第283条によって特別区にも適用されますが、適用されるのは「市に関する規定」であるのに対して、第8条は「市となるべき普通地方公共団体」に適用される規定ですから、特別区を市とする場合の根拠条文としては使えません。
(そういう意図で無かったのならすみません)


●東京市復活の問題点

[3730]にあるように、「東京市」を復活させるというのも一つの手でしょう。しかしそうすると、他の政令指定都市と同様、区長・区議会の公選制はなくなり、東京市長・東京市議会が設置されることになるでしょうが、区長改め市長ポストが一挙に22も減少し、議員数も最大で96人に減らされるという事実を考えると、まず区議会で否決が必至でしょう。
   →議会必置…第89条 市長必置…第139条2項 議員定数…第91条2項11号

「東京市」に限り区長・区議会の公選制を残すとなると、大都市制度にまた一つ例外を作り出すことになり、せっかく特別区制度を解消したことが無意味になってしまいます。また、現状の特別区それぞれが市と同等の機能を有していることも考え合わせると、東京市の復活は難しいのではないでしょうか。

# 個人的には「東京府」「東京市」の復活がいいと思うのですけどね。「東京市」を政令指定都市にすれば制度上もすっきりして。


--------------------------------

町としての要件を定める条例(東京都)
人口一万以上を有し、且つ、最近五年間人口増加の傾向にあること。
当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内にある戸数が、当該普通地方公共団体の総戸数(以下「総戸数」という。)の四割以上を占めるか又は当該地方公共団体の各連たん区域内の戸数の合計が、総戸数の六割以上を占めること。
商工業その他都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数の合計が、当該普通地方公共団体の総人口の六割以上であること。
交通機関及び通信機関等が設けられ、土木、保健衛生、警防、教育及び文化等の施設を有すること。
[10286] 2003年 3月 3日(月)15:16:33【1】ken さん
re:特別区の市への転換(法律編)
[10264]まがみ さん
[3723]ken さん
特別区を市とする場合は、
確かに地方自治法二編の規定は、第283条によって特別区にも適用されますが、適用されるのは「市に関する規定」であるのに対して、第8条は「市となるべき普通地方公共団体」に適用される規定ですから、

まず、何はさておき、自分が3000番台から書き込んでいたとに、愕然としますが。
法律条文の解釈は、専門でないので、よくわからないのですが、
地方自治法二編の「市となるべき普通地方公共団体」=「市」と解釈しては駄目なんでしょうか。
地方自治法第二編中では、
「市に関する規定」は「特別区にも適用する」と言っているのを、
「市となるべき普通地方公共団体」に関する規定は「特別区」にも適用すると、読んじゃ駄目なんでしょうね。

第283条に
1. この法律又は政令で特別の定めをするものを除くほか、第2編及び第4編中、市に関する規定は、特別区にこれを適用する。
を杓子定規に書けば、
1. この法律又は政令で特別の定めをするものを除くほか、第2編及び第4編中、市となるべき普通地方公共団体に関する規定は、特別地方公共団体である特別区にこれを適用する。

とあれば、議論の余地はないですが、「市」は普通地方公共団体であることは説明不要の既知の事項とすれば、
第2編及び第4編中、市に関する規定は、特別区にこれを適用する。
の第2編中の第8条ですが、
1. 市となるべき普通地方公共団体は、左に掲げる要件を具えていなければならない。
   ・人口5万以上を有すること。
   ・・・(以下云々)
で、わざわざ「普通地方公共団体」と言っているのは、「特別地方公共団体は含まないよ」という念押しなのか。
[10335] 2003年 3月 4日(火)01:01:20まがみ さん
Re: Re: 特別区の市への転換(法律編)
[10286]ken さん
地方自治法二編の「市となるべき普通地方公共団体」=「市」と解釈しては駄目なんでしょうか。
「市となるべき普通地方公共団体」という語は、その裏を返せば「市になる普通地方公共団体は『市』ではない。町か村だ」という意味合いを含んでいるように思います。既に『市』となっている普通地方公共団体に対して、「市となるべき~」という要件はいりませんので。

「市に関する規定は特別区にも適用する」というのは、現在、普通地方公共団体たる市に対して適用される規定(議員定数など?)は特別区にも適用される、ということを言っているのは確かでしょう。ですが私は、町や村に適用されることを想定した第8条の規定は、第283条の「市に関する規定」には当たらなくて、特別区は市になれない、と解釈したわけです。

ですが、kenさんの意見をよく読むと、確かに「市となるべき~」の規定は市に関する規定であることには違いありませんね。「市に関する規定は特別区にも適用する」ということであれば、第8条も特別区に適用される余地がありそうですね。

一方、このように考えたとしても、やはり、
市となるべき普通地方公共団体は、…
「普通地方公共団体」に限るよ、という明示があるので無理なのでしょうか。


特別区制度をスタートさせた当時は「特別区が『市』になりたい」と言い出すかも知れないことを想定していなかったのでしょう。そして、現在の地方自治法でも、そのような事態は想定していないと見えます。逆に、地方自治法第281条の4 第8項によれば、都内の市町村を特別区にする場合について規定していますが、特別区を市町村にする場合は規定されていません。

第281条の4 に規定されている事柄は、
第1項…特別区どうしだけで配置分合・境界変更する場合
   想定例:千代田区と中央区が合併したり、新宿区と渋谷区が境界変更するなど
第3項…都と道府県の境界にわたる特別区の境界変更
   想定例:足立区と草加市の境界を変更するなど
第8項…都内の市町村の全部または一部による、特別区の設置
   想定例:武蔵野市を、特別区たる武蔵野区にするなど
第10項…都内の市町村の廃置分合または境界変更を伴う特別区の境界変更で市町村設置を伴わないもの
   想定例:世田谷区と調布市の境界変更をするなど

本来は、この他に「特別区の全部または一部による、市町村の設置」という規定があれば良いのですが、なぜかそのような規定はありません。


極論ですが、第283条により、市に関する規定は特別区にも適用するということであれば、特別区も政令指定都市になれるんじゃないか、と思えたりして。第252条の19は、
政令で指定する人口五十万以上の市は、…
第252条の23は、
中核市となるべき市が備えなければならない要件は、…
第252条の26の3
政令で指定する人口二十万以上の市は、…
いずれも、「市」は、とだけ規定していて、普通地方公共団体に限るとは書いていません。しかもこれらの条文は第二編中にあり、第283条により特別区にも適用されうる、とも思えてきます。
…調べてみましたら、「政令で定める市」の解釈としては、特別区は含まないとされているようです。ですが直接的に「政令指定都市になれない」「中核市になれない」などといった規定はあるんでしょうかねえ? わかりませんが。

# なお、本稿、[10264]とも、私の勝手な解釈によるものですので、必ずしも総務省などの見解とは同じではないと思います。ちなみに私は地方自治法の専門家ではないですよ。
[16979] 2003年 6月 18日(水)21:46:16まがみ さん
東京都、大阪都
[16878]花の東京都民 さん
首都が東京から移転したら東京は都制から府制に移行
「都」という制度自体は一般的なものですから、首都があろうとなかろうと、東京府に変更する必要は無かろうと思います。地方自治法によれば、「特別区を包括する広域の地方公共団体」を「都」と呼んでいます。
-------------
第281条都の区は、これを特別区という。
第281条の2都は、特別区の存する区域において、特別区を包括する広域の地方公共団体として…
-------------

大阪では逆に、大阪府と大阪市を統合して「大阪都」にしようという構想があります。大阪府が積極的に打ち出しているもので、逆に大阪市は、府から独立した「特別市」の実現(復活?)を図ろうとしています。どちらも、あくまで構想段階で、今のところ実現可能性は低いですが。(関連[549][8233][8771]など)
[18933] 2003年 8月 9日(土)15:17:45【1】まがみ さん
Re: Re: Re: 特別区の市への転換(法律編)
[10335]まがみ
「特別区の全部または一部による、市町村の設置」という規定があれば良いのですが、なぜかそのような規定はありません
なぜこのような規定がないのか気になっていたところ、7月中旬に渋谷区役所へ行った際、以下のような資料を見つけましたので、引用してみます。

----------------
 (特別区が)一般の市町村と異なっている点は、特別区の存する地域が縮小・消滅するような廃置分合及び境界変更を法制度上想定していないということである。
 例えば、市部に接している特別区が市に合併されたり、自ら市になるということになると、究極的には特別区がなくなってしまうことが想定される。しかし、そもそも人口が高度に集中する大都市地域があるという実態に対する大都市制度として都制あるいは特別区制が法律上定められている。したがって、特別区の発議及び都知事の行政処分という地方公共団体の思弁における手続のみで、都制及び特別区制が事実上消滅してしまうことは、現行の地方自治制度の中では認められないという考えによるものである。

出所:『平成12年都区制度改革の記録』財団法人特別区協議会、2001年
----------------
[30512] 2004年 7月 13日(火)23:11:42M.K. さん
RE:特別区から市への移行
[30374]ゆうさん
[3722]fさん
市になるためにはどうするかといえば、まず世田谷区を廃します。それから世田谷市を新たに設置します。
このように「普通地方公共団体」を「新たに」設置すれば世田谷市はできるように思います。この場合、区長が引き続き市長に就くことはできず改めて選挙し、すべての条例は新しい市議会で制定し直すことになるのでしょう。

#法の解釈が間違っている、他に関係法令がある等、気付いた事があれば遠慮なく書き込んでください。

書き込みを拝見してから、地方自治法の条文をあたってみたり、いろいろ考えをめぐらしているうちに時間がたってしまいました。遅い意見表明ですが、ご勘弁ください。
私の思う結論は「現行の地方自治法のもとでは、特別区から市への移行はできない。それを可能にするためには、法改正が必要」というものです。

地方自治法は「特別区の廃置分合又は境界変更」について、以下の条文を設けています。

第二百八十一条の三  第七条の規定は、特別区については、適用しない。
このように、まず、「市町村の廃置分合又は境界変更」について定めた第7条は、特別区には適用されません。
次が肝心の条文です。
第二百八十一条の四  市町村の廃置分合又は境界変更を伴わない特別区の廃置分合又は境界変更は、関係特別区の申請に基づき、都知事が都の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
2  前項の規定により特別区の廃置分合をしようとするときは、都知事は、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならない。
3~7 略
8  都内の市町村の区域の全部又は一部による特別区の設置は、当該市町村の申請に基づき、都知事が都の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
9~12 略
というわけで、特別区の廃置分合そのものは可能ですが…。問題は、特別区の廃置分合又は境界変更を、第281条の4第1項の冒頭に示してあるように「市町村の廃置分合又は境界変更を伴わない」ケースに限っていることです。
例えば、
「台東区を廃し、その区域を千代田区に編入する」
「千代田区、中央区、台東区を廃し、その区域をもって中央区を置く」
「大田区の区域を分け、大森区および蒲田区を置く」
以上、3つほど具体例を考えてみましたが、これらはみな特別区の区域のみで解決する廃置分合です。区部に隣接する都内の市にはなんら影響を及ぼしません。つまり、「市町村の廃置分合又は境界変更を伴わない」ケースに該当し、第281条の4第1項を根拠に手続きを進めることが可能です。
ところが、例えば、
「武蔵野市を廃し、杉並区に編入する」あるいは逆に「杉並区を廃し、武蔵野市に編入する」
そして「世田谷区を廃し、その区域をもってあらたに世田谷市を置く」も、
これらは「市町村の廃置分合又は境界変更を伴う」ケースとなってしまい、実際に手続きを進めようとしても地方自治法には根拠とする定めが設けられていない(…ということは、このケースを地方自治法は想定していない)ので、現在のところ不可能ということではないでしょうか。
ただし、上の第281条の4第8項によって、新しい特別区を設置する次のようなケースはOKなのですね。
例:「武蔵野市を廃し、その区域をもってあらたに武蔵野区を置く」

ウェブ上に「特別区制度改革から都区制度改革へ」という興味深いページを発見したのですが、機種依存文字が使用されているため、直リンクは避けてご紹介いたします。
http://www.kitanet.ne.jp/~takashi/gyouza/ron/ron1.html (httpを全角にしています)
このページの、都区制度改革の全容( 「特別区職員ハンドブック」から)という部分に、以下の記述がありました。前後に★印を付した文は、この投稿の根拠になるのではないかと思いました。
 廃置分合、境界変更の手続の変更
 一般の市町村の廃置分合及び境界変更については、市町村自らが発議権を有している。
 これに対して、特別区の廃置分合及び境界変更については、都の内部的団体としての性格から、特別区ではなく、都知事が発議権を有していた(自治令旧209~209の6の2)が、都区制度改革により特別区が基礎的な地方公共団体となったことで、一般の市町村と同様に、廃置分合及び境界変更の発議権を持つこととなった(自治法281の4)。
 ★ただし、特別区が縮小、消滅するような廃置分合及び境界変更を法制度上想定していない点が、一般の市町村と異なっている。★
 また、これにあわせ、従来適用されていなかった「市町村の合併の特例に関する法律」が特別区に適用されることとなった。

しかし、絶対的な権威ある文献で確認する、というようなことはできませんでしたので、解釈の誤りがあるかもしれません。その場合は、ご指摘いただくことができれば幸いです。
[30542] 2004年 7月 14日(水)23:09:47まがみ さん
Re: RE:特別区から市への移行
私もこの話題についてはごちゃごちゃと書き込みましたが([10264][10335])、[18933]をもって自分なりに納得してしまったので、最近はちょっとご無沙汰しておりました。

[30512]M.K. さん
私の思う結論は「現行の地方自治法のもとでは、特別区から市への移行はできない。それを可能にするためには、法改正が必要」というものです
私も同様、地方自治法上、特別区(特別地方公共団体)から市町村(普通地方公共団体)への移行手続が定められていない以上、できないものと思います。

また、拙稿[18933]で挙げた、『平成12年都区制度改革の記録』財団法人特別区協議会、2001年、も参考になるかと思います。私は渋谷区役所で読みましたが、他の区役所や特別区資料室(江東区塩浜)にもあるかも知れません。

「武蔵野市を廃し、杉並区に編入する」あるいは逆に「杉並区を廃し、武蔵野市に編入する」
そして「世田谷区を廃し、その区域をもってあらたに世田谷市を置く」も、
これらは「市町村の廃置分合又は境界変更を伴う」ケースとなってしまい、実際に手続きを進めようとしても地方自治法には根拠とする定めが設けられていない(…ということは、このケースを地方自治法は想定していない)ので、現在のところ不可能ということではないでしょうか。
私が気になるのは、地方自治法281条の4 第10項の
----------------
都内の市町村の廃置分合又は境界変更を伴う特別区の境界変更で市町村の設置を伴わないものは、関係特別区及び関係市町村の申請に基づき、都知事が都の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
----------------
です。この条文を仔細に読むと、
1.都内の市町村の廃置分合を伴う特別区の境界変更で、市町村の設置を伴わないもの
2.都内の市町村の境界変更を伴う特別区の境界変更で、市町村の設置を伴わないもの
の2つに関して規定しているようです。

2.については、わかります。調布市と世田谷区の境界変更、西東京市と練馬区の境界変更などが想定されます。

しかし、1.については突飛な例を考えなくてはならないかも知れません。そこをどうにかして考えてみると、例えば「狛江市を廃し、その一部の区域を世田谷区に、残りの区域を調布市に編入する」といった例が想定されるかと思います。そもそも、「都内の市町村の設置を伴う」特別区の境界変更で「市町村の設置を伴わない」ものというのは、どういう例なのか見当がつきません。

なお、「武蔵野市を廃し、杉並区に編入する」については、次の手続きを踏むことにより、実質的に可能といえます。
  武蔵野市を廃し、その全部の区域をもって新たに武蔵野区を置く(法281条の4 第8項)
  武蔵野区を廃し、その全部の区域を杉並区に編入する(法281条の4 第1項)

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