今回は、1965年~2000年までの国勢調査を見ます。大きく分けると、1975年までは「高度経済成長期」であり、それ以降は何と名付けたら良いか迷うところでありますが、要するに「平成の大合併期」に突入するまでの過渡期です。個人的にも、後半は、結婚し、子供が誕生した事を除けば、ただ、サラリーマン生活を続けただけの「凡庸」、いや、「空白」の時期でした。
国勢調査年 | 最高人口市数 | 最低人口市数 | 全市数 | --- | 最多人口市 | (人口) | 最少人口市 | (人口) |
1965 | 17 | 32 | 566 | | 大阪 | 3,156,222 | 石川 | 15,958 |
1970 | 9 | 50 | 587 | | 大阪 | 2,980,487 | 山田 | 15,334 |
1975 | 15 | 53 | 643 | | 大阪 | 2,778,987 | 歌志内 | 11,778 |
1980 | 13 | 3 | 646 | | 横浜 | 2,773,674 | 歌志内 | 10,178 |
1985 | 29 | 6 | 651 | | 横浜 | 2,992,926 | 歌志内 | 9,612 |
1990 | 5 | 6 | 655 | | 横浜 | 3,220,331 | 歌志内 | 8,279 |
1995 | 30 | 7 | 664 | | 横浜 | 3,307,136 | 歌志内 | 6,867 |
2000 | 31 | 33 | 671 | | 横浜 | 3,426,651 | 歌志内 | 5,941 |
【第10回(1965年)】
「昭和の大合併」もほぼ終了したことにより、「デビュー市」は12市と極端に少なくなります。「最高人口」を記録した「デビュー市」はなく、既成市組では銚子、熱海、新宮など17市が記録。と言っても、17市には、これをもって「消滅市」となる、磐城、篠ノ井、旧)富士、枚岡、河内、児島、西大寺、玉島、谷山の9市が含まれており、実質的には8市と言っても差し支えないでしょう。
一方、「最低人口」を記録したのは、デビュー組では小平、門真など10市、既成市組では成田(この時期から「三里塚」が有名に)名張、三田など22市。
(開く)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識1
(閉じる)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識1
1965年デビューし、「最低人口」を記録した3つの多核市、市原、佐久、各務原の
「前身町」は、五井町、浅間町、那加町、「本源因子町」は、八幡町、岩村田町、那加町
【第11回(1970年)】
「最高人口」を記録したのは、デビュー組では富良野、南陽の2市だけ。既成市組でも室蘭、深川、蕨、守口、尼崎、因島、大川の7市と少ない。
「最低人口」を記録したのは、デビュー組では流山、大府、摂津など三大都市圏の市に、名護、具志川、浦添の沖縄勢を加えた28市、既成市組では、東根、砺波、筑後、国分といった「地方」にありながら、ソコソコ頑張っている22市。
(開く)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識2
(閉じる)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識2
1970年国勢調査で「最低人口」41,096人を記録した南国市、2005年国勢調査で「最高人口」50,758人を記録するのですが、それはともかく、1960年デビューしてから2020年までの13回全ての国勢調査で、高知県第2位の人口、かつ、全都道府県人口第2位の市の人口最下位、をキープするという、国宝級or天然記念物的な市です。
【第12回(1975年)】
前二回の国勢調査と比べると、「デビュー市」が57市と増加します。これは、1980年以降になると、市になるための人口要件等の緩和措置が無くなるため、駆け込み?市が増えたことによります。その中で「最高人口」を記録したのは鹿角と下田の2市。既成の市で「最高人口」を記録したのは桐生、東大阪など13市ですが、この中には清水、相生、玉野、坂出、長崎と造船業が盛んな(盛んだった)都市が含まれています。これは、日本の造船業のピークがこの頃であった事を物語っているのではないでしょうか。
「最低人口」を記録したのは、デビュー組では、新座、多摩、東広島、筑紫野といった(少なくとも当時は)前途洋々と思われた45市、既成市では常陸太田、八日市場、白根、大洲、八女、小林、出水、平良の8市。
(開く)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識3
(閉じる)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識3
1975年国勢調査デビューで「最低人口」80,562人を記録した座間市ですが、10年後の1985年国勢調査で記録した人口はナ、ナント、10万人ぴったり。当時の市長が「ザマー見ろ」って言ったかどうかは定かではありません。
【第13回(1980年)】
「デビュー市」が3市だけという状況で、「最高人口」を記録したのは函館、釧路、新居浜、北九州、別府、延岡など既成13市のみ。
逆に「最低人口」を記録したのは、坂戸、綾瀬、八幡の「デビュー市」3市で、既成市は皆無。
(開く)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識4
(閉じる)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識4
1980年国勢調査デビューの八幡市の「前身町」である「八幡町」の、「町」としての最高人口は、1975年国勢調査で記録した50,132人で、これは、かつて全国に9つ存在した「八幡町」のトップ(※北九州市の前身町の「八幡町」は、第1回国勢調査前に市制施行していたので「町」時代の人口は、国調以前の人口統計に頼るしかないが、5万人に達している記録は見当たらない)であります。
ところで、9つの「八幡町」読み方ですが、山形(現:酒田市)、千葉(現:市川市&現:市原市)、愛知(現:知多市)、徳島(現:阿波市)は、京都の八幡町と同じ「やわた」ですが、岐阜(現:郡上市)と滋賀(現:近江八幡市)は「はちまん」で、福岡(現:北九州市)は「やはた」です。森進一が♪「港町ブルース」で八幡浜(やわたはま)を「やはたはま」と歌っているように、「やはた」と「やわた」の違いは曖昧だと思うのですが、石清水八幡(いわしみずはちまん)由来の京都の八幡は「はちまん」でも良かったのではないかと思う次第です。
【第14回(1985年)】
この年もデビュー組で「最高人口」を記録したところはないのですが、既成市では旭川、日立、鎌倉、豊中など著名な市ばかりか、甲府、京都、和歌山の府県庁所在地3市を含めた29市が「最高人口」を記録。
「最低人口」を記録したのは、浦安、四街道、可児、宗像、太宰府の「デビュー市」全てと、既成市の高浜の計6市。
(開く)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識5
(閉じる)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識5
1985年に「最高人口」を迎えた29市の中に、「善通寺(ぜんつうじ)」「名瀬(なぜ)」がありますが、「消滅市」を含めても、「ぜ」で始まる市は善通寺だけ、「ぜ」で終わる市も名瀬だけです。かつては「ぜ」だけで出来ていた「町」、膳所(ぜぜ)もあったのに。その膳所町の「最高人口」は1930年国勢調査で記録した14,679人です。(因みに、これは、大津、彦根、長浜に次いで滋賀県4位の人口でした。)
【第15回(1990年)】
この年もデビュー組で「最高人口」を記録したところはなく、既成市の角田、足利、横須賀、富士吉田、八尾の5市が「最高人口」を記録。
「最低人口」を記録したのは、デビュー組では、幸手を除いた、つくば、牛久、大阪狭山、廿日市の4市と既成の那珂湊と杵築の計6市。
(開く)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識6
(閉じる)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識6
1990年国勢調査でデビューし、「最低人口」を記録した廿日市市の前身である廿日市町は「生まれながらの町」ではありますが、国勢調査以前の人口においては、同じく「生まれながらの町」である対岸の「厳島町」よりも少なかったのです。ところが、百年以上のときが流れた2005年に「宮島町」と改称した厳島を編入するのですから、平清盛や毛利元就もさぞかし驚いていることでしょう。
【第16回(1995年)】
この年もまた、デビュー組で「最高人口」を記録したところはなく、既成の、いわき、沼津、高槻、寝屋川、天理、防府、徳島など30市が「最高人口」を記録。この中には、君津、多摩、八幡のようにちょっと前までは人口右肩上がりだったところが含まれており、人口の推移は油断なりません。
「最低人口」を記録したのは、鹿嶋、鶴ヶ島、八街、袖ケ浦、日進、香芝、前原のデビュー7市で、既成の市は皆無です。
(開く)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識7
(閉じる)知らなくても「日常生活」に何ら差し障りのない知識7
1995年デビューの鹿嶋市の前身である「鹿島町」も「生まれながらの町」ではありますが、町村制が施行された当時の人口は僅かに2千人を超える程度。まぁ、茨城は「町の大安売り」をしている県ではありますが、それを度外視しても、陣屋や有名な神社が存在するところは「無条件で町に」という風潮が当時全国的にあったのではないかと邪推している白桃です。
【第17回(2000年)】
デビュー組で「最高人口」を記録したのは「平成の大合併」の嚆矢となった篠山1市のみ。既成市組では、帯広、小田原の中堅都市の他に、一時は日の出の勢いで人口を伸ばした名張、亀岡、富田林、河内長野など30市が「最高人口」を記録しています。(30市には、「平成の大合併」によって消滅する大宮など9市が含まれてる)
「最低人口」を記録したのは、デビュー組の石狩、北広島、吉川、京田辺、古賀の5市と、既成市組の横手など28市、計33市です。なお、既成市組28市は「平成の大合併」によって消滅する市か、2005年までに合併を行う市、のいずれかです。
(閉じる)巻末付録:二つの政令市の旧市別人口推移
さいたま市 | 2000年 | 2020年 | 増加率 | ----- | 新潟市 | 2000年 | 2020年 | 増加率 |
浦和 | 484,845 | 584,286 | 20.51 | | 新潟 | 501,431 | 495,693 | -1.14 |
大宮 | 456,271 | 524,655 | 14.99 | | 新津 | 65,860 | 66,046 | 0.28 |
岩槻 | 109,247 | 111,815 | 2.35 | | 白根 | 40,012 | 35,817 | -10.48 |
与野 | 82,937 | 103,269 | 24.51 | | 豊栄 | 48,997 | 46,642 | -4.81 |