国土地理院の
「面積調」 では、都道府県市区町村の境界に関係する変化を4種類に分けています。
[境界確定]
境界争いの結果、調停や裁定(地方自治法9条)により確定した場合と、争いがないが判明でない境界を知事が決定した場合(同9条の2)とがあります。総務省告示の対象。
2008年の事例として、従来は熊本県阿蘇郡小国町、大分県竹田市及び大分県玖珠郡九重町の3者の境界未定地であった区域の一部 0.04km2が、熊本県阿蘇郡南小国町の区域として確定しました
[68527]。
これに伴ない、境界未定の小国町面積参考値が 0.04km2減少しました。
それ以外では、沖縄県那覇市・南風原町・八重瀬町の間の境界確定がありましたが、面積は単位未満(0.00)です。
境界関係は2つの市町村がペアになっているのが普通ですが、このケースは3市町の間で2箇所が確定したのでしょう。
[境界画定]
境界確定とまぎらわしい言葉ですが、こちらは上記の知事による決定によらず、関係市町村の合意の結果を地形図に表示することで新たな境界を画定したもので、総務省告示の対象外です。2008年の該当なし。
[境界変更]
自治体全体を変更対象とする【編入】に対して、自治体の一部が変更対象となるものです。
その規模はごく軽微なものから、実質的に廃置分合の一環をなす場合まで さまざまですが、市町村に関するものはすべて総務省告示の対象です。
市区町村変遷情報でも、その取り扱いにつき苦慮された結果、主要なものは集録対象となった経緯があります
[63303]。
2008年を見る限り、市町村間の境界変更件数は意外に少なく、16件(つまり境界8件)でした。いずれも面積単位未満(0.00)の軽微な変更ですが、都県境を越える町田市・相模原市の領地交換
[65716]も含まれているようです。
このほかに政令市の行政区の境界変更もあり、広島市では 0.03km2のものがありました。
[境界修正]
実体との相違点が明らかになった地形図上の行政境界を修正したものでしょう。相違の原因が自然的要因であれ、人為的な誤りであれ、地方自治法7条による正式の手続きを経て告示に至ることを必要としない修正であると思われます。
2008年の発表中では、0.56km2が秋田県横手市から仙北郡美郷町に移った境界修正
[68527]が最大で、青森県にもこれに近い規模の修正がありました。他は 0.1 km2未満になりますが、全国で多数の境界修正がありました。
境界関係の次に現れる2項目は、新たな区域が市町村に組み込まれる場合です。
[埋立等]
2008年加入の最大面積は、諫早湾干拓の 8.75km2、次いで岩国基地沖合移転の 1.07km2でした
[68527]。
大部分は小規模なものですが、全国の[埋立等]総件数は 130件
[68680]と「面積調」の中で最大数を占める項目です。
しかし、海上に新空港島ができても、既存自治体の面積が変るだけなので、市区町村変遷情報では無視されています。
もちろん、
大潟村 のように新たな村が誕生する場合は、【村制】として集録されています。
[未所属地編入]
現在の所属未定地
[67286]は、自然の島嶼と埋立地の各2群があります。南方四島と鹿児島県の鷹島津倉瀬、そして東京港の通称「中防」と名古屋港の「ポートアイランド」。これらが市区町村に編入されるあかつきには未所属地編入に該当するのでしょうが、さしあたり該当なし。
過去の実例を探すと、
新居浜市例規 に 昭和34年編入例(0.13km2)がありましたが、その下に多数記されている埋立との違いはよくわかりません。何かの事情で所属未定状態になっていた古い埋立地でしょうか?
[地形図改測]
2008年には、久しぶりに地形図改測の事例がありました。
島根県隠岐郡隠岐の島町 0.02km2(2ha)減少が竹島であることは、
[68680]で記しました。