[66991]で「なぜ質問しないのか?」と言ったことを言いつつ、(聞かれたタイミングが悪かったとはいえ)質問に答えないままなのも何ですから、これには答えておきましょう。
まずは前振りから。
地名コレクションを実際に作り上げるには、2つの「道具」の使い方を把握しておく必要があります。
一つは、地名コレクションの編集管理ページ。
もう一つは、地名コレクションに収める地名を探すための資料。
このほかに自分なりの「その地名コレクションの採用基準」(これが設計図と言えましょう)も必要ですが、とにもかくにも「調べるための道具」と「表示するための道具」の使い方は知っておかないと先には進めません。
むろん、一番最初に地名コレクションを立ち上げる時にこれらの「道具」を完璧に使いこなせるようになっていなければいけない、と言う訳ではありませんが、やはりある程度の使い方は分かっていないと「作れない」か「効率が悪い」というところに繋がってしまいます。
と言うことで、やっぱりそれなりには知った上で取りかかる必要はあるでしょう。
そのうち、地名コレクションの編集管理ページについては
[66953]かぱぷうさんも触れていらっしゃる様に見学者モードがありますので、いろいろとさわってみて挙動を見てみるのが一番手っ取り早いと思います。
正直、EMMにしても幅の設定やら色味の設定は結構適当だったりしますので(汗)。
幅は適当に数値を変えてみて良さげな見た目になったらそれに決定…ですし、色味にしてもhtmlタグの解説本に出てくる「主要な色のRGBコード」の中の自分が思っている色に近いものからスタートして、やっぱり適当に値を変えながらそれらしい感じになったらそれで決定してたりしてます。
(EMMでさえこんな感じですから、RGBコードが使いこなせるかどうかはそんなに気にするこたぁないです>かぱぷうさん)
一方、資料の方ですが、これはどのような地名コレクションを作るかによって何を使うのがよいかが変わってきます。
…が、現在上梓されている地名コレクションの多くが「特定の文字、言葉」を含んでいる地名を集めたものであり、そう言ったものの多くは「地図サイトを検索して出てきた地名」を拾う事によって作られたものです。
で、いくつもある地図サイトの中で、地名コレクションで資料として使われている割合の高いのがYahoo!地図とMapion。
それぞれ単独で使っている場合もあれば、EMM担当のコレクションの一部のように両方併用している場合もありますが、いずれにしても地名コレクションを作るにあたってはこれら2つの地図サイトの特徴を知って置いた方がよい…と言うことになります。と言うことで本題。
この2つのサイトの特徴について触れた記事は落書き帳中のあちこちに見られます。一部はアーカイブズ
地図サイト徹底比較にも収録されていますが、ここ2年半分は反映されていません。
その後の記事をまとめても良いのでしょうが、ポイントだけ書いちゃった方が早いので挙げてみましょう。
まず、Yahoo!地図とMapionでそれぞれ、同じ地点を同縮尺で表示してみましょう。
例:東京ビッグサイト付近の
Yahoo!地図と
Mapionの表示結果
見比べてみるとどうでしょう?地図の内容は同じですよね?
それもそのはず、これら2社の地図、元々は同じものですから。
かつてはアルプス社がデータを作っていました。そして、アルプス社が直接管理しているサイトがMapion、データを提供されているのがYahoo!…と言う関係でした。
ところが、アルプス社は2004年に民事再生法適用となり(
[35724]スナフキんさんの記事参照)、今年春(昨年だったかも)Yahoo!Japanに吸収合併されてしまいました(参考:
AlpsMAP )。
それ以降、アルプス社直系の地図はYahoo!地図で、Mapionはデータ提供を受ける方…と関係が逆転しています。
スクロール地図ができたのはMapionが先、現在詳細な縮尺の地図が見られる面積が広いのはYahoo!地図…と言うのもこのあたりに関係しているのでしょう。
現在でもシンプル地図は同縮尺の地図同士は全く同じ内容(Mapionのシンプル地図にはYahoo!のマルCが付いています)、スクロール地図はデザイン的に違いが作られているためマルCは個々の会社のものしか無いもののデータの内容はやはり同じです。
よって、「誤植・記載漏れ」の補完の目的でYahoo!地図とMapionを見比べる、と言うのはとんだ的はずれの行動でしか無かったりします。
ついでに言うと、自然地形に関してはYahoo!地図・Mapionともに国土地理院の地形図に準拠しています。
ならば国土地理院のウオッちずを使えばいいのでは?と言う話になってきますが、地図をリンクする事を考えた場合、ウオッちずは特定の地点を指し示す目的で使うことには向いていない(中心点が図示されない)ため、リンクに使う目的ではYahoo!地図かMapionの方が使いやすいと言うことになります。
現状では、詳細なところまで表示したいのであればYahoo!地図、サイトの仕様変更による影響を最小限にしたいのであれば必ずリンク専用URLを吐き出すMapionがそれぞれ有利、と言うことになるかと思いますが、この点ではどちらか自分の都合の良い方を選んでおけばよほどでない限り併用する必要はないのでは、と思います。
(Yahoo!は過去の仕様変更により表示位置ずれ問題
[52015]やら
六本木ヒルズ現象やら色々騒動を起こしてくれてます。現在はYahoo!地図でもスクロール地図ではリンク用URLを吐き出すようになっていますが、シンプル地図は以前のままでアドレスバーに表示されるURLをコピペするしかありませんから今後また何が起きるか分からないのが心配っちゃ心配)
ところが、EMMはYahoo!地図とMapionを(さらにはウオッちずも)併用して使っています。それはなぜかと言うと、検索の仕様の違いのため。
Yahoo!の方は検索についても時期によって仕様が変わっていますが、どう変わろうとも「町名字名の検索結果がろくでもない」といういやな特徴がつきまとっています。
(以前は出てこない字名があった、現在は番地まで含んだデータが検索元となっているためとてつもない数が出てくる)
一方、Mapionの町名字名検索のデータは小字までで構成されているためYahoo!よりも的確な結果が出ます。
なので自然地形名はYahoo、町名字名はMapionで探す…と言いたいところですが、Yahoo!地図の検索システムには現在もう一つの欠点(地名コレクションで使う場合の)があります。
どうもYahoo!ではしばらく前から「その地名に丸々当てはまるか、決められた区切りに当てはまるかした時」のみ検索結果に引っかかってくるようになっているようなのです。
駅名で、特定の一文字で検索すると非常にわかりやすいです。
Mapionなど他のサイトの検索結果と比べると異常に少ない。
2年ぐらい前からこういう事になっています。以前は入力した文字列が含まれているものはすべて攫うことができたのに…よけいなデータを拾わないようにと言うことでこのような仕様にしたのかもしれませんが、必要なものが出てこない危険性の方が高まったんじゃないかと思ってます。
こういう不都合があるため、EMMは自然地形名はウオッちずで検索して、出てきた地名をYahoo!地図で探してリンク用データとして使う、と言うことをしています。
じゃあ検索面でYahoo!に利点は無いのか、と言うと、特定の都道府県にある特定のカテゴリーの地名は何があるか、と言うのを調べようと思うとYahoo!が良かったりします。
具体的には、Yahoo!のシンプル地図の方で、たとえばキーワード「石川県」種別「山、川などの自然地名」とやれば石川県内の自然地形名が全部だーっと出てくる。
この結果から拾い出しているのが希少地名系3コレクションのデータです。
しかし、この「自治体名での検索」も一時期できない事がありました。
とかくYahoo!地図は仕様変更がちょこちょこある上、細かい仕様変更については何のアナウンスもなくいつの間にかなっている事が多いと思っています。
まぁそれはともかく、それぞれの地図サイトの検索システムの「癖」をつかんでおくと、地名コレクションに限らずいろんな場面で(たとえば、十番勝負とか…)役に立つ事があるでしょう。
ほかにも色々ありますが、書いていくと収拾がつかなくなるので、本稿はここまでに…と思いましたが、もう1点だけ。
Yahoo!地図は原則リンクフリー、Mapionも個人運営サイトであればリンクフリーです。
(Mapionは以前は全件リンク設置後要報告でしたが、グリグリさんに問い合わせてもらったところ都道府県市区町村で広く活用してほしい旨連絡を頂いております
[44551]。)