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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[110047]2024年2月13日
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[109965]2024年2月6日
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[109921]2024年1月25日
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[109894]2024年1月20日
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[109892]2024年1月20日
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[109885]2024年1月20日
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[109852]2024年1月14日
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[109574]2024年1月2日
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[109453]2023年12月29日
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[109440]2023年12月26日
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[109438]2023年12月26日
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[109430]2023年12月25日
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[109412]2023年12月22日
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[109402]2023年12月18日
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[109396]2023年12月15日
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[109393]2023年12月14日
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[109392]2023年12月14日
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[109381]2023年12月11日
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[109375]2023年12月8日
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[109370]2023年12月7日
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[109368]2023年12月7日
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[109364]2023年12月6日
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[109351]2023年12月5日
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[109336]2023年11月30日
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[109325]2023年11月27日
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[109321]2023年11月25日
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[109314]2023年11月21日
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[109309]2023年11月21日
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[109306]2023年11月20日
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[109305]2023年11月20日
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[109298]2023年11月19日
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[109279]2023年11月15日
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[109261]2023年11月12日
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[109255]2023年11月11日
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[109253]2023年11月11日
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[109252]2023年11月11日
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[109243]2023年11月7日
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[109241]2023年11月7日
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[109233]2023年11月2日
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[109229]2023年11月1日
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[109221]2023年10月30日
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[109219]2023年10月30日
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[109215]2023年10月29日
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[107981]2023年6月11日
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[107732]2023年4月26日
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[107714]2023年4月25日
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[107713]2023年4月25日
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[107687]2023年4月23日
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[107648]2023年4月18日
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[107199]2023年4月1日
YT

[110047] 2024年 2月 13日(火)11:10:00【2】訂正年月日
【1】2024年 2月 13日(火)11:29:20
【2】2024年 2月 13日(火)13:31:40
YT さん
海岸線延長、さらなる問題点
[109976] futsunoおじ さん

「自治体の最高点」での最高点の求め方は地理院地図に記載の三角点・標高点などの数値と地図中央の”+”カーソル位置の標高を比較して高い方を採用するといった単純なもので、何か克服したというものではありません。「DEM5A」「DEM10B」などの意味も考えず使っています。

ありがとうございます。現状では標高点から10メートル程度以内に基盤地図情報による最高点がある場合には、仮に最高点の方が標高が高くても標高点の標高を優先し、それよりも離れている場合には、より標高の高い方の情報を採用することにします。

海岸線延長についても悩んでおられるようですが地図の精度が向上して、より細かい凹凸が表示されるようになるにつれ海岸線が長くなる傾向はあるかなと思います。海岸線延長については出所を明示して適当と思われる値を利用することで良いのではないでしょうか。

おっしゃる通りです。

ちなみに[110035]であきごん さんが求められた円形度について、
(A) 新版 日本の島事典 (2022年)
(B) 2021 離島統計年報 (2023年)
(C) 新版 日本の島ガイド SHIMADAS (シマダス) (2019年)
(D) 2003 離島統計年報 (2004年)
で比較すると、ここまで数字に違いがでます(なお桜島はいずれの文献でも島扱いされていない)。

島名面積
(km2)
文献(A)
海岸線延長
(km)
文献(A)
円形度
文献(A)
面積
(km2)
文献(B)
海岸延長
(km)
文献(B)
円形度
文献(B)
面積
(km2)
文献(C)
周囲
(km)
文献(C)
円形度
文献(C)
面積
(km2)
文献(D)
海岸延長
(km)
文献(D)
円形度
文献(D)
南大東島30.52316925.2330.60230.5324.10.66130.5221.20.85330.5721.20.855
多良間島※19.80810623.2320.46119.8120.90.57019.8120.90.57021.8826.20.401
利尻島182.08744786.5670.305182.0964.00.559182.1264.00.559182.1565.10.540
三宅島55.19531855.0020.22955.2138.40.47155.2038.40.47055.4438.30.475
屋久島504.294137167.8150.225504.29126.70.395540.48126.70.423504.56126.70.395
島後241.531788180.9640.093241.55209.90.069242.83209.90.069241.58211.00.068
※2003離島統計年報の多良間島(19.73km2)の海岸延長(26.2km)は、水納島(2.15km2)を含むため、合計の面積で円形度を算出。


基本的に面積には大きな違いはありませんが、海岸線延長(島事典では解説編で「海岸線」、データ編で「海岸線延長」、離島統計年報では「海岸延長」、SHIMADASでは「周囲」と表記)では、日本の島事典とその他3つとの間の大きな差があります。

日本の島事典では、以下の解説があり、独自に面積と海岸線、標高を出したと伺えます。
面積については日本の島事典の数値はかなり信用が高く、国土地理院が公表していない1km2未満の島の面積については、現状もっとも信頼できると思われます。標高については、日本の島事典は基盤地図情報の利用が限定的であるため、データの確認が必要です。

●無人島データについて
【面積】 km2 【海岸線】 km 【標高】 m
国土数値情報によるが、記載のないものについても読者利益を図るために国土地理院の『地理院地図』(https://maps.gsi.go.jp )のデータツール機能を用いて、概要を仮測定している。それでも不明な場合は低島または「―」記載にした。海岸延長は島が島である基本情報であり、海から受ける影響度・利用・海との相互作用的近接性の指標そのものである。公的島基準もその長さで線引きしてきた。高島は目印や生態系多様性に関わり、また低島であっても領海・EEZ基点や渚生物の生態系環境保全上重要な干潟等であったりする。そこで可能な限り、それらのデータを洗い出した。
(中略)
●有人島データについて
【面積】 km2 【海岸線】 km 【標高】 m
無人島と同様。

一方SHIMADSの周囲の数値は、おそらく過去の離島統計年報の海岸延長を引用していると思われます。肝心の離島統計年報の掲げる海岸延長数字に関しましては、例えば2021離島統計年報では:

海岸延長は,国土交通省水管理・国土保全局の海岸統計調査(平成27年3月31日)等に基づく数値である。

2003離島統計年報では:

海岸延長は,「海岸統計平成12年度版」(国土交通省河川局編)による全国の総海岸延長である。

とは書いてあるのの、国交省の海岸統計には市区町村別まで海岸線延長の数字が示されており、「「離島振興法」に係る海岸線延長」という項目からある程度割り出すことは可能なのですが、個々の島の海岸線延長まで算出することはできません(参考[109921])。

とりあえず、手元にある令和2年度海岸統計によると、利尻町の延長は25.256km、利尻富士町の延長は38.743kmとあり、合計すると63.999kmとなっており、確かに離島統計年報が採用している64.0kmと一致しました。つまり離島統計年報やSHIMADASの数字は国交省系の数字で、独自に算出している日本の島事典の数字との違いは、「自然な海岸線」の解釈違いということになるのでしょうか?

日本の島事典はほとんどの島について海岸線延長の数値が得られるので便利ですが、国交省系の公的な数値との大幅な違いがあるということを念頭に入れないといけない・・・というあまり〆のない結論に達しました。

【追記】データを見返したら島後に関しては、国交省データよりも日本の島事典の方が低く出ていますね。国交省の令和2年度海岸統計によると隠岐の島町の延長が210.685km(全体が「「離島振興法」により指定された地域における海岸線延長」となっている)であり、それがそのまま島後の海岸延長として採用されているようですが、国交省データは無人の大森島(0.296496km2, 3.172 km)などは海岸延長に含めないのか?などと色々な疑問が出てきます。
[109965] 2024年 2月 6日(火)01:21:33【5】訂正年月日
【1】2024年 2月 6日(火)02:00:10
【2】2024年 2月 6日(火)11:16:47
【3】2024年 2月 6日(火)11:20:16
【4】2024年 2月 6日(火)20:45:29
【5】2024年 2月 7日(水)03:00:36
YT さん
標高点、三角点、最高点(最高地点)に関する問題
[109921]でも述べたように、有人島や面積1km2の島について、海岸線延長と最高点をまとめようとしているところですが、最高点(最高地点)についていろいろ問題があり、作業が滞っています。

まず国土地理院地図には、原則としてメートル単位で小数第1位まで表示されている三角点の標高と、原則としてメートル単位で整数値が示されている標高点があります。三角点は実際には小数第2位まで数字が存在しますが、これについては基準点成果等閲覧サービスを使えば、小数第2位の数字が入手可能です。

なお標高点に関しては、一応国土地理院の説明によると

標高点には、「現地測量による標高点」と「写真測量による標高点」があります。
現地測量による標高点とは、地図を作るときに現地で測量した点のことをいい、地図を使う人にそこの高さを教えるためにメートル以下1位までを表示しています。
写真測量による標高点とは、地図を作るときに空中写真を使って写真測量をおこなった点のことをいい、地図を使う人に高さを教えるためにメートルまでを表示しています。

ということで、三角点でなくともメートル単位で小数第1位まで表記されている標高点も存在するようですが、具体的な例は見つけておりません。

一方基盤地図情報を使えば、航空レーザ測量などに基づく詳しい地形情報が得られます・・・とは言ってもこれらのデータをダウンロードしても私には見方が分かりません。国土地理院地図の方でも標高は小数第1位(DEM10A以下では整数値)まで出せますが、その最大値を出すのは大変です。また国土地理院地図の「地図の種類」から「自分で作る色別標高図」の機能を使うと、自動的に最大値と最小値からグラディエーションを生成することが可能ですが、デフォルトでは0.5メートル単位でしか刻めません。

そこであきらめて基盤地図情報でダウンロードできる情報の使い方などを色々調べてみたところ、「地理院地図の「自分で作る色別標高図」の標高値を0.1m刻みで設定できるサンプルサイト」という便利なツールを提供しているところがありました。これにより地理院地図上で標高を刻むことにより、基盤地図情報による標高の最大値を出すことが可能となりました!

そこで早速色々島の情報を調べてみたのですが、色々問題があることが分かりました。


1.ユルリ島(北海道根室市)の場合
ユルリ島には二等三角点「由留利島」があり、その標高は基準点成果等閲覧サービスによると42.21メートルです。しかしながらDEM5Aによると、三角点から約30メートル程西に離れた場所に標高42.6メートルの地点が存在します。三角点が最高点とは限らない原則に立ち返れば、ここの最高点の標高としては43メートルを採用します。


2.大黒島(北海道厚岸町)の場合
大黒島には標高102.34メートルの三等三角点「大黒島」がありますが、ここが最高点ではなく、別に標高105メートルの標高点が存在します。しかしながらDEM5Aによると、標高点から10メートル以内の近傍が存在します。これを採用すると107メートルなのですが、ここで標高点と、基盤地図情報のどちらを信用するかという問題が発生しますが、そもそも標高点は写真測量などによって決めたもので、内容的には航空レーダーを使っているDEM5A(誤差0.3メートル以内)の方が上位な気もしますが、この誤差については

※1 格子内に航空レーザ計測点(グラウンドデータ)がある場合の精度。無い場合は2.0メートル以内。

との脚注があり、写真測量(例えばDEM5Bの場合の誤差は0.7メートル以内)の方が誤差が少なくなるようにも読み取れます。色々迷いましたが、この場合は標高点の方の数字である105メートルを採用します。


3.天売島(北海道羽幌町)の場合
天売島には標高183.49メートルの一等三角点「天売島」がありますが、国土地理院地図上では183.5メートルと表記されます。つまりメートル単位では国土地理院地図上の表記(183.5メートル)と基準点詳細(183.49メートル)の間で丸め誤差が発生してしまいますが、183.49メートルという数字が存在してしまうことが分かった以上、ここでは標高183メートルを最高点の標高採用するべきでしょう。一方DEM5Aでは三角点の標高は182.3メートルで、三角点から北東に約700メートルも離れた位置に標高182.7メートルの最高点が存在していることになっています。まあこの地点は三角点の標高よりも低いので採用しませんが、四捨五入してしまえば同じ183メートルとなります。


4.八丈島(東京都八丈町)の場合
八丈島には二等三角点「八丈富士」があり、その標高は基準点成果等閲覧サービスによると854.25メートルです。しかしながらDEM5Aによると、三角点(DEM5Aでは近傍に標高853.1メートル)から北西に約400メートル離れた場所に標高856.6メートルの地点が存在します。三角点が最高点とは限らない原則に立ち返れば、八丈島の最高点の標高は857メートルを採用します。この場合一般的に知られている八丈富士の標高854メートルよりも3メートルも高くなってしまいます。


5.天神島(神奈川県横須賀市)の場合
天神島には標高20.15メートルの四等三角点「佐島」があり、そこが『新版 日本の島事典』などでは最高点として採用されています。しかしながらこの三角点が存在する地点のDEM5Aによる標高は1.8メートルで、三角点が記録する標高よりも18メートル以上も低く、とても誤差といえるレベルではありません。場所からすると、三角点は佐島マリーンホテル内、おそらく建物の屋上にあるのではないか?と思って調べたら、実際に写真を撮影したサイトがありました。
三角点名:佐島、コード:TR45239646801
住所:横須賀市佐島3丁目、標高20.15m
北緯35°13′17″.0338、東経139°36′15″.4797
備考:佐島マリーナの屋上、案内に感謝
2016.08.20 近景 H.S
2016.08.20 全景 H.S
本当にホテルの屋上の一角に三角点がありました。

一方基盤地図情報を使ってみると、天神島の場合はこの三角点から約100メートルほど西に行った場所にDEM10Bによる標高4メートルの地点があります。ほんの数十メートルほどの差で、DME5AからDEM10Bに切り替わっていますが、まあ島全体に標高は4メートル以下のようです。三角点がホテルの屋上に設置されていたという特殊事情に鑑みて、天神島の最高点としては4メートルを採用するべきでしょう。


6.舳倉島(石川県輪島市)の場合
舳倉島には一等三角点「舳倉島」があり、その標高は国土地理院地図では12.5メートルですが、なぜか基準点成果等閲覧サービスでは「成果異常」となって詳しい数字が閲覧できません・・・と思ったら、「令和6年能登半島地震」における公共測量への対応」によると

国土地理院では令和6年1月1日に発生した石川県能登地方の地震(最大震度7)を受け、1月5日以降地震発生地域及びその周辺(以下「当該地域」という。)に位置する基本基準点(三角点、電子基準点、水準点)の測量成果の公開を停止しています。なお、2月7日(水)に電子基準点「輪島2」「P輪島」「舳倉島」を除く電子基準点については成果を改定し公開を再開する予定です。
 当該地域では地震活動に伴う大きな地殻変動の影響により、既設の公共基準点も影響を受けている可能性があります。このため、既設の公共基準点の地震発生前の成果を使用して測量を行った場合、正確な成果を得ることができません。また、これまで国土地理院の基準点成果等閲覧サービスにおいて公開していた公共基準点成果についても、地震前の成果が公共測量で使用されることがないよう、当該地域(市町村単位)を対象に閲覧を停止しています。
 当該地域において公共測量等を実施する際の対応方法と留意事項を取りまとめましたので、御確認の上、検討・実施をお願いします。

とのことで、まさに地震の影響を受けてしまっています。実は「三角点で日本全国津々浦々」というサイトがあり、そこで
石川県の三角点の標高を小数第2位までの数字まで閲覧できるのですが、それによると一等三角点「舳倉島」の標高は12.43メートルです。しかしながらこの情報は2011年の時のもので、四捨五入で12.4メートルとなり、国土地理院の12.5メートルとは異なります。どうやら2014年~2019年(SHIMADAS改訂)の間に、おそらくは平成26、28年 三角点標高成果改定の一環として、12.4メートル→12.5メートルと変更になるような改測または改算があったようなのですが改訂後の数字が分かりません。まあどうでも良いかも知れませんが、メートル単位表記(12.5メートルを四捨五入すると13メートル)にしたときに丸目誤差が発生している可能性が残ります。まあここはいずれ数字が公表されますし、多分震災で標高も変わった可能性が高いです。

【追記:三角点マップという、世の中には便利にまとめてくれている人がいました。これによると舳倉島は12.51メートルで、四捨五入すると13メートルですね】

なお、基盤地図情報では、標高12メートルの地点が最高標高です。ただしこの数字は精度の低いDEM10Bですので、小数第1位の数字も示されません。


7.佐久島(愛知県西尾市)の場合
佐久島には二等三角点「佐久島」があり、その標高は基準点成果等閲覧サービスによると38.05メートルです。しかしながらDEM5Aによると、ほぼ三角点と同じ場所に標高38.1メートルの地点が存在します。三角点が最高点とは限らない原則に立ち返れば、ここの最高点の標高は38.1メートルですが、結局四捨五入をしてしまえば38メートルとなります。

しかしながら問題となるのが、DEM5Aでは三角点から西北西へ約860メートルも離れた別の場所に標高38.9メートルの最高点があることです。しかしながら国土地理院地図では、ほぼ同じ位置に標高35メートルの標高点があります。DEM5Aの数字を採用すると、この標高点の標高は35メートルではなくて39メートルとなり、島一番の最高点となってしまいますが、標高点の数字を優先すると、この場所の標高は35メートルであり、この島の最高点は三角点近辺の38メートルとなります。

DEM5Aは誤差0.3メートル以内、格子内に航空レーザ計測点(グラウンドデータ)がない場合には誤差2.0メートル以内とされているので、この場合の35メートル地点における39メートルに対する誤差は約4メートルとして偏差は2σ(正規分布であれば外れは5%)、あるいは35.5メートルからの誤差3.4メートルとして偏差は1.7σ(正規分布であれば外れは9%)となり、どちらにせよDEM5Aによる標高の数値と標高点の標高の数値の間の誤差が大きすぎます。本当に標高値として示されている35メートルを信用していいのかという問題がありますが、とりあえずは佐久島の最高点は標高38メートルを採用します。

ここに来て、国土地理院地図の標高点が本当に極大値を考慮して三角点とは別に設定されたのか、そもそも標高点の値を信じていいのかという問題が出てきました。

改めてfutsunoおじ さんが過去に作成された地名コレクション「自治体の最高点」の過去ログを読んで、対応を考慮しているところです。既にfutsunoおじ さんが既に克服された内容かも知れません。

【国土地理院地図へのリンクを一部修正】
[109921] 2024年 1月 25日(木)01:38:18【7】訂正年月日
【1】2024年 1月 25日(木)03:34:35
【2】2024年 1月 25日(木)05:00:35
【3】2024年 1月 25日(木)05:03:53
【4】2024年 1月 25日(木)05:09:10
【5】2024年 1月 25日(木)10:36:43
【6】2024年 1月 25日(木)10:46:34
【7】2024年 1月 25日(木)16:12:50
YT さん
島の海岸線延長、最高点をまとめるにあたっての問題点
現在日本の有人島一覧では、有人島の直近2回の国勢調査人口と面積の情報がまとまっていますが、『新版 日本の島事典』(2022年)にせよ『SHIMADAS』(2019年)にせよ『離島統計年報』にせよ、島に関しては面積に加え、海岸線延長と最高点の情報がまとまっています。例えば『新版 日本の島事典』の場合、北海道の有人島の基本データは以下の通りとなっています(利尻島に利尻富士町が抜けていますが、原表ママ)。

島名よみ所在地面積(km2)海岸線延長(km)最高点(m)人工/自然
小島こじま厚岸郡厚岸町0.0480320.84827.0自然島
利尻島りしりとう利尻郡利尻町182.08744786.5671,721.0自然島
礼文島れぶんとう礼文郡礼文町81.25469790.533489.8自然島
天売島てうりとう苫前郡羽幌町5.47089815.143183.5自然島
焼尻島やぎしりとう苫前郡羽幌町5.19495413.81659.9自然島
奥尻島おくしりとう奥尻郡奥尻町142.70326886.046584.0自然島

これだけ数値が揃っているので、海岸線延長(km)と最高点(m)についてすべての有人島でまとめられそうに思いましたが・・・海岸線延長にせよ最高点にせよ、このまま用いるには色々問題点がありました。

まず海岸線延長については、北海道、本州、四国、九州、沖縄島の5島の海岸線延長に関して古い情報しか入手できないという問題があります。『新編 日本の島事典』の場合、個々の項目として5島の海岸線延長の情報が載っておりますが、沖縄島を除き、『第六十三回日本統計年鑑』(平成26年)の「周囲」の数値を用いていることが分かります(平成27年以降の日本統計年鑑ではこの項目が削除されて無くなっている)。

島名『日本の島事典』の「海岸線延長(km)」『第六十三回日本統計年鑑』の「周囲(km)」
北海道2,6762,676
本州10,08410,084
四国2,0912,091
九州3,8883,888
沖縄島476501

問題はこの数値なのですが、『第六十三回日本統計年鑑』によると

「周囲」は昭和61年(色丹島,国後島及び択捉島は44年)海上保安庁による。

とあり、なんと1986年のデータを使いまわしていたことが判明しました。自分ですらまだギリ小学生を卒業するかどうかの頃で、いくらなんでも古すぎます。

一応関連する海岸統計を探したところ、まず第4回自然環境保全基礎調査 海岸調査全国版 平成6年(1994年)3月と、第5回自然環境保全基礎調査 海部調査 1998年3月が挙げれ、それぞれ1993年度と1996年度の海岸延長が、本土域と島嶼域に分割されて集計されています。

(開く)自然環境保全基礎調査による海岸延長(1993年、1996年)

ここから北海道、本州、四国、九州の海岸線の長さを求めることが可能ですが、沖縄県は全域が島嶼域になっていて、沖縄島の海岸延長は算出できません。また1996年度は兵庫県で調査が実施されておらず(阪神淡路大震災の影響?)、本州の本土域海岸延長の計算には1993年度版の数値を用いてます。その結果四島の海岸線延長は、北海道が2,676km(1986年)、2,747.70 km (1993年)、2,840.33 km (1996年)、本州が10,084 km (1986年)、10,269.46 km (1993年)、10,640.26 km (1996年)、四国が2,091 km (1986年)、2,127.18 km (1993年)、2,167.50 km (1996年)、九州が3,888 km (1986年)、3,899.84 km (1993年)、4,068.73 km (1996年)と、十数年間の間にもどんどん海岸線が伸びているという結果となりました。残念ながら自然環境保全基礎調査は第五回調査を最後に実施されていませんので、21世紀に測量された海岸線延長の数値が入手できませんでした。

一方国土交通省は毎年「海岸統計」を発表していますが、こちらの方では本土域と島嶼域にわけて海岸線延長を公表していません。実は「離島振興法」、「小笠原諸島振興開発特別措置法」、「奄美群島振興開発特別措置法」に係る海岸線延長を内訳として公表はしているのですが、例えば「離島振興法」の対象となっていない無人の離島の海岸線延長がどうなっているのか、さっぱり分かりません。佐渡の海岸線が「離島振興法」に係るものと等しい、伊豆小笠原の海岸線が「離島振興法」および「小笠原諸島振興開発特別措置法」に係るものと等しいなど、結構適当な処理がなされているようにも見えますが、一方で五島・壱岐・対馬の海岸線に関しては、全部離島なのに「離島振興法」に係るものとの間に差があります。よって「離島振興法」の対象となっていない無人の離島がすべて調査の対象外となっているなどと断定することはできません。よって国土交通省の海岸統計から北海道、本州、四国、九州の海岸線延長を算出することはできません。

(開く)(令和2年度) 海岸統計

まあ、淡路のすべての海岸線、八代湾の熊本県のうち上天草市・蘆北町・天草市の海岸線、天草西のすべての海岸線を離島扱いにして、他の無人の離島の海岸線は計算に入っていないと仮定して無理やり計算すると、北海道2,854,386メートル、本州12,888,601メートル、四国2,840,644 メートル、九州5,205,820メートルとなります。また、那覇市~豊美城市の海岸線延長の合計(782,566メートル)から離島統計年報掲載の水納島・津堅島・久高島・瀬底島・古宇利島・伊計島・宮城島・浜比嘉島の合計(19.22キロメートル)を減じると、沖縄島の海岸線延長は763,346メートル・・・となりますが、多分何れも実際よりもかなり多く見積もられていると推察されてしまうような値となってしまいます。

(開く)海岸線延長(単位:km)のまとめ(注意:海岸統計由来の数字は信頼性なし)


次に最高点の問題点ですが、『日本の島事典』がまとめている最高点の数字は、しばしば三角点の標高を採用していて、最高点ではないことが多いのです。例えば、上にまとめた北海道の事例ですが、焼尻島の最高点が59.9メートルとなっていますが、SHIMADASによると実際の最高点は94メートルです。国土地理院の地図を見ると、59.9メートルというのは三角点(地図記号で「•」の入った「△」)の標高であり、国土地理院地図に書き込まれている標高点(地図記号で「•」)で最高のものは94メートルです。

しかしながらすべての島で最高点に標高点が示されているとは限りません。例えば三浦半島の城ヶ島の場合、29.8メートルの位置に三角点がありますが、実際の最高点は、SHIMADASによると35メートルです。しかしながらこの35メートル地点(三角点から東南東300メートル離れたがけの上)には国土地理院地図では標高点が示されておりません。実際に国土地理院地図を使って最高点を探してみると、基盤地図情報数値標高モデルDEM5A(高さ精度0.3メートル以内)をソースとする36.0メートル地図が存在し、日本の島事典(29.8メートル)ともSHIMADAS(35メートル)とも異なります。

琵琶湖の沖島の場合、三角点が置かれているのは220.2メートル地点で、SHIMADASでも標高220メートルが最高点として採用されています。しかしながら、その三角点の東北東300メートル程離れたところに真の最高点が存在し、基盤地図情報数値標高モデルDEM5B(高さ精度0.7メートル以内)をソースとする224.0メートル地点が存在し、三角点よりも4メートルも高い地点となります。

ただ基盤地図情報数値標高モデルのDEM5AやDEM5Bの数値は万能ではありません。富士山の場合、三角点が置かれているのは3775.5メートル地点(実測値は3775.51メートル)ですが、地図上に示された標高点は3776メートルが最高で、実測値は3776.12メートルです。ところがDEM5Aでは、3774.4メートル地点が最高となっています。

現状では、国土地理院地図上で最高地点付近に標高点がある場合は、その数字の方を採用し、そうでない場合には基盤地図情報数値標高モデルの数字を採用することになるかと思います。ただ手作業でこれを調べるのは大変です。

【追記】国土地理院地図ですと、天売島の最高点となる三角点の標高は183.5メートルですが、基準点成果等閲覧サービス(国土地理院)を使ったところ、三角点の標高は183.49メートル(2016年2月1日更新)となっていました。つまり国土地理院地図の183.5メートルをそのまま下一桁目で四捨五入すると184メートルになってしまいますが、基準点成果閲覧サービスの数値を下一桁目で四捨五入すると183メートルです。一方DEM5Cデータ(高さ精度1.4メートル以内)だと、多分最高点は182.3メートルになります。SHIMADASが採用している数字は185メートルです。つまり天売島の最高点の標高は、SHIMADASを採用すると185メートル、国土地理院地図の数字を採用すると184メートル、基準点成果等閲覧サービスを利用すると183メートル、DEM5Cだと182メートルとなっていまいます。現状では三角点の正しい標高は183メートルですが、三角点が最高点に置かれているとは限らないとすると1センチぐらいは誤差で、184メートルを採用するべきなのかも知れませんし、もうどの数字が正しいのか分かりません。

【追記の追記】基準点成果等閲覧サービスで富士山を確認したところ、二等三角点は3775.51メートルで問題ないけれど、電子基準点(基準点コードEL15338053802)だと3774.90メートルという情報(基本基準点全体にチェックを入れて検索した場合)と3777.41メートルという情報(電子基準点にだけチェックを入れて検索した場合)が混在する・・・
電子基準点は実際よりも高いところに設置されているとはいえ(参考(2002年の記事))、なぜ2つの数字が混在するのでしょうか?
[109894] 2024年 1月 20日(土)17:33:42YT さん
Re^3: 執念の野牛島?
オーナーグリグリさん

[109892] YTさん、修正しました。ご確認、ありがとうございした。

ありがとうございます。確認しました。

現時点で多少気になっている点は、『2021離島統計年報』(2023年4月発売)と、「令和5年度 長崎県の離島(離島振興対策実施地域)」(pdf」, 2023年6月更新)との間で、中通島/頭ヶ島と久賀島/蕨小島の人口に1人の差が出ていることです。現状では離島統計年報の情報の方を優先していますが、2024年4月発売になると思われる『2022離島統計年報』でいくつか情報更新が行われる可能性はあります。

また[109852] で少し述べました、萩市須佐の平嶋、西海市西彼町白似田郷の小島(伊能測量日記の「イガ島」、おそらく長崎県統計年鑑で1971年から1980年代前半にかけて有人島として扱われた「前小島」)と長島(伊能測量日記の「小島大」)の有人島の可能性については、もう少し情報が集まってからまとめます。
[109892] 2024年 1月 20日(土)14:20:11【2】訂正年月日
【1】2024年 1月 20日(土)16:40:25
【2】2024年 1月 20日(土)17:14:48
YT さん
Re: 執念の野牛島?
オーナーグリグリさん

ということで、日本の有人島一覧の全ページを更新しましたのでご確認ください。YTさん、改めましておめでとうございます。そして今後ともよろしくお願いいたします。

ありがとうございます。間違いではないのですが、統一がとれていない箇所が一箇所あります。

313.前小島の市区町村 (小地域区分)の内、「[1370-10010の一部]」部分が緑字になっていません。

【追記】すみません。
「[1370-10010]の一部」と、「の一部」を[]の外側に括りだす方に統一する必要もありました。
多分333.前島を参考に書いたのですが、よく見たら313.前小島と333.前島の双方が、ほかとは違う書き方になっていました。

#島名要修正箇所修正前修正後備考
313前小島市区町村 (小地域区分)五島市 (岐宿町河務の一部 [1370-10010の一部])五島市 (岐宿町河務の一部 [1370-10010]の一部)「の一部」を括弧の外に出し、「[1370-10010]の一部」部分を緑色にする。
333前島市区町村 (小地域区分)天草市 (御所浦字下脇の一部 [0500-09090の一部])天草市 (御所浦字下脇の一部 [0500-09090]の一部)「の一部」を括弧の外に出す。

この2点の修正に訂正します。
[109885] 2024年 1月 20日(土)01:10:20【5】訂正年月日
【1】2024年 1月 20日(土)01:50:26
【2】2024年 1月 20日(土)06:22:39
【3】2024年 1月 20日(土)06:46:13
【4】2024年 1月 20日(土)14:13:38
【5】2024年 1月 20日(土)15:46:31
YT さん
ゼンリン住宅地図を用いた野牛島、大矢野島の推定人口と、「日本の有人島一覧」の追加修正箇所まとめ更新
現在日本の有人島一覧で唯一推定人口を分離できていないのが、熊本県上天草市中の野牛島と、隣接する大矢野島です。SHIMADASによると、野牛島は1968年10月に無人化したが、1976年に大矢野島と維和島を結ぶ橋脚島となり、近年ではクルマエビ養殖などで再有人化したとあります。

実際に1975年2月28日のカラー航空写真では、島には家がありませんが、1988年9月28日の白黒航空写真では既に数軒家が建っており、1994年9月13日の白黒航空写真では、現代の衛星写真とほぼ同じ位置に家が建っています。

なお国勢調査の上天草市の基本単位区0030-00090(旧大矢野町大字中の一部)は、野牛島のみならず、大矢野島の野米地区、南方沖合の無人島である権平島、横島までを含みます。該当地区の国調人口は以下のように推移しており、2015年と2020年では世帯数に変化はありません。

西暦世帯数人口1世帯当たり人員
1995年511152.255
2000年491092.224
2005年41842.049
2010年35772.200
2015年29702.414
2020年29632.172

そこでふと、ゼンリン住宅地図に掲載されている建物の情報を用いてみたら、世帯数の変化がない2015年以降の人口の推定に使えるのではないかと思いました。ゼンリン住宅地図でもすべての建物に居住者の姓/姓名が表示されているわけではありませんし、姓/姓名の表示があるからと言ってそこが常住居住地とは限らず、逆にないからと言ってそこが空き家であるとか判断はできませんが、地図に掲載されている「姓」の数は世帯数とある程度は相関があるでしょう。残念ながらアパート、マンションの場合はゼンリン住宅地図でも構成世帯数が分からないケースが多いようです。ただ当該箇所で唯一アパートと思われるのは、西大維橋を渡ったところにある大矢野島側の「天草釣堀レジャーランド第一駐車場」脇の3階建ての建物ですが、テナント情報がなく、ぱっと見生活感がないので、ここでは無視します。

実際に基本単位区上天草市0030-00090について、ゼンリン住宅地図から「姓」/「姓名」が表示されている建物を抽出し、その数をカウントしたところ、以下の通りとなりました。

島・地域ゼンリン住宅地図上での世帯数
野牛島6
大矢野島野米地区30

過疎化が進行している地方の場合は、建物の所有者名が示されていても実際には空き家であるケースが増えていくため、ゼンリン住宅地図に示されている姓/姓名付き建物の数が実際の世帯数を上回ることは多くあり得ます。当該地区も、ゼンリン住宅地図の建物に示されている世帯の数は、直近の国勢調査時の世帯数である29世帯よりも多い36世帯となっています。そこで2015年、2020年国調人口からゼンリン住宅地図上での世帯数の比で按分することで野牛島の推定世帯数と推定人口を算出しますと、2015年5世帯12人、2020年5世帯11人となります。この数字を採用しますと、日本の有人島一覧掲載のすべての島について、一応根拠のある推定人口を出すことに成功したことになります。

今回の野牛島と大矢野島の推定人口と、[109852]の修正を一つにまとめますと、以下の通りとなります。

#島名修正項目修正前修正後備考
29青ケ島島名青ケ島青ヶ島ケ→ヶ
29青ケ島市区町村 (小地域区分)八丈支庁 青ケ島村八丈支庁 青ヶ島村ケ→ヶ
292鹿島人口(2020年)67人口修正漏れ
292鹿島人口密度35.341.2人口修正漏れ
300中通島市区町村 (小地域区分)新上五島町 (新上五島町:頭ケ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日ノ島を除く)新上五島町 (新上五島町:頭ヶ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日島を除く)頭ケ島→頭ヶ島、日ノ島→日島
301頭ケ島島名頭ケ島頭ヶ島ケ→ヶ
306日ノ島島名日ノ島日島ノを削除
312福江島市区町村 (小地域区分)五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,前小島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)除外地域に前小島追加
313前小島市区町村 (小地域区分)五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)五島市 (岐宿町河務の一部 [1370-10010の一部])前小島の小地域区分の修正漏れ
321大矢野島※注野牛島を含む上天草市[0030-00090] (2020年63人, 2015年70人)から大矢野島分を分離できない野牛島(熊本県上天草市)の人口推定処理の影響あり注を差し替え
321大矢野島人口(2020年)11,09011,079野牛島の推定人口分離に伴う修正
321大矢野島人口(2015年)11,90511,893野牛島の推定人口分離に伴う修正
321大矢野島人口密度367.2366.9野牛島の推定人口分離に伴う修正
322野牛島※注野牛島を含む上天草市[0030-00090] (2020年63人, 2015年70人)から大矢野島分を分離できない2020年, 2015年国調人口は上天草市[0030-00090] (2020年63人, 2015年70人)とゼンリン住宅地図記載の世帯数比(2024年1月19日閲覧、6世帯/36世帯)により推定注を差し替え
322野牛島人口(2020年)11人口推定に伴う修正
322野牛島人口(2015年)12人口推定に伴う修正
322野牛島人口密度78.6人口推定に伴う修正
348島野浦島島名島野浦島島浦島野を削除
391奥武島項目全体391/奥武島/沖縄県 名護市 (字真喜屋の一部 [0360ー00020])/29/30/0.25/116.0項目を全削除
434沖縄島人口(2020年)1,335,7041,335,733奥武島の削除に伴う修正
434沖縄島人口(2015年)1,301,7531,301,787奥武島、瀬長島の削除に伴う修正
434沖縄島人口密度1,105.21,105.3奥武島、瀬長島の削除に伴う修正

またデータ項目の説明の内、5. 人口算出における詳細注記の(6) 熊本県の大矢野島と野牛島については

(6) 熊本県の大矢野島と野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。



(6) 熊本県の大矢野島と野牛島
 国勢調査の基本単位区人口に占めるゼンリン住宅地図記載の世帯数比から人口を推定

と修正することになります。

以上、よろしくお願いします。

【追記:鹿島の人口修正に伴い人口密度も要修正、ゼンリン住宅地図は2024年1月19日閲覧による】
[109852] 2024年 1月 14日(日)17:31:06【2】訂正年月日
【1】2024年 1月 14日(日)22:30:56
【2】2024年 1月 14日(日)22:33:45
YT さん
有人島リストの修正:名護市の奥武島の削除と一部島名表記の修正
[109437] オーナー グリグリさん

一通り確認していますが、訂正漏れ等ありましたらご指摘ください。

すみません。要修正箇所が幾つか見つかりました。なお今回の修正内容による十番勝負の結果への影響はありません。

まずは以前[109336]の投稿で、以下のように名護市の奥武島を有人認定してしまいましたが、これは私の早とちりのようでした。

さらに陸繋島の情報を色々調べたところ、沖縄県名護市の奥武島(奥武島はほかにもありますが、これは屋我地島と沖縄本土を結ぶ島)が国勢調査で有人(2020年国勢調査人口29人)であること、

しかしながら、綿貫堂 島旅とエスニックのブログというサイトを運営されており、実際に離島を数多く訪れてきたワタヌキモンという方とのやりとりの中で、名護市の奥武島について

奥武島 行きましたが、ほんと墓しかなく、どこに集落があるのだろうと疑問ですが謎ですね、猫はたくさんいますが

との返事を頂きました。実際に名護市の奥武島を訪れた方の貴重な証言です。あれ?と思い改めて国勢調査の基本単位区である名護市字真喜屋の一部[0360ー00020]の範囲を見直してみたところ・・・すみません。やらかしていました。名護市字真喜屋の一部[0360ー00020]は奥武島と本土を結ぶ羽地奥武橋の細い領域を通じて本土側と接続しており、本土側の集落を含んでいることを見落としておりました。『SHIMADAS』(2019年)や『新版 日本の島事典』(2022年)などでは、名護市の奥武島についていずれも「無人島」、「墓地のみ」と強調されており、google mapなどの衛星写真で見られる建物のようなものは全部墓地であったのでしょう。基本単位区名護市0360ー00020の人口はすべて本土側に居住していると考えらえれ、名護市奥武島の項目については削除をお願いします。これにともない沖縄島の人口も要修正となります。

このほか長崎県諫早市鹿島の2020年の人口が修正されていませんでした(九州の人口自体は修正後に対応していました)。また長崎県五島市の福江島、前小島の小地域区分がおかしくなっていました。

これに併せて、一部島名についてより公的、またはより一般的な表記(青ケ島→青ヶ島、頭ケ島→頭ヶ島、日ノ島→日島、島野浦島→島浦島)に修正したいと思います。


以下要修正に気付いた10点です。


1.29 青ケ島 (東京都 八丈支庁 青ケ島村)
青ケ島→青ヶ島に修正(「ケ」を「ヶ」に修正)
青ケ島村→青ヶ島村に修正(「ケ」を「ヶ」に修正)
「青ケ島」を採用しているのは2021離島統計年報のみで、SHIMADAS(2019年)、新版 日本の島事典(2022年)、国土地理院地図、国土地理院面積調、日本歴史地名体系は「青ヶ島」を採用しています。そもそも国勢調査報告書に記載の自治体名としても「青ヶ島」であり、「青ヶ島」の方がより公的かつ標準的な名称といえます。

2.292.鹿島 (長崎県 諫早市 (多良見町船津伊木力舟津の一部 [7270-27010]の一部))
2020年の人口を「6」から「7」に修正。
[109381][109412][109438]などの修正案で示したように、こちらはritokeiの情報により2020年国調人口を7人で確定としました。九州の人口修正値には織り込み済みです。

3.301.頭ケ島 (長崎県 新上五島町 (友住郷の一部 [0330-14010]))
頭ケ島→頭ヶ島に修正(「ケ」を「ヶ」に修正)
「頭ケ島」を採用しているのは2021離島統計年報、新版 角川日本地名大辞典、長崎県統計年鑑(昭和34年、昭和36年~昭和37年、昭和54年~昭和55年、昭和57年、令和元年以降)で、「頭ヶ島」を採用しているのはSHIMADAS(2019年)、新版 日本の島事典(2022年)、国土地理院地図、国土地理院面積調、日本歴史地名体系、長崎県統計書(昭和30年、昭和35年、昭和53年、昭和56年、昭和58年~昭和59年)で、「頭島」を採用しているのは長崎県統計年鑑(昭和27年~昭和28年、昭和38年~昭和52年、昭和63年~平成28年)で、「頭ガ島」を採用しているのは長崎県統計年鑑(昭和29年)です。このように長崎県統計年鑑では過去に4通りの書き方(頭ヶ島、頭ケ島、頭ガ島、頭島)をしており、もはやどれが一般なのか不明ですが、SHIMADASを始め、その他の文献に関しては「頭ヶ島」を採用している方が多く標準的に見えるので、「頭ヶ島」に変更します。

4.306 日ノ島 (長崎県 新上五島町 (日島郷))
日ノ島→日島に修正(「ノ」を削除)
「日ノ島」を採用しているのは2021離島統計年報、長崎県統計年鑑(昭和41年~平成28年)、で、「日島」を採用しているのはSHIMADAS(2019年)、新版 日本の島事典(2022年)、国土地理院地図、国土地理院面積調、長崎県統計年鑑(昭和27年~昭和40年、令和元年以降)、日本歴史地名体系です。新版 角川日本地名大辞典では両方の見出しあり。また国勢調査小地域統計に記載の大字・町名は「日島郷」です。「日ノ島」表記は十分使われているものですが、かつて「日島村」が存在したように、「日島」表記の方が行政面からもより公的、標準的に見えるので変更します。

5.300.中通島 (長崎県 新上五島町 (新上五島町:頭ケ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日ノ島を除く))
市区町村 (小地域区分)を「新上五島町 (新上五島町:頭ケ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日ノ島を除く)」から「新上五島町 (新上五島町:頭ヶ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日島を除く))」と修正
「頭ケ島」→「頭ヶ島」、「日ノ島」→「日島」の修正に伴うものです。

6.312.福江島 (長崎県 五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く))
市区町村 (小地域区分)を「五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)」から「五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,前小島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)」と修正し、除外項目に「前小島」を追加する。
すみません。次の前小島とともに、小地域区分の表記が間違っていることを把握していましたが、[109381][109412][109438]などの修正案ではうっかり修正前の状態を修正案としてコピペしていました。小地域区分に「前小島」を追加します。

7.313.前小島 (長崎県 五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く))
市区町村 (小地域区分)を「五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)」から「五島市 (岐宿町河務の一部 [1370-10010の一部])」に修正
すみません。こちらも問題点を把握していましたが、[109381][109412][109438]などの修正案ではうっかり修正前の状態を修正案としてコピペしていました。前小島の小地域区分については、具体的な基本単位区番号を示したものに修正をお願いします。前小島自体は五島市の基本単位区1370-10010に内包されてしまっているので、結局人口はSHIMADAS出典の住基人口比からの推定として算出しています。

8.348.島野浦島 (宮崎県 延岡市 (島浦町))
島野浦島→島浦島に修正(「野」を削除)
「島野浦島」を採用しているのは2021離島統計年報、SHIMADAS(2019年)ですが、新版 日本の島事典(2022年)、国土地理院地図、国土地理院面積調、新版 角川日本地名大辞典では「島浦島」が採用されています。また国勢調査小地域統計の大字・町名でも「島浦町」と、「野」が排除されています。日本歴史地名体系では、明治の大合併前の近世村として「島野浦村」の項目がありますが、現在の延岡市の「島浦町」に対応するとしています。「島浦島」が現在の地名としては行政面からもより公的な呼称と考えらえれるので、「島浦島」に変更します。

9.391.奥武島 (沖縄県 名護市 (字真喜屋の一部 [0360ー00020]))
項目の削除
すみません、こちらは削除でお願いします。リストに載っている奥武島は他に久米島町と南城市にありますが、削除するのは名護市のものです。

10.435.沖縄島 (沖縄県)
2020年の人口を「1,335,704」から「1,335,733」に修正
2015年の人口を「1,301,753」から「1,301,787」に修正
奥武島を削除したことによる修正ですが、瀬長島(2015年4人)も加算されたままになっており、併せて修正となります。


以上、奥武島の削除とそれに伴う人口の修正(奥武島、沖縄島)、人口の修正忘れ(鹿島)、小地域区分の誤り(福江島、前小島)までで5箇所、島の名称の修正(青ヶ島、日島、頭ヶ島、島浦島)とそれに関わる小地域区分の修正(中通島)で5箇所、合計10箇所の修正箇所となります。

なお以下の3島は国土地理院地図ではいずれも「ヶ」が採用されていますが、国勢調査小地域統計の大字・町名、字・丁目名では「ケ」が採用されており、現状維持にします。国土地院地図は、現状ではすべての「ケ」を「ヶ」に一括変換しているだけのようにみえます。

67.瀬戸ケ島 (島根県 浜田市 (瀬戸ケ島町 [0020-00010~000020]))
160.竹ケ島 (徳島県 海陽町 (大字宍喰浦字竹ケ島の一部 [0220-00260]の一部))
222.竹ケ島 (愛媛県 宇和島市 (津島町竹ケ島))

また以下の2島についても島名を現状維持とします。

318 嵯峨島 (長崎県 五島市 (三井楽町嵯峨島))
「嵯峨島」を採用しているのは2021離島統計年報、長崎県統計年鑑(昭和27年~昭和37年、昭和40年~昭和47年、昭和53年~昭和55年、平成20年~平成28年)、新版 角川地名辞典、国勢調査記載の字・丁目名で、「嵯峨ノ島」を採用しているのはSHIMADAS(2019年)、新版 日本の島事典(2022年)、長崎県統計年鑑(昭和48年~昭和52年、昭和56年~平成19年、令和元年以降)、国土地理院地図、国土地理院面積調で、「嵯峨の島」を採用しているのは長崎県統計年鑑(昭和38年~昭和39年)です。また日本歴史地名体系では「嵯峨島村」の項目があります。国土地理院面積調で「嵯峨ノ島」が採用されているので悩みましたが、国勢調査小地域統計の字・丁目名で「嵯峨島」が採用されている点を優先的に考慮し、ここでは「嵯峨島」の方がより公的な記述であるとして現状維持とします。
425.嘉弥真島 (沖縄県 竹富町 (字小浜の一部 [0090-00010]の一部))
『嘉弥真島』が採用されているのは新版 日本の島事典(2022年)、2021離島統計年報、SHIMADAS(2019年)、沖縄県離島関係資料、新版 角川地名辞典、日本歴史地名体系で、唯一国土地理院地図のみが「加屋真島」を採用しているようです。「嘉弥真島」の方が標準的に見えるので現状維持にします。基本的に新版 日本の島事典(2022年)は国土地理院地図の表記に従っていますが、「嘉弥真島」に限っては国土地理院地図の表記を採用していません。国土地理院地図の表記が必ずしもより一般的ではないし、行政で公的に使われている地名表記にも必ずしも従ってはないといえます。

また以下の2島は消極的理由で現状維持とします。

275.竹ノ島 (長崎県 西海市 (西彼町 (大串郷の一部 [0220-24010]の一部)))
「竹島」を採用しているのは、新版 日本の島事典(2022年)、2021離島統計年報、長崎県統計年鑑(昭和27年~昭和39年、平成19年~平成28年)、国土地理院地図、日本歴史地名体系で、「竹ノ島」を採用しているのはSHIMADAS(2019年)、新版 角川日本地名大辞典で、「竹の島」を採用しているのが長崎県統計書(昭和40年~平成18年)です。「竹島」の使用例の方がやや多いようにも見えますが、島根県の竹島とも被りますし、SHIMADAS等で採用されている通りの現状維持とします。
162.沖之島 (香川県 土庄町 (小江の一部 [0130-02010]))
「沖島」を採用しているのは、国土地理院地図、新版 日本の島事典(2022年)、香川県統計年鑑(平成29年以前、現在は1km2未満表記なし)で、「沖之島」を採用しているのは2021離島統計年報、SHIMADAS(2019年)、新版 角川地名辞典です。どっちがより使用例が多いか微妙ですので、消極的な理由によりSHIMADAS等で採用されている通りの現状維持とします。

以上、島の名称としては、国勢調査や国勢調査小地域統計などに記載のものを最優先とし(青ヶ島、瀬戸ケ島、竹ケ島、竹ケ島、日島、嵯峨島)、それ以外についてははっきり慣用的な使用がある場合はそれを優先し(頭ヶ島、嘉弥真島)、そうでないもについては現状維持としました(沖之島、竹ノ島)。結果島名に関しては、国勢調査採用のもの>SHIMADAS>その他という序列になりました。

なおワタヌキモンさんの指摘により、民家があって有人島である可能性がある複数の陸繋島(萩市の平嶋西海市のイガ島(おそらく前小島)西海市の小島大(おそらく細島))の情報を頂きましたが、それについては稿を改めてまとめたいと思います。

【誤字修正、小島小→小島大】
[109574] 2024年 1月 2日(火)14:53:50YT さん
十番勝負
本年もよろしくお願いします。正月早々、舳倉島の被害状況が心配です。

問十:呉市

普段は十番勝負に参加しないのですが、なんとなく今回は参加しないといけないような気がしまして
[109453] 2023年 12月 29日(金)11:54:28YT さん
Re^2:追加修正について
[109441] オーナー グリグリさん

分かりやすく抽出していただきありがとうございました。更新しましたのでご確認をよろしくお願いいたします。

わざわざ更新をありがとうございます。データも一通り確認しました。すみませんが以下の一点だけ修正をお願いします。

111 倉橋島 の注で鹿老渡島との間の開削水路を「堀切水路」と記述しましたが、これはネット上の個人のブログなどで確認できる呼称に過ぎず、こちらを「鹿老渡瀬戸」への修正をお願いします。鹿老渡瀬戸というのも『広島県史』でしか確認できていませんが、堀切水路ですと場所の絞り込みが困難ですので(一応堀切橋は正式名化はしてはいますが)。

なお人工島のリストを別途作成しようとしてますが、こちらが予想外に困難です。新版 日本の島辞典でも幾つかリストされていますが、元々島ではなかったものを水路を掘って島化した場合はどうするのか(たとえば兵庫港は新版 日本の島辞典には載っていません)、公式に島名称が与えられていても、実際には単なる中洲だったり、川から水路を掘って島化したものはどうするのか(たとえば新潟島は島の基準から大分離れますが、地元自治体は島扱いしてます)等々例外がありすぎて困っています。
[109440] 2023年 12月 26日(火)23:49:59【1】訂正年月日
【1】2023年 12月 27日(水)01:35:12
YT さん
追加修正について
[109437] オーナー グリグリさん

日本の有人島一覧(更新しました)
YT さん、[109412]および[109430]を日本の有人島一覧に反映しました。一通り確認していますが、訂正漏れ等ありましたらご指摘ください。なお、長崎県南串島の人口密度は、104.1人ではなく、112.3人が正しい値だと思います。

すみません。ちょうどタイミング悪く投稿してしましました。

修正して頂きたいのは以下の3点です。【追記:面積を再チェックしていて3点に増えました】

1.219の日振島の注:
「1872年開削の堺の浜の堀切により南(108人/1.42km2)と北(138人/2.32km2)に分離」と、せっかくなので開削年の西暦を追加し、水路の名称を「堺の浜の掘切」にする。

2.247の対馬島の注:
「1671年開削の大船越瀬戸と1900年開削の万関瀬戸により対馬上島(12,159人/441.01km2),対馬下島(15,488人/247.01km2),その他(727人/7.72km2)に分離」と、最後の「分割」を「分離」に変更する。(他の文章と統一)

3.272の大島(長崎県佐世保市)の面積と人口密度(【追加訂正】):
面積を0.51→0.52 km2、人口密度を758.8→744.2人/km2に訂正

新版 日本の島事典の第III部 島嶼県別統計の方で大毛島・高島や有福島・日島・漁生浦島を単一の島扱いにしている問題は、とりあえずそれぞれ水門、潮通し水路の解釈次第で独立した島とみなせるということで解決しており、特に表には加えなくて良いです。
[109438] 2023年 12月 26日(火)23:19:56【2】訂正年月日
【1】2023年 12月 26日(火)23:24:58
【2】2023年 12月 27日(水)10:35:49
YT さん
日振島の堀切の年代、そして[109412][109430]の再修正版
[109412]

『北宇和郡町村誌 その2』(2011年:『日振島村誌』(1910年)を収録)を閲覧しましたが、堀切水路と堺の浜の水路の完成年に関する情報は得られませんでした。

田中皓正.『日振島の昭和史』(1997年)を閲覧したところ、本書の129ページに以下の内容が書かれていました。これにより、日振島の堺の浜の堀切が作られたのが明治5年(1872年)であることが確定しました。

 喜路部落からの通学路は、比較的平坦であったが、ただ一つ「堺の浜」と呼ばれるところが難所となることがしばしばあった。「堺の浜」は喜路部落のある島と明海、能登のある島をつなぐ形になっていて、宇和海と豊後水道を見ることができ、昭和初期までは明海部落の小舟は、満潮時にここを通って豊後水道側で漁ができるように運河の役割をしたので、ここには橋がかかっていた。(明治五年に堀切にした)
 このため強風をさえぎるものがなく、台風がくると橋が流されて通学できなくなった。前述の昭和十八年の台風の大波に下校中の生徒がさらわれて、海中に流され一名死亡するという惨事があったのもここである。

なおこの通学路が作られたのはどうも昭和2年(1927年)前後のようです。『遍路』(1934年)という書籍(昭和4年(1929年)の記事の再録)で、本島出身の森岡天涯という人が、昭和2年の学校統合のために奔走し、この人の働きかけで島の三集落を結ぶ通学路・産業道路が出きたようです。

百戸位づつしかない三部落がそれぞれ貧弱な小学教場を持っている。一ヶ所に纏めて充実した学校にせよという。あらゆる反対妨害と戦って終に一ヶ所に合併される。児童の登校に便し部落相互の融和親交をはかるため、戸主一人に三日づつ奉仕して三里の道路をつける事になったが、沿道の地主はみな土地を無代で提供する。青年団在郷軍人までみな弁当代を辞退して土工にかかる、三年計画の道路が僅か二か月に竣工した。

また『離島の現況 第6 (日振島,戸島,沖の島,馬渡島,小川島) (離島振興資料 ; 第7輯) 』(1955年)によると

喜路部落から明海部落に通ずる村道幹線であって、産業道路並びに通学道路としての有利性と交通の利便をうながすものである。特に50mの地点は橋築を必要とし、現在木橋をかけているが満潮時風波の高い時は交通杜絶となるので永久橋築の架設を行おうとするものである。

以上を総合すると、明治5年(1872年)に日振島の堺の浜に堀切が作られました。昭和2年(1927年)前後に通学路として初めて道路が作られ、堀切には木橋が架けられましたが、よく流される状況が戦後まで続きます。やがて1960年代以降にコンクリートの県道が作られ、橋もコンクリート製になった、ということのようです。残念ながら戦後の道路の舗装についての情報は、上の『日振島の昭和史』には載っていませんでした。

改めて[109412][109430]の修正案を以下にまとめます。とりあえず日振島の水路については「堀切」以上の正式名が見当たらないので、「堺の浜の堀切」とします。また鹿老渡お堀切水路の方も、結局印刷された本で「堀切水路」と記述しているものは存在しないので、こちらも「鹿老渡の堀切」と記述することにします(【訂正:広島県史を読み返したら、「鹿老渡瀬戸」が使われていました】)。これで長島、倉橋島、日振島、対馬島の4島の水路がすべて人工のものであることが確定しました。

以上のほか、大根島・江島の中海堤防道路、沖縄本島・瀬長島の瀬長島海中道路、有福島・日島・漁生浦島の堤防道路、大毛島・高島のあいの水尾川水門と鯔越水門の情報を追加しました。

(開く)追加修正箇所リスト

また、データ項目の説明の内、1・2・5・7の修正案です。

1. 国土地理院が規定する「島」
国土地理院が規定する「島」は、周囲長0.1km以上の海岸線で囲われた自然島であり、人工島は島とはみなされない。したがって関空、神戸ポートアイランド、東京湾平和島、令和島、お台場などは本州島の一部とされる。また国土地理院が規定する「海岸線」は、満潮時の「水涯線」を表し、神奈川県藤沢市の江の島のように、干潮時には接続していても満潮時には分離する場合には、独立の島として扱う。

2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)
    離島振興法等指定離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版
    法律指定外離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版)
    上記以外:新版 日本の島事典 (2022年), SHIMADAS (2019年), ritokei (NPO法人離島経済新聞社)などに掲載
    北海道、本州、四国、九州、沖縄島(人口は差分で計算)
(1) 離島振興法等指定離島のうち、長崎県対馬市の赤島と泊島は埋め立てにより独立した島ではなくなっており、本表では一個の島として扱う。
(2) 法律指定外離島のうち、島根県松江市の田島(大根島と接続)、香川県坂出市の瀬居島と沙弥島(四国本土と接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本と接続)などは、埋め立てにより独立した島ではなくなった地域として、本表からは除外。また法律指定外離島のうち、島根県松江市の大根島と江島は埋め立てた道路(中海堤防道路)により接続しており、本表では一個の島として扱う。
(3) SHIMADASに掲載の有人離島のうち、北海道江差町の鴎島(埋め立てにより北海道本土と接続)も同様の理由により本表から除外。
(4) ritokeiに掲載の有人離島のうち、沖縄県豊美城市の瀬長島(埋め立てた道路(瀬長島海中道路)により沖縄本島と接続)も同様の理由により本表から除外。また沖縄県竹富町の外離島は、平成27年以降の国勢調査や住民基本台帳登録で無人化しているので除外。
(5) 新版 日本の島事典の「第III部 島嶼県別統計(データ編)」に掲載の有人の自然島のうち、愛媛県今治市の美濃島・家ノ島も、国勢調査で長らく無人化しているので除外。なお本書で無人名付の自然島として扱われている神奈川県横浜市金沢区の野島については、開削水路で分離した有人の人工島として除外。
(6) 琵琶湖の沖島、中海の大根島・江島などの湖の有人島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法指定離島、あるいは本土との架橋の完成により指定解除を受けた島として離島統計年報に記載があり、本リストに含めている。ただし、琵琶湖や中海は本州の面積に含まれており、沖島、大根島・江島の人口も本州の人口に含まれる。
(7) 岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬島は、開削水路で分離されているが、自然島として合算した値を示す。

5. 人口算出における詳細注記
(1) 四国本土と架橋している徳島県海陽町の竹ケ島 / 高知県須崎市の中ノ島、戸島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、基本単位区に占める人口比など(竹ケ島は2020年直近の住基、中ノ島は2010年国調、戸島はWeb情報)から人口を推定。四国本土の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(2) 九州本土と架橋している長崎県西海市の竹ノ島、南串島 / 大分県臼杵市の黒島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、基本単位区に占める人口比(竹ノ島、前島、鹿島、黒島は2015年国調、南串島は2010年国調)から人口を推定。九州本土の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(3) 三重県志摩市の賢島と横山島、岡山県瀬戸内島の前島と黒島
 国勢調査の基本単位区人口とWeb情報から人口を推定。
(4) 長崎県佐世保市の前島と鼕泊島
 国勢調査の基本単位区に占める人口比(2015年国調)から人口を推定。
(5) 長崎県五島市の福江島と前小島、熊本県天草市の御所浦島と前島、沖縄県竹富町の小浜島と嘉弥真島、新城島上地と新城島下地、西表島と由布島
 国勢調査の基本単位区に占める人口比など(2020年直近の住基)から人口を推定。
(6) 熊本県の大矢野島と野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。

7. 人口密度データ
(1) 2020年 (令和2年) の人口を元に計算。

多分、今度こそ今回の投稿が大幅な改定案の最終となると思います・・・

【追記】[109437] オーナーグリグリさん

すみません。タッチの差で投稿が前後してしまいました。人口密度は指摘の通りです。多分現状のもので問題はありません。改めて確認しますが、有福島・日島・漁生浦島、大毛島・高島の注は追加する必要はないでしょう。
[109430] 2023年 12月 25日(月)18:05:43【7】訂正年月日
【1】2023年 12月 25日(月)18:30:40
【2】2023年 12月 25日(月)23:08:47
【3】2023年 12月 25日(月)23:20:15
【4】2023年 12月 26日(火)11:08:53
【5】2023年 12月 26日(火)11:19:35
【6】2023年 12月 26日(火)11:29:59
【7】2023年 12月 26日(火)15:07:38
YT さん
大根島・江島、泊島・赤島の接続問題
[109412]で瀬長島を沖縄本島と合算する案を示しましたが、他にも問題のある島があります。例えば大根島と江島、有福島と日島と漁生浦島は、沖縄本島~瀬長島と同様に埋め立てられた(あるいは国土地理院地図で埋め立てられたように見える)道路で接続していますが、国土地理院の面積調では前者は合算されているのに対し、後者は分割されています。今回[109412]とは別に、大根島・江島、泊島・赤島を同一の島として扱う修正案をまとめます。

【大根島・江島】国土地理院の面積調では、大根島・江島として合計6.74 km2の面積が示されています。実際に国土地位院の地図google mapのストリートビューを見ると、両者は完全に埋め立てられた道路によって結ばれているように見えます。国土地理院の判断通り、両者を同一の島として扱った場合の修正案を後に示します。

【赤島・泊島】赤島・泊島は合計しても1 km2未満の島ですので、国土地理院の面積調には未掲載です。一方2021離島統計年報、ritokeiでは個別の島として扱われているのに対し、SHIMADAS、新版 日本の島事典(0.617764km2)、日本の島へいこう離島百貨では全部埋め立てられて接続した島として扱われています。国土地理院の地図google mapのストリートビューを見ると、両者は完全に埋め立てられています。ただし離島振興法で独立した島として地位を与えられていることを重視するのであれば、それぞれ別個の島という扱いをキープすることになります。

【有福島・日島・漁生浦島】新版 日本の島事典「第III部 島嶼県別統計(データ編)」では、有福島・日島・漁生浦島として単一の島扱いされています(4.850641km2)。実際国土地理院の地図では埋められた道路として描かれています。一方Google mapでは、有福島~漁生浦島間のこの位置に切れ目があります・・・が、ストリートビューでは分かりません。遠くから見ても、切れ目があるようには見えません。またgoogle mapでは、有福島~日島間の間は埋め立てられていないように描かれています・・・がストリートビューは、橋上には設定されていません。遠くから見た場合はよくわかりません。マピオンの地図でも埋め立てられていないように描かれており、google mapの地図はこれに従っているのでしょうか。

もう少し資料を集めてみたところ、長崎新聞の記事に写真と映像がありました。映像を見ると、まず漁生浦島と有福島を結ぶ堤防道路一ヶ所に確かに水流があり、地図の通りに水路は間違いなくありそうです。こちらの写真は「日島」で撮影とありますが、漁生浦島と有福島を結ぶ該当部分のようす。次に有福島と日島を結ぶ北防波堤の方を見ると、一応護岸ブロックは2か所空いており、堤防道路の下にも2か所穴があいており、こちらは地図とは実態が大分違いますが、一応水路が2か所ありそうです。新聞の説明によると、防波堤内部に暗渠があり、海水が内と外で入れ替わると書かれていますが、google mapの衛星写真だと、2か所の水路の穴からの水流を確認できます。

さらに別の資料を探したところ、古本勝弘・有山 淳・大石祐樹・夛田彰秀, 「上五島・有福湾に設置された潮通し水路の海水交換機能」 (長崎大学工学部研究報告, 38巻 (71号), pp. 40-46 (2008年))と題される論文、及び関連する論文(後述)を見つけました。どうやらこれら3つの島を結ぶ堤防道路は1975年までに設置され、南防波堤と北防波堤は1979年までに完成されたものです。そして北防波堤側の堤防道路は当初から2m四方の潮通し孔が2箇所あけられていましたが、南防波堤側は閉鎖されており、赤潮対策として後から2008年に南防波堤側に潮通し水路が開けられたようです。つまり国土地理院の地図は間違いではないが、南防波堤・北防波堤側の堤防道路には共に潮通し水路が掘られており、これを分離しているとみなすかどうかで独立した島とみなすかどうかにつながります。まあ事実としては、国土地理院の面積調では、有福島(2.97 km2)、漁生浦島(1.37km2)に別個の島として面積が与えられ、2021統計年報、SHIMADAS、新版 日本の島事典の「第I部 解説編」でも同様です。議論が分かれるところですが、これに関しては国土地理院の面積調とgoogle map、マピオン、その他映像の情報に従い、別個の島として扱います。

【大毛島・高島】新版 日本の島事典「第III部 島嶼県別統計(データ編)」では、単一の島扱いされています(10.358107 km2)。国土地理院の地図を見ると、南西北東に水門(それぞれあいの水尾川水門鯔越水門(いなこしすいもん)と呼ぶようです)があり、google mapのストリートビューでも南西北東に水門を確認できます。これをコンクリートの埋め立てで接続しているとみなす人もいるかも知れませんが、まあ橋の一種と考えて問題はないでしょう。実際国土地理院の面積調では、大毛島(7.31 km2)、高島(2.63km2)に別個の島として面積が与えられています。よってこれに関しては分離して扱います。

以上まとめると、[109381]に対して以下の変更点を追加となります。離島振興法での指定を重視するのであれば、赤島と泊島は別の島ということで現状維持となります。ただ赤島・泊島はどうみても埋め立てで完全に接続されています。大根島・江島は、沖縄本島・瀬長島と同レベルで、埋め立てられた道路による接続です。有福島・日島・漁生浦島は1975年に堤防道路で接続されましたが、有福島~日島側には当初から潮通し孔が二つ掘られ、さらに2008年に有福島~漁生浦島側にはより大きい潮通し水路が掘られ
たようです。微妙なところですが、それぞれ別個の島として扱うのが妥当とする根拠となります(一個の島として扱うべきとする主張にも一定の根拠にもなりえますが)。また大毛島・高島は2つの水門が存在し、こちらも微妙なところですが、別個の島として扱うのが妥当とする根拠になります(こちらも一個の島として扱うべきとする主張にも一定の根拠にもなりえます)。

#島名都道府県市区町村 (小地域区分)人口
(2020年)
人口
(2015年)
面積
(km2)
人口密度
(人/km2)
変更点
66+67*大根島・江島島根県松江市 (八束町)3.7933,8426.74562.8大根島(3,123人/5.15km2)と江島(670人/1.20km2)は埋め立てられた道路で接続数字を合算、注追加、小地域区分修正
248+249赤島・泊島長崎県対馬市 (美津島町鴨居瀬の一部 [0600-00080~00090])34430.6254.8赤島(25人/0.51km2)と泊島(9人/0.11km2)は埋め立てにより接続数字を合算、小地域区分と注修正

また[109412]に示した「2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)」の説明内容は、以下のように修正となります。

2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)
    離島振興法等指定離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版
    法律指定外離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版)
    上記以外:新版 日本の島事典 (2022年), SHIMADAS (2019年), ritokei (NPO法人離島経済新聞社)などに掲載
    北海道、本州、四国、九州、沖縄島(人口は差分で計算)
(1) 離島振興法等指定離島のうち、長崎県対馬市の赤島と泊島は埋め立てにより独立した島ではなくなっており、本表では一個の島として扱う。
(2) 法律指定外離島のうち、島根県松江市の田島(大根島と接続)、香川県坂出市の瀬居島と沙弥島(四国本土と接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本と接続)などは、埋め立てにより独立した島ではなくなった地域として、本表からは除外。また法律指定外離島のうち、島根県松江市の大根島と江島は埋め立てた道路(中海堤防道路)で接続しており、本表では一個の島として扱う。
(3) SHIMADASに掲載の有人離島のうち、北海道江差町の鴎島(北海道本土と埋め立てにより接続)も同様の理由により本表から除外。
(4) ritokeiに掲載の有人離島のうち、沖縄県豊美城市の瀬長島(沖縄本島と埋め立てた道路(瀬長島海中道路)により接続)も同様の理由により本表から除外。また沖縄県竹富町の外離島は、平成27年以降の国勢調査や住民基本台帳登録で無人化しているので除外。
(5) 新版 日本の島事典の「第III部 島嶼県別統計(データ編)」に掲載の有人の自然島のうち、愛媛県今治市の美濃島・家ノ島も、国勢調査で長らく無人化しているので除外。なお本書で無人名付の自然島として扱われている神奈川県横浜市金沢区の野島については、開削水路で分離した有人の人工島として除外。
(6) 琵琶湖の沖島、中海の大根島・江島などの湖の有人島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法指定離島、あるいは本土との架橋の完成により指定解除を受けた島として離島統計年報に記載があり、本リストに含めている。ただし、琵琶湖や中海は本州の面積に含まれており、沖島、大根島・江島の人口も本州の人口に含まれる。
(7) 岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬島は、開削水路で分割されているが、自然島として合算した値を示す。


【追記】古本勝弘・猶木昌史・多田彰秀・古賀恵美子・大田元, 「長崎県五島・有福湾における「潮通し」設置による海水交換促進」(海岸工学論文集, 52巻, pp. 1131-1135 (2005年))によると

①(=北防波堤の堤防道路)には2m四方の潮通し孔が2箇所あけられているが,同湾は閉鎖性が高く海水交換が悪い状況である.

とあり、有福島~日島側の北防波堤の道路には完成当初から2つの潮通し水路が存在したようです。これにより上の文章の関連部分を修正しました。
[109412] 2023年 12月 22日(金)16:33:19【13】訂正年月日
【1】2023年 12月 22日(金)20:04:29
【2】2023年 12月 22日(金)20:22:53
【3】2023年 12月 22日(金)20:29:57
【4】2023年 12月 22日(金)21:21:43
【5】2023年 12月 23日(土)02:07:13
【6】2023年 12月 23日(土)02:40:27
【7】2023年 12月 23日(土)03:39:56
【8】2023年 12月 23日(土)03:58:03
【9】2023年 12月 23日(土)06:08:07
【10】2023年 12月 23日(土)11:09:01
【11】2023年 12月 23日(土)11:14:36
【12】2023年 12月 23日(土)13:11:28
【13】2023年 12月 23日(土)15:39:41
YT さん
瀬戸ケ島・宇品島の追加、野島・弁天島・蕨島の追加中止、瀬長島削除と注の見直し+鹿老渡の堀切水路の追記
[109381][109392][109393][109396][109402]のまとめと、[109381]の追加修正箇所リストの修正版です。

神奈川県横浜市金沢区の野島(理由:[109402]人工島と見做す方が妥当のため)、静岡県浜松市西区・湖西市の弁天島(理由:[109402]人工島と見做す方が妥当のため)、鹿児島県出水市の蕨島(理由:[109392]九州本土と埋め立てにより接続しているため)の追記は中止、沖縄県豊美城市の瀬長島は有人島リストから削除(理由:[109393]沖縄本島と埋め立てにより接続しているため)で、新たに追加されるのは、島根県浜田市の瀬戸ケ島と広島県広島市南の宇品島です。

(開く)追加修正箇所リスト

データ項目の説明の内

1. 国土地理院が規定する「島」
国土地理院が規定する「島」は、周囲長0.1km以上の海岸線で囲われた自然島であり、人工島は島とはみなされない。したがって関空、神戸ポートアイランド、東京湾平和島、令和島、お台場などは本州島の一部とされる

については、島の定義に、海岸線についての説明を加えることを提案します。

1. 国土地理院が規定する「島」
国土地理院が規定する「島」は、周囲長0.1km以上の海岸線で囲われた自然島であり、人工島は島とはみなされない。したがって関空、神戸ポートアイランド、東京湾平和島、令和島、お台場などは本州島の一部とされる。また国土地理院が規定する「海岸線」は、満潮時の「水涯線」を表し、神奈川県藤沢市の江の島のように、干潮時には接続していても満潮時には分離する場合には、独立の島として扱う。

また

2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)
    離島振興法等指定離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版)
    法律指定外離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版)
    上記以外:SHIMADAS (2019年)などに掲載
    北海道、本州、四国、九州、沖縄島(人口は差分で計算)
(1) 法律指定外離島のうち、島根県松江市の田島(大根島に接続)、香川県坂出市の瀬居島と沙弥島(四国本土に接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本土に接続)などは、ほぼ完全な埋め立てで独立した島ではなくなった地域として、本表からは除外
(2) SHIMADASに掲載の有人離島のうち、北海道檜山郡江差町の鴎島も同様の理由により本表から除外
(3) 琵琶湖に浮かぶ沖島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法等指定離島となっておりリストに含めている。ただし、琵琶湖は本州の面積に含まれており、沖島の人口も本州の人口に含めている。

の修正案は以下の通りです。参考文献として新版 日本の島事典 (2022年)とウェブ情報のritokei (NPO法人離島経済新聞社)を明示し、ritokei掲載の瀬長島、外離島の話題を追加し、湖の島として中海の大根島・江島の話題を追加します。【追記:美濃島・家ノ島、野島の話題を追加】郡名は表に合わせて削除。【追記:(6)を増やしました。対馬についてはネット上にいくらでも情報が転がっていますが、岡山県瀬戸内市の長島の「船越水路」については、例えば『愛生 昭和41年5月号』(自宅での閲覧には国会図書館への登録が必要)に詳しい経緯が書かれています。今回鹿老渡の堀切水路の具体的な開削年(再開削)の情報が増えました。】

2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)
    離島振興法等指定離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版
    法律指定外離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版)
    上記以外:新版 日本の島事典 (2022年), SHIMADAS (2019年), ritokei (NPO法人離島経済新聞社)などに掲載
    北海道、本州、四国、九州、沖縄島(人口は差分で計算)
(1) 法律指定外離島のうち、島根県松江市の田島(大根島と接続)、香川県坂出市の瀬居島と沙弥島(四国本土と接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本と接続)などは、埋め立てにより独立した島ではなくなった地域として、本表からは除外。
(2) SHIMADASに掲載の有人離島のうち、北海道江差町の鴎島(北海道本土と埋め立てにより接続)も同様の理由により本表から除外。
(3) ritokeiに掲載の有人離島のうち、沖縄県豊美城市の瀬長島(沖縄本島と埋め立てた道路により接続)も同様の理由により本表から除外。また沖縄県竹富町の外離島は、平成27年以降の国勢調査や住民基本台帳登録で無人化しているので除外。
(4) 新版 日本の島事典の「第III部 島嶼県別統計(データ編)」に掲載の有人の自然島のうち、愛媛県今治市の美濃島・家ノ島も、国勢調査で長らく無人化しているので除外。なお本書で無人名付の自然島として扱われている神奈川県横浜市金沢区の野島については、開削水路で分離した有人の人工島として除外。
(5) 琵琶湖の沖島、中海の大根島、江島などの湖の有人島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法指定離島、あるいは本土との架橋の完成により指定解除を受けた島として離島統計年報に記載があり、本リストに含めている。ただし、琵琶湖や中海は本州の面積に含まれており、沖島、大根島、江島の人口も本州の人口に含まれる。
(6) 岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬島は、開削水路で分割されているが、自然島として合算した値を示す。

3. 人口データと4. 市区町村欄の注記(マウスオーバー/タップで詳細表示)および 関連情報へのリンクには変更はなく、

5. 人口算出における詳細注記
(1) 高知県須崎市の中ノ島、戸島
 本土と分離できないため人口を推定。四国の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(2) 長崎県西海市の竹ノ島、南串島 / 西彼杵郡時津町の前島 / 諫早市の鹿島 / 大分県臼杵市の黒島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、離島統計年報に国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字あり(竹ノ島、前島、鹿島、黒島は2015年国調、南串島は2010年国勢調査ベース)。基本単位区に占める人口比から人口を推定。九州の人口は正確ではないが誤差は±20人程度と推察。
(3) 長崎県南松浦郡新上五島町の中通島、桐ノ小島
 離島統計年報に2020年国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字あり。
(4) 熊本県の大矢野島・野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。

の修正案は以下の通りです。2022離島統計年報のみならず、ritokeiや新版 日本の島事典などからも国勢調査人口の個々の確定値の情報が入手可能であり、そもそも中通島、桐ノ小島だけに限った話ではなく、ほかに脚注漏れの島が多々あるので(「~の一部」として基本単位区が分割されているのに国調人口が確定しているケースが該当)、これに関する説明を省きます。【追記:賢島+横山島、前島+黒島、前島+鼕泊島、福江島+前小島、御所浦島+前島、小浜島+嘉弥真島、新城島上地+新城島下地、西表島+由布島の算出方法の説明が抜けていたので追加し、説明文も大幅に改訂】

5. 人口算出における詳細注記
(1) 四国本土と架橋により接続している徳島県海陽町の竹ケ島 / 高知県須崎市の中ノ島、戸島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、基本単位区に占める人口比など(竹ケ島は2020年直近の住基、中ノ島は2010年国調、戸島はWeb情報)から人口を推定。四国本土の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(2) 九州本土と架橋により接続している長崎県西海市の竹ノ島、南串島 / 大分県臼杵市の黒島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、基本単位区に占める人口比(竹ノ島、前島、鹿島、黒島は2015年国調、南串島は2010年国調)から人口を推定。九州本土の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(3) 三重県志摩市の賢島と横山島、岡山県瀬戸内島の前島と黒島
 国勢調査の基本単位区人口とWeb情報から人口を推定。
(4) 長崎県佐世保市の前島と鼕泊島
 国勢調査の基本単位区に占める人口比(2015年国調)から人口を推定。
(5) 長崎県五島市の福江島と前小島、熊本県天草市の御所浦島と前島、沖縄県竹富町の小浜島と嘉弥真島、新城島上地と新城島下地、西表島と由布島
 国勢調査の基本単位区に占める人口比など(2020年直近の住基)から人口を推定。
(6) 熊本県の大矢野島と野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。

6. 面積データには変更がなく、

7. 人口密度データ
(1) 人口、面積ともに2020年 (令和2年) データがなければ2015年 (平成27年) 基準など得られたデータを使って計算

については、面積のデータが既に2015年基準でもないので、シンプルに以下のように変更します。

7. 人口密度データ
(1) 2020年 (令和2年) の人口を元に計算。

【鹿老渡の堀切水路に関する追記】:

[109402]

堀切水路が作られらた年代を絞るため、とりあえず、『海と人々のくらし / 倉橋町編』(2000年)には目を通しましたが、こちらには堀切水路に関する情報は掲載されていませんでした。残る文献として倉橋町編『倉橋町史 通史編』(2001年)がありますが、前述のようにこちらは閲覧には余計な手続きが必要です。

これに関して倉橋町編『倉橋町史 通史編』(2001年)、『北宇和郡町村誌 その2』(2011年:『日振島村誌』(1910年)を収録)を閲覧しましたが、堀切水路と堺の浜の水路の完成年に関する情報は得られませんでした。なお、[109402] の方で、堀切水路建設に出資したのは「林家」ではなくて「宮林家」などと書きましたが、「宮林家」は鹿老渡限定の綱元であるのに対し、倉橋島により影響力を持つ網元である「林家」(林三郎兵衛など)というのが別途存在したことが判明しました。実際に明治時代、宮林家などと連名での漁場に関する取り決めの書類が『倉橋町史 通史編』に収録されています。それとは別に、船大工として栄えた林家(宇和木屋)というのもありますが、堀切水路自体漁船がようやく通れる程度の幅しかないので、作ったのは船大工の林家ではないでしょう。よって個人ブログ

島の西南部である鹿老渡はもともと地続きですが倉橋島の網元である林家が私費で堀を切りました
江戸時代のことです
この堀切のお陰で船はショートカットできるようになり鹿老渡は発展したようです

の「倉橋島の網元である林家」の情報は正しそうです。

【鹿老渡の堀切水路に関する追記!】『広島県史 第壱編 地誌』の方でついに記述を見つけました!

鹿老渡の瀬戸 鹿老渡山の北にあり享保中山を削り、塹を鑿ちて小舟を通ず、俗に堀切と称す、天保中泥沙塡塞、舟路絶えしが、室尾の人林宇右衞門、工事を督して、浚渫し、安政六年より復舟路を開けり。

こちらの記述が正しいとすると、享保年間(1730年頃)に堀を作ったが、天保年間(1840年頃)に埋まったので、安政6年(1859年)に再び堀を作ったことになります。ただ鹿老渡の町割ができたのは享保15年(1730年)のことですが、その時に堀切まで作ったとするのは無理があります。というのは、鹿老渡自体は港町として整備されたのであるのに対し、堀切自体は漁師の船が通る程度の幅しかありませんし、1806年(文化3年)に鹿老渡を訪れた伊能忠敬の地図でも、文政8年(1825年)に完成した『芸藩通志』の文章でも地図でも、全く水路が描かれていないし、水路の記述がありません。よって安政6年(1859年)こそが実際に堀切が開削された年だと思われます。少なくとも再開削の年として間違いはないでしょう。

ネット上には「堀切水路」という言い回しが複数あるので、「堀切水路」という名称に統一します(さっき慌てて「鹿老渡堀切」などと書きましたが、『広島県史』を読みかえしたところ、そうは書いていませんでした。すみません)。「堀切水路」が完成したのは1859年として、上の脚注の中身も修正しました。
[109402] 2023年 12月 18日(月)20:30:33【8】訂正年月日
【1】2023年 12月 18日(月)20:42:39
【2】2023年 12月 18日(月)21:02:27
【3】2023年 12月 18日(月)23:41:58
【4】2023年 12月 18日(月)23:55:22
【5】2023年 12月 19日(火)00:58:54
【6】2023年 12月 19日(火)13:02:31
【7】2023年 12月 19日(火)14:12:21
【8】2023年 12月 19日(火)17:59:25
YT さん
野島の削除、弁天島の扱いの問題、鹿老渡島・日振島について追加情報
[109398] オーナーグリグリさん

1.日本の有人島一覧の更新
未対応のYTさんからの情報を反映することでとりあえず一区切りとする予定です。今年中にこの件はまとめたいと考えています。なお、編集システムの開発については[109381]YTさんのコメントもありますので一旦保留とします。

すみません。標題の件について問題が認められたので、追加で修正が必要となりました。[109381]の内容については今週中にもう一回整理してみます(もう修正を行っていたら申し訳ありません)。

『新版 日本の島事典』「第III部 島嶼県別統計」は、国土地理院地図のデータをベースに島面積を算出している関係で、岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬のように、後から人為的な水路が作られた場合には無駄に分割してしまうという欠点はありますが([109381][109396])、その反面、鹿児島県出水市の蕨島([109392])、沖縄県豊見城市の瀬長島([109393])は掲載されておらず、これらの島が埋め立てによって既に本土と接続してしまっていたことを確認するきっかけになる点で役に立ちました。ただ「第III部 島嶼県別統計」には別の問題があり、一応脚注に「自然島」「人工島」の区別がありますが、人工島を自然島扱いにしてしまっているケースが散見します。

例えば国土地理院の日本の島の数(2023年2月28日14時00分発表)によると、自然に形成された陸地ではないと判断した例として横浜市金沢区の八景島が挙げられていますが、こちらは『新版 日本の島事典』「第III部 島嶼県別統計」では自然島として扱われています(もっとも国瀬調査では無人島なので本件での議論の対象外です)。ここで八景島が取り上げられたのは、もしかしたら2022年12月出版の『新版 日本の島事典』の内容を吟味しての結果かも知れません。

そこで[109392]にも書いたように、自然島かどうか微妙な、神奈川県横浜市の野島と広島県広島市南区の宇品島について、過去の地図との比較を行ったところ、野島は自然島として扱うのには問題大ありでした。

神奈川県横浜市野島については[82781][82782]、島根県浜田市の瀬戸ヶ島/瀬戸ケ島については[82815]、広島県広島市南区の宇品島については[86248]に関連する情報が示されています。瀬戸ヶ島はほぼ問題なく自然島。野島は自然に陸繋島となった後、何度も水路を開削されている島。宇品島は一度埋め立てられた後、再度水路を開削された島です。一応野島も宇品島も『新版 日本の島事典』では「自然島」扱いとなっていますが、経歴的には微妙な島です。

【宇品島】まず宇品島ですが、『伊能大図彩色図』には「仁保島村属 宇品島」と書かれ、立派な島です。『天保国絵図』では「宇治名」、昭和7年(1932年)部分修正の陸地測量部の『五万分の一地形図』でも「宇品島」です。宇品島が埋め立てられていたのは明治時代の一時期だけのようなので([86248])、こちらは自然島として扱って問題なさそうです。

【野島】しかしながら問題があったのは野島です。まず『伊能大図彩色図』では、「洲崎村」「野島」と描かれてる場所は完全に半島となっており、島とは言えません。『天保国絵図』では、「「洲崎村内野嶋浦」」とあり、こちらも半島です。今昔マップを見ると明治36年(1903年)測量の五万分の一地形図、昭和19年(1944年)部分修正の五万分の一地形図でも、どちらも野島部分は半島となっており、島とは言えません。どうも上の地図修正が行われた直後の1945年以降、野島運河や野島水路が作られて独立島に復帰したようです。「野島」という名称がある以上、古代には自然島だったようですが、有史時代にトンボロが完成され、伊能図が書かれた頃の江戸時代後期から昭和初期まで長らく陸続きと認識されていたようで、独立島しての歴史はかなり浅いようです。つまり野島は『新版 日本の島事典』「第III部 島嶼県別統計」では「自然島」という扱いになってはいますが、測量技術が導入された19世紀以降は満潮時にも陸繋島化している期間の方が長く、人工島として扱うべきと判断されます。野島を[109381]の修正案のリストから削除すると、本州の人口は2020年102,577,160→102,579,606人、2015年102,977,838→102,980,442人と、結構影響は大きいです。

【弁天島:以下舞阪町史の情報により細かい変遷情報を後から追加、杭嶋→狐嶋に訂正】今もう一つ悩んでいるのは静岡県浜松西区・湖西市の弁天島の扱いです。今切変遷図によると、明応8年(1498年)の大地震の洪水で今切口が出来、その際に舞阪側に「狐嶋」ができたと書かれています。ただしこれは同時代の史料ではないので、実際にどの大地震(明応7年(1498年)か永正7年(1510年)か)の津波で今切口が出来たのかは断定できません。その後宝永4年(1707年)の津波の影響で、新居側に「元荒井跡」、「荒井跡」という島が出来たほか(今切変遷図の変化を見ると、新居側は新しくできた2島(元荒井、荒井)の南側に2島が新たに形成されて4島となった後、南側は再び繋がって18世紀中に再度半島化し、北側の元荒井、荒井は中洲化して現在に至ると推測されます)、「狐嶋」側は「弁天島」となっています。ただし弁天島に弁天が祀られるのは宝永6年(1709年)以降のことなので、この時代は「弁天島」ではなくて「西之野」と呼ばれていたようです。地図をよくみると、弁天島の左側には「波ヨケ杭二十三丁」と書かれています。

話は前後しますが、実は浜松市立図書館の方で1650年前後に作成された正保国絵図に該当するものを閲覧できるのですが、今切船渡の上に三つ島が書かれており、左から「荒地?」「嶋濱?」「嶋濱?」と書かれているようなのですが、漢字が崩し字過ぎて読めません。場所的には宝永4年以前の「弁天島」、つまり「狐嶋」周辺でしょう。

続いて『伊能大図彩色図』では、舞阪側から「弁天ジマ」「二本抗」(現在の新弁天に相当か)と書き込まれた半島が伸びており、島として描かれていません。先に紹介した今切変遷図の宝永4年の津波の影響の図によると、弁天島から北西方向に「波ヨケ杭二十三丁」が打たれていたことを考慮すると、伊能の時代に「二本杭」まで陸地が伸びている原因は、このように防波目的で人工的な杭を打ち込んだため、トンボロが形成されたせいかも知れません。伊能が浜名湖を測量したのは文化2年(1805年)のこととされていますが、その後の文政6年(1823年)に描かれた遠淡海浜名湖之図では、半島に2か所切れ目が入り、弁天島と二本杭が分離しており、再び島化しています。一方『天保国絵図』では弁天島から二本杭まで一つの伸びる島となっています。今昔マップになると、明治23年(1890年)の測量図では弁天島、北弁天島(第二弁天島→1932年以降は日之出島)、西弁天島(→新弁天)、西弁天島の北側の小さい島(カラス島)など4つが独立島として描かれ、既に鉄道と橋が敷かれています。大正6年(1917年)の測量図では、西弁天島(新弁天)の北側の小さい島が2つ(カラス島、東郷島)に増えて5つの独立島となり、昭和13年(1938年)の測量図では北弁天島(第二弁天島)の北側に西野島浦の埋め立て地が作られ、さらに一気に6つの人工島(乙女園、蓬莱園、千鳥園、観月園、湖島、楽園)が作られています(西野島浦の埋め立て地や乙女島はそれぞれ水路で2つに分離していますが、西野島浦と乙女島の水路を無視するとこの段階では12島)。その後北弁天島(第二弁天島)~西野島浦~楽園は完全に埋め立てられて昭和7年(1932年)以降日之出島となります(10島)。昭和32年(1957年)修正版で渚園が作られ始め(11島)、昭和54年(1979年)修正版では新弁天の北側のカラス島、東郷島を含め、新弁天から乙女園までが完全に埋め立てられています(8島)。

このように弁天島の歴史は複雑で、明和または永正の大津波で狐嶋が形成された後、17世紀中頃には3島に分裂していた時代もあり(正保国絵図)、18世紀初頭の宝永の大津波で西之野のみ残って後は消滅(新居側が一時期2島が分裂し、さらに4島となり、南側が再び半島化して2島となっている)。島に弁天が祭られるようになって弁天島と呼ばれるようになり、19世紀初頭の伊能図では再度半島化しており、19世紀中頃には再び根本が切れて長い1つの島(天保国絵図)、ないしは2つの島に分裂(弁天島と西弁天島)、19世紀後半には4つの島に分離しており(陸軍参謀本部の測量図)、さらに5つに分裂し、昭和初期に7つの人工島が北側に建設され、その内3つの島が埋め立てで統合。さらに戦後に渚島が建設となり、やがて4つの島が埋め立てで統合。後から埋め立てられた島は当然人工島ですが、オリジナルの弁天島・新弁天・日之出島全体を一個の自然島とみなし、他の島を付随する人工島とみなすのか、ちょっと扱いに悩みます。SHIMADASなどでは弁天島をはっきり「人工島」として扱っており、自分としても現状では弁天島を削除してしまう方向に考えが傾きつつあります。[109381]にまとめた修正内容については今週中にもう一回整理します。

【鹿老渡島の堀切水路】また話は大分変りますが鹿老渡島について、個人のブログからこのような記述を見つけました。

島の西南部である鹿老渡はもともと地続きですが倉橋島の網元である林家が私費で堀を切りました
江戸時代のことです
この堀切のお陰で船はショートカットできるようになり鹿老渡は発展したようです
白砂青松の風景---
その名も『堀切橋』を渡り鹿老渡へ行ってみました(続く)

上のブログでは「林家」となっていますが、「宮林家」という、材木で栄えた商家があり、大名が泊まることができる本陣を鹿老渡に構えていたようです。しかもこの本陣には伊能忠敬も泊まり、ここで天文観測を行った可能性が高いそうです。伊能忠敬研究の方に中村士「伊能忠敬が瀬戸内海測量で使用した天文測器と『夜中測量之図』の観測地」という興味深い研究論文が載っており、そちらを抜粋で紹介します。

鹿老渡には 一行は 2泊3日滞在したことが分る。鹿嶋の一周測量のために必要たったのだろうが、忠敬の測量では同所に 2泊することは比較的珍しい。
図3の地図に見るように、鹿老渡は呉市の江田島に隣接する倉橋島にあり、最南端に位置する小さな港である。江戸時代には廻船の潮待ち ・風待ちのために栄えた瀬戸内海の良港だった。上述の新出測器は、この鹿老渡の辰之助直範なる人物(士分と思われるが素性未詳)が、忠敬の鹿老渡滞在時に象限儀と子午線儀の構造を調べ、寸法を測定したのだろう。伊能隊は鹿老渡に2泊3日滞在したために、二日目の昼間測量では象限儀・子午線儀は持ち歩かず宿に残していたはずで、辰之助は昼間に詳しく計測させてもらえたと想像する(『伊能忠敬測量日記』を読むと、忠敬は各所で来訪者に気軽に測量器具や天文測器を見学させたり、天文暦学書を質し与えたりしている)。その計測結果を元にして辰之助は、理由は不明だが、25年後の天保2年(1831)になって新出測器を復元製作し、それらがやがて上に述べた大庄屋宮尾家に渡ったと推定されるのである。
(中略)
倉橋島の古い建築に関する調査報告書(21)では、鹿老渡で寛政3年(1791)頃からの建物が残っているのは、野村家と宮林家の2軒だけと書かれている。『倉橋島志』によると、野村家は、貞享頃から文政年間まで断続的だが庄屋と地域の組頭を務めていた(22)。しかし、小川氏と私が鹿老渡を紡れた時(20115月14日)には、街路の東端に位置する野村家の建物は、だいぶ以前に解体されて、古めかしい蔵一棟だけを残した無住の更地になっていた。
そこで、民宿を経営するという街路酉端の角地の宮林家を、間取り調査のために訪問した。宮林家の建物は鹿老渡の中でもひときわ目立ち、古い歴史を感じさせる。中庭を取り巻く堂々たる白壁土蔵造りの平屋建である。正面玄関に接した八畳間だけで6~7部屋ある(21)。『倉橋町史』には、宮林家は本陣に使われたこともあると記されている(19)。宮林、野村の屋敷 ・建物は、19世紀初めから基本構成は変わっていないという(19)。
本節では、応対下さった宮林家の老未亡人の話をまず要約する(23)。民宿はご本人の健康上の理由から、数年前(調査当時)から止めている、宮林家の歴史と、同家が昔から伝統ある旧家だったことは、宮林家先代の賢から度々聞かされていたとのことだった(図6)。驚かされたのは、私たちが伊能忠敬の話を持ち出す前に、宮林家は野村家の分家で、両家はもとは津和野屋金右衛門という名前だったと、未亡人は、はっきり明言されたことである(忠敬の測量については何もご存じなかった)。この名前は、『伊能忠敬測量日記』の中に出てくる、忠敬らが鹿老渡で天測のために止宿した宿の当主の名前そのものだった(2.2節)。従って、忠敬らの天測は、野村家か宮林家かの層厳内で行なわれたことが明白になった。
『倉橋町史』(19)や『倉橋の建築』(21)等によると、江戸時代の両家の先祖は材木商で、これは鹿老渡の造船業と関係があったと記されている。これに対して、未亡人の話では江戸時代の宮林家は鹿老渡のいわゆる綱元で、漁のための網小屋をいくつも持ち、綱子も多数抱えていたため、大勢が泊まれるように間取り数の多い大きな屋敷になったとのことだった。また、瀬戸内海を往来する大名や文人墨客もしばしば宿泊したため、現在も当家には頼山陽や聿庵(いつあん)ら有名人の扇額がいくつも残されている。
『倉橋の建築』(21)に収録された両家の屋敷の図面を比較すると、宮林家の方が屋敷の規模は大きいから、いつの時代からか、分家である宮林家の生業の方がより盛んになったらしい。以上、述べてきた情報だけでは、忠敬らの天測が街路東端の野村家と西端の宮林家とのどちらで行なわれたかを確定することはできない。しかし、筆者には、宮林家の方がより可能性が高いように恩われる。それは、富林家が、江戸時代から大きな宿泊所として利用されてきたこと、天測場所に相応しい中庭が今も残っていること、宮林家の方が西に位置していて、 図5の天測点(「☆」印)により近いこと、などの理由からである。

以上、ブログの情報がある程度正しいとすると、鹿老渡の堀切水路が掘られたのは江戸時代のことで、水路を掘るための資金を出したのは網元である「宮林家」であり、そこはほかならぬ伊能忠敬が宿泊して夜中に天測観測を実施した家である可能性が高いということです。堀切水路が作られらた年代を絞るため、とりあえず、『海と人々のくらし / 倉橋町編』(2000年)には目を通しましたが、こちらには堀切水路に関する情報は掲載されていませんでした。残る文献として倉橋町編『倉橋町史 通史編』(2001年)がありますが、前述のようにこちらは閲覧には余計な手続きが必要です。とりあえず水路が作られた時期が判明している対馬、長島に加え、倉橋島~鹿老渡島も人為的な水路が作られたことがほぼ確定しました。

【日振島の堺浜水路】日振島については戦前は島を南北に分かつ水路も道路も掲載がありません([109396])が、こちらも個人のblogの方にもともと木製の橋が架かっていたという情報を見つけました。

真ん中の写真、この島と島が切れて向こう側が見えている部分には、昔は木製の橋が架かっていました。祖母によると、ある台風が日振島を襲った時、この橋を通っていた日振島小学校の子供たちが橋ごと流されたことがあったそうです。ほとんどの子供たちは助けられましたが、ある一人の女の子だけは見つからず。その後、網に引っ掛かっている所を発見されました。その子の母親は、毎日のようにここに通い、わが子を探していたそうです。
台風の度に流されていた橋は、現在は写真のようにコンクリート製の丈夫なつくりになっています。

宇和島市立日振島小学校の沿革によると、以下が該当しそうです。

昭和18年 津波あり、堺浜にて児童1名死亡

実は『新版 日本の島事典』の方にも以下の記述があったのですが、これによりこの橋が架かっている部分の固有名が「堺浜」、「堺の浜」であることが分かりました。

島中央部堺の浜で、幅10m程度の短水路で南(1.4186km2・13.668km・197.7m/北:2.3190km2・17.886km・158.8m)の2島に区切られるが、実質的に1島である。

後に「愛媛県道290号喜路能登線」を作る過程でコンクリートの橋が作られ、その際に水路がきっちり掘られたと推測されます(1960年代)。時期的に1958年の昭和の大合併(日振島村→宇和海村)よりも後、1974年の宇和島市への合併への前です。『宇和島市誌』(1974年)の方は、残念ながら宇和島市中心部の土木工事がメインで、こちらの水路の情報は載っていません。現状の情報から日振島の状況を推測すると、昭和初期の段階で日振島は満潮時にも堺浜は繋がっていたが、濡れないように歩くために木の橋がかけられていた。南北をつなぐ県道が作られた際に国土地理院地図でもはっきり描かれる水路が作られた、のではないかと推測しました。

それにしても上のブログの写真を見る限り、水路は実に狭いですね。国土地位地図だと水路は一番狭いところで5メートルです。
[109396] 2023年 12月 15日(金)16:32:49【2】訂正年月日
【1】2023年 12月 16日(土)11:01:16
【2】2023年 12月 16日(土)11:07:00
YT さん
鹿老渡を倉橋島より分離した堀切水路の掘削は幕末に行われた?
鹿老渡についていろいろ調べましたのでまとめます。

まず国土地理院地図を見ると、堀切橋は幅20メートル程度の水路にかかっている橋です。google mapのストリートビューで見ても、かなり両岸が近いようです。

『芸藩通志』「巻之三十八 安芸郡三」の鹿老渡湊」の項目によると

鹿老渡湊 倉橋島にあり、南北二港ありて、南は下浦とて東北風を防ぎ、北は日浦とて西南風を防ぐ、享保年間に始て家を移し市を成す、今一聚となれり、或は云、からうとは韓泊の義を訛り称せるなるべしと、此地周防洋の口なれば、古韓船繋泊せることもありぬべし、鹿老渡の西、財崎、室尾にも埠頭もあり、

とあります。『芸藩通志』は広島藩の地誌で、文政8年(1825年)に完成したとされておりますが、その『芸藩通志』「巻之三十六 安芸郡一下」に倉橋島の地図」が掲載されています(右側が南)。これを見ると、鹿老渡の部分は半島になっていて、水路が描かれていません。

国立公文書館所蔵の天保国絵図安芸国(天保9年(1838年))では、「かろうと」と書かれていますが、同じく水路は描かれていません。

また伊能大図彩色図の「伊豫 諸島 安芸 広島」を見たところ、こちらでも水路が描かれていません。伊能が瀬戸内の山陽道川を測量したのは1806年(文化3年)のこととされております。正直国絵図が正確に地形を反映しているとは思いませんが、伊能図は海岸線だけは正確に測量しているはずですので、このことから19世紀前半では、おそらく鹿老渡は倉橋島と陸続きであったと推測されます。

一方スタンフォード大学のサイトで閲覧可能の、陸軍参謀本部作成の五万分一地形図(大正14年(1925年)修正版)では、既に鹿老渡の堀切橋が完成しているようにみえます。

『広島県史 第1編』(大正10年(1921年))に収録の安芸国全図でも、既に水路は存在するようにみえます。

ただ解像度の低い大阪毎日新聞『日本交通分県地図』の其二 広島県(大正12年(1923年))などでは水路は確認できません。

いくつか調べたところ、『日本警察彰功録 下巻』(明治24年(1891年))の一節

広島水上警察署巡査平田大己巡回シテ宇和木浦ニアリ就テ之ニ協力ヲ求メ共ニ又鹿老渡ニ向フ
之ヲ探ルニ二賊初メ会場ノ争闘ヲ知ラズ暁天残灯ノ下ニ酒杯ヲ傾ケ献酬
時ヲ移ス適々海辺土民ノ騒擾スルヲ聞キ始メテ党与ノ就縛シタルヲ知リ匆々樓ヲ出テ鹿老渡堀切ニ向テ逃走シタリ
然ルニ村長岩本孝祐ハ二賊ノ逃路ヲ絶チ嚢中ノモノトナシ容易ニ捕獲セン

と「鹿老渡堀切」という言葉が見つかりました。つまり19世紀末には「堀切」が存在したことになります。

以上から推測するに、堀切の水路が作られたのは19世紀のこと。明治維新後は呉に海軍が置かれた影響で鹿老渡での自由な往来が阻害されたので、おそらく鹿老渡が最盛期を迎えた幕末頃に掘削されたのではないかと推測します。

『倉橋町史』、あるいは最近出版された『呉市史』関連の書籍を読めばもう少し絞れるかもしれませんが、自分の身近ではちょっと手続きがめんどくさい図書館(コロナ以降事前予約が必要になってしまった)にしか見当たりませんでした。

【追記】愛媛県宇和島市の日振島は、スタンフォード大学公開の地形図では、昭和9年(1936年)の時点において南北に分かつ水路もなく南北を繋げる道もありません。おそらく道を作ったときに下を通る水路も掘られたのでしょう。長崎県対馬市の対馬、岡山県瀬戸内市の長島、日振島、倉橋+鹿老渡島の4島に関しては、全部人為的な水路があとから作られたようで、それが国土地理院公開の島面積合算にそのまま反映されているようです。
[109393] 2023年 12月 14日(木)12:53:52【3】訂正年月日
【1】2023年 12月 14日(木)13:23:12
【2】2023年 12月 14日(木)13:28:28
【3】2023年 12月 14日(木)20:34:22
YT さん
沖縄県豊美城市の瀬長島を有人島リストから削除する可能性について
[82725] [82776] オーナーグリグリさん

問四:豊見城市の瀬長島は、本土(那覇空港)と地続き

豊見城市の瀬長島は、この部分で那覇空港(那覇市)と堤防でつながっています(こことここでは切れていますが)。一方、松江市の大根島と江島は、こことここで切れています。江島は江島大橋で境港市と架橋していますので、境港市も共通項が該当します。

『新版 日本の島事典』で「第III部 島嶼県別統計」の方に掲載がなく、「第1部 日本の島々(解説編)」の方に個別の解説記事の掲載があった有人島候補は、琵琶湖の沖島、中海の大根島、江島、浜名湖の弁天島などの湖の島のほか、第III部の方では合算値が示されていた徳島県鳴門市の大毛島・高島、長崎県対馬市の赤島・泊島、長崎新上五島町の有福島・日島・漁生浦島、そして今回自分が誤って独立した自然島と判断してしまった鹿児島県出水市の蕨島と、沖縄県豊美城市の瀬長島の二つが該当します。四国本土と埋め立てられて接続している香川県坂出市の瀬居島と沙弥島、九州本土と接続している長崎県長崎市の香焼島なども、「第1部 日本の島々(解説編)」の方に独立の解説記事がありますが、「第III部 島嶼県別統計」には掲載されていません。【追記:[109368]の「島面積1.00 km2未満の有人島、その他特殊な島の面積の比較(修正の必要がないものも含む)」の表で、小数点以下6桁まで示されていないものが、「第III部 島嶼県別統計」に掲載されていないものに該当します。この表を作成した段階では蕨島(0.8675 km2)を考慮していなかったので表には入れていません。湖の有人島、合算値の面積が採用されている有人島のケースを除けば、面積1km2未満の有人島リストの中で瀬長島が唯一「第III部 島嶼県別統計」の方で独立した自然島と認識されていなかったということです】

ここで鹿児島県出水市の蕨島の方は、九州本土と繋がっており([109392])、立場としては長崎県長崎市の香焼島と同等であることが分かりました。となると、もしかしたら沖縄県豊美城市の瀬長島にも同様に独立の自然島とみなすには何らかの問題があるのかも知れません。

改めて瀬長島について国土地理院の地図を見ますと、北東側の道は2か所で切れていますが、北西側の道は完全に陸続きのようにみえます。google mapのストリートビューで北西側の道から北東側の道を見ると、北東の道には確かに2か所橋が架かっています。一方北西側の道はどうかというと、ストリートビューでその道を移動する限り、橋があるようには見えませんし、遠くから見た場合でも道の途中に橋や水路があるように見えません。

よって、ritokei/離島経済新聞ではわざわざ瀬長島の項目がありますが、過去のオーナーグリグリさんの投稿でも指摘されているように、瀬長島は完全に沖縄本土と繋がっているとみなし、瀬長島を削除して人口も沖縄島と合算しても構わないかも知れません。その場合2020年は瀬長島の人口0なので影響ありませんが、2015年は瀬長島は1世帯4人なので、沖縄島の人口は1,301,753→1,301,757人に修正となります。ただしritokei/離島経済新聞を尊重するのであれば、現状維持です。

なお、『新版 日本の島事典』「第III部 島嶼県別統計」では、神奈川県横浜市金沢区の野島、島根県浜田市の瀬戸ヶ島/瀬戸ケ島、広島県広島市南区の宇品島のほか、すでに追加済みの神奈川県横須賀市の天神島、佐賀県太良町の竹崎島、長崎県五島市の前小島、熊本県上天草市の椚島、熊本県天草市の前島、宮崎県宮崎市の青島なども自然島として掲載されています。

浜名湖の弁天島は・・・まあ沖島や大根島・江島などと同じ湖の島ですが、弁天島から拡張される過程で大量の人工島が建設されており、野島や宇品島以上に扱いが微妙なところです。

SHIMADASや『新版 日本の島事典』「第III部 島嶼県別統計」で同一の島とされ(『新版 日本の島事典』「第1部 日本の島々(解説編)」、離島統計年報では独立の島扱い)、実際に埋め立てられている長崎県対馬市の赤島・泊島については、離島統計年報を尊重して現状では合算しないままでいいと思います(有福島・日島・漁生浦島も同様)。
[109392] 2023年 12月 14日(木)11:21:56【1】訂正年月日
【1】2023年 12月 14日(木)11:32:02
YT さん
[109381]の訂正:蕨島の削除、九州の人口修正
[109381]で追加した島は、過去に2013年1月開催の十番勝負で色々検討されていたようです。

[82776] オーナー グリグリさん

なお、問四の該当しない市については、木更津市が人工島、西尾市が桟橋、出水市が堤防道路の除外例です。ただ、木更津市は海底トンネルで川崎市(同じ本州)につながっているので、大村市の除外と合わせて、基準が分かりにくくなったかもしれません。常滑市を除外例にした方が明確だったでしょう。また、桟橋ではなく岸壁と表現すべきですね。桟橋だと海面上に構築される橋と同種になってしまいます。したがって、「堤防道路、桟橋」は「堤防道路や岸壁」と表現すべきでした。

あと、江の島(藤沢市)のように陸繋島で陸続きになる場合を除外するかどうかを悩みました。出水市の蕨島のように完全に堤防で陸続きになっているかどうかをGoogle Mapの航空写真や画像検索などで確認し、橋があって満潮時などに海面下になることが確認できたものは該当することとしました。福岡市の志賀島は航空写真では陸続きになっていますが、Wikiなどの記述から志賀島橋の部分は道切(みちきれ、満切)と呼ばれ、満潮時に一部が海水で区切られるとのことから該当する市としています。

改めて国土地理院の地図で鹿児島県出水市の蕨島を確認したところ、松原鼻から先に堤防が伸びています。堤防の南側を流れる水路は、北西の末端側では地図の上では水路で島が分離しており、橋が架かっているように見えますが、そこに水門が存在するようです。水路をどんどん南東へたどっていくと、水路の末端では完全に空堀となっていました。船があるということは、満潮時にはここまで海水が来るのかも知れませんが、そこから先は完全に埋め立てられています。

よって、[109381]のリストから蕨島を除外し、九州の人口も修正します。

#島名都道府県人口
2020年
人口
2015年
面積
(km2)
人口密度
(人/km2)
変更点
383***九州7県12,346,47812,546,11136,782.38335.7竹ノ島,南串島(長崎県西海市),黒島(大分県臼杵市)の人口推定処理の影響あり九州の数字が修正前のままでした(本州・四国は対応済み)。能古島2020年663人→661人(2人減)【最初の数字が間違っていた】、竹ノ島2人→3人(1人増【住基人口比で修正】)、南串島2020年76人→82人(6人増【住基人口比で修正】)、2015年85人→96人(11人増【確定値に変更】)、、鹿島2020年6人→7人(1人増【確定値に変更】)、黒島2020年4人→3人(1人減【2015年の確定人口比で修正】)の修正により、九州島は2020年が5人減、2015年が11人減となります。

その他の島については、[82809]の離島架橋一覧に関わっています。

神奈川県横浜市野島については[82781][82782]、島根県浜田市の瀬戸ヶ島/瀬戸ケ島については[82815]、広島県広島市南区の宇品島については[86248]に関連する情報が示されています。瀬戸ヶ島はほぼ問題なく自然島。野島は自然に陸繋島となった後、何度も水路を開削されている島。宇品島は一度埋め立てられた後、再度水路を開削された島です。一応野島も宇品島も『新版 日本の島事典』では「自然島」扱いとなっていますが、経歴的には微妙な島です。

hmt さんがご存命であれば、この辺の意見を述べられたことでしょう。

なお、平清盛による音戸瀬戸開削伝説が伝わる倉橋島ですが、下向井龍彦 『音戸瀬戸平清盛開削伝説に関する学際的研究とその地域教材化』によると、

地質学・自然地理学からの検討
自然地理学の方法によって清盛開削の真偽を検証した。人工的開削を施したと仮定したなら、必ず海岸地形の変化やそれに伴う潮流の変化等の痕跡が残るはずである。そこで①海底地形の経年変化、②海岸地形の経年変化、③潮流による侵食、④対象地域周辺の地質、⑤過去の災害による変化、の5つの観点から分析した。分析の結果、①海底に存在する花崗斑岩などの岩脈は非常に浸食されにくい性質を持っているために人力で開削するのは困難である②縄文時代の海水面は現在より数㍍高く現在海峡南北に存在する巨大な海釜は、縄文時代の潮流の流速が現在よりはるかに大きかったことを示す。③縄文時代以降、現在の海水面に安定化するまでの過程で、海水面の上下変動は幾度となく繰り返されたはずだが、音戸瀬戸が陸地化するほどの大規模な変動は検出されない。④海底地形の経年変化と潮流との関係を検討すると、音戸瀬戸の海峡内部は堆積作用よりも浸食作用のほうが大きく、歴史時代(弥生時代以降)に堆積作用で陸地化したとは考えがたい。⑤海峡を埋めるような大規模な土石流の痕跡はみあたらない。以上の点が明らかになった。
以上、地質学・自然地理学の方法によっても、音戸瀬戸が清盛が開削して海峡になったという徴証は認めがたく、縄文時代から清盛の時代にいたるまで一貫して狭小な海峡であったという結論ならざるをえない。それは、歴史学・歴史地理学・民俗学の方法による研究結果と一致する。

とのことで、清盛開削伝説はあくまでも伝説で、倉橋島は一貫して自然島のようです。鹿老渡(江戸時代の書物によると「韓泊り」に由来する)の方がむしろ伝説の舞台だったら話が早いのですが、堀切開削の方の情報はまだ見つかっていません。
[109381] 2023年 12月 11日(月)02:10:29【6】訂正年月日
【1】2023年 12月 11日(月)02:44:00
【2】2023年 12月 11日(月)10:19:15
【3】2023年 12月 11日(月)10:48:10
【4】2023年 12月 11日(月)10:51:47
【5】2023年 12月 11日(月)15:39:24
【6】2023年 12月 11日(月)20:02:56
YT さん
野島・弁天島・瀬戸ヶ島・宇品島・蕨島の追加と注の見直し
[109376] オーナー グリグリさん

[109370][109375]に基づく修正を行いました。

ありがとうございます。松島、六口島の基本単位区の私の方の誤解による間違いにも気付いていただき、申し訳ありません。

編集システムを急ぎたいのですが、石島/井島など特殊要因があるので悩み中です。

ありがとうございます。ただ今回の投稿が多分最後の大幅な改訂になると思います。

今回、神奈川県横浜市金沢区の野島、島根県浜田市の瀬戸ヶ島、広島県広島市南区の宇品島、鹿児島県出水市の蕨島を追加しました。これらはすべて『新版 日本の島事典』 (2022年)の方で「自然島」かつ「陸繋島」として扱われています。結局のところ現状島の定義というのが難しいのですが、明白に埋め立てによって水路が満潮時(【干潮時と最初書いてましたが満潮時に訂正】)にすら消失してしまっている場合を除き、『SHIMADAS』 (2019年)や『新版 日本の島事典』などで自然島として扱われているものは極力島として扱います。横浜市の野島は一度砂洲が繋がっていたものをあとから掘ったということで微妙ですが、それを言い出すと平清盛が水路を掘ったと伝えられている広島県呉市の倉橋島、後から埋まった砂洲を除いた神奈川県藤沢市の江の島なども自然島といえるのかという問題が起こります。

また浜名湖の弁天島を加えました。自然島由来といえるのは、弁天島、日之出島、新弁天、(およびいかり瀬などの無人の瀬)で、乙女園(現在は新弁天に接続)、観月園、湖島(中ノ島)、渚園、千鳥園、蓬莱園はすべて人工島ですが、区別がむずかしいこと、『SHIMADAS』 、『新版 日本の島事典』 はどちらも1個の項目として弁天島を扱っているので、これらを分けずに1個の湖内の自然島として扱いました。ただし下の表では、注の方に構成する島のリストを示すようにしてみました。なお『新版 日本の島事典』では八島, 四洲の総面積が10.945 km2と印字されていたのですが、構成する個々の島を合算してみても明白に1桁数字が間違っていること、また四洲は完全に無人なので、八島合計の0.9968 km2を採用しました。

湖の島ということで、浜名湖の弁天島、琵琶湖の沖島、中海の大根島、江島の人口はすべて本州の人口に合算します。『新版 日本の島事典』収録の島の情報を信じる限り、これ以外に有人の湖の島は見つかりませんでした。

また水路によって分割される、岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬島の4島については全部1個の島として扱います。このうち長島と対馬島については人工的な水路が完成した時がはっきりしているのですが、倉橋島~鹿老渡島の堀切、日振島の南北については、はっきりした資料をみつけることができませんでした。ただこれら4つの島は、現状では『SHIMADAS』 、『新版 日本の島事典』(「第III部 島嶼県別統計」では個々の面積の記述があるものの、本編の方では全く同じ項目内で扱っている)、そして離島統計年報において、いずれも単独の島として扱われ続けているという実績があること、倉橋島~鹿老渡島の例を除き、長島の東西島、日振島の南北島、対馬島の対馬上島と対馬下島に挟まれた第3の島を指す固有名が存在しないことなどから、今回はすべて同一の島として扱い、浜名湖の弁天島を含め、注の方の個々の島の情報を加えてみることを提案します(でもしつこいと感じたら採用しなくても構いません)。

以下に追加修正リストをまとめます。【追記:本リスト内の弁天島の面積は四洲を排除した八島合算値に変更】

(開く)追加修正箇所リスト

新たに加えた鹿児島県出水市の蕨島ですが、出水市[0180-06050](2020年16世帯31人、2015年13世帯21人)が九州本土側の土地を大量に含むため、当初は住基人口比で計算しようとしました(新版 日本の島事典によると2020年12月1日住基人口137人、SHIMADASによると2019年7月1日住基人口139人、島の散歩によると2016年2月1日住基人口153人とあり、出水市荘の住基人口(2020年12月1日839人、2019年7月1日835人、2016年2月1日912人)と出水市荘の国勢調査人口(2020年792人、2015年882人)から算出しようとしたところ、その結果2020年は129~133人、2015年は144~148人となり、[0180-06050]全域を[0180-06020~06040]に加えた数字(2020年127人、2015年146人)すら上回るか同等となってしまう結果となりました。改めて出水市[0180-06050]の九州本土側をgoogle mapで精査したところ、実際に確認できたのは工内排水機場、市立蕨島小学校、米作り農業法人鶴秀の関連施設、その他排水関連の施設、ビニールハウス、平屋の作業場などで、本土側には住宅地が一軒もないようにみえます。また蕨島側に入り込んでいる[0180-06050]には20軒弱の家屋は確認できることなどから、ここでは[0180-06050]内の住居がすべて蕨島に存在すると仮定し、国勢調査基本単位区の人口データの合算で蕨島の人口を算出しました。ただし「市区町村 (小地域区分)」の方では「出水市 (荘の一部 [0180-06020~06040] [0180-06050]の一部)」という表記を残しました。

データ項目の説明の内
(3) 琵琶湖に浮かぶ沖島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法等指定離島となっておりリストに含めている。ただし、琵琶湖は本州の面積に含まれており、沖島の人口も本州の人口に含めている。

は、例えば

(3) 湖の島は国土地理院の規定では島ではないが、例えば琵琶湖に浮かぶ沖島などは法令上離島振興法等指定離島となっており、湖の有人島もリストに含めている。ただし、琵琶湖や浜名湖、中海は本州の面積に含まれており、沖島や弁天島、大根島、江島などの人口も本州の人口に含めている。

に変える必要があります。

5. 人口算出における詳細注記
(1) 高知県須崎市の中ノ島、戸島
 本土と分離できないため人口を推定。四国の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(2) 長崎県西海市の竹ノ島、南串島 / 西彼杵郡時津町の前島 / 諫早市の鹿島 / 大分県臼杵市の黒島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、離島統計年報に国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字あり(竹ノ島、前島、鹿島、黒島は2015年国調、南串島は2010年国勢調査ベース)。基本単位区に占める人口比から人口を推定。九州の人口は正確ではないが誤差は±20人程度と推察。
(3) 長崎県南松浦郡新上五島町の中通島、桐ノ小島
 離島統計年報に2020年国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字あり。
(4) 熊本県の大矢野島・野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。

は、少し整理して

5. 人口算出における詳細注記
(1) 徳島県海陽町の竹ヶ島 / 高知県須崎市の中ノ島、戸島
 本土と分離できないため人口を推定。四国の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(2) 長崎県西海市の竹ノ島、南串島 / 大分県臼杵市の黒島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、離島統計年報に国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字あり(竹ノ島、前島、鹿島、黒島は2015年国調、南串島は2010年国勢調査ベース)。基本単位区に占める人口比から人口を推定。九州の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(3) 熊本県の大矢野島・野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。

また弁天島、長島、倉橋島、日振島、対馬島を構成する島の各人口変遷は以下の通りになります。弁天島については『新版 日本の島事典』記載の面積(小数点以下4桁)を載せます(他は[109351]の方で小数点以下6桁の数字を掲載済みですのでここでは四捨五入した数字にしています)。

(開く)弁天島、長島、倉橋島、日振島、対馬島の構成島の人口の変遷

今後は可能であれば、有人の人工島の人口をまとめたいと思います。川の中州や、あるいは例えば房総半島島みたいなのは、ネタとして面白いかも知れませんが、ちょっとデータを揃えるのが難しそうです。
[109375] 2023年 12月 8日(金)20:51:44【4】訂正年月日
【1】2023年 12月 8日(金)20:58:08
【2】2023年 12月 8日(金)21:05:17
【3】2023年 12月 8日(金)21:07:29
【4】2023年 12月 9日(土)00:55:31
YT さん
[109370]の追記:小地域区分の訂正点
[109369] オーナー グリグリさん

以上、お手数ですがご確認ください。→ 日本の有人島一覧

すみません。[109370]に加え、小地域区分で訂正するべき点を以下にまとめます。

【追記:#51賢島、#278蛎浦島を追加】

#島名都道府県市区町村 (小地域区分)備考
51賢島三重県志摩市 (阿児町神明の一部 [0020-00221~00222] [0020~00230の一部] [0020-00240])間違いではないが、「~」を全角に変更
53沖島都道府県近江八幡市 (沖島町:[0820-00030]を除く)他の書き方との整合性(コロンなど)
54淡路島兵庫県洲本市, 淡路市, 南あわじ市 (沼島を除く)間違いではないのですが、後に南あわじ市の沼島が続くので順番変更
77井島・石島岡山県, 香川県玉野市 (石島), 直島町 ([0010-00641の一部])[0010-00641]は香川県直島町の基本単位区(令和2年国勢調査報告書で直島町には大字・町名が与えられていない)で、岡山県玉野市側の大字・町名は石島
78松島岡山県倉敷市 (下津井の一部 [1590-00030の一部])「の一部」を追加
79六口島岡山県倉敷市 (下津井の一部 [1590-00030の一部])「の一部」を追加
93細島広島県尾道市 (因島重井町の一部 [1060-00470] [1060-00550])「細区」=[1060-00470]だけ字・丁目名が入っており、両者ともに「因島重井町」という大字・町名に所属・・・なので混乱するので「細区」を削除
102大崎上島広島県大崎上島町 (契島,生野島,長島を除く)除くの場合はコンマの後のスペース削除
105三角島広島県呉市 (豊町久比の一部 [2360-02010~02020], 豊浜町大字大浜の一部 [2310-01010])括弧が余計
154大毛島徳島県鳴門市 (鳴門町土佐泊浦, 三ツ石:[0030-03040]を除く)他の書き方との整合性(コロンなど)
156島田島徳島県鳴門市 (瀬戸町大島田, 室, 撫佐, 小島田, 中島田, 北泊の一部 [0040-03140], 堂浦の一部 [0040-02200])括弧が余計
159竹ケ島徳島県海陽町 (大字宍喰浦字竹ケ島の一部 [0220-00260の一部])「の一部」を追加
164直島香川県直島町 (屏風島,向島を除く)除く内容を追加
165屏風島香川県直島町 ([0010-00631])令和2年国勢調査報告書で直島町には大字・町名が与えられていない
166向島香川県直島町 ([0010-00641の一部])令和2年国勢調査報告書で直島町には大字・町名が与えられていない
252壱岐島長崎県壱岐市 (大島,長島,原島,若宮島を除く)除くの場合はコンマの後のスペース削除
267前島長崎県佐世保市 (小佐々町矢岳の一部 [2750-00040の一部])「の一部」を追加
268鼕泊島長崎県佐世保市 (小佐々町矢岳の一部 [2750-00040の一部])「の一部」を追加
278蛎浦島長崎県西海市 (崎戸町蠣浦郷, 崎戸町本郷の一部 [0500-01010] [0500-02010])基本単位区のコンマつなぎを修正
279崎戸島長崎県西海市 (崎戸町本郷の一部 [0500-01020] [0500-03010~05010])間違いではないが、「~」を全角に変更(ほかはすべて全角になっている)
300中通島長崎県新上五島町 (頭ケ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日ノ島を除く)除くの場合はコンマの後のスペース削除
358種子島鹿児島県西之表市 (馬毛島を除く), 中種子町, 南種子町西之表市が欠落
[109370] 2023年 12月 7日(木)23:57:12【5】訂正年月日
【1】2023年 12月 8日(金)00:22:06
【2】2023年 12月 8日(金)00:49:52
【3】2023年 12月 8日(金)01:05:06
【4】2023年 12月 8日(金)09:56:18
【5】2023年 12月 8日(金)15:59:28
YT さん
大根島・江島の面積と3つの有人島追加:長崎県五島市の前小島・熊本県上天草市の椚島・熊本県天草市の前島
[109369] オーナー グリグリさん

五島市の前小島と天草市の前島は[109336]記載の新規追加分で現時点で一覧に掲載なしです。掲載情報をいただければ追加します。

以上、お手数ですがご確認ください。→ 日本の有人島一覧

早速の修正ありがとうございます。

まず島根県松江市の大根島と江島の面積の出典が「SHIMADAS (2019年)」となっていますが、現在引用している5.15 km2、1.09 km2は「新版 日本の島事典 (2022年)」からの数字です(新版 日本の島事典 (2022年)は1km2未満の島の面積の引用に使っており、ここだけ1km2以上の島の面積として引用している)。

参考までに以下に大根島と江島の面積をまとめます。国土地理院が島面積を毎年公表するようになったのは平成14年以降のようですが、現在オンラインで閲覧できるのは平成16年以降です。それによると、平成25年まではずっと5.15 km2, 1.20 km2でしたが、平成26年の面積算出方法の変更以降は、合算した面積6.78 km2→6.74 km2→6.71 km2を掲載しています。離島統計年報の方は2003年から2021年に至るまで、ずっと平成25年以前の国土地理院の数値5.15 km2, 1.20 km2のままです。一方SHIMADAS (2019年)の方は平成29年~令和5年1月1日までの合算値6.74 km2を掲載しており、個々の島の面積は載っておりません。新版 日本の島事典 (2022年)は、事典第1部の項目の方で、5.15 km2、1.085 km2となっています。

文献大根島の面積(km2)江島の面積(km2)大根島・江島の面積(km2)
国土地理院面積調(平成16年~平成25年)5.151.206.35
国土地理院面積調(平成26年~平成28年)6.78
国土地理院面積調(平成29年~令和5年1月1日)6.74
国土地理院面積調(令和5年4月1日~令和5年7月1日)6.71
2003離島統計年報~2021離島統計年報5.151.206.35
SHIMADAS (2019年)6.74
新版 日本の島事典 (2022年)5.151.0856.235

実のところ、新版 日本の島事典 (2022年)の数字の中で、ここだけ一番精度が低い感じですので、江島の面積を1.20 km2に戻して2021離島統計年報を引用しても構わないかも知れません。

またほかに気付いた点としては、長崎県五島市の福江島、熊本県上天草市の涌島、熊本県上天草市・天草上島の天草上島、熊本県天草市・苓北町の天草下島の小地域区分や人口、面積、人口密度がおかしくなっていました。ついでに折角ですので、長崎県五島市の前小島、上天草市の椚島、天草市の前島(いずれも赤色背景の「上記以外:SHIMADAS (2019年)などに掲載」に相当)の情報を以下にまとめます。この3つの島を追加すると、それぞれ福江島、天草上島、御所浦島の人口が削られますが、九州島の人口自体には影響がありません。椚島は最初から国勢調査の基本単位区で区別できましたが、前小島、前島の方は住基人口比で算出する必要がありました。

【追記:備考の修正】昨晩の時点で、福江島と御所浦島の備考をそれぞれ「2020年, 2015年の人口は福江島, 前小島全域(2020年31,945人, 2015年34,419人)より前小島の推定人口を除して推定」、「2020年, 2015年の人口は御所浦(2020年1,539人, 2015年1,786人)より前島の推定人口を除して推定」などと書きましたが、小地域区分の方で既に差分で算出していることが明記されているし、状況は四国、九州などと同じなので、備考内容をシンプルに変更しました。
【追記:前島について】すみません。「奈留島」ではなくて「奈留町」なので、前島分も入っていました

番号島名都道府県市区町村 (小地域区分)人口
2020年
人口
2015年
面積
(km2)
人口密度
(人/km2)
備考変更点
312福江島長崎県五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)31,93834,411326.3697.9前小島(長崎県五島市)の人口推定処理の影響あり住基人口比で「前小島」を分離し、小地域区分の範囲を修正し、備考を追加
312.5前小島長崎県五島市 (岐宿町河務の一部 [基本単位区1370-10010の一部])780.2133.32020年, 2015年の人口は福江島, 前小島全域(2020年31,945人, 2015年34,419人)と住基人口比(2015年2月10日8人/2015年4月1日35,905人)により推定; 2015年2月10日住基人口出典:SHIMADAS (2019年)新規追加, 住基人口比で福江島より分離
328*樋島熊本県上天草市 (樋島)9731,1403.45282,0データが天草上島と混在している状態を修正し、さらに「椚島」を分離
328.5**椚島熊本県上天草市 (高戸の一部 [0130-00140])330.358.6新規追加, 国勢調査の小地域区分により「天草上島」より分離
329*天草上島熊本県上天草市 (維和島,大矢野島,野牛島,湯島,野釜島,永浦島,樋合島,前島,中島,樋島,椚島を除く), 天草市 (志柿町, 瀬戸町, 下浦町, 楠甫, 大浦, 須子, 赤崎, 上津浦, 下津浦, 大島子, 小島子, 棚底, 宮田, 浦, 馬場, 打田, 河内, 湯船原, 古江)23,76926,314225,93105.2データが一部桶島と混在している状態を修正し, さらに椚島を分離
330御所浦島熊本県天草市 (御所浦:前島を除く)1,5371,78412.54122.6前島(熊本県天草市)の人口推定処理の影響あり住基人口比で「前島」を分離し、小地域区分の範囲を修正し、備考を追加
330.5**前島熊本県天草市 (御所浦字下脇の一部 [0500-09090の一部])220.1513.32020年, 2015年の人口は御所浦地域(2020年2,318人, 2015年2,735人)と住基人口比(2019年8月31日2人/2,729人)により推定; 住基人口出典:SHIMADAS (2019年), 天草市ひとのうごき参考Web新規追加, 住基人口比で「御所浦島」より分離
336*天草下島熊本県天草市 (天草上島,御所浦島,前島,牧島,横浦島,通詞島,横島,下須島を除く), 苓北町65,93771,523574.95114.7小地域区分に天草市の情報欠落

上の番号は、3つの島を挿入する場所の目安ということで入れました。

九州に関しては新たな有人島として、鹿児島県出水島の蕨島(2020年127人/0.87 km2)を見つけましたが、こちらは九州島の人口にも影響があるので、ほかと一緒にまとめなおします。
[109368] 2023年 12月 7日(木)01:19:31【5】訂正年月日
【1】2023年 12月 7日(木)01:25:16
【2】2023年 12月 7日(木)01:41:10
【3】2023年 12月 7日(木)02:01:17
【4】2023年 12月 7日(木)02:26:49
【5】2023年 12月 7日(木)10:29:28
YT さん
『新版 日本の島事典』記載の面積1.00km2未満の有人島の面積
[109367] オーナーグリグリさん

これは私の記述内容の理解不足でした。基本単位区のまとめかたをすべて訂正しました。ご確認をよろしくお願いいたします。

早速の修正ありがとうございました。

この部分以降の内容ですが、検討を少し始めた段階で不安になりました。というのも、更新タイミングは沖縄県を含め面積更新が完了してからになるのではと思ったからです。私の理解が不足しているのかもしれませんが、「新版 日本の島事典」の情報が全国に適用されるまでは説明文の修正が中途半端にならないでしょうか。

すみません。おっしゃる通りです。

なお『新版 日本の島事典』(2022年)の「第III部 島嶼県別統計」から、面積1km2未満の該当する有人島の面積は既にまとめており、以下の通りです。実のところ、松江市の大根島、江島(第III部では湖内の島なので対象外)、対馬市の赤島、泊島(第III部では合算して0.617764 km2)、新上五島町の漁生浦島(第III部では「有福島・日島・漁生浦島」と合算)、豊見城市の瀬長島(なぜかリストから外れていた)などの島の面積の数字も『新版 日本の島事典』の個別の島の項目に掲載されていたことに後から気付きました。よってこれらすべての面積のデータを『新版 日本の島事典』から引用することが可能であり、※2の項目はほぼ完全に必要なくなりましたしたし、個別に黄色い背景をつける必要もないかもしれません。もっとも大根島、江島はそれぞれ面積1km2以上ですが、両者を分割するために国土地理院の面積調の数字を用いていない状態なので、その説明のために※2を使うことはできます。なお現行の表で宮崎県の青島の面積として掲載されている0.86km(背景色がついていない)は海岸延長距離であり、SHIMADAS記載の島面積は0.04 km2です。

(開く)島面積1.00 km2未満の有人島、その他特殊な島の面積の比較(修正の必要がないものも含む)

というわけで、面積だけならすぐにでもすべて修正できるデータがそろっています。

3.『新版 日本の島事典』(2022年)により南城市の奥武島、宮古島市の大神島、竹富町の由布島、鳩間島の面積を修正、面積出典をほぼ削除
例えばこの部分ですが、南城市の奥武島以外は現状でも面積出典の注記はありません(※2は付いていません:表の備考欄の記述)。お手数ですが、後半部分の修正内容について、更新タイミングと内容の確認をお願いいたします。

すみません。面積出典が必要なくなったことを強調するあまり、このような無駄な表現となってしまいました。作業としては、

(1) 上の表をもとに、1.00km2未満の島の面積(江島、赤島、泊島を含む)をまず全て『新版 日本の島事典』に準拠した値に修正する。その際面積の背景色の黄色も消してしまっても良いかもしれない(宮崎県宮崎市の青島は背景色が入っていません)し、※2もほとんど必要なくなり、削除となります。現状からは松江市の大根島、江島のみ※2が残り、「面積出典:新版 日本の島事典 (2022年)」になります。

(2) 以下の面積の記述を変更する(面積の背景色を残すとして)。

6. 面積データ
(1) 1km2以上の島:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調 - 2020年 (令和2年) 10月1日現在
(2) 1km2未満の島:2015年 (平成27年) 基準など人口関連資料などから得られた面積データ(面積数値背景黄色)

6. 面積データ
(1) 1km2以上の島:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調 - 2020年 (令和2年) 10月1日現在
(2) 1km2未満の島:『新版 日本の島事典』(2022年)掲載の面積データ(小数第三位を四捨五入)(面積数値背景黄色)

(3) ※2に関する注記ですが、面積1km2未満の島についてはもともと「2021離島統計年報」からの引用であることが明示されていませんでした。「2021離島統計年報」からの引用をすべて「新版 日本の島事典」からの引用に変え、大根島、江島の面積出典のために※2を使うとして(面積出典:新版 日本の島事典 (2022年))、ほかに対馬(江戸時代、明治時代完成の人工水路で3分割)、赤島・泊島(コンクリートで埋められているので単一の島とみなせるが、離島統計年報では分割)、日振島(人工かどうかわからないが水路で2分割)、前島(昭和完成の人工水路で2分割)、倉橋島と鹿老渡島(人工かどうかわからないが水路で2分割)などの説明に※2は使えるかも知れません。

4. 市区町村欄の注記(マウスオーバー/タップで詳細表示)および 関連情報へのリンク
(1) ※1:人口注記:2020年の人口算出の際に計算に用いた小地域名、大字、町名、字、丁目などを注記
(2) ※2:面積注記:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調以外からの面積の出典を注記
(3) ※参考記事, ※参考Web:注記に関連する落書き帳記事やWebページへのリンク

4. 市区町村欄の注記(マウスオーバー/タップで詳細表示)および 関連情報へのリンク
(1) ※1:人口注記:2020年の人口算出の際に計算に用いた小地域名、大字、町名、字、丁目などを注記
(2) ※2:面積注記:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調(1km2以上)、新版 日本の島事典(2022年)(1km2未満)に該当しない面積の出典を注記
(3) ※参考記事, ※参考Web:注記に関連する落書き帳記事やWebページへのリンク

(4) 人口の記述に文献を追加。現行の状態でも過去の離島統計年報から2015年の国調人口を引用していることが明示されていませんでした。

3. 人口データ
(1) 2021 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2020年 (令和2年) 国勢調査人口
・法律指定外離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(2) ekinenpyouさん[97639]のデータ
(3) 国勢調査の小地域 (基本単位区) の統計地理情報システム ※参照する基本単位区番号は括弧("[ ]")付きの緑字で表示
(4) 一部の島で人口比などによって2020年の人口を推定(4. 市区町村欄の注記 (1) および 5. 人口算出における詳細注記 参照)

3. 人口データ
(1) 2021 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2020年 (令和2年) 国勢調査人口, 4月1日付住基人口
・法律指定外離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(2) 2016 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口, 4月1日付住基人口
(3) 『新版 日本の島事典』(2022年) - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(4) ekinenpyouさん[97639]のデータ
(5) 国勢調査の小地域 (基本単位区) の統計地理情報システム ※参照する基本単位区番号は括弧("[ ]")付きの緑字で表示
(6) 一部の島で人口比などによって2020年の人口を推定(4. 市区町村欄の注記 (1) および 5. 人口算出における詳細注記 参照

(5) [109364]に従い、沖縄県の一部項目を修正

こうすれば、説明文の修正が中途半端にならないはずです。

(3) 琵琶湖に浮かぶ沖島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法等指定離島となっておりリストに含めている。ただし、琵琶湖は本州の面積に含まれており、沖島の人口も本州の人口に含めている。

こちらの修正は後回しです。
[109364] 2023年 12月 6日(水)12:47:16【6】訂正年月日
【1】2023年 12月 6日(水)13:48:55
【2】2023年 12月 6日(水)16:48:10
【3】2023年 12月 6日(水)16:50:15
【4】2023年 12月 7日(木)01:39:54
【5】2023年 12月 7日(木)10:27:26
【6】2023年 12月 7日(木)12:19:19
YT さん
小地域の表記法について、および沖縄県の有人島の情報更新
[109367]の指摘を受け、表の中身を後から修正しています】

[109359] オーナーグリグリさん

注記の表記ルール、注記の記述内容、基本単位区の表記、並記ルール(句点の種別、使い方)など、全面的に表示を確認し記述を改めています。また、データ項目の説明(折りたたみ部分)についても記述内容と体裁を見直しました。お手数ですが、全体に内容を確認していただけると助かります。今回の修正により、編集システムが多少複雑になる可能性が高くなりました(どこまで編集機能を組み込むかなど)。システム開発にはまだ時間がかかりそうなので、お手数ですが必要な修正はこれまで通り書き込みでご提示いただければ、私の方で更新を行います。よろしくお願いいたします。

わざわざありがとうございます。一点気になったのが「基本単位区」を括弧の外に置いている点ですが、こちらは中に入れることはできないでしょうか?階層化している中で基本単位区だけ外側に置かれると違和感があります。例えば

長崎県佐世保市の針尾島の例

佐世保市 (江上町:大島を除く, 指方町, 有福町, 針尾東町, 針尾中町, 針尾西町, 針尾北町, ハウステンボス町:[2230-01020]を除く)

長崎県西海市の南串島の例

西海市 (西海町七釜郷の一部 [0470-55010の一部] [0470-56010の一部])

沖縄県竹富町の小浜島の例

竹富町 (字小浜の一部 [0090-00010の一部] [0090-00020~00082])


またデータ項目の説明ですが、

(3) 琵琶湖に浮かぶ沖島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法等指定離島となっておりリストに含めている。ただし、琵琶湖は本州の面積に含まれており、沖島の人口も本州の人口に含めている。

中海の大根島・江島も本州の人口に含めるべきなのですが、こちらは昭和58年に法令指定を解除されています。また将来的に浜名湖の弁天島など、有人の湖水の島も加えたい・・・ということで、以下のような文章に変更することは可能でしょうか?

(3) 琵琶湖の沖島、中海の大根島、江島など湖水の島は、国土地理院の規定では島ではないが、リストに含めている。ただし、琵琶湖や中海は本州の面積に含まれており、沖島、大根島、江島の人口も本州の人口に含めている。

3. 人口データ
(1) 2021 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2020年 (令和2年) 国勢調査人口
・法律指定外離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(2) ekinenpyouさん[97639]のデータ
(3) 国勢調査の小地域 (基本単位区) の統計地理情報システム ※参照する基本単位区番号は括弧("[ ]")付きの緑字で表示
(4) 一部の島で人口比などによって2020年の人口を推定(4. 市区町村欄の注記 (1) および 5. 人口算出における詳細注記 参照)

住民基本台帳人口の参照を示したいので

3. 人口データ
(1) 2021 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2020年 (令和2年) 国勢調査人口, 4月1日付住基人口
・法律指定外離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(2) 2016 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口, 4月1日付住基人口
(3) 『新版 日本の島事典』(2022年) - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(4) ekinenpyouさん[97639]のデータ
(5) 国勢調査の小地域 (基本単位区) の統計地理情報システム ※参照する基本単位区番号は括弧("[ ]")付きの緑字で表示
(6) 一部の島で人口比などによって2020年の人口を推定(4. 市区町村欄の注記 (1) および 5. 人口算出における詳細注記 参照)

4. 市区町村欄の注記(マウスオーバー/タップで詳細表示)および 関連情報へのリンク
(1) ※1:人口注記:2020年の人口算出の際に計算に用いた小地域名、大字、町名、字、丁目などを注記
(2) ※2:面積注記:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調以外からの面積の出典を注記
(3) ※参考記事, ※参考Web:注記に関連する落書き帳記事やWebページへのリンク

今後面積注記が必要になるのは、2021離島統計年報を逆に引用することになる中海の大根島、江島だけになるかも知れません。

4. 市区町村欄の注記(マウスオーバー/タップで詳細表示)および 関連情報へのリンク
(1) ※1:人口注記:2020年の人口算出の際に計算に用いた小地域名、大字、町名、字、丁目などを注記
(2) ※2:面積注記:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調(1km2以上)、新版 日本の島事典(2022年)(1km2未満)に該当しない面積の出典を注記
(3) ※参考記事, ※参考Web:注記に関連する落書き帳記事やWebページへのリンク

6. 面積データ
(1) 1km2以上の島:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調 - 2020年 (令和2年) 10月1日現在
(2) 1km2未満の島:2015年 (平成27年) 基準など人口関連資料などから得られた面積データ(面積数値背景黄色)

こちらはほぼ『新版 日本の島事典』(2022)に統一します。背景色を黄色にする必要もないかも知れません。

6. 面積データ
(1) 1km2以上の島:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調 - 2020年 (令和2年) 10月1日現在
(2) 1km2未満の島:『新版 日本の島事典』(2022年)掲載の面積データ(小数第三位を四捨五入)(面積数値背景黄色)

現在沖縄県分だけ検証済みなので、以下にまとめます。主な変更点としては、

1.名護市奥武島を有人島として追加し、沖縄本島の人口もそれに伴い修正。
2.竹富町の西表島と由布島の2015年国調人口が『新版 日本の島事典』(2022年)に掲載されており、確定値として修正。竹富町の小浜島と嘉弥真島も2015年国調人口が確定値になったが、こちらは数値に修正なし。
3.『新版 日本の島事典』(2022年)により南城市の奥武島、宮古島市の大神島、竹富町の由布島、鳩間島の面積を修正、面積出典(※2)を削除
4.竹富町の小浜島、嘉弥真島の小地域について、「字小浜の一部」と「一部」を追加
5.竹富町の6島の2020年国調人口(および2島の2015年国調人口)は住基人口比で計算していることに変わらないが、備考の内容を整理

(開く)沖縄県の有人島(最新版)

今後、九州、四国、本州、北海道と段階的に有人島情報を見直す予定ですが、こちらの作業は今月一杯かかりそうです。
[109351] 2023年 12月 5日(火)00:52:16【6】訂正年月日
【1】2023年 12月 5日(火)01:10:07
【2】2023年 12月 5日(火)01:17:17
【3】2023年 12月 5日(火)02:01:49
【4】2023年 12月 5日(火)02:50:44
【5】2023年 12月 5日(火)03:03:44
【6】2023年 12月 5日(火)21:20:33
YT さん
有人島編集指針の変更、および面積1.00km2未満の島の面積情報の刷新について
[109350] オーナーグリグリさん

日本の有人島一覧の見直し案をありがとうございました。この案で実際に再編集したサンプルページを作成しました。
日本の有人島一覧(再編集サンプルページ)(並び替えページも表示できます)
[109336]の意向に合っているでしょうか。→ YTさん
小地域区分の表現など確認していただければと思います。
また、郡名、支庁名は省略しても良いと思いますし、基本単位区の表記を緑字にして基本単位区の文字も省略するというのはどうでしょうか。こちらのページに実際に適用してみました。いかがでしょうか。ご確認ご検討をよろしくお願いいたします

わざわざありがとうございます。「基本単位区」の表記を省略する、郡名・支庁名を省略するのも結構だと思います。よって、最後のサンプルのものをベースに修正するのが良いかと思います。

とりあえず、編集可能になった段階で、まず面積情報の全面的見直しをしようかと思います。具体的には[109241]で、

採用する面積の優先順位をまとめると:
1.令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)
2.2021離島統計年報【ただし、1.令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に未掲載なのに1 km2以上の面積が掲載されている場合や、面積情報に矛盾が見られる場合は採用しない。】
3.地方統計書【ただしSHIMADASなど、日本離島センターが提供する面積に依拠する場合は採用しない。】
4.SHIMADAS(2019)
3と4の優先順位を交換した場合、2021離島統計年報に漏れている長崎県と沖縄県の島々の面積が一通り「面積出典:SHIMADAS(2019)」となります。

と書きましたが、これについて

1.令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点) (1.00 km2以上の面積の島)
2.新版 日本の島事典(2022) (小数第三位を四捨五入)(1.00 km2未満の面積の島)
3.その他:2021離島統計年報、SHIMADAS(2019)など

に変更したいと思います。というのは、長嶋俊介、渡辺幸重著『新版 日本の島事典』(2022)が採用している面積がそれなりに信用できそうだからです。

まず、現行の国土地理院の面積の測定方法は、令和5年全国都道府県市区町村別面積調(7月1日時点)から該当箇所を抜粋すると

1.面積の測定方法
令和 5 年面積調(7 月 1 日時点)は、基準日時点の電子国土基本図(地図情報)(以下「基本図」という。)における海岸線と市区町村等の境界(以下「行政界」という。)で囲まれた地域を対象に面積を測定した。基本図における海岸線は、満潮時の水涯線を表し、河川及び湖沼は陸域に含めている。河川の河口については、海岸線の自然な形状に従って河口両岸の先端を結んで陸海の境とした。
面積測定は、基本図の海岸線と地図情報レベル 25000 の行政界で囲まれたポリゴンにおける各頂点の経緯度座標について、2 本の標準緯線を北緯 33°及び北緯 44°、中央経線を東経 135°とするアルベルス正積円錐図法で、測地基準系 1980(GRS80)楕円体から平面に投影した後、ポリゴン毎の面積を算出した。
(中略)
2.面積の公表値
令和 5 年面積(7 月 1 日時点)は、上記の測定方法により、行政区画を構成するポリゴンの面積を平方キロメートル単位で集計した後、小数第二位(小数第三位を四捨五入)で表示した。
なお、面積は公表する単位ごとに四捨五入しているため、各市区町村の面積の合計が各都道府県及び全国などの面積と一致しない場合がある。

平成22年(2010年)の国勢調査までは、市区町村別面積の合計がたえず上位区分(全国都道府県)と等しいという、ある意味不自然な状態となっていましたが、平成27年(2015年)の国勢調査以降は、数字が必ずしも一致しなくなるようになりました。具体的には国土地理院が2015年3月6日(金)14時00分に発表した平成26年全国都道府県市区町村別の面積を公表により、これまでの面積算出方法が変更されました。

平成25年までの全国都道府県市区町村別の面積については、主に2万5千分1地形図に基づく面積を公表していましたが、計測の基礎となる地図を電子国土基本図に切り替えたことで面積の精度が向上しました。この結果、平成26年10月1日時点の国土の面積は、377,972.28km2でした。
平成25年までは、昭和63年に2万5千分1地形図からデジタイザにより計測した面積を基に、各年に告示された埋め立て面積等を加算して求めていました。この方法では、現在の技術よりも計測の誤差があることや、海岸線の自然変化等が十分反映できないといった課題がありました。
そのため、平成26年の面積から、最新のデジタル地図(電子国土基本図)により計測することとしました。具体的には、電子国土基本図の座標値を直接計算に用いることで、2万5千分1地形図からのデジタイザ計測に基づく面積よりも、高精度な面積を算出することが可能になりました。
また、侵食や堆積など自然変化を反映した最新の海岸線のデータを用いることで、より現況に即した面積を計測することができるようになりました。
この計測方法の変更と計測の基礎となる地図の切り替えによって、平成26年の国土面積は、平成25年の377,961.73km2から377,972.28km2に変わり、多くの市区町村や都道府県においても面積が変わりました。

よって、平成26年より前の地方統計書記載の島面積は、現行の方法とは異なる古い方法で算出した結果、あるいはそれぞれが独自に算出した結果ということになります。

一つ問題となるのが、国土地理院が公表する島の面積は、面積1.00 km2以上の島のみで、面積1.00 km2未満の島は公表されていません。これに関連して『2021年離島統計年報』の場合は、

3. 人口並びに世帯数は,令和2年国勢調査に基づく,確定数である。
4. 面積は,国土交通省国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調(平成27年10月1日)等に
基づく数値である。

とあります。しかしながら『2021年離島統計年報』が採用する岡山県の大飛島(1.05 km2)、六島(1.02 km2)、大分県の深島(1.10 km2)などは、全国都道府県市区町村別面積調(平成27年10月1日)に記載はなく、結局のところ全国都道府県市区町村別面積調に掲載の面積1 km2以上の島については面積の情報を更新しているもものの、国土地理院が公表していない面積1.00 km2未満の島については、引用元も不明ですが、昔の算定結果をそのまま継続して採用していることが示唆されます。同様のことがSHIMADASにもみられます。

一方『新版 日本の島事典』(2022)によると

【面積】km2【海岸線】km【標高】m
国土数値情報によるが、記載のないものについても読者利益を図るために国土地理院の『地理院地図』(https://maps.gsi.go.jp)のデータツール機能を用いて、概要を仮測定している。それえも不明な場合は低島または「―」記載にした。海岸線長は島が島である基本情報であり、海から受ける影響度・利用・海との相互作用的近接性の指標そのものである。公的島基準もその長さで線引きしてきた。高島は目印や生態系多様性に関わり、また低島であっても領海・EEZ基点でや渚生物の生態系環境保全上重要な干潟等であったりす。そこで可能な限り、それらのデータを洗い出した。

実際に令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)と『新版 日本の島事典』(2022)とで、全国で一番島数の多い長崎県の島の面積を比較してみたところ・・・国土地理院の方では有福島と日島を別の島として扱っている、日本の島事典の方では対馬を大船越瀬戸と万関瀬戸の2つの運河で三分割している、という違いはあるものの、有福島・日島・漁生浦島(漁生浦島の面積が1.00 km2未満なのでデータがないため合算の比較的ができない)を除く46島中、0.01 km2の差が出たのは5島(福江島、平戸島、宇久島、大島、鳥山島)のみです。さらに平成29年全国都道府県市区町村別面積調と比較したところ、すべての島で面積が一致しました。

(開く)長崎県面積1.00km2以上の島の面積比較

ただし、長崎県の場合は平成29年(2017年)で全部一致しましたが、他の都道府県では平成30年全国都道府県市区町村別面積調令和元年全国都道府県市区町村別面積調(7月1日時点)で面積が一致する場合もあり、よって『新版 日本の島事典』が収録した面積は平成30年(2018年)前後、平成29年(2017年)~平成31年(2019年)の間に随時算出したものと考えられます。

改めて、平成30年全国都道府県市区町村別面積調と±0.01 km2以上の差があった島を以下にまとめます。北海道、本州、四国、九州、沖縄島を除く面積1.00 km2の333島の内、北海道の奥尻島(令和元年7月1日付だと誤差なくなる)と長崎県の島山島(平成29年付だと誤差なくなる)の2島は±0.01 km2の誤差しかありません。また摩周湖の中島、洞爺湖の中島、琵琶湖の沖島、中海の大根島・江島は海島ではないので、『新版 日本の島事典』に記載がありません。岡山県の長島、広島県の倉橋島、愛媛県の日振島、長崎県の対馬は日本の『新版 日本の島事典』では分割されていて合算値は等しくなります。徳島県の大毛島・高島だけは、平成30年全国都道府県市区町村別面積調の合算値よりも『新版 日本の島事典』の数値の方が0.42 km2多くなっています。この差は、鯔越樋門などに囲まれた内海の面積を島面積に加算したかどうかで説明がつく範囲だと思われます。

島名都道府県市区町村面積1(km2)
(国土地理院)
(2018.10.1)
面積2(km2)
(日本の島事典)
備考
奥尻島北海道奥尻町142.69142.7032682019.7.1付だと面積一致
中島北海道弟子屈町5.81摩周湖内であり日本の島事典には記載なし
中島北海道壮瞥町
洞爺湖町
4.84洞爺湖内であり日本の島事典には記載なし
沖島滋賀県近江八幡市1.51琵琶湖内であり日本の島事典には記載なし
大根島・江島島根県松江市6.74中海内であり日本の島事典には記載なし
長島岡山県瀬戸内市3.513.514578合算値(日本の島事典)
(長島)岡山県瀬戸内市1.760712
(長島)岡山県瀬戸内市1.744866
倉橋島広島県呉市69.4669.456125合算値(日本の島事典)
(倉橋島)広島県呉市68.548854
(倉橋島)鹿老渡島広島県呉市0.907271
(大毛島・高島)徳島県鳴門市9.9410.358107合算値(国土地理院)
大毛島徳島県鳴門市7.31
高島徳島県鳴門市2.63
日振島愛媛県宇和島市3.743.737584合算値(日本の島事典)
(日振島)愛媛県宇和島市2.318971
(日振島)愛媛県宇和島市1.418613
対馬長崎県対馬市695.74695.735755合算値(日本の島事典)
(対馬)対馬下島長崎県対馬市441.007040
(対馬)対馬上島長崎県対馬市247.010125
(対馬)長崎県対馬市7.718590
島山島長崎県五島市5.505.5050802017.10.1付だと面積一致
(有福島・日島・漁生浦島)長崎県新上五島町4.850641漁生浦島の面積が0.51 km2だと一致
有福島長崎県新上五島町2.97
日島長崎県新上五島町1.37

現在問題ありとして2021離島統計年報などの面積を採用しなかった島の面積をまとめると以下の通りとなります。残念ながら唯一瀬長島のみ、『新版 日本の島事典』に面積の情報がありませんでした。

(開く)現状SHIMADAS、過去の地方統計書などの文献を引用している有人島面積の比較

以上より、『新版 日本の島事典』収録の面積はかなり正確であり、面積1.00 km2未満の島については『新版 日本の島事典』の面積を使うべきであると判断するに至りました。現状の表では面積1.00 km2未満の島の面積は手付かずであり、これらをすべて『新版 日本の島事典』ベースに変更しようと思います。

ただ編集をする前の段階で、いくつかの島の分割情報をどうするのか・・・という問題にまだ結論が出ていません。『新版 日本の島事典』では対馬、日振島、倉橋島、長島の4つの島が分割されています。このうち対馬については水路が江戸時代と明治時代に作られた人工的なものであり、3分割しないということで良いと思いますし(そういえば上島、下島に挟まれた第三の対馬(美津島町大船越の一部(0510-00020~00040)・緒方・久須保の一部(0530-00010))はなんと呼ぶべきなのでしょうか?)、南北の日振島(日振島の一部(0840-00020~00040)・日振島の一部(0840-00050~00090))、東西の長島(邑久町虫明の一部(0860-96010~97022・0860-98010の一部)・邑久町虫明の一部(0860-98010の一部・0860-99020))はそれぞれの島の呼称が存在しないこと、特に長島は小地域統計的に人口分割が無理なことなどから、一体として扱ったままで良いとは思いますが、ここに来て倉橋島と鹿老渡島の分割問題が再度浮上しました([109321][109261][24417]参照)。この水路が本当に人工的に掘られたものなのかどうか、仮に人工的に掘ったものだとしても一度埋まったものを再度掘りなおしたものなのか、その辺の詳しい歴史的背景も分かりません。現にこのように鹿老渡島を別個の島と見做して集計している文献が存在することが分かりました。

どさくさに紛れて最近[109321]で島リストに追加した佐賀県の竹崎島、そして今悩んでいる横浜の野島([109336] 参照)と、この鹿老渡島、どれも過去にオーナーグリグリさんが[85771][82781]で問題提起されていました。

竹崎島に関連する記事集
鹿老渡に関連する記事集

【追記】対馬は日本本土に近い方を「上島」、遠い方を「下島」と呼ぶものと思っていましたが(地名における「上」と「下」参照)、既に『角川日本地名大辞典』では北側:対馬上島、南側:対馬下島と、上県郡、下県郡に対応するものとして使用しているので(『日本歴史地名体系』では上島、下島の呼称を避けている)、よって上の表中の呼称も修正しました。また上で一部の島の面積について、「日本の島事典には記載なし」と書いてしまいましたが、私の『新版 日本の島事典』の読み込みが足りていなかったことに今更ながら気づきました。ここでまとめた小数点以下6桁の面積の情報は、「【第三部】県別データ編」の表から持ってきた数値ですが、事典の本編ともいうべき「【第一部】解説編」の方には、中島(摩周湖)、中島(洞爺湖)、沖島、大根島、江島、瀬長島の項目が存在し、面積の数値も示されていました。ただ、「【第三部】県別データ編」の方が信頼性の高い、新しい手法で算出された面積であり、「【第一部】解説編」の面積は、SHIMADASなどと同じく、古い手法で算出した面積、あるいはその引用という違いがありそうです。
[109336] 2023年 11月 30日(木)16:04:42【5】訂正年月日
【1】2023年 11月 30日(木)16:15:58
【2】2023年 11月 30日(木)16:44:44
【3】2023年 11月 30日(木)16:52:19
【4】2023年 11月 30日(木)18:25:40
【5】2023年 11月 30日(木)19:40:57
YT さん
重要な参考文献『新版 日本の島事典』、中海の大根島・江島の扱い、様々な追加修正点の存在について
[109326] オーナーグリグリさん

なお、現在のページ構成の改善点があればご提案ください。備考情報の具体化、人口年追加など、表の横幅の制限はありますが、注記のポップアップや項目の開閉などの機能も組み込めると思いますので、何かご要望があればおっしゃってみてください。

表の項目の内、現状では「地域名」の編集方針が定まっていないので、削除してしまっても構わないかも知れません。それよりも、市区町村の「※注」の方の内容をすべて後から検証できるように具体的な範囲が分かるよう拡充し(要するに[109252]の表の「市区町村(小地域区分)」の項目の内容で、入力作業は自分でもできます)、推計人口の算出や面積の出典等の情報に関しては、「島名」の項目(または「備考」という別項目を作って)に別の「※注」を放り込んだ方が良いかも知れません。


それはさておき、今になって長嶋俊介、渡辺幸重著『新版 日本の島事典』(2022年出版)という重要な参考文献が存在することを見落としていたことに気付きました。本書を閲覧した結果、結構細かい追加修正が必要なことが分かりました。


まず、国土地理院が日本の島の数を14,125と数えて発表したのは、2023年2月28日14時00分のことで、かなり最近のことです。国土地理院の日本の島の数によると、滋賀県が0となっているので、琵琶湖の沖島は含まれていません。また長崎空港は島と見做されるが、横浜市の八景島は独立した島と見做されていません(本当はそれよりも左下に少し見えている「野島」がどいう扱いになっているのかが知りたいのですが・・・)。ただ、肝心の島のリストは公表されていないようです。まあまもなく始まる基盤地図情報(数値標高モデル)1mメッシュ(標高)の提供開始にわくわくしている人もいるかも知れませんが。その際に島区分みたいなのが公表されるのでしょうか?

そして今週になって自分が新たに存在することに気付いた重要な文献、長嶋俊介、渡辺幸重著『新版 日本の島事典』(2022年出版)ですが、定価7万円とちょっとお高いので、図書館で閲覧しました。こちらの本は別の記事でも紹介されていますが、日本の島の数を15,528島とカウントしています。

答えは6852島(本州など5島を引いて6847島)。1987年、海上保安庁が最大縮尺海図と陸図(縮尺1 / 2.5万)を用いて満潮高水位1㍍・周囲100㍍以上を基準にカウントしたこの数字がこれまで、「日本の島の数」として公式発表されてきた。だが近年、EEZの基点としての離島の重要性が従来に増して高まるなか、島研究者からはこの数に関して疑問の声が上がっている。中国の強引な海洋進出などを受け、日本政府は2010年頃から国境無人離島の振興と保護・保全に積極的に動きはじめ、日本がそれらの島を領有していることを国際社会に明示するための第一歩として「名称付与」に乗り出した。そのなかで、これまで「岩」「瀬」「礁」などと呼ばれてきたものが数多く「島」とみなされることになったのだ。にもかかわらず、公式発表されている島数は依然として6852島のまま。もっとあるはずだ。調べてみると、満潮時にも水面上にある日本の「島」の数はナント1万5528島。まさに大小無数の島から成る島嶼国家、この新事実を見出したのは日本島嶼学会参与の長嶋俊介氏と屋久島(鹿児島県)生まれのジャーナリストである渡辺幸重氏、そして全国の島研究者たち。その成果が今年12月2日発行の『新版日本の島事典』(発行:三交社)に集大成されている。この出版を機に島嶼国家・日本の輪郭を明らかにしていくべきではないか。

ritokeiこと離島経済新聞でも2022年10月21年付けでこの本が紹介されていました。

おそらく国土地理院の2023年2月の島の集計のやり直しは、この本が2022年末に出版されたからだと思います。両者で微妙に数字が異なり、『新版 日本の島事典』の数字は決して公的機関の数字ではありあませんが、『新版 日本の島事典』は現時点で入手可能な最新の文献であり、SHIMADASよりもデータが更新されているであろう『新版 日本の島事典』の情報をもとに、改めて検証が必要と考えました。

で、閲覧した結果、こちらの本では本サイトで後から追加した島、例えば佐賀県藤津郡太良町の竹崎島([109321]参照)、宮崎県宮崎市の青島([109233]参照)などを自然島として扱っていました。残念ながら人口は2015年国勢調査ベースなので、結局国勢調査報告書に立ち返って人口を検証する必要があります。

また、自分にとって目から鱗であったのが、滋賀県琵琶湖の沖島のみならず、島根県中海の大根島、江島を島として扱っていなかったことです。そうです。国土地理院は中海を湖として扱ってリストアップしている以上、大根島、江島も国土地理院の定義では独立した島ではなく、本州の一部であるはずなのです。この辺、国土地理院公表の面積調でも沖島、大根島・江島の島面積がリストされている時点で色々矛盾・混乱がありますが、少なくとも沖島、大根島、江島の有人島としての人口の情報は残すとしても、本州の人口・面積の一部として含まれているという扱いにするのが正しいことになります(現行の表では沖島だけ含んでいる)。

ただそれ以外にも『新版 日本の島事典』の方で独立した自然島として扱っている有人島が色々見つかりました。例えば横浜市金沢区の野島は、SHIMADASによると、もともと本土と砂洲で繋がっていたが、水路を後から掘ったとの記述がありましたが、『新版 日本の島事典』では独立した島として扱かっています(2020年国勢調査人口2,446人)。また島根県浜田市の瀬戸ヶ島(2020年国勢調査人口198人)、広島県南区の宇品島(2020年国勢調査人口1,801人)などが有人島として追加で扱われていました。さらに陸繋島の情報を色々調べたところ、沖縄県名護市の奥武島(奥武島はほかにもありますが、これは屋我地島と沖縄本土を結ぶ島)が国勢調査で有人(2020年国勢調査人口29人)であること、熊本県の天草上島と上天草市の桶島を結ぶ椚島が国勢調査で有人(2020年国勢調査人口3人)であること、熊本県天草市の前島(御所浦島の陸繋島)が、SHIMADASによると2019年8月31日住基人口2人で有人であること(基本単位区では分離不能)、長崎県五島市の前小島(福江島の陸繋島)が、SHIMADASによると2015年2月10日住基人口8人で有人であること(基本単位区では分離不能)等々、色々要修正点が見つかりました。現時点で陸繋島のどこまでを島とみなすかは、結局のところ恣意的なものに感じます。将来的に国土地理院が「島」のリストを公表してくれれば、それに準拠するべきだと思いますが、現状ではSHIMADAS(2019年)、新版 日本の島事典(2022年)、離島統計年報、ritokeiなどを参考文献に挙げ、その上で明白にコンクリート等で水路を埋め立ててしまっているケース(北海道檜山郡江差町の鴎島([109233]参照)など)を除き、独立した島として見做すぐらいに落とし込むしかないと思います。

以上のほか、2020年国勢調査人口として福岡園福岡市西区の能古島(661人)が間違っていました(誤って「合算地域あり」の2人多い数字を用いてしまった)。またritokeiの情報により長崎県西彼杵郡時津町の前島(2020年国勢調査人口5人)、長崎県諫早市の鹿島(2020年国勢調査人口7人)の人口が確定し、長崎県西海市の南串島(2020年9月30日住基人口87人)と竹ノ島(2020年9月30日住基人口3人)の推計人口やリ直しのための情報が揃いました。

というわけで10島を超える島について、追加・要修正点が見つかりましたが、まだ全国をチェックし終わっていないし、これを整理するのにも時間がかかりますので、しばらくお待ちください。
[109325] 2023年 11月 27日(月)00:32:31【4】訂正年月日
【1】2023年 11月 27日(月)09:53:40
【2】2023年 11月 27日(月)11:46:20
【3】2023年 11月 28日(火)04:17:03
【4】2023年 11月 28日(火)04:20:51
YT さん
有人島の数の検証追記、徳島県の小勝島、静岡県の弁天島
[109322] オーナー グリグリさん

同意していただけるのであれば、編集システムの作成に取り掛かります。ご検討をよろしくお願いいたします。

おそらく今後も細かい修正があるかと思いますので、ご協力させていただきます。

[109323] オーナー グリグリさん

こちらの情報について日本の有人島一覧に追加更新しました。ご確認ください。よろしくお願いいたします。

ありがとうございます。

【有人島の数の検証の続き】

前回 [109321]で、

よって国土地理院の数(416島+5島=421島)と比べると、1島だけ余計にリストアップしてしまっていることになります。これが何か・・・と問われると、おそらくritokeiの有人離島一覧に唯一掲載されていなかった島、宮崎県宮崎市の青島([109233]参照)のことだと思われます

と、不正確なことを書いてしました。正確には、ritokeiの有人離島一覧に掲載されていない島としては、広島県大竹市の猪子島、山口県周南市の黒髪島・仙島、徳島県鳴門市の高島、宮崎県宮崎市の青島、島尻郡渡嘉敷村のナガンヌ島が該当します。このほか沖縄県八重山郡竹富町の外離島は2015年以降無人しており([109309]参照)、逆に[109313] で削除しています。ナガンヌ島は国勢調査・住民基本台帳人口ともに2020年には無人化、猪子島は離島統計年報では阿多田島の陸繋島扱いしているので、残るは高島、青島、および[109321]の計算ではじめから除外していた黒髪島・仙島です(とはいえ22021離島統計年報の方では『〔附表〕法律指定外離島の概要』に、国勢調査人口では2020年に無人化している中ノ島、黒島、黄島と共に収録されている([109309] [19314]参照))。というわけで、青島と高島の2つの島が、余計に追加してしまった島ということになりますが、そうなると国土地理院の数字の方が逆に1島多くなってしまいます。

結局のところ根拠はないのですが、2020年の国勢調査上では無人化していることになっている中ノ島にはがっつりホテル従業員がいるはずであるので、これを島としてカウントしているのではないのでしょうか?

ところでwikipediaのTemplate:日本の指定離島で、「指定外の有人島」の「架橋により本土・沖縄本島と陸続となった有人島」の内、神奈川県横須賀市の天神島、静岡県浜松市西区・湖西市の弁天島、徳島県阿南市の小勝島、佐賀県藤津郡太良町の竹崎島などについてこれまで調べていなかったことに気付きました。

今回[109321]で検証した天神島、竹崎島以外の2島(徳島県の小勝島、静岡県の弁天島)についての追加情報をまとめます。

【小勝島】

令和2年国勢調査基本単位区境界データでは、該当する島は徳島県阿南市橘町袴傍示の一部(基本単位区0090-00470の一部)であり、陸地側の人口・面積を含んでしまっているため、役にたちません。ただSHIMADAS(2019)によると、小勝島は「橘湾最大の無人島」で、こちらは有人島の可能性としては無視してよさそうです。小勝島は戦時中に日本海軍の特攻隊専用の飛行場が作られた歴史を持つ島で、戦後しばらくして無人化し、今では島内には火力発電所などの工場があります。よって昼間人口は無人ではないでしょうし、夜勤もありえるという意味では無人ではありませんが(国勢調査当初用いられた「現在人口」であれば有人)、道で外と繋がっているので従業員も島の外から車で容易に通えるので、そこに今なお人が居住している可能性はゼロです。

都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
島面積
(km2)
備考
徳島県阿南市
(橘町袴傍示の一部(基本単位区0090-00470の一部)
1720240.57面積出典:SHIMADAS(2019)、なお左記の人口は四国本土側(袴傍示地区)の人口で、小勝島自体は常住人口0と推測される

【弁天島】

ここは戦国時代の大地震の津波の影響で、浜名湖が汽水湖になった際に出来た島といわれています。湖の中の島、というか中州です。また近世以降度重なる埋め立てにより人工島化しており、国土地理院の定義する島から逸脱するものですが、一応データをまとめます。

まず弁天島は単独の島ではありません。

弁天島(浜松市西区):JR弁天島駅が存在する、元来メインとなる島です。
日出島(西野島浦)(浜松市西区):弁天島の北西側にある島です。
蓬莱園(浜松市西区):弁天島の北東側に昭和7年に築かれた人工島で、日出島(西野島浦)とは水路を隔てています。
千鳥園(浜松市西区):日出島と蓬莱園の北側に昭和7年に築かれた人工島です。
渚園(浜松市西区):観月園のさらに北側に昭和22年に、当初は塩田として築かれた人工島です。
新弁天(湖西市):弁天島の西側の島です。
乙女園(浜松市西区):新弁天の北側に昭和7年に築かれた人工島です。なお新弁天と乙女園は元は分離していましたが、現在では両者は完全に埋め立てられて同一の島です、以下の表ではそれでもあえて分けて集計します。
観月園(浜松市西区):乙女園の北側に昭和7年に築かれた人工島です。
中ノ島(湖島)(浜松市西区):千鳥園、観月園をつなぐ小さな人工島ですが(ホテルなどが存在)、国勢調査の基本単位区としては、千鳥園の一部を組み込んでしまっていて分離できないので、以下の表では十鳥園とまとめて掲載します。

以下に弁天島の構成島の情報をまとめます(ただし新弁天と乙女園は現在では埋め立てられていて同一の島となっている)。なお面積の情報は、令和2年国勢調査基本単位区境界データによりますが、一部境界データは湖水面を含んでおり、実際の島の面積はこれよりもやや小さいものとなります。弁天島の総面積自体を色々調べましたが、SHIMADASにも載っていません。島の散歩では3 km2となっていますが、これも令和2年国勢調査基本単位区境界データと比べると過大な数字であるということになります。令和2年国勢調査基本単位区境界データだと弁天島の面積は1.50 km2ですが、これには各島同士の間の水路のほか、弁天島東側の水路の半分も含んでおり、目測ですが、おそらく実際の弁天島の陸地面積は合計で1.2 km2前後になると思います。【追記:浜松市の統計情報の町・字別面積(平成22年3月16日公表版)によると浜松市内の弁天島が0.8330 km2で、これに湖西市新弁天の令和2年国勢調査基本単位区境界データ(こちらは面積に湖面を含んでいない)の0.190774106 km2を合算すると合計1.02 km2となります。】また市区名、大字・町名、字・丁目名、基本単位区番号はあくまでも令和2年国勢調査で用いられているものです。

島名市区名大字・町名字・丁目名基本単位区番号人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
弁天島浜松市西区舞阪町弁天島一弁0370-05130~051704534394630.141633836
日出島浜松市西区舞阪町弁天島一弁0370-05050~051106155866300.195860712
蓬莱園浜松市西区舞阪町弁天島一弁0370-05010~05040,
0370-05120
2192322690.147917282
千鳥園
(中ノ島を含む)
浜松市西区舞阪町弁天島ニ弁0370-06060~061305415846430.160931594
渚園浜松市西区舞阪町弁天島ニ弁0370-060500000.321147533
観月園浜松市西区舞阪町弁天島ニ弁0370-06010~060405375514920.102079301
乙女園浜松市西区舞阪町弁天島ニ弁0370-06140~061825345666100.239746578
新弁天湖西市新居町新居新弁天0410-16010~160301181091250.190774106
弁天島総計3,0173,0673,2321.500090942

というわけで、今回は特に人口等の修正はありません。
[109321] 2023年 11月 25日(土)12:47:22【2】訂正年月日
【1】2023年 11月 25日(土)12:52:52
【2】2023年 11月 25日(土)15:27:05
YT さん
有人島の数の検証、竹ケ島(徳島県)の人口の訂正、天神島(神奈川県)、竹崎島(佐賀県)の追加
[109317] オーナーグリグリさん

有人島一覧はこの辺りでひと段落ということにしましょうか。また、新しい情報が見つかれば更新します。では、今後ともよろしくお願いいたします。

すみません。早速ですが、追加情報と訂正情報があります。

まず、有人島の数の検証ですが、国土交通省の資料『日本の島嶼の構成』によると、

我が国は14,125の島嶼により構成され、本州、北海道、四国、九州、沖縄本島を除く14,120島が離島。このうち、離島振興法による離島振興対策実施地域に含まれる有人離島は256島。

とあり、図による解説が載っています。すなわち

階層島数
全島嶼14,125
A.本州、北海道、四国、九州、及び沖縄本島5
B.離島14,120
B.1 有人島※416
B.1.1 法対象305
B.1.1.1 離島振興法(昭和28年制定)256
B.1.1.2 他の法律49
B.1.1.2.1 沖縄振興特措法(平成14年制定)37
B.1.1.2.2 奄美群島振興開発特措法(昭和29年制定)8
B.1.1.2.3 小笠原諸島振興開発特措法(昭和44年制定)4
B.1.2 法対象外111
B.2 無人島13,705
※令和2年国勢調査結果に基づく有人離島の数を都道県に聞き取り、内水面離島である沖島(滋賀県)を含む。

すなわち、本州、北海道、四国、九州、及び沖縄本島を含め、令和2年国勢調査時には421の有人島が存在することになります。こちらとほぼ同じ内容が公益財団法人日本離島センターでも紹介されています。

現在本サイトの日本の有人島一覧の方では、2020年国勢調査時に1人以上の常住人口が存在する有人島は、熊本県上天草市の大矢野島と分離できなかった野牛島を含めて419島が登録されています。一方『2021離島統計年報』によると、[109309]で紹介したように、愛媛県今治市の比岐島、宮崎県日南市の大島、沖縄県島尻郡渡嘉敷村の前島の3島は、「令和2年国調では無人島であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳では住民登録があったため,有人島とした」とあるので、これら3つの島を有人島としてカウントすると、合計で422島が登録されていることになります。

よって国土地理院の数(416島+5島=421島)と比べると、1島だけ余計にリストアップしてしまっていることになります。これが何か・・・と問われると、おそらくritokeiの有人離島一覧に唯一掲載されていなかった島、宮崎県宮崎市の青島([109233]参照)のことだと思われます。

ところでwikipediaのTemplate:日本の指定離島で、「指定外の有人島」の「架橋により本土・沖縄本島と陸続となった有人島」の内、神奈川県横須賀市の天神島、静岡県浜松市西区・湖西市の弁天島、徳島県阿南市の小勝島、佐賀県藤津郡太良町の竹崎島などについてこれまで調べていなかったことに気付きました。そこで調べたところ、少なくとも宮崎県宮崎市の青島を有人島として登録する限りは、神奈川県横須賀市の天神島、佐賀県藤津郡太良町の竹崎島の2島についても、追加で有人島として登録するべきではないかと考えるに至りました。さらにその面積を検証する過程で、徳島県海部郡海陽町の竹ケ島の人口に間違いがあった(四国本土側の人口を含んでいた)ことも判明しました。

以下要追加・要修正と現時点で考えている情報です。

島名都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
**天神島神奈川県横須賀市
(佐島三丁目の一部(基本単位区0990-03070))
81080.05面積出典:令和2年国勢調査基本単位区境界データ
**竹ケ島徳島県海部郡海陽町
(大字宍喰浦字竹ケ島の一部(基本単位区0220-00260の一部))
1351521730.402020年・2015年・2010年の人口は海部郡海陽町宍喰地区の人口(2020年2,430人・2015年2,737人・2010年3,109人)と住基人口比により推定、住基人口(2020年9月30日140人、宍戸地区推定2,513人)、面積出典:徳島県統計書(H17)
**竹崎島佐賀県藤津郡太良町
(竹崎)
5085516800.56面積出典:SHIMADAS(2019)

上の修正・追加に伴い、本州、四国、九州の人口も変わります。

島名都道府県人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
***本州1都2府31県102,577,812102,978,562103,498,671227,939.72滋賀県近江八幡市の沖島を含む
***四国4県3,627,3623,769,0853,892,89718,297.37竹ヶ島(徳島県海部郡海陽町)・中ノ島・戸島(高知県須崎市)の人口推定処理の影響あり
***九州7県12,346,48312,546,12212,692,79236,782.38南串島・竹ノ島(長崎県西海市)・鹿島(長崎県諫早市)・前島(長崎県西彼杵郡時津町)の人口推定処理の影響あり

以下それぞれの島の追記事項です。

【竹崎島】佐賀県藤津郡太良町にあり、SHIMADAS(2019)によると、「対岸とほぼ接しているため、陸繋島と見なされることもある」そうですが、少なくとも砂洲でつながっているようには見えません。宮崎県の青島を独立した島とみなすのであれば、ここも独立した島とみなすべきでしょう。

【天神島】天神島は昭和40年に神奈川県の名勝・天然記念物指定を受けた島で、長さ5~6メートルの天神橋で本土と結ばれています。ここも自然島です。SHIMADAS(2019)によると周囲1kmですが、面積の情報はありません。島の散歩というサイトによると面積は0.01 km2ですが・・・周囲1キロの円であれば面積は0.08 km2 (≒π*(1/2π)^2)、正方形であれば面積は0.06 km2(≒1/16)になるはずであり、0.01 km2は狭すぎます。そこで今回は令和2年国勢調査基本単位区境界データのAREA(面積)の情報を引用しました。

実は横須賀市基本単位区0990-03070は、天神島のみならず笠島などを含みますが、この内笠島に関してはSHIMADASによると「上陸不可」とあるので、事実上天神島にのみ人口が住んでいます。令和2年国勢調査基本単位区境界データでは、横須賀市基本単位区0990-03070に関しては天神島、笠島、笠島北西側の小さい岩礁の3つの閉じた境界データが含まれており、AREA(面積)の内容は、それぞれ50696.505 m2、24945,415 m2、1322.228 m2となっています。ここから天神島の面積を0.05 km2としました。

なお、国勢調査の基本単位区境界データの面積の情報があるのなら、他の面積不詳の島も同様の手法で情報が得られるのでは?と思われるかも知れませんが、天神島の場合は境域が島の輪郭に近く設定されていただけであり、笠島の場合は南に2割ほど海域を余計に含んでいるようにみえるなど、しばしば基本区境界データは海域などを境域に含んでいるため、簡単には使用できず、極力国勢調査基本単位区境界データを面積のソースとしての使用は避けたい事情があります。

そこで他の関連する島々の面積を令和2年国勢調査基本単位区境界データで算出してみると以下の通りでした。

島名都道府県市区町村
(小地域区分)
面積1
(km2)
面積1出典面積2
(km2)
面積2出典備考
**粭島山口県周南市
((大字粭島(基本単位区1020-00010~00040))
0.50山口県統計年鑑(H19)0.440070788令和2年国勢調査
基本単位区境界データ
これに関しては令和2年国勢調査基本単位区境界データ(0.44 km2)を採用しても問題ないかも知れない。
**竹ケ島徳島県海部郡海陽町
((大字宍喰浦字竹ケ島の一部(基本単位区0220-00260の一部))
0.40徳島県統計書(H17)1.573021489令和2年国勢調査
基本単位区境界データ
令和2年国勢調査基本単位区境界データの面積は本土側(金目地区、古目地区など)の面積を含んでおり、実際の中ノ島の面積は、全体の1/3程度(0.5 km2前後)か?
*中ノ島高知県須崎市
((大谷の一部(基本単位区0350-00080の一部))
0.18高知県統計書(S61)0.452003404令和2年国勢調査
基本単位区境界データ
令和2年国勢調査
基本単位区境界データの面積は本土側(白浜地区、蜂ヶ尻地区など)の面積を含んでおり、実際の中ノ島の面積は、全体の1/3~1/4程度(0.11 km2前後)か?
*戸島高知県須崎市
((大谷の一部(基本単位区0350-00080の一部))
0.37高知県統計書(S61)0.26333293令和2年国勢調査
基本単位区境界データ
これに関しては令和2年国勢調査基本単位区境界データ(0.26 km2)を採用しても問題ないかも知れない。

粭島の面積は、閉鎖されたしまっぷ統合版(0.43 km2)とほぼ同じであり、もとも下一桁(0.5 km2)の数字しかなかった山口県統計年鑑よりも引用元として最適かも知れません。一方で、竹ケ島、中ノ島は、本土側の陸地を含んだ情報となっており、引用できません。中ノ島の面積の引用として高知県統計書を採用する限りは、戸島の面積の引用も高知県統計書を用いた方が良いでしょう。

【竹ケ島】さて、この面積の検証の過程でなんと徳島県海部郡海陽町の竹ヶ島の人口に問題があることが分かりました。海部郡海陽町の基本単位区0220-00260に字竹ケ島が与えられていたこと、SHIMADASなどでも字竹ケ島の人口が採用されていたこと(2015年214人)から、勝手に字竹ケ島=竹ケ島と判断しておりましたが、実際には四国本土側の金目地区、古目地区などにも集落がありました。

改めて国勢調査人口の変遷を見ると以下の通りです。ここに登場する字竹ケ島は、本土側を含んだ数字です。

地区人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
人口
(2005年)
人口
(2000年)
海部郡海陽町8,3589,28310,44611,50712,104
旧宍喰町2,4302,7373,1093,3763,553
字竹ケ島201214239271283

一方、ritokeiを見ると、2020年10月20日頃の記録では、平成22年国勢調査人口として240人を採用していましたが、その後、2021年1月以降は、正しい人口(ただし住民基本台帳人口)に修正しており、令和2年9月末の住民基本台帳人口は140人であるという情報が得られました。また2017年5月10日付の徳島新聞の記事「みこしの「浜入れ」中止 海陽・竹ケ島神社夏祭り」によると、

町住民人権課によると、4月末時点の竹ケ島の人口は148人。うち40歳未満は37人で島民の25%しかいない。島の人口は07年4月末の人口313人と比べると半分以下になっており、過疎化が進んでいる。

以上の新聞記事と、ritokeiで発掘できた情報を並べると以下の通りになります。なお上の新聞記事に登場する「07年4月末の人口313人」というのは、国勢調査における字竹ケ島の人口(2005年271人)すら大幅に上回っており、おそらく字竹ケ島全域の人口を間違えて持ってきてしまったのではないのか?という気もしますが、一応以下の表に載せておきます。

(開く)徳島県海部郡海陽町の竹ケ島の住民基本台帳人口の変遷

一方、学校のあり方検討委員会資料集など、海陽町の資料などから海部郡海陽町や宍喰地区(旧宍喰町)の住民基本台帳人口の変遷を抽出すると、以下の通りとなります。


(開く)徳島県海部郡海陽町と宍喰地区の住民基本台帳人口の変遷


宍喰地区の2019年3月末と2020年3月末の住基人口から等比級数な人口減少を仮定して計算すると、2020年10月1日付の住民基本台帳人口は推定2513人。よって、2020年9月30日付の竹ヶ島の住民基本台帳人口140人との人口比から、2020年10月1日の竹ケ島の常住人口は135人と推定しました。

以上をまとめると:徳島県竹ケ島(と四国)の人口は修正する必要があります。神奈川県天神島、佐賀県竹崎島の人口も追加するかどうかは、宮崎県青島の扱い次第で、青島を追加した情報のまま残すのであれば、天神島、竹崎島も同様に有人島とみなすべきであり、青島を削除するのであれば、天神島、竹崎島、(ついでに[109261]で記載した鹿老渡島)と合わせて、国土地理院などが認めていない有人島として別表に参考としてまとめた方が良いと思います。

なお鹿老渡島ですが、[109261]の方で

地図で見る限り、倉橋島と鹿老渡島の間には明白に水路があり、両方の島が分けられております。にも拘わらず離島統計年報などで島として扱われていません。その理由はこの鹿老渡島が人工島の一種だからです。鹿老渡は歴瀬戸内の港として歴史的に発達した港町で、倉橋島との間の水路は、江戸時代に完成された人工的な堀であり、よって離島統計年報もSHIMADASも鹿老渡を独立した島と扱っていないのです。

などと解説文を書いて勝手に納得していましたが、あの後倉橋島との間の水路が人工的な堀であるとする文献を見つけることができていません。こちらの面積については、しまっぷ統合版(0.91 km2)を使わずに令和2年国勢調査基本単位区境界データを使ってみると、838,293.967 m2(すなわち0.84 km2)となります。[109261]から面積出典を変更した場合は以下通りとなります。

島名都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
**鹿老渡島広島県呉市
(倉橋町の一部(基本単位区2060-20010~20030))
1211341700.84面積出典:令和2年国勢調査基本単位区境界データ
[109314] 2023年 11月 21日(火)13:48:57【3】訂正年月日
【1】2023年 11月 21日(火)13:49:27
【2】2023年 11月 21日(火)13:52:50
【3】2023年 11月 21日(火)13:55:42
YT さん
山口県周南市の黒髪島・仙島
[109313] オーナー グリグリさん

ところで、
なお山口県周南市の黒髪島・仙島については、『〔附表〕法律指定外離島の概要』の方で「国調では有人だが住民登録は0」とありますが、これは平成27年10月1日の国勢調査、および平成27年4月1日現在の住民基本台帳登録人口での話です。
とのことですが、[109215]の「日本の有人島の人口、面積一覧」の備考欄には「大字大津島字黒髪島・大字富田の一部(基本単位区1330-21010)、平成27年の国調では0だが住民登録では有人」とあります。どちらが正しいのでしょうか。ご確認をお願いいたします。

すみません。[109309]の該当部分は私の間違いで、[109215]の方が正しい情報です。

2021離島統計年報の『〔附表〕法律指定外離島の概要』を読み返しましたが、山口県周南市仙島の脚注は

「国調では0だが住民登録では有人(1人)、面積は黒髪島を含む。」

となっておりました。ほかには岡山県の黒島・黄島については句点なしで、

「人口と世帯数は前島を含む」

高知県の中ノ島、戸島については句点なしで、

「人口と世帯数は須崎市大谷地区の一部を含む」

とあり、「国調では有人だが住民登録は0」との脚注が入っている島は、『〔附表〕法律指定外離島の概要』の方にはありませんでした。2021年離島統計年報の『〔附表〕法律指定外離島の概要』のリストの他の島の残りの脚注は、指定解除の年次の情報のみです。

2015離島統計年報(2010年国勢調査のデータでまとまっている)の方の『〔附表〕法律指定外離島の概要』でも、仙島、黒島、黄島は上と同一の脚注がついており(つまり黒髪島・仙島の2010年、2015年の住民基本台帳登録人口は1人のまま)、中ノ島、戸島については2010年国勢調査ベースでの人口が分割して与えられ、「国調では有人だが住民登録は0」との脚注はどこにも示されていませんでした。

以上より、黒髪島・仙島の2020年の住民基本台帳登録人口は0であることを自明のように書いてしまいましたが、現時点では2020年の住民基本台帳登録人口が1か0か、どちらの可能性も十分にあって、結論は出せません。

一応インターネットアーカイブ経由で2020年3月31日現在の地区別の住民基本台帳登録人口へのリンクのページまではたどり着きましたが、そこから先のpdf、エクセルなどは、年齢別以外はファイルが生きていませんでした(公式サイトからも削除済み)。

なお2023年3月31日現在の住民基本台帳登録人口において、大津島地区の「開拓地」なる行政区が、1世帯1人(女1人)となっていますが、こちらの津波災害警戒区域の指定に関する地図により字開拓地は大津島本体の一地区であることが確定しますし、同様に富田地区の大神の1世帯2人(男1人女1人)も本土の山の方の字名で確定なので、2023年3月末の段階で黒髪島・仙島の住民基本台帳登録人口が0人になってしまっていることは、ほぼ間違いないと思われます。
[109309] 2023年 11月 21日(火)00:46:44【6】訂正年月日
【1】2023年 11月 21日(火)01:50:25
【2】2023年 11月 21日(火)01:57:44
【3】2023年 11月 21日(火)02:03:14
【4】2023年 11月 21日(火)11:18:46
【5】2023年 11月 21日(火)11:26:41
【6】2023年 11月 21日(火)20:18:10
YT さん
外離島の有名人(【追記】愛媛県比岐島、宮崎県大島の2020年4月1日現在の住民登録人口)
[109308] オーナー グリグリさん

YTさんへ
この表をまとめて気が付いたのですが、沖縄県の外離島は2015年も0人です。住民登録などで有人が確認できているのでしょうか。

実はしつこくなるのでまとめていないのですが、離島統計年報には

「国調では有人だが住民登録は0」

という脚注がついている島が複数あります。2021離島統計年報の場合は:

1.離島振興法関係離島
①愛媛県比岐島・宮崎県大島は令和2年国調では無人島であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳では住民登録があったため,有人島とした。
②北海道小島・愛媛県赤穂根島・鹿児島県馬毛島は,令和2年国調では有人島であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳には住民登録されていないため,①「概要」には有人島として掲載したが,②「人口・世帯数・人口動態」以降は割愛した。
2.小笠原諸島振興開発特別措置法関係離島
東京都硫黄島・南鳥島は,令和2年国調では有人島(自衛隊員等の駐留による)であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳には住民登録されていないため,①「概要」には有人島として掲載したが,②「人口・世帯数・人口動態」以降は割愛
した。
3.沖縄振興特別措置法関係離島
沖縄県前島は,令和2年国調では無人島であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳では住民登録があったため,有人島とした。

――【ここから愛媛県比岐島、宮崎県大島および黒髪島・仙島、中ノ島、瀬長島の情報を追記】――

2021離島統計年報によると、令和2年10月1日現在国勢調査で無人となっていた島の、令和2年4月1日現在の住民登録人口は以下の通りです。

島名都道府県市町村名住民登録人口世帯数
比岐島愛媛県今治市2201
大島宮崎県日南市2112
前島沖縄県島尻郡渡嘉敷村1101

よって[109308]にまとめられた島の内、比岐島と大島は住民登録データが増えます。

なお山口県周南市の黒髪島・仙島については、『〔附表〕法律指定外離島の概要』の方で「国調では有人だが住民登録は0」とありますが、これは平成27年10月1日の国勢調査、および平成27年4月1日現在の住民基本台帳登録人口での話です。一応周南市の公式サイトを見たところ、残念ながら過去の住民基本台帳登録人口の記録が残っていないのですが、2023年3月31日住民基本台帳登録人口では、大津島地区の黒髪島は世帯0人口0人、黒髪島・仙島の富田地区側は該当する字名が見つからず、おそらくずっと住民登録は0人のままです。

和歌山県那須勝浦町の中ノ島の場合は、島全体が碧き島の宿 熊野別邸 中の島というホテルです。平成27年国勢調査時には、20世帯で合計20人(男8人、女12人)で、いかにもホテルの従業員の構成です。その後色々リニューアルを繰り返しながらも令和2年国勢調査時にもがっつり営業しているようなので、コロナの関係で従業員をホテル内に常住させることをやめ、交代制にしたとかかもしれません。こちらは『〔附表〕法律指定外離島の概要』掲載の島なので、残念ながら住基人口はもともと離島統計年報には掲載されていません。那須勝浦町の公式サイトでは、残念ながら「大字勝浦」の住民基本台帳登録人口は分かっても、中ノ島単独の人口は分かりません。

一方で沖縄県豊見城市の瀬長島の場合は沖縄本島と完全につながっていますが、こちらには琉球温泉 瀬長島ホテルがあります。こちらの場合は、平成22年、平成27年国勢調査時には、1世帯4人(男3人女1人)が暮らしていたことになり、ホテルの従業員とは言えません。航空写真などを見ると、いくつか海沿いに個人経営でもおかしくないような店舗や漁師小屋があるようなので、こちらの店舗の住民かも知れません。公式サイトの方では残念ながら「字瀬長」の住民基本台帳登録人口は分かっても、瀬長島単独の人口は分かりませんが、いずれにせよ中ノ島と瀬長島は常住の島民がいないというだけで、今後の国勢調査で有人島に戻ってもおかしくありません。

来年発売予定の『2022離島統計年報』の方で、『〔附表〕法律指定外離島の概要』の中身も令和2年度分にアップデートされるかも知れませんので、今後[109308]の島の内、中ノ島、黒島、黄島、黒髪島・仙島の住民登録データが増えるかもしれません(多分中ノ島以外は全部住民基本台帳登録人口も0で、中ノ島も住民基本台帳登録人口自体は0の可能性が高いですが)。また『〔附表〕法律指定外離島の概要』収録の長崎県のいくつかの離島の人口に関しては、基本単位区以下に分割された島人口の情報が増え、推計で出した人口の一部が実数へ更新可能になるかも知れません。猪子島と瀬長島は離島統計年報の完全に対象外なので、離島統計年報が新しくなっても追加の修正はありません。

――【ここまで追記】――

さて、外離島についてですが、2003離島統計年報~2015離島統計年報記載の、2000年、2005年、2010年ベースの国勢調査人口はすべて1人であり、すべて「国調では有人だが住民登録は0」の脚注がついています。2016離島統計年報以降はリストから削除され、現在に至っています。

実際、竹富島公式ホームページの竹富町地区別人口動態票には、ずっと外離島の項目はなく、長らく住民登録人口が0の扱いだったようです。

なお、2010年までの国勢調査人口1人というのが、ちょっとした有名人です。2014年頃まで外離島に不法滞在しておりましたが、その後地権者により退去を求められて、西表島の「モクタンの浜」に移住し、2015年10月1日国勢調査時には外離島は無人化したようです。

デイリー新潮:島を追われた「素っ裸おじさん」と地元民との“フクザツな関係”(2015年12月9日)
無人島暮らしをする「ナガサキおじい」こと長崎真砂弓(まさみ)さん(79)は、この生活を四半世紀近く続けている。好きな時間に起き、食事はタケノコやニガナ(沖縄特産の野菜)など。魚も獲っていたが、“何だか可哀そうになって”最近は獲らない。たまにボートに乗って買い出しに行くほかは一糸まとわぬ姿の彼を目当てに、マスコミや観光客が多く訪れる。
 ***
今から1年ほど前、長崎さんはそれまで暮らしていた「外離(そとばなり)島」を離れ、3~4キロ離れた「モクタンの浜」へ引っ越した。その理由を本人に聞くと、顔を曇らせるのだ。
「やっぱり大きかったのはフジテレビの番組(めちゃ×2イケてるッ!)に出たことだったと思う。あれで取材や観光客がどっと来てしまってね。いろいろ文句を言う人がいたんだと思う。僕が観光客に媚を売る必要はないけど、連れてくるのは西表の人たちだから。その人たちの手前、冷たくはできないよ。それもあったところに、地主の家族やその知り合いがやってきて、“出てってくれ”と言われたんだ。外離島でヤギ牧場をやるとか、シイタケ畑をやるからというのが理由だったな」
■真似する輩も
テレビなどで取り上げられ、観光客が増えたという声がある一方、実のところ、おじいの存在をめぐっては地元でも賛否が分かれている。
例えば、おじいに退去を迫ったのは、近くの集落・船浮の住人だ。その人物が言う。
「たしかに長崎さんに出て行くようにお願いしたのは私さ。東京の隅田川沿いだってホームレスが住んでいたら退去させられるでしょう。それを、自然が豊かで人が少ない西表だからと言って許される問題じゃない。年頃の女の子がいる家族連れがやってきて裸の長崎さんを見たらどう思うかね。私はテレビの番組を見たから出てけって言ったわけじゃないけど、真似する人が出てくるのも困る。実際に去年の春頃、長崎さんの真似をしてフルチンで暮らしていた人が隣の“内離(うちばなり)島”に現れました。長崎さんのことを“センパイ”って言ってたな。“あんた、自分の地元でそんなことが出来るかね”と言ってやったら、いつの間にかいなくなったけどね」
また、地元のホテルの女将に聞くと、
「長崎さんはあんな生活をしているけど、話してみると意外にまともで挨拶もする。地元で特に悪い評判はないんです。だけど、迷惑ではないのかと聞かれたら迷惑だし、心配もあります。このあたりの人たちは、当番制で消防や行方不明者の捜索を任されているんです。勝手に死なれたりしたら困るのは地元の住民ですから」
ナガサキおじいには、さらなる“追い打ち”もかかっている。今年の9月17日、「モクタンの浜」からも立ち退くよう、林野庁から通告を受けているのだ。
「外離島の長崎さんが住んでいた場所は私有地でしたが、モクタンの浜は国有林なのです。だから、長期のキャンパーなどを見かけた場合、注意しないわけにはいかない。長崎さんは“分かりました。他に場所がないか検討します”と言ってくれてはいますが、ずっと住み続けるのなら、いずれ退去命令などを出さなくてはならない。個人的には可哀相な気もするのですが」(祖納森林事務所の担当者)

その後長崎さんはどうなったのか。ここから先は日本で報道されていないようですが、海外ニュースの翻訳記事によると、まず2018年頃、モクタンの浜で倒れているのが見つかり、強制的に病院へ入れられました。

スプートニク:「裸で離島暮らし30年 日本のロビンソン・クルーソーが強制的に文明に引き戻される」(2018年6月26日)
ニュース・コム・アウの報道によれば、「82歳で水道もモバイル通信も電気も服もない離島暮らしをたった一人で送ってきた日本人ロビンソンクルーソーのマサフミ・ナガサキ」さんは、先日、地元当局に強制的によって島から連れ去られ、病院に収容された。

そしてこれも海外のニュースからの翻訳で、去年の状況です。

ARIO.NYC:全裸で孤島暮らし 長崎真砂弓さん30年ぶりに島に戻る(2022年6月21日)
ある年金生活者が4年間の文明開化を経て、離島に帰ってきた。長崎真砂弓さん(86歳)は、家族や友人を残して29年間無人島で暮らしていましたが、2018年に日本政府によって強制的に文明に戻されました。そして今、現実世界での生活で不安や不満を抱えたまま、八重山諸島の外離島にある自宅への帰還が許されたのです。今、真砂弓は南国の島で幸せに暮らすために服を捨て、再び自由を感じている。

上の記事は一部語訳があり、オリジナルの記事:Masafumi Nagasaki returned to his desert island(2022年6月16日)からかいつまんで翻訳すると:

2018年4月、地元の漁師が、長崎さんが浜で気を失っているのを見つけた。本人は浜で死ぬことを望んだにも拘わらず、日本政府は強制的に彼を入院させた。その後4年間小さな部屋を与えられて生活することとなったが、結局文明社会に馴染めないままであった。そこで記者らが、外離島を訪れたいかと誘ったところ、喜んで企画に参加してくれた。1日外離島で一晩みんなと過ごしたが、翌日一人で生活できるだけの体力がもはやないことが分かり、納得して島に別れを告げて現在の住まいに戻った。

まあこれらの記事を見る限り、もうこの老人が外離島に戻ることはなく、外離島は2014年の時点で無人化したという扱いで問題ないということになります。【追記】よって[109308]にまとめらた表では、外離島は牛ヶ首島と前ノ島と同様に2015年無人化のグループに仲間入りさせるべきとなります。
[109306] 2023年 11月 20日(月)01:36:12YT さん
スーパー三和
[109297] 伊豆之国さん
「地域限定のスーパー」というと、私にとってなじみが深いのが、町田市を本拠とする「スーパー三和」。店舗検索を見ると、そのほとんどが町田市など東京都南多摩地区と、神奈川県の県央から横浜・川崎市にかけての地域に集中していることが分かり、町田市民や相模原市民にとっては大変身近な存在ではないでしょうか。4年前まで住んでいた町田市の自宅からの徒歩圏内には2店(現在はそのうち1店は閉店)あり、現住所のマンションからも徒歩圏内に2店あって、ポイントカードも持っており、普段からよく使っているスーパーになっています。

[109299] メークインさん
伊豆之国 さんが書かれた、
「地域限定のスーパー」というと、私にとってなじみが深いのが、町田市を本拠とする「スーパー三和」。
sanwaも13位に入っており、実際の利用者数から考えると、顧客満足度はかなり高めだと思いますよ。
すみません。伊豆之国さんが言及されたスーパー三和についてすっかりスルーしていましたが、メークインさんの文章を読んで急に思い出しました。スーパー三和はてっきりかつての三和銀行系列の資本のスーパーかと勘違いしていましたが、神奈川東京ローカルのスーパーだったのですね。

自分が物心ついた頃、小田急線の新百合ヶ丘駅近くに住んでいたのですが(今でも両親が住んでいます)、当時の新百合ヶ丘駅周辺には何もなく、あったのは土木工事中の茶色の山中に佇む駅舎だけでした。で、当時買い物といえばお隣りの百合ヶ丘駅が中心でした。そこには駅前のゆりストアという超ローカルなスーパーと、やや駅から離れたところにできたスーパー三和が、熾烈な競争を繰り返していました。今から思うと信じられないことですが、当時はスーパーがそれぞれ独自のバス運行を出していて、そのタダで乗れるバスにのってスーパーに出かけたのです。当時これらのスーパーは、生鮮食料品のみならず、家電、衣類やおもちゃなども扱っており、小学校に上がる前の自分にとって、百合ヶ丘にあったこれら二つのスーパーはちょっとしたデパートのような存在でした。

ただこれらのバスの存在は、小田急バスなどの路線バスの収益を脅かすものでした。私が親の仕事の関係で日本にいなかった時期に、バス会社側から何かしらのクレームがあり、これらのバス路線はいつの間にか廃止となったようです。それでもしばらくは地域の中心の役割を果たしていました。ところが川崎市麻生区が川崎市多摩区から分離し、新百合ヶ丘駅周辺の開発が進むにつれ、徐々に百合ヶ丘周辺は寂れていきました。2000年ごろに久々に百合ヶ丘のスーパー三和に行った時には、二階の家電、衣類やおもちゃを扱っている部分が百円ショップ化しており、さらに周辺の本屋、文具店等々の店もなくなっており、昔の店舗の状況を知っている自分にとって、何か悲しくなりました。ただし今思えば業務として家電・衣類等々の扱いを止め、生鮮食料品にのみ特化するという路線は、その後の時代に沿ったものだったようです。

色々あって[109298]で書き綴ったジョイフル近くに暮らしていた頃、同じようにこの若葉台と平尾を結ぶ道路沿いに新たに商業施設が出来て大繁盛していたのですが、その店の形態は1階にスーパー三和、2階に百円ショップやその他店舗が入っていて、まさに2000年頃に百合ヶ丘で見た店舗に近いものでした。今引っ越した稲城市内にも同様に商業施設にスーパー三和が入っており、かなりの盛況っぷりです。今の百合ヶ丘のスーパー三和の状況は知りませんが、現在のこれらのスーパー三和は生鮮食料品にのみ特化しており、70年代末~バブルの頃の百合ヶ丘のスーパー三和のように自分の店舗でデパート的経営をするのではなく、商業施設に間借りすることで、それなりに盛況しているようです。

なお、この分析は私の身近な店舗の状況だけを見て私が勝手な妄想によるものであり、中で働いてきた人にとっては全然違う歴史が描かれているのかも知れません。
[109305] 2023年 11月 20日(月)00:23:49YT さん
Re: 日本の有人島一覧 更新
[109301] オーナー グリグリさん

YTさんからいただいている有人島一覧の情報に基づき、日本の有人島一覧を更新しました。

色々修正を対応していただきありがとうございます。

ところで、こちらの記事の、横山島のタイトルや表の島名と市名が間違っています(瀬戸内市と黒島と誤記)。また、黒島の朝日新聞の記事リンクも切れています。こちら「最後の島民はなぜ去った?「墓を守る」願った男性は今」に入れ替えた方がよろしいかと思います。貴重な記事なので、記事訂正期限が過ぎていますがご了承いただければ管理者権限で訂正したいと思います。ご了解をお願いします。

すみません。ご指摘の通り間違いです。修正していただけるのであればお願いします。

それならば過去の有人島という一覧表をページに追加し整理することもできるかと思います。過去をどこまでとするかが問題になるかもしれませんが、ある程度まとめられるようであれば、現時点での過去分(上記の牛ヶ首島や前ノ島のようなケース)の追加掲載を考えたいと思いますが、いかがでしょうか。

離島統計年報である程度過去の人口を調べることはできますし、既に手元には2000年国調ベース以降の離島統計年報による人口の情報はありますが、問題は離島統計年報が法的に認定した離島しか対象としない点です。正直2015年分に関しては、ekinenpyouさんのまとめや、離島経済新聞とSHIMADASの情報があったので、なんとかまとめられましたが、2010年分についても既に何らかの抜けがあるのではないかと恐れています。

また現在のところe-Statから小地域(基本単位区)(JGD2000) の境界データをダウンロードできるのは、令和2年(2020年)の国勢調査分のみです。合併を契機に国勢調査の基本単位区の番号が変わってしまっているケースや、過去と現在で基本単位区の範囲に変更があったケースなどが既にあり、基本単位区人口として絶対的に正しく検証できたといえるのは、2020年分のみであるなどの問題が既にあります。

よって2005年以前の国勢調査ベースの有人島人口までは現状では調べる気力がありません。
[109298] 2023年 11月 19日(日)02:21:50YT さん
ジョイフル&ヤオコー(八百幸)
[109297] 伊豆之国さん

その中で、[109279] でYTさんがおっしゃっているものと思われる稲城の店舗ですが、実は私は2年前にこの近くにある市の施設の改修工事の調査に行っており、その時は市役所で打ち合わせをした後、市役所の車に同乗して現地まで行ったのですが、市役所からのルートを考えると、「ジョイフル」の前を通っていた可能性が高そうですが、「ジョイフル」を見た記憶ははっきりしません…。

はい、まさにそのジョイフルです。ただ2年前当時は私は稲城市民ではなく、都県境を越えた川崎市民で、子供を遊ばせるための散歩の時によく越境して平尾団地に来てました。なおジョイフルがあるのは平尾団地から若葉台駅に抜ける大通り沿いなのですが、この大通りができたのは割と最近のことで、記憶違いでなければ若葉台方面へ抜けるトンネルが開通したは2015年前後?だったと思います。というか、ジョイフル横で交差する、栗平方面へ抜ける道ができたのも確か5年ぐらい前で、ジョイフルが出来たのも確かその後です。平尾団地の北側の再開発で、この辺りの人口は急激に増えたのですが、その結果この大通りは今では常時大渋滞となっています。

伊豆之国さんが平尾地区のどこの施設に行ったの分かりませんが、地元を良く知る住民が稲城市役所方面から平尾団地に行く場合、おそらく鶴川街道側からジョイフルの前を通る大通りを使わずに、天神通りという、昔ながらの尾根道を使うと思います。その場合はジョイフルの前をぎりぎり通らない可能性があります。

一方、「ヤオコー」の店舗検索から東京都を見ると、[109278]にある通り、特別区部には1つも店舗がありませんが、この表を見ると「八百幸 成城店」というのがあり、住所が「調布市入間町」となっています。私は以前[106033]
成城学園前駅から調布市方面へのバスに乗ったとき、車窓から「成城」を名乗るマンションなどが、住居表示板や電柱の住所表示から見て、明らかに調布市域に入る場所に何棟かあったのを見たことがありました
と書き込んでいたのですが、この「調布市にある八百幸成城店」は確かに見ており、改めて地図で確認すると、バスが通っている道路を隔ててすぐ東側は「世田谷区成城」。本当にギリギリのところで「23区外」になっていることが分かり、また、[106033]で書き込んだ通り、調布市域に「成城」を冠するマンションなどがいくつも見られることもわかります。

実はこの成城店の存在が念頭にあり、確か成城にヤオコーあったよな?と思っていたのですが、店舗自体が調布市内だったとは・・・

私は運転しないのですが、正月などに親戚が集まった時、兄などの運転する車に便乗させて貰ってます。そして成城学園にある某ファミレスに集合した際、この八百幸成城店の交差点が目印になりました。記憶違いでなければこのヤオコー、というか八百幸の店ができたのもそんなに古くはないはずです。
[109279] 2023年 11月 15日(水)02:13:29【1】訂正年月日
【1】2023年 11月 15日(水)02:23:55
YT さん
ジョイフル、ヤオコー
[109276] 伊豆之国 さん
この記事を見て、私自身がまず驚いたのは、やはり「ジョイフル」という店舗について。
東京23区に一つもないとのことですが、私の「近所にも普段の行動範囲の中でもまず見たことがなく、「業界3位の大手チェーン」てあるということはそれこそ初耳でした。

[109278] メークイン さん
また、このような記事を見てよく思うのは、「東京(城西エリア)・神奈川に存在しないと、関東全域に存在しない」と発言する事です。

横からすみません。

私は神奈川県川崎市麻生区で育ち、現在は東京都稲城市に住んでいます。おおよそ人生の85%を都県境の東京よみうりカントリークラブから半径2キロ以内に居住してきた計算になり、おそらく伊豆之国さんとは小田急線や京王線などで同じ電車に乗ったことがあるかも知れません。そんな私ですが、近くにヤオコーはありますし、ジョイフルもあります。

ただ、ヤオコーは現在使っておりますが、ジョイフルには一度も入ったことがありません。我が子の散歩でよくジョイフルの前を通りましたが、「なら今度家族でジョイフルに行こう!」とはなりませんでした。というのも、確かにそのジョイフルの店舗も車で行くような大通り沿いにあり、駅からはやや遠いからです。そう、自分は車を運転しないペイパードライバーなので、家族でのお出かけも電車中心になってしまいます。となるとファミレスを利用するにしても駅前の店舗となってしまうのです。子供はとにかくマクドナルド優先。入るとしても駅前に多いガスト、サイゼリヤ、ジョナサンとなってしまいます。よって

ジョイフルは関東でも車中心地域の出店が大半で鉄道で行かれる店は滅多にありませんね。

この分析はそれほど的外れではないと思います。

言われてみればヤオコーも、やや駅前から遠い、車に便利なところにあります。ご近所でなければ使わなかったかも知れません。

あと、年齢によっても受ける印象が違うと覆います。自分が子供のころに親の車で移動した時に使ったファミレスは、スカイラーク(正しくは平仮名で「すかいらーく」?昔のことなのでよく覚えていない)が多かった記憶がありますが、今ではありません。ほかにデニーズやロイヤルホスト、神戸屋(かなりローカル!)はよく利用しましたが、90年代になって、スカイラークがどんどんガストやジョナサンに置き換わった記憶があります。そのうちジョイフルが増えたような気がしましたが、結局今に至るまで入ったことがありません。

そう、店舗の印象は地域性のほか、その人の年齢(時代による店舗の変遷)や、生活環境の違いと変化(車中心か電車通勤通学か)によっても大分変わるかと思います。ということで地域性に加え過去何十年かのチェーン店舗数の時系列データでもあれば、より深い分析が可能かと思いましたが、ネット上にタダで転がっているデータは最新かせいぜいここ10年のものばかりで、古いデータは図書館に行かないと入手できないようです。色々面倒なのでこの分野にはこれ以上突っ込みを入れません。
[109261] 2023年 11月 12日(日)11:39:25【1】訂正年月日
【1】2023年 11月 20日(月)18:10:28 by オーナー(表組み改善)
YT さん
[109252]の補足と鹿老渡島について
[109256] オーナー グリグリさん

いろいろやることが溜まっています(変遷情報、有人島、推計人口、若年女性首長、雑学整備、都道府県データランキング更新、国勢調査更新、etc.)。歳のせいか頭の回転と体力の性能低下でご迷惑をおかけしております。気長にお待ちいただければ幸いです。実は新しい企画も検討中で、そちらに手一杯ということもあり....^^;

すみません。普段まとまった時間を作るのが難しいので、一気に有人島関連の投稿を続けます。多分これで小休止になるかと。

[109252]で投稿した「2020年・2015年・2010年の有人島別国勢調査人口」の表の内、横山島と黒島について、ウェブ上で閲覧できない新聞記事を引用しましたが、その内容について今回まとめます。

1.横山島(三重県志摩市)

島名都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
横山島三重県志摩市
(阿児町神明の一部(基本単位区0020-00230の一部))
2330.06面積出典:SHIMADAS(2019)

以下の記事から2015年10月1日頃の時点で住民は3人(夫婦と老母)と推定されます。SHIMADASで平成31年(2019年)の住民基本台帳人口が3人なのは確定していますが、「一軒の民宿を営むご夫婦だけが暮らす島 ~三重県志摩市横山島へ」(2020年3月26日デイリーポータルZ)の記事を信じる限り、既に2020年の段階で島に常住しているのは夫婦のみと読み取れるので、2010年3人、2015年3人、2020人2人と推定しました。

「島の恵み、見つけた」
(2015年9月27日 朝日新聞朝刊 名古屋 朝日プラス・シー1面)
■ただ、のんびり 究極リゾート 横山島(三重県志摩市)
大小60余の島々が浮かぶ三重県志摩市の英虞(あご)湾にいま、世界の視線が集まる。サミット開催予定地・賢島の喧噪(けんそう)の目と鼻の先に、静寂の島があった。人口3人。名を横山島という。一軒宿があり、住民は経営者一家らしい。それ以上はさっぱりわからない。
賢島の遊覧船乗り場の脇から、宿専用船で5分足らず。周囲1400メートルほどの小島についた。海岸沿いに立つ建物の屋根が大きく白ペンキで「石山荘」と主張している。不安な印象は、すぐ消えた。エントランスは多くの緑で飾られ、ハイビスカスの赤が藍色の海を渡る風に揺れている。
レトロな外見とはうらはらに、中は気持ちのいい空間だった。高い天井と木の床張りのロビー、ゆったり配置されたソファ。広いガラス窓からは、漁船がのんびり往来するのが見える。
「この島、なにもないでしょ。だからみなさん何もせず、ゆーっくりしていきます」。アジアのリゾートに通いつめた石山荘の2代目、昇さん(64)が、“ザ・昭和”の民宿を10年以上かけてアジアンリゾートに我が手で改装した。
45年ほど前、父である先代が真珠養殖の傍らに開いた。屋根の「石山荘」の文字は当時のなごり。「大事な屋号だから、母親が健在なうちは残そうかと」
細部までこだわった。視界を妨げないよう、海に面した壁はひざの高さまでで、その上は天井までガラス張り。照明はまばゆくない程度に抑える。「自然に寄り添うのが、志摩の一番の楽しみ方ですから」。旅行社にもっと上げてはと言われる宿泊料は、2食付きで1万円弱。英字ガイド本「ロンリープラネット」に紹介され、欧米の客が詰めかけたこともあるという。
バナナボートもバーベキューもない。のんびりすることに懸命に打ち込める、日本では珍しいリゾートがあった。


2.黒島(岡山県瀬戸内市)

島名区分都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
黒島岡山県瀬戸内市
(牛窓町牛窓の一部(基本単位区0870-13010の一部))
0130.10

以下の新聞記事から2010年10月1日時点では住民が3人で、2015年10月1日には1人、そして2019年の朝日新聞DIGITALの記事「最後の島民はなぜ去った?「墓を守る」願った男性は今」(2019年1月21日朝日新聞DIGITAL)」により、最後の住民が2018年中に去っって2020人には常住人口0になったことが推測されます。

「(島時間:第5便)黒島 最後の住人 いまも生かされとる」
(2012年1月7日 朝日新聞 朝刊 岡山全県1地方)
黒島(くろしま)
きしむ木の桟橋を渡る。キャベツ畑の向こうに見えるのは、島に2軒だけ残った民家。聞こえるのは波と風の音。そして、ヒヨドリの鳴く声。黒島の住人はいま3人。遠くない将来、1人になる。
牛窓港からわずか5分の距離。だが、チャーター便でしか渡れない。この島を、中上裕陽(なかうえやすはる)さん(78)は離れたことがない。誰とも話さない日がある。聴力が衰え、電話のベルや話し相手の声が聞き取りにくくなったこともある。そばにはネズミ捕りのために飼っている猫がいるだけ。一番にぎやかだったのは1970年代。6世帯約30人が、正月には餅をつき、料理を持ち寄って騒いだ。春と秋の祭りの夜は、島中に笑い声が響いた。島全体が、一つの家族のようだった。でも、一人、また一人と、櫛(くし)の歯が欠けるようにいなくなった。島の外へ出た人、亡くなった人。いたるところにあった畑は、半分以上が荒れ地になった。2001年、中上さんの妻が亡くなった。中上さんと、隣に住むいとこ夫婦が残された。80代の夫と70代の妻。この夫婦も最近、雨漏りのひどい家に耐えかね、本土に家を建てた。平日は島、週末は本土。そんなバランスもやがて、本土に傾くだろう。築約80年の中上さんの家にも、すきま風が吹く。
県内には、人口が10人以下の島がほかにも三つある。六口(むぐち)島(10人、倉敷市)、松島(4人、倉敷市)、黄島(2人、瀬戸内市)。小さい島の日常は、本土にとって「非日常」だ。黒島では、電気は自家発電。中上さんは寝る前の数時間だけ明かりをつける。夜8時に寝る生活。テレビはほとんど見ない。冷蔵庫や炊飯器はプロパンガスで動くタイプだ。水道はない。井戸水を使う。風呂は太陽熱の温水器で沸かす。郵便は本土の親類宅に届くようにしている。新聞は配達されない。ニュースはラジオで知る。中上さんは週1回、自分の船で本土を往復する。灯油や食料の買いだめ、散髪……。島でできないことを一気に済ませる。約40アールの畑で夏はカボチャ、冬はキャベツを作る。暖かい気候と島の土が育む野菜は糖度が高い。大きくした野菜を市場へ出荷するのが、何よりの楽しみだ。外周の山道に、もう人の足跡は残っていない。いまは中上さんが運転するトラクターのタイヤ痕だけ。草や竹が生い茂り、熟しすぎたイヨカンの実が道に転がる。人の気配を失って、どんどん原始の姿に戻る島。
「そりゃ、寂しいよ」
寡黙な中上さんが、ぽつりと言った。
「本土で、一緒に暮らそう」。対岸に住む長男(45)はそう言ってくれる。この正月に会った時も強く勧められた。でも、島を出る気にはならない。一緒に暮らせば、もう畑仕事をしなくなるだろう。体が動かなくなるかもしれない。張り合いをなくすかもしれない。何より、島には先祖の墓が残る。自分を守ってくれた神社が残る。頭が古いのかもしれん、とは思う。でも――。
「この島に、ここまで生かしてもらった。いまも生かされとる。お迎えがくる最後まで、島の面倒見なくちゃいけん」
決意のようにも、自分に言い聞かせているようにも、聞こえた。(藤原学思)
◇次は真鍋島へ
 <黒島>周囲約1.6キロ。干潮時に砂州が現れ、西側の中ノ小島、端ノ小島と陸続きになる。砂州を見る人のため、本土側のホテル「リマーニ」は春から秋にかけてボートを運航する。県は無料キャンプ場の「青少年の島」に指定。昨年は700人以上が訪れた。
【写真説明】キャベツ畑を歩く中上裕陽さん。海の向こうには牛窓の街並みが見える=瀬戸内市牛窓町の黒島

最後に「しまっぷ統合版」などで独立の島として採用されているものの、SHIMADASや離島統計年報などでは島として扱われていない島があるので紹介します。すなわち倉橋島と鹿島を結ぶ陸繋島である「鹿老渡島」です。調べたところ、こちらのサイトでもオーナーグリグリさんによって過去に話題になっており、まとめられていたようです([82781][82800][85771])。

島名区分都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
倉橋島安芸群島広島県呉市
(音戸町・倉橋町(鹿島を除く))
15,10616,77618,62869.46
鹿島安芸群島広島県呉市
(倉橋町の一部(基本単位区2060-21010~23020))
1862583242.63
鹿老渡島安芸群島広島県呉市
(倉橋町の一部(基本単位区2060-20010~20030))
1211341700.91面積出典:しまっぷ統合版

なお鹿老渡島の住所は実際には「倉橋町鹿老渡」のようですが、令和2年国勢調査報告書の方では小地域名に鹿老渡や鹿島を用いず、全部「倉橋町」としているので、鹿老渡島も鹿島島も「倉橋町の一部」となってしまいます。

地図で見る限り、倉橋島と鹿老渡島の間には明白に水路があり、両方の島が分けられております。にも拘わらず離島統計年報などで島として扱われていません。その理由はこの鹿老渡島が人工島の一種だからです。鹿老渡は歴瀬戸内の港として歴史的に発達した港町で、倉橋島との間の水路は、江戸時代に完成された人工的な堀であり、よって離島統計年報もSHIMADASも鹿老渡を独立した島と扱っていないのです。

【訂正】YTさんの了解を得て記事の一部修正を行いました(グリグリ)→ [109307]
[109255] 2023年 11月 11日(土)09:42:23【1】訂正年月日
【1】2023年 11月 11日(土)17:59:50
YT さん
個人的にはにいにいぜみが好き
[109247] オーナー グリグリさん

すみません。

□ん□んぜ□●

ですが、これは正しいでしょうか?
[109253] 2023年 11月 11日(土)03:14:35【4】訂正年月日
【1】2023年 11月 11日(土)03:39:08
【2】2023年 11月 11日(土)04:01:36
【3】2023年 11月 11日(土)04:03:31
【4】2023年 11月 11日(土)09:20:17
YT さん
[109241]に追加の修正点
以下主な要変更点を[109241]を含めてまとめます。

1.人口

島名都道府県市区町村項目修正前修正後備考
西表島沖縄県竹富町2020年人口2,2422,241人口推計のための住基人口を翌年1月1日付から9月30日付に変更
西表島沖縄県竹富町2015年人口2,2942,295人口推計のための住基人口を翌年1月1日付から9月30日付に変更
由布島沖縄県竹富町2020年人口1112人口推計のための住基人口を翌年1月1日付から9月30日付に変更
由布島沖縄県竹富町2015年人口2019人口推計のための住基人口を翌年1月1日付から9月30日付に変更
九州7県2015年人口12,546,68012,546,673宮崎市青島(7人)の追加による修正([109233]参照)

2.小地域区分の改訂:[109252] にまとめた通りです。

3.地域名の変更:宮城県石巻市金華島を「牡鹿諸島」に変更し、宮城県東松島市の宮戸島の地域名を空欄とする([102941]参照)。

4.岡山県岡山市の犬島の市区町村名を「岡山市東区」とする([102941]参照)。

5.宮崎県宮崎市の青島:背景色を「上記以外:SHIMADAS (2019年)などに掲載」に変更する([102941]参照)。

6.長崎県佐世保市前島・鼕泊島の2015年人口の出典をnihonshima.netからSHIMADAS(2019)に変更する([102941]参照)。

7.面積関係

島名都道府県市区町村項目修正前修正後備考
猪子島広島県大竹市面積0.130.12出典の変更([102941]参照)
猪子島広島県大竹市面積出典しまっぷSHIMADAS(2019)しまっぷ統合版閉鎖([102941]参照)
粭島山口県周南市面積0.430.50出典の変更([102941]参照)
粭島山口県周南市面積出典しまっぷSHIMADAS(2019)しまっぷ統合版閉鎖([102941]参照)
嘉弥真島沖縄県八重山郡竹富町面積出典沖縄県離島関係資料(R5)削除
(2021離島統計年報)
数値が沖縄県離島関係資料と離島統計年報とで同一なので全体を通しての離島統計年報の引用で十分
由布島沖縄県八重山郡竹富町面積出典沖縄県離島関係資料(R5)削除
(2021離島統計年報)
数値が沖縄県離島関係資料と離島統計年報とで同一なので全体を通しての離島統計年報の引用で十分

なお沖縄県竹富町の嘉弥真島・由布島の面積出典をわざわざ沖縄県離島関係資料(R5)としていましたが、改めて数値を見返したところ、これら2つに関してはどちらも2021離島統計年報記載のものと同じであり、別途引用し直す必要も無くなったので削除して構わないことになります。

改めて表を見て感じたことは、自分の感覚以上に人口減少が進んでいることですね。わずか10年ですが、本当に人口が減少している。最初ショックだったのは佐渡島の人口が江戸時代の人別改時代の記録よりも少なくなっていたことですが、よく見ると本州ですら10年で100万人弱減っており、本州が人口1億人を切るのもそう遠い日ではないことになりそうです。

【追記】最後の部分、「1億人」の漢字を修正したつもりが、「1人」のまま朝まで放置されてました!流石にそれは絶望的な未来が待ち受けないと無理!
[109252] 2023年 11月 11日(土)03:11:34YT さん
2020年・2015年・2010年の有人島別国勢調査人口と小地域区分の改訂
[109229]で予告したように一通り2020年・2015年・2010年の有人別国調人口がまとまったので、今回投稿します。これ以降はしばらく修正確認の必要はなくなるかと思います。

個人的に2003年~2021年度の離島統計年報のバックナンバー全てに目を通しましたが、[109229]で指摘したように、離島統計年報には結構間違いが多いことに気付きました。

そこで今回は、後からの検証が楽なように、すべての島について、令和2年(2020年)国勢調査報告書基準での、小地域区分をまとめました。例えば礼文島の場合、市区町村(小地域区分)欄は「礼文郡礼文町」ですが、これは礼文郡礼文町全体の人口がそのまま島の人口に相当する場合です。一方気仙沼市の大島の場合、市区町村(小地域区分)欄は「気仙沼市#(中山・浅根・廻舘・外畑・田尻・浦の浜・磯草・大初平・外浜・亀山)」となっておいますが、この場合では、気仙沼市の中のこれらの(国勢調査区分での)大字の人口の合計で島の人口が算出できます。千葉県の仁右衛門島の場合は「鴨川市(太海浜の一部(基本単位区0580-00040)」ですが、これは仁右衛門島の人口と鴨川市基本単位区0580-00040の人口が同じで、鴨川市基本単位区0580-00040は(国勢調査区分での)太海浜という大字(または小字)に含まれていることを意味します。さらに同一基本単位区が複数の島に分割されてしまっている場合は、「~の一部」と記述しました。

注意して欲しいことは、同一の基本単位区に複数の島が含まれていても、該当する島以外が無人島である可能性が高い場合、いちいち分割していません。後からこれらの無視した島が有人であることが判明した場合、修正が必要になる可能性は残っています。また基本単位区の境域データのShapeファイルがネット上に公開されているのは2020年(令和2年)分のみで、過去に遡ってその境域が保たれている保障はありません。対馬の赤島・泊島・沖ノ島の2015年人口の問題は、基本単位区の境域に微妙な変更があったことが原因であると言えます([109229]参照)。

また実際に過去に基本単位区の番号が異動している可能性があることを否定できません。例えば愛媛県今治市の比岐島の場合、2020年の境域データにおいては今治市基本単位区0280-00010が比岐島、基本単位区0280-00020が小比岐島です。実際2010年国勢調査においては基本単位区0280-00010に人口3人いますが、2015年においては基本単位区0280-00020に人口3人が計上されています。2020年基準で考えると、2010年に比岐島3人だった人口が、2015年には無人化し、そのかわり小比岐島に突然人口3人が出現したことになります。しかしながら小比岐島の航空写真を見る限り、小比岐島に集落が形成された形跡はなく、どうみてもどこかに誤りがあります。つまり2015年だけ番号が違っているのか、それとも小地域集計作成時に集計する欄を間違えてしまったのか、多分後者だとは思うのですが、はっきりと結論を出すことはできません(表では複数の基本単位区の集合体である大字名「今治村」を用いてごまかしている)。なお基本単位区の番号も普遍ではなく、一部地域では基本単位区番号から過去の人口を計算できないケースもあります。

以下島の順番は概ねritokeiの有人離島一覧に従っていますが、同一の市区町村が並ぶように一部入れ替えました。

(開く)2020年・2015年・2010年の有人島別国勢調査人口

今回、香川郡直島町の牛ヶ首島、西海市の前ノ島が追加されましたが、何れも2020年、2015年の国勢調査では無人化しています。

また沖縄県竹富町の小浜島、嘉弥真島、新城島上地、新城島下地、西表島、由布島の人口を分割・推定するに当たり、これまで沖縄県離島関係資料(R5)の住基人口を用いて按分しましたが、改めて直接竹富町の公式ホームページより9月30日現在の住基人口の情報が得られることに気付き、それにより人口推定をやり直しました。その結果、西表島、由布島の人口が微修正となりました。
[109243] 2023年 11月 7日(火)18:36:07【3】訂正年月日
【1】2023年 11月 7日(火)18:53:56
【2】2023年 11月 7日(火)20:45:44
【3】2023年 11月 8日(水)11:04:50
YT さん
北方領土の島別人口(2021年ロシア国勢調査による)
[109238] 未開人 さん

日本の有人島一覧の企画は非常に見応えがあります。YTさん、グリグリさん、ありがとうございます。一つだけ注文をつけるとすれば、北方領土の扱いでしょうか。一応日本が保有する有人島ですが、人口の推計ができないのでどう扱うべきか。

一応2021年にロシアで実施された国勢調査人口を元に、島別推定人口は算出できます。ただ自分はロシア語は読めないので、無理やり英語に翻訳して判断しています。各村の人口に離島が含まれているかどうかまでは分かりません。南クリル管区下の1市9村は、国後島に1市7村(ユジノ=クリリスク市(古釜布)6991人、ブローヴァ・ルドニー村(シベトロ)1人、ゴロヴニノ村(植内)153人、ドゥボヴォエ村(泊)84人、ジャスタヴァ・ドクチャエヴァ村(ルルイ)0人、マヤク・ロフツォフ村(安渡移矢)0人、メンデレーエヴォ村(東沸)40人、オトラダ村(近布内)414人)、色丹島に2村(クラバザヴォーツク村(穴澗)1515人、マロクリリスク村(斜古丹)2285人)設置されており、歯舞群島は無人扱いであるかのようにみえます。そしてクリル管区下の1市6村(クリリスク市(紗那)2530人、ブレヴェスニク村(天寧)30人、ゴルノイエ村816人、ゴリャチエ・クリュチ村(瀬石温泉)2030人、キトヴィ村(内岡)489人、レイドヴォ村(別飛)976人、ルイバキ村(有萌)3人)は全て択捉島にあり、それよりも北方の島(新知島、武魯頓島、知理保以島、得撫島)は無人島扱いであるかのようにみえます。

面積は日本の国土地理院のものを用いています。

島名ロシア国勢調査人口
(2021年10月15日
~11月14日)
ロシア国勢調査人口
(2010年10月14日
~10月25日)
日本の国土地理院
公表の面積
(2021年10月1日)
(km2)
人口密度
(2021年)
(人/km2)
備考
色丹島3,8002,820247.6515.34南クリル管区マロクリリスク村・クラバザヴォーツク村
国後島7,6836,6811,489,275.16南クリル管区(色丹島の2村を除く)
択捉島6,8747,3593,166.642.17クリル管区

ただベースとなる人口調査の方法も日時も違いますし、これはあくまで参考値に留めるべきものでしょう。

【追記】折角なので2010年のロシア国勢調査人口も追加しました。サハリン州全体では人口減少が進んでいますが、色丹島・国後島を含む南クリル管区は人口が増えているようです。ただしソ連崩壊時の1989年の人口(13,597人)までは回復していません。
【追記】市、村のロシア名とおおよそ対応する日本名を追加、表の順番を判り易く変更
[109241] 2023年 11月 7日(火)00:33:35【4】訂正年月日
【1】2023年 11月 7日(火)00:36:08
【2】2023年 11月 7日(火)03:41:36
【3】2023年 11月 7日(火)16:18:07
【4】2023年 11月 7日(火)21:44:55
YT さん
「しまっぷ統合版」の閉鎖問題
[109235] オーナーグリグリさん

追加情報をありがとうございました。いただいた情報を元に更新しましたのでご確認いただければと思います。なお、[109233]の青島はそのまま追加しましたが、鴎島については「■除外した法律指定外離島の項目」への追加が妥当と判断しました。また、出典資料として「ritokei」は削除し、「SHIMADAS (2019年)」を追加しました。

ありがとうございます。

すみませんが、追加で以下の修正をお願いします。

17.宮城県石巻市の金華島:現在地域名は空欄となっておりますが、「牡鹿諸島」に変更をお願いします。
18.宮城県東松島市の宮戸島:現在地域名は「牡鹿諸島」となっておりますが、こちらはむしろ空欄にして下さい。
75.岡山県岡山市東区の犬島:現在市区町村名は「岡山市」となっておりますが、「岡山市東区」に修正をお願いします。
344.宮崎県宮崎市の青島:背景色を「上記以外:SHIMADAS (2019年)などに掲載」に変更をお願いします。

また現在下の2つの島の平成27年国調人口の情報源としてWeb上のnihonshima.netを使っておりますが、どちらもSHIMADAS(2019)に平成27年島別国調人口が掲載されており、引用をSHIMADASに一本化できます。

265.前島:nihonshima.netのWeb情報と→SHIMADAS(2019)の情報(平成27年72人) と
266.鼕泊島:nihonshima.netのWeb情報と→SHIMADAS(2019)の情報(平成27年72人) と

また面積については修正するべきかどうか、まだ議論が必要かも知れませんが、後述するように第六管区海上保安本部がまとめた「しまっぷ統合版」が閉鎖してしまったため、以下の2島は面積(及び人口密度)の変更が必要かも知れません。

119.広島県大竹市の猪子島:面積を0.13 km2から0.12 km2に変更し、面積出典をしまっぷからSHIMADAS(2019)に変更する。
137,山口県周南市の粭島:面積を0.43 km2から0.50 km2に変更し、面積出典をしまっぷから山口県統計年鑑(H19)に変更する。

「しまっぷ統合版」ですが、現在は辛うじてWebArchiveの方でその内容を確認できます。


ところで、SHIMADAS (2019年) は私も以前から所持していますが、面積については注意が必要かもしれません。周南市の粭島の面積が3.33km2と明らかに間違っています。[97639] ekinenpyouさんの資料ページから辿れる説明、島面積の出典は「山口県のしまっぷ」による、H27面積調(1km2以上の島)に掲載なし(山口県統計年鑑H19年刊までは0.5km2だったが、H20年刊以降は3.33km2となっており誤りと推測)から0.43km2が正しいのは間違いありません。粭島の誤りは特異例かもしれませんがSHIMADAS利用の際に注意は必要と思います。

まずSHIMADASを出版しているところは日本離島センターであり、離島統計年報と同じところですので、SHIMADAS自体はむしろ公的な情報源に近いと考えられます。その上で、現時点で国土地理院の令和2年全国都道府県市区町村別面積調、2021離島統計年報以外の文献等を出典として面積を採用している島を有人島一覧の現状のリストから抽出してまとめてみると以下の通りです。

(開く)有人島一覧掲載の島の内、令和2年全国都道府県市区町村別面積調、2021離島統計年報を出典とする面積を採用しなかったもの

千葉県統計年鑑、神奈川県県勢要覧、三重県統計書、岡山県統計年報、熊本県統計年鑑に関しては、私自身昭和30年頃までバックナンバーを確認しましたが、島嶼部の面積の記載がありません。よって現状SHIMADASが最も公的な数字です。

なお、岡山県笠岡市の大飛島の面積に関しては、2021離島統計年報掲載の1.05 km2(平成27年国調時)が、令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に1 km2以上の面積を有する島としては未掲載の時点で微妙に誤りということで、ほかの面積を採用しています。こちらは第六管区海上保安本部がまとめた「しまっぷ統合版」にも掲載がありますが、現状の有人島一覧のリストでは、しまっぷ統合版掲載の面積(0.97 km2)ではなく、SHIMADAS(2019)掲載の面積(0.96 km2)を採用しています。同じ出版元ながら、SHIMADASと離島統計年報の間で数字が異なる事例の一つです。

徳島県海部郡海陽町の竹ヶ島に関しては、SHIMADAS(2019)掲載の面積1.30 km2は、令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に1 km2以上の面積を有する島としては未掲載の時点で誤りです。徳島県統計書の方は平成17年版まで1 km2未満の島の面積を確認でき、こちらを出典とする面積(0.40 km2)を現状の有人島一覧の方では採用しています。

高知県の中ノ島と戸島の面積は、元々2021離島統計の方にも面積が掲載されていましたが(0.23 km2と0.11 km2)、ekinenpyouさんが指摘されているように実際の島の形状に比べて面積の逆転の問題が発生しています。高知県統計書の方は昭和61年版まで1 km2未満の島の面積を確認でき、現状の有人島一覧ではこちらを出典とする面積を採用しています(0.18 km2と0.37 km2)。なおSHIMADAS(2019)掲載の面積と2021離島統計年報掲載の面積は全く同一であり、出版元の日本離島センターによって誤った面積データが共有されていることが示唆されます。

長崎県の島々は、SHIMADAS(2019)掲載の面積も長崎県統計年鑑(H28)掲載の面積もほぼ同じですが(長崎県統計年鑑の方は小数点以下第3位まで数字が示されている)、島の人口を分割する情報の根拠として用いる数値(平成27年国調ベース)が概ね長崎県統計年鑑(H28)に依拠しているので、これは現状のままで良いかも知れません。ただ現状では少数点以下第三位を四捨五入してしまっているので、すべてSHIMADAS(2019)に統一した方が正確かも知れません。

沖縄県の島々は、SHIMADAS(2019)掲載の面積も沖縄県離島関係資料(R5)掲載の面積も全く数字ですが、住基人口の情報の一部が沖縄県離島関係資料(R5)に依拠しているので、これも現状のままで良いかも知れません。なお豊見城市の瀬長島については、沖縄県離島関係資料(R5)にも沖縄県統計年鑑(R4)にもリストアップされていないので、面積のデータはSHIMADAS(2019)の引用となります。その意味では、沖縄県のこれらの面積の出典元を全てSHIMADAS(2019)に統一した方が判り易いかも知れません。

広島県大竹市の猪子島に関しては、平成13年以前の広島県統計年鑑では0.10 km2、平成14年~平成19年の広島県統計年鑑では0.12 km2が掲載されていますが、実のところ前者の引用元は「日本島しょ一覧(改訂版)」((財)日本離島センター)、後者の引用元はSHIMADAS(2019年以前の版)であり、すべて結局のところ離島統計年報を出版している日本離島センターが情報源です。現状の有人島一覧ではしまっぷ統合版を引用して0.13 km2としておりますが、現状しまっぷ統合版のサイトが閉鎖されてしまったので、SHIMADASの0.12 km2に変更した方が良いかも知れません。

最後に山口県統計年鑑ですが、平成19年以前の版では周南市粭島の面積0.5 km2、下関市竹ノ子島の面積0.2 km2と、小数点以下第1位までしか示されておりません。一方平成20年以降は、SHIMADAS(2019年や2019年以前の版)を引用するようになった結果、粭島の面積は3.33 km2、竹ノ子島の面積は0.18 km2と、SHIMADASと同じ数値が掲載され続けております。粭島の面積に関しては、令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に1 km2以上の広さの島としては未掲載の時点で誤りです。しかしながらその場合、粭島の面積としてしまっぷ統合版、山口県統計書(H19)のどちらを採用するべきかという問題が発生します。現状のリストでは、粭島の面積としてサイトが消滅してしまっているしまっぷ統合版を引用して0.43 km2としておりますが、SHIMADASを引用する前の山口県統計書(H19)を出典元とするとなると、0.43 km2→0.50 km2への修正が発生します。

下関市の竹ノ子島についてはしまっぷ統合版の対象外となり、現状ではSHIMADAS(2019)の数値(0.18 km2)を引用しています。

改めて第六管区海上保安本部がまとめた「しまっぷ統合版」掲載の面積情報を、令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)、2021離島統計年報、SHIMADAS(2019)と比較してまとめてみました。有人島のほか、1 km2以上の大きさの無人島(離島統計年報の対象外)も含めてまとめています。

(開く)令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)・2021離島統計年報・SHIMADAS(2019)・しまっぷ統合版の面積比較

並べてみると分かりますが、しまっぷ掲載の面積は令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)掲載の面積とも大分異なるものが多いようです。

※面積は、六管区本部が独自に計算した、あくまでも参考値です。

ということで、おそらく地図などから算出したのでしょうが、いくら桁が多いからと言って全面的にその数値の有効を信用してはいけません。何より第六管区本部がサイトを消してしまったことにより、数字の算出方法に問題があったように見えます。

というわけで、現在の面積のうち、しまっぷ統合版を出典とする2島(粭島、猪ノ子島)の面積と出典を、それぞれ0.50 km2(山口県統計年鑑(H19))、0.12 km2(SHIMADAS(2019))に変更した方が良いのではないかと考えるに至りました。

【訂正】数字の間違いなど色々修正。

【追記】採用する面積の優先順位をまとめると:

1.令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)
2.2021離島統計年報【ただし、1.令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に未掲載なのに1 km2以上の面積が掲載されている場合や、面積情報に矛盾が見られる場合は採用しない。】
3.地方統計書【ただしSHIMADASなど、日本離島センターが提供する面積に依拠する場合は採用しない。】
4.SHIMADAS(2019)

3と4の優先順位を交換した場合、2021離島統計年報に漏れている長崎県と沖縄県の島々の面積が一通り「面積出典:SHIMADAS(2019)」となります。

なお岡山県笠岡市の六島(1.02 km2)および大分県佐伯市の深島(1.10 km2)は、令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に未掲載であるにも関わらず、離島統計年報掲載の面積が1km2以上ですが、他の数字が得られていないので、現状では離島統計年報掲載の面積を採用しています。大分県統計年鑑も、平成26年度版まで深島の面積を1.10 km2(離島統計年鑑、SHIMADASと同じ)、平成27年度版以降は1 km2未満除外扱い(全国都道府県市区町村別面積調引用)で面積が掲載されていません。
[109233] 2023年 11月 2日(木)15:18:41【4】訂正年月日
【1】2023年 11月 2日(木)15:27:16
【2】2023年 11月 2日(木)15:50:14
【3】2023年 11月 2日(木)15:51:16
【4】2023年 11月 3日(金)01:14:39
YT さん
追加修正(SHIMADASで有人離島という扱いをされている鴎島、青島の追加)
[109222] オーナーグリグリさん

以上、日本の有人島一覧、ほぼ完成ということになりましたが、お気付きの点があれば今後ともよろしくお願いいたします。

[109229] 自分の投稿

現在SHIMADASを注文しており、入手次第改めてリスト漏れの有人島の可能性を検討し、人口の再確認を行います。

先程図書でSHIMADAS(2019年発売)を閲覧しましたが、幾つかの有人島を無人島扱いにするなど、色々抜けがありますね。

とりあえずSHIMADASで有人島扱いをしていた2島を追加すると、以下のような修正となります。

ただし北海道の鴎島は本土と埋め立てられており、扱いが微妙です。現状では鴎島はリストに載せるだけで、北海道の人口はそのままにした方が良いかも知れません(琵琶湖の沖島と同じ扱い)。

島名都道府県市区町村人口
2020
人口
2015
面積備考
鴎島北海道檜山郡江差町470.30字鴎島、面積出典:SHIMADAS
北海道北海道5,214,7915,370,64777,984.49(鴎島を別扱いにするのであれば)
北海道北海道5,214,7955,370,65477,984.49注:北海道檜山郡江差町の鴎島を含む
青島宮崎県宮崎市770.86青島二丁目の一部(基本単位区1430-02130)、面積出典:SHIMADAS
九州7県12,346,99112,546,67336,782.38新島(2015年:2人)、青島(2020年・2015年:7人)の修正に伴うもの

【追記】鴎島に関しては、以下の「■除外した法律指定外離島の項目」に、例えば「またSHIMADASに掲載の有人離島の内、北海道檜山郡江差町の鴎島も同様の理由により本表から除外。」のような説明を追記するだけでも良いかも知れません。とりあえず現状で[109229]に追加して修正する必要があるのは宮崎市の青島です。

■除外した法律指定外離島
上記の法律指定外離島のうち、島根県松江市の田島(大根島に接続)、香川県坂出市の瀬居島と沙弥島(四国本土に接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本土に接続)などは、ほぼ完全な埋め立てで独立した島ではなくなった地域として、本表からは除外。

【追記の追記】現在、仁右衛門島、城ケ島、江の島、賢島、横山島、大飛島、竹ノ子島、野牛島、瀬長島の面積の出典をネット上のritokeiにしていますが、これらは全てSHIMADAS(2019年)で採用されている面積と同一なので、ritokei にない青島を含め、出典は全てSHIMADAS(2019年)に統一可能です。
[109229] 2023年 11月 1日(水)20:30:39【3】訂正年月日
【1】2023年 11月 1日(水)20:42:09
【2】2023年 11月 1日(水)20:59:33
【3】2023年 11月 1日(水)21:04:28
YT さん
対馬の赤島・泊島、鹿児島の新島・馬毛島・種子島、九州の2015年の人口の修正
[109222] オーナーグリグリさん

以上、日本の有人島一覧、ほぼ完成ということになりましたが、お気付きの点があれば今後ともよろしくお願いいたします。

すみません。2015年の有人島別人口などについて、再度追加で間違いが見つかったので報告します。
2010年(平成22年)の国勢調査であれば、四国や九州本土と国勢調査の基本単位区を共有する島について分割データが揃っているので、正確な人口が求まると思い、追加で色々作業をしていたのですが、その過程で間違いに気づきました。

1.2015年人口等の修正

修正前
#島名都道府県市区町村人口
2020
人口
2015
246赤島長崎県対馬市2521
247泊島長崎県対馬市922
354新島鹿児島県鹿児島市20
355種子島鹿児島県西之表市・熊毛郡中種子町・熊毛郡南種子町27,69029,847
356馬毛島鹿児島県西之表市20
377九州7県12,346,99812,546,682

修正後
#島名都道府県市区町村人口
2020
人口
2015
246赤島長崎県対馬市2534
247泊島長崎県対馬市99
354新島鹿児島県鹿児島市22
355種子島鹿児島県西之表市・熊毛郡中種子町・熊毛郡南種子町27,69029,845
356馬毛島鹿児島県西之表市22
377九州7県12,346,99812,546,680

2.島名欄背景色の追加

#島名都道府県市区町村島名欄背景色
119猪子島広島県大竹市 「上記以外」

3.脚注の説明の修正

#島名都道府県市区町村修正前修正後
153大毛島徳島県鳴門市※注:鳴門町土佐土佐泊浦・三ツ石(高島を除く)※注:鳴門町土佐泊浦・三ツ石(基本単位区0030-03040を除く)
155島田島徳島県鳴門市瀬※注:瀬戸町堂浦・大島田・室・撫佐・小島田・中島田・北泊の一部(基本単位区0040-03140)・堂浦の一部(基本単位区0040-02200)※注:瀬戸町大島田・室・撫佐・小島田・中島田・北泊の一部(基本単位区0040-03140)・堂浦の一部(基本単位区0040-02200)

4.また、離島統計年報の数字とも異なる点が生じたので、以下の脚注の説明の追加を行った方が良いと思います。

#島名都道府県市区町村脚注
52沖島滋賀県近江八幡市※注:沖島町(基本単位区0820-00030を除く)
118阿多田島広島県大竹市※注:阿多田島
246赤島長崎県対馬市※注:美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00080,平成27年は基本単位区0600-00090の一部を含む)
平成27年は2016離島統計年報を元に修正
247泊島長崎県対馬市※注:美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00090,平成27年は基本単位区0600-00090の一部)
平成27年の人口は2016離島統計年報
248沖ノ島長崎県対馬市※注:美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00060~00070)
354新島鹿児島県鹿児島市※注:新島町
356馬毛島鹿児島県西之表市※注:馬毛島
397前島沖縄県島尻郡渡嘉敷村※注:字前島の一部(基本単位区0030-00020)

まず、鹿児島市の新島と西之表市の馬毛島ですが、2021離島統計年報には記載があるものの、2016年~2020年の離島統計年報には記載がありませんでした。しかしながら2015年以前の離島統計年報には、新島と馬毛島の名前が載っております。

島名都道府県市区町村人口
2020
人口
2015
人口
2010
人口
2005
人口
2000
備考
新島鹿児島県鹿児島市2【2】4512
馬毛島鹿児島県西之表市2【2】111502000年国調では0だが住民登録では有人(13人)

そこで念のため、2015年(平成27年)の国勢調査での小地域集計によって新島と馬毛島の2015年の人口を確認したところ、どちらも2020年(令和2年)と同じ2人でした!つまり2015年国調相当のデータが掲載されるはずの5年間、離島統計年報は新島と馬毛島の数字を欠落させてしまっていたのです。

この新島と馬毛島の2015年(平成27年)の人口を0人から2人修正するに伴い、種子島と九州の人口はそれぞれ2人減る方向に修正となります。

また[109221]でも触れた対馬の赤島、泊島、沖ノ島の人口問題について、改めて対馬全域について、過去の離島統計年報、長崎統計年鑑(データがあるのは2010年まで)、および国勢調査の基本単位区の年度ごとの数字を比較してみたところ、以下の通りとなりました。

島名元文献等人口
2020
人口
2015
人口
2010
人口
2010
人口
2000
対馬島離島統計年報28,37431,30134,23038,30141,016
対馬島長崎県統計年鑑34,23038,30141,016
海栗島離島統計年報5164705262
海栗島長崎県統計年鑑705262
基本単位区対馬市1220-00020(上対馬町鰐浦)国勢調査51647052
基本単位区上対馬町0180-00020(上対馬町大字鰐浦)国勢調査62
赤島離島統計年報2513464758
赤島長崎県統計年鑑464758
泊島離島統計年報99101215
泊島長崎県統計年鑑101215
基本単位区対馬市0600-00080(美津島町鴨居瀬)国勢調査25213130
基本単位区美津島町0220-00080(大字鴨居瀬)国勢調査31
基本単位区対馬市0600-00090(美津島町鴨居瀬)国勢調査9222530
基本単位区美津島町0220-00090(大字鴨居瀬)国勢調査42
上記2基本単位区の合計国勢調査3443566073
沖ノ島離島統計年報1839213241
沖ノ島長崎県統計年鑑213241
基本単位区対馬市0600-00060(美津島町鴨居瀬)国勢調査16151624
基本単位区美津島町0220-00060(大字鴨居瀬)国勢調査34
基本単位区対馬市0600-00070(美津島町鴨居瀬)国勢調査2358
基本単位区美津島町0220-00070(大字鴨居瀬)国勢調査7
上記2基本単位区の合計国勢調査1818213241
島山島離島統計年報2531303738
島山島長崎県統計年鑑303738
基本単位区対馬市0500-00010(美津島町島山)国勢調査25313037
基本単位区美津島町0120-00010(大字島山)国勢調査38

2020年の境界データを見る限り、対馬市の基本単位区0600-00080が赤島、0600-00090が泊島に対応しています。ところが2015年以前のデータでは泊島⊂0600-00090となっております。これはどうしてなのでしょうか?

改めてekinenpyouさんが揃えてくれた2015年の境域データを参照したところ、2015年と2020年の間で、基本単位区0600-00080と基本単位区0600-00090の範囲に変化があったことが確認されました。2020年の国勢調査時では、対馬市の基本単位区0600-00080が赤島、0600-00090が泊島に対応していましたが、2015年以前の段階では、基本単位区0600-00090が、泊島と、泊島の北東に隣接する小高い山(漁業協同組合の建物など)を含んでいることがわかりました。2000年~2010年の人口(長崎統計年鑑とも一致)からも加味して、2015年の泊島の人口は離島統計年報の9人、赤島は基本単位区0600-00090の残り(13人)と基本単位区0600-00080(21人)を含む34人を採用するのが妥当と判断しました。一方で離島統計年報記載の2015年の赤島と沖ノ島の人口はやはり誤りで、基本単位区0600-00090の13人を誤って沖ノ島の人口に加算してしまったことが原因と考えられます。

なお離島統計年報や長崎統計年鑑記載の2005年の赤島(24世帯47人)と泊島の人口(3世帯12人)の合計(27世帯59人)が、基本単位区0600-00080(14世帯30人)と基本単位区0600-00090(13世帯30人)の合計(27世帯60人)よりも1人少ないというエラーがあります。これに関して対馬本島に基本単位区0600-00080または基本単位区0600-00090の飛び地があったかの可能性も考えましたが、世帯数の方では合計が一致しているので、多分赤島と泊島に人口を分割する際に1人カウントミスをしてしまったのでしょう。

現時点で2010年の日本の有人島別人口も一応はまとまめたのですが、このように離島統計年報自体に誤りが色々あり、このほか有人島を見落としている可能性もあります。現在SHIMADASを注文しており、入手次第改めてリスト漏れの有人島の可能性を検討し、人口の再確認を行います。
[109221] 2023年 10月 30日(月)15:44:47【4】訂正年月日
【1】2023年 10月 30日(月)15:48:32
【2】2023年 10月 30日(月)15:55:05
【3】2023年 10月 30日(月)15:59:18
【4】2023年 10月 30日(月)16:43:56
YT さん
日本の有人島一覧(人口・面積等)追加訂正 (中ノ島・戸島(須崎市)・四国・高島(長崎市)・九州)
[109220] オーナーグリグリさん

[109215]を投稿するにあたり、2021離島統計年報は閲覧しましたが、それ以前の離島統計年報には目を通しておりませんでした。そのため[109215]で2020年(令和2年)国調人口が判明している離島振興法等指定離島の2015年(平成27年)国調人口については、元文献の数字を自分では確認していませんでした。

そこでさきほど2020離島統計年報やそれ以前の離島統計年報を確認したところ、2015年の国調人口として間違った数字を掲載してしまったものがあり、さらに推計人口について追加情報による修正がありましたので、以下まとめます。

1. 訂正 (長崎市高島の2015年国調人口訂正、須崎市の中ノ島・戸島の2020年・2015年国調人口の推計のやり直し、それにともなう四国・九州の人口訂正)

訂正前
#島名都道府県市区町村人口
2020年
人口
2015年
面積
(km2)
人口密度
(人/km2)
備考
219中ノ島高知県須崎市20230.18111nihonshima.netのWeb情報 (平成12年43人) と基本単位区0350-00080 (平成12年124人) の人口比より令和2年・平成27年の人口を推定
220戸島高知県須崎市390.378nihonshima.netのWeb情報 (平成12年16人) と基本単位区0350-00080 (平成12年124人) の人口比より平成27年の人口を推定
令和2年の人口は個人ブログにおいて令和元年時点で3人という情報による (人口比の計算からは7人)
225四国4県3,627,2923,769,01618,297.37198
286高島長崎県長崎市3243201.19272
377九州7県12,346,99812,546,74436,782.38336

訂正後
#島名都道府県市区町村人口
2020年
人口
2015年
面積
(km2)
人口密度
(人/km2)
備考
219中ノ島高知県須崎市16180.18892016離島統計年報 (平成22年23人) と基本単位区0350-00080 (平成22年86人) の人口比より令和2年・平成27年の人口を推定
220戸島高知県須崎市370.3782016離島統計年報 (平成22年9人) と基本単位区0350-00080 (平成12年124人) の人口比より平成27年の人口を推定
令和2年の人口は個人ブログにおいて令和元年時点で3人という情報による (人口比の計算からは6人)
225四国4県3,627,2963,769,02318,297.37198
286高島長崎県長崎市3243821.19272
377九州7県12,346,99812,546,68236,782.38336


すみません。まず長崎市の高島の2015年国調人口に関しては、単純に他資料からの数字の写し間違いです。長崎県長崎市の高島の2015年国調人口を、320人から382人に修正します。同時に九州の2015年国調人口も12,546,744人から12,546,682人に修正となります。2020年の国調人口自体には修正はないので、人口密度に変化はありません。

一方須崎市の中ノ島・戸島に関しては、

[109219] の方で

ところがnihonshima.netの方には、平成12年、平成7年の中ノ島・戸島の人口が掲載されています。今回こちらの平成12年の数字を、令和2年の人口推定に用いました。結局nihonshima.netの数字の引用元がはっきりしませんが、離島統計年報のバックナンバーなどと推察します。

と書きましたが、改めて2016年以前の離島統計年報を確認したところ、なんと2010年、2005年、2000年の中ノ島・戸島の国調人口が、法律指定外離島として掲載されていることが判りました。結局nihonshima.netの数字も離島統計年報のものと同じです。2015年以降については島別の国調人口の掲載を止めてしまったようです。前の計算結果と比較すると、前の版で2000年の人口を元に2015年の推定人口として出した23人、9人というのは、2010年の実際の国調人口と一致し、島の過疎化は加速していました。

島名人口
2020年
人口
2015年
人口
2010年
人口
2005年
人口
2000年
中ノ島233643
戸島9816
須崎市基本単位区0350-00080586786100124

改めて2016離島統計年報記載の中ノ島・戸島の2010年国調人口を元に、中ノ島の2020年・2015年の推計人口、戸島の2015年の推計人口を算出し直しました。それにともない四国の2020年・2015年の推計人口も微増修正となります。また中ノ島の2020年国調人口が減ったことにより人口密度も減ります(四国の方は誤差範囲)。

2. 2020離島統計年報掲載の2015年(平成27年)国調人口が明らかに間違っているもの

島名都道府県市区町村2020離島統計年報記載の
2015年国調人口
YTによる修正値備考
沖島滋賀県近江八幡市287273※沖島町(基本単位区0820-00030を除く)
赤島長崎県対馬市1321※美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00080)
泊島長崎県対馬市922※美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00090)
沖ノ島長崎県対馬市3918※美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00060~00070)
渡嘉敷島沖縄県島尻郡渡嘉敷村730728
ナガンヌ島沖縄県島尻郡渡嘉敷村2※前島の一部 (基本単位区番号0030-00030)
ナガンヌ島は2020離島統計年報に記載なし

実はこれらは全てekinenpyouさんが違和感を記述していたので、事前に織り込み済みで修正していまました。

琵琶湖の沖島は近江八幡市沖島町にありますが、これは陸地側の基本単位区0820-00030(令和2年22人・平成27年14人)を含みます。2020離島統計年報掲載の2015年国調人口は、がっつりこの14人を加算した287人が示されており、明確に間違いです。2021離島統計年報掲載の202年国調人口年分については、きっちり22人が除外されています。

対馬の沖島・赤島・泊島の2015年国調人口については、2020離島統計年報などで何でこのような集計の間違いを犯したのかはよく分かりません。集計する過程で、先に対馬島全体の人口を計算したあと、その後修正する過程でうっかり赤島分21人の男13人、女9人をそれぞれ赤島と泊島の総人口としてしまい、差分を沖ノ島の人口に含めてしまったとか?2021離島統計年報掲載の2020年国調分については、正しい処理がなされています。

島尻郡渡嘉敷村の渡嘉敷島については、2020離島統計年報では島尻郡渡嘉敷村の2015年(平成27年)の国調人口730人をそのまま渡嘉敷島の2015年国調人口にあてはめてしまっています。しかしながら実際には2015年国調人口では島尻郡渡嘉敷村字前島の一部に相当するナガンヌ島に2人おりますので、明確に誤りです(字前島はナガンヌ島よりも前島がメインですが、こっちは2015年国調人口は0人で、住基人口では前島もナガンヌ島も有人となっています)。2021離島統計年報掲載の島尻郡渡嘉敷村の2020年国調人口については、ナガンヌ島も前島も国勢調査の上では無人化していて正しい数字になっています。

3. 2020離島統計年報において、離島を分離していない処理がなされているもの。

島名都道府県市区町村2020離島統計年報記載の
2015年国調人口
YTによる修正値備考
阿多田島広島県大竹市252251
猪子島広島県大竹市1離島統計に記載なし

これは微妙な問題です。ekinenpyouさんの指摘により猪子島の人口1人を阿多田島の人口から分離したのですが、改めて2020離島統計年報を閲覧したところ、阿多田島の人口は252人となっていました。2021離島統計年報掲載の2020年国調人口分については、猪子島自体が無人化していてどっちの解釈でも問題ない数字になっています。

あと、271 竹ノ島、273 前島、274 鹿島などで、「離島統計年報」が「離島統統計年報」となっていた箇所があります。これは自分の作成した資料の方での誤記が原因なので申し訳ありません。

【重要な訂正】:長崎市高島の2015年国調人口は382人です。386人と最初の投稿で書いてしまいましたが、382人の間違いです!

結果として本土(四国・九州)と離島で国勢調査の基本単位区で人口を分離できない島について、2010年以降の国調ベースの分割データが全て揃うこととなり、さほど無理やりな推定人口でもなくなったようです。
[109219] 2023年 10月 30日(月)00:31:51【1】訂正年月日
【1】2023年 10月 30日(月)00:42:38
YT さん
日本の有人島一覧(人口・面積等)
[109218] オーナーグリグリさん

今回は忘れないようにすぐに取り掛かりました。[109215] YTさんの記事をもとに取り急ぎ編集しましたので、解釈ミスや間違いがあると思います。ご確認いただければ助かります。→ YTさん

ありがとうございます。ただ、私が【】付きで示した、人口推定を行った島の一部については、区分の色が抜けてしまっています。

以下は「法律指定外離島」です。

73 黒島 (岡山県瀬戸内市)
219 中ノ島 (高知県須崎市)
220 戸島 (高知県須崎市)
271 竹ノ島 (長崎県西海市)
273 前島 (長崎県西彼杵郡時津町)
274 鹿島 (諫早市)
336 黒島 (大分県臼杵市)

以下は「上記以外」になります

49 賢島 (三重県志摩市)
50 横山島 (三重県志摩市)
265 前島 (長崎県佐世保市)
266 鼕泊島 (長崎県佐世保市)
281 南串島 (長崎県西海市)

また、265前島と266 鼕泊島の平成27年の人口(それぞれ72人、64人)のソースは「2021離島統計年報」記載ではなく、nihonshima.netです。ただ合算した数字にあたる136人は、平成27年国勢調査における佐世保市内の基本単位区2750-00040の人口136人とも一致したので、何等かの公的な数字に基づくと思われます。

参考までに長崎県統計書では平成28年版まで、「島しょ一覧」という項目があり、島ごとに国勢調査人口が示されていました。平成28年版に掲載されていたのは平成22年10月1日現在の人口(でも面積の方は平成27年10月1日現在となっている)です。残念ながら平成29年度版以降は、1km2以上の面積の島の情報のみで、また島嶼の詳しい人口の情報も掲載されなくなりました。

参考までに長崎県統計書(平成28年)から関連する島嶼の情報を以下にまとめます。

市町島名面積(平成27年10月1日現在)世帯数(平成22年10月1日現在)人口(平成22年10月1日現在)
佐世保市前島0.3092368
佐世保市とう泊島0.0982176
西海市竹島0.08024
西海市南串島0.6853298
諫早市鹿島0.15838
西彼杵郡前島0.26325
新上五島町中通島168.3108,74020,159
新上五島町桐小島0.04038

この内、中通島と桐小島の方は2021離島統計年報に令和2年国勢調査人口の数字が記載されています。
竹ノ島(長崎県統計書では「竹島」表記)、前島、鹿島については2021離島統計年報に平成27年国勢調査人口の数字が記載されていますので、令和2年については人口推定を行いましました。
前島と鼕泊島(長崎県統計書では「とう泊島」表記)については、nihonshima.netの方に平成27年国勢調査人口の数字が見つかりましたので、令和2年については人口推定を行いましました。
南串島だけは、2021離島統計年報に情報がなく、平成22年の人口から令和2年、平成27年の人口を推定しました。

なお、長崎県統計書と同様に高知県統計書の方でも過去に島嶼別人口が掲載されていましたが、こちらは平成3年度版までで島嶼毎の人口の記載が終了し、平成4年以降は面積1km2以上の島のみ掲載と情報が劣化しています。高知県統計書(平成3年)における関連する島のデータは以下の通りです。

所属地名周囲(km)面積(km2)世帯数(平成2年10月1日現在)人口(平成2年10月1日現在)総数
中ノ島須崎市多ノ郷1.690.213532330
戸島須崎市多ノ郷2.820.14241212

小地域統計が公開されているのは平成7年の国勢調査以降なので、残念ながら平成2年の人口からは、市の総人口に対する各島の人口の割合を使って人口を推定する必要となっていまいます。ところがnihonshima.netの方には、平成12年、平成7年の中ノ島・戸島の人口が掲載されています。今回こちらの平成12年の数字を、令和2年の人口推定に用いました。結局nihonshima.netの数字の引用元がはっきりしませんが、離島統計年報のバックナンバーなどと推察します。

ところで、企画名称は「日本の有人島一覧(人口・面積等)」の方がよかったでしょうか。変更しようと考えています。

これに関しては「有人島」と明記した方がより正確だと思います。
[109215] 2023年 10月 29日(日)00:48:02【3】訂正年月日
【1】2023年 10月 29日(日)00:56:08
【2】2023年 10月 29日(日)02:13:35
【3】2023年 10月 29日(日)02:56:54
YT さん
令和2年、平成27年の有人島別国勢調査人口
ekinenpyouさんが[97639]で有人離島の情報をまとめられてから、すでに4年半も経っていますが、先日図書館で『2021 離島統計年報 CD-ROM版』を閲覧する機会に恵まれました。本書には、離島振興法などに指定された離島の令和2年の国勢調査人口がまとめられているほか、法律指定外離島についても人口(ただし平成27年国勢調査人口)がまとめられています。なお面積については平成27年10月1日基準のままです。

そこでこれを機に日本の有人島の国勢調査人口、面積をまとめてみようと試みました。

ただし完璧ではありません。

すでにekinenpyouさんが過去に示されたように、離島統計年報から漏れている島が大量にあります。一応ritokeiの有人離島一覧を参考にして、漏れている数字を補いました。さらにekinenpyouさんが[97639]でまとめられたデータと、国勢調査の小地域(基本単位区)の統計地理情報システムを駆使して、なんとか数字を揃えてみました。

細かいところで、こことここは別の島だろ!とか、ここは繋がっていない?とか突っ込みどころは大量にありますが、とりあえず足掛かりとして有人島の令和2年、平成27年における人口をまとめます。面積については、国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調により、令和2年10月1日時点の面積データに更新しましたが、情報が得られるのは1km2以上の島のみです。人口密度に関しては、一応令和2年基準で計算しましたが、1km2未満の島については平成27年基準など、とりあえず得られた面積データを使って人口密度を計算しました。

島についているマークは:
マーク無し:『2021 離島統計年報 CD-ROM版』収録の、離島振興法等指定離島
*:『2021 離島統計年報 CD-ROM版』収録の、法律指定外離島
**:『2021 離島統計年報 CD-ROM版』に収録されていないが、「ritokei」などの有人離島リストに掲載されているもの
***:北海道、本州、四国、九州、沖縄島(人口は差分で計算)
【】:推定人口の項目(重複あり)

を意味します。*や**のマークがあるものに関しては、2020年の人口を算出する際に、小地域集計の情報が必要で、計算に用いた大字・町名、あるいは字・丁目などを備考欄に示します。

なお、『2021 離島統計年報 CD-ROM版』収録の法律指定外離島であっても、島根県松江市の田島(大根島に接続)、香川県坂出市の瀬居島、沙弥島(四国本土に接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本土に接続)などはほぼ完全な埋め立てで独立した島ではなくなった地域となってしまっているので、本表から除外します。

幾つか注意点としては
1.国土地理院が規定する「島」は、周囲長0.1km以上の海岸線で囲われた自然島であり、人工島は島とはみなされません。よって関空や、神戸のポートアイランド、東京湾の平和島や令和島やお台場などは本州島の一部とされます。
2.琵琶湖に浮かぶ沖島は、上の基準では島ではありませんが、法令上離島振興法等指定離島となっているのでリストに含まれています。琵琶湖は本州の面積に含まれており、沖島の人口も本州の人口に含めました。
3.高知県須崎市の中ノ島・戸島の人口は、本土分と分離できなかったものの、推定人口を算出しました。これにより、四国の人口は正確には計算できませんが、誤差は±10人程度でしょう。
4.長崎県西海市の竹ノ島・南串島・西彼杵郡時津町の前島・諫早市の鹿島・大分県臼杵市黒島なども国勢調査の基本単位区では本土分と分離できませんでしたが、離島統計年報には国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字が掲載されています。ただし竹ノ島、前島、鹿島、黒島は平成27年国調、南串島は平成22年国調ベースの分割された人口の情報が存在します。今回基本単位区に占める人口比から、推定人口を算出しました。これにより、九州の人口は正確には計算できませんが、誤差は±20人程度でしょう。
5.長崎県南松浦郡新上五島町の中通島と桐ノ小島については令和2年の国調ベースの分割人口が離島統計年報に掲載されていたので、そのまま使用しました。
6.以上のほか、いくつかの島で人口比などによって令和2年の推定人口を算出しました。
7.熊本県の大矢野島・野牛島だけは人口を分離するのに必要な根拠となる数字が全く見つからなかったので、推定人口を算出しませんでした。航空写真から家屋の数を見る限り、おそらく野牛島は10人~20人前後でしょうが。野牛島は一度無人化した後、道が繋がることで娯楽施設や店舗が建設され、再度有人化したという感じのようです。

(開く)日本の有人島の人口、面積一覧

人口密度が一番高いのは沖縄県の奥武島の3,217 人/km2ですが、人工島をリストに加えることが可能であれば、人口密度1万人/km2クラスがたくさん出現しそうです。

最後に日本の人口上位30位までの島の一覧です(人口1万人以上)。唯一分割に至っていない大矢野島・野牛島が30位につけました。

順位島名都道府県2020年
人口 (人)
2015年
人口 (人)
2020年
面積 (km2)
2015年
面積 (km2)
2020年
人口密度
(人/km2)
備考
1本州1都2府31県102,577,820102,978,572227,939.72227,942.41450.02琵琶湖の沖島を含む
2九州7県12,346,99812,546,74436,782.3836,782.35335.68南串島・竹ノ島(長崎県西海市)・鹿島(長崎県諫早市)・前島(長崎県西彼杵郡時津町)の人口推定処理の影響あり
3北海道北海道5,214,7955,370,65477,984.4977,984.4166.87
4四国4県3,627,2923,769,01618,297.3718,297.59198.24中ノ島・戸島(高知県須崎市)の人口推定処理の影響あり
5沖縄島沖縄県1,335,7331,301,7831,208.531,206.961,105.25
6淡路島兵庫県126,980134,717592.51592.55214.31
7天草下島熊本県65,93771,523574.95574.94114.68
8奄美大島鹿児島県57,51159,828712.41712.3580.73
9佐渡島新潟県51,49257,255854.81854.7660.24
10宮古島沖縄県47,67645,625158.93158.87299.98
11石垣島沖縄県47,63747,564222.24222.25214.35
12福江島長崎県31,94534,419326.36326.3197.88
13対馬島長崎県28,37431,301695.74696.4440.78
14種子島鹿児島県27,69029,847444.30444.3062.32
15小豆島香川県25,88127,927153.26153.25168.87
16壱岐島長崎県24,67826,750134.63134.63183.30
17天草上島熊本県23,77226,317225.93225.90105.22
18彦島山口県23,60626,38610.5810.582,231.19
19江田島・
能美島
広島県21,92424,33091.3391.32240.05
20徳之島鹿児島県21,80323,497247.85247.8587.97
21向島広島県20,99422,31122.3122.31941.01
22因島広島県20,43521,94735.0435.03583.19
23平戸島長崎県16,24017,698163.44163.4099.36
24中通島長崎県16,11318,113168.39168.3195.69
25倉橋島広島県15,10616,77669.4669.46217.48
26屋代島山口県14,47716,766128.48128.48112.68
27島後島根県13,43314,608241.53241.5555.62
28沖永良部島鹿児島県11,99612,99693.6593.65128.09
29屋久島沖縄県11,76512,913504.29504.2923.33
30大矢野島熊本県11,09011,90530.2030.20365.77野牛島(0.12 km2)の人口を分離せず(人口密度は30.32 km2で算出)

淡路島までは想像できたのですが、幕末に人口10万人を超えていたはずの佐渡島が半減している状況でびっくり。九州の離島が上位を占めています。沖縄県を除きどの地域も人口が減少していますが、本州の人口が1憶人を切るのもそう遠い未来ではなさそうです。

【誤字訂正、順位追加、九州本土は7県、前島(0.309km2)・鼕泊島(0.098km2)・南串島(0.085km2)の面積を小数点以下二桁に修正し人口密度も修正】
[107981] 2023年 6月 11日(日)22:24:18YT さん
経県と、苗字の漢字の問題
5月以降、滅茶苦茶忙しいモードに入ってしまい、色々な作業がストップしてしまってます。特に水曜日は朝6時起き、そのための準備で日曜日から火曜日までの深夜が潰れ、水曜日の深夜も疲れてなにもできず・・・の状態になってしまい、折角の色々面白いネタにも反応できませんでした。経県の話題が復活して来たので、今改めてその話題を投稿します。

[107878] サヌカイトさん

さて中身ですが、タイトルの通り「特殊ランキング」になります。といってもそんな難しい計算を用いたものではなく、ごく単純に(全県登録でない方含む)全登録者の中で「居住+宿泊」「訪問」「接地」「通過」がそれぞれただ1人だけのものが、いったい誰だったのかを調べて集計しました。

中々面白い視点でのまとめですね。ただ自分は基本、地方に行くのは仕事関連施設のある大きな都市か、家族旅行かだけですので、それにもかからわず、経県値特殊ランキングに宿泊(居住含む)が2つもあるのは本当かな?と思って調べて見ましたが、もしかしたら本当は1つかも知れません。

京都府京田辺市:これは京都厚生年金休暇センター(現在の名称:ウェルサンピア京都)ですね。ここで開かれたセミナーに学生時代に参加したのですが、いくら騒いでも周囲から文句を言われないところ・・・ということで、ここに泊まりました。当時はまだアルハラ上等の時代かつ、微妙に体育会系な分野ですので、下戸の私には色々つらかったです。

千葉県山武市:これ、もしかしたら違うかも知れません。これも学生時代、研究室旅行で九十九里浜に行ったのですが、大学生協から申し込み可能な安い雑魚寝の宿に泊まりました。ただ計画を立てたのは自分ではなく、どこに泊まったかの記憶が曖昧なのです。行きの電車は教授と二人きりの空間にいたために緊張し、どこの駅で降りたかの記憶が吹っ飛んでおり、なんとなく当時の風景とGoogle mapの映像から、蓮沼周辺だったかな?と思って勝手に山武市を宿泊設定にしたのですが、もしかしたらもっと東側:横芝光町、匝瑳市、旭市、銚子市のどこかかも知れません。そうなってくると「通過」が増えることになります。

[107811] オーナーグリグリさん
ところで私の「苗字が市名と同音同字の人」は考えてみたのですが、これまでの経歴からは会話した人の数が非常に多いため、記憶が極めて曖昧でとてもリストアップできる精度ではありません。

私は典型的な市名苗字の人です。しかも「東松山市」と「松山市」の如く、苗字の一部を含む市も存在していたりします。苗字の人口も比較的上位の方なので、多分皆さんの多くのリアルの知り合いに、私と同姓の人間はいると思います。

ただ・・・厳密にいうと、本籍の漢字は、旧字体、新字体とも異なる異字体、かつ漢字の形がSHIFT-JIS登録のものとも微妙の異なる字体だったのですが、ここ20年間の間の戸籍の電算化の過程で、戸籍に使われていた漢字の微妙な違いが、SHIFT-JISに登録されているものへ強制的に書き換えられてしまったのです。私の場合は8年前に結婚してから本籍の漢字の字体が強制的に変えられたことに気付かされました!当時住んでいた川崎市の区役所の説明によると、法的にも電算化の際の漢字の字体の変更は、対象者の同意は必要ないものになっている、とのことでした。まあそれはどうでも良いと言えばどうでも良いのですが、警察署に受け継がれている運転免許書の本籍の漢字と、役所の戸籍の漢字が異なるというわけのわからない状態になっています。運転免許書とマイナンバーカードの一本化に警察が抵抗する限り、本籍の漢字二本立て体制は続きそうです(てか住基カードはどうなったの?引っ越した先の市では住気基カードの読み込み装置が操作不良で、妻の住基カードはほとんど使うことなく、読み取り不良原因不明のまま廃止となってしまいました)。

いや、本当は漢字はどうでも良かったのです。もともと学生時代までは新字体しか使っていませんでした。私の父母も戦前生まれですが、文章執筆の際には新字体を使ってますし、そもそも試験などでは新字体の方が時間短縮になるので、本籍の漢字を意識することなどはありませんでした。運転免許書だけは当時の本籍の異字体の漢字を使いましたが、銀行のカードも新字体でした。ところが社会人になってから事務関連で強制的に本籍の漢字を使えとなり、その結果文章執筆では従来通りの新字体、予算関連では本籍の異字体の混合状態となり、その本籍の漢字もいつのまにかSHIFT-JIS登録の字体となり、自分の仕事関連のホームページでは何か旧字体と異字体と新字体が混ざって表示されており、もうどうしようもない状況です。本来なら運転免許書なんて表に出ないので、新字体だけのままでよかったのですが、社会人になってから事務が煩かったせいで、後戻りできない中途半端な漢字使いになってしまいました。
[107732] 2023年 4月 26日(水)00:11:37YT さん
折りたたみ機能について
[107718] オーナー グリグリさん

YTさんへ

勝手に記事を利用して申し訳ありません。折りたたみ機能の効果を評価したいと思い利用させていただきました。できるだけ早くこの機能を書き込みで利用できるようにしますので、何卒ご協力をよろしくお願いいたします。

皆さんへ
折りたたみ機能は、表に限らず折りたたみたい部分を次のような指定で囲むことで実現する予定です。
現在の%%による引用と同じような指定方法でタイトルが付けられる。

@@タイトル
(この部分に折りたたむ部分を記述する)
@@

「タイトル」は(開く)や(閉じる)の後ろにつけるタイトルになります。
サンプルの文字色、背景色、機能などいかがでしょうか。ご意見をお待ちしています。

わざわざこのような機能を作って頂き、大変申し訳ありせん。
今後とも活用させて頂きます。

ところで検索アイコンの問題ですが、自分はWindows 10でFirefox Ver バージョン112.0.1 (64ビット)、Microsoft Edge バージョン112.0.1722.58(公式ビルド)(64ビット)、Android 11でGoogle Chrome 112.0.5615.136などを使っておりますが、全くそのような検索アイコンが出てきません。個人的にアドオンを極力無効にして使ってますので、どちらかというと何等かのアドオンの動きを誘発してしまっているのではないでしょうか?
[107714] 2023年 4月 25日(火)01:04:31【7】訂正年月日
【1】2023年 4月 25日(火)01:06:30
【2】2023年 4月 25日(火)01:11:35
【3】2023年 4月 25日(火)01:19:06
【4】2023年 4月 25日(火)04:47:37
【5】2023年 4月 25日(火)08:12:21
【6】2023年 4月 25日(火)08:24:51
【7】2023年 5月 25日(木)17:03:15 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年(1889年)12月31日における日本国内の人口上位1位~250位市区町村など
すでに[107044][107045]で、人口上位1000位までの市区町村の表を示していますが、改めて人口上位250位までの市区町村の表をここに掲載します。今回は、高松城下や丸亀城下、小樽・江差・福山市街、あるいは町村制導入前の戸長役場や間切番所、島番所の管轄となる町村連合、沖縄県や奄美の伝統的な方、間切別の人口を併せて掲載しますが、順位を振るのはあくまでも市区町村のみで、市街、町村組合、町村連合、間切、方等々は、人口を載せるのみで、順位は降りません。表の内、「文献値」とは、『日本帝国民籍戸口表』の「各地方現住一万人以上市区町戸口表」または「各地方郡市戸口表」、あるいは『日本帝国人口静態統計』の「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」に掲載された現住人口で、「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口を優先して採用しています。251位以下であっても、県庁所在地の宮崎町(現在の宮崎市域内でも明治22年段階で最大の現住人口を有していた)、浦和町(現在のさいたま市域内でも明治22年段階で最大の現住人口を有していた)、那覇東村(【訂正:当初那覇番所の設置されていた那覇東村を県庁所在地としてましたが、県庁は那覇区成立までずっと那覇西村に置かれてたことが後から分かったので表も那覇西村に追加訂正します】現在の那覇市域内でも明治22年段階で最大の現住人口を有していた)、及びのちの政令指定都市の中心となる橘樹郡川崎町(但し現在の川崎市域内では明治22年段階で橘樹郡大師河原村5,118(890位)の方が人口が多かった)と大住郡大野村(大字淵野辺を含み、現在の相模原市域内でも明治22年段階で一番人口が多かった)については、参考として表の最後の部分に順位・人口を載せます。

なお伊豆七島の大島新島村、岡田村、泉津村、野増村、差木地村、波浮港、波浮港、新島の新島本村、若郷村、三宅島の神着村、伊豆村、伊谷村、阿古村、坪田村、八丈島の大賀郷、三根村、中之郷、樫立村、末吉村、八丈島小島の鳥打村、宇津木村、小笠原島父島の大村、扇村、袋沢村、母島の北村、沖村、聟島、弟島、媒島は、個々の町村別人口が得られなかったため、順位の対象外です。大島5,991人、新島2,886人、三宅島3,235人、八丈島8,430人、八丈島小島393人、小笠原島1,658人に関して、島単位で順位に組み込むことも考えましたが、八丈島などは人口8,430人と上位250位に食い込むほど人口が多いため、順位算出に入れると問題が発生します。『明治三十一年日本帝国人口統計』の段階では、新島本村3,081人、八丈島大賀郷2,724人、八丈島島三根村2,480人などが伊豆七島の人口上位の町村となります。

(開く)明治22年(1889年)12月31日における日本国内の人口上位1位~250位市区町村
[107713] 2023年 4月 25日(火)01:00:01【2】訂正年月日
【1】2023年 4月 25日(火)01:02:05
【2】2023年 5月 25日(木)17:09:20 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.75
[107047]でアップロードした明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.50ですが、その後丸亀営所の位置[107127]、『戸籍表 明治二十二年 上』『戸籍表 明治二十二年 下』という新たな資料の発見に伴う、市の出入寄留データの追加[107191]、入寄留の陸海軍在営艦者の改訂[107199]、無籍在監人と入寄留の囚人及懲治人の改訂[107648]で示すような修正を加え、改めて明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.75としてアップロードし直しました(すみません、ZIP圧縮せずに、エクセル形式(xlsx)のままアップロードしてしまいました)。

https://u6.getuploader.com/SR1gou/download/932

また鹿児島県大島郡に関しては、伝統的な方、間切の区分を追加しました。異なる島で同一の方、間切の名称が使われているケースがあるため、大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島も追加です。また北海道庁に関しては異なる郡に戸長役場町村連合が分布することがあるため、そのようなケースでは各郡毎に/連合(一部)/という、町村連合を分割した項目を追加しました。鹿児島県大島郡では、戸長役場管轄町村連合の区分を優先し、方、間切の方を分割して、/方(一部)/、/間切(一部)/という区分を追加しました。というのは、例えば『明治三十一年日本帝国人口統計』などを見てわかるように、鹿児島県大島郡では戸長役場管轄町村連合の区分が、方や間切などの伝統的な行政区分に優先しているからです。一方で沖縄県の場合の町村連合は、戸長役場管轄によるものではなく、島番所という中途半端な制度(例えば宮古島や八重山島は、それぞれの単一の島番所が間切、島を管轄した)の管轄を示すものであったため、『明治三十一年日本帝国人口統計』でも間切とう伝統的な行政区分で集計されることになりました。鹿児島県大島郡も沖縄県も、『明治三十一年日本帝国人口統計』では町村制施行前の町村別人口が示されておらず、明治22年~明治30年の戸籍表の時代よりも結果として得られる人口データが減ってしまっています。

以上のほか、富山県の市部は、市の出入寄留データの追加により必要なくなったので削除しました。区分に関しては、以前は/町丁/と/大字/を区別していましたが、明治22年当時は「~町」なども大字として扱われるのが普通だったようなので、すべて/大字/に統一しました。また計算式の加算、減算をすべてSUM関数表記にまとめ、計算式をより簡略化しました。さらに徴発物件一覧表掲載の人口との比較において、参考とする計算式の中身の説明を極力つけることにしました。以下にVer 0.75における主な変更点を列挙します(差分等の追加は除く)。

(開く)明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.75

最終的に残った問題点は

1. 東京府伊豆七島の内、大島の新島村、岡田村、泉津村、野増村、差木地村、波浮港、波浮港、新島の新島本村、若郷村、三宅島の神着村、伊豆村、伊谷村、阿古村、坪田村、八丈島の大賀郷、三根村、中之郷、樫立村、末吉村、八丈島小島の鳥打村、宇津木村、および小笠原島父島の大村、扇村、袋沢村、母島の北村、沖村、聟島、弟島、媒島については、各町村別人口の情報が欠落。

伊豆七島の内、大島、利島、新島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島(八丈島小島と青ヶ島を含む)および小笠原島については、それぞれの出入寄留データが存在し、結果として、一島一村状態の利島、神津島、御蔵島については、町村相当の島単位での人口データは得られます。また広義の八丈島を構成する、狭義の八丈島、八丈島小島、青ヶ島に関しては、『明治二十二年 東京府統計書』により、本籍人口、現住戸数、現住人口のデータが存在します。こちらの本籍人口、現住人口の数字を合算した結果が広義の八丈島の戸籍表からの数字と一致するので、人口データとして採用しました。

2. 虫食いのため、茨城県東茨城郡の一部の町村(石崎村、河和田村、長岡村、上野合村、伊勢畑村、磯浜町)の出寄留の囚人及懲治人が正確に得られず、現住人口が正確に算出できない。

これに関しては、虫食いの状況と、そこからの推定の根拠は以下の通りです。東茨城郡常磐村の出寄留の囚人及懲治人の部分は、和紙修正の過程で横にやや回転した状態の「八」が確かに書かれていると判断し、8を確定値としました。

町村府県庁本籍人口官報掲載[出]囚人及懲治人(推定)虫食いの状況現住人口(未確定)
東茨城郡石崎村茨城県2,6332,7152一または二2,711
東茨城郡河和田村茨城県1,9581,9523欠落1,948
東茨城郡長岡村茨城県3,2743,2963三または二3,289
東茨城郡上野合村茨城県2,6642,6695五または一2,662
東茨城郡伊勢畑村茨城県1,2521,2391一または二1,237
東茨城郡磯浜町茨城県8,8968,86813一三または一二8,850

3. 北海道庁釧路郡に所属する町村(真砂町、米町、洲崎町、幣舞町、浦見町、釧路村、桂恋村、鳥取村、昆布森村、跡永賀村、仙鳳趾村)に関し、郡全体での他町村出寄留は4人となっているものの、町村別の他町村出寄留が空欄となっており、これらの町村のいくつかの現住人口を正確に算出できない。

これに関しては対処不能なので、とりあえず各町村の他町村出寄留を0として算出しました。

2026年まで総務省第二庁舎耐震改修工事が続くため、しばらく戸籍表の原本の閲覧はできませんが、おそらく3年後に原本を閲覧しても、これ以上の大きな修正はないと思われます。



なお、さきほど偶然知ったのですが、古今署員より奥井正俊著『日本近代全国市町戸口表:国勢調査以前の戸口・人口のパネルデータ』という本が来月発売されるようです。
[107687] 2023年 4月 23日(日)01:36:38【1】訂正年月日
【1】2023年 4月 23日(日)01:38:22
YT さん
母をたずねて六千ミッリャ≡100,000/9キロメートル≡687,500/243里≒2829里
本当は明治22年12月31日調の市区町村別現住人口の修正版をアップロードしようとしてたのですが・・・どうでも良い話ではあるものの、地理には深く関わる話題に時間を取られてしまったので、そちらの話を投稿します。

自分の息子が読んでいる本に「あたまが コんガらガっち劇場「りりりりりりりりり」の謎」というのがあり、そこの中にネタとして、「母をたずねて3000マイル」という映画が登場します。これに関して息子が「3000マイルってどのくらいの距離?」と妻に質問して、それに対して妻は「1マイルが約1.6キロメートルだから、約4800キロメートル」と答えていました。

まあそれはいいんですが・・・あれ?4800キロメートルってイタリアからアルゼンチンまで全然届かない?てか「三千里」の「里」って、日本の距離の単位の「里」?原文ではどうなっているの?と疑問に思い、色々調べてみました。

まず「母をたずねて三千里」ですが、エドモンド・デ・アミーチス著「クオーレ」に挿入されている「アペニン山脈からアンデス山脈まで」 ”Dagli Appennini alle Ande”を原作とします。邦訳の方は青空文庫の方に日本童話研究会訳『母を尋ねて三千里』というのがあります。そこから文章中で三千里という言葉を探すと

けれども彼女はまるで死んだように眼をとじていました。主人と奥さんとはろうそくのかすかな光でこのあわれな女を見守っていました。「家を助けるために三千里もはなれた国へきて、あんなに働いたあとで死んでゆく。ほん当に可哀そうだ。」主人はこういってそこにぼんやりと立っていました。

「三千里」というのは邦訳の本文中でこの一回しか登場しません。残念ながら自分はイタリア語はほとんどできないので、まず英語訳から該当箇所を見てみましょう。幸いなことにProject Gutenbergに、"Cuore, libro per i ragazzi by De Amicis, Edmondo, 1846-1908"が見つかりました。該当箇所を見ると、

But she closed her eyes then in exhaustion, and fell into a doze, so that she appeared to be dead. And her master and mistress remained there a little while, by the faint light of a taper, watching with great compassion that admirable mother, who, for the sake of saving her family, had come to die six thousand miles from her country, to die after having toiled so hard, poor woman! and she was so honest, so good, so unfortunate.

あれ? six thousand miles from her country? つまり6000マイル?ということは、母をたずねて三千里の三千里は、翻訳者が日本の伝統的な尺貫法に換算した結果ということなのでしょうか?とりあえず

1 国際マイル ≡ 1.609344 キロメートル

そして日本の里は、

1 里 ≡ 216/55キロメートル ≒ 3.927キロメートル

ですので、

1 国際マイル ≡ 15367/37500 里 ≒ 0.409787 里

つまり

6000 国際マイル = 2458.72 里

これだと母をたずねて2500里で、上二桁目で四捨五入してしまうと二千里になってしまいます・・・

改めてイタリア語の該当箇所を探してみましょう。するとクオーレのイタリア語原文"Cuore, libro per i ragazzi"から該当箇所を見てみますと:

che per salvare la sua famiglia era venuta a morire a seimila miglia dalla sua partria,

seimila (セイミーラ)が「6000」、miglia (ミッリャ)が英語のマイルに相当する長さの単位、dalla sua patria が「彼(女)の祖国から」

つまりイタリア語の原文でも「祖国から6000ミッリャ離れて」なわけです。ただここで注意するべき点はマイルというのが各国で定義がバラバラだったことです。上で「国際マイル」を出しましたが、米国でごく最近まで使われて来た1米国測量マイルの場合、

1 国際マイル ≡ 0.999998 米国測量マイル

と地図の上では微妙に異なる単位を使っていました。イタリアの場合は、19世紀まではイタリア式マイル、miglio italiano ミッリョ・イタリヤーノを使っていました。国際単位系を採用するに当たり、

1 キロメートル ≡ 0.54 miglia italiane ミッリャ・イタリヤーネ (イタリア式マイル)

という換算が採用されました。つまり

1 miglio italiano ミッリョ・イタリヤーノ (イタリア式マイル) ≡ 50/27 キロ―メートル ≒ 1851.85 キロメートル
6000 miglia italiane ミッリャ・イタリヤーネ (イタリア式マイル) = 100,000/9 キロ―メートル ≒ 1万1111 キロメートル

というのがクオーレの原文に書かれた距離ということになります。ここでジェノヴァからブエノスアイレスまでの直線距離が約1万1094 キロメートルだそうですので、約1.11キロメートルと上3桁目まで概数と一致し、まさに「祖国から6000ミッリャ離れた地」に相当します。

次にこれを日本の里に換算すると、

1 miglio italiano ミッリョ・イタリヤーノ (イタリア式マイル) ≡ 1375/2916里
6000 miglia italiane ミッリャ・イタリヤーネ (イタリア式マイル) = 687,500/243里 ≒ 2829.218里

結果約2900里ですが、約2500里に比べればよほど三千里です。つまり三千里は、19世紀以前のイタリア式マイル(ミッリョ・イタリアーノ)で6000ミッリャと表現されていた距離を、ほぼ正しく日本の里に置き換えた表現であることが判明しました。

とまあ、どうでもいい話題ですが、この単位系の換算間違いで、惑星探査機が故障したり、飛行機が墜落寸前になったりするので、本当に厄介なものです。
[107648] 2023年 4月 18日(火)23:47:49【4】訂正年月日
【1】2023年 4月 18日(火)23:56:00
【2】2023年 4月 19日(水)02:39:01
【3】2023年 4月 19日(水)11:01:29
【4】2023年 5月 25日(木)16:59:20 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年:無籍在監人と入寄留の囚人及懲治人に関する訂正
[107043]でアップロードした明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口ですが、[107191]に示したように、

『戸籍表 明治二十二年 上』
『戸籍表 明治二十二年 下』

という新たな資料が見つかった結果、府県統計書で不足したデータを補う必要もなくなり、また入寄留の陸海軍在営艦者についても[107199]に示したようにより正確なデータを得ることができました。

加えて、無籍在監人と入寄留の囚人及懲治人についても見直し作業を行ったところ、いくつか間違いが見つかったので訂正します。

まず監獄の所在地と判事被告人、懲治人、囚人、無籍在監人の統計ですが、これらは『日本帝国民籍戸口表』の「各地方在監者有籍者及無籍者人口表」にまとまっています。例えば『明治二十四年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』の場合、「第十二 各地方在監者有籍者及無籍者人口表」が該当します。ただこの表をよく見ればわかるように、監獄の所在地は郡市区レベルまでは表記されているものの、町村レベルの所在地までは示されていません。よって別の文献を使って調べる必要が出てきました。

また、残念ながら明治22年版と明治23年版はオンラインで閲覧できないので、東洋書林出版『国勢調査以前日本人口統計集成 〈3〉 明治22―25年 近代日本歴史統計資料』を利用する必要がありました。しかしながら、[107043]でも言及したように、本書収録のものは、明治22年の統計に関して「各地方在監有籍者及無籍者人口表」のうち、鹿児島県(一部)・沖縄県・北海道に関する134頁~135頁分が欠落していますので、総務省統計局統計図書館所蔵の『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』原本を利用しました。

ここで驚くべき発見がありました。なんと総務省統計局統計図書館所蔵の『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』には、先人による鉛筆の書き込みがあり、なんと全ての監獄の町村レベルでの所在地が判明したのです!よってその情報をほぼ完全に信用して作成したのが、[107043]でアップロードした明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口の表でした。

しかしながら改めて見直したところ、複数の誤りが見つかりました。以下の修正は明治23年度にも関わります。

1.厳原監獄署の位置を、下県郡厳原村から下県郡国分町に訂正

これは完全に私のミスです。先人の書き込みによると「厳原国分町」と書かれていたにも関わらず私の方で下県郡厳原村で集計してしまいましたが、正しくは下県郡厳原国分町=下県郡国分町です(厳原を町村名に入れるかどうかは表記揺れの範疇)。長崎県の監獄署の所在地は、『明治十九年 長崎県統計書』の段階で既に「下県郡厳原国分町」と記載されており、島原監獄支署と名称を変更した後の『明治二十四年 明治二十五年 明治二十六年 長崎県統計書』でも、「下県郡厳原国分町」となっています。『長崎刑務所 刑務一覧表 昭和五年』の方に詳しい経緯が載っていますが、

旧牢屋の建設年代等は詳かならざるも、明治七年前迄は打廻役所と称し、同七年長崎県厳原支庁囚獄局と改め、翌八年厳原監獄署と改称す。位置は明治十余年前迄は長崎県下県郡厳原町大字今屋敷(現在は郵便局)に在りしが、同十四年、現在の厳原町大字国分旧藩主宗家所有の米倉庫内に移転し、明治二十三年十月に至り長崎県厳原監獄支署となし、同三十六年四月監獄官制施行に伴い長崎監獄厳原分監と称し、其後大正十一年十月監獄官制改正に依り長崎刑務所厳原支所と改め、更に昭和四年十二月監獄官制改正の結果、厳原刑務支所と改称し、今日に及べり。

とあり(現代仮名遣いにして濁点や句読点を追加、以降も必要に応じて原文に対して同様の措置をしています)、下県郡国分町で問題ありません。

【追記:なお、明治22年度の町村別戸口表では、欄外に官報掲載の現住人口に相当する数値が記されており、そもそも官報に掲載されていない隠岐、対馬、奄美、トカラ、沖縄県についてもその数字が揃っていました。厳原監獄署は無籍在監人が0人であり、そのため町村別戸口表に書き込まれた官報掲載の現住人口からは、厳原村/国分町の間違いを確認できませんでした。】

2.根室監獄署厚岸分署の位置を、厚岸郡湾月村から厚岸郡床潭村に訂正

監獄の位置を調べ直すきっかけとなった情報です。

まず、村尾元長編纂『袖珍増訂 北海道通覧 付全道略図』(明治22年11月増補訂正)の、明治22年8月31日調の監獄署の名称と位置において、

署名位置分署名位置
札幌監獄署石狩国札幌郡苗穂村増毛分署天塩国増毛郡増毛村
根室監獄署根室国根室郡根室村厚岸分署釧路国厚岸郡湾月町

というのを見つけました(該当箇所のみを抜粋)。この段階では先人の書き込みとは異なり、増毛分署の位置が増毛郡永寿町ではなくて増毛郡増毛村になっている!という違和感でした。そこで『現行布令提要』を調べたところ、明治23年12月調の集治監及監獄署現在表において、

監獄名称位置
札幌監獄署石狩国札幌郡苗穂村
 増毛分署天塩国増毛郡永寿町
根室監獄署根室国根室郡根室村
 厚岸分署釧路国厚岸郡床潭村

こちらでは、増毛分署の位置は先人の書き込みと同じ増毛郡永寿町になっていましたが、今度は厚岸分署の位置が先人の書き込みの厚岸郡湾月町ではなく、厚岸郡床潭村になっている!

最終的に『法規分類大全 〔第30〕 警察門 第1 警察総 衙署』の記述から、増毛分署の位置は増毛郡永寿町で正しいが、厚岸分署の方は厚岸郡床潭村の方が正しいと判断しました。

根室県告示 十七年十一月二十二日第五十号
管下黒国厚岸郡厚岸ニ監獄支署ヲ設置シ厚岸監獄支署ト称ス
右告示候事

根室県達 十七年十二月二十日丙第四十一号局県掛署
厚岸監獄支署本月八日ヨリ開庁候条為心得此旨相達候事

札幌県告示 十八年十一月二十六日丁第百五十六号
増毛郡増毛永寿町三丁目ヘ監獄支署ヲ設置シ増毛監獄支署ト名称シ来ル十二月一日ヨリ開署ス
右告示候事

北海道庁根室支庁布達 十九年三月一日甲第四号
根室郡根室弥栄町番外地厚岸郡床潭村字バラサンニ監獄ヲ設置シ根室監獄厚岸監獄ト称ス
右布達ス

北海道庁根室支庁告示 十九年八月十九日第六十四号
当根室監獄ヲ根室国根室村四百五十番地ニ移シ本月二十日ヨリ同所ニ於テ事務取扱ハシム
右告示ス

3.京橋区に大字として石川島という項目を増やし、石川島監獄署の位置を東京市京橋区佃島から東京市京橋区石川島に訂正

これは間違いというほどのことではないのですが・・・明治5年の町名改正で石川島は佃島に吸収されたため、市制施行前の段階では「京橋区石川島」という町村名は無くなっていました。実際、『東京府人員統計表 明治二十二年十二月末日現在』には京橋区佃島はありますが、京橋区石川島はありません。ところが、『明治廿二年十一月十五日 新旧対照市町村一覧 いろはわけ新町村索引 附警察区画市町 村役所役場位置 郵便電信局位置』では、石川島という大字名が復活しております。ここら辺結構曖昧なのですが、明治22年以降も京橋区石川島という住所表記が存在する点などから、明治22年の東京市成立時に、石川島監獄署の領域に限って大字名として石川島が復活したと判断しました。参考までに『全国所得納税者姓名録 : 一名・代議士撰挙の台帖 第1冊(東京府十五区ノ部)』(明治21年)によると、大浦孫兵衛と戸所芳秦なる2名の住所が、「石川島監獄署内」となっており、佃島とは区別されています。

というわけで、松本徳太郎編『明治宝鑑』(明治25年9月出版)や『司法省監獄局第三回統計年報』記載の住所との比較により、監獄の所在地の再検討を行いました。その結果、ほかには間違いは見つかりませんでした。以下記述に微妙な点があったものをまとめます。

A.横浜監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の神奈川県監獄署の住所が「横浜市」との記述がありますが、『神奈川県第二回県治一斑』によると明治20年12月31日現在の横浜監獄の位置は久良岐郡戸部町宮ノ前、『明治廿七年神奈川県監獄統計表』によると明治27年の神奈川県監獄署の位置は久良岐郡戸太村字戸部六百〇弐番地とあり、監獄署の位置は一貫して横浜市外の久良岐郡戸部町→久良岐郡戸太村です。『神奈川県警察史 上巻』によると安政2年につくられた戸部牢屋敷(久良岐郡戸部町宮ノ前)が維新後横浜監獄署となり、明治11年横浜監獄本署となり、明治19年再び横浜監獄署となり、明治23年に神奈川県監獄署となり、明治32年に久良岐郡根岸村へ移転となったようです。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人11人が久良岐郡戸太村に足されています。なお、日本帝国民籍戸口表掲載の現住人口の方は算出された現住人口を本籍人口に再び代入して現住人口を算出するという、久良岐郡戸太村の人口を過剰にする酷い計算間違いが実施されています。


B.長崎県監獄署:『長崎市史 第五巻 地誌編 名勝旧跡部』によると、長崎監獄は明治14年に片淵町一番地に建築されたとありますが、片淵郷の内、明治22年の市制施行時に長崎市に編入されたのは、 『明治廿二年十一月十五日 新旧対照市町村一覧 いろはわけ新町村索引 附警察区画市町 村役所役場位置 郵便電信局位置』によると、片淵町之内字小角のみで、残りは西彼杵郡上長崎村であり、これだけでは長崎監獄が本当に長崎市内に編入されたかどうか判断できません。幸いなことに、明治22年の『長崎市及四近之図 The Nagasaki city and environs』が閲覧可能で、この地図の右上の方に「監獄署」が市界の内側に含まれていることが確認できますので、長崎市内で確定です。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人27人が長崎市に足されていますし、日本帝国民籍戸口表掲載の現住人口でも入寄留の囚人及懲治人518人が長崎市に足されています。

C.長岡監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の長岡監獄支署の住所が「古志郡長岡町」との記述がありますが、『長岡の歴史 第5巻』によると、長岡監獄署が置かれたのは今朝白町です。今朝白町は、町村制施行時に古志郡長岡本町所属となっており、古志郡長岡町は間違いです。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人1人が古志郡長岡本町に足されています。

D.前橋監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の群馬県監獄署の住所が「東群馬郡上川淵村大字紅雲分村」との記述がありますが、『他の資料』では、明治34年末の段階で「前橋市宗甫分村」とあります。町村制施行の直前である明治21年、『前橋刑務所, 「前橋刑務所史料の一片 ―大渡橋作業隊を思う―」, 刑政, 106 (5), 60-66 (1995).』によると、明治21年に前橋刑務所が移築された場所は、東群馬郡宗甫分村・仝紅雲分村境界とあります。明治22年の町村制施行で前橋町に編入されたのは、『群馬県百年史 下巻』などによると東群馬郡紅雲分村の一部、東群馬郡宗甫分村の一部(字柿ノ宮西、柿ノ宮前、長昌寺前、川原甲四七〇番、乙同、乙四八〇番、丙四七二番、川原縁自甲三九五番至三九八番、乙ノ乙三九五版、自乙三九五番至三九七番、甲四〇一番乙同甲四〇二番乙同、乙四〇三番、乙四〇七番、乙ノ乙四〇九番、冷泉院前自三三〇番至三三二番、自三二五番至三二九番、自三一五番至317番、三一〇番、乙三〇九番)とあります。ここで『前橋市史 第7巻 (資料編 2)』収録の明治41年の地図を見ますと、監獄署のあるところはほぼ大字宗甫分村で、敷地の大部分は字柿ノ宮前、一部が字柿宮西、字冷泉院前、敷地の端の部分が字河原縁にかかっていることが見てとれます。明治41年段階では、上川淵村の一部が追加で編入されていますが、監獄の主たる敷地を形成する字柿ノ宮前、字柿宮西は全て明治22年の段階で前橋町に組み込まれており、東群馬郡上川淵村は間違いです。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人18人が東群馬郡前橋町に足されていますし、日本帝国民籍戸口表掲載の現住人口でも入寄留の囚人及懲治人656人が東群馬郡前橋町に足されています。

E.静岡監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の静岡県監獄署の住所が「静岡市」との記述がありますが、『明治十二年 静岡県統計概表』では、駿河国安倍郡井ノ宮村、『袖珍静岡県地誌小成』では、明治25年の段階で駿河国安倍郡南賤機村井ノ宮となっており、静岡監獄署は町村制施行前後で一貫して静岡市外の安倍郡安西井ノ宮村→安倍郡南賤機村です。よって静岡市は間違いです。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人12人が安倍郡南賤機村に足されています。

F.宮城集治監:『明治宝鑑』では「宮城郡南小泉村」と、仙台市外との記述がありますが、『日本監獄教誨史 下巻』によると、宮城集治監は伊達政宗が築いた若林城跡(宮城郡南小泉村字行人塚旧古城)に明治11年竣工、明治12年完成とあります。『第4回 宮城県県治一斑』によると、南小泉村字行人塚は、仙台市発足時に仙台区と共に編入されており、実際、『仙台市史 第3巻 附図』収録の明治末年の仙台市全図でも、右下の方の宮城監獄(明治36年に宮城集治監から改名)が、仙台市内となっています。よって、宮城郡南小泉村は間違いです。実際官報掲載の現住人口で、仙台監獄署と宮城集治監の無籍在監人合計64人は仙台市に足されています(が、1人人口にズレがあります)。日本帝国民籍戸口表掲載の現住人口でも仙台監獄署と宮城集治監の入寄留の囚人及懲治人の合計1100人が仙台市に足されています。

G.盛岡監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の岩手県監獄署の住所が「盛岡市字狐崎」との記述がありますが、『岩手郡誌 (岩手県郷土誌叢刊) 』によると、盛岡監獄本署は明治18年に岩手郡下厨川村字狐森、後の岩手郡厨川村大字下厨川字狐森一番地に建設とあります。明治22年の時点で南岩手郡下厨川村は南岩手郡厨川村大字下厨川となっており、よって盛岡市内は間違いで、南岩手郡厨川村が正しいです。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人1人が岩手郡厨川村に足されています。

H.青森監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の青森県県監獄署の住所が「東津軽郡荒川村」との記述がありますが、『青森市議会史 明治編』によると、青森監獄署が東津軽郡荒川村に移転したのは明治24年6月8日のことです。それ以前は、『明治十五年 青森県統計書』の段階では青森監獄本署は東津軽郡青森寺町字杉畑であり、明治22年の町村制施行時には東津軽郡青森町大字寺町に所在したことになります。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人1人が東津軽郡青森町に足されていますし、日本帝国民籍戸口表掲載の現住人口でも入寄留の囚人及懲治人317人が東津軽郡青森町に足されています。

I.鰺ヶ沢監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の鰺ヶ沢監獄支署の住所が「西津軽郡鰺ヶ沢町」との記述がありますが、『青森県治一覧』によると、明治23年の段階で鰺ヶ沢支署の所在地は西津軽郡舞戸村となっています。『鰺ケ沢町史 第2巻』によると、監獄があったのは西津軽郡舞戸村岩谷の南端の丘の上で、よって、西津軽郡鰺ヶ沢町は間違いであり、西津軽郡舞戸村が正しいです。

J.秋田監獄署:『司法省監獄局第三回統計年報』によると、明治34年の秋田県監獄署の所在地は秋田市土手長町上丁となっていますが、『秋田県警察史 上巻』や『秋田県史 第5巻』にあるように、明治19年秋田市長野町に未決監を新築し、そこを「監獄本署」とし、続いて「秋田監獄」と改名、一方でそれまで秋田市土手長町のは「監獄本署既決監」と呼称したとあります。秋田市長野町の秋田監獄は、歩兵位置七連隊建設用地となったため、明治30年に南秋田郡川尻村に移転し、一方で秋田県秋田市土手長町の既決監は、明治36年以降「長町出張所」と呼ばれるようになったとあります。よって、明治22年当時、秋田市内の長野町に「秋田監獄署」が、土手長町に「秋田監獄署既決監」があったことになり、統計上は一緒になっています。住所としてはとりあえず秋田市長野町の方を優先させます。どっちにせよ秋田市内ですが。

K.西郷監獄署:実は先人による鉛筆の書き込みでは、西郷監獄署の所在地が「西郷町」となっておりましたが、個人的な調査で無意識のうちに「西郷西町」に改訂していました(【追記:明治22年度の町村別戸口表では、欄外に官報掲載の現住人口に相当する数値が記されており、そもそも官報に掲載されていない隠岐、対馬、奄美、トカラ、沖縄県についてもその数字が揃っていました。西郷監獄署は無籍在監人が3人であり、その数字を加えることで西郷西町に関する官報掲載の現住人口が検算できたとこから、過去の自分は最初から西郷監獄署を周吉郡西郷西町で登録していたようです】)。『明治二十三年(一月三十一日現在) 職員録 (乙)』によると西郷監獄署の所在地は周吉郡西郷西町、『島根県令規類纂 下』でも、明治26年12月5日時点で隠岐周吉郡西郷西町に監獄支署を置き、西郷監獄支署と称すとあります。『日本監獄教誨史 下巻』などを読んでも、明治初期に設けられた隠岐懲役場からの移転の情報がなく、ずっと隠岐の監獄は周吉郡西郷西町に設置されていたと思われます。

L.広島監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の広島県監獄署の住所が「広島市水主町」との記述がありますが、『広島県案内』によると、監獄は明治21年3月に広島市吉島村に移転しています。『広島市史 第4巻』にその辺の詳しい経緯がまとまっており、水主町には拘置所が存続したようで、明治22年当時の広島監獄署の位置は広島市吉島とするべきと思われます。いずれにせよ広島市内です。

M.垣花監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の沖縄県監獄署の住所が「首里」との記述がありますが、『沖縄案内 新版』によると、明治12年10月、那覇東村二番地天使館内に警察本著の直轄として沖縄県監獄署が設置されたが、明治13年8月に、那覇東村旧船手蔵に移転し、さらに明治15年、小禄間切儀間村二一八番地(那覇市住吉町二の一番地)に移転、大正15年になって沖縄刑務所として、島尻郡真和志村字古波蔵楚辺原一四二四番地の一に移転という経緯を取っています。よって、「首里」は完全に間違いで、明治22年当時の垣花監獄署は、島尻小禄間切儀間村にありました。

以下、明治22年当時の監獄署の位置と無籍在監人、入寄留の囚人及懲治人の数字をまとめます。

市区町村監獄署名府県庁[入]無籍在監人[入]囚人及懲治人
東京市麹町区永楽町一丁目監獄本部東京府4111
東京市京橋区石川島石川島東京府231,838
牛込区市谷谷町市ヶ谷東京府31,203
南葛飾郡南綾瀬村小菅東京集治監東京府69835
小笠原島父島大村大村東京府08
京都市上京区主税町京都京都府31,038
紀伊郡伏見町伏見京都府00
船井郡園部村園部京都府018
天田郡福知山町福知山京都府121
与謝郡宮津町島崎宮津京都府4163
堺市車之町西二町大阪府1497
西成郡川崎村字堀留堀川大阪府133,101
三浦郡豊島村深田横須賀神奈川県14427
足柄下郡小田原新玉小田原神奈川県016
久良岐郡戸太村戸部横浜神奈川県11752
南多摩郡八王子町元横山町八王子神奈川県238
神戸市神戸宇治野町神戸兵庫県1758
神戸市兵庫南逆瀬川町兵庫仮留監兵庫県0176
多紀郡篠山町北新町篠山兵庫県097
城崎郡豊岡町南本町豊岡兵庫県0116
明石郡明石町大明石明石兵庫県057
飾西郡高岡村今宿姫路兵庫県6366
楫西郡龍野町日山龍野兵庫県078
津名郡洲本町山下町洲本兵庫県0129
長崎市片淵郷小角長崎長崎県27518
東彼杵郡大村大村長崎県571
南高来郡島原村旧郭内桜馬場島原長崎県394
北松浦郡平戸村平戸長崎県144
南松浦郡福江村福江長崎県023
石田郡武生水村武生水長崎県025
下県郡厳原国分町厳原長崎県060
新潟市西大畑町新潟新潟県3573
北蒲原郡新発田本村新発田新潟県2122
古志郡長岡本町今朝白町長岡新潟県1167
中頸城郡高城村高田新潟県6152
雑太郡相川町相川新潟県036
北足立郡浦和町浦和埼玉県33632
入間郡川越町川越埼玉県2157
秩父郡大宮町大宮埼玉県196
大里郡熊谷町熊谷埼玉県173
安房郡北条町北条千葉県025
望陀郡木更津町木更津千葉県169
千葉郡千葉町千葉千葉県3683
匝瑳郡福岡町福岡千葉県055
水戸市上市北水戸茨城県3566
新治郡土浦町土浦茨城県0234
真壁郡下妻町下妻茨城県1340
東群馬郡前橋町宗甫分前橋群馬県18656
西群馬郡高崎町宮本町高崎群馬県2200
新田郡太田町太田太田群馬県136
河内郡宇都宮町松峯町宇都宮栃木県5685
下都賀郡栃木町栃木栃木県00
添上郡奈良町西笹鉾奈良奈良県2223
宇智郡五條町五条奈良県1112
阿拝郡上野町上野三重県096
津市佐伯町第一安濃津三重県1508
津市丸ノ内第二安濃津三重県055
三重郡四日市町四日市三重県0180
度会郡宇治山田町岩淵町山田三重県0290
名古屋市竪三ツ蔵町名古屋愛知県91,359
中島郡一宮町一宮愛知県01
額田郡岡崎町梅園岡崎愛知県3273
渥美郡豊橋町豊橋愛知県00
佐野郡掛川町掛川静岡県175
敷知郡浜松町浜松静岡県3230
駿東郡沼津町三枚橋町沼津静岡県480
安倍郡南賤機村安西井ノ宮静岡静岡県12555
賀茂郡下田町下田静岡県013
甲府市橘町甲府山梨県7399
南都留郡谷村谷村山梨県022
滋賀郡膳所村膳所滋賀県2810
犬上郡彦根町彦根滋賀県1101
岐阜市今泉岐阜岐阜県10886
安八郡大垣町大垣岐阜県04
可児郡御嵩町御嵩岐阜県00
大野郡(飛騨国)高山町高山岐阜県028
小県郡上田町上田長野県3176
下伊那郡飯田町飯田長野県281
東筑摩郡松本町松本長野県1208
上水内郡長野町旭町長野長野県7474
仙台市行人塚宮城集治監宮城県47560
仙台市片平丁仙台宮城県17540
柴田郡大河原町大河原宮城県029
志田郡古川町古川宮城県01
牡鹿郡石巻町石巻宮城県04
西白河郡白河町白河福島県8123
磐前郡平町福島県668
宇多郡中村町中村福島県01
信夫郡清水村福島福島県17583
北会津郡若松町栄町若松福島県0127
南岩手郡厨川村下厨川盛岡岩手県1271
西磐井郡一関町磐井岩手県014
東閉伊郡宮古町宮古岩手県10
二戸郡福岡町福岡岩手県00
弘前市馬喰町弘前青森県012
東津軽郡青森町寺町青森青森県1317
西津軽郡舞戸村岩谷鰺ヶ沢青森県09
北津軽郡五所川原村鶴野五所川原青森県010
三戸郡八戸町八戸青森県08
山形市香澄町山形山形県0619
米沢市清水町米沢山形県034
最上郡新庄町新庄山形県03
西田川郡鶴岡町鶴岡山形県018
飽海郡酒田町酒田山形県02
秋田市長野町秋田秋田県1577
仙北郡大曲村大曲秋田県081
遠敷郡雲浜村小浜福井県1128
福井市寛永上町福井福井県0338
大野郡大野町大野福井県00
敦賀郡敦賀町敦賀福井県00
金沢市尻垂坂通金沢石川県048
能美郡小松町小松石川県4309
鹿島郡七尾町七尾石川県061
富山市総曲輪富山富山県2429
高岡市坂下町高岡富山県10
下新川郡魚津町魚津富山県00
鳥取市東町鳥取鳥取県2626
久米郡倉吉町倉吉鳥取県00
会見郡米子町郭内米子鳥取県2181
松江市内中原町松江島根県6515
神門郡大津村大石大石島根県011
那賀郡浜田町浜田島根県2198
周吉郡西郷西町西郷島根県3185
西北条郡津山町津山岡山県9270
岡山市二日市町岡山岡山県8761
浅口郡玉島村玉島岡山県0196
上房郡高梁町高梁岡山県1174
御調郡尾道町尾道広島県4325
三次郡三次町三次広島県2111
広島市吉島広島広島県181,069
玖珂郡横山村岩国山口県0161
吉敷郡下宇野令村※山口山口県7528
阿武郡萩町山口県03
赤間関市関後地赤間関山口県380
和歌山市小松原通一丁目和歌山和歌山県4773
西牟婁郡田辺町上屋敷町田辺和歌山県285
美馬郡脇町脇町徳島県01
徳島市出来島町徳島徳島県71,210
香川郡高松内町高松香川県21816
那珂郡丸亀御供所町丸亀香川県2208
温泉郡雄群村藤原松山愛媛県16762
新居郡西条町西条愛媛県07
喜多郡大洲町大洲愛媛県15
北宇和郡宇和島町宇和島愛媛県6197
幡多郡中村中村高知県081
高知市西弘小路高知高知県15843
福岡市福岡須崎裏町福岡福岡県9631
山門郡城内村柳川福岡県4117
三池郡大牟田町下里三池集治仮留監福岡県421,472
久留米市篠山町久留米福岡県2203
企救郡小倉町八百屋町小倉福岡県3174
下毛郡中津町中津大分県0141
速見郡杵築町杵築大分県049
大分郡大分町大分大分県10604
南海部郡佐伯町佐伯大分県011
直入郡豊岡村竹田大分県169
日田郡豆田町豆田大分県026
東松浦郡唐津町唐津佐賀県083
西松浦郡大坪村伊万里佐賀県029
佐賀市赤松町佐賀佐賀県1421
熊本市手取本町熊本熊本県7721
八代郡八代町八代熊本県122
球磨郡人吉町人吉熊本県020
天草郡町山口村町山口熊本県117
宮崎郡宮崎町宮崎宮崎県1453
北諸県郡都城町都城宮崎県018
東臼杵郡岡富村延岡宮崎県043
熊毛郡北種子村種子島鹿児島県389
大島郡名瀬方金久村大島鹿児島県050
鹿児島市小川町鹿児島鹿児島県4299
高城郡水引村水引鹿児島県484
島尻小禄間切儀間村垣花沖縄県1193
亀田郡亀田村函館北海道庁7221
松前郡福山新荒町福山北海道庁06
檜山郡江差豊部内町江差北海道庁07
寿都郡渡島町寿都北海道庁07
高島郡色内町小樽北海道庁00
札幌郡苗穂村札幌北海道庁8264
空知郡市来知村空知北海道庁1442,831
樺戸郡月形村樺戸北海道庁1162,249
増毛郡永寿町増毛北海道庁027
川上郡熊牛村釧路北海道庁541,063
厚岸郡床潭村厚岸北海道庁010
根室郡根室村根室北海道庁078
総計総計総計1,01453,982

結果として、統計局図書館所蔵本の先人の書き込みに間違いがあったのは、隠岐西郷監獄署の所在地(×周吉郡西郷町〇周吉郡西郷西町)と、北海道庁の根室監獄署厚岸分署の所在地(×厚岸郡湾月町〇厚岸郡床潭村)だけでした。【追記:この内西郷監獄署に関しては、町村別戸口表の欄外に記された官報掲載の現住人口相当の数値との比較により、周吉郡西郷西町に監獄署の位置を事前に修正することができましたが、残念ながら北海道と伊豆小笠原に関しては、町村別戸口表の方に官報掲載の現住人口相当の数値が記載されていなかったため、根室監獄署厚岸分署の所在地の間違いに気づきませんでした。また対馬の厳原監獄署に関しては、無籍在監人がゼロであったため、町村別戸口表の欄外に記された官報掲載の現住人口相当の数値に違いが出ませんので、下県郡国分町/下県郡厳原村の間違いを見落としてしまいました。】

なお、総務省統計局統計図書館所蔵の『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方在監者有籍者及無籍者人口表」では、山口監獄署の無籍在監人男を7とする鉛筆による訂正が書き込まれており、無籍在監人の総計も1015人となりますが、現住人口や本籍人口が1人多いとする文献を見つけられなかったので、ここでは訂正しません。

例えば明治22年末の場合、無籍在監人を除く本籍人口40,071,006人に無籍在監人1,014人を足した40,072,020人が、真の明治22年12月31日の本籍人口として、『日本帝国統計年鑑』などで採用されいますが、1人多い40,072,021人は採用されていません。
[107199] 2023年 4月 1日(土)13:06:31【5】訂正年月日
【1】2023年 4月 1日(土)13:10:44
【2】2023年 4月 1日(土)15:06:56
【3】2023年 4月 1日(土)15:32:23
【4】2023年 4月 1日(土)17:13:41
【5】2023年 5月 25日(木)17:15:00 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年12月31日、入寄留の陸海軍在営艦者
すみません、十番勝負までまた8時間あるようなので、[107191]の続きを投稿します

まず陸軍在営者ですが、以下の通りとなりました。

市区町村府県庁人員下士学生・生徒馬丁区分
東京市麹町区代官町一番地東京府34644302陸軍近衛砲兵連隊二大隊
東京市麹町区代官町二番地東京府98281901陸軍近衛歩兵第一連隊二大隊
東京市麹町区代官町二番地東京府97572903陸軍近衛歩兵第二連隊二大隊
東京市麹町区大手町一丁目一番地東京府11陸軍東京憲兵隊本部
東京市麹町区大手町一丁目一番地東京府66陸軍東京憲兵隊第一管区首部
東京市麹町区元千代田町一番地東京府1919陸軍大学校馬丁
東京市麹町区元衛町一番地東京府1010陸軍蹄鉄学舎
東京市麹町区元衛町一番地東京府8787陸軍乗馬学校
東京市麹町区永楽町一丁目一番地東京府33636300陸軍第一師団輜重兵第一大隊
東京市麹町区八重洲町一丁目一番地東京府27025245陸軍近衛騎兵大隊
東京市麹町区八重洲町一丁目一番地東京府41931388陸軍第一師団騎兵第一大隊
東京市麹町区有楽町一丁目一番地東京府2828陸軍戸山学校軍楽基本隊
東京市麹町区外桜田町一番地東京府98693893陸軍近衛歩兵第三連隊二大隊
東京市麹町区外桜田町一番地東京府1,01994925陸軍近衛歩兵第四連隊二大隊
東京市麹町区飯田町四丁目三十一番地東京府124112111陸軍東京砲兵工厰生徒学舎
東京市芝区芝栄町東京府33陸軍東京憲兵隊第四管区首部
東京市麻布区新竜土町十三・十四番地東京府1,4131001,313陸軍第一師団第三連隊三大隊
東京市赤坂区赤坂檜町三番地東京府1,5021191,383陸軍第一師団歩兵第一連隊三大隊
東京市牛込区市谷本村町七十番地東京府50954455陸軍第一師団砲兵大地連隊三大隊
東京市牛込区市谷本村町七十番地東京府292181273陸軍士官学校生徒隊
東京市牛込区市谷本村町七十番地東京府103103陸軍士官学校
東京市牛込区市谷本村町七十番地東京府21184199陸軍幼年学校生徒隊
東京市牛込区市谷本村町七十番地東京府2020陸軍幼年学校
東京市牛込区市谷左内坂町一番地・市谷田町一丁目八番地東京府33陸軍東京憲兵隊第六管区首部
東京市牛込区下戸塚町東京府89844645209陸軍戸山学校教導大隊
東京市下谷区下谷車坂町十八番地~三十二番地東京府33陸軍東京憲兵隊第九管区首部
北豊島郡岩淵町東京府15815143陸軍近衛工兵中隊
北豊島郡岩淵町元袋村東京府35447307陸軍第一師団工兵第一大隊
紀伊郡伏見町伏見玄蕃町五十八・五十九番地京都府33734303陸軍第四師団工兵第四大隊
大阪市南区順慶町通安堂寺通大阪府44陸軍大阪憲兵隊
大阪市東区法円坂町一番地大阪府1,5301301,400陸軍第四師団歩兵第八連隊三大隊
大阪市東区法円坂町一番地大阪府61958561陸軍第四師団野戦砲兵第四連隊三大隊
大阪市東区法円坂町四番地・馬場町一番地 大阪旧城内大阪府1,5321261,406陸軍第四師団歩兵第廿連隊第一大隊
第三大隊
大阪市東区大手前ノ町二番地大阪府33927312陸軍第四師団輜重兵第四大隊
大阪市東成郡清堀村 (A)大阪府1128104陸軍第四師団騎兵第四大隊第一中隊
三浦郡浦賀町神奈川県156413112陸軍要塞砲兵幹部練習所生徒中隊
姫路市姫路本町 姫路旧城内 (B)兵庫県1,5681301,438陸軍第四師団歩兵第十連隊三大隊
長崎市大黒町四十六番地長崎県16115陸軍第六師団長崎分遺砲兵隊
下県郡厳原村三十八番地長崎県18720167陸軍第六師団対馬警備隊
北蒲原郡新発田本村 新発田旧城内新潟県1,5201151,405陸軍第二師団歩兵第十六連隊三大隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県6968324589陸軍教導団生徒隊歩兵大隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県8917072陸軍教導団生徒隊騎兵中隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県162396117陸軍教導団生徒隊砲兵大隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県7918061陸軍教導団生徒隊工兵中隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県11214098陸軍教導団生徒隊輜重兵中隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県163163陸軍教導団
印旛郡志津村下志津千葉県10997822陸軍射的学校教導中隊
印旛郡佐倉町佐倉田町 佐倉旧城内千葉県1,6041191,485陸軍第一師団歩兵第二連隊三大隊
西群馬町高崎町高松町 高崎旧城内群馬県1,4781451,333陸軍第一師団歩兵第十五連隊三大隊
名古屋市外堀町 名古屋旧城内愛知県1,5541341,420陸軍第三師団歩兵第六連隊三大隊
名古屋市外堀町 名古屋旧城内愛知県1,5451321,413陸軍第三師団歩兵第十九連隊三大隊
名古屋市外堀町 名古屋旧城内愛知県61362551陸軍第三師団野戦砲兵第三連隊三大隊
名古屋市外堀町 名古屋旧城内愛知県28829259陸軍第三師団工兵第三大隊
名古屋市外堀町 名古屋旧城内愛知県31634282陸軍第三師団輜重兵第三大隊
名古屋市本町四番地愛知県33陸軍愛知憲兵隊
渥美郡豊橋町豊橋八町 豊橋旧城内愛知県1,5431251,418陸軍第三師団歩兵第十八連隊三大隊
滋賀郡大津町元別所村滋賀県1,5071251,382陸軍第四師団第九連隊三大隊
仙台市川内宮城県61460554陸軍第二師団野戦砲兵第二連隊三大隊
仙台市川内宮城県28526259陸軍第二師団工兵第二大隊
仙台市川内宮城県30727280陸軍第二師団輜重兵第二大隊
仙台市川内宮城県1,5061151,391陸軍第二師団歩兵第十七連隊三大隊
仙台市東二番町七十五番地宮城県33陸軍宮城憲兵隊
仙台市榴ヶ岡 (C)宮城県1,5651251,440陸軍第二師団歩兵第四連隊三大隊
東津軽郡筒井村青森県1,05581974陸軍第二師団歩兵第五連隊第一大隊
第二大隊
金沢市大手町 金沢旧城内石川県1,5551391,416陸軍第三師団歩兵第七連隊三大隊
広島県広島市基町 広島旧城内広島県1,5571301,427陸軍第五師団歩兵第十一連隊三大隊
広島県広島市基町 広島旧城内広島県1,5531331,420陸軍第五師団歩兵第廿一連隊三大隊
広島県広島市基町 広島旧城内広島県63055575陸軍第五師団野戦砲兵第五連隊三大隊
広島県広島市基町 広島旧城内広島県29028262陸軍第五師団工兵第五大隊
広島県広島市基町 広島旧城内広島県31630286陸軍第五師団輜重兵第五大隊
那珂郡丸亀 丸亀旧城内香川県1,5981371,461陸軍第五師団第十二連隊三大隊
松江市堀内町 松江旧城内 (D)愛媛県1,5591261,433陸軍第五師団第廿二連隊三大隊
福岡市 福岡旧城内福岡県1,5271241,403陸軍第六師団第廿四連隊三大隊
企救郡小倉町 小倉旧城内福岡県1,5031261,377陸軍第六師団第十四連隊三大隊
熊本市二ノ丸町 熊本旧城内熊本県1,3961261,270陸軍第六師団歩兵第十三連隊三大隊
熊本市二ノ丸町 熊本旧城内熊本県50245457陸軍第六師団第廿三連隊第三大隊
熊本市二ノ丸町 熊本旧城内熊本県55458496陸軍第六師団野戦砲兵第六連隊三大隊
熊本市新堀町 熊本旧城内熊本県31935284陸軍第六師団輜重兵第六大隊
熊本市山崎町十二十三番地熊本県89481813陸軍第六師団第廿三連隊第一大隊第二大隊
託麻郡大江村元渡鹿村 (E)熊本県33940299陸軍第六師団工兵第六大隊
首里当蔵村 首里城内 (F)沖縄県12011109陸軍第六師団第廿三連隊第四中隊
亀田郡亀田村 (G)北海道庁52042478陸軍第二師団歩兵第五連隊第三大隊

(A) 戸籍表には屯営配置の地名として「大阪府西成郡清堀村」が掲載されているが, 明治22年4月1日付で東成郡に異動([103922]参照)
(B) 戸籍表には屯営配置の地名として「兵庫県飾東郡姫路本町 姫路旧城内」が掲載されているが, 明治22年4月1日付で姫路市発足([103921]参照)
(C) 戸籍表には屯営配置の地名として「宮城県宮城郡榴ヶ岡南目村」が掲載されているが, これは隣接する仙台区(明治22年4月1日付で仙台市)榴ヶ岡二番地と宮城郡南目村(明治22年4月1日付で宮城郡原町大字南目)元字木藏脇囲一番地を合わせたものであり, 歩兵第四連隊営自体は仙台市榴ヶ岡に設営され, 宮城郡原町大字南目には歩兵第三旅団司令部が建設中([103922]参照)
(D) 戸籍表には屯営配置の地名として「愛媛県温泉郡堀内町 松江旧城内」が掲載されているが, 明治22年12月15日付で松江市発足([104836]参照)
(E) 戸籍表には屯営配置の地名として「熊本県託麻郡渡鹿村」が掲載されているが, 明治22年4月13日付で陸軍第六師団工兵第六大隊は熊本市宮内町より熊本郡託麻郡大江村元渡鹿村に兵営移転([104836]参照)
(F) 戸籍表には屯営配置の地名として「沖縄県真和志間切 首里城内」が掲載されているが, 真和志間切国場村は明治9年建設の兵営所在地であり, 明治14年以降は首里当蔵村の首里城内に兵営移転
(G) 戸籍表には屯営配置の地名として「北海道函館亀田郡亀田村」が掲載されているが, 亀田村千代ヶ岱兵営第三大隊亀田営所は明治24年4月12日に廃止([103887] 参照)

(C)の仙台市榴ヶ岡についてですが、より詳しい説明をしますと、戸籍表に掲載されている「宮城県宮城郡榴ヶ岡南目村」なる住所は、榴ヶ岡が仙台区/仙台市内、青目村(明治22年4月1日以降は原町)が宮城郡内に存在する時点で、併記されたものです。例えば明治18年の時点で歩兵第四連隊営は、仙台区榴ヶ岡二番地と宮城郡南目村元字木藏脇囲一番地にまたがっていることが、『陸軍省第十一年報』により確認できます。一方で、『仙台市史 第9巻別冊』収録の「明治十三年 宮城県仙台区全図」によると、地図の右上の方にある歩兵営と礮兵営は概ね仙台区内ですので、宮城郡南目村元字木藏脇囲一番地は後から拡張のために取得した土地であることが判ります。明治22年4月1日の仙台市成立の際に多少の境域変更はあったようですが、この歩兵第四連隊営周辺では明白に分かるような境域変更は行われなったようで、それよりも後の『仙台市史 第3巻 附図』収録の明治末年の「仙台市全図」を見ると、「歩兵第四連隊営」と「仙台地方陸軍幼年学校」は仙台市内の榴ヶ岡に、「歩兵第三旅団令部」は仙台市の外側(原町大字青目)にあり、歩兵第四連隊営は一貫して仙台市榴ヶ岡に存在したように見えます。そこで官報を確認したところ、明治24年7月4日に以下の項目を発見しました。

〇司令部移転 第二師団下歩兵第三旅団司令部ハ宮城県宮城郡榴ヶ岡南目村元木藏脇へ増築工事落成ニ附キ同部及仙台大隊区司令部トモ去月二十八日移転セリ(陸軍省)

陸軍省第二回統計年報』(20/271コマ目)によると、明治21年の段階で歩兵第四連隊は仙台区榴ヶ岡、歩兵第三旅団司令部は宮城郡南目村となっております。よって明治22年の段階では歩兵第四連隊営は仙台市榴ヶ岡内にのみ存在し、宮城郡原町大字南目は既に兵営所から司令部への転用されていたと考察されます。

(E)の託麻郡大江村元渡鹿村に関しては、[104836][107044]で披露した考察が間違いであり、「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」等掲載の現住人口である52,833が正しかったという結果となりました。まず『陸軍省第二回統計年報』(22/271コマ目)によると、明治21年の段階で工兵第六大隊は熊本市宮内町に兵営がありました。ところが明治22年6月15日の官報によると、

〇工兵大隊移転 第六師団工兵第六大隊ハ一昨十三日熊本県肥後国託麻郡渡鹿村兵営へ移転セリ(陸軍省)

とあり、明治22年末の段階で確かに第六師団工兵第六大隊が託麻郡内へ移転していることが確認されました。

ただ新たな疑問が生じます。明治23年の戸籍表では、第六師団工兵第六大隊は再び熊本市内に戻ってしまっていることになっているのです([103921]参照)。もしかしたら明治23年末の段階での第六師団工兵第六大隊の情報は間違っている可能性が出て来ました。

(F)の首里当蔵村 首里城内については『陸軍省第二回統計年報』(22/271コマ目)にあるように、明治21年の時点で既に首里城内に兵営が移転しているので、「真和志間切」は古い情報が残ってしまったのでしょう。一方(G)の亀田郡亀田村についても、『陸軍省第二回統計年報』(22/271コマ目)にあるように、明治21年の時点ではまだ兵営は亀田郡亀田村です。これが明治23年末の段階では函館区に移っていることになっています([103921]参照)。調べたところ、『北海道事情一斑 第1編』の明治24年4月の項目に

〇十二日亀田村千代ヶ岱兵営第三大隊亀田営所ヲ引払ヒ青森営所ニ赴く

北海道拓殖大観』では

亀田村千代ヶ岱兵営第三大隊亀田営所を廃し、青森営所に移る。

という表現になっています。よって明治22年末では亀田郡亀田村に第三大隊亀田営所があったことで問題なさそうです。

ただ新たな疑問が生じます。明治23年の戸籍表の方では陸軍第二師団歩兵第五連隊分遺隊は既に函館区内に移っていることになっているのです([103921]参照)。もしかしたら熊本の第六師団工兵第六大隊のケースと同様に、明治23年末に兵営が函館区内に既に移動していたという情報が間違っている可能性が出てきました。

以上、明治22年の入寄留の陸海軍在営艦者は、どういうわけか陸軍のみ処理がされ、海軍に関してはなぜか出入寄留側で人口統計が処理されています。ところが『戸籍表 明治二十二年 上』を読んだところ、少なくとも海軍としてのデータは載っておりました。それを最後に紹介します。

市区町村府県庁人員下士区分
京橋区築地四丁目東京府24195海軍主計学校
京橋区築地四丁目東京府824339海軍軍楽練習所
芝区芝公園地東京府422海軍水路部
芝区芝赤羽町東京府1112109海軍造兵廠
赤坂区溜池葵町東京府330海軍参謀部
芝区品川港東京府29961238海軍浪速
芝区品川港東京府33073257海軍高千穂
芝区品川港東京府33349284海軍扶桑
芝区品川港東京府20227175海軍武蔵
芝区品川港東京府20327176海軍葛城
芝区品川港東京府20326177海軍大和
荏原郡中目黒村東京府24024海軍火薬工厰
三浦郡浦郷村長浦神奈川県20736171海軍横須賀水雷隊
三浦郡横須賀町神奈川県1,923861,837海軍横須賀鎮守府
三浦郡横須賀町神奈川県1,2701751,095海軍横須賀鎮守府海兵団
三浦郡横須賀町神奈川県25861197海軍浅間
三浦郡横須賀町神奈川県21846172海軍迅鯨
三浦郡横須賀町東京府35847311海軍筑波
三浦郡横須賀町神奈川県18414海軍龍驤
三浦郡横須賀町神奈川県1052283海軍八重山
三浦郡横須賀町神奈川県18523162海軍海門
三浦郡横須賀町神奈川県521636海軍天城
三浦郡横須賀町神奈川県1293297海軍愛宕
三浦郡横須賀町神奈川県1132192海軍干珠
横浜市神奈川県19431163海軍高雄
神戸市兵庫県1381137海軍小野浜造船所
神戸市兵庫県871473海軍麻耶
神戸市兵庫県1697海軍赤城
長崎市長崎県12921108海軍日進
長崎市長崎県961779海軍磐城
東彼杵郡佐世保村長崎県631845海軍佐世保鎮守府
東彼杵郡佐世保村長崎県42967362海軍佐世保鎮守府海兵団
東彼杵郡佐世保村長崎県931974海軍鳥海
下県郡竹敷村長崎県14223119海軍春日
広島市宇品広島県12412112海軍館山
安芸郡江田島村広島県1122983海軍兵学校
安芸郡宮原村(呉)広島県672344海軍呉鎮守府
安芸郡宮原村(呉)広島県868139729海軍呉鎮守府海兵団
安芸郡宮原村(呉)広島県701654海軍鳳翔
安芸郡宮原村(呉)広島県911477海軍石川
福岡市博多福岡県29652244海軍天龍
三角浦村熊本県20521184海軍満珠
朝鮮仁川外国行15126125海軍筑紫
外国航海中(ハワイ方面遠洋航海)外国行25838220海軍金剛
外国航海中(地中海方面遠洋航海)外国行25438216海軍比叡
日本国内外総計10,5371,5299,008

なお金剛と比叡は、翌明治23年にはエルトゥールル号の被災者をトルコに届ける任務に就いています。

【訂正】リンク修正。仙台榴ヶ岡周りの説明が変だったのを追加修正。川内市→仙台市!


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