[82924],
[82931]と2回にわたって「時刻表の代表駅」についての考察をしてきましたが、やはりというか、皆様方からいろいろと反応が出てきましたのでこちらについての感想を書かせていただくことにします。
[82932]ペーロケさん
JRの西宮駅との対比で阪神の西宮駅を挙げられていますが、西宮北口には及ばないものの、阪神西宮駅より多い、阪神のあの駅をお忘れでは
あっ、あの「高校野球&猛虎隊の聖地」を失念していましたね…。その甲子園駅、'10年の乗降客数は52,575人と、阪神・JRのいずれの西宮駅を上回っていますが、阪急西宮北口駅には遠く及びません。「北口」というのが若干引っかかるのですが、ペーロケさんのおっしゃるとおり、西宮市の代表駅はやはり西宮北口駅がもっともふさわしい、ということになるのでしょうか…。
松山 7,238 松山市 27,175
私は、松山市は過去2度訪れており、確かに市街地の西の外れにあるJR松山駅よりも、市街の中心部にあり松山城にも近い伊予鉄松山市駅のほうがはっきり栄えていると思ってはいたのですが、JRの特急も多数発着する県都のターミナル駅が地方私鉄のターミナル駅にこんなに大差をつけられているとは予想外でした。地元ゆかりの方なので先刻ご承知でしょうが、「坊っちゃん」の時代の「松山駅」は現在の松山市駅であり(現在の伊予鉄関係のルートの変遷は複雑なのでここでは取り上げませんが)、国鉄予讃線が松山まで延びたのは昭和に入ってから、全国の県庁所在地では(那覇市を除き)最後。用地の関係から松山駅が今の位置になったのは致し方なく、私が訪れたときも「場末」といったイメージでした。地方私鉄とはいえ、松山市駅には各線の電車が日中15分間隔で運行され、デパートも入り、駅前の電停からは路面電車が頻繁に発着するといった状況が、同じく路面電車が駅前に入っているものの、立地条件で不利なJRに大差をつけているということなのでしょうか。
[82931]では、神戸や奈良について「先輩」駅の「歴史の重み」を無視できない、と書いたのですが、松山の場合はこれらとは逆に「私鉄のほうが早くできた」ということを重く見るべきか、またまた「悩ましい市」が増えた、ということになりそうです…。
[82935] k_itoさん
岡崎市の中心駅についての件、さすが地元住民らしい鋭い考察をいただき、ありがとうございました。
[82944] オーナー グリグリ さん
翻って我が居住地佐倉市はどうなんだろうと考えてみました
佐倉市の「本当の代表駅」選びも相当悩ましい、ということらしいですが、近隣の市についてもかなり悩ましいものがいくつかありそうです…。これらの市について、以下に調べてみました(★印は乗降客数)。
市名 | 時刻表の代表駅 | 乗車客数 | その他の候補駅 | 乗車客数 | 備考 |
成田 | 成田 | 14,298('11) | 京成成田 | 34,583★('11) | 成田空港(JR)5,061('11) |
| | | | | 〃(京成)10,051('09) |
八千代 | 八千代中央 | 10,487('10) | 八千代台 | 47,259★('11) |
| | | 京成大和田 | 12,088★('11) |
| | | 勝田台 | 51,793★('11) | 東葉勝田台:15,591('10) |
習志野 | 津田沼 | 101,327('11) | 京成津田沼 | 93,502★('11) | 京成52,619+新京成40,883 |
流山 | 流山 | 1,422('10) | 南流山 | 57,235('11) | JR27,958+TX29,277 |
| | | 流山おおたかの森(東武) | 47,723★('11) |
| | | 〃(TX) | 29,056('11) |
| | | 江戸川台 | 24,655★('11) |
| | | 運河 | 22,981★('11) |
鎌ケ谷 | 鎌ケ谷 | 21,932★('11) | 新鎌ケ谷 | 96,182★('11) | 東武・北総・新京成の合計 |
| | | 鎌ケ谷大仏 | 14,408★('11) |
成田市は、時刻表の代表駅は一貫して国鉄~JRの成田駅だったと記憶していますが、国鉄各線が未電化だった昭和40年代前半までは、京成のほうが圧倒的に優勢だったと思われます。その後、電化された国鉄の利便性向上により次第に差を詰め、現在ではなおも僅差で京成がリードを保っているものの、JR成田を代表駅として全く違和感はないと思われます。八千代市は、東葉高速線が開通する以前は京成大和田駅が代表駅でしたが、現在の代表駅である八千代中央駅とともに利用客数で見劣りが大きく(八千代中央は同じ東葉の八千代緑が丘より少ない)いずれも「不適切な代表駅」で、「真の代表駅」争いは八千代台と勝田台の一騎打ちになりそうです。以前は八千代台がダントツだったと思われますが、団地住民の高齢化が進んで近年は漸減傾向にあり、勝田台が東葉勝田台と合わせると乗降客の合計レベルでは8万人に達して市内首位に立っています。しかし、勝田台駅は佐倉市との境界線上にありぎりぎりで八千代市であることを考えると(八千代台駅も千葉市との境界線まで遠くないのですが)、市名を含んでいる八千代台のほうがより適切なような気がします。習志野市は、時刻表の代表駅であるJR津田沼駅が船橋市との境界線上にあり栄えているのがその船橋市側であることが引っかかったのですが(
[80191])、市役所の最寄り駅である京成津田沼駅に乗降客数でもダブルスコア以上の差をつけているので、現状どおりで問題なさそうです。流山市には、二昔あまり前に社用で訪れたことがあるのですが、駅前のあまりの寂しさに「本当に人口13万(当時)を数える市の中心なのか」と驚いたことがあります。流山駅周辺の「旧市街」の中心近くには、新撰組・近藤勇の陣屋跡や俳人・小林一茶ゆかりの史跡もあり、江戸川の水運で栄えた「夢の跡」を偲ばせているのですが、明治になって現在の常磐線のルートから外れたことで繁栄から取り残されたのでしょう。現在では2-3両編成の電車が1時間に3-4本発着するローカル私鉄の終着駅に過ぎない流山駅は、駅名と「市役所に近い」というだけで、いまや
[82924] で取り上げた橿原市の畝傍駅と同様かそれ以上に「不適切な代表駅」になっており、代表駅争いは、TXの開業によりその沿線の発展が著しく、そのTXが武蔵野線と交わる南流山と、同じく東武野田線との乗換駅で駅前にスーパーなどが進出して飛躍が著しい「おおたかの森」の両者の、こちらも一騎打ちでしょうか。鎌ケ谷市は、北総線の開業以降交通の要衝となった新鎌ケ谷駅の発展が著しく、乗降客数は3社合計で鎌ケ谷駅の4倍に達し、市役所の最寄り駅も新鎌ケ谷駅で、鎌ケ谷駅に代わって実質中心駅になっていると思うのですが、この市ゆかりのBANDALGOMさんはどうお考えなのでしょうか? 市川市
[82931]については、本八幡駅のほうが駅前の繁栄度で勝っているようで、市役所の最寄り駅もこちらであり、都営新宿線と、同線と北口でつながる京成八幡駅を足し合わせると市川駅を大きく上回りますが、JR駅の利用者数で僅差で上回り快速停車駅でもある市川駅が辛くも逃げ切り、となるのでしょうか。
加賀市の加賀温泉駅なども、地元民の感覚では、大聖寺駅から加賀温泉駅になるなんて考えられないのではないでしょうか
市の代表駅をどういう目的で設定するのかによって違ってくると思います。時刻表に表示される視点からは、市民向けというよりは訪問者向けと思われますので、大聖寺駅よりは加賀温泉駅の方が相応しいといえるかもしれません
これはまさに仰せのとおりです。加賀温泉駅は私も過去に2度利用したことがあるのですが、駅前には土産物屋が数軒店を構えているだけで、一歩出ると田園地帯の真っ只中になり、駅を降りた観光客が駅前広場に居並ぶ旅館の送迎バスに直行、といった「観光客専用」で、しかも「政治決着」でローカル駅の大改造という形で事実上「新装開店」したような駅
加賀温泉駅とは、喧嘩両成敗といった駅だそうで。
特急停車駅として片山津温泉等を擁する動橋駅と山代温泉等を擁する大聖寺駅が激烈な
誘致合戦を行い、折衷案として間にある「もと信号場でなにもない」作見駅を停車駅に
してそこから各温泉地へバス連絡させるということになってしまったと。
(
[2188]たけもとさん)が、いくら乗降客数や「駅の格」で上回っているとはいっても、大聖寺藩の城下町として繁栄してきた市街の中心駅を差し置いて「加賀市の代表駅」としてよいものか、と引っかかるものがあったからです。→
映像(この中で「停車駅争いと加賀温泉駅の新装開店」の経緯も出てきます…
[79599])。「観光客相手か、地元住民(あるいはビジネス客)相手か」といった視点の違いからは、加賀市の他、
[65342]で「今市」納得できない、と書いた日光とか、新幹線が絡む那須塩原など。その他、やはり新幹線と合併絡みの山口(
[82932])や、合併で市役所が「隣町に引越し」した笠間…。県庁所在地といえば、以前話題になったことがある
大津も相当悩ましい。「代表駅はどれか」ということが一概には決められないような市がまだまだ出てくるような気がします。
…ここまで「市の代表駅の基準はどこにあるのか」ということを3回にわたって書き込んできたのですが、今回はこのシリーズの締めくくりとして、「本家」の私鉄駅がJRを圧倒している、松山市(&東京都葛飾区)にゆかりの?歌手(
[81769])の初期のヒットナンバーをタイトルの副題に入れました…。
【1】加賀温泉駅に関する記事と映像を追記
【2】「悩ましい市」の例を追記