[99173] グリグリさん 「全国の市区町村数の推移」リリース!
項目の並びの並びは次のようにしました。 市、区/特別区、町、村、市区町村(計)、…政令区
市と同格の区は単に「区」とし、政令指定都市以前の市の区は「行政区」の表記としました。
最初に、
hmtマガジン「区制度の変遷」の まえがき から引用します。
「区」の根拠となる法律ごとに、A1~A2(郡区町村編制法など)、B1~B3(明治21年市制町村制)、C1~C2(沖縄県と北海道の区制)、D1~D6(明治44年市制と東京都制)、E1~E6(地方自治法)、F1~F3(合併特例法など)の記号をつけて、制度の概略を説明しました。
この記号の多さからも、市町村とは違う「区」の多様性を窺うことができると思います。
今回のリストは 1889年 法律「市制」の施行以降であり、郡区町村編制法時代の区【市の前身:上記区分のA
[74334]】は対象外です。
リストの最初に登場する区は法律「市制」による「行政区」であり、京都2, 大阪4の翌月には東京15区が加わり、三大都市の21行政区(B1)時代がしばらく続きました
[74335]。
「市と同格の区」は 沖縄県と北海道の区制ですが、1896年出現後 1922年には「市」になり消滅。
さて、今回のリストでは 1943/7/1【法律「東京都制」の施行日】に 35特別区が出現 とあります。
この35区は、東京市が廃止された結果「東京都に直属する区」になったという意味では 確かに「特別な区」です。
しかし、その根拠となった東京都制第140条
[74793]には「特別区」という名称は使われておらず、行政区の地位を引き継いだまま、東京市35区(D1)から東京都35区(D4)に移行しただけでした。
参考
[99155] hmt
「東京都制」時代は、府県制時代の東京市も 地方自治法の特別区も存在しなかった空白期です。
長期系列データに倣って(当時の東京都区域【35区>22区】を)仮に1市と扱い【要注釈】、「市町村数」を集計すればよいのではないかと思います。
1945年 終戦。Occupied Japan時代到来。地方制度についても敗戦直後の大都市改革
[74935]が開始。
日本国憲法・地方自治法施行(1947年5月3日)に先んじて公布(1946/9/97)された地方制度改革4法です。
その1つである東京都制改正により、東京都の区民には参政権が与えられ、官庁の性格の濃い東京都庁の出先という立場になっていた東京都35区(D4)は、区条例・区規則の制定、課税や起債の権利が認められ、公選の区長を持つ いわば「市に準じる区」(D5)に変身しました。
実質的には、この戦後変化(D5)こそ「特別区」の前身と評価することもでき、この状態で 22区への統合(D6, 1947/3/15)もなされたのですが、形式的には行政区のままとして扱うしかないでしょう。
今回のリストに戻ると、1947/5/3 地方自治法施行日【法律・東京都制の廃止日】こそ 22特別区の発足日です。
[75012] hmt 制定当初の地方自治法による区
E1 特別区【特別地方公共団体】(83コマ)
第281条 都の区は、これを特別区という。【第2項省略】
第283条 政令で特別の定めをするものを除く外、第二編中 市に関する規定は、特別区にこれを適用する。
特別区には、原則として市に関する規定が適用され、区長も1946年の35区(D5)、1947年の22区(D6)[74935]に引き続き公選でした。1947年8月1日に板橋区から練馬区が分離し 23区になりました。
今回のリストについて言えば、23区になった後の特別区には統計上の数値変化がないものの、その中身は大きく変化しています。1952年の地方自治法改正による「都の内部的な部分団体」との位置付けを最低として、2000年施行の基礎自治体入りまでの回復を、過去記事の引用で綴っておきます。
[75018] 特別区の中身が変った 1952年
完全に市と同格とは言えない点があるものの、基礎自治体にかなり近い存在になっていた特別区ですが、発足後5年で逆コースをたどることになります。
当時、地方分権に対する逆風が吹いた理由は、特別区が強力な基礎自治体として存在すると、戦災復興など、大都市東京の経営に支障があると考えられたからでしょうか。(中略)1952年に基礎自治体の地位を失った特別区を、「E4」と記号で区別しておきます。
[75410] ようやく基礎自治体になったが、まだ「特別」区
1952(昭和27)年改正は、大都市地域 東京23区の統一性・一体性を確保しようとしたものでしたが、その 10年後の 1962年に人口1千万になった東京都は、「市」としての事務の重圧で 行財政が麻痺し、大都市問題(Tokyo Problem)が激化しました。
このような環境の変化により、その後は、特別区に権限を委譲する方向に向かい、1998年の法改正により、ようやく「基礎的な地方公共団体」になりました。【施行は2000/4/1】
「基礎的な地方公共団体」になったので、新しい記号「E6」を付けましょう。
1878年 東京府15区(A1)>1889年 東京市発足・その領域内に移行(A2)>1898年 三市特例法廃止で事実上東京市15区(B1)>1911年 勅令指定都市・東京市15区(明治44年市制)(D1)>1932年 市域拡張・東京市35区(D1のまま)>1943年 東京都35区(D4)>1946年 市に準じる35区(D5)>1947年3月 統合により22区(D6)>1947年5月 地方自治法による特別区22区(E1)>1947年8月 23区(E1のまま)>1952年 特別区は東京都の内部団体となる(E4)>2000年 基礎自治体の23特別区(E6)
蛇足
「特別区」には地方自治法で規定されている東京都の区部の他に、2012年に成立した「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(平成24法律80号)が施行されています。
大阪市に代え特別区を設置することの賛否を大阪市民に問う2015年の住民投票は否決
[87810]。
その後も、「全国の市区町村数の推移」に登場するに至っていないことは、ご承知の通りです。