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町・大字・字

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記事数=19件/登録日:2022年3月3日

「市町村」は、基礎的な地方公共団体であり、「都道府県」は市町村を包括する広域の地方公共団体として地方行政事務を分担しています。東京都にある 23の「特別区」は、いわゆる平成12年改革によって基礎的な地方公共団体になりましたが、地方公共団体としては「特別」の存在です[75410]

この特集が対象とする「町・大字・字」は、都道府県>市町村や、東京都>特別区の区域内に設けられた区画です。
政令指定都市では、市の条例で区が設けられます[75025]。その場合、町の名称は◎市○区△町のようになるので、あたかも区の区域内に町が設けられたような印象を受けますが、実際に町を設ける権限は、もちろん市議会の議決を経た市長にあります。

★推奨します★(元祖いいね) とりぴー

記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[48373]2006年1月15日
Issie
[49764]2006年3月9日
88
[51379]2006年5月18日
88
[51934]2006年7月1日
矢作川太郎
[51948]2006年7月2日
EMM
[59158]2007年6月16日
inakanomozart
[59202]2007年6月17日
88
[61638]2007年10月7日
桜トンネル
[65276]2008年5月28日
88
[66556]2008年8月31日
グリグリ
[66558]2008年8月31日
EMM
[66562]2008年9月1日
むっくん
[66582]2008年9月2日
88
[66728]2008年9月13日
88
[66729]2008年9月13日
88
[66921]2008年10月4日
88
[77206]2011年1月1日
おがちゃん
[77486]2011年1月19日
oki
[77488]2011年1月19日
88

[48373] 2006年 1月 15日(日)00:11:00【1】Issie さん
あざ
もともとこれから春先までウチの職場が繁忙期な上に,今年は3月へ向けて“3年周期”の仕事も加わって,またも「お久しぶりです」。

さて,正直なところ私は「町名」と「大字」の違いがよく判りません。「字」が「大字」に内包されるであろうことは判るのですが,沖縄県のように余所で「大字」と呼んでいるものを「字」と呼ぶ地域もありますね。

[48333] 88 さん
・通称地名は別として、正式な「町」「字」については、必ず、正式に決まっているはずだ

たとえば,鳥取市のHP内の例規集には「町名」というタイトルで同市内533の「町名」が掲載されています。最近編入された旧用瀬町の区域では
--------------------------------------------------------------------------------------
用瀬町赤波、用瀬町安蔵、用瀬町家奥、用瀬町江波、用瀬町金屋、用瀬町川中、用瀬町樟原、用瀬町鷹狩、用瀬町古用瀬、用瀬町別府、用瀬町美成、用瀬町宮原、用瀬町用瀬、用瀬町屋住
--------------------------------------------------------------------------------------
となっていて,おそらく「用瀬町赤波」で1つの“町名”なのでしょう。
でも,これは「条例」でも「規則」でもないようです。

この話題の発端になった名古屋市では,「区役所支所の設置並びに名称及び所管区域に関する条例」で 中川区富田支所 の管轄区域として
-------------------------------------------
富田町(大字江松字川向を除く。) <以下略>
-------------------------------------------
という表記をしています。
一方で,守山区役所志段味支所 の管轄区域では
--------------------------------------------------------------------------------------
大字上志段味、大字中志段味、大字下志段味並びに大字吉根字角田、字釜ケ洞、字上島、字川、字川田、字越水、字小屋前、字笹ケ根、字下江、字太鼓ケ根、字至来、字仲田、字中畑、字階子田、字日ノ後、字深沢、字溝畑、字山沖、字山嶋及び字長廻間 <以下地番省略>
--------------------------------------------------------------------------------------
という書き方をしています。
旧守山市の区域と旧富田町の区域とでは同じ名古屋市でも「大字」の扱い方が違うのでしょうかね。いや,そもそもの違いは,丸ごと1つの区になった旧守山市と,中川区の一部に編入されるにあたって旧町名を残した旧富田町,というところにあるのでしょうが。で,この「富田町」は何?

鳥取市のような形で「町名」または「大字・字名」をリストアップしているものがあれば,それが当該市町村による「正式な名称」となるのでしょうが,それがない場合,たとえば自治体内の出先機関(支所や出張所など)の管轄区域を定めた条例や,最近はめっきり減ったけれども住居表示の実施に際して総務省(←自治省)から出される対象区域の告示から間接的に知ることになるようです。

[48349] 北の住人 さん
「町若しくは字の区域」の「町」「字」は法律上定義されているのでしょうか。

たとえば,「地方自治法」(昭和22年法律第67号)でも「住居表示に関する法律」(昭和37年法律第119号)でも,市町村内を区画する区域として「町」「字」という呼称を使用していますが,それがいかなるものか,たとえば「町」と「字」の違いは何か,ということは触れられていません。
「不動産登記法」…って,2004年に全面改正されていたのですね。現行法(平成16年法律第123号)に先立つ旧法は「明治32年法律第24号」,つまり1899年公布という非常に古い法律ですが,その第78条(土地の表示の登記)に
--------------------------------------------------------------------------------------
土地ノ表示ノ登記ニ於テハ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 土地所在ノ郡、市、区、町村及ビ字
二 地番
三 地目
四 地積
五 所有権ノ登記ナキ土地ニ付テハ所有者ノ氏名、住所若シ所有者ガ二名以上ナルトキハ其持分
--------------------------------------------------------------------------------------
という規定があります(「小六法 昭和五十八年版」によっているのですが,1899年の公布そのままではなくて途中で改正されているかもしれません)。現行法第34条との違いは旧法の5項目めがなくなって,後は旧法の文語文が口語文に変わっただけです。
たぶん,この条文が土地の登記簿に「字・地番」を記載する根拠になっているのでしょうが,そこでは「字」を“所与のもの”として使用しているだけであって,では「字」とは何かということを定義するものではありません。それが目的の法律ではないから,当然といえば当然ですが。

結局のところ,「地方自治法」でも「住居表示に関する法律」でも「町」「字」は“所与のもの”として使用されているだけに思えます。統一された定義なんてものはないのでは?

[47864] グリグリ さん
十番勝負に参戦してみませんか。

意外なところで話題になっていたのですね。
何か出遅れてしまいましたが,こちらの方はボチボチと,ということで…

ついでに
[48273] YSK さん
北端 北海道稚内市(宗谷岬)   北緯45度31分22秒
東端 北海道根室市(納沙布岬)  東経145度48分58秒
南端 沖縄県糸満市(摩文仁の丘) 北緯26度05分15秒
西端 那覇市(那覇空港)     東経127度39分2秒

多くの方と同じくこのままです。
もっとも,南端と西端はお仕事で行ったところです。個人旅行で,ということに限れば,
西端那覇市西3丁目(三重城営業所バス停)東経127度39分59秒
南端那覇市寄宮1丁目(沖縄県立図書館)北緯26度12分29秒
となります。
バスでの通過を含めば,南端は那覇市古波蔵交差点付近(旧沖縄県鉄与那原線・嘉手納線分岐点付近:北緯26度12分6秒)。
西端が那覇空港でないのは,往路は神戸から,復路は鹿児島まで船で出入りして,那覇市港町1丁目の那覇新港(安謝新港)を利用したからです。
総武快速線の馬喰町駅も,京葉線の東京駅も,大江戸線の六本木駅も利用しているから,最低点はこのうちのどれかでしょうかね。
[49764] 2006年 3月 9日(木)18:08:4988 さん
住所
[49763]minikunさん
住居表示実施地域なのか、そうでないのか、が不明なのですが、2通りに分けて整理します。(省略して「○○-○」という住所を書いた場合、このどちらかが判明しないので、正式なものをご確認ください。)

・ 住居表示実施地域でない場合(「住居表示に関する法律」の実施地域でない場合)
この場合、住所は「○○番地○」という形だと思います。(地番による住所表示)
例えば、元の地番が12番3で、分筆後が12番3、12番4、12番5となった場合(不動産登記簿は「○○番○」と表記されます)、それぞれAさん、Bさん、Cさんが購入して居住する場合、住所は
登記簿住所居住者
12番312番地3
12番412番地4
12番512番地5
となります。
不動産業者のチラシでは、分筆前だと「12番3」と表記しているんでしょうし、分筆がいつの時点なのか、ということもあります。Aさん、Bさん、Cさんが仮に3人とも「12番3」だと意識して「『12番地3』が居住地です」として地元の市町村へ届け出てしまえば、市町村はそのまま正式な住所として受け付けますから、3人とも「12番地3」で同じになってしまいます。契約書や登記済証(いわゆる「権利書」)、不動産登記簿(登記事項証明書)などを確認されることをお勧めします。この場合、例えばCさんが「12番地5」がほんとは正しい場合、以前の届出の「訂正」か、12番地3からの「移転(住所変更)」か、手続きについては地元の市町村で確認するとよいでしょう。

・ 住居表示実施地域である場合(「住居表示に関する法律」の実施地域である場合)
この場合、住所は例えば「12番5号」という形だと思います。
契約書、登記済証(いわゆる「権利書」)、不動産登記簿(登記事項証明書)の表記とは「住所」は一致しません。例えば「234番56」という「土地」の表記と、通常使われる住所の「12番5号」は、併存します。もっとも、「234番56」は、現実には使用する機会はほとんどありませんが。
これは、市街化が進んで住宅(商店や事務所ビルを含む)が密集した場合などに、上記の地番表示ではわかりにくくなることが多いので、不動産の取引に通常使われる「地番」とは別に、「住居表示」を定めるものです。これは「街区符号」(上記の例では12番)と、「住居番号」(同じく5号)で表記されます。
(注:「道路方式」(背割り方式)もあるが、例が少ないので説明は割愛)
この場合、街区(ブロック)を定め、その街区を一定の距離(10m間隔など(地域によって異なる))で基礎番号を打ち、その基礎番号に近いところに建物の出入口があるときに、それを「住居番号」とします。
資料例・鈴鹿市役所HP
同じ基礎番号のそばに2軒分の出入口があれば、同じ「基礎番号」(住居番号)になることがあります。
ただし、住居表示については、住居番号には枝号をつけてよいことになっています。例えば、「5-1号」「5-2号」といった感じです。ところが、現実問題としては、マンション以外にはこの枝号をつけている例は少ないようです(理由は不明)。マンションは、「3番4-905号」とかはよくあるのですが・・。地元市町村に、この「枝号」について相談されてはいかがでしょうか。

長文、失礼しました。
[51379] 2006年 5月 18日(木)18:37:56【1】88 さん
「地番」と「番地」の違いについて
久々に、こういう話題を書いてみます。

「地番」とは、土地の番号を約したもので、特定の土地を表示する名称である、と定義できます。この「地番」という法律用語ができたのは、地租法であるといわれております。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
地租法(昭和6年法律第28号)
第三条 土地ニハ一筆毎ニ地番ヲ附シ其ノ地目、地積及賃貸価格(無租地及免租年期地ニ付テハ賃貸価格ヲ除ク)ヲ定ム
第五条 地番ハ市町村、大字、字又ハ之ニ準ズベキ地域ヲ以テ地番区域トシ其ノ区域毎ニ起番シテ之ヲ定ム
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

この地番が付されるのは、従来は民有地に限られていました。よって、国有地である河川や、法定外公共物(農道・水路)は、いわゆる「白地」であり、地番がなく、よって不動産登記簿もなく、土地台帳付属地図(狭義の「公図」)や、不動産登記法第17条地図(現在は14条地図)にも地番は表示されません(なお、民有地を買収した国有財産には、地番も不動産登記簿もあります)。ただし、地図においては、国土調査実施後は、無番地の川と、有番地の川が一体となって「川」とだけ表示され、地番が表示されないことがあります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
土地台帳法(昭和22年法律第30号)
第四条 土地には、一筆ごとに地番を附し、その地目及び地積を定める。
第四十四条 この法律は、国有地には、これを適用しない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(昭和35年の不動産登記法の一部改正により不動産登記制度と台帳制度とが一元化され、現在に至っています。)

「番地」は、例えば、「5番地」といえば、「5番の土地に所在する」という意味を含んでいます。したがって、まず地番が定まることが前提になるようです。
ですから、不動産登記簿を法務局で取ると、「土地」と「建物」の登記簿に分かれますが、「土地」の登記簿は、「100番1」になり、「建物」の登記簿は、「所在」は「100番地1」、「家屋番号」としては通常「100番1の1」(1棟目)、「100番1の2」(2棟目)、というようになります。
我々の本籍地や住民票は、「100番地1」に所在する建物にある、ということから、(100番1ではなく)「番地」を表するものと思われます。
なお、これは住居表示実施地域でない場合です。


整理すると、
「地番」・・・土地を表すときに使用。不動産(土地)の話題を除いては、日常は使用することは稀である。
「番地」・・・住所、本籍地など、一般的に使用。ただし住居表示実施地域は、日常では「番地」を使用せず、「住居表示」を使用することがほとんどである。

参考文献:「公図の研究」〔四訂版〕藤原勇喜著、財務省印刷局
[51934] 2006年 7月 1日(土)13:17:45矢作川太郎 さん
小字は大字に相当する町名たりえるか?(地名調査のケーススタディ)
[51897]EMMさん

レスどうもです。まぁ、まずは私の地名調査のスタンスからご紹介しなければなりませんね。私としては、市区町村以下の大字名or町名が基本的に地名だと認識しています。(これについて、単独での記事を書きたいと思っていますが。)ですから、
確かに公報には小字の変更まで載りますね。
(石川の公報にも載っております)
愛知県は小字が細かい上に大量に残っているので公報も凄いことになっていると言うことですか。
について、小字の変遷に関しては小字自体の出自から言って全く諦めています。参考ページ(太閤検地の時期に持ち主が土地を呼ぶ為に用いた私称に基づくもので、表記・範囲が歴史的に一定しない。また、従来の小字が全く残っていない所があったり、大字内の仮住所表記の様に用いられる事もある。元々は大字内でしか通用しない名称では?)なので、基本的には大字もしくは大字に準じる町名の変遷に特化して調査するつもりです。

その中で、調査の支障と成り得そうな事柄は大字の範囲すら変遷していると言う事です。私が県公報を見て厄介だと思ったのは、大字内での小字変更が殆どであるが、大字を跨った小字の変更もあるにはあると言う事でした。認識としてその様な住所変更は従来の大字の境界線が現在の地形(道路・土地区画)に合わなくなったから行われると考えます。だから、私は住所変更はある程度(あくまでも度を越さない程度で無ければいけない。範囲はそのままで名前をわざわざ置き換える(単独での)名称変更は余り賛成出来ない。)は許容されるべきだと思います。そこで、元の大字の範囲を確定させるため旧版地図と内容を照らし合わせて検証したいと思ったりもしています。

ここに来て題名のテーマについてお話ししたいと思います。まず岡崎市の町名をご覧下さい。一部を除いて大半の町名には小字が併記されています。私の見当に依ると、明治初期の合併以前の村名を除いて殆どが村名=大字名=町名となっています。(私からすると岡崎では小字名が比較的頻繁に用いられているので実効性が失われず、住所(生活)の一部となっており、世間一般の「田舎臭い名称」の様な忌避されるイメージでは無い気がする。[町名を細分化する下部地名の様な感じ])次に人口増加が進む長久手町の町名武豊町の町名をご覧下さい。最初に長久手町のを見てみます。長久手町では東部の大字は殆ど残っていますが(熊張・前熊・岩作(やざこ)等)、西部の[大字長湫]では徐々に住所表記されて大字と並立してなおかつ大字に属しない区域が増えています。状況から推測するに、これらは[大字長湫]から分割そして設定されたと考えられます。しかし町名は何の関連も無い名称だとは思えず、大半が[小字]に依るモノでは無いでしょうか?次に武豊町のも見てみます。武豊町では南部の(東大高・冨貴(但し駅名は富貴))を除いて殆どの[小字らしきモノ]が2つの大字とは並立する様に書かれています。この中で想定したいモノは大字無し区域[要は大字武豊]の存在です。しかし問題が一つあります。それはドコが大字武豊から分かれた住所表記区域(本来の意味とは違うかも知れないが、後に~丁目や番地等の付くモノ。→地図上で大字区域とは大抵違う色で書かれる範囲。)で、ドコがそれ以外の大字無し区域(本来なら大字武豊字(小字)~と書かれる範囲。)なのか判然としない点です。パッと見だと全ての大字無し区域の小字が大字と並立する様に書かれています。この様に大字が解体され大字と並立し、小字に名称の起源を求められる町名(中には違うモノの有るかも知れないが。)の「町」が増えてきている様です。つまり内包関係が大字>小字だったモノが大字=小字+町or丁目となるのです。逆に大字に番地の番号を振って小字を住所表記上から消し去る事例も有りますがココでは割愛させて頂きます。

そう言えば阿波市に於いて住所変更(復元)が有ると聞きました。内容はコチラです。(アドビファイルですのでお気を付け下さい。)コレに依ると合併時に(どれが正確に大字名に当たるか分からないが。)少なくとも旧:市場町に於いて競合するモノを除いて全ての大字名を住所から消した様です。フォーマット(形式)を旧:阿波町と合わせた様ですが、それまで有った大字名を一挙に削除したのはどうかと思います。他の資料に依ると、旧:阿波町では早くから大字名を外した様ですが、旧:市場町に限って合併時に外した様です。今回の例で言えば急激に大字名を廃止するのは混乱を招くと言うことでしょうか。(小字名は大字より大きい土地区画(自治体名等)の下に来る事は昔は想定されない事だったのではあるまいか?)

注:住所から「大字」の文字を消すことは大字名の消滅にはならない。
●●郡△△町大字××字(小字)※※が●●市(△△町)××字(小字)※※になってもと言うこと。
[51948] 2006年 7月 2日(日)14:20:25【2】EMM さん
大字小字の話は落書き帳上では鬼門のようなものではありますが
…そのココロは、全国各地で状況が色々違う事例が多々あるため、話を続けているとやがて訳分からなくなることが多いから。
ちなみにこの書き込み、実は書き始めは昨日の夜9時頃なのですが、途中で晩飯食べたら眠たくなって沈没してしまいました。
結果2日にまたがって書く羽目になっています。
ああ、ちなみに書き始めた時には饅頭を食べてました。
(なぜ7月1日に饅頭なのか、と言う理由は拙稿[42735]参照)


[51934] 矢作川太郎さん
市区町村以下の大字名or町名が基本的に地名だと認識しています。
地名コレクションで地形名も扱っていると「人間によってその場所の名として与えられたものは全て地名たりうるのでは」と思うようになったですが、まぁそれはそれとして。

そう言えば阿波市に於いて住所変更(復元)が有ると聞きました。内容はコチラです。
阿波市HP中にはまだ合併協議会のHPが残っており、その中に合併時の住所表記変更の一覧が残っています。(こちら
きっちり比較した訳ではありませんが、ざっと見た限りでは旧市場町の大字はほぼ以前の状態に戻っているはずです。
実は、旧市場町の大字削除によって私担当の地名コレクションにちょっと影響が出たため、合併協議会の議事録から「なぜ市場町が大字を削除するのか?」と言うことの理由がでていないか探して見たことがあるのです。
でも、それらしいことは触れられていませんでした。
合併して阿波市となった町々の住所表記を見ると、阿波町のみ「阿波町字××」と字のみ、他の町は「○○町××字□□」と大字小字の階層となっていました。
もしかして合併協議会において「表記法をそろえよう」とか言う話が出たのか、と思ったのですがどうもそうではない。
実際、市場町以外は旧来の字・大字をそのまま移行させています。
なぜ市場町のみ大字を削除したのか…謎なのです。
謎が謎のまま元の鞘に収まり、そしていつしか「無かった話」になっちゃいそうな気がします。
(しかし、これで「元大字名」から現役の「大字名」に戻すことができます、犬コレクション中の「犬墓」。個人的な意見として、協議会の委員の中にこの地名を消したかった人がいたんじゃないかな~、と思ったり思わかなったり…)


あと、小字名をどういうウェイトで考えるか、と言うことについては、「現地に住んでいる人がコミュニティの単位として小字を使っているかどうか」というのも考慮に入れるべき何じゃないか、と考えます。
ただこの場合、「書類上の住所表記からは消えてしまった」小字名が生きている場合がありますし、下手すると正式な大字名よりも地域に通用している場合もあったりすることがあるのですが、こういうのって現地に行かないと分からないんですよね…。
事例として石川県能美郡川北町をご紹介します。
ここに田子島(だごじま)と言う大字があります。
現在の住所表記としての小字は地租改正時に整理されたいわゆるカタカナ小字(イロハや十干十二支など)が使用されています。
…が、現地に行ってみるとこの大字、上田子島(かみだごじま)・下田子島(しもだごじま)・木呂場(ころば)の3つの集落に分かれています。
(注・角川日本地名大辞典17石川県によると、田子島には地租改正前に40の小字があったことが記されています。ただし、そこに含まれるのは木呂場だけ。木呂場は街道沿いにできた比較的新しい集落だと思われるので、それ以外に小字名とはなっていない「上の集落」「下の集落」という分け方があったんではないかと思われます。そして、現在でも集落部分の名称だけ残っているのでしょう)
で、ここに住んでいる人自身が日常的に住所を「川北町下田子島○○」「川北町木呂場○○」(○○は数字)と書いていたのです。
でも、正式な住所でお願いします、と言うと「川北町田子島(カタカナ小字)××番地」と書き直す。
住所がダブルスタンダードなんですよね。
(以前仕事上で遭遇した実話です)
しかも、この「上田子島」「下田子島」「木呂場」という「小字名」、大字田子島内にとどまらず、川北町内はおろか近隣の能美市や小松市でも通じる地名だったりします。
下手すると「田子島」より通用している。
これを「正式な住所表記」には使用されない地名だ、と言って捨て置いて良いのか?と言う気がするんです。
ただ問題は、こういう事例は現地の状況に精通しないとまず分からないと言うことです。
難しい…

ちなみに、川北町内にはほかにも同様の事例があります。
大字名と同一でない「小字名」に分かれる例としては山田先出(やまだせんでん)…上先出(かみせんでん)・下先出(しもせんでん)が挙げられます。
また、大字名と同じ「小字名」が含まれる例としては橘(たちばな)…橘・木呂場(木呂場は橘と田子島にまたがっている)・木呂場新町(ころばしんまち)、土室(つちむろ)…土室・草深(くさぶか)があります。
いずれも大字名より「小字名」の方が通用しています。
なお、川北町内には橘新(たちばなしん)と言うところもありますが、これは橘とは別の大字と言うことになっていますので念のため。


それから長久手町や武豊町などの「大字無し」の部分は昭和の大合併によって話がややこしくなった事例だと思いますが、平成の大合併に於いてはまた異なる「字・大字・小字の関係の変化」の事例が見られます。
例として、実際の意図はともかくとして藩政村単位の字が小字になったように見える住所表記となってしまった沖縄県宮古島市、どう考えても他のところなら小字になっているであろう細かーい区分が「大字無し」を経ずに大字となっている宮城県登米市の旧豊里町・旧南方町の部分を挙げておきます。



※川北町内の小字名の事例を追加、書き出しに1文追加
[59158] 2007年 6月 16日(土)13:35:14inakanomozart さん
街区符号
[59154] 2007 年 6 月 16 日 (土) 12:08:41  k-aceさん
光都○丁目までは跨っていることは知っておりましたが、番地単位まで跨っているとは…。
ひとつの番地が複数の自治体にまたがっていることは考えにくいので、番地ではなく、「街区符号」ではないでしょうか。
したがって正確には、「1番地」ではなく「1番」では?
[59202] 2007年 6月 17日(日)21:54:1688 さん
住居表示、地番、番地、住所・・について
[59152] ハンブルガー さん
[59154] k-ace さん
[59158] inakanomozart さん ほか

inakanomozart さん がすでにコメント済みですが、さらに補足して。拙稿の
「住居表示」と「地番」[48795]
「地番」と「番地」[51379]
「住所」の表記方法(「住居表示」か「番地」か)[49764]
もご参照に。なお、「町」「大字」については、[48565] をどうぞ。

これらのことについて、要約して再整理します。
◆地番
不動産の取引などに使われる、土地の登記簿に載っているのが「地番」です。分筆すると、支号(枝番)が付きます。
例えば、「落書町1番」(支号なし)、「落書町二丁目3番4」(支号あり)などと表記されます。
◆番地
「落書町1番地」といえば、「1番の土地に所在する」という意味を含んでいます。不動産登記簿では、「土地」と「建物」の登記簿に分かれますが、「土地」の登記簿は上記のように「落書町1番」などになりますが、「建物」の登記簿は、「所在」は「落書町1番地」、「家屋番号」としては通常「1番の1」(1棟目)、「1番の2」(2棟目)、というようになります。
我々の本籍地や住民票は、「1番」に所在する建物にある、ということから、(1番ではなく)「1番地」として表します。
このため、住所としては「落書町1番地」「落書町二丁目3番地4」となります(住居表示を実施していない場合)。
◆住居表示
都市化が進行すると、土地は分筆を重ね、支号(枝番)が増加して順序どおりに並ばず、それぞれに建物があると郵便配達その他で複雑で不便になります。このため、都市部においては、不動産登記簿(土地)と別に(併用して)日常生活用に別の「住居表示」を実施し、街区符号及び住居番号を設定し表示します(「道路方式」もあるが少数のため割愛)。
なお、「落書町二丁目」と、住居表示にあわせて「丁目」を使用することが多いのは事実ですが、「丁目」があるからといって住居表示をしているとは限りません。一方、「丁目」がなくても住居表示をしていることもあります。また、街区符号は「たまたま」地番と一致することもありますが、異なることの方が多いです。
住居表示が実施されると、住民票等の日常生活で使用するもののほとんどは、「落書町1番1号」「落書町二丁目3番4号」などとなります。
◆丁目
敢えて別に書きます。「落書町二丁目3番4号」の場合、「落書町二丁目」が地方自治法第260条の「町」です。「二丁目」は単なる数字ではありません。「3番」「4号」は、単なる数字です。ですから、略す場合等は、次のようになります。
落書町2丁目3番4号、落書町2丁目3-4、落書町2-3-4
落書町二丁目3番4号、落書町二丁目3-4
つまり、数字の部分は「-」(ハイフン)で略すことは可能ですが、「二丁目」の部分は、「落書町」と一体となっての固有名詞ですので、「二」を「2」に置き換えることはできません(「二本松市」を「2本松市」とは決して書かないのと同じ意味)。
念のため述べると、「落書町」の中に「一丁目」「二丁目」・・・と階層があるのではなく、「落書町一丁目」「落書町二丁目」という「町」なのです。

余談・・・・「公式文書」
「公式文書がこうなっている」とよく話題になりますが、例えば「町・字」に関する本来の公式文書は、県告示などで「町・字を地方自治法第260条の規定により・・」というものだけです。他の(地方自治法の町・字や、住居表示法を担当していない)部署は、「正式な町・字とは何か」ということをまったく理解していない(理解する必要もない)ので、HPをはじめとして「落書町1丁目」という表記を平気でしたり、1丁目を飛ばして「(町名は)『落書町』」と表記したりします(これらは「公式文書」とは言えない)。これらのことをきちんと理解しているのは、市町村などの「そういう担当部署の、そういう担当職員」だけです。また、このように誤った(不十分な)資料を報道機関に提供することもあるため、そのまま報道され、さらに一般住民もそのように思うことになります。
なお、これは道路標識でも同様に「誤りの連鎖」のようなことが起こります。

―――――――――――――――――――――――――
なお、今回の「光都」のような例の場合、例えばの話ですが、「『番地』が2市町にまたがる」ことはないとは言えません。地番を確認できないのですが、
(前提条件)
・現地を区画整理して地番もご破算にして振り直している
・住居表示を実施していない
(仮定)
「地番の」たつの市新宮町光都一丁目1番と、赤穂郡上郡町光都一丁目1番にまたがる建物があります。この場合の2つの「1番」は、またがっているのではなく、たまたま隣り合わせにあります(地番は「地番区域」ごとに設定されます(不動産登記規則第97条))
建物の登記簿として、また、通常使う住所の表示としては、2筆分を代表して「たつの市新宮町光都一丁目1番地」と表記します。
・・・・まあ、なかなかこんなことはありえないでしょうが、「理屈上は」ありえます、ということで。
[61638] 2007年 10月 7日(日)23:10:36桜トンネル さん
第十七回全国の市・十番勝負&八尾市
またまたまたひらめいた!!!

問四:山口市

これは予想問題として用意しようとしていたけど、めんどくさかったし、時間がなかったので後回しにしたやつだぁ!!でも多いような・・・条件つきなのかな??
今まで8問答えて、あっている問題が最高で7問って本当にどんだけぇ~。(もしかしたら正答数ランキング1位に立てるかも!)

一言・・・「もうk-aceさん(笑)!!」
[65276] 2008年 5月 28日(水)00:20:2188 さん
不動産登記法関連について(小字の調査に有用な法務局の地図、地番整理、地租改正における地番区域について)
[65215] 千本桜 さん
本題の前に一つ情報提供です。千本桜さんは、法務局の地図をご覧になったことはどのくらいおありでしょうか? 十分にご存知であれば、以下の冒頭の数行は読み飛ばしてください。
字(小字)について法務局で調べる場合、次の地図はご馳走です。
(1)国土調査(地籍調査)を実施している地域の場合・・・現在の地図(不動産登記法第14条(第1項)地図)の前の「旧図」
(2)国土調査(地籍調査)を実施していない地域の場合・・・現在の地図=「公図」、「旧図」
「旧図」は、古いものは明治の地租改正のときの「土地台帳附属地図」であり、和紙に筆で書かれた小字単位を基本とした地図です。地目、地番などが表示されています(もちろん白地(無番地、農道・水路など)も)。「旧図」は、地域・時代により、何種類も(何代分も)ある場合があります。
国土調査をした後の地図(縮尺500分の1)は、精度はありますが字ごとではなく、普通に長方形で区切った地図です。これと異なり、国土調査実施以前の「旧図」や多くの「公図」は、小字単位などで作成された地図ですから、「そういう観点で」見るのにはうってつけです。
なお、この旧図などの写し(いずれかの地番を特定する必要あり)を正式に請求すると、確かに500円必要で、法務局の証明印がつきます。しかし、法務局にもよりますが、コインコピー機を備え付けてあり、自分で自由にコピーすることができるところがあります。地図は500円での請求とまったく同じもので、証明印がないことが相違点です。ぜひお試しください。
余談。法務局で正式に「地図」と言うと「不動産登記法第14条(第1項)地図」のことです。国土調査を実施していない、上記(2)の「公図」は、「地図に準ずる図面」(同第14条第4項)です。
――――――――――――――――――――――――――――――
さて、ご質問の件です。
1・私としては、「町名地番整理」より「字名地番整理」の方がしっくりするのですが、「字名地番整理」という用語でも通用するのでしょうか。
私も[42149][42202]で書いたように、町名地番整理という言葉にはまったく縁がなかったのです。今でこそ多少実例も知りましたが・・・。町名地番整理(Google検索)はたくさん検索にかかります。字名地番整理(Google検索結果)はわずか(大半が千本桜さん絡み)で、私は聞いたことはありませんが・・・。
2・町名地番整理時に大字名を温存するか省略するかについては、国の方針・指導がなくて市町村の判断に委ねられているのでしょうか。
残念ながら存じません。おそらく、国の指導は特になく、市町村の判断だろうと想像します。もっとも、「町名地番整理」にそもそも根拠法令があるようには思えないのですが・・・。
3・住居表示とは異なり、町名地番整理の場合は住所と登記簿の字番地は一致するんでしたよね・・・?。
川越市HPの町名地番整理にちょうどいい資料がありました。
一致はしますが、厳密に言うと、「住所・・・○○番地△」「登記簿(土地の所在)・・・○○番△」という違いはあります。また、地番区域が大字単位の場合(小字も存在する場合)、通常住所には小字は入りませんが、登記簿には小字が入ります。

ついでにもう一つ。小字必須の地域に住む者の素朴な疑問です。大字単位に地番を付す地域は、いつからそのようになったのか。これについては、明治22年市制町村制発足と同時に大字起番を採用した地域もあると思って良いのでしょうか。何か良く分らないのですが、小字必須が当たり前の地域に住んでいる者の観点からすると、場所特定を簡易にするために後になって大字起番が考えられたのであり、最初はどこも小字必須が一般的だったのではないかなどど考えているのですが、どうも分りません。
このご質問に関していい資料を発見しました。やはり明治初期の地租改正をあたる必要があります。
(参考資料:「地租改正と地籍調査の研究」塚田利和著、御茶の水書房、1986年2月20日第1版1刷発行、p.80~p.98など)
まず、地租改正は、次のとおり一群の法令としてM6.7.28太政官布告第272号として発布されたものです。
上諭勅諭
地租改正法太政官布告
地租改正条例太政官布告に添付された別紙条例
地租改正施行規則大蔵省布達
地方官心得書大蔵省の地方官への通達
この勅諭に、地租改正の趣旨が書かれています。ちょっと長いですが、ポイントになるところだと思いますので引用します(原文は旧字体、句読点を前掲書により補記)。
朕惟フニ租税ハ国ノ大事、人民休威ノ係ル所ナリ。従前其法一ナラス寛苛軽重率ネ其平ヲ得ス。仍テ之ヲ改正セント欲シ乃チ所司ノ群議ヲ採リ地方官ノ衆論ヲ尽シ更ニ内閣諸臣ト弁論裁定シ之ヲ公平画一ニ帰セシメ地租改正法ヲ頒布ス。庶幾クハ賦ニ厚薄ノ弊ナク民ニ労逸ノ偏ナカラシメン。主者奉行セヨ。
つまり、新地租は公平画一で旧幕藩制割拠の不平等を除去するものであるという、新時代の理念を国民大衆に明らかにした詔勅です。
その後、明治8年3月24日太政官達第38号
第三十八号(三月二十四日輪廓附)
内務大蔵両省間ニ地租改正事務局ヲ置キ地租改正ニ関スル一切ノ事務管掌セシメ候条此旨相達候事
と、地租改正事務局を発足させて政府の地租改正事業の実施体制はほぼ完成しました。
同事務局は、地租改正に関するさまざまな通達を出しますが、その中で、明治8年7月8日付けで「地租改正条例細目」、「地所処分仮規則」を公布しました。
この中の「地租改正条例細目・第三章地番号ノ事」に、ご質問の答えがありました。
第一条 番号ハ従来ノ本田畑、宅地、新田・・・(引用者中略)・・・等地所ノ種類ニ不拘官民ノ所有ヲ不論一村所属ノ地ハ漏脱ナク地押順ヲ逐ヒ一筆限一村通シ番付ニスル歟又ハ大村ニテ地形ノ都合ニヨリ幾箇ニ区別シ別段ニ番付スルモ実地紛糺ナキ様処分スヘキ事
「一村通シ番付ニスル」か、又は「大村ニテ地形ノ都合ニヨリ『幾箇ニ区別シ別段ニ番付スル』モ実地紛糺ナキ様処分スヘキ事」と、村単位を主としているように読めます。

この文献は、なかなか読み応えがありそうです。現在は新刊では入手できないようですが・・・。またじっくり読んでみたいと思います。
[66556] 2008年 8月 31日(日)21:33:14オーナー グリグリ
町名大字名と小字名ほか
[66552] 2008 年 8 月 31 日 (日) 19:14:35【1】 EMM さん
ここでピッタリ来たもんですから、グリグリさんの想定解はこうなんだろうなぁ、と思ったんです。
EMMさんが挙げられた想定解は、当初私がマピオンで数え上げたものと一致します。元が同じですから当然といえば当然ですが。ところで、EMMさんは、町名大字名と小字名で分類してますが、私にはいまだにこの分類をどうやって判断しているのか分かりません。例えば、いなべ市(藤原町石川)は町名大字名で、尾張旭市(城前町石川)は小字名だとどうやって判断しているのでしょうか。
今後出題を考えられる時は(過去問でもおおむねそうだったと思うのですが)小字を共通項に含めないのが「固い出題」のためには必須だと思います。
このため、小字を共通項に含めない方法が分からず困惑しています。
十二回問八の検証経験からすると、「引けるのであれば、どこかで線引きをせねばキリがない」事になる可能性があります。
ということであり、今回の問五や問六については日本人さんの[66550]も含め、これ以上の見直しは行いませんのであしからずご了承ください。ただし、解答者ご本人からの見直し要請については可能な限り対応したいと思いますのでよろしくお願いいたします。

[66553] 2008 年 8 月 31 日 (日) 19:48:34 EMM さん
「合成地名」コレクションには「美川町←能美郡+石川郡」は収録されています。
なるほど、見落としていました。インデックスの石川県の項だけ見ていました。平成に消滅した市区郡町村名としてまとめてあったんですね。大変失礼しました。ページ内検索を掛けて確認すればよかったです。

[66554] 2008 年 8 月 31 日 (日) 20:03:03 MasAka さん
あと、出題訂正後も想定解数が88市のままでしたので、これからすれば相生市は正答ではないと言えるかも知れませんが、実際には正答なので89市への訂正が入っても良かったのかなと思います(ただし、これもよくある「想定解の数え間違い」の可能性があるので、必ずしも根拠には結びつきませんが)。
想定解数は88市のままです。相生市は当初から想定解に入っていました。要するに、該当しない市を決める際に、金沢市の金石相生町や加賀市の大聖寺相生町に引きずられて、誤って相生市を選んでしまったというミスです。該当しない市の差し替えの際に想定解数の見直しは関係なかったわけです。
[66558] 2008年 8月 31日(日)23:52:23EMM さん
Re:[66556]
[66556] オーナー グリグリ様
ところで、EMMさんは、町名大字名と小字名で分類してますが、私にはいまだにこの分類をどうやって判断しているのか分かりません。例えば、いなべ市(藤原町石川)は町名大字名で、尾張旭市(城前町石川)は小字名だとどうやって判断しているのでしょうか。
アルプス社系の地図サイトを参考にする場合、

・住所一覧での書かれ方(小字は括弧書き)
・地図上で1つの町域として表示されているかどうか

…で判断しています。
ただ、例示された「尾張旭市城前町石川」は、そのような判断をする上でかなり困ったちゃんであることが判明しました。
Mapionで見た場合、「尾張旭市の住所一覧」では大字としての書かれ方をしているものの、地図上では他の「城前町○○」と同じ色(=同一町域)で書かれており、内容に齟齬が生じています。
さらに、同じアルプス社系のYahoo!地図 では、「城前町○○」はそれぞれ別の色で塗り分けられている。
(向町4丁目に石川公園とか城前町石川交差点がある事から、どうやら城前町石川はほとんどが住居表示の実施により向町1丁目~4丁目になったようで、現在城前町石川として生き残っているのは名鉄の線路の下の部分のみのようです)
Mapionの地図上のみを見て尾張旭市城前町石川を小字扱いしていましたが、これらからすると、尾張旭市内では「城前町○○」の○○の部分まで大字扱いされている?と言うことになってくるようです。
ちなみに、同じ愛知県内でも一宮市・岩倉市・豊田市については「石川」の出てくる部分はすべて小字扱い(括弧内表示、地図上での町域表示無し)となっています。

なお、同じところが地図サイトによって「大字的扱い」になっていたり「小字的扱い」になっていたり異なる扱いになっているところもありました。
合併前の自治体がそんぐり合併後の大字になってしまったものの、郵便番号は合併前の字(合併後は小字扱い)単位で割り振られえたままになっているところで見られる事例で、たとえば宮古島市の全域、にかほ市の旧象潟町域などがそんな感じです。

これらからすると、先の大上段に構えた物言いを自らトーンダウンさせてしまうことになってしまいますが、町名大字名までにするにせよ小字まで対象にするにせよ、今回の問五・六のような問題を出す際の共通項には「○○の資料で調べた結果」と言うことを明示することが絶対条件で、その上でできればその資料で分かる範囲で町名大字名に絞っておけば他の資料との齟齬も小さくなる(なくなる訳ではない)…と言うことになるようです。
[66562] 2008年 9月 1日(月)01:05:17むっくん さん
町名大字名と小字名の区別
[66558]EMMさん
・住所一覧での書かれ方(小字は括弧書き)
(中略)
…で判断しています。

私もEMMさんと同じ基準で考えていたのですが、そもそもこの基準を満たさない事例があるようです。
それは2005年4月1日に京都市に編入された旧・京北町の住所です。
京都市では京北町の編入以前より大字及び小字は存在せず町名のみが存在していました。京北町の編入に際して、旧・京北町の町名・字名は
名称について、大字の前に「京北」を付し、大字及び小字の字句を削除した町名に変更
されました。(参考:財団法人日本都市センター京都市(PDF)6頁(14)町・字の名称・区域)

例えば右京区役所京北出張所(旧:京北町役場)の住所は京都府北桑田郡京北町大字周山小字上寺田1-1だったのですが、編入後の住所は京都府京都市右京区京北周山町上寺田1-1となりました。

同出張所のあるところは、Yahoo!地図の住所一覧では京北周山町(上寺田)と記載されていますが、上記資料に依りますと、現在は京北周山町上寺田という町名であり小字は存在しないことになったようです。
編入前は大字と小字の区別は明確だったのですが。。。
[66582] 2008年 9月 2日(火)21:29:2988 さん
第二十回 十番勝負 問五・問六・問九に関連して その1 町、字、大字、小字について
今回の第二十回十番勝負の問五、問六、問九に関しては、皆さんの間でいろいろと議論になっているところですが、それに補足する形で投稿します。
今回のポイントは3つあろうかと思います。
(1)「町」「字」「大字」「小字」とは何か。
(2)「住所」とは何か。
(3)地図サイトでは何を基礎資料として「町」「字」「大字」「小字」を区別し(または区別せずに)記載しているのか。採用基準は何か。

まず、(1)について述べます。
町、字(大字、小字)について規定しているのは、地方自治法不動産登記法でしょう。
―――――――――――――――――――――――――
地方自治法
第二百六十条 政令で特別の定をする場合を除く外、市町村の区域内の町若しくは字の区域をあらたに画し若しくはこれを廃止し、又は町若しくは字の区域若しくはその名称を変更しようとするときは、市町村長が当該市町村の議会の議決を経てこれを定め、都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出を受理したときは、都道府県知事は、直ちにこれを告示しなければならない。

不動産登記法
(土地の表示に関する登記の登記事項)
第三十四条  土地の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 土地の所在する市、区、郡、町、村及び字
二 地番
三 地目
四 地積
―――――――――――――――――――――――――
私も過去の投稿で、町、字、大字、小字について述べました。一連の私の投稿等をまとめると、次のとおりです。
・ 「町」「字」に機能などに違いはなく、どちらで告示したのか、の相違に過ぎない。
・ 「字」は、いわゆる字のみならず、「大字」又は「小字」も含まれる(行政実例昭和23年8月9日)。
・ 「○○町△丁目」となっている場合、地方自治法上は「○○町△丁目」が「町」である。従前の「○○町字□□」は、「△丁目」となる時に小字はなくなる。
 一方、不動産登記簿上は、「○○町」が「町」であり、「△丁目」は「字」欄で表記されている。
・ この「△丁目」以外の点については、地方自治法と不動産登記法での相違点は見当たらない。

まず、各県などの公報の告示を検証することにより、町・字の区別について判断は可能ではあるものの、いかに複雑・困難であるかについて述べたいと思います。

■青森県つがる市の例
平成17年2月11日付け青森県告示第87号(pdfファイル)で、地方自治法第260条第1項の規定により、「つがる市の町の区域を次のとおり新たに画する」とあります。「町」が、「木造赤根」「木造芦沼」「木造芦沼鈴鹿」などです。
町の名称変更ではなく、「新たに画する」ですから、旧木造町等の時代は「字赤根」という「字」であったことがわかります。なお、「赤根」という「字」ではなく、「字赤根」という「字」です。
従前の小字を名称としても位置づけとしても廃止し、その名称は町の名称の一部として使用することにしたようです。

■香川県丸亀市の例
拙稿[41581]にありますが、香川県報の香川県告示がリンク切れなので、再掲します。平成17年3月22日付け香川県告示第163号(pdfファイル)
「次の表の下段に掲げる字の名称を当該上段に掲げる字の名称に変更し」ですので、旧綾歌郡綾歌町及び飯山町部分は、合併前・合併後とも町ではなく字(大字)です。上記青森県つがる市との表現の相違をご確認ください。

■佐賀県佐賀市の例
平成17年(2005)10月1日付けで佐賀郡諸富町、大和町、富士町及び神埼郡三瀬村を編入合併しています。この4町村の町・字の取扱は異なります。
平成17年10月1日付け佐賀県告示第500号(pdfファイル)で、地方自治法第260条第1項の規定により、「佐賀市の区域内の町の区域を次のとおり新たに画する」で、次のとおりになっています。
新たに画する町の名称同上に編入する区域
諸富町旧佐賀郡諸富町の区域
大和町旧佐賀郡大和町の区域
富士町旧佐賀郡富士町の区域
おそらく、この下位区分として「字」(小字)があるのでしょうが、変更がないため告示対象となっていません。
その告示の続きとして、平成17年10月1日付け佐賀県告示第501号(pdfファイル)があり、地方自治法第260条第1項の規定により、「佐賀市の区域内の字の名称を次のとおり変更する」として、次のとおりになっています。
変更後の字の名称変更前の字の名称
三瀬村三瀬大字三瀬
三瀬村藤原大字藤原
三瀬村杠大字杠
三瀬村時代は「大字三瀬」「大字藤原」「大字杠」という「字」(大字)であったものを、合併後は「三瀬村三瀬」「三瀬村藤原」「三瀬村杠」という「字」(大字)に名称を変更したものです。
つまり、この2つの告示を見比べると、地方自治法上は、「諸富町」「大和町」「富士町」は町ですが、「三瀬村三瀬」「三瀬村藤原」「三瀬村杠」は字だということです。もちろん、「三瀬村三瀬」「三瀬村藤原」「三瀬村杠」という「町」を設定しても問題はないし、その逆に、「諸富町」「大和町」「富士町」という「字」(正確には例えば「諸富町大字大堂」という「字」(大字))を設定しても問題はありません。佐賀市がこういう「町」「字」を選択したからこうなった、というだけのことです。
この「町」「字」の違いは、市民の実生活上は何の支障もありません。もっとも、十番勝負で「町」「字」と定義するのであれば、いろいろと疑義が出そうです。

町はあるが小字がない例については、高松市鬼無町山口[49211]、大字はあるが小字がない例については、東かがわ市馬篠(元大川郡丹生村)[49209]などをご参照ください。

次回投稿に続きます。
[66728] 2008年 9月 13日(土)08:00:3788 さん
第二十回 十番勝負 問五・問六・問九に関連して その2 地図・字の成り立ちについて
[66582]拙稿の続きです。地図・字(特に小字)の成立過程について述べます。今回の投稿は[65276]拙稿の補足になります。ちょっと詳細過ぎ・長文ではありますが、現在の土地制度(字、地番を含む)への大きなポイントとなるところですのでご容赦を。
(参考資料)
「地租改正と地籍調査の研究」(塚田利和著、1986年2月20日第1版1刷発行、発行:御茶の水書房)
「公図 読図の基礎」(佐藤甚次郎著、H16(2004).3.1初版第3刷、発行:株式会社古今書院)
―――――――――――――――――――――――――
■土地の所有形態の歴史について
土地は、もともと各地の氏族が首長を中心として土地を私有していました。この土地を国有化して口分田を基礎とした「班田収授」を実施したのが「大化の改新」です。
時代はずっと下って江戸時代。慶長10年秋、徳川家康は全国の諸大名から領地の「石高」「物成」(年貢高)と「領地絵図」を提出させて「家康御前帳」を作成して幕藩制土地所有を具体的に公示し、全国すべての土地を幕府所有地として各地の大・小名領主に「領地目録」、旗本領主等に「知行地上」及び「知行地安堵状」等により諸大名・旗本に配分し、寛永20年3月に「田畑永代売禁止令」「田畑永代売御仕置」を発布して「土地占有借耕権」の移転に制限を加え、農民を検地石高制と結合させて幕藩制土地領有を確立させました。制度的には次のとおりで、土地の私有はありえませんでした。
・統治者・・・幕府
・領地権者・・・大名、小名、旗本等の領主
(領地権・・・検地石高(現代の土地所有権を考えられる)によって結ばれている農地及び農地と一体になっている農民を含めて支配する)
・名請人・・・庄屋・豪農等。農地管理者であり、耕作管理を領地権者から認可された代償として年貢を納付する義務を有する耕作請負人
・耕作人・・・小作人で農地と一体になる人。名請人の耕作代理人としての農業従事者。名請人に年貢を納めた後の余得で生活を支える

明治維新は、幕藩時代に「幕府直轄地」(天領・旗本知行地等)と「各藩領有地」に別れていた土地を「国有地」に統一して、その土地に「私有権」を確認・設定した変革でした。
まず、版籍奉還願が各領主から提出され、政府はで各領主に版籍(土地及び人民)奉還を命じました(M2.6.17太政官布告第543号・第544号)。旧幕府所有地は、既に政府の所有になっており、政府直轄地と諸藩主の領有地とに分かれていたのですが、版籍奉還により、諸藩主が領有する土地・人民ともに政府に返還したため、すべて政府の統括下に置かれ、太閤検地以来280年継続された「幕藩領国制の領主的土地所有体制」は崩壊し、国土は政府直轄の「国有地」と確定しました。この時点では、私人の所有権はまだ皆無です。

その後、M3.6太政官布告第430号・第431号により「御国絵図改正」が行われました。政府は、国家財政の確立と税法論議に対応するため、幕藩時代から個々に区画されている毎筆の土地を把握する必要性がありました。このため、幕藩時代最後の全国検地「天保検地絵図」を基礎素図として毎筆の土地を現地に確認し、各筆の土地の形状・位置及び農道・水路・溜池・河川等の公共物の位置・形状を確認して、現況と「天保絵図」とが符合しない箇所は現況に符合した現況測量図である改正御国絵図を作製し提出するよう、全国の各府藩県に命じました。

版籍奉還令により国有地となった土地は幕藩体制時代から国民が占有している実態に沿って個々に区画されており、その区画ごとに占有権を確認したうえで、政府が旧来の占有権を近代的土地占有権として法的に追認して区画ごとに所有権を確立し、国民に再配分所有権を国家が保証することにより、M5.2.15太政官布告第50号の「地所永代売買禁止の解除」が有効になります。

■明治初期の各土地制度・地図等の変遷について
明治政府は、明治初期において各土地制度の充実に際し、さまざまな制度により、さまざまな地図を作ります。地図と共に、字名・地番も変更になったり、そのまま踏襲したり、複雑です。まずは地図を中心とした観点から、各制度等を表にします。
年月日法令番号等法令名等地図名称担当部署趣旨
M5.2.24大蔵省達第25号地所売買譲渡ニ付地券渡方規則壬申地券地引絵図大蔵省壬申地券の確認のため
M6.7.28太政官布告第272号地租改正条例地租改正地引絵図地租改正事務局土地を課税の対象とし、所有者個人に課す。面積は実測
M7.12.28内務省達乙第84号地籍編製調査実施通知地籍編製地籍地図内務省民地のみの地租改正に官有地を追加
M17.3.15太政官布告第7号地租条例地押調査更正地図大蔵省地租改正の脱漏の補足等
M22.3.23勅令第39号土地台帳規則土地台帳附属地図*大蔵省地券台帳を基礎に脱落等を調整

このように、大蔵省、内務省等が、それぞれの観点から制度をつくり、地図等を作成しました、よって、上記のとおり名称も中身も似通っていますが、正確には異なります。また、現在法務局にある「旧土地台帳附属地図」、つまりは「公図」を見る場合に、注意を要します。[65276] 拙稿でも述べたように、この「公図」は、字や地番区域等を見るときには、「宝の山」です。

▼壬申地券と地引絵図
政府は土地整理と共に国家保証による土地所有権を認め土地私有制度を確立するために、M5.2.24大蔵省達第25号「地所売買譲渡ニ付地券渡方規則」を布達しました。こうして作られた地券が「壬申地券」です。これは当初は売買譲渡の場合に所有権を公証するものとして地券を付与したものでしたが、M5.7.24大蔵省達第83号ですべての土地所有者に交付するように改められ、これらは「一般地券」とも呼ばれました。
これには地所1筆ごとの反別、地目、地代及び所有者の確認が必要ですが、この調査は所有者の申告制を採り、従前の検地帳・名寄帳などを基礎としました。申告書が「地引帳」(府県によっては「丈量帳」「反別帳」とも)、これに添えた地図が「地引絵図」です。地所各筆の位置を特定し脱漏を防ぐためにも地所番号(地番)が付けられました。

▼地租改正と地引絵図
M6.7.28太政官布告第272号の地租改正条例では、従来の貢租が生産物(生産高)を対象として「村」(現実にはさらに按分されて作人)が納付していたのを、土地を課税の対象とし、所有者個人に課すようにしました。このため、土地と所有者の正確な把握、さらには土地の面積が基本要素であるので、面積は実測し、字名と地番や所有者を示した「地引帳」とその事実を図示した「地引絵図」をもって申告させました。

#なお、地租改正に先立ち、字及び村は一部再編されます。
検地帳などに記載され一応は確定した字も、時間的経過につれて、村人たちの生活にかかわりが多い地区などでは細分化が進行し、明治初期には一村における字の空間的規模はきわめて不均衡になっていた場合が多くなっていました。また、無住家村や数戸という小規模村は、改租作業の負担に耐えられないので地租改正を前にして合併が進められ、M6.7.17大蔵省第99号達「村市改称分合方」により合併を促進しました。
村市改称及ヒ分合追々伺出候処中ニハ簡略ニ過キ夫カ為メ調査推問等徒ニ時日ヲ費シ事務遷延致シ不都合ニ付以後分合之分ハ其村市苦情之有無取糺差支無之分ハ四隣囲繞村市境界ヲ記候絵図面並反別戸口詳細取調改称候分ハ其村市差支之有無取糺可申出最両条其旧新称呼之側ヘ仮名ヲ附シ可申候此段相達候事
また、地租改正に先立つ地籍編製において、字名は、M9.5.23内務省丙第35号達「地籍編製地方官心得書」に付け方が示されており、第8条で、
字ハ旧慣ニ依ルヲ旨トス然レトモ実際広大ニシテ已ヲ得ス分裂セサルヲ得サルモノハ成ルヘク字ニ上中下或ハ一二三ノ文字ヲ加ヘ旧字ヲ存シ分裂ヲ為シ之ニ反シ狭小ニシテ合併セサルヲ得サルモノハ旧字ノ広ク唱フル一字ヲ採リ合併ヲ為スモ妨ケナシトス
となっています。

▼地押調査と更正地図
地押調査はすべての府県で新規に行ったものではありません。改租作業(地租改正)が不備であったり、改租後に開墾などで土地に変動があったところについて実施されました。
丈量、つまり面積測量の方法として、分間略器に代わりアリダードなど近代的測量機械を使う等が指示され、精度が高められるよう図られました。

▼地籍編製と地籍地図
壬申地券交付や地租改正、地押調査は地租賦課のためものなので、対象は課税対象(有租地)の民有地に焦点があわされていました。このため、官有・民有すべての地所を対象として内務省により行われたのが「地籍編製」です。
実務としては、地租改正の地番はそのまま使い、道路・堤塘・沼沢などには地租改正の末番から追加の番号を付けることとしました。しかし、地租改正時に町村通し番号の地番を付けたものを、この機械に字限り番号に付けかえた県もありました。

▼土地台帳規則と添付地図
M22.3.23勅令第39号土地台帳規則は、地券台帳を基礎に脱落等を調整し、移記して編製する方針で進められました。しかし、異動する筆数が膨大で手間が予想以上にかかり編製作業は難渋しました。添付地図も帳簿上の整理が終わったところで作成されるため、調製はさらに遅れました。このため、土地台帳規則施行日(M22.4.1)の直前に、地券台帳の整理補修によって新規作成の土地台帳に代えるものとする大蔵省から通知がなされ、施行日を迎えました。
しかし、地券台帳の整理補修したうえでこれを基に土地台帳を編製するのでは、異動筆数が全国で2707万8000筆に及ぶことから、手数と経費が膨大であるため、再び方針を変更して修補作業を中止して3箇年で新規することとしました。
添付地図に関しては、各県まちまちで、地租改正地図に訂正を加えた県や、地籍地図を充てた県、新規に更正地図を調製した県などまちまちでした。
これらの添付地図が、現在、法務局に「旧土地台帳附属地図」として存在しており、何人もこれを利用することができます。

#ちなみにこの土地台帳規則が、(旧)不動産登記法(明治32年法律第24号)、土地台帳法(昭和22年法律第30号)(中野文庫)、不動産登記法(平成16年法律第123号)と引き継がれ現在に至っています。
[66729] 2008年 9月 13日(土)08:00:4988 さん
第二十回 十番勝負 問五・問六・問九に関連して その3 地租改正と字・地番について
[66582][66728]拙稿の続きです。特に[66728]の続きとなります。字・地番の成り立ちを詳しく述べます。
参考文献は[66728]と同じです。
―――――――――――――――――――――――――
■地租改正と字名について
字と地番は、組み合わせて各筆地所の所在場所を特定することができます。
現在の字名及びその区画・範囲については、江戸時代において使用されていたもの、むしろそれ以前の中世あるいは古代からのものが継承されている、と思われがちです。ところが、実は、M6(1873)~14(1881)年に行われた地租改正の作業で、字が新たに区画され、命名され、この新字区画に基づいて地所番号(地番)が付けられたもので、これが基本的に現在に至っています。
近世初期の検地で、地所の場所を特定し、地域を区画する単位とされた字(字名)は、条里制の坪付や中世の名田に基づくもの、あるいは地形や土地の利用上などの場所的特徴によって発生したものなど、成立の事情は実に多様です。
地租改正の作業にあたって、これを調査の単位地域として適正規模に区画しなおし、新区画に基づいて新字名と字番号が命名されました。
これは、最小の行政区画として、また場所を特定する公の地名として使われ、基本的に現代に至っています。

全体としては、旧来の字名を継承したかに見えるものも、従前のものを分合して再構成し、旧字名のなかで新区域に関して最も適切なものを選択してつけた場合が一般的でした。
もっとも、まったく新規に区画され字名を付けたというよりも、従来の字区画を基本としながら区画し直し、字名も旧来のものを基礎としたものが多く、無関係とは言えません。
▼埼玉県新座郡下新倉村(現和光市)では、従来の87字を名称・区画ともそのまま踏襲しました。
▼三重県では、1村内で同名のもの、小地区が各字に分かれていて不便なところ、字界が判然としないところ等問題がある箇所に限り「部分的な改正」を指示しています。
▼歴史的あるいは場所的な特徴とは無関係な字名がつけられた場合もあります。
M8(1875).10名古屋の慶雲堂刊行の「地方丈量法」(太田正公)では、
村内ニ旧来称ヘ来リシ字称数多ニシテ、煩シキモノハ合併シテ新字ニ改正スルモ可ナリ。字称ヲ改製スルニハ、従前ノ字称ノ首文字ヲ一文字ツツ採リ合セ、称書ヲヨシトス(サレド五、六字称ヲモ合併セバ、其首文字ヲトル事カタシ。如此モノハ、新ニ名クルモ又便宜ニ依)。其例三、四ヲ示ス。
として、例として、
字洞田 字石神 合併 改石田
字御堂跡 字一本松 字新開 合併 改御一新
字弥兵田 字生田 字田神 合併 改弥生田
字朝田 字橿ノ木合併 改
を挙げています(体裁は引用者が変更)。
同書は改租作業にあたって区戸長層を主対象とした参考書で、愛知県、岐阜県、三重県その他でかなり広く手引書として使われ、この影響かどうかはさておき、このような命名法による字名も生まれました。
明治の大合併のときに、M21.6.13内務大臣訓令第352号で、「互に優劣なき数小町村を合併するときは各町村の旧名称を参互折衷する等」とあり、(参考:[37482] hmt さん、[62864] むっくん さん)、折衷地名(合成地名)が続出する根拠でもあったのですが、この訓令以前(明治の大合併以前)でもこの折衷地名は合併よりいくつか発生していました。この書籍またはこの考え方が各地に伝播していたのかもしれません。
▼石川県では、新字区画に包含された従来の小字名はイロハ、または甲乙丙丁に替え、例えば「字○○イ25番」「字△△乙35番」などとされました。(参考:[51948] EMM さん)

■地租改正と地番・地番区域について
再掲ですが、字と地番は、組み合わせて各筆地所の所在場所を特定することができます。
しかし、地租改正において地番をつけた直接的な理由は、丈量検査に際し、その道順に従って各筆に番号を付け、地番順に記載した地引帳をもって地引絵図及び現地を対照しながら検査を行い、脱漏や重複を防ぐことでした。

地番のつけ方は、[65276]拙稿と一部重複しますが、「村単位」で通し番号をつける場合」と、「字単位」で通し番号をつける場合、の大きく分けて2通りあります。
各県の例を挙げてみます。
・浜松県・・・村通し単位
・石川県・・・字単位
・愛知県・・・村通しを原則としたが、例外的に大村のみ字単位
・長崎県・・・全村通しを原則としたが、大村は甲乙に分ける
・熊本県・・・全村通しを原則だが、一部(約1割)は字単位
・青森、岩手、磐井、宮城、鶴岡、石川(現石川県及び現福井県の越前7郡)の各県・・・各字単位
・秋田県・・・村により、字単位と全村通しを村により選択
例えば村単位で地番をつける場合には、例えば字○○で100番までつけた場合には、隣接する字△△では101番からつけました。

■大字について
大字については、小字と比べるとその成立経緯はシンプルです。明治の大合併までは、村の中には字(いわゆる小字)しかなかったのですが、明治の大合併時に、従前の村名を、新町村名の「大字」として残すようになった、ということです。これは、M21.6.13内務大臣訓令第352号「町村合併基準」([62864] むっくん さんも参照)の第6条に、
旧各町村ノ名称ハ大字トシテ之ヲ存スルコトヲ得
とあり、これを受けて、例えば岐阜県ではM22.6.27付け県令第39号で、
但現町村ノ名称ハ大字トシテ之ヲ村ス
とあり、各府県とも同様の取扱いをしています。
ちなみに、この旧各町村(現町村)というのが曲者で、明治初期に合併をしたところは、大合併までの数年しか経ていない町村が「旧各町村」(現町村)とされ、それ以前の町村名が大字として残らなかった例があります。
(参考:高知県高岡郡七里村(現四万十町)をめぐる過去記事集)
明治の大合併時にはこのとおりであったのですが、その後、市町村の地域区分(下位区分)として、この「大字」という制度を利用し、明治の大合併前の町村名とは一致しない大字名が増えてきています。また、当初は「大字○○」という大字名だったのですが、単に「○○」という大字や、「○○町」「○○町△△」といった大字も増えてきています。
現在の地方自治法での位置づけは、第二百六十条に規定され、
 ・「字」は、いわゆる字のみならず、「大字」又は「小字」も含まれる(行政実例昭和23年8月9日)。
となっているのは[66582]拙稿で述べたとおりです。
―――――――――――――――――――――――――
次回投稿に続きます。
[66599] 千本桜 さん
エールありがとうございます。資料を収集し準備中です。しばらくお待ちください。
[66921] 2008年 10月 4日(土)14:57:39【1】88 さん
第二十回 十番勝負 問五・問六・問九に関連して その4 消えゆく小字
一連の投稿で、町や字などの地方自治法不動産登記法の取扱いなどについて述べました。
「(2)『住所』とは何か」の議論への誘導として、各市での実例をご紹介するのが本投稿です。

■香川県丸亀市の例(町名変更・小字の廃止)
変更前変更後
丸亀市土器町字高津○○番丸亀市土器町西五丁目△△番
丸亀市土器町字入領☆☆番丸亀市土器町西七丁目□□番
従前の小字と×丁目は1対1の関係ではありません。
ここでは町名地番整理を同時に行っているのですが、「字高津」「字入領」といった小字が廃止され、法務局の登記簿の「字」の欄は「×丁目」になっています。つまり、不動産登記簿では「町」が「土器町西」、「字」が「×丁目」と記載されています。(ちなみに法務局には、町名地番整理の資料として、新旧の町名・地番対照表が設置されています(他地域でも一般的に同様)。)
地方自治法上は「土器町西×丁目」が地方自治法第260条にいう「町」です(参考:丸亀市例規集丸亀市の行政区域、類似の参考例として高松市例規集の中の公称町名一覧表も)。小字は現在は存在しません。
なお、この地域では「土器町(字□□)」が土器町北一丁目~土器町北二丁目、土器町東一丁目~土器町東九丁目、土器町西一丁目~八丁目に変更されました。

■愛媛県松山市の例(小字の廃止)
松山市・北条市・中島町合併協議会第6回会議録(pdfファイル)の7/39ページ(議事録のページはp.5)では、
 編入合併を繰り返してきた松山市では、町名に大字がつくものがたくさんございましたが、このことが類似町名の混在という状況を招いておりましたので、地区住民からの要望もあり、昭和44年5月1日に大字をすべて廃止いたしております。
 また、小字も数多く混在いたしておりましたが、小字を廃止しても住所は特定できますことから、「住所の表示には、小字を省略しても差し支えない」という法務省の回答に基づいた表示方法に統一を図り、昭和45年7月10日に小字をすべて廃止いたしております。
とあります。
「大字」については類似町名の調整ということで変更する折に「町」にすることはよくあることでしょう。
「小字」の廃止に関しては、[48881][65276]拙稿で述べた地番区域に関連しますが、地番区域が大字単位で設定されていると小字を表記せずとも地番を特定でき、表記せずとも日常生活上はまったく支障がありません。日常生活では通常は小字の記載を省略しますが、一方では不動産登記簿には存在すためる不動産取引には記載する、という使い分けをすることが実態の大勢ではないでしょうか。これを一歩進め、「日常生活上無くても困らないのであれば廃止してしまおう」と、松山市は実施してきたようです。

■京都府京都市の例(北桑田郡京北町の編入に伴う町の設定・小字の廃止)
[66562] むっくん さん でご紹介があった件です。
京都市・京北町合併協議会第4回協議会会議資料(pdfファイル)の5/141ページ、第4回合併協議会会議録(pdfファイル)の5/30ページです。
従来、京北町の区域には大字数41、小字数1,252あったのですが、
「大字・小字の区域については従前のとおりとする。名称については、大字の前に『京北』を付し、『大字』及び『小字』の字句を削除した町名に変更する」
と決定されました。「大字・小字の区域については従前のとおり」という表現が誤解を招きそうなのですが、このように解釈すべきでしょう。
○合併前:京北町大字周山小字上寺田
京北町:自治体名、「大字周山」:大字名、「小字上寺田」:小字名、地番区域・・・小字単位
○合併後:右京区京北周山町上寺田
右京区:行政区名、「京北周山町上寺田」:町名、地番区域・・・町単位
→(大字)周山と呼ばれた区域の範囲は従前のとおり、(小字)上寺田と呼ばれた区域も同様。従前の小字をそのまま町名の一部とし、地番区域は実質的には変わらない。
→字(大字、小字とも)を廃止し、「町」を置いた。

■善通寺市の例(町名変更・住居表示実施)
ウォッちずで香川県の「地名等注記」で「石川」を検索すると、善通寺市のここがヒットします。法務局の資料で確認すると、ここは「善通寺市稲木町字石川」です。リンク先のすぐそばにある小学校は善通寺市立東部小学校ですが、ここは、
不動産登記簿善通寺市稲木町字石川450番1
学校の住所善通寺稲木町450番地1
稲木町の字(小字)がいくつあるのかまでは確認できていませんが、少なくとも、石川を含めて次の9つはあることは法務局の資料で確認済みです。
  毘沙門堂、永井、榎ノ間、池ノ前、西角、下川原、川原、荒神、石川
また、善通寺市HP内のS61.7.11付け香川県告示第751号「町の区域及び名称の変更」によると、このときの住居表示の実施により、稲木町(字石川)の一部は上吉田町七丁目の一部となり、この範囲に関しては字石川は廃止されました。稲木町(字石川)の範囲は狭くなりましたが、現存しています。

―――――――――――――――――――――――――
他の地域の例でも同様だと思いますが、以前は地元にも密着していたであろう「小字」が、地番区域が大字単位の場合は時の推移に伴い有名無実化し、不動産登記法との関連で整理するためにも、小字を廃止した例が増えています。町名変更、町名地番整理、区画整理、住居表示実施、市町村合併などを機会とすることが多いのでしょう。
京都市の例では、実質的には町名の一部として小字の名称は残っていますが、丸亀市や松山市の例では消滅しました。住民の自治会名称等では残っているとは思いますが。
小字がなくなった現状だけを見ると、結果としては高松市鬼無町山口[49211]や東かがわ市馬篠(元大川郡丹生村)[49209]と似たようになりましたが、経緯はまったく異なります。

次回投稿に続きます。
[77206] 2011年 1月 1日(土)02:58:35おがちゃん さん
十番勝負
問八:いなべ市

ああ怖いなあ・・・。
[77486] 2011年 1月 19日(水)16:36:54oki さん
再び、小字について
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。

[77484] hmt さん
[77481]のリストを見ると、愛知県など特定の地域に 字名らしきハサマが目立ちますが、同様に 多数の字名を抱えている市町村があるとすると、日本中の地名の数は 驚くべきものになりそうです。

「大和地名大辞典」では、奈良県における小字地名の数が10万ほどだった、と言うのを読んだことがあります。北海道と沖縄を除く45都府県に同程度の小字があるとすると、全国の地名の数は450万ほど、と言うことになります。
こちらの「小字データベース」を見ても、奈良平野が条里制に由来する方形の小字で埋め尽くされていることが分かります。

ただし、これらの小字の多くは、現在のネット上の地図では検索できないと思います。前にも[74206]で触れたことがありますが、ネット上の地図では、小字単位で番地が設定されている(小字起番)地域の小字は検索されますが、大字起番地域の小字は検索できないからです。たとえば、先の小字データベースでは、御所市蛇穴に垣内、車ノ本など数十の小字があることが分かりますが、Mapionの住所一覧検索には御所市蛇穴について4~750番地が記載されているだけで、小字は一切ありません。もちろん、御所市蛇穴字垣内で検索しても出てこないし、地図上に表示されることもありません
一方、[77423] 油天神山 さん の「一宮市千秋町佐野工高前」は小字起番の小字なので(1~69番地があるようです)、検索できるし、地図上にも表示されます。
また、[77481] 油天神山 さん 「豊田市大蔵町(柳ハザマ)」は、4番地と12番地しかないようで、検索はできるものの地図表示はされません。

では、小字起番の地域はどのように分布しているのか。
日本郵便は、ほぼ毎月、全国の郵便番号簿を改定しており、ネット上からダウンロードできます。この郵便番号簿には、「小字毎に番地が起番」という欄があり、これをチェックすることで、全国の大字地域について、それが小字起番かどうかを確認することができます。昨年の2月くらいに、これを使って小字起番地域の分布を調べた結果が以下の表です。

都道府県名大字数小字起番小字起番率
青森県2244112049.9
秋田県206499348.1
福島県3711170045.8
山形県167964838.6
岩手県175960934.6
徳島県131940230.5
愛知県4699127727.2
宮城県284877327.1
石川県230029212.7
京都府65754747.2
兵庫県41261132.7
静岡県2597501.9
三重県2276421.8
岐阜県2356361.5
島根県1153151.3
熊本県169170.4
長野県149250.3
山口県62220.3
群馬県141040.3
香川県144840.3
新潟県161340.2
富山県478480.2
広島県308050.2
鳥取県131420.2
大阪府67610.1
奈良県164820.1
滋賀県162810.1
栃木県170610.1
宮崎県177810.1
北海道251510
千葉県542620
茨城県289610
福岡県168400
埼玉県130200
福井県200900
岡山県147200
長崎県200800
大分県71600
高知県159700
愛媛県81600
和歌山県218400
鹿児島県87900
神奈川県136200
山梨県178100
佐賀県59600
沖縄県227300
東京都146700
合計9957985958.6

以上で、大字とは市町村の直下にある地名で、多くの場合江戸時代の近世村ですが、そうでない場合もあります(住居表示された丁目地名やビル名は、小字起番があり得ないので除去してあります)。
全国で約10万の大字地名があるうち、小字起番なのは8595で8.6%です。地理的分布はきわめて偏っており、青森、秋田、福島県では半数の大字が小字起番で、ほかの東北各県も高率、徳島、愛知、石川各県も10%を越えています。
しかし、小字起番が多い県は少なく、1%未満が熊本など30県以上、北海道以下の18県は小字起番の大字が皆無です。
なお、徳島や宮城は小字起番の割合が30%程度になっていますが、これらの県では大字が分解されてかつての小字が市町村の直下に組み込まれる事例が少なくなく、この場合は小字が大字扱いになってしまいます。これを本来の小字と考えると、小字起番の比率はさらに高まります(他の県でも同様の事例があるかもしれませんが確認していません)。

いずれにせよ、現在のネット上の地図で検索される小字は、上に示した県に所在するものに偏ってしまうと思われます。地名コレクションで収集する地名にこのような偏在を許容するかどうかは、検討した方がよいかもしれません。
現実問題として、大字起番地域にどのような小字地名があるのかを調べるのは、非常に難しいことだとは思いますが。
[77488] 2011年 1月 19日(水)22:20:2088 さん
町・大字などについて
本稿準備中に[77486] oki さん の投稿があり、特に郵便番号データに関して私が述べようとしたことの数倍の考察がなされました。敬服。その他の箇所を中心に述べます。

「町」「大字」「小字」については、「正式なもの」「通称」の区別が(定義を含めて)なかなか困難で、よく話題になるところです。
私は、本「都道府県市区町村」のサイト内のデータとして、このうち「町」「大字」を正しく整理した上で、その一覧を提供できないか、と考えています。
(グリグリさんには、この件をお伝えしたことがあったような、ないような・・・。)
「小字」の調査には、多大な時間と労力を要します(法務局での調査等を行えば不可能ではありませんが、現実には大変困難と推測されます)。
これに比して、「町」「大字」は、比較的可能であると考えます。

例えば、自治体等のweb上で検証可能なものも多数あります。
●例1:自治体の例規集、住所一覧、町丁別人口一覧等で確認可能なもの
高松市丸亀市さいたま市さいたま市(Excelファイル)市川市町丁別人口・世帯数(Excelファイル)
●例2:合併協議会HPで確認が可能なもの(合併に際し合併協定項目として「町・字の取扱い」が必須である)
村上岩船地域5市町合併協議会協議結果内、その1(pdfファイル)その2(pdfファイル)
栃木市・大平町・藤岡町・都賀町合併協議会第1回会議資料2-1(pdfファイル、170/209頁)

また、次のデータを利用すると、一覧を作成するの大いに参考となります。
1郵便事業株式会社郵便番号データ
2人文社日本分県地図地名総覧(リンクはアマゾンの販売サイト)
3私が市区町村変遷情報の編集に際しExcelデータで整理している近世村のデータ
4各種地図サイト

1は、[77486] oki さん が述べられたとおりです。csvファイルで加工もしやすく、大字単位・小字単位の地番区域設定のデータもあります。ただし、私が地元香川県を見た限りでも「一町域」や地番区域については正確ではなく、精査は必要です。
2は、分県地図の地名部分だけを抽出した一覧のデータがあります(私は購入済み)。ただし、pdfファイルであり、しかも、コピー・ペーストは不可です。もちろん精査も必要です。
3は、直接関係ないとも言えますが、私自身が市区町村変遷情報に際し、近世村をすべて入力する作業を行っており(南から進んで現在福島県を作業中)、近世村≒大字(例外あり)であることから、活用可能と考えています。
4は、[77486] oki さん が述べられたとおりです。付け加えて言うと、「地番」を表示できるサイトもあることから、地番区域を考察するのに参考となりそうです。
例えば、坂出市加茂町8番坂出市加茂町甲8番とは、同じ「坂出市加茂町」であり、市制町村制施行時は阿野郡加茂村ですが、市制町村制以前の旧阿野郡鴨村は現在では「坂出市加茂町○番」と表記し、旧阿野郡氏部村は「坂出市加茂町甲○番」と地番の前に「甲」を付して区別します。

ちなみに、町・大字については、[74012] グリグリ さん でも紹介のあったちょっと便利帳もありますが、正確でない箇所を多数発見しています。大字と小字を混同したり、複数の大字を分離できていなかったり、・・・。

「地番」「番地」の違い、「地番区域」などについては、かなり制度・用語が複雑なのですが、町・大字を理解するのには重大な要素です。これらに際して興味のある方は、手前味噌ではありますが、拙稿一連の投稿もご参照ください(小字、住居表示なども含む)。
地番区域は、法的根拠のみを特に抜粋して挙げておきます(不動産登記法第35条不動産登記規則第97条)。

――――――――――
これらは、「住所とは何か」に話題はつながります。先ほど挙げた私の一連の投稿で、実は2年以上前の第二十回十番勝負問五問六問九でこれに関連した話題になったことがあり、私も投稿していたもののさらなる確認作業(調査)に着手できず、そのままになっています(原稿は途中まで書いているのですが)。今回のことをきっかけとして、再度、投稿準備にあたりたいと思います。市区町村変遷情報にも関連する要素となりますので。

まだまだ書き足りないことがありますが、とりあえず今回はここまでといたします。

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