私もこの話題についてはごちゃごちゃと書き込みましたが(
[10264][10335])、
[18933]をもって自分なりに納得してしまったので、最近はちょっとご無沙汰しておりました。
[30512]M.K. さん
私の思う結論は「現行の地方自治法のもとでは、特別区から市への移行はできない。それを可能にするためには、法改正が必要」というものです
私も同様、地方自治法上、特別区(特別地方公共団体)から市町村(普通地方公共団体)への移行手続が定められていない以上、できないものと思います。
また、拙稿
[18933]で挙げた、『平成12年都区制度改革の記録』財団法人特別区協議会、2001年、も参考になるかと思います。私は渋谷区役所で読みましたが、他の区役所や特別区資料室(江東区塩浜)にもあるかも知れません。
「武蔵野市を廃し、杉並区に編入する」あるいは逆に「杉並区を廃し、武蔵野市に編入する」
そして「世田谷区を廃し、その区域をもってあらたに世田谷市を置く」も、
これらは「市町村の廃置分合又は境界変更を伴う」ケースとなってしまい、実際に手続きを進めようとしても地方自治法には根拠とする定めが設けられていない(…ということは、このケースを地方自治法は想定していない)ので、現在のところ不可能ということではないでしょうか。
私が気になるのは、地方自治法281条の4 第10項の
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都内の市町村の廃置分合又は境界変更を伴う特別区の境界変更で市町村の設置を伴わないものは、関係特別区及び関係市町村の申請に基づき、都知事が都の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
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です。この条文を仔細に読むと、
1.都内の市町村の廃置分合を伴う特別区の境界変更で、市町村の設置を伴わないもの
2.都内の市町村の境界変更を伴う特別区の境界変更で、市町村の設置を伴わないもの
の2つに関して規定しているようです。
2.については、わかります。調布市と世田谷区の境界変更、西東京市と練馬区の境界変更などが想定されます。
しかし、1.については突飛な例を考えなくてはならないかも知れません。そこをどうにかして考えてみると、例えば「狛江市を廃し、その一部の区域を世田谷区に、残りの区域を調布市に編入する」といった例が想定されるかと思います。そもそも、「都内の市町村の設置を伴う」特別区の境界変更で「市町村の設置を伴わない」ものというのは、どういう例なのか見当がつきません。
なお、「武蔵野市を廃し、杉並区に編入する」については、次の手続きを踏むことにより、実質的に可能といえます。
武蔵野市を廃し、その全部の区域をもって新たに武蔵野区を置く(法281条の4 第8項)
武蔵野区を廃し、その全部の区域を杉並区に編入する(法281条の4 第1項)