[61486]YSKさん
郵便局内のATMは基本的に郵便局がゆうちょ銀行から委託を受けているもののようですが、市役所内とイオン太田内のATMが「さいたま支店」管轄下の出張所扱いになっているのが印象的です。もしかしたら従前からこのような取り扱いだったのかもしれませんね
上の文章は、以下のように少なくとも二通りの意味に取れるのですが、YSKさんの着眼点はおそらく後者だと思いますので、これを前提に話を進めます。
1.「太田“郵便局”の管轄からさいたま“支店”の管轄に変わっている。“支店”って呼んでいるなぁ、民営化したんだなぁ」
2.「ゆうちょ銀行“太田店”の管轄ではなくて、“さいたま支店”の管轄になっている。地域区分はどうなっているんだろう?」
●実際の事例は?
郵政事業の分割民営化に伴い、ATMの管轄についても大幅に変更となりました。YSKさんもご存知かと思いますが、「太田市役所内出張所」「イオン太田ショッピングセンター内出張所」は、いずれも9月末までは「太田郵便局」の管轄でしたが、10月1日からは「さいたま支店」の管轄になりました。
これに限らず、駅構内や病院内に設置されているATM、厳密にいえば郵便局内に設置されているATMに至るまで、民営化に伴い管轄が変更されました。
●なぜそうしたの?
これには、郵政民営化の枠組みと、ゆうちょ銀行の組織形態が関係しています。
日本郵政公社時代、郵便局以外の場所に設置されているATMは、例外もありますが概ね最寄りの集配普通局が管轄していました。例えば、ATMのみが設置されている出張所である、「太田市役所内出張所」と「桐生市役所内出張所」について、公社時代は、
「太田市役所内出張所」は「太田郵便局」の、
「桐生市役所内出張所」は「桐生郵便局」の管轄でした。
10月1日の郵政民営化では、郵便局そのものの運営は郵便局(株)に、貯金事業は(株)ゆうちょ銀行に承継されました。ATMについては、ゆうちょ銀行の資産として同行に承継されたため、これまでのように郵便局の管轄とすることが出来なくなりました(会社が違うため)。
●では、どうしたの?
そこで、ATMについては、ゆうちょ銀行の「統括店」が管轄することとしました。この「統括店」は、旧日本郵政公社の支社に対応するよう全国13ヶ所に配置されています(下表参照)。
また、ゆうちょ銀行の直営店舗が併設されていない郵便局内に設置されているATMについても、ゆうちょ銀行が店舗外に設置したATM、という扱いになるため、「統括店」の管轄下に置かれています。なぜなら、郵便局そのものは(株)ゆうちょ銀行の直営店舗ではないため、本質的には市役所内や駅構内に設置されているATMと何ら変わらないからです。
上の例でいえば、群馬県内は「さいたま支店」が統括店となるため、太田市役所内出張所、桐生市役所内出張所とも、同支店の管轄下に置かれることになります。
●統括店はどこにあるの?
ゆうちょ銀行の「統括店」は下表の通りです。右欄の都道府県内にあるATMはすべて、左欄の統括支店の管轄下に置かれます。
統括店名称 | 管轄都道府県 |
札幌支店 | 北海道 |
仙台支店 | 青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島 |
さいたま支店 | 茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉 |
横浜店 | 神奈川、山梨 |
本店 | 東京 |
長野支店 | 新潟、長野 |
金沢支店 | 富山、石川、福井 |
名古屋支店 | 岐阜、静岡、愛知、三重 |
大阪支店 | 滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 |
広島支店 | 鳥取、島根、岡山、広島、山口 |
松山支店 | 徳島、香川、愛媛、高知 |
熊本支店 | 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島 |
那覇支店 | 沖縄 |
統括店は本店と横浜店を除いて、末尾に「支店」を付します。上表以外の直営店221店は、末尾に「店」のみを付し、統括店とは区別されています。
●結局よくわからないんだけど…
日本郵政公社を事業別に4社に分割し、各事業会社は実際の業務を郵便局(株)に委託するという枠組み自体が難解なうえ、各事業会社(特にゆうちょ銀行)が直営店舗を多数設けているため非常に複雑なものになっています。
なお、ゆうちょ銀行の直営店舗が併設されていない郵便局において、郵便業務を扱っている従業員が郵便事業(株)の、貯金業務を扱っている従業員が(株)ゆうちょ銀行の、保険業務を扱っている従業員が(株)かんぽ生命の、それぞれ従業員だと思っている人も多いようですが、勿論これは間違いです。