前回
[85544]に引き続き、七番勝負「問四」についての考察を続けます。
まず、同音異字の市が絡む組み合わせについてです。
[85511]で
「A市/B市」を(誰かさんの如く間違って?)「B市/A市」と答えても正解になるような「完全表裏一体ペア」の組み合わせがどうも1組だけあるようなのです
と書いたのですが、これは同音異字の市同士の組み合わせである「古河市」と「古賀市」のペアです。古河市に古河駅、古賀市に古賀駅があり、逆の組み合わせも成立する唯一のケースになっています。同様な例は、「仙台市」と「川内市」のペアもありましたが、川内市は10年前の合併で「薩摩川内市」となり、「川内」の駅名だけはそのまま残ったため、現在では「仙台市/薩摩川内市」の「一方通行」だけになっています。
次に、「複雑な組み合わせ」の例を挙げます。
[85478] 実那川蒼 さんのおっしゃる
A市・B市・C市・D市とあって「A市/C市」「B市/C市」「A市/D市」が全部正答でも「B市/D市」が誤答になるようなパターンがあるんですよね
これに当てはまるケースとして見つけたものに、鹿島市と鹿嶋市が絡む組み合わせがありました。鹿島市にも鹿嶋市にも市名と同名の駅は市内になく、「鹿島」駅は南相馬市内の常磐線に、同音の「加島」駅が大阪市内のJR東西線にあります。鹿嶋市は、南相馬市と大阪市との両方のペアが該当することになるのですが、鹿島市のほうは南相馬市の鹿島駅とは同字同音であるため該当せず、大阪市とのペアのみが該当することになります。
さらに複雑に絡み合っているケースもあります。3市同音異字の「みよし」についてみると、三次市のみ市内に同名の駅があり、他の2市、三好市とみよし市には同名の駅がありません。一方、「みよし」と読む駅には、「三次」の他に、熊本県合志市内の熊本電鉄に「御代志」という駅があります。したがって、三好市とみよし市は、いずれも三次市と合志市との2つのペアが該当することになりますが、三次市は合志市とのペアのみとなるわけです。また、2市同音の佐倉市とさくら市を見ると、さくら市には「さくら」駅はなく、佐倉市に佐倉駅があるほか、名古屋市内の名鉄線と四日市市内の近鉄湯ノ山線にそれぞれ「桜」駅があるので、さくら市は佐倉・名古屋・四日市の3市とペアになり、佐倉市は名古屋と四日市の2市とペアということになります。
次に、前回【B】の「市名と同音異字の駅が市内にある」ケースです。私がこれに該当するものとして想定したものは、「明らかに見た目が違う文字」である場合でした。「五條市」の「五条駅」の場合は、字体の新旧の違いだけで「文字として同一」ですが、自治体名で「条」と「條」は区別して用いられていることもあるので、「お互いに別の字」として見ていました。前項で取り上げた、異体字の関係である「鹿島」と「鹿嶋」の場合も同様です。一方、前回(
[85544])で「ケ」の大小のみの違いはJTBの時刻表で区別しないため除外、としましたが、これは当の鉄道会社や、市販の時刻表(JTB以外)でさえ統一が取れず混乱しているケースが見られるからです(
[70632]他)。茅ヶ崎市のJRの駅の公式表記は「茅ケ崎」、鎌ケ谷市の東武の駅の公式表記は「鎌ヶ谷」となっているようです。新聞等では原則として「ケ」に統一しているようです。なお、各務原市に「各務ヶ原」駅がありますが、読みが「かがみがはら」と市名と異なるため対象外です。
微妙な問題になるのは、「蓮田」のケース(
[85534]実那川蒼 さん)です。蓮田市が「蓮」の字の公式表記を「2点しんにゅう」から「1点しんにゅう」に変えたことは以前にも話題になりましたが(
こちら)、JRの駅名の表記は「2点しんにゅう」のまま変わっていない可能性があります。常用(当用)漢字にない「しんにゅう」は原則として「2点」が正式とされているようなので、「逗子」なども同様と思われ、駅名表示板の字体に国鉄時代の一時期「1点しんにゅう」が使われていたこともあったようですが(
[65967])、公式の表記は一貫して「2点」ではないかと思われます。逗子市も、公式表記は「2点しんにゅう」であるようです。新聞や雑誌の記事では、社によっては「しんにゅう」のつく字は常用漢字以外でも全て「1点しんにゅう」を使っているところもあります。
私がこの「蓮田」を対象外ではないか、と見たのは、これを想定解に入れると、前出の「逗子」のように「灰色領域」に入ってくる市がまだまだ出てきそうだからです。宝塚市は、公式には「テン有りの塚」(旧字体)を使っているようです(
「塚」の字談義)。
宝塚市HPを見ると、しっかり「テン有りの塚」の字で書かれています(ただ、これは画像化している部分だけのようで、それ以外の部分はやはりPCで出せないためか、「やむなく?」テン無しの「塚」になっているようです)。駅の写真を見ると、
JRは「テン無し」、
阪急は「テン有り」の字体になっており、写真も近年のものと思われるので、各社の公式表記もおそらくこのとおりになっているのではないかと考えられます。「市の公式表記との違い」から見ると、仮に「蓮田」がOKだとすれば宝塚市も「JRの宝塚駅とは字体が違う」ということで「該当する市」に入ることになってしまいます。「塚」というと、貝塚市も「テン有り」にこだわっている、というらしかったのですが(
[65935] 右左府 さん)、現在の貝塚市のHPを開くと「テン無し」の字体になっているようで、公式表記が「なし崩し?」で変更された可能性があるかもしれません。南海電鉄の「貝塚」駅は、どうやら「テン無し」のようです。平塚市の場合は、市名、駅名とも「テン無し」のようです(
[65946]鳴子こけし さん)。このような「字体の差が絡む微妙なケース」があるため、私個人としては、この【B】のケース、「A市/A市」すなわち「市名と同音異字の駅が市内にある」というのは「共通項に該当するペア」から外したほうがよかったかな、と思っているのです。
【C】の「ケーブルカーなどにある駅」の扱いも気になります。しかも、これらの扱いが過去の十番勝負でも統一されておらず、混乱の元となっているからです。
今回、ケーブルカーの駅で対象になりそうなのは、北九州市の帆柱山ケーブルの「山上」駅だけと思われます。Wiki「日本の鉄道駅一覧」で検索すると、八王子市の高尾登山電鉄にも「山上」駅が出ているのですが、これはリフトの「乗降場」なので、「鉄道の駅」とは認め難いのではないかと思われます。
ついでに、七番勝負「問四」の共通項に該当する「町村同士のペア」を調べてみました。カッコ内は同音異字駅名です。ざっと並べましたが、落ちがあるかもしれませんのでご教示願います。
井手町/南部町[山梨](井出)、稲美町/印南町(印南)、岩美町/三宅町(石見)、枝幸町/江差町(江差、5月11日限りで消滅)、大台町/外ヶ浜町(大平)、大多喜町/真室川町(大滝)、小川町・小川村/東浦町(緒川)、神川町・神河町/上川町(上川)、河合町/奥多摩町(川井)、川辺町/田舎館村(川部)、神戸町/柳津町[福島](郷戸)・御嵩町(顔戸)、甲良町/佐々町(小浦)、芝山町/香美町(柴山)、須恵町/綾川町(陶)、多古町/串本町(田子)、津野町/都農町(都農)、能勢町/津幡町(能瀬)、洋野町/広野町(広野)、御浜町/美浜町[福井](美浜)、みやき町/辰野町(宮木)、若狭町/若桜町(若桜)、亘理町/球磨村(渡)
同一町村内で自治体名と異なる表記の組み合わせは次のとおり。
むかわ町(鵡川)、矢巾町(矢幅)、みなかみ町(水上)、明日香村(飛鳥)、みなべ町(南部)、いの町(伊野)、太良町(多良)
最後に、蛇足。
[85511]で
岡田美里
これを「七番勝負」ネタにすると、二通りのペアができますが、そのうちの一つは片方が「市」でないのでNGとなりますね。
[85512] 白桃 さん
ということは、ひと組は市同士のペアになりますか?
私やってみたのですが、どうしても出来ませんでした。「七番勝負」が終わりましたら教えてください
これもやはり「駅名のペア」です。「岡田」と言う駅が、
高松琴平電鉄(所在地は丸亀市)と
伊予鉄道(愛媛県松前町)に、「美里」駅は小海線(小諸市)にあります。琴電の駅とのペアは「丸亀市/小諸市」となって成立しますが、伊予鉄とのほうは片方が「市」にないので成立しない、と言うわけなのでした。
♯今回の書き込みで、いよいよ書き込み字数50万の大台と、ランキング20位内入りに「王手」を掛けてきたようです。初書き込みからあと1ヶ月余りで丸7年、気がつけば我ながら結構なハイペースだとも感じているのですが、落書き帳の世界ではずっと「後輩」ながらも私をはるかに上回るペースであっという間に追い越した方もいらっしゃるので…。