地名の文字関係にご意見くださった皆さんありがとうございます。
特にEMMさんの
[22730]は共感する部分が多かったです。
[22696]faithさん
「龍」と「竜」の並立の経緯が手短にまとめられています
拙稿
[22687]では、各字が当用漢字・常用漢字にどのように採録され、またはされなかったかの検討をしていませんでしたね。
ところで、
[15805]TKS-Hさんご紹介の「自治庁行政局通知」の別紙、文部省調査局長の回答でもひかれている「公用文作成の要領」に興味深い記述をみつけました。
当用漢字表以外の漢字についても、当用漢字字体表の字体に準じた字体を用いてもよい。
いわゆる「表外字」の扱いの話題は当用漢字直後からあったんですね。
[22696]faithさん
これは、一般人の表記が今より多様だったということであって、例えば鹿児島県庁(鹿児嶋懸廰?)や鹿児島市が出す公文書では表記は決まっていたのでは?
鹿児島県や鹿児島市での公文書の扱いは調べきれていないのですが、mikiさんの
[568]や、まがみさんの
[16409]でも紹介されている塩竃の例は示唆的です。
http://www.city.shiogama.miyagi.jp/01/kamakakikata/kakikata.htm
町時代には、公文書でも「釜」を使用することがありました。
公文書の表記が必ずしも統一されていた訳ではないことの例だと思います。特に、「竃」と「釜」とは字義も違う「完全な別の字」です。
昭和57年にアンケートを行い、(略)市民の55%から「不便を感じない」といった回答
この1982年・55%という数をどう見るかは難しいですね。
いずれにしても、現在のように印刷業関連に従事していない者が簡単に「活字書体」を入手できるようになったのはつい最近のことだという事実も考慮しておく必要があると思います。
それで、元々の「鹿嶋市」の問題ですが、「『常陸鹿島市』や『新鹿島市』などではどうしても嫌」という市側と、「『鹿島市』は絶対に駄目」という国側の双方の妥協によるものですから、それが他との整合性に疑いがあるのは承知の上での措置だと理解しています。(それでもあーだこーだいいたくなるのは…)
一方、JISコードがらみの話題ですが…
[22731]スナフキんさん
正確に表記するため、実際には他の文字から部首の一部を引っ張ってきて合成し、何とかうまい具合に表現できるように
ご苦労お察し申し上げますが、これは電子化以前から共通の問題ではないでしょうか。つまり、活版印刷のほうが、新たな活字を起こすコストは大きかったことと思います。
[22730]でEMMさんも述べられてますが、工業規格というものは想定する使用目的と制定時の技術水準が 大きな影響を与えます。特に技術水準は重要で、JIS漢字コードがはじめて制定された1978年当時、それをフル実装するのは大変なことでした。使用目的で言えば、規格とは関係ありませんが、0ゼロとOオー、1イチとIアイを区別しない刻印機もあります。工業製品とはそういうものではないでしょうか。
とはいえ、その後の変化に対応すべく新しい規格も策定されています(JIS X 0212《補助漢字》やJIS X 0213《第3,4水準漢字》)。事情があって広く普及するまでには至ってませんが。
それから、かつて
[15014]にも書いたのですが(…ん?)、JIS漢字は字体を定めた規格ではありません。ですから「PCで表現できない文字」というのは正しくなくて「情報交換できない文字」とでも言うべきものです。