[72849] オーナー グリグリさん
【北海道の支庁が】総合振興局や振興局となった場合に、これまでの支庁と同じように取り扱うのが適切かどうか悩みます。
この発言は、「都道府県市区町村」サイト内における「振興局等の位置付け」、例えば北海道の
プロフィール や
変遷情報 に、支庁から変った「石狩振興局」などを含めるべきであるか否か を問うものであると理解されます。
行政機構簡素化などをふまえた北海道の支庁再編については、去る8月の
支庁を考えるシリーズ の中で、「14支庁から9総合振興局プラス5振興局へ」という副題を付して記しました
[71676][71685]。
当初の6圏域案を含む支庁再編に関する落書き帳過去記事へのリンクも付けています。
8月に支庁の問題を取り上げたきっかけは、「大島支庁」削除に関する でるでる さん の発言
[71480]でした。
変遷情報における「支庁」の取り扱いの方向性というか位置づけ…なかなか悩ましいのが正直なところです。
その際は、考える材料を列挙しただけで、結論めいたことは書きませんでしたが、変遷情報において、北海道の14支庁が集録対象であるのに、大島支庁など他の支庁が除外されるのは、地理的存在である「行政区画」として認知されているか否かという相違にあると思います。
私は、1897年以来 100年以上に及ぶ歴史を持つ北海道の支庁は、地図にも明確な境界線と共に示されており、かつての勅令にもとづく行政区画であっただけでなく、現在でも北海道と
179市町村 との間に位置する行政区画であると認識しています。
しかし、現行法の下でも「行政区画」であるとする考えには異論もあると思われるので、少し説明しておきます。
地方自治法の下での行政区分は、基礎的な地方公共団体の「市町村」と、これを包括する「都道府県」とを行政単位としています。
この二階建構造には、支庁の出る幕はありません。支庁は、地方自治法第155条第1項に基づいて設けることができる「知事の権限に属する事務を分掌する」機関、いわば出張事務所にすぎないとも言えます。
2004年まで千葉県に存在した 10支庁
[71552]、2001年に山形県にできた4総合支庁
[71553]などの性格は まさにこの総合出先機関であり、変遷情報の本来の対象である府県・市町村のような「行政単位」とは異質であると思われます。
では、行政単位でないことでは同列の北海道 14支庁を、なぜ「行政区画」であると考えるのか?
単純に言えば、
北海道HP にあるように、行政単位である 北海道自身が 広大な管内を支庁という名の「14の地域に区画し」、支庁に権限を移譲して行政を行なっているからです。
支庁制度研究結果報告書(平成10年)pdf の 7/33 には、次のように記されています。
現行支庁における支庁長権限と他都府県における総合出先機関の長の権限を比較した場合、他都府県は法律、規則等に基づく形式的事項や調査等の事実行為に関する権限の移譲が多い一方、本道の場合、重要な意思決定の権限も少なからず移譲されているといえる。
このような観点からすれば、2010年4月から出先機関の名が「支庁」から「総合振興局・振興局」に変ったとしても、14の地域は「行政区画」として存続し続け、北海道における存在意義は本質的に変らないものと思われます。
従って、名前が変るからといって、変遷情報における扱いを変える必要は全くなく、2010年4月以降も、都道府県市区町村サイト内の地位を保ち続けるのが適当であると思います。
ここで注意しておくべきことは、総合振興局・振興局の条例上の管轄区域と、実質的な管轄区域とが相違することです。
これは現在の支庁についても同じなのですが、石狩振興局(現・石狩支庁)の管轄は、
条例pdf では2町村なのに、実質的には
8市町村 となっています。
当サイトで対象とする「行政区画」たる石狩支庁→石狩振興局の区域は、もちろん6市を含む後者です。
北海道市区町村一覧のページを開くと、
※石狩支庁の合計データには「札幌市, 江別市, 千歳市, 恵庭市, 北広島市, 石狩市」のデータを含みます
という注記を付して人口・面積等が示されています。参考までに、条例上の石狩支庁(石狩郡2町村)に対して、面積で7倍以上、人口ではなんと 100倍以上という違いがあります。
この食い違いの原因が 1948年の「ボタンの掛け違え」で、そのまま 60年を経過し、公職選挙法がらみで未だに解決できない事情は
[71744]で記しました。
念のために付け加えておくと、変遷情報などの集録対象は、「自治体」に限定する必要はなく、現在の「行政区画」である必要でさえありません。
「行政区画」であるが「自治体」ではないもの:政令指定都市の「区」、北海道の「支庁」。
府県制施行以前の「府県」には、府県会規則にもとづく議会がありましたが、これも自治体と言えるかどうか疑問。
最後に「郡」について。
時代につれて「郡」の性格は変りましたが、変遷情報では一貫して集録対象になっています。
郡区町村編制法時代の行政区画から、一旦は法律(郡制)によって自治体的な性格を持つようになり、郡制廃止(1923)で行政区画に戻り、更に郡長・郡役所廃止(1926)で行政区画でさえもなくなりました。
そして昭和・平成の合併を経て「郡」の存在意義は薄れるばかり。
先にリンクした北海道179市町村紹介のページには 郡名が記されていません。それほど無視された存在の「郡」。
郡の役目は既に終ったという印象を受けるのですが、二海郡(2005)と日高郡(2006)の新設がありました。
戸籍事務で使われ、それ故に正式の住所の一部となって郵便物の宛先として使われる。
これが、北海道の郡にとり 唯一?の出番 になっているのでしょうか。
付言:施行日に関する資料
[71685]で“10月1日施行もどうなることやら”と書いた後で、紅葉橋律乃介 さんから
[71745]“先送りする方針を固めた”との情報をいただき、更に
[72824]により、2010年4月1日の施行が伝えられました。
支庁設置条例の改正施行を受け、来年4月1日から、現在の支庁が総合振興局・振興局に変わります。
北海道公報平成21年10月9日pdf 北海道規則第87号
北海道総合振興局及び振興局の設置に関する条例(平成20年北海道条例第78号)の施行期日は、平成22年4月1日とする。…