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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[109894]2024年1月20日
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[109243]2023年11月7日
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[107714]2023年4月25日
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[107713]2023年4月25日
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[107687]2023年4月23日
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[107648]2023年4月18日
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[107199]2023年4月1日
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[107191]2023年3月31日
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[107174]2023年3月30日
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[107168]2023年3月29日
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[107127]2023年3月21日
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[107114]2023年3月20日
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[107077]2023年3月14日
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[107055]2023年3月9日
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[107050]2023年3月8日
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[107045]2023年3月7日
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[107044]2023年3月7日
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[107043]2023年3月7日
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[107039]2023年3月6日
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[105313]2022年8月19日
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[105305]2022年8月18日
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[104913]2022年7月8日
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[104158]2022年4月16日
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[104019]2022年2月28日
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[103922]2022年2月4日
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[103921]2022年2月3日
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[103913]2022年2月2日
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[103887]2022年1月22日
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[103852]2022年1月17日
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[103711]2022年1月10日
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[99297]2020年3月26日
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[99289]2020年3月23日
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[99264]2020年3月17日
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[99136]2020年1月30日
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[99134]2020年1月30日
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[99132]2020年1月30日
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[99130]2020年1月28日
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[98131]2019年7月21日
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[98110]2019年7月14日
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[97583]2019年3月22日
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[97521]2019年2月9日
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[97520]2019年2月9日
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[97514]2019年2月4日
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[97511]2019年2月2日
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[97507]2019年1月29日
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[97502]2019年1月27日
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[97499]2019年1月25日
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[97046]2018年11月28日
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[97037]2018年11月26日
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[97027]2018年11月24日
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[95701]2018年4月20日
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[95699]2018年4月20日
YT
[95377]2018年2月3日
YT

[109894] 2024年 1月 20日(土)17:33:42YT さん
Re^3: 執念の野牛島?
オーナーグリグリさん

[109892] YTさん、修正しました。ご確認、ありがとうございした。

ありがとうございます。確認しました。

現時点で多少気になっている点は、『2021離島統計年報』(2023年4月発売)と、「令和5年度 長崎県の離島(離島振興対策実施地域)」(pdf」, 2023年6月更新)との間で、中通島/頭ヶ島と久賀島/蕨小島の人口に1人の差が出ていることです。現状では離島統計年報の情報の方を優先していますが、2024年4月発売になると思われる『2022離島統計年報』でいくつか情報更新が行われる可能性はあります。

また[109852] で少し述べました、萩市須佐の平嶋、西海市西彼町白似田郷の小島(伊能測量日記の「イガ島」、おそらく長崎県統計年鑑で1971年から1980年代前半にかけて有人島として扱われた「前小島」)と長島(伊能測量日記の「小島大」)の有人島の可能性については、もう少し情報が集まってからまとめます。
[109892] 2024年 1月 20日(土)14:20:11【2】訂正年月日
【1】2024年 1月 20日(土)16:40:25
【2】2024年 1月 20日(土)17:14:48
YT さん
Re: 執念の野牛島?
オーナーグリグリさん

ということで、日本の有人島一覧の全ページを更新しましたのでご確認ください。YTさん、改めましておめでとうございます。そして今後ともよろしくお願いいたします。

ありがとうございます。間違いではないのですが、統一がとれていない箇所が一箇所あります。

313.前小島の市区町村 (小地域区分)の内、「[1370-10010の一部]」部分が緑字になっていません。

【追記】すみません。
「[1370-10010]の一部」と、「の一部」を[]の外側に括りだす方に統一する必要もありました。
多分333.前島を参考に書いたのですが、よく見たら313.前小島と333.前島の双方が、ほかとは違う書き方になっていました。

#島名要修正箇所修正前修正後備考
313前小島市区町村 (小地域区分)五島市 (岐宿町河務の一部 [1370-10010の一部])五島市 (岐宿町河務の一部 [1370-10010]の一部)「の一部」を括弧の外に出し、「[1370-10010]の一部」部分を緑色にする。
333前島市区町村 (小地域区分)天草市 (御所浦字下脇の一部 [0500-09090の一部])天草市 (御所浦字下脇の一部 [0500-09090]の一部)「の一部」を括弧の外に出す。

この2点の修正に訂正します。
[109885] 2024年 1月 20日(土)01:10:20【5】訂正年月日
【1】2024年 1月 20日(土)01:50:26
【2】2024年 1月 20日(土)06:22:39
【3】2024年 1月 20日(土)06:46:13
【4】2024年 1月 20日(土)14:13:38
【5】2024年 1月 20日(土)15:46:31
YT さん
ゼンリン住宅地図を用いた野牛島、大矢野島の推定人口と、「日本の有人島一覧」の追加修正箇所まとめ更新
現在日本の有人島一覧で唯一推定人口を分離できていないのが、熊本県上天草市中の野牛島と、隣接する大矢野島です。SHIMADASによると、野牛島は1968年10月に無人化したが、1976年に大矢野島と維和島を結ぶ橋脚島となり、近年ではクルマエビ養殖などで再有人化したとあります。

実際に1975年2月28日のカラー航空写真では、島には家がありませんが、1988年9月28日の白黒航空写真では既に数軒家が建っており、1994年9月13日の白黒航空写真では、現代の衛星写真とほぼ同じ位置に家が建っています。

なお国勢調査の上天草市の基本単位区0030-00090(旧大矢野町大字中の一部)は、野牛島のみならず、大矢野島の野米地区、南方沖合の無人島である権平島、横島までを含みます。該当地区の国調人口は以下のように推移しており、2015年と2020年では世帯数に変化はありません。

西暦世帯数人口1世帯当たり人員
1995年511152.255
2000年491092.224
2005年41842.049
2010年35772.200
2015年29702.414
2020年29632.172

そこでふと、ゼンリン住宅地図に掲載されている建物の情報を用いてみたら、世帯数の変化がない2015年以降の人口の推定に使えるのではないかと思いました。ゼンリン住宅地図でもすべての建物に居住者の姓/姓名が表示されているわけではありませんし、姓/姓名の表示があるからと言ってそこが常住居住地とは限らず、逆にないからと言ってそこが空き家であるとか判断はできませんが、地図に掲載されている「姓」の数は世帯数とある程度は相関があるでしょう。残念ながらアパート、マンションの場合はゼンリン住宅地図でも構成世帯数が分からないケースが多いようです。ただ当該箇所で唯一アパートと思われるのは、西大維橋を渡ったところにある大矢野島側の「天草釣堀レジャーランド第一駐車場」脇の3階建ての建物ですが、テナント情報がなく、ぱっと見生活感がないので、ここでは無視します。

実際に基本単位区上天草市0030-00090について、ゼンリン住宅地図から「姓」/「姓名」が表示されている建物を抽出し、その数をカウントしたところ、以下の通りとなりました。

島・地域ゼンリン住宅地図上での世帯数
野牛島6
大矢野島野米地区30

過疎化が進行している地方の場合は、建物の所有者名が示されていても実際には空き家であるケースが増えていくため、ゼンリン住宅地図に示されている姓/姓名付き建物の数が実際の世帯数を上回ることは多くあり得ます。当該地区も、ゼンリン住宅地図の建物に示されている世帯の数は、直近の国勢調査時の世帯数である29世帯よりも多い36世帯となっています。そこで2015年、2020年国調人口からゼンリン住宅地図上での世帯数の比で按分することで野牛島の推定世帯数と推定人口を算出しますと、2015年5世帯12人、2020年5世帯11人となります。この数字を採用しますと、日本の有人島一覧掲載のすべての島について、一応根拠のある推定人口を出すことに成功したことになります。

今回の野牛島と大矢野島の推定人口と、[109852]の修正を一つにまとめますと、以下の通りとなります。

#島名修正項目修正前修正後備考
29青ケ島島名青ケ島青ヶ島ケ→ヶ
29青ケ島市区町村 (小地域区分)八丈支庁 青ケ島村八丈支庁 青ヶ島村ケ→ヶ
292鹿島人口(2020年)67人口修正漏れ
292鹿島人口密度35.341.2人口修正漏れ
300中通島市区町村 (小地域区分)新上五島町 (新上五島町:頭ケ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日ノ島を除く)新上五島町 (新上五島町:頭ヶ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日島を除く)頭ケ島→頭ヶ島、日ノ島→日島
301頭ケ島島名頭ケ島頭ヶ島ケ→ヶ
306日ノ島島名日ノ島日島ノを削除
312福江島市区町村 (小地域区分)五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,前小島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)除外地域に前小島追加
313前小島市区町村 (小地域区分)五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)五島市 (岐宿町河務の一部 [1370-10010の一部])前小島の小地域区分の修正漏れ
321大矢野島※注野牛島を含む上天草市[0030-00090] (2020年63人, 2015年70人)から大矢野島分を分離できない野牛島(熊本県上天草市)の人口推定処理の影響あり注を差し替え
321大矢野島人口(2020年)11,09011,079野牛島の推定人口分離に伴う修正
321大矢野島人口(2015年)11,90511,893野牛島の推定人口分離に伴う修正
321大矢野島人口密度367.2366.9野牛島の推定人口分離に伴う修正
322野牛島※注野牛島を含む上天草市[0030-00090] (2020年63人, 2015年70人)から大矢野島分を分離できない2020年, 2015年国調人口は上天草市[0030-00090] (2020年63人, 2015年70人)とゼンリン住宅地図記載の世帯数比(2024年1月19日閲覧、6世帯/36世帯)により推定注を差し替え
322野牛島人口(2020年)11人口推定に伴う修正
322野牛島人口(2015年)12人口推定に伴う修正
322野牛島人口密度78.6人口推定に伴う修正
348島野浦島島名島野浦島島浦島野を削除
391奥武島項目全体391/奥武島/沖縄県 名護市 (字真喜屋の一部 [0360ー00020])/29/30/0.25/116.0項目を全削除
434沖縄島人口(2020年)1,335,7041,335,733奥武島の削除に伴う修正
434沖縄島人口(2015年)1,301,7531,301,787奥武島、瀬長島の削除に伴う修正
434沖縄島人口密度1,105.21,105.3奥武島、瀬長島の削除に伴う修正

またデータ項目の説明の内、5. 人口算出における詳細注記の(6) 熊本県の大矢野島と野牛島については

(6) 熊本県の大矢野島と野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。



(6) 熊本県の大矢野島と野牛島
 国勢調査の基本単位区人口に占めるゼンリン住宅地図記載の世帯数比から人口を推定

と修正することになります。

以上、よろしくお願いします。

【追記:鹿島の人口修正に伴い人口密度も要修正、ゼンリン住宅地図は2024年1月19日閲覧による】
[109852] 2024年 1月 14日(日)17:31:06【2】訂正年月日
【1】2024年 1月 14日(日)22:30:56
【2】2024年 1月 14日(日)22:33:45
YT さん
有人島リストの修正:名護市の奥武島の削除と一部島名表記の修正
[109437] オーナー グリグリさん

一通り確認していますが、訂正漏れ等ありましたらご指摘ください。

すみません。要修正箇所が幾つか見つかりました。なお今回の修正内容による十番勝負の結果への影響はありません。

まずは以前[109336]の投稿で、以下のように名護市の奥武島を有人認定してしまいましたが、これは私の早とちりのようでした。

さらに陸繋島の情報を色々調べたところ、沖縄県名護市の奥武島(奥武島はほかにもありますが、これは屋我地島と沖縄本土を結ぶ島)が国勢調査で有人(2020年国勢調査人口29人)であること、

しかしながら、綿貫堂 島旅とエスニックのブログというサイトを運営されており、実際に離島を数多く訪れてきたワタヌキモンという方とのやりとりの中で、名護市の奥武島について

奥武島 行きましたが、ほんと墓しかなく、どこに集落があるのだろうと疑問ですが謎ですね、猫はたくさんいますが

との返事を頂きました。実際に名護市の奥武島を訪れた方の貴重な証言です。あれ?と思い改めて国勢調査の基本単位区である名護市字真喜屋の一部[0360ー00020]の範囲を見直してみたところ・・・すみません。やらかしていました。名護市字真喜屋の一部[0360ー00020]は奥武島と本土を結ぶ羽地奥武橋の細い領域を通じて本土側と接続しており、本土側の集落を含んでいることを見落としておりました。『SHIMADAS』(2019年)や『新版 日本の島事典』(2022年)などでは、名護市の奥武島についていずれも「無人島」、「墓地のみ」と強調されており、google mapなどの衛星写真で見られる建物のようなものは全部墓地であったのでしょう。基本単位区名護市0360ー00020の人口はすべて本土側に居住していると考えらえれ、名護市奥武島の項目については削除をお願いします。これにともない沖縄島の人口も要修正となります。

このほか長崎県諫早市鹿島の2020年の人口が修正されていませんでした(九州の人口自体は修正後に対応していました)。また長崎県五島市の福江島、前小島の小地域区分がおかしくなっていました。

これに併せて、一部島名についてより公的、またはより一般的な表記(青ケ島→青ヶ島、頭ケ島→頭ヶ島、日ノ島→日島、島野浦島→島浦島)に修正したいと思います。


以下要修正に気付いた10点です。


1.29 青ケ島 (東京都 八丈支庁 青ケ島村)
青ケ島→青ヶ島に修正(「ケ」を「ヶ」に修正)
青ケ島村→青ヶ島村に修正(「ケ」を「ヶ」に修正)
「青ケ島」を採用しているのは2021離島統計年報のみで、SHIMADAS(2019年)、新版 日本の島事典(2022年)、国土地理院地図、国土地理院面積調、日本歴史地名体系は「青ヶ島」を採用しています。そもそも国勢調査報告書に記載の自治体名としても「青ヶ島」であり、「青ヶ島」の方がより公的かつ標準的な名称といえます。

2.292.鹿島 (長崎県 諫早市 (多良見町船津伊木力舟津の一部 [7270-27010]の一部))
2020年の人口を「6」から「7」に修正。
[109381][109412][109438]などの修正案で示したように、こちらはritokeiの情報により2020年国調人口を7人で確定としました。九州の人口修正値には織り込み済みです。

3.301.頭ケ島 (長崎県 新上五島町 (友住郷の一部 [0330-14010]))
頭ケ島→頭ヶ島に修正(「ケ」を「ヶ」に修正)
「頭ケ島」を採用しているのは2021離島統計年報、新版 角川日本地名大辞典、長崎県統計年鑑(昭和34年、昭和36年~昭和37年、昭和54年~昭和55年、昭和57年、令和元年以降)で、「頭ヶ島」を採用しているのはSHIMADAS(2019年)、新版 日本の島事典(2022年)、国土地理院地図、国土地理院面積調、日本歴史地名体系、長崎県統計書(昭和30年、昭和35年、昭和53年、昭和56年、昭和58年~昭和59年)で、「頭島」を採用しているのは長崎県統計年鑑(昭和27年~昭和28年、昭和38年~昭和52年、昭和63年~平成28年)で、「頭ガ島」を採用しているのは長崎県統計年鑑(昭和29年)です。このように長崎県統計年鑑では過去に4通りの書き方(頭ヶ島、頭ケ島、頭ガ島、頭島)をしており、もはやどれが一般なのか不明ですが、SHIMADASを始め、その他の文献に関しては「頭ヶ島」を採用している方が多く標準的に見えるので、「頭ヶ島」に変更します。

4.306 日ノ島 (長崎県 新上五島町 (日島郷))
日ノ島→日島に修正(「ノ」を削除)
「日ノ島」を採用しているのは2021離島統計年報、長崎県統計年鑑(昭和41年~平成28年)、で、「日島」を採用しているのはSHIMADAS(2019年)、新版 日本の島事典(2022年)、国土地理院地図、国土地理院面積調、長崎県統計年鑑(昭和27年~昭和40年、令和元年以降)、日本歴史地名体系です。新版 角川日本地名大辞典では両方の見出しあり。また国勢調査小地域統計に記載の大字・町名は「日島郷」です。「日ノ島」表記は十分使われているものですが、かつて「日島村」が存在したように、「日島」表記の方が行政面からもより公的、標準的に見えるので変更します。

5.300.中通島 (長崎県 新上五島町 (新上五島町:頭ケ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日ノ島を除く))
市区町村 (小地域区分)を「新上五島町 (新上五島町:頭ケ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日ノ島を除く)」から「新上五島町 (新上五島町:頭ヶ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日島を除く))」と修正
「頭ケ島」→「頭ヶ島」、「日ノ島」→「日島」の修正に伴うものです。

6.312.福江島 (長崎県 五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く))
市区町村 (小地域区分)を「五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)」から「五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,前小島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)」と修正し、除外項目に「前小島」を追加する。
すみません。次の前小島とともに、小地域区分の表記が間違っていることを把握していましたが、[109381][109412][109438]などの修正案ではうっかり修正前の状態を修正案としてコピペしていました。小地域区分に「前小島」を追加します。

7.313.前小島 (長崎県 五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く))
市区町村 (小地域区分)を「五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)」から「五島市 (岐宿町河務の一部 [1370-10010の一部])」に修正
すみません。こちらも問題点を把握していましたが、[109381][109412][109438]などの修正案ではうっかり修正前の状態を修正案としてコピペしていました。前小島の小地域区分については、具体的な基本単位区番号を示したものに修正をお願いします。前小島自体は五島市の基本単位区1370-10010に内包されてしまっているので、結局人口はSHIMADAS出典の住基人口比からの推定として算出しています。

8.348.島野浦島 (宮崎県 延岡市 (島浦町))
島野浦島→島浦島に修正(「野」を削除)
「島野浦島」を採用しているのは2021離島統計年報、SHIMADAS(2019年)ですが、新版 日本の島事典(2022年)、国土地理院地図、国土地理院面積調、新版 角川日本地名大辞典では「島浦島」が採用されています。また国勢調査小地域統計の大字・町名でも「島浦町」と、「野」が排除されています。日本歴史地名体系では、明治の大合併前の近世村として「島野浦村」の項目がありますが、現在の延岡市の「島浦町」に対応するとしています。「島浦島」が現在の地名としては行政面からもより公的な呼称と考えらえれるので、「島浦島」に変更します。

9.391.奥武島 (沖縄県 名護市 (字真喜屋の一部 [0360ー00020]))
項目の削除
すみません、こちらは削除でお願いします。リストに載っている奥武島は他に久米島町と南城市にありますが、削除するのは名護市のものです。

10.435.沖縄島 (沖縄県)
2020年の人口を「1,335,704」から「1,335,733」に修正
2015年の人口を「1,301,753」から「1,301,787」に修正
奥武島を削除したことによる修正ですが、瀬長島(2015年4人)も加算されたままになっており、併せて修正となります。


以上、奥武島の削除とそれに伴う人口の修正(奥武島、沖縄島)、人口の修正忘れ(鹿島)、小地域区分の誤り(福江島、前小島)までで5箇所、島の名称の修正(青ヶ島、日島、頭ヶ島、島浦島)とそれに関わる小地域区分の修正(中通島)で5箇所、合計10箇所の修正箇所となります。

なお以下の3島は国土地理院地図ではいずれも「ヶ」が採用されていますが、国勢調査小地域統計の大字・町名、字・丁目名では「ケ」が採用されており、現状維持にします。国土地院地図は、現状ではすべての「ケ」を「ヶ」に一括変換しているだけのようにみえます。

67.瀬戸ケ島 (島根県 浜田市 (瀬戸ケ島町 [0020-00010~000020]))
160.竹ケ島 (徳島県 海陽町 (大字宍喰浦字竹ケ島の一部 [0220-00260]の一部))
222.竹ケ島 (愛媛県 宇和島市 (津島町竹ケ島))

また以下の2島についても島名を現状維持とします。

318 嵯峨島 (長崎県 五島市 (三井楽町嵯峨島))
「嵯峨島」を採用しているのは2021離島統計年報、長崎県統計年鑑(昭和27年~昭和37年、昭和40年~昭和47年、昭和53年~昭和55年、平成20年~平成28年)、新版 角川地名辞典、国勢調査記載の字・丁目名で、「嵯峨ノ島」を採用しているのはSHIMADAS(2019年)、新版 日本の島事典(2022年)、長崎県統計年鑑(昭和48年~昭和52年、昭和56年~平成19年、令和元年以降)、国土地理院地図、国土地理院面積調で、「嵯峨の島」を採用しているのは長崎県統計年鑑(昭和38年~昭和39年)です。また日本歴史地名体系では「嵯峨島村」の項目があります。国土地理院面積調で「嵯峨ノ島」が採用されているので悩みましたが、国勢調査小地域統計の字・丁目名で「嵯峨島」が採用されている点を優先的に考慮し、ここでは「嵯峨島」の方がより公的な記述であるとして現状維持とします。
425.嘉弥真島 (沖縄県 竹富町 (字小浜の一部 [0090-00010]の一部))
『嘉弥真島』が採用されているのは新版 日本の島事典(2022年)、2021離島統計年報、SHIMADAS(2019年)、沖縄県離島関係資料、新版 角川地名辞典、日本歴史地名体系で、唯一国土地理院地図のみが「加屋真島」を採用しているようです。「嘉弥真島」の方が標準的に見えるので現状維持にします。基本的に新版 日本の島事典(2022年)は国土地理院地図の表記に従っていますが、「嘉弥真島」に限っては国土地理院地図の表記を採用していません。国土地理院地図の表記が必ずしもより一般的ではないし、行政で公的に使われている地名表記にも必ずしも従ってはないといえます。

また以下の2島は消極的理由で現状維持とします。

275.竹ノ島 (長崎県 西海市 (西彼町 (大串郷の一部 [0220-24010]の一部)))
「竹島」を採用しているのは、新版 日本の島事典(2022年)、2021離島統計年報、長崎県統計年鑑(昭和27年~昭和39年、平成19年~平成28年)、国土地理院地図、日本歴史地名体系で、「竹ノ島」を採用しているのはSHIMADAS(2019年)、新版 角川日本地名大辞典で、「竹の島」を採用しているのが長崎県統計書(昭和40年~平成18年)です。「竹島」の使用例の方がやや多いようにも見えますが、島根県の竹島とも被りますし、SHIMADAS等で採用されている通りの現状維持とします。
162.沖之島 (香川県 土庄町 (小江の一部 [0130-02010]))
「沖島」を採用しているのは、国土地理院地図、新版 日本の島事典(2022年)、香川県統計年鑑(平成29年以前、現在は1km2未満表記なし)で、「沖之島」を採用しているのは2021離島統計年報、SHIMADAS(2019年)、新版 角川地名辞典です。どっちがより使用例が多いか微妙ですので、消極的な理由によりSHIMADAS等で採用されている通りの現状維持とします。

以上、島の名称としては、国勢調査や国勢調査小地域統計などに記載のものを最優先とし(青ヶ島、瀬戸ケ島、竹ケ島、竹ケ島、日島、嵯峨島)、それ以外についてははっきり慣用的な使用がある場合はそれを優先し(頭ヶ島、嘉弥真島)、そうでないもについては現状維持としました(沖之島、竹ノ島)。結果島名に関しては、国勢調査採用のもの>SHIMADAS>その他という序列になりました。

なおワタヌキモンさんの指摘により、民家があって有人島である可能性がある複数の陸繋島(萩市の平嶋西海市のイガ島(おそらく前小島)西海市の小島大(おそらく細島))の情報を頂きましたが、それについては稿を改めてまとめたいと思います。

【誤字修正、小島小→小島大】
[109574] 2024年 1月 2日(火)14:53:50YT さん
十番勝負
本年もよろしくお願いします。正月早々、舳倉島の被害状況が心配です。

問十:呉市

普段は十番勝負に参加しないのですが、なんとなく今回は参加しないといけないような気がしまして
[109453] 2023年 12月 29日(金)11:54:28YT さん
Re^2:追加修正について
[109441] オーナー グリグリさん

分かりやすく抽出していただきありがとうございました。更新しましたのでご確認をよろしくお願いいたします。

わざわざ更新をありがとうございます。データも一通り確認しました。すみませんが以下の一点だけ修正をお願いします。

111 倉橋島 の注で鹿老渡島との間の開削水路を「堀切水路」と記述しましたが、これはネット上の個人のブログなどで確認できる呼称に過ぎず、こちらを「鹿老渡瀬戸」への修正をお願いします。鹿老渡瀬戸というのも『広島県史』でしか確認できていませんが、堀切水路ですと場所の絞り込みが困難ですので(一応堀切橋は正式名化はしてはいますが)。

なお人工島のリストを別途作成しようとしてますが、こちらが予想外に困難です。新版 日本の島辞典でも幾つかリストされていますが、元々島ではなかったものを水路を掘って島化した場合はどうするのか(たとえば兵庫港は新版 日本の島辞典には載っていません)、公式に島名称が与えられていても、実際には単なる中洲だったり、川から水路を掘って島化したものはどうするのか(たとえば新潟島は島の基準から大分離れますが、地元自治体は島扱いしてます)等々例外がありすぎて困っています。
[109440] 2023年 12月 26日(火)23:49:59【1】訂正年月日
【1】2023年 12月 27日(水)01:35:12
YT さん
追加修正について
[109437] オーナー グリグリさん

日本の有人島一覧(更新しました)
YT さん、[109412]および[109430]を日本の有人島一覧に反映しました。一通り確認していますが、訂正漏れ等ありましたらご指摘ください。なお、長崎県南串島の人口密度は、104.1人ではなく、112.3人が正しい値だと思います。

すみません。ちょうどタイミング悪く投稿してしましました。

修正して頂きたいのは以下の3点です。【追記:面積を再チェックしていて3点に増えました】

1.219の日振島の注:
「1872年開削の堺の浜の堀切により南(108人/1.42km2)と北(138人/2.32km2)に分離」と、せっかくなので開削年の西暦を追加し、水路の名称を「堺の浜の掘切」にする。

2.247の対馬島の注:
「1671年開削の大船越瀬戸と1900年開削の万関瀬戸により対馬上島(12,159人/441.01km2),対馬下島(15,488人/247.01km2),その他(727人/7.72km2)に分離」と、最後の「分割」を「分離」に変更する。(他の文章と統一)

3.272の大島(長崎県佐世保市)の面積と人口密度(【追加訂正】):
面積を0.51→0.52 km2、人口密度を758.8→744.2人/km2に訂正

新版 日本の島事典の第III部 島嶼県別統計の方で大毛島・高島や有福島・日島・漁生浦島を単一の島扱いにしている問題は、とりあえずそれぞれ水門、潮通し水路の解釈次第で独立した島とみなせるということで解決しており、特に表には加えなくて良いです。
[109438] 2023年 12月 26日(火)23:19:56【2】訂正年月日
【1】2023年 12月 26日(火)23:24:58
【2】2023年 12月 27日(水)10:35:49
YT さん
日振島の堀切の年代、そして[109412][109430]の再修正版
[109412]

『北宇和郡町村誌 その2』(2011年:『日振島村誌』(1910年)を収録)を閲覧しましたが、堀切水路と堺の浜の水路の完成年に関する情報は得られませんでした。

田中皓正.『日振島の昭和史』(1997年)を閲覧したところ、本書の129ページに以下の内容が書かれていました。これにより、日振島の堺の浜の堀切が作られたのが明治5年(1872年)であることが確定しました。

 喜路部落からの通学路は、比較的平坦であったが、ただ一つ「堺の浜」と呼ばれるところが難所となることがしばしばあった。「堺の浜」は喜路部落のある島と明海、能登のある島をつなぐ形になっていて、宇和海と豊後水道を見ることができ、昭和初期までは明海部落の小舟は、満潮時にここを通って豊後水道側で漁ができるように運河の役割をしたので、ここには橋がかかっていた。(明治五年に堀切にした)
 このため強風をさえぎるものがなく、台風がくると橋が流されて通学できなくなった。前述の昭和十八年の台風の大波に下校中の生徒がさらわれて、海中に流され一名死亡するという惨事があったのもここである。

なおこの通学路が作られたのはどうも昭和2年(1927年)前後のようです。『遍路』(1934年)という書籍(昭和4年(1929年)の記事の再録)で、本島出身の森岡天涯という人が、昭和2年の学校統合のために奔走し、この人の働きかけで島の三集落を結ぶ通学路・産業道路が出きたようです。

百戸位づつしかない三部落がそれぞれ貧弱な小学教場を持っている。一ヶ所に纏めて充実した学校にせよという。あらゆる反対妨害と戦って終に一ヶ所に合併される。児童の登校に便し部落相互の融和親交をはかるため、戸主一人に三日づつ奉仕して三里の道路をつける事になったが、沿道の地主はみな土地を無代で提供する。青年団在郷軍人までみな弁当代を辞退して土工にかかる、三年計画の道路が僅か二か月に竣工した。

また『離島の現況 第6 (日振島,戸島,沖の島,馬渡島,小川島) (離島振興資料 ; 第7輯) 』(1955年)によると

喜路部落から明海部落に通ずる村道幹線であって、産業道路並びに通学道路としての有利性と交通の利便をうながすものである。特に50mの地点は橋築を必要とし、現在木橋をかけているが満潮時風波の高い時は交通杜絶となるので永久橋築の架設を行おうとするものである。

以上を総合すると、明治5年(1872年)に日振島の堺の浜に堀切が作られました。昭和2年(1927年)前後に通学路として初めて道路が作られ、堀切には木橋が架けられましたが、よく流される状況が戦後まで続きます。やがて1960年代以降にコンクリートの県道が作られ、橋もコンクリート製になった、ということのようです。残念ながら戦後の道路の舗装についての情報は、上の『日振島の昭和史』には載っていませんでした。

改めて[109412][109430]の修正案を以下にまとめます。とりあえず日振島の水路については「堀切」以上の正式名が見当たらないので、「堺の浜の堀切」とします。また鹿老渡お堀切水路の方も、結局印刷された本で「堀切水路」と記述しているものは存在しないので、こちらも「鹿老渡の堀切」と記述することにします(【訂正:広島県史を読み返したら、「鹿老渡瀬戸」が使われていました】)。これで長島、倉橋島、日振島、対馬島の4島の水路がすべて人工のものであることが確定しました。

以上のほか、大根島・江島の中海堤防道路、沖縄本島・瀬長島の瀬長島海中道路、有福島・日島・漁生浦島の堤防道路、大毛島・高島のあいの水尾川水門と鯔越水門の情報を追加しました。

(開く)追加修正箇所リスト

また、データ項目の説明の内、1・2・5・7の修正案です。

1. 国土地理院が規定する「島」
国土地理院が規定する「島」は、周囲長0.1km以上の海岸線で囲われた自然島であり、人工島は島とはみなされない。したがって関空、神戸ポートアイランド、東京湾平和島、令和島、お台場などは本州島の一部とされる。また国土地理院が規定する「海岸線」は、満潮時の「水涯線」を表し、神奈川県藤沢市の江の島のように、干潮時には接続していても満潮時には分離する場合には、独立の島として扱う。

2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)
    離島振興法等指定離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版
    法律指定外離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版)
    上記以外:新版 日本の島事典 (2022年), SHIMADAS (2019年), ritokei (NPO法人離島経済新聞社)などに掲載
    北海道、本州、四国、九州、沖縄島(人口は差分で計算)
(1) 離島振興法等指定離島のうち、長崎県対馬市の赤島と泊島は埋め立てにより独立した島ではなくなっており、本表では一個の島として扱う。
(2) 法律指定外離島のうち、島根県松江市の田島(大根島と接続)、香川県坂出市の瀬居島と沙弥島(四国本土と接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本と接続)などは、埋め立てにより独立した島ではなくなった地域として、本表からは除外。また法律指定外離島のうち、島根県松江市の大根島と江島は埋め立てた道路(中海堤防道路)により接続しており、本表では一個の島として扱う。
(3) SHIMADASに掲載の有人離島のうち、北海道江差町の鴎島(埋め立てにより北海道本土と接続)も同様の理由により本表から除外。
(4) ritokeiに掲載の有人離島のうち、沖縄県豊美城市の瀬長島(埋め立てた道路(瀬長島海中道路)により沖縄本島と接続)も同様の理由により本表から除外。また沖縄県竹富町の外離島は、平成27年以降の国勢調査や住民基本台帳登録で無人化しているので除外。
(5) 新版 日本の島事典の「第III部 島嶼県別統計(データ編)」に掲載の有人の自然島のうち、愛媛県今治市の美濃島・家ノ島も、国勢調査で長らく無人化しているので除外。なお本書で無人名付の自然島として扱われている神奈川県横浜市金沢区の野島については、開削水路で分離した有人の人工島として除外。
(6) 琵琶湖の沖島、中海の大根島・江島などの湖の有人島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法指定離島、あるいは本土との架橋の完成により指定解除を受けた島として離島統計年報に記載があり、本リストに含めている。ただし、琵琶湖や中海は本州の面積に含まれており、沖島、大根島・江島の人口も本州の人口に含まれる。
(7) 岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬島は、開削水路で分離されているが、自然島として合算した値を示す。

5. 人口算出における詳細注記
(1) 四国本土と架橋している徳島県海陽町の竹ケ島 / 高知県須崎市の中ノ島、戸島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、基本単位区に占める人口比など(竹ケ島は2020年直近の住基、中ノ島は2010年国調、戸島はWeb情報)から人口を推定。四国本土の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(2) 九州本土と架橋している長崎県西海市の竹ノ島、南串島 / 大分県臼杵市の黒島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、基本単位区に占める人口比(竹ノ島、前島、鹿島、黒島は2015年国調、南串島は2010年国調)から人口を推定。九州本土の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(3) 三重県志摩市の賢島と横山島、岡山県瀬戸内島の前島と黒島
 国勢調査の基本単位区人口とWeb情報から人口を推定。
(4) 長崎県佐世保市の前島と鼕泊島
 国勢調査の基本単位区に占める人口比(2015年国調)から人口を推定。
(5) 長崎県五島市の福江島と前小島、熊本県天草市の御所浦島と前島、沖縄県竹富町の小浜島と嘉弥真島、新城島上地と新城島下地、西表島と由布島
 国勢調査の基本単位区に占める人口比など(2020年直近の住基)から人口を推定。
(6) 熊本県の大矢野島と野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。

7. 人口密度データ
(1) 2020年 (令和2年) の人口を元に計算。

多分、今度こそ今回の投稿が大幅な改定案の最終となると思います・・・

【追記】[109437] オーナーグリグリさん

すみません。タッチの差で投稿が前後してしまいました。人口密度は指摘の通りです。多分現状のもので問題はありません。改めて確認しますが、有福島・日島・漁生浦島、大毛島・高島の注は追加する必要はないでしょう。
[109430] 2023年 12月 25日(月)18:05:43【7】訂正年月日
【1】2023年 12月 25日(月)18:30:40
【2】2023年 12月 25日(月)23:08:47
【3】2023年 12月 25日(月)23:20:15
【4】2023年 12月 26日(火)11:08:53
【5】2023年 12月 26日(火)11:19:35
【6】2023年 12月 26日(火)11:29:59
【7】2023年 12月 26日(火)15:07:38
YT さん
大根島・江島、泊島・赤島の接続問題
[109412]で瀬長島を沖縄本島と合算する案を示しましたが、他にも問題のある島があります。例えば大根島と江島、有福島と日島と漁生浦島は、沖縄本島~瀬長島と同様に埋め立てられた(あるいは国土地理院地図で埋め立てられたように見える)道路で接続していますが、国土地理院の面積調では前者は合算されているのに対し、後者は分割されています。今回[109412]とは別に、大根島・江島、泊島・赤島を同一の島として扱う修正案をまとめます。

【大根島・江島】国土地理院の面積調では、大根島・江島として合計6.74 km2の面積が示されています。実際に国土地位院の地図google mapのストリートビューを見ると、両者は完全に埋め立てられた道路によって結ばれているように見えます。国土地理院の判断通り、両者を同一の島として扱った場合の修正案を後に示します。

【赤島・泊島】赤島・泊島は合計しても1 km2未満の島ですので、国土地理院の面積調には未掲載です。一方2021離島統計年報、ritokeiでは個別の島として扱われているのに対し、SHIMADAS、新版 日本の島事典(0.617764km2)、日本の島へいこう離島百貨では全部埋め立てられて接続した島として扱われています。国土地理院の地図google mapのストリートビューを見ると、両者は完全に埋め立てられています。ただし離島振興法で独立した島として地位を与えられていることを重視するのであれば、それぞれ別個の島という扱いをキープすることになります。

【有福島・日島・漁生浦島】新版 日本の島事典「第III部 島嶼県別統計(データ編)」では、有福島・日島・漁生浦島として単一の島扱いされています(4.850641km2)。実際国土地理院の地図では埋められた道路として描かれています。一方Google mapでは、有福島~漁生浦島間のこの位置に切れ目があります・・・が、ストリートビューでは分かりません。遠くから見ても、切れ目があるようには見えません。またgoogle mapでは、有福島~日島間の間は埋め立てられていないように描かれています・・・がストリートビューは、橋上には設定されていません。遠くから見た場合はよくわかりません。マピオンの地図でも埋め立てられていないように描かれており、google mapの地図はこれに従っているのでしょうか。

もう少し資料を集めてみたところ、長崎新聞の記事に写真と映像がありました。映像を見ると、まず漁生浦島と有福島を結ぶ堤防道路一ヶ所に確かに水流があり、地図の通りに水路は間違いなくありそうです。こちらの写真は「日島」で撮影とありますが、漁生浦島と有福島を結ぶ該当部分のようす。次に有福島と日島を結ぶ北防波堤の方を見ると、一応護岸ブロックは2か所空いており、堤防道路の下にも2か所穴があいており、こちらは地図とは実態が大分違いますが、一応水路が2か所ありそうです。新聞の説明によると、防波堤内部に暗渠があり、海水が内と外で入れ替わると書かれていますが、google mapの衛星写真だと、2か所の水路の穴からの水流を確認できます。

さらに別の資料を探したところ、古本勝弘・有山 淳・大石祐樹・夛田彰秀, 「上五島・有福湾に設置された潮通し水路の海水交換機能」 (長崎大学工学部研究報告, 38巻 (71号), pp. 40-46 (2008年))と題される論文、及び関連する論文(後述)を見つけました。どうやらこれら3つの島を結ぶ堤防道路は1975年までに設置され、南防波堤と北防波堤は1979年までに完成されたものです。そして北防波堤側の堤防道路は当初から2m四方の潮通し孔が2箇所あけられていましたが、南防波堤側は閉鎖されており、赤潮対策として後から2008年に南防波堤側に潮通し水路が開けられたようです。つまり国土地理院の地図は間違いではないが、南防波堤・北防波堤側の堤防道路には共に潮通し水路が掘られており、これを分離しているとみなすかどうかで独立した島とみなすかどうかにつながります。まあ事実としては、国土地理院の面積調では、有福島(2.97 km2)、漁生浦島(1.37km2)に別個の島として面積が与えられ、2021統計年報、SHIMADAS、新版 日本の島事典の「第I部 解説編」でも同様です。議論が分かれるところですが、これに関しては国土地理院の面積調とgoogle map、マピオン、その他映像の情報に従い、別個の島として扱います。

【大毛島・高島】新版 日本の島事典「第III部 島嶼県別統計(データ編)」では、単一の島扱いされています(10.358107 km2)。国土地理院の地図を見ると、南西北東に水門(それぞれあいの水尾川水門鯔越水門(いなこしすいもん)と呼ぶようです)があり、google mapのストリートビューでも南西北東に水門を確認できます。これをコンクリートの埋め立てで接続しているとみなす人もいるかも知れませんが、まあ橋の一種と考えて問題はないでしょう。実際国土地理院の面積調では、大毛島(7.31 km2)、高島(2.63km2)に別個の島として面積が与えられています。よってこれに関しては分離して扱います。

以上まとめると、[109381]に対して以下の変更点を追加となります。離島振興法での指定を重視するのであれば、赤島と泊島は別の島ということで現状維持となります。ただ赤島・泊島はどうみても埋め立てで完全に接続されています。大根島・江島は、沖縄本島・瀬長島と同レベルで、埋め立てられた道路による接続です。有福島・日島・漁生浦島は1975年に堤防道路で接続されましたが、有福島~日島側には当初から潮通し孔が二つ掘られ、さらに2008年に有福島~漁生浦島側にはより大きい潮通し水路が掘られ
たようです。微妙なところですが、それぞれ別個の島として扱うのが妥当とする根拠となります(一個の島として扱うべきとする主張にも一定の根拠にもなりえますが)。また大毛島・高島は2つの水門が存在し、こちらも微妙なところですが、別個の島として扱うのが妥当とする根拠になります(こちらも一個の島として扱うべきとする主張にも一定の根拠にもなりえます)。

#島名都道府県市区町村 (小地域区分)人口
(2020年)
人口
(2015年)
面積
(km2)
人口密度
(人/km2)
変更点
66+67*大根島・江島島根県松江市 (八束町)3.7933,8426.74562.8大根島(3,123人/5.15km2)と江島(670人/1.20km2)は埋め立てられた道路で接続数字を合算、注追加、小地域区分修正
248+249赤島・泊島長崎県対馬市 (美津島町鴨居瀬の一部 [0600-00080~00090])34430.6254.8赤島(25人/0.51km2)と泊島(9人/0.11km2)は埋め立てにより接続数字を合算、小地域区分と注修正

また[109412]に示した「2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)」の説明内容は、以下のように修正となります。

2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)
    離島振興法等指定離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版
    法律指定外離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版)
    上記以外:新版 日本の島事典 (2022年), SHIMADAS (2019年), ritokei (NPO法人離島経済新聞社)などに掲載
    北海道、本州、四国、九州、沖縄島(人口は差分で計算)
(1) 離島振興法等指定離島のうち、長崎県対馬市の赤島と泊島は埋め立てにより独立した島ではなくなっており、本表では一個の島として扱う。
(2) 法律指定外離島のうち、島根県松江市の田島(大根島と接続)、香川県坂出市の瀬居島と沙弥島(四国本土と接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本と接続)などは、埋め立てにより独立した島ではなくなった地域として、本表からは除外。また法律指定外離島のうち、島根県松江市の大根島と江島は埋め立てた道路(中海堤防道路)で接続しており、本表では一個の島として扱う。
(3) SHIMADASに掲載の有人離島のうち、北海道江差町の鴎島(北海道本土と埋め立てにより接続)も同様の理由により本表から除外。
(4) ritokeiに掲載の有人離島のうち、沖縄県豊美城市の瀬長島(沖縄本島と埋め立てた道路(瀬長島海中道路)により接続)も同様の理由により本表から除外。また沖縄県竹富町の外離島は、平成27年以降の国勢調査や住民基本台帳登録で無人化しているので除外。
(5) 新版 日本の島事典の「第III部 島嶼県別統計(データ編)」に掲載の有人の自然島のうち、愛媛県今治市の美濃島・家ノ島も、国勢調査で長らく無人化しているので除外。なお本書で無人名付の自然島として扱われている神奈川県横浜市金沢区の野島については、開削水路で分離した有人の人工島として除外。
(6) 琵琶湖の沖島、中海の大根島・江島などの湖の有人島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法指定離島、あるいは本土との架橋の完成により指定解除を受けた島として離島統計年報に記載があり、本リストに含めている。ただし、琵琶湖や中海は本州の面積に含まれており、沖島、大根島・江島の人口も本州の人口に含まれる。
(7) 岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬島は、開削水路で分割されているが、自然島として合算した値を示す。


【追記】古本勝弘・猶木昌史・多田彰秀・古賀恵美子・大田元, 「長崎県五島・有福湾における「潮通し」設置による海水交換促進」(海岸工学論文集, 52巻, pp. 1131-1135 (2005年))によると

①(=北防波堤の堤防道路)には2m四方の潮通し孔が2箇所あけられているが,同湾は閉鎖性が高く海水交換が悪い状況である.

とあり、有福島~日島側の北防波堤の道路には完成当初から2つの潮通し水路が存在したようです。これにより上の文章の関連部分を修正しました。
[109412] 2023年 12月 22日(金)16:33:19【13】訂正年月日
【1】2023年 12月 22日(金)20:04:29
【2】2023年 12月 22日(金)20:22:53
【3】2023年 12月 22日(金)20:29:57
【4】2023年 12月 22日(金)21:21:43
【5】2023年 12月 23日(土)02:07:13
【6】2023年 12月 23日(土)02:40:27
【7】2023年 12月 23日(土)03:39:56
【8】2023年 12月 23日(土)03:58:03
【9】2023年 12月 23日(土)06:08:07
【10】2023年 12月 23日(土)11:09:01
【11】2023年 12月 23日(土)11:14:36
【12】2023年 12月 23日(土)13:11:28
【13】2023年 12月 23日(土)15:39:41
YT さん
瀬戸ケ島・宇品島の追加、野島・弁天島・蕨島の追加中止、瀬長島削除と注の見直し+鹿老渡の堀切水路の追記
[109381][109392][109393][109396][109402]のまとめと、[109381]の追加修正箇所リストの修正版です。

神奈川県横浜市金沢区の野島(理由:[109402]人工島と見做す方が妥当のため)、静岡県浜松市西区・湖西市の弁天島(理由:[109402]人工島と見做す方が妥当のため)、鹿児島県出水市の蕨島(理由:[109392]九州本土と埋め立てにより接続しているため)の追記は中止、沖縄県豊美城市の瀬長島は有人島リストから削除(理由:[109393]沖縄本島と埋め立てにより接続しているため)で、新たに追加されるのは、島根県浜田市の瀬戸ケ島と広島県広島市南の宇品島です。

(開く)追加修正箇所リスト

データ項目の説明の内

1. 国土地理院が規定する「島」
国土地理院が規定する「島」は、周囲長0.1km以上の海岸線で囲われた自然島であり、人工島は島とはみなされない。したがって関空、神戸ポートアイランド、東京湾平和島、令和島、お台場などは本州島の一部とされる

については、島の定義に、海岸線についての説明を加えることを提案します。

1. 国土地理院が規定する「島」
国土地理院が規定する「島」は、周囲長0.1km以上の海岸線で囲われた自然島であり、人工島は島とはみなされない。したがって関空、神戸ポートアイランド、東京湾平和島、令和島、お台場などは本州島の一部とされる。また国土地理院が規定する「海岸線」は、満潮時の「水涯線」を表し、神奈川県藤沢市の江の島のように、干潮時には接続していても満潮時には分離する場合には、独立の島として扱う。

また

2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)
    離島振興法等指定離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版)
    法律指定外離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版)
    上記以外:SHIMADAS (2019年)などに掲載
    北海道、本州、四国、九州、沖縄島(人口は差分で計算)
(1) 法律指定外離島のうち、島根県松江市の田島(大根島に接続)、香川県坂出市の瀬居島と沙弥島(四国本土に接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本土に接続)などは、ほぼ完全な埋め立てで独立した島ではなくなった地域として、本表からは除外
(2) SHIMADASに掲載の有人離島のうち、北海道檜山郡江差町の鴎島も同様の理由により本表から除外
(3) 琵琶湖に浮かぶ沖島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法等指定離島となっておりリストに含めている。ただし、琵琶湖は本州の面積に含まれており、沖島の人口も本州の人口に含めている。

の修正案は以下の通りです。参考文献として新版 日本の島事典 (2022年)とウェブ情報のritokei (NPO法人離島経済新聞社)を明示し、ritokei掲載の瀬長島、外離島の話題を追加し、湖の島として中海の大根島・江島の話題を追加します。【追記:美濃島・家ノ島、野島の話題を追加】郡名は表に合わせて削除。【追記:(6)を増やしました。対馬についてはネット上にいくらでも情報が転がっていますが、岡山県瀬戸内市の長島の「船越水路」については、例えば『愛生 昭和41年5月号』(自宅での閲覧には国会図書館への登録が必要)に詳しい経緯が書かれています。今回鹿老渡の堀切水路の具体的な開削年(再開削)の情報が増えました。】

2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)
    離島振興法等指定離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版
    法律指定外離島(2021 離島統計年報 CD-ROM版)
    上記以外:新版 日本の島事典 (2022年), SHIMADAS (2019年), ritokei (NPO法人離島経済新聞社)などに掲載
    北海道、本州、四国、九州、沖縄島(人口は差分で計算)
(1) 法律指定外離島のうち、島根県松江市の田島(大根島と接続)、香川県坂出市の瀬居島と沙弥島(四国本土と接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本と接続)などは、埋め立てにより独立した島ではなくなった地域として、本表からは除外。
(2) SHIMADASに掲載の有人離島のうち、北海道江差町の鴎島(北海道本土と埋め立てにより接続)も同様の理由により本表から除外。
(3) ritokeiに掲載の有人離島のうち、沖縄県豊美城市の瀬長島(沖縄本島と埋め立てた道路により接続)も同様の理由により本表から除外。また沖縄県竹富町の外離島は、平成27年以降の国勢調査や住民基本台帳登録で無人化しているので除外。
(4) 新版 日本の島事典の「第III部 島嶼県別統計(データ編)」に掲載の有人の自然島のうち、愛媛県今治市の美濃島・家ノ島も、国勢調査で長らく無人化しているので除外。なお本書で無人名付の自然島として扱われている神奈川県横浜市金沢区の野島については、開削水路で分離した有人の人工島として除外。
(5) 琵琶湖の沖島、中海の大根島、江島などの湖の有人島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法指定離島、あるいは本土との架橋の完成により指定解除を受けた島として離島統計年報に記載があり、本リストに含めている。ただし、琵琶湖や中海は本州の面積に含まれており、沖島、大根島、江島の人口も本州の人口に含まれる。
(6) 岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬島は、開削水路で分割されているが、自然島として合算した値を示す。

3. 人口データと4. 市区町村欄の注記(マウスオーバー/タップで詳細表示)および 関連情報へのリンクには変更はなく、

5. 人口算出における詳細注記
(1) 高知県須崎市の中ノ島、戸島
 本土と分離できないため人口を推定。四国の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(2) 長崎県西海市の竹ノ島、南串島 / 西彼杵郡時津町の前島 / 諫早市の鹿島 / 大分県臼杵市の黒島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、離島統計年報に国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字あり(竹ノ島、前島、鹿島、黒島は2015年国調、南串島は2010年国勢調査ベース)。基本単位区に占める人口比から人口を推定。九州の人口は正確ではないが誤差は±20人程度と推察。
(3) 長崎県南松浦郡新上五島町の中通島、桐ノ小島
 離島統計年報に2020年国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字あり。
(4) 熊本県の大矢野島・野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。

の修正案は以下の通りです。2022離島統計年報のみならず、ritokeiや新版 日本の島事典などからも国勢調査人口の個々の確定値の情報が入手可能であり、そもそも中通島、桐ノ小島だけに限った話ではなく、ほかに脚注漏れの島が多々あるので(「~の一部」として基本単位区が分割されているのに国調人口が確定しているケースが該当)、これに関する説明を省きます。【追記:賢島+横山島、前島+黒島、前島+鼕泊島、福江島+前小島、御所浦島+前島、小浜島+嘉弥真島、新城島上地+新城島下地、西表島+由布島の算出方法の説明が抜けていたので追加し、説明文も大幅に改訂】

5. 人口算出における詳細注記
(1) 四国本土と架橋により接続している徳島県海陽町の竹ケ島 / 高知県須崎市の中ノ島、戸島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、基本単位区に占める人口比など(竹ケ島は2020年直近の住基、中ノ島は2010年国調、戸島はWeb情報)から人口を推定。四国本土の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(2) 九州本土と架橋により接続している長崎県西海市の竹ノ島、南串島 / 大分県臼杵市の黒島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、基本単位区に占める人口比(竹ノ島、前島、鹿島、黒島は2015年国調、南串島は2010年国調)から人口を推定。九州本土の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(3) 三重県志摩市の賢島と横山島、岡山県瀬戸内島の前島と黒島
 国勢調査の基本単位区人口とWeb情報から人口を推定。
(4) 長崎県佐世保市の前島と鼕泊島
 国勢調査の基本単位区に占める人口比(2015年国調)から人口を推定。
(5) 長崎県五島市の福江島と前小島、熊本県天草市の御所浦島と前島、沖縄県竹富町の小浜島と嘉弥真島、新城島上地と新城島下地、西表島と由布島
 国勢調査の基本単位区に占める人口比など(2020年直近の住基)から人口を推定。
(6) 熊本県の大矢野島と野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。

6. 面積データには変更がなく、

7. 人口密度データ
(1) 人口、面積ともに2020年 (令和2年) データがなければ2015年 (平成27年) 基準など得られたデータを使って計算

については、面積のデータが既に2015年基準でもないので、シンプルに以下のように変更します。

7. 人口密度データ
(1) 2020年 (令和2年) の人口を元に計算。

【鹿老渡の堀切水路に関する追記】:

[109402]

堀切水路が作られらた年代を絞るため、とりあえず、『海と人々のくらし / 倉橋町編』(2000年)には目を通しましたが、こちらには堀切水路に関する情報は掲載されていませんでした。残る文献として倉橋町編『倉橋町史 通史編』(2001年)がありますが、前述のようにこちらは閲覧には余計な手続きが必要です。

これに関して倉橋町編『倉橋町史 通史編』(2001年)、『北宇和郡町村誌 その2』(2011年:『日振島村誌』(1910年)を収録)を閲覧しましたが、堀切水路と堺の浜の水路の完成年に関する情報は得られませんでした。なお、[109402] の方で、堀切水路建設に出資したのは「林家」ではなくて「宮林家」などと書きましたが、「宮林家」は鹿老渡限定の綱元であるのに対し、倉橋島により影響力を持つ網元である「林家」(林三郎兵衛など)というのが別途存在したことが判明しました。実際に明治時代、宮林家などと連名での漁場に関する取り決めの書類が『倉橋町史 通史編』に収録されています。それとは別に、船大工として栄えた林家(宇和木屋)というのもありますが、堀切水路自体漁船がようやく通れる程度の幅しかないので、作ったのは船大工の林家ではないでしょう。よって個人ブログ

島の西南部である鹿老渡はもともと地続きですが倉橋島の網元である林家が私費で堀を切りました
江戸時代のことです
この堀切のお陰で船はショートカットできるようになり鹿老渡は発展したようです

の「倉橋島の網元である林家」の情報は正しそうです。

【鹿老渡の堀切水路に関する追記!】『広島県史 第壱編 地誌』の方でついに記述を見つけました!

鹿老渡の瀬戸 鹿老渡山の北にあり享保中山を削り、塹を鑿ちて小舟を通ず、俗に堀切と称す、天保中泥沙塡塞、舟路絶えしが、室尾の人林宇右衞門、工事を督して、浚渫し、安政六年より復舟路を開けり。

こちらの記述が正しいとすると、享保年間(1730年頃)に堀を作ったが、天保年間(1840年頃)に埋まったので、安政6年(1859年)に再び堀を作ったことになります。ただ鹿老渡の町割ができたのは享保15年(1730年)のことですが、その時に堀切まで作ったとするのは無理があります。というのは、鹿老渡自体は港町として整備されたのであるのに対し、堀切自体は漁師の船が通る程度の幅しかありませんし、1806年(文化3年)に鹿老渡を訪れた伊能忠敬の地図でも、文政8年(1825年)に完成した『芸藩通志』の文章でも地図でも、全く水路が描かれていないし、水路の記述がありません。よって安政6年(1859年)こそが実際に堀切が開削された年だと思われます。少なくとも再開削の年として間違いはないでしょう。

ネット上には「堀切水路」という言い回しが複数あるので、「堀切水路」という名称に統一します(さっき慌てて「鹿老渡堀切」などと書きましたが、『広島県史』を読みかえしたところ、そうは書いていませんでした。すみません)。「堀切水路」が完成したのは1859年として、上の脚注の中身も修正しました。
[109402] 2023年 12月 18日(月)20:30:33【8】訂正年月日
【1】2023年 12月 18日(月)20:42:39
【2】2023年 12月 18日(月)21:02:27
【3】2023年 12月 18日(月)23:41:58
【4】2023年 12月 18日(月)23:55:22
【5】2023年 12月 19日(火)00:58:54
【6】2023年 12月 19日(火)13:02:31
【7】2023年 12月 19日(火)14:12:21
【8】2023年 12月 19日(火)17:59:25
YT さん
野島の削除、弁天島の扱いの問題、鹿老渡島・日振島について追加情報
[109398] オーナーグリグリさん

1.日本の有人島一覧の更新
未対応のYTさんからの情報を反映することでとりあえず一区切りとする予定です。今年中にこの件はまとめたいと考えています。なお、編集システムの開発については[109381]YTさんのコメントもありますので一旦保留とします。

すみません。標題の件について問題が認められたので、追加で修正が必要となりました。[109381]の内容については今週中にもう一回整理してみます(もう修正を行っていたら申し訳ありません)。

『新版 日本の島事典』「第III部 島嶼県別統計」は、国土地理院地図のデータをベースに島面積を算出している関係で、岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬のように、後から人為的な水路が作られた場合には無駄に分割してしまうという欠点はありますが([109381][109396])、その反面、鹿児島県出水市の蕨島([109392])、沖縄県豊見城市の瀬長島([109393])は掲載されておらず、これらの島が埋め立てによって既に本土と接続してしまっていたことを確認するきっかけになる点で役に立ちました。ただ「第III部 島嶼県別統計」には別の問題があり、一応脚注に「自然島」「人工島」の区別がありますが、人工島を自然島扱いにしてしまっているケースが散見します。

例えば国土地理院の日本の島の数(2023年2月28日14時00分発表)によると、自然に形成された陸地ではないと判断した例として横浜市金沢区の八景島が挙げられていますが、こちらは『新版 日本の島事典』「第III部 島嶼県別統計」では自然島として扱われています(もっとも国瀬調査では無人島なので本件での議論の対象外です)。ここで八景島が取り上げられたのは、もしかしたら2022年12月出版の『新版 日本の島事典』の内容を吟味しての結果かも知れません。

そこで[109392]にも書いたように、自然島かどうか微妙な、神奈川県横浜市の野島と広島県広島市南区の宇品島について、過去の地図との比較を行ったところ、野島は自然島として扱うのには問題大ありでした。

神奈川県横浜市野島については[82781][82782]、島根県浜田市の瀬戸ヶ島/瀬戸ケ島については[82815]、広島県広島市南区の宇品島については[86248]に関連する情報が示されています。瀬戸ヶ島はほぼ問題なく自然島。野島は自然に陸繋島となった後、何度も水路を開削されている島。宇品島は一度埋め立てられた後、再度水路を開削された島です。一応野島も宇品島も『新版 日本の島事典』では「自然島」扱いとなっていますが、経歴的には微妙な島です。

【宇品島】まず宇品島ですが、『伊能大図彩色図』には「仁保島村属 宇品島」と書かれ、立派な島です。『天保国絵図』では「宇治名」、昭和7年(1932年)部分修正の陸地測量部の『五万分の一地形図』でも「宇品島」です。宇品島が埋め立てられていたのは明治時代の一時期だけのようなので([86248])、こちらは自然島として扱って問題なさそうです。

【野島】しかしながら問題があったのは野島です。まず『伊能大図彩色図』では、「洲崎村」「野島」と描かれてる場所は完全に半島となっており、島とは言えません。『天保国絵図』では、「「洲崎村内野嶋浦」」とあり、こちらも半島です。今昔マップを見ると明治36年(1903年)測量の五万分の一地形図、昭和19年(1944年)部分修正の五万分の一地形図でも、どちらも野島部分は半島となっており、島とは言えません。どうも上の地図修正が行われた直後の1945年以降、野島運河や野島水路が作られて独立島に復帰したようです。「野島」という名称がある以上、古代には自然島だったようですが、有史時代にトンボロが完成され、伊能図が書かれた頃の江戸時代後期から昭和初期まで長らく陸続きと認識されていたようで、独立島しての歴史はかなり浅いようです。つまり野島は『新版 日本の島事典』「第III部 島嶼県別統計」では「自然島」という扱いになってはいますが、測量技術が導入された19世紀以降は満潮時にも陸繋島化している期間の方が長く、人工島として扱うべきと判断されます。野島を[109381]の修正案のリストから削除すると、本州の人口は2020年102,577,160→102,579,606人、2015年102,977,838→102,980,442人と、結構影響は大きいです。

【弁天島:以下舞阪町史の情報により細かい変遷情報を後から追加、杭嶋→狐嶋に訂正】今もう一つ悩んでいるのは静岡県浜松西区・湖西市の弁天島の扱いです。今切変遷図によると、明応8年(1498年)の大地震の洪水で今切口が出来、その際に舞阪側に「狐嶋」ができたと書かれています。ただしこれは同時代の史料ではないので、実際にどの大地震(明応7年(1498年)か永正7年(1510年)か)の津波で今切口が出来たのかは断定できません。その後宝永4年(1707年)の津波の影響で、新居側に「元荒井跡」、「荒井跡」という島が出来たほか(今切変遷図の変化を見ると、新居側は新しくできた2島(元荒井、荒井)の南側に2島が新たに形成されて4島となった後、南側は再び繋がって18世紀中に再度半島化し、北側の元荒井、荒井は中洲化して現在に至ると推測されます)、「狐嶋」側は「弁天島」となっています。ただし弁天島に弁天が祀られるのは宝永6年(1709年)以降のことなので、この時代は「弁天島」ではなくて「西之野」と呼ばれていたようです。地図をよくみると、弁天島の左側には「波ヨケ杭二十三丁」と書かれています。

話は前後しますが、実は浜松市立図書館の方で1650年前後に作成された正保国絵図に該当するものを閲覧できるのですが、今切船渡の上に三つ島が書かれており、左から「荒地?」「嶋濱?」「嶋濱?」と書かれているようなのですが、漢字が崩し字過ぎて読めません。場所的には宝永4年以前の「弁天島」、つまり「狐嶋」周辺でしょう。

続いて『伊能大図彩色図』では、舞阪側から「弁天ジマ」「二本抗」(現在の新弁天に相当か)と書き込まれた半島が伸びており、島として描かれていません。先に紹介した今切変遷図の宝永4年の津波の影響の図によると、弁天島から北西方向に「波ヨケ杭二十三丁」が打たれていたことを考慮すると、伊能の時代に「二本杭」まで陸地が伸びている原因は、このように防波目的で人工的な杭を打ち込んだため、トンボロが形成されたせいかも知れません。伊能が浜名湖を測量したのは文化2年(1805年)のこととされていますが、その後の文政6年(1823年)に描かれた遠淡海浜名湖之図では、半島に2か所切れ目が入り、弁天島と二本杭が分離しており、再び島化しています。一方『天保国絵図』では弁天島から二本杭まで一つの伸びる島となっています。今昔マップになると、明治23年(1890年)の測量図では弁天島、北弁天島(第二弁天島→1932年以降は日之出島)、西弁天島(→新弁天)、西弁天島の北側の小さい島(カラス島)など4つが独立島として描かれ、既に鉄道と橋が敷かれています。大正6年(1917年)の測量図では、西弁天島(新弁天)の北側の小さい島が2つ(カラス島、東郷島)に増えて5つの独立島となり、昭和13年(1938年)の測量図では北弁天島(第二弁天島)の北側に西野島浦の埋め立て地が作られ、さらに一気に6つの人工島(乙女園、蓬莱園、千鳥園、観月園、湖島、楽園)が作られています(西野島浦の埋め立て地や乙女島はそれぞれ水路で2つに分離していますが、西野島浦と乙女島の水路を無視するとこの段階では12島)。その後北弁天島(第二弁天島)~西野島浦~楽園は完全に埋め立てられて昭和7年(1932年)以降日之出島となります(10島)。昭和32年(1957年)修正版で渚園が作られ始め(11島)、昭和54年(1979年)修正版では新弁天の北側のカラス島、東郷島を含め、新弁天から乙女園までが完全に埋め立てられています(8島)。

このように弁天島の歴史は複雑で、明和または永正の大津波で狐嶋が形成された後、17世紀中頃には3島に分裂していた時代もあり(正保国絵図)、18世紀初頭の宝永の大津波で西之野のみ残って後は消滅(新居側が一時期2島が分裂し、さらに4島となり、南側が再び半島化して2島となっている)。島に弁天が祭られるようになって弁天島と呼ばれるようになり、19世紀初頭の伊能図では再度半島化しており、19世紀中頃には再び根本が切れて長い1つの島(天保国絵図)、ないしは2つの島に分裂(弁天島と西弁天島)、19世紀後半には4つの島に分離しており(陸軍参謀本部の測量図)、さらに5つに分裂し、昭和初期に7つの人工島が北側に建設され、その内3つの島が埋め立てで統合。さらに戦後に渚島が建設となり、やがて4つの島が埋め立てで統合。後から埋め立てられた島は当然人工島ですが、オリジナルの弁天島・新弁天・日之出島全体を一個の自然島とみなし、他の島を付随する人工島とみなすのか、ちょっと扱いに悩みます。SHIMADASなどでは弁天島をはっきり「人工島」として扱っており、自分としても現状では弁天島を削除してしまう方向に考えが傾きつつあります。[109381]にまとめた修正内容については今週中にもう一回整理します。

【鹿老渡島の堀切水路】また話は大分変りますが鹿老渡島について、個人のブログからこのような記述を見つけました。

島の西南部である鹿老渡はもともと地続きですが倉橋島の網元である林家が私費で堀を切りました
江戸時代のことです
この堀切のお陰で船はショートカットできるようになり鹿老渡は発展したようです
白砂青松の風景---
その名も『堀切橋』を渡り鹿老渡へ行ってみました(続く)

上のブログでは「林家」となっていますが、「宮林家」という、材木で栄えた商家があり、大名が泊まることができる本陣を鹿老渡に構えていたようです。しかもこの本陣には伊能忠敬も泊まり、ここで天文観測を行った可能性が高いそうです。伊能忠敬研究の方に中村士「伊能忠敬が瀬戸内海測量で使用した天文測器と『夜中測量之図』の観測地」という興味深い研究論文が載っており、そちらを抜粋で紹介します。

鹿老渡には 一行は 2泊3日滞在したことが分る。鹿嶋の一周測量のために必要たったのだろうが、忠敬の測量では同所に 2泊することは比較的珍しい。
図3の地図に見るように、鹿老渡は呉市の江田島に隣接する倉橋島にあり、最南端に位置する小さな港である。江戸時代には廻船の潮待ち ・風待ちのために栄えた瀬戸内海の良港だった。上述の新出測器は、この鹿老渡の辰之助直範なる人物(士分と思われるが素性未詳)が、忠敬の鹿老渡滞在時に象限儀と子午線儀の構造を調べ、寸法を測定したのだろう。伊能隊は鹿老渡に2泊3日滞在したために、二日目の昼間測量では象限儀・子午線儀は持ち歩かず宿に残していたはずで、辰之助は昼間に詳しく計測させてもらえたと想像する(『伊能忠敬測量日記』を読むと、忠敬は各所で来訪者に気軽に測量器具や天文測器を見学させたり、天文暦学書を質し与えたりしている)。その計測結果を元にして辰之助は、理由は不明だが、25年後の天保2年(1831)になって新出測器を復元製作し、それらがやがて上に述べた大庄屋宮尾家に渡ったと推定されるのである。
(中略)
倉橋島の古い建築に関する調査報告書(21)では、鹿老渡で寛政3年(1791)頃からの建物が残っているのは、野村家と宮林家の2軒だけと書かれている。『倉橋島志』によると、野村家は、貞享頃から文政年間まで断続的だが庄屋と地域の組頭を務めていた(22)。しかし、小川氏と私が鹿老渡を紡れた時(20115月14日)には、街路の東端に位置する野村家の建物は、だいぶ以前に解体されて、古めかしい蔵一棟だけを残した無住の更地になっていた。
そこで、民宿を経営するという街路酉端の角地の宮林家を、間取り調査のために訪問した。宮林家の建物は鹿老渡の中でもひときわ目立ち、古い歴史を感じさせる。中庭を取り巻く堂々たる白壁土蔵造りの平屋建である。正面玄関に接した八畳間だけで6~7部屋ある(21)。『倉橋町史』には、宮林家は本陣に使われたこともあると記されている(19)。宮林、野村の屋敷 ・建物は、19世紀初めから基本構成は変わっていないという(19)。
本節では、応対下さった宮林家の老未亡人の話をまず要約する(23)。民宿はご本人の健康上の理由から、数年前(調査当時)から止めている、宮林家の歴史と、同家が昔から伝統ある旧家だったことは、宮林家先代の賢から度々聞かされていたとのことだった(図6)。驚かされたのは、私たちが伊能忠敬の話を持ち出す前に、宮林家は野村家の分家で、両家はもとは津和野屋金右衛門という名前だったと、未亡人は、はっきり明言されたことである(忠敬の測量については何もご存じなかった)。この名前は、『伊能忠敬測量日記』の中に出てくる、忠敬らが鹿老渡で天測のために止宿した宿の当主の名前そのものだった(2.2節)。従って、忠敬らの天測は、野村家か宮林家かの層厳内で行なわれたことが明白になった。
『倉橋町史』(19)や『倉橋の建築』(21)等によると、江戸時代の両家の先祖は材木商で、これは鹿老渡の造船業と関係があったと記されている。これに対して、未亡人の話では江戸時代の宮林家は鹿老渡のいわゆる綱元で、漁のための網小屋をいくつも持ち、綱子も多数抱えていたため、大勢が泊まれるように間取り数の多い大きな屋敷になったとのことだった。また、瀬戸内海を往来する大名や文人墨客もしばしば宿泊したため、現在も当家には頼山陽や聿庵(いつあん)ら有名人の扇額がいくつも残されている。
『倉橋の建築』(21)に収録された両家の屋敷の図面を比較すると、宮林家の方が屋敷の規模は大きいから、いつの時代からか、分家である宮林家の生業の方がより盛んになったらしい。以上、述べてきた情報だけでは、忠敬らの天測が街路東端の野村家と西端の宮林家とのどちらで行なわれたかを確定することはできない。しかし、筆者には、宮林家の方がより可能性が高いように恩われる。それは、富林家が、江戸時代から大きな宿泊所として利用されてきたこと、天測場所に相応しい中庭が今も残っていること、宮林家の方が西に位置していて、 図5の天測点(「☆」印)により近いこと、などの理由からである。

以上、ブログの情報がある程度正しいとすると、鹿老渡の堀切水路が掘られたのは江戸時代のことで、水路を掘るための資金を出したのは網元である「宮林家」であり、そこはほかならぬ伊能忠敬が宿泊して夜中に天測観測を実施した家である可能性が高いということです。堀切水路が作られらた年代を絞るため、とりあえず、『海と人々のくらし / 倉橋町編』(2000年)には目を通しましたが、こちらには堀切水路に関する情報は掲載されていませんでした。残る文献として倉橋町編『倉橋町史 通史編』(2001年)がありますが、前述のようにこちらは閲覧には余計な手続きが必要です。とりあえず水路が作られた時期が判明している対馬、長島に加え、倉橋島~鹿老渡島も人為的な水路が作られたことがほぼ確定しました。

【日振島の堺浜水路】日振島については戦前は島を南北に分かつ水路も道路も掲載がありません([109396])が、こちらも個人のblogの方にもともと木製の橋が架かっていたという情報を見つけました。

真ん中の写真、この島と島が切れて向こう側が見えている部分には、昔は木製の橋が架かっていました。祖母によると、ある台風が日振島を襲った時、この橋を通っていた日振島小学校の子供たちが橋ごと流されたことがあったそうです。ほとんどの子供たちは助けられましたが、ある一人の女の子だけは見つからず。その後、網に引っ掛かっている所を発見されました。その子の母親は、毎日のようにここに通い、わが子を探していたそうです。
台風の度に流されていた橋は、現在は写真のようにコンクリート製の丈夫なつくりになっています。

宇和島市立日振島小学校の沿革によると、以下が該当しそうです。

昭和18年 津波あり、堺浜にて児童1名死亡

実は『新版 日本の島事典』の方にも以下の記述があったのですが、これによりこの橋が架かっている部分の固有名が「堺浜」、「堺の浜」であることが分かりました。

島中央部堺の浜で、幅10m程度の短水路で南(1.4186km2・13.668km・197.7m/北:2.3190km2・17.886km・158.8m)の2島に区切られるが、実質的に1島である。

後に「愛媛県道290号喜路能登線」を作る過程でコンクリートの橋が作られ、その際に水路がきっちり掘られたと推測されます(1960年代)。時期的に1958年の昭和の大合併(日振島村→宇和海村)よりも後、1974年の宇和島市への合併への前です。『宇和島市誌』(1974年)の方は、残念ながら宇和島市中心部の土木工事がメインで、こちらの水路の情報は載っていません。現状の情報から日振島の状況を推測すると、昭和初期の段階で日振島は満潮時にも堺浜は繋がっていたが、濡れないように歩くために木の橋がかけられていた。南北をつなぐ県道が作られた際に国土地理院地図でもはっきり描かれる水路が作られた、のではないかと推測しました。

それにしても上のブログの写真を見る限り、水路は実に狭いですね。国土地位地図だと水路は一番狭いところで5メートルです。
[109396] 2023年 12月 15日(金)16:32:49【2】訂正年月日
【1】2023年 12月 16日(土)11:01:16
【2】2023年 12月 16日(土)11:07:00
YT さん
鹿老渡を倉橋島より分離した堀切水路の掘削は幕末に行われた?
鹿老渡についていろいろ調べましたのでまとめます。

まず国土地理院地図を見ると、堀切橋は幅20メートル程度の水路にかかっている橋です。google mapのストリートビューで見ても、かなり両岸が近いようです。

『芸藩通志』「巻之三十八 安芸郡三」の鹿老渡湊」の項目によると

鹿老渡湊 倉橋島にあり、南北二港ありて、南は下浦とて東北風を防ぎ、北は日浦とて西南風を防ぐ、享保年間に始て家を移し市を成す、今一聚となれり、或は云、からうとは韓泊の義を訛り称せるなるべしと、此地周防洋の口なれば、古韓船繋泊せることもありぬべし、鹿老渡の西、財崎、室尾にも埠頭もあり、

とあります。『芸藩通志』は広島藩の地誌で、文政8年(1825年)に完成したとされておりますが、その『芸藩通志』「巻之三十六 安芸郡一下」に倉橋島の地図」が掲載されています(右側が南)。これを見ると、鹿老渡の部分は半島になっていて、水路が描かれていません。

国立公文書館所蔵の天保国絵図安芸国(天保9年(1838年))では、「かろうと」と書かれていますが、同じく水路は描かれていません。

また伊能大図彩色図の「伊豫 諸島 安芸 広島」を見たところ、こちらでも水路が描かれていません。伊能が瀬戸内の山陽道川を測量したのは1806年(文化3年)のこととされております。正直国絵図が正確に地形を反映しているとは思いませんが、伊能図は海岸線だけは正確に測量しているはずですので、このことから19世紀前半では、おそらく鹿老渡は倉橋島と陸続きであったと推測されます。

一方スタンフォード大学のサイトで閲覧可能の、陸軍参謀本部作成の五万分一地形図(大正14年(1925年)修正版)では、既に鹿老渡の堀切橋が完成しているようにみえます。

『広島県史 第1編』(大正10年(1921年))に収録の安芸国全図でも、既に水路は存在するようにみえます。

ただ解像度の低い大阪毎日新聞『日本交通分県地図』の其二 広島県(大正12年(1923年))などでは水路は確認できません。

いくつか調べたところ、『日本警察彰功録 下巻』(明治24年(1891年))の一節

広島水上警察署巡査平田大己巡回シテ宇和木浦ニアリ就テ之ニ協力ヲ求メ共ニ又鹿老渡ニ向フ
之ヲ探ルニ二賊初メ会場ノ争闘ヲ知ラズ暁天残灯ノ下ニ酒杯ヲ傾ケ献酬
時ヲ移ス適々海辺土民ノ騒擾スルヲ聞キ始メテ党与ノ就縛シタルヲ知リ匆々樓ヲ出テ鹿老渡堀切ニ向テ逃走シタリ
然ルニ村長岩本孝祐ハ二賊ノ逃路ヲ絶チ嚢中ノモノトナシ容易ニ捕獲セン

と「鹿老渡堀切」という言葉が見つかりました。つまり19世紀末には「堀切」が存在したことになります。

以上から推測するに、堀切の水路が作られたのは19世紀のこと。明治維新後は呉に海軍が置かれた影響で鹿老渡での自由な往来が阻害されたので、おそらく鹿老渡が最盛期を迎えた幕末頃に掘削されたのではないかと推測します。

『倉橋町史』、あるいは最近出版された『呉市史』関連の書籍を読めばもう少し絞れるかもしれませんが、自分の身近ではちょっと手続きがめんどくさい図書館(コロナ以降事前予約が必要になってしまった)にしか見当たりませんでした。

【追記】愛媛県宇和島市の日振島は、スタンフォード大学公開の地形図では、昭和9年(1936年)の時点において南北に分かつ水路もなく南北を繋げる道もありません。おそらく道を作ったときに下を通る水路も掘られたのでしょう。長崎県対馬市の対馬、岡山県瀬戸内市の長島、日振島、倉橋+鹿老渡島の4島に関しては、全部人為的な水路があとから作られたようで、それが国土地理院公開の島面積合算にそのまま反映されているようです。
[109393] 2023年 12月 14日(木)12:53:52【3】訂正年月日
【1】2023年 12月 14日(木)13:23:12
【2】2023年 12月 14日(木)13:28:28
【3】2023年 12月 14日(木)20:34:22
YT さん
沖縄県豊美城市の瀬長島を有人島リストから削除する可能性について
[82725] [82776] オーナーグリグリさん

問四:豊見城市の瀬長島は、本土(那覇空港)と地続き

豊見城市の瀬長島は、この部分で那覇空港(那覇市)と堤防でつながっています(こことここでは切れていますが)。一方、松江市の大根島と江島は、こことここで切れています。江島は江島大橋で境港市と架橋していますので、境港市も共通項が該当します。

『新版 日本の島事典』で「第III部 島嶼県別統計」の方に掲載がなく、「第1部 日本の島々(解説編)」の方に個別の解説記事の掲載があった有人島候補は、琵琶湖の沖島、中海の大根島、江島、浜名湖の弁天島などの湖の島のほか、第III部の方では合算値が示されていた徳島県鳴門市の大毛島・高島、長崎県対馬市の赤島・泊島、長崎新上五島町の有福島・日島・漁生浦島、そして今回自分が誤って独立した自然島と判断してしまった鹿児島県出水市の蕨島と、沖縄県豊美城市の瀬長島の二つが該当します。四国本土と埋め立てられて接続している香川県坂出市の瀬居島と沙弥島、九州本土と接続している長崎県長崎市の香焼島なども、「第1部 日本の島々(解説編)」の方に独立の解説記事がありますが、「第III部 島嶼県別統計」には掲載されていません。【追記:[109368]の「島面積1.00 km2未満の有人島、その他特殊な島の面積の比較(修正の必要がないものも含む)」の表で、小数点以下6桁まで示されていないものが、「第III部 島嶼県別統計」に掲載されていないものに該当します。この表を作成した段階では蕨島(0.8675 km2)を考慮していなかったので表には入れていません。湖の有人島、合算値の面積が採用されている有人島のケースを除けば、面積1km2未満の有人島リストの中で瀬長島が唯一「第III部 島嶼県別統計」の方で独立した自然島と認識されていなかったということです】

ここで鹿児島県出水市の蕨島の方は、九州本土と繋がっており([109392])、立場としては長崎県長崎市の香焼島と同等であることが分かりました。となると、もしかしたら沖縄県豊美城市の瀬長島にも同様に独立の自然島とみなすには何らかの問題があるのかも知れません。

改めて瀬長島について国土地理院の地図を見ますと、北東側の道は2か所で切れていますが、北西側の道は完全に陸続きのようにみえます。google mapのストリートビューで北西側の道から北東側の道を見ると、北東の道には確かに2か所橋が架かっています。一方北西側の道はどうかというと、ストリートビューでその道を移動する限り、橋があるようには見えませんし、遠くから見た場合でも道の途中に橋や水路があるように見えません。

よって、ritokei/離島経済新聞ではわざわざ瀬長島の項目がありますが、過去のオーナーグリグリさんの投稿でも指摘されているように、瀬長島は完全に沖縄本土と繋がっているとみなし、瀬長島を削除して人口も沖縄島と合算しても構わないかも知れません。その場合2020年は瀬長島の人口0なので影響ありませんが、2015年は瀬長島は1世帯4人なので、沖縄島の人口は1,301,753→1,301,757人に修正となります。ただしritokei/離島経済新聞を尊重するのであれば、現状維持です。

なお、『新版 日本の島事典』「第III部 島嶼県別統計」では、神奈川県横浜市金沢区の野島、島根県浜田市の瀬戸ヶ島/瀬戸ケ島、広島県広島市南区の宇品島のほか、すでに追加済みの神奈川県横須賀市の天神島、佐賀県太良町の竹崎島、長崎県五島市の前小島、熊本県上天草市の椚島、熊本県天草市の前島、宮崎県宮崎市の青島なども自然島として掲載されています。

浜名湖の弁天島は・・・まあ沖島や大根島・江島などと同じ湖の島ですが、弁天島から拡張される過程で大量の人工島が建設されており、野島や宇品島以上に扱いが微妙なところです。

SHIMADASや『新版 日本の島事典』「第III部 島嶼県別統計」で同一の島とされ(『新版 日本の島事典』「第1部 日本の島々(解説編)」、離島統計年報では独立の島扱い)、実際に埋め立てられている長崎県対馬市の赤島・泊島については、離島統計年報を尊重して現状では合算しないままでいいと思います(有福島・日島・漁生浦島も同様)。
[109392] 2023年 12月 14日(木)11:21:56【1】訂正年月日
【1】2023年 12月 14日(木)11:32:02
YT さん
[109381]の訂正:蕨島の削除、九州の人口修正
[109381]で追加した島は、過去に2013年1月開催の十番勝負で色々検討されていたようです。

[82776] オーナー グリグリさん

なお、問四の該当しない市については、木更津市が人工島、西尾市が桟橋、出水市が堤防道路の除外例です。ただ、木更津市は海底トンネルで川崎市(同じ本州)につながっているので、大村市の除外と合わせて、基準が分かりにくくなったかもしれません。常滑市を除外例にした方が明確だったでしょう。また、桟橋ではなく岸壁と表現すべきですね。桟橋だと海面上に構築される橋と同種になってしまいます。したがって、「堤防道路、桟橋」は「堤防道路や岸壁」と表現すべきでした。

あと、江の島(藤沢市)のように陸繋島で陸続きになる場合を除外するかどうかを悩みました。出水市の蕨島のように完全に堤防で陸続きになっているかどうかをGoogle Mapの航空写真や画像検索などで確認し、橋があって満潮時などに海面下になることが確認できたものは該当することとしました。福岡市の志賀島は航空写真では陸続きになっていますが、Wikiなどの記述から志賀島橋の部分は道切(みちきれ、満切)と呼ばれ、満潮時に一部が海水で区切られるとのことから該当する市としています。

改めて国土地理院の地図で鹿児島県出水市の蕨島を確認したところ、松原鼻から先に堤防が伸びています。堤防の南側を流れる水路は、北西の末端側では地図の上では水路で島が分離しており、橋が架かっているように見えますが、そこに水門が存在するようです。水路をどんどん南東へたどっていくと、水路の末端では完全に空堀となっていました。船があるということは、満潮時にはここまで海水が来るのかも知れませんが、そこから先は完全に埋め立てられています。

よって、[109381]のリストから蕨島を除外し、九州の人口も修正します。

#島名都道府県人口
2020年
人口
2015年
面積
(km2)
人口密度
(人/km2)
変更点
383***九州7県12,346,47812,546,11136,782.38335.7竹ノ島,南串島(長崎県西海市),黒島(大分県臼杵市)の人口推定処理の影響あり九州の数字が修正前のままでした(本州・四国は対応済み)。能古島2020年663人→661人(2人減)【最初の数字が間違っていた】、竹ノ島2人→3人(1人増【住基人口比で修正】)、南串島2020年76人→82人(6人増【住基人口比で修正】)、2015年85人→96人(11人増【確定値に変更】)、、鹿島2020年6人→7人(1人増【確定値に変更】)、黒島2020年4人→3人(1人減【2015年の確定人口比で修正】)の修正により、九州島は2020年が5人減、2015年が11人減となります。

その他の島については、[82809]の離島架橋一覧に関わっています。

神奈川県横浜市野島については[82781][82782]、島根県浜田市の瀬戸ヶ島/瀬戸ケ島については[82815]、広島県広島市南区の宇品島については[86248]に関連する情報が示されています。瀬戸ヶ島はほぼ問題なく自然島。野島は自然に陸繋島となった後、何度も水路を開削されている島。宇品島は一度埋め立てられた後、再度水路を開削された島です。一応野島も宇品島も『新版 日本の島事典』では「自然島」扱いとなっていますが、経歴的には微妙な島です。

hmt さんがご存命であれば、この辺の意見を述べられたことでしょう。

なお、平清盛による音戸瀬戸開削伝説が伝わる倉橋島ですが、下向井龍彦 『音戸瀬戸平清盛開削伝説に関する学際的研究とその地域教材化』によると、

地質学・自然地理学からの検討
自然地理学の方法によって清盛開削の真偽を検証した。人工的開削を施したと仮定したなら、必ず海岸地形の変化やそれに伴う潮流の変化等の痕跡が残るはずである。そこで①海底地形の経年変化、②海岸地形の経年変化、③潮流による侵食、④対象地域周辺の地質、⑤過去の災害による変化、の5つの観点から分析した。分析の結果、①海底に存在する花崗斑岩などの岩脈は非常に浸食されにくい性質を持っているために人力で開削するのは困難である②縄文時代の海水面は現在より数㍍高く現在海峡南北に存在する巨大な海釜は、縄文時代の潮流の流速が現在よりはるかに大きかったことを示す。③縄文時代以降、現在の海水面に安定化するまでの過程で、海水面の上下変動は幾度となく繰り返されたはずだが、音戸瀬戸が陸地化するほどの大規模な変動は検出されない。④海底地形の経年変化と潮流との関係を検討すると、音戸瀬戸の海峡内部は堆積作用よりも浸食作用のほうが大きく、歴史時代(弥生時代以降)に堆積作用で陸地化したとは考えがたい。⑤海峡を埋めるような大規模な土石流の痕跡はみあたらない。以上の点が明らかになった。
以上、地質学・自然地理学の方法によっても、音戸瀬戸が清盛が開削して海峡になったという徴証は認めがたく、縄文時代から清盛の時代にいたるまで一貫して狭小な海峡であったという結論ならざるをえない。それは、歴史学・歴史地理学・民俗学の方法による研究結果と一致する。

とのことで、清盛開削伝説はあくまでも伝説で、倉橋島は一貫して自然島のようです。鹿老渡(江戸時代の書物によると「韓泊り」に由来する)の方がむしろ伝説の舞台だったら話が早いのですが、堀切開削の方の情報はまだ見つかっていません。
[109381] 2023年 12月 11日(月)02:10:29【6】訂正年月日
【1】2023年 12月 11日(月)02:44:00
【2】2023年 12月 11日(月)10:19:15
【3】2023年 12月 11日(月)10:48:10
【4】2023年 12月 11日(月)10:51:47
【5】2023年 12月 11日(月)15:39:24
【6】2023年 12月 11日(月)20:02:56
YT さん
野島・弁天島・瀬戸ヶ島・宇品島・蕨島の追加と注の見直し
[109376] オーナー グリグリさん

[109370][109375]に基づく修正を行いました。

ありがとうございます。松島、六口島の基本単位区の私の方の誤解による間違いにも気付いていただき、申し訳ありません。

編集システムを急ぎたいのですが、石島/井島など特殊要因があるので悩み中です。

ありがとうございます。ただ今回の投稿が多分最後の大幅な改訂になると思います。

今回、神奈川県横浜市金沢区の野島、島根県浜田市の瀬戸ヶ島、広島県広島市南区の宇品島、鹿児島県出水市の蕨島を追加しました。これらはすべて『新版 日本の島事典』 (2022年)の方で「自然島」かつ「陸繋島」として扱われています。結局のところ現状島の定義というのが難しいのですが、明白に埋め立てによって水路が満潮時(【干潮時と最初書いてましたが満潮時に訂正】)にすら消失してしまっている場合を除き、『SHIMADAS』 (2019年)や『新版 日本の島事典』などで自然島として扱われているものは極力島として扱います。横浜市の野島は一度砂洲が繋がっていたものをあとから掘ったということで微妙ですが、それを言い出すと平清盛が水路を掘ったと伝えられている広島県呉市の倉橋島、後から埋まった砂洲を除いた神奈川県藤沢市の江の島なども自然島といえるのかという問題が起こります。

また浜名湖の弁天島を加えました。自然島由来といえるのは、弁天島、日之出島、新弁天、(およびいかり瀬などの無人の瀬)で、乙女園(現在は新弁天に接続)、観月園、湖島(中ノ島)、渚園、千鳥園、蓬莱園はすべて人工島ですが、区別がむずかしいこと、『SHIMADAS』 、『新版 日本の島事典』 はどちらも1個の項目として弁天島を扱っているので、これらを分けずに1個の湖内の自然島として扱いました。ただし下の表では、注の方に構成する島のリストを示すようにしてみました。なお『新版 日本の島事典』では八島, 四洲の総面積が10.945 km2と印字されていたのですが、構成する個々の島を合算してみても明白に1桁数字が間違っていること、また四洲は完全に無人なので、八島合計の0.9968 km2を採用しました。

湖の島ということで、浜名湖の弁天島、琵琶湖の沖島、中海の大根島、江島の人口はすべて本州の人口に合算します。『新版 日本の島事典』収録の島の情報を信じる限り、これ以外に有人の湖の島は見つかりませんでした。

また水路によって分割される、岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬島の4島については全部1個の島として扱います。このうち長島と対馬島については人工的な水路が完成した時がはっきりしているのですが、倉橋島~鹿老渡島の堀切、日振島の南北については、はっきりした資料をみつけることができませんでした。ただこれら4つの島は、現状では『SHIMADAS』 、『新版 日本の島事典』(「第III部 島嶼県別統計」では個々の面積の記述があるものの、本編の方では全く同じ項目内で扱っている)、そして離島統計年報において、いずれも単独の島として扱われ続けているという実績があること、倉橋島~鹿老渡島の例を除き、長島の東西島、日振島の南北島、対馬島の対馬上島と対馬下島に挟まれた第3の島を指す固有名が存在しないことなどから、今回はすべて同一の島として扱い、浜名湖の弁天島を含め、注の方の個々の島の情報を加えてみることを提案します(でもしつこいと感じたら採用しなくても構いません)。

以下に追加修正リストをまとめます。【追記:本リスト内の弁天島の面積は四洲を排除した八島合算値に変更】

(開く)追加修正箇所リスト

新たに加えた鹿児島県出水市の蕨島ですが、出水市[0180-06050](2020年16世帯31人、2015年13世帯21人)が九州本土側の土地を大量に含むため、当初は住基人口比で計算しようとしました(新版 日本の島事典によると2020年12月1日住基人口137人、SHIMADASによると2019年7月1日住基人口139人、島の散歩によると2016年2月1日住基人口153人とあり、出水市荘の住基人口(2020年12月1日839人、2019年7月1日835人、2016年2月1日912人)と出水市荘の国勢調査人口(2020年792人、2015年882人)から算出しようとしたところ、その結果2020年は129~133人、2015年は144~148人となり、[0180-06050]全域を[0180-06020~06040]に加えた数字(2020年127人、2015年146人)すら上回るか同等となってしまう結果となりました。改めて出水市[0180-06050]の九州本土側をgoogle mapで精査したところ、実際に確認できたのは工内排水機場、市立蕨島小学校、米作り農業法人鶴秀の関連施設、その他排水関連の施設、ビニールハウス、平屋の作業場などで、本土側には住宅地が一軒もないようにみえます。また蕨島側に入り込んでいる[0180-06050]には20軒弱の家屋は確認できることなどから、ここでは[0180-06050]内の住居がすべて蕨島に存在すると仮定し、国勢調査基本単位区の人口データの合算で蕨島の人口を算出しました。ただし「市区町村 (小地域区分)」の方では「出水市 (荘の一部 [0180-06020~06040] [0180-06050]の一部)」という表記を残しました。

データ項目の説明の内
(3) 琵琶湖に浮かぶ沖島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法等指定離島となっておりリストに含めている。ただし、琵琶湖は本州の面積に含まれており、沖島の人口も本州の人口に含めている。

は、例えば

(3) 湖の島は国土地理院の規定では島ではないが、例えば琵琶湖に浮かぶ沖島などは法令上離島振興法等指定離島となっており、湖の有人島もリストに含めている。ただし、琵琶湖や浜名湖、中海は本州の面積に含まれており、沖島や弁天島、大根島、江島などの人口も本州の人口に含めている。

に変える必要があります。

5. 人口算出における詳細注記
(1) 高知県須崎市の中ノ島、戸島
 本土と分離できないため人口を推定。四国の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(2) 長崎県西海市の竹ノ島、南串島 / 西彼杵郡時津町の前島 / 諫早市の鹿島 / 大分県臼杵市の黒島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、離島統計年報に国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字あり(竹ノ島、前島、鹿島、黒島は2015年国調、南串島は2010年国勢調査ベース)。基本単位区に占める人口比から人口を推定。九州の人口は正確ではないが誤差は±20人程度と推察。
(3) 長崎県南松浦郡新上五島町の中通島、桐ノ小島
 離島統計年報に2020年国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字あり。
(4) 熊本県の大矢野島・野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。

は、少し整理して

5. 人口算出における詳細注記
(1) 徳島県海陽町の竹ヶ島 / 高知県須崎市の中ノ島、戸島
 本土と分離できないため人口を推定。四国の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(2) 長崎県西海市の竹ノ島、南串島 / 大分県臼杵市の黒島
 国勢調査の基本単位区では本土と分離できないが、離島統計年報に国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字あり(竹ノ島、前島、鹿島、黒島は2015年国調、南串島は2010年国勢調査ベース)。基本単位区に占める人口比から人口を推定。九州の人口は正確ではないが誤差は±10人程度と推察。
(3) 熊本県の大矢野島・野牛島
 人口を分離するための有効なデータ見つからず、両島の人口を大矢野島欄に一括表示。

また弁天島、長島、倉橋島、日振島、対馬島を構成する島の各人口変遷は以下の通りになります。弁天島については『新版 日本の島事典』記載の面積(小数点以下4桁)を載せます(他は[109351]の方で小数点以下6桁の数字を掲載済みですのでここでは四捨五入した数字にしています)。

(開く)弁天島、長島、倉橋島、日振島、対馬島の構成島の人口の変遷

今後は可能であれば、有人の人工島の人口をまとめたいと思います。川の中州や、あるいは例えば房総半島島みたいなのは、ネタとして面白いかも知れませんが、ちょっとデータを揃えるのが難しそうです。
[109375] 2023年 12月 8日(金)20:51:44【4】訂正年月日
【1】2023年 12月 8日(金)20:58:08
【2】2023年 12月 8日(金)21:05:17
【3】2023年 12月 8日(金)21:07:29
【4】2023年 12月 9日(土)00:55:31
YT さん
[109370]の追記:小地域区分の訂正点
[109369] オーナー グリグリさん

以上、お手数ですがご確認ください。→ 日本の有人島一覧

すみません。[109370]に加え、小地域区分で訂正するべき点を以下にまとめます。

【追記:#51賢島、#278蛎浦島を追加】

#島名都道府県市区町村 (小地域区分)備考
51賢島三重県志摩市 (阿児町神明の一部 [0020-00221~00222] [0020~00230の一部] [0020-00240])間違いではないが、「~」を全角に変更
53沖島都道府県近江八幡市 (沖島町:[0820-00030]を除く)他の書き方との整合性(コロンなど)
54淡路島兵庫県洲本市, 淡路市, 南あわじ市 (沼島を除く)間違いではないのですが、後に南あわじ市の沼島が続くので順番変更
77井島・石島岡山県, 香川県玉野市 (石島), 直島町 ([0010-00641の一部])[0010-00641]は香川県直島町の基本単位区(令和2年国勢調査報告書で直島町には大字・町名が与えられていない)で、岡山県玉野市側の大字・町名は石島
78松島岡山県倉敷市 (下津井の一部 [1590-00030の一部])「の一部」を追加
79六口島岡山県倉敷市 (下津井の一部 [1590-00030の一部])「の一部」を追加
93細島広島県尾道市 (因島重井町の一部 [1060-00470] [1060-00550])「細区」=[1060-00470]だけ字・丁目名が入っており、両者ともに「因島重井町」という大字・町名に所属・・・なので混乱するので「細区」を削除
102大崎上島広島県大崎上島町 (契島,生野島,長島を除く)除くの場合はコンマの後のスペース削除
105三角島広島県呉市 (豊町久比の一部 [2360-02010~02020], 豊浜町大字大浜の一部 [2310-01010])括弧が余計
154大毛島徳島県鳴門市 (鳴門町土佐泊浦, 三ツ石:[0030-03040]を除く)他の書き方との整合性(コロンなど)
156島田島徳島県鳴門市 (瀬戸町大島田, 室, 撫佐, 小島田, 中島田, 北泊の一部 [0040-03140], 堂浦の一部 [0040-02200])括弧が余計
159竹ケ島徳島県海陽町 (大字宍喰浦字竹ケ島の一部 [0220-00260の一部])「の一部」を追加
164直島香川県直島町 (屏風島,向島を除く)除く内容を追加
165屏風島香川県直島町 ([0010-00631])令和2年国勢調査報告書で直島町には大字・町名が与えられていない
166向島香川県直島町 ([0010-00641の一部])令和2年国勢調査報告書で直島町には大字・町名が与えられていない
252壱岐島長崎県壱岐市 (大島,長島,原島,若宮島を除く)除くの場合はコンマの後のスペース削除
267前島長崎県佐世保市 (小佐々町矢岳の一部 [2750-00040の一部])「の一部」を追加
268鼕泊島長崎県佐世保市 (小佐々町矢岳の一部 [2750-00040の一部])「の一部」を追加
278蛎浦島長崎県西海市 (崎戸町蠣浦郷, 崎戸町本郷の一部 [0500-01010] [0500-02010])基本単位区のコンマつなぎを修正
279崎戸島長崎県西海市 (崎戸町本郷の一部 [0500-01020] [0500-03010~05010])間違いではないが、「~」を全角に変更(ほかはすべて全角になっている)
300中通島長崎県新上五島町 (頭ケ島,桐ノ小島,若松島,漁生浦島,有福島,日ノ島を除く)除くの場合はコンマの後のスペース削除
358種子島鹿児島県西之表市 (馬毛島を除く), 中種子町, 南種子町西之表市が欠落
[109370] 2023年 12月 7日(木)23:57:12【5】訂正年月日
【1】2023年 12月 8日(金)00:22:06
【2】2023年 12月 8日(金)00:49:52
【3】2023年 12月 8日(金)01:05:06
【4】2023年 12月 8日(金)09:56:18
【5】2023年 12月 8日(金)15:59:28
YT さん
大根島・江島の面積と3つの有人島追加:長崎県五島市の前小島・熊本県上天草市の椚島・熊本県天草市の前島
[109369] オーナー グリグリさん

五島市の前小島と天草市の前島は[109336]記載の新規追加分で現時点で一覧に掲載なしです。掲載情報をいただければ追加します。

以上、お手数ですがご確認ください。→ 日本の有人島一覧

早速の修正ありがとうございます。

まず島根県松江市の大根島と江島の面積の出典が「SHIMADAS (2019年)」となっていますが、現在引用している5.15 km2、1.09 km2は「新版 日本の島事典 (2022年)」からの数字です(新版 日本の島事典 (2022年)は1km2未満の島の面積の引用に使っており、ここだけ1km2以上の島の面積として引用している)。

参考までに以下に大根島と江島の面積をまとめます。国土地理院が島面積を毎年公表するようになったのは平成14年以降のようですが、現在オンラインで閲覧できるのは平成16年以降です。それによると、平成25年まではずっと5.15 km2, 1.20 km2でしたが、平成26年の面積算出方法の変更以降は、合算した面積6.78 km2→6.74 km2→6.71 km2を掲載しています。離島統計年報の方は2003年から2021年に至るまで、ずっと平成25年以前の国土地理院の数値5.15 km2, 1.20 km2のままです。一方SHIMADAS (2019年)の方は平成29年~令和5年1月1日までの合算値6.74 km2を掲載しており、個々の島の面積は載っておりません。新版 日本の島事典 (2022年)は、事典第1部の項目の方で、5.15 km2、1.085 km2となっています。

文献大根島の面積(km2)江島の面積(km2)大根島・江島の面積(km2)
国土地理院面積調(平成16年~平成25年)5.151.206.35
国土地理院面積調(平成26年~平成28年)6.78
国土地理院面積調(平成29年~令和5年1月1日)6.74
国土地理院面積調(令和5年4月1日~令和5年7月1日)6.71
2003離島統計年報~2021離島統計年報5.151.206.35
SHIMADAS (2019年)6.74
新版 日本の島事典 (2022年)5.151.0856.235

実のところ、新版 日本の島事典 (2022年)の数字の中で、ここだけ一番精度が低い感じですので、江島の面積を1.20 km2に戻して2021離島統計年報を引用しても構わないかも知れません。

またほかに気付いた点としては、長崎県五島市の福江島、熊本県上天草市の涌島、熊本県上天草市・天草上島の天草上島、熊本県天草市・苓北町の天草下島の小地域区分や人口、面積、人口密度がおかしくなっていました。ついでに折角ですので、長崎県五島市の前小島、上天草市の椚島、天草市の前島(いずれも赤色背景の「上記以外:SHIMADAS (2019年)などに掲載」に相当)の情報を以下にまとめます。この3つの島を追加すると、それぞれ福江島、天草上島、御所浦島の人口が削られますが、九州島の人口自体には影響がありません。椚島は最初から国勢調査の基本単位区で区別できましたが、前小島、前島の方は住基人口比で算出する必要がありました。

【追記:備考の修正】昨晩の時点で、福江島と御所浦島の備考をそれぞれ「2020年, 2015年の人口は福江島, 前小島全域(2020年31,945人, 2015年34,419人)より前小島の推定人口を除して推定」、「2020年, 2015年の人口は御所浦(2020年1,539人, 2015年1,786人)より前島の推定人口を除して推定」などと書きましたが、小地域区分の方で既に差分で算出していることが明記されているし、状況は四国、九州などと同じなので、備考内容をシンプルに変更しました。
【追記:前島について】すみません。「奈留島」ではなくて「奈留町」なので、前島分も入っていました

番号島名都道府県市区町村 (小地域区分)人口
2020年
人口
2015年
面積
(km2)
人口密度
(人/km2)
備考変更点
312福江島長崎県五島市 (奈留町,久賀島,蕨小島,椛島,赤島,黄島,黒島,島山島,嵯峨島を除く)31,93834,411326.3697.9前小島(長崎県五島市)の人口推定処理の影響あり住基人口比で「前小島」を分離し、小地域区分の範囲を修正し、備考を追加
312.5前小島長崎県五島市 (岐宿町河務の一部 [基本単位区1370-10010の一部])780.2133.32020年, 2015年の人口は福江島, 前小島全域(2020年31,945人, 2015年34,419人)と住基人口比(2015年2月10日8人/2015年4月1日35,905人)により推定; 2015年2月10日住基人口出典:SHIMADAS (2019年)新規追加, 住基人口比で福江島より分離
328*樋島熊本県上天草市 (樋島)9731,1403.45282,0データが天草上島と混在している状態を修正し、さらに「椚島」を分離
328.5**椚島熊本県上天草市 (高戸の一部 [0130-00140])330.358.6新規追加, 国勢調査の小地域区分により「天草上島」より分離
329*天草上島熊本県上天草市 (維和島,大矢野島,野牛島,湯島,野釜島,永浦島,樋合島,前島,中島,樋島,椚島を除く), 天草市 (志柿町, 瀬戸町, 下浦町, 楠甫, 大浦, 須子, 赤崎, 上津浦, 下津浦, 大島子, 小島子, 棚底, 宮田, 浦, 馬場, 打田, 河内, 湯船原, 古江)23,76926,314225,93105.2データが一部桶島と混在している状態を修正し, さらに椚島を分離
330御所浦島熊本県天草市 (御所浦:前島を除く)1,5371,78412.54122.6前島(熊本県天草市)の人口推定処理の影響あり住基人口比で「前島」を分離し、小地域区分の範囲を修正し、備考を追加
330.5**前島熊本県天草市 (御所浦字下脇の一部 [0500-09090の一部])220.1513.32020年, 2015年の人口は御所浦地域(2020年2,318人, 2015年2,735人)と住基人口比(2019年8月31日2人/2,729人)により推定; 住基人口出典:SHIMADAS (2019年), 天草市ひとのうごき参考Web新規追加, 住基人口比で「御所浦島」より分離
336*天草下島熊本県天草市 (天草上島,御所浦島,前島,牧島,横浦島,通詞島,横島,下須島を除く), 苓北町65,93771,523574.95114.7小地域区分に天草市の情報欠落

上の番号は、3つの島を挿入する場所の目安ということで入れました。

九州に関しては新たな有人島として、鹿児島県出水島の蕨島(2020年127人/0.87 km2)を見つけましたが、こちらは九州島の人口にも影響があるので、ほかと一緒にまとめなおします。
[109368] 2023年 12月 7日(木)01:19:31【5】訂正年月日
【1】2023年 12月 7日(木)01:25:16
【2】2023年 12月 7日(木)01:41:10
【3】2023年 12月 7日(木)02:01:17
【4】2023年 12月 7日(木)02:26:49
【5】2023年 12月 7日(木)10:29:28
YT さん
『新版 日本の島事典』記載の面積1.00km2未満の有人島の面積
[109367] オーナーグリグリさん

これは私の記述内容の理解不足でした。基本単位区のまとめかたをすべて訂正しました。ご確認をよろしくお願いいたします。

早速の修正ありがとうございました。

この部分以降の内容ですが、検討を少し始めた段階で不安になりました。というのも、更新タイミングは沖縄県を含め面積更新が完了してからになるのではと思ったからです。私の理解が不足しているのかもしれませんが、「新版 日本の島事典」の情報が全国に適用されるまでは説明文の修正が中途半端にならないでしょうか。

すみません。おっしゃる通りです。

なお『新版 日本の島事典』(2022年)の「第III部 島嶼県別統計」から、面積1km2未満の該当する有人島の面積は既にまとめており、以下の通りです。実のところ、松江市の大根島、江島(第III部では湖内の島なので対象外)、対馬市の赤島、泊島(第III部では合算して0.617764 km2)、新上五島町の漁生浦島(第III部では「有福島・日島・漁生浦島」と合算)、豊見城市の瀬長島(なぜかリストから外れていた)などの島の面積の数字も『新版 日本の島事典』の個別の島の項目に掲載されていたことに後から気付きました。よってこれらすべての面積のデータを『新版 日本の島事典』から引用することが可能であり、※2の項目はほぼ完全に必要なくなりましたしたし、個別に黄色い背景をつける必要もないかもしれません。もっとも大根島、江島はそれぞれ面積1km2以上ですが、両者を分割するために国土地理院の面積調の数字を用いていない状態なので、その説明のために※2を使うことはできます。なお現行の表で宮崎県の青島の面積として掲載されている0.86km(背景色がついていない)は海岸延長距離であり、SHIMADAS記載の島面積は0.04 km2です。

(開く)島面積1.00 km2未満の有人島、その他特殊な島の面積の比較(修正の必要がないものも含む)

というわけで、面積だけならすぐにでもすべて修正できるデータがそろっています。

3.『新版 日本の島事典』(2022年)により南城市の奥武島、宮古島市の大神島、竹富町の由布島、鳩間島の面積を修正、面積出典をほぼ削除
例えばこの部分ですが、南城市の奥武島以外は現状でも面積出典の注記はありません(※2は付いていません:表の備考欄の記述)。お手数ですが、後半部分の修正内容について、更新タイミングと内容の確認をお願いいたします。

すみません。面積出典が必要なくなったことを強調するあまり、このような無駄な表現となってしまいました。作業としては、

(1) 上の表をもとに、1.00km2未満の島の面積(江島、赤島、泊島を含む)をまず全て『新版 日本の島事典』に準拠した値に修正する。その際面積の背景色の黄色も消してしまっても良いかもしれない(宮崎県宮崎市の青島は背景色が入っていません)し、※2もほとんど必要なくなり、削除となります。現状からは松江市の大根島、江島のみ※2が残り、「面積出典:新版 日本の島事典 (2022年)」になります。

(2) 以下の面積の記述を変更する(面積の背景色を残すとして)。

6. 面積データ
(1) 1km2以上の島:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調 - 2020年 (令和2年) 10月1日現在
(2) 1km2未満の島:2015年 (平成27年) 基準など人口関連資料などから得られた面積データ(面積数値背景黄色)

6. 面積データ
(1) 1km2以上の島:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調 - 2020年 (令和2年) 10月1日現在
(2) 1km2未満の島:『新版 日本の島事典』(2022年)掲載の面積データ(小数第三位を四捨五入)(面積数値背景黄色)

(3) ※2に関する注記ですが、面積1km2未満の島についてはもともと「2021離島統計年報」からの引用であることが明示されていませんでした。「2021離島統計年報」からの引用をすべて「新版 日本の島事典」からの引用に変え、大根島、江島の面積出典のために※2を使うとして(面積出典:新版 日本の島事典 (2022年))、ほかに対馬(江戸時代、明治時代完成の人工水路で3分割)、赤島・泊島(コンクリートで埋められているので単一の島とみなせるが、離島統計年報では分割)、日振島(人工かどうかわからないが水路で2分割)、前島(昭和完成の人工水路で2分割)、倉橋島と鹿老渡島(人工かどうかわからないが水路で2分割)などの説明に※2は使えるかも知れません。

4. 市区町村欄の注記(マウスオーバー/タップで詳細表示)および 関連情報へのリンク
(1) ※1:人口注記:2020年の人口算出の際に計算に用いた小地域名、大字、町名、字、丁目などを注記
(2) ※2:面積注記:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調以外からの面積の出典を注記
(3) ※参考記事, ※参考Web:注記に関連する落書き帳記事やWebページへのリンク

4. 市区町村欄の注記(マウスオーバー/タップで詳細表示)および 関連情報へのリンク
(1) ※1:人口注記:2020年の人口算出の際に計算に用いた小地域名、大字、町名、字、丁目などを注記
(2) ※2:面積注記:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調(1km2以上)、新版 日本の島事典(2022年)(1km2未満)に該当しない面積の出典を注記
(3) ※参考記事, ※参考Web:注記に関連する落書き帳記事やWebページへのリンク

(4) 人口の記述に文献を追加。現行の状態でも過去の離島統計年報から2015年の国調人口を引用していることが明示されていませんでした。

3. 人口データ
(1) 2021 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2020年 (令和2年) 国勢調査人口
・法律指定外離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(2) ekinenpyouさん[97639]のデータ
(3) 国勢調査の小地域 (基本単位区) の統計地理情報システム ※参照する基本単位区番号は括弧("[ ]")付きの緑字で表示
(4) 一部の島で人口比などによって2020年の人口を推定(4. 市区町村欄の注記 (1) および 5. 人口算出における詳細注記 参照)

3. 人口データ
(1) 2021 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2020年 (令和2年) 国勢調査人口, 4月1日付住基人口
・法律指定外離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(2) 2016 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口, 4月1日付住基人口
(3) 『新版 日本の島事典』(2022年) - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(4) ekinenpyouさん[97639]のデータ
(5) 国勢調査の小地域 (基本単位区) の統計地理情報システム ※参照する基本単位区番号は括弧("[ ]")付きの緑字で表示
(6) 一部の島で人口比などによって2020年の人口を推定(4. 市区町村欄の注記 (1) および 5. 人口算出における詳細注記 参照

(5) [109364]に従い、沖縄県の一部項目を修正

こうすれば、説明文の修正が中途半端にならないはずです。

(3) 琵琶湖に浮かぶ沖島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法等指定離島となっておりリストに含めている。ただし、琵琶湖は本州の面積に含まれており、沖島の人口も本州の人口に含めている。

こちらの修正は後回しです。
[109364] 2023年 12月 6日(水)12:47:16【6】訂正年月日
【1】2023年 12月 6日(水)13:48:55
【2】2023年 12月 6日(水)16:48:10
【3】2023年 12月 6日(水)16:50:15
【4】2023年 12月 7日(木)01:39:54
【5】2023年 12月 7日(木)10:27:26
【6】2023年 12月 7日(木)12:19:19
YT さん
小地域の表記法について、および沖縄県の有人島の情報更新
[109367]の指摘を受け、表の中身を後から修正しています】

[109359] オーナーグリグリさん

注記の表記ルール、注記の記述内容、基本単位区の表記、並記ルール(句点の種別、使い方)など、全面的に表示を確認し記述を改めています。また、データ項目の説明(折りたたみ部分)についても記述内容と体裁を見直しました。お手数ですが、全体に内容を確認していただけると助かります。今回の修正により、編集システムが多少複雑になる可能性が高くなりました(どこまで編集機能を組み込むかなど)。システム開発にはまだ時間がかかりそうなので、お手数ですが必要な修正はこれまで通り書き込みでご提示いただければ、私の方で更新を行います。よろしくお願いいたします。

わざわざありがとうございます。一点気になったのが「基本単位区」を括弧の外に置いている点ですが、こちらは中に入れることはできないでしょうか?階層化している中で基本単位区だけ外側に置かれると違和感があります。例えば

長崎県佐世保市の針尾島の例

佐世保市 (江上町:大島を除く, 指方町, 有福町, 針尾東町, 針尾中町, 針尾西町, 針尾北町, ハウステンボス町:[2230-01020]を除く)

長崎県西海市の南串島の例

西海市 (西海町七釜郷の一部 [0470-55010の一部] [0470-56010の一部])

沖縄県竹富町の小浜島の例

竹富町 (字小浜の一部 [0090-00010の一部] [0090-00020~00082])


またデータ項目の説明ですが、

(3) 琵琶湖に浮かぶ沖島は、国土地理院の規定では島ではないが、法令上離島振興法等指定離島となっておりリストに含めている。ただし、琵琶湖は本州の面積に含まれており、沖島の人口も本州の人口に含めている。

中海の大根島・江島も本州の人口に含めるべきなのですが、こちらは昭和58年に法令指定を解除されています。また将来的に浜名湖の弁天島など、有人の湖水の島も加えたい・・・ということで、以下のような文章に変更することは可能でしょうか?

(3) 琵琶湖の沖島、中海の大根島、江島など湖水の島は、国土地理院の規定では島ではないが、リストに含めている。ただし、琵琶湖や中海は本州の面積に含まれており、沖島、大根島、江島の人口も本州の人口に含めている。

3. 人口データ
(1) 2021 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2020年 (令和2年) 国勢調査人口
・法律指定外離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(2) ekinenpyouさん[97639]のデータ
(3) 国勢調査の小地域 (基本単位区) の統計地理情報システム ※参照する基本単位区番号は括弧("[ ]")付きの緑字で表示
(4) 一部の島で人口比などによって2020年の人口を推定(4. 市区町村欄の注記 (1) および 5. 人口算出における詳細注記 参照)

住民基本台帳人口の参照を示したいので

3. 人口データ
(1) 2021 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2020年 (令和2年) 国勢調査人口, 4月1日付住基人口
・法律指定外離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(2) 2016 離島統計年報 CD-ROM版(公益財団法人 日本離島センター)
・離島振興法等指定離島 - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口, 4月1日付住基人口
(3) 『新版 日本の島事典』(2022年) - 2015年 (平成27年) 国勢調査人口
(4) ekinenpyouさん[97639]のデータ
(5) 国勢調査の小地域 (基本単位区) の統計地理情報システム ※参照する基本単位区番号は括弧("[ ]")付きの緑字で表示
(6) 一部の島で人口比などによって2020年の人口を推定(4. 市区町村欄の注記 (1) および 5. 人口算出における詳細注記 参照)

4. 市区町村欄の注記(マウスオーバー/タップで詳細表示)および 関連情報へのリンク
(1) ※1:人口注記:2020年の人口算出の際に計算に用いた小地域名、大字、町名、字、丁目などを注記
(2) ※2:面積注記:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調以外からの面積の出典を注記
(3) ※参考記事, ※参考Web:注記に関連する落書き帳記事やWebページへのリンク

今後面積注記が必要になるのは、2021離島統計年報を逆に引用することになる中海の大根島、江島だけになるかも知れません。

4. 市区町村欄の注記(マウスオーバー/タップで詳細表示)および 関連情報へのリンク
(1) ※1:人口注記:2020年の人口算出の際に計算に用いた小地域名、大字、町名、字、丁目などを注記
(2) ※2:面積注記:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調(1km2以上)、新版 日本の島事典(2022年)(1km2未満)に該当しない面積の出典を注記
(3) ※参考記事, ※参考Web:注記に関連する落書き帳記事やWebページへのリンク

6. 面積データ
(1) 1km2以上の島:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調 - 2020年 (令和2年) 10月1日現在
(2) 1km2未満の島:2015年 (平成27年) 基準など人口関連資料などから得られた面積データ(面積数値背景黄色)

こちらはほぼ『新版 日本の島事典』(2022)に統一します。背景色を黄色にする必要もないかも知れません。

6. 面積データ
(1) 1km2以上の島:国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調 - 2020年 (令和2年) 10月1日現在
(2) 1km2未満の島:『新版 日本の島事典』(2022年)掲載の面積データ(小数第三位を四捨五入)(面積数値背景黄色)

現在沖縄県分だけ検証済みなので、以下にまとめます。主な変更点としては、

1.名護市奥武島を有人島として追加し、沖縄本島の人口もそれに伴い修正。
2.竹富町の西表島と由布島の2015年国調人口が『新版 日本の島事典』(2022年)に掲載されており、確定値として修正。竹富町の小浜島と嘉弥真島も2015年国調人口が確定値になったが、こちらは数値に修正なし。
3.『新版 日本の島事典』(2022年)により南城市の奥武島、宮古島市の大神島、竹富町の由布島、鳩間島の面積を修正、面積出典(※2)を削除
4.竹富町の小浜島、嘉弥真島の小地域について、「字小浜の一部」と「一部」を追加
5.竹富町の6島の2020年国調人口(および2島の2015年国調人口)は住基人口比で計算していることに変わらないが、備考の内容を整理

(開く)沖縄県の有人島(最新版)

今後、九州、四国、本州、北海道と段階的に有人島情報を見直す予定ですが、こちらの作業は今月一杯かかりそうです。
[109351] 2023年 12月 5日(火)00:52:16【6】訂正年月日
【1】2023年 12月 5日(火)01:10:07
【2】2023年 12月 5日(火)01:17:17
【3】2023年 12月 5日(火)02:01:49
【4】2023年 12月 5日(火)02:50:44
【5】2023年 12月 5日(火)03:03:44
【6】2023年 12月 5日(火)21:20:33
YT さん
有人島編集指針の変更、および面積1.00km2未満の島の面積情報の刷新について
[109350] オーナーグリグリさん

日本の有人島一覧の見直し案をありがとうございました。この案で実際に再編集したサンプルページを作成しました。
日本の有人島一覧(再編集サンプルページ)(並び替えページも表示できます)
[109336]の意向に合っているでしょうか。→ YTさん
小地域区分の表現など確認していただければと思います。
また、郡名、支庁名は省略しても良いと思いますし、基本単位区の表記を緑字にして基本単位区の文字も省略するというのはどうでしょうか。こちらのページに実際に適用してみました。いかがでしょうか。ご確認ご検討をよろしくお願いいたします

わざわざありがとうございます。「基本単位区」の表記を省略する、郡名・支庁名を省略するのも結構だと思います。よって、最後のサンプルのものをベースに修正するのが良いかと思います。

とりあえず、編集可能になった段階で、まず面積情報の全面的見直しをしようかと思います。具体的には[109241]で、

採用する面積の優先順位をまとめると:
1.令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)
2.2021離島統計年報【ただし、1.令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に未掲載なのに1 km2以上の面積が掲載されている場合や、面積情報に矛盾が見られる場合は採用しない。】
3.地方統計書【ただしSHIMADASなど、日本離島センターが提供する面積に依拠する場合は採用しない。】
4.SHIMADAS(2019)
3と4の優先順位を交換した場合、2021離島統計年報に漏れている長崎県と沖縄県の島々の面積が一通り「面積出典:SHIMADAS(2019)」となります。

と書きましたが、これについて

1.令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点) (1.00 km2以上の面積の島)
2.新版 日本の島事典(2022) (小数第三位を四捨五入)(1.00 km2未満の面積の島)
3.その他:2021離島統計年報、SHIMADAS(2019)など

に変更したいと思います。というのは、長嶋俊介、渡辺幸重著『新版 日本の島事典』(2022)が採用している面積がそれなりに信用できそうだからです。

まず、現行の国土地理院の面積の測定方法は、令和5年全国都道府県市区町村別面積調(7月1日時点)から該当箇所を抜粋すると

1.面積の測定方法
令和 5 年面積調(7 月 1 日時点)は、基準日時点の電子国土基本図(地図情報)(以下「基本図」という。)における海岸線と市区町村等の境界(以下「行政界」という。)で囲まれた地域を対象に面積を測定した。基本図における海岸線は、満潮時の水涯線を表し、河川及び湖沼は陸域に含めている。河川の河口については、海岸線の自然な形状に従って河口両岸の先端を結んで陸海の境とした。
面積測定は、基本図の海岸線と地図情報レベル 25000 の行政界で囲まれたポリゴンにおける各頂点の経緯度座標について、2 本の標準緯線を北緯 33°及び北緯 44°、中央経線を東経 135°とするアルベルス正積円錐図法で、測地基準系 1980(GRS80)楕円体から平面に投影した後、ポリゴン毎の面積を算出した。
(中略)
2.面積の公表値
令和 5 年面積(7 月 1 日時点)は、上記の測定方法により、行政区画を構成するポリゴンの面積を平方キロメートル単位で集計した後、小数第二位(小数第三位を四捨五入)で表示した。
なお、面積は公表する単位ごとに四捨五入しているため、各市区町村の面積の合計が各都道府県及び全国などの面積と一致しない場合がある。

平成22年(2010年)の国勢調査までは、市区町村別面積の合計がたえず上位区分(全国都道府県)と等しいという、ある意味不自然な状態となっていましたが、平成27年(2015年)の国勢調査以降は、数字が必ずしも一致しなくなるようになりました。具体的には国土地理院が2015年3月6日(金)14時00分に発表した平成26年全国都道府県市区町村別の面積を公表により、これまでの面積算出方法が変更されました。

平成25年までの全国都道府県市区町村別の面積については、主に2万5千分1地形図に基づく面積を公表していましたが、計測の基礎となる地図を電子国土基本図に切り替えたことで面積の精度が向上しました。この結果、平成26年10月1日時点の国土の面積は、377,972.28km2でした。
平成25年までは、昭和63年に2万5千分1地形図からデジタイザにより計測した面積を基に、各年に告示された埋め立て面積等を加算して求めていました。この方法では、現在の技術よりも計測の誤差があることや、海岸線の自然変化等が十分反映できないといった課題がありました。
そのため、平成26年の面積から、最新のデジタル地図(電子国土基本図)により計測することとしました。具体的には、電子国土基本図の座標値を直接計算に用いることで、2万5千分1地形図からのデジタイザ計測に基づく面積よりも、高精度な面積を算出することが可能になりました。
また、侵食や堆積など自然変化を反映した最新の海岸線のデータを用いることで、より現況に即した面積を計測することができるようになりました。
この計測方法の変更と計測の基礎となる地図の切り替えによって、平成26年の国土面積は、平成25年の377,961.73km2から377,972.28km2に変わり、多くの市区町村や都道府県においても面積が変わりました。

よって、平成26年より前の地方統計書記載の島面積は、現行の方法とは異なる古い方法で算出した結果、あるいはそれぞれが独自に算出した結果ということになります。

一つ問題となるのが、国土地理院が公表する島の面積は、面積1.00 km2以上の島のみで、面積1.00 km2未満の島は公表されていません。これに関連して『2021年離島統計年報』の場合は、

3. 人口並びに世帯数は,令和2年国勢調査に基づく,確定数である。
4. 面積は,国土交通省国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調(平成27年10月1日)等に
基づく数値である。

とあります。しかしながら『2021年離島統計年報』が採用する岡山県の大飛島(1.05 km2)、六島(1.02 km2)、大分県の深島(1.10 km2)などは、全国都道府県市区町村別面積調(平成27年10月1日)に記載はなく、結局のところ全国都道府県市区町村別面積調に掲載の面積1 km2以上の島については面積の情報を更新しているもものの、国土地理院が公表していない面積1.00 km2未満の島については、引用元も不明ですが、昔の算定結果をそのまま継続して採用していることが示唆されます。同様のことがSHIMADASにもみられます。

一方『新版 日本の島事典』(2022)によると

【面積】km2【海岸線】km【標高】m
国土数値情報によるが、記載のないものについても読者利益を図るために国土地理院の『地理院地図』(https://maps.gsi.go.jp)のデータツール機能を用いて、概要を仮測定している。それえも不明な場合は低島または「―」記載にした。海岸線長は島が島である基本情報であり、海から受ける影響度・利用・海との相互作用的近接性の指標そのものである。公的島基準もその長さで線引きしてきた。高島は目印や生態系多様性に関わり、また低島であっても領海・EEZ基点でや渚生物の生態系環境保全上重要な干潟等であったりす。そこで可能な限り、それらのデータを洗い出した。

実際に令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)と『新版 日本の島事典』(2022)とで、全国で一番島数の多い長崎県の島の面積を比較してみたところ・・・国土地理院の方では有福島と日島を別の島として扱っている、日本の島事典の方では対馬を大船越瀬戸と万関瀬戸の2つの運河で三分割している、という違いはあるものの、有福島・日島・漁生浦島(漁生浦島の面積が1.00 km2未満なのでデータがないため合算の比較的ができない)を除く46島中、0.01 km2の差が出たのは5島(福江島、平戸島、宇久島、大島、鳥山島)のみです。さらに平成29年全国都道府県市区町村別面積調と比較したところ、すべての島で面積が一致しました。

(開く)長崎県面積1.00km2以上の島の面積比較

ただし、長崎県の場合は平成29年(2017年)で全部一致しましたが、他の都道府県では平成30年全国都道府県市区町村別面積調令和元年全国都道府県市区町村別面積調(7月1日時点)で面積が一致する場合もあり、よって『新版 日本の島事典』が収録した面積は平成30年(2018年)前後、平成29年(2017年)~平成31年(2019年)の間に随時算出したものと考えられます。

改めて、平成30年全国都道府県市区町村別面積調と±0.01 km2以上の差があった島を以下にまとめます。北海道、本州、四国、九州、沖縄島を除く面積1.00 km2の333島の内、北海道の奥尻島(令和元年7月1日付だと誤差なくなる)と長崎県の島山島(平成29年付だと誤差なくなる)の2島は±0.01 km2の誤差しかありません。また摩周湖の中島、洞爺湖の中島、琵琶湖の沖島、中海の大根島・江島は海島ではないので、『新版 日本の島事典』に記載がありません。岡山県の長島、広島県の倉橋島、愛媛県の日振島、長崎県の対馬は日本の『新版 日本の島事典』では分割されていて合算値は等しくなります。徳島県の大毛島・高島だけは、平成30年全国都道府県市区町村別面積調の合算値よりも『新版 日本の島事典』の数値の方が0.42 km2多くなっています。この差は、鯔越樋門などに囲まれた内海の面積を島面積に加算したかどうかで説明がつく範囲だと思われます。

島名都道府県市区町村面積1(km2)
(国土地理院)
(2018.10.1)
面積2(km2)
(日本の島事典)
備考
奥尻島北海道奥尻町142.69142.7032682019.7.1付だと面積一致
中島北海道弟子屈町5.81摩周湖内であり日本の島事典には記載なし
中島北海道壮瞥町
洞爺湖町
4.84洞爺湖内であり日本の島事典には記載なし
沖島滋賀県近江八幡市1.51琵琶湖内であり日本の島事典には記載なし
大根島・江島島根県松江市6.74中海内であり日本の島事典には記載なし
長島岡山県瀬戸内市3.513.514578合算値(日本の島事典)
(長島)岡山県瀬戸内市1.760712
(長島)岡山県瀬戸内市1.744866
倉橋島広島県呉市69.4669.456125合算値(日本の島事典)
(倉橋島)広島県呉市68.548854
(倉橋島)鹿老渡島広島県呉市0.907271
(大毛島・高島)徳島県鳴門市9.9410.358107合算値(国土地理院)
大毛島徳島県鳴門市7.31
高島徳島県鳴門市2.63
日振島愛媛県宇和島市3.743.737584合算値(日本の島事典)
(日振島)愛媛県宇和島市2.318971
(日振島)愛媛県宇和島市1.418613
対馬長崎県対馬市695.74695.735755合算値(日本の島事典)
(対馬)対馬下島長崎県対馬市441.007040
(対馬)対馬上島長崎県対馬市247.010125
(対馬)長崎県対馬市7.718590
島山島長崎県五島市5.505.5050802017.10.1付だと面積一致
(有福島・日島・漁生浦島)長崎県新上五島町4.850641漁生浦島の面積が0.51 km2だと一致
有福島長崎県新上五島町2.97
日島長崎県新上五島町1.37

現在問題ありとして2021離島統計年報などの面積を採用しなかった島の面積をまとめると以下の通りとなります。残念ながら唯一瀬長島のみ、『新版 日本の島事典』に面積の情報がありませんでした。

(開く)現状SHIMADAS、過去の地方統計書などの文献を引用している有人島面積の比較

以上より、『新版 日本の島事典』収録の面積はかなり正確であり、面積1.00 km2未満の島については『新版 日本の島事典』の面積を使うべきであると判断するに至りました。現状の表では面積1.00 km2未満の島の面積は手付かずであり、これらをすべて『新版 日本の島事典』ベースに変更しようと思います。

ただ編集をする前の段階で、いくつかの島の分割情報をどうするのか・・・という問題にまだ結論が出ていません。『新版 日本の島事典』では対馬、日振島、倉橋島、長島の4つの島が分割されています。このうち対馬については水路が江戸時代と明治時代に作られた人工的なものであり、3分割しないということで良いと思いますし(そういえば上島、下島に挟まれた第三の対馬(美津島町大船越の一部(0510-00020~00040)・緒方・久須保の一部(0530-00010))はなんと呼ぶべきなのでしょうか?)、南北の日振島(日振島の一部(0840-00020~00040)・日振島の一部(0840-00050~00090))、東西の長島(邑久町虫明の一部(0860-96010~97022・0860-98010の一部)・邑久町虫明の一部(0860-98010の一部・0860-99020))はそれぞれの島の呼称が存在しないこと、特に長島は小地域統計的に人口分割が無理なことなどから、一体として扱ったままで良いとは思いますが、ここに来て倉橋島と鹿老渡島の分割問題が再度浮上しました([109321][109261][24417]参照)。この水路が本当に人工的に掘られたものなのかどうか、仮に人工的に掘ったものだとしても一度埋まったものを再度掘りなおしたものなのか、その辺の詳しい歴史的背景も分かりません。現にこのように鹿老渡島を別個の島と見做して集計している文献が存在することが分かりました。

どさくさに紛れて最近[109321]で島リストに追加した佐賀県の竹崎島、そして今悩んでいる横浜の野島([109336] 参照)と、この鹿老渡島、どれも過去にオーナーグリグリさんが[85771][82781]で問題提起されていました。

竹崎島に関連する記事集
鹿老渡に関連する記事集

【追記】対馬は日本本土に近い方を「上島」、遠い方を「下島」と呼ぶものと思っていましたが(地名における「上」と「下」参照)、既に『角川日本地名大辞典』では北側:対馬上島、南側:対馬下島と、上県郡、下県郡に対応するものとして使用しているので(『日本歴史地名体系』では上島、下島の呼称を避けている)、よって上の表中の呼称も修正しました。また上で一部の島の面積について、「日本の島事典には記載なし」と書いてしまいましたが、私の『新版 日本の島事典』の読み込みが足りていなかったことに今更ながら気づきました。ここでまとめた小数点以下6桁の面積の情報は、「【第三部】県別データ編」の表から持ってきた数値ですが、事典の本編ともいうべき「【第一部】解説編」の方には、中島(摩周湖)、中島(洞爺湖)、沖島、大根島、江島、瀬長島の項目が存在し、面積の数値も示されていました。ただ、「【第三部】県別データ編」の方が信頼性の高い、新しい手法で算出された面積であり、「【第一部】解説編」の面積は、SHIMADASなどと同じく、古い手法で算出した面積、あるいはその引用という違いがありそうです。
[109336] 2023年 11月 30日(木)16:04:42【5】訂正年月日
【1】2023年 11月 30日(木)16:15:58
【2】2023年 11月 30日(木)16:44:44
【3】2023年 11月 30日(木)16:52:19
【4】2023年 11月 30日(木)18:25:40
【5】2023年 11月 30日(木)19:40:57
YT さん
重要な参考文献『新版 日本の島事典』、中海の大根島・江島の扱い、様々な追加修正点の存在について
[109326] オーナーグリグリさん

なお、現在のページ構成の改善点があればご提案ください。備考情報の具体化、人口年追加など、表の横幅の制限はありますが、注記のポップアップや項目の開閉などの機能も組み込めると思いますので、何かご要望があればおっしゃってみてください。

表の項目の内、現状では「地域名」の編集方針が定まっていないので、削除してしまっても構わないかも知れません。それよりも、市区町村の「※注」の方の内容をすべて後から検証できるように具体的な範囲が分かるよう拡充し(要するに[109252]の表の「市区町村(小地域区分)」の項目の内容で、入力作業は自分でもできます)、推計人口の算出や面積の出典等の情報に関しては、「島名」の項目(または「備考」という別項目を作って)に別の「※注」を放り込んだ方が良いかも知れません。


それはさておき、今になって長嶋俊介、渡辺幸重著『新版 日本の島事典』(2022年出版)という重要な参考文献が存在することを見落としていたことに気付きました。本書を閲覧した結果、結構細かい追加修正が必要なことが分かりました。


まず、国土地理院が日本の島の数を14,125と数えて発表したのは、2023年2月28日14時00分のことで、かなり最近のことです。国土地理院の日本の島の数によると、滋賀県が0となっているので、琵琶湖の沖島は含まれていません。また長崎空港は島と見做されるが、横浜市の八景島は独立した島と見做されていません(本当はそれよりも左下に少し見えている「野島」がどいう扱いになっているのかが知りたいのですが・・・)。ただ、肝心の島のリストは公表されていないようです。まあまもなく始まる基盤地図情報(数値標高モデル)1mメッシュ(標高)の提供開始にわくわくしている人もいるかも知れませんが。その際に島区分みたいなのが公表されるのでしょうか?

そして今週になって自分が新たに存在することに気付いた重要な文献、長嶋俊介、渡辺幸重著『新版 日本の島事典』(2022年出版)ですが、定価7万円とちょっとお高いので、図書館で閲覧しました。こちらの本は別の記事でも紹介されていますが、日本の島の数を15,528島とカウントしています。

答えは6852島(本州など5島を引いて6847島)。1987年、海上保安庁が最大縮尺海図と陸図(縮尺1 / 2.5万)を用いて満潮高水位1㍍・周囲100㍍以上を基準にカウントしたこの数字がこれまで、「日本の島の数」として公式発表されてきた。だが近年、EEZの基点としての離島の重要性が従来に増して高まるなか、島研究者からはこの数に関して疑問の声が上がっている。中国の強引な海洋進出などを受け、日本政府は2010年頃から国境無人離島の振興と保護・保全に積極的に動きはじめ、日本がそれらの島を領有していることを国際社会に明示するための第一歩として「名称付与」に乗り出した。そのなかで、これまで「岩」「瀬」「礁」などと呼ばれてきたものが数多く「島」とみなされることになったのだ。にもかかわらず、公式発表されている島数は依然として6852島のまま。もっとあるはずだ。調べてみると、満潮時にも水面上にある日本の「島」の数はナント1万5528島。まさに大小無数の島から成る島嶼国家、この新事実を見出したのは日本島嶼学会参与の長嶋俊介氏と屋久島(鹿児島県)生まれのジャーナリストである渡辺幸重氏、そして全国の島研究者たち。その成果が今年12月2日発行の『新版日本の島事典』(発行:三交社)に集大成されている。この出版を機に島嶼国家・日本の輪郭を明らかにしていくべきではないか。

ritokeiこと離島経済新聞でも2022年10月21年付けでこの本が紹介されていました。

おそらく国土地理院の2023年2月の島の集計のやり直しは、この本が2022年末に出版されたからだと思います。両者で微妙に数字が異なり、『新版 日本の島事典』の数字は決して公的機関の数字ではありあませんが、『新版 日本の島事典』は現時点で入手可能な最新の文献であり、SHIMADASよりもデータが更新されているであろう『新版 日本の島事典』の情報をもとに、改めて検証が必要と考えました。

で、閲覧した結果、こちらの本では本サイトで後から追加した島、例えば佐賀県藤津郡太良町の竹崎島([109321]参照)、宮崎県宮崎市の青島([109233]参照)などを自然島として扱っていました。残念ながら人口は2015年国勢調査ベースなので、結局国勢調査報告書に立ち返って人口を検証する必要があります。

また、自分にとって目から鱗であったのが、滋賀県琵琶湖の沖島のみならず、島根県中海の大根島、江島を島として扱っていなかったことです。そうです。国土地理院は中海を湖として扱ってリストアップしている以上、大根島、江島も国土地理院の定義では独立した島ではなく、本州の一部であるはずなのです。この辺、国土地理院公表の面積調でも沖島、大根島・江島の島面積がリストされている時点で色々矛盾・混乱がありますが、少なくとも沖島、大根島、江島の有人島としての人口の情報は残すとしても、本州の人口・面積の一部として含まれているという扱いにするのが正しいことになります(現行の表では沖島だけ含んでいる)。

ただそれ以外にも『新版 日本の島事典』の方で独立した自然島として扱っている有人島が色々見つかりました。例えば横浜市金沢区の野島は、SHIMADASによると、もともと本土と砂洲で繋がっていたが、水路を後から掘ったとの記述がありましたが、『新版 日本の島事典』では独立した島として扱かっています(2020年国勢調査人口2,446人)。また島根県浜田市の瀬戸ヶ島(2020年国勢調査人口198人)、広島県南区の宇品島(2020年国勢調査人口1,801人)などが有人島として追加で扱われていました。さらに陸繋島の情報を色々調べたところ、沖縄県名護市の奥武島(奥武島はほかにもありますが、これは屋我地島と沖縄本土を結ぶ島)が国勢調査で有人(2020年国勢調査人口29人)であること、熊本県の天草上島と上天草市の桶島を結ぶ椚島が国勢調査で有人(2020年国勢調査人口3人)であること、熊本県天草市の前島(御所浦島の陸繋島)が、SHIMADASによると2019年8月31日住基人口2人で有人であること(基本単位区では分離不能)、長崎県五島市の前小島(福江島の陸繋島)が、SHIMADASによると2015年2月10日住基人口8人で有人であること(基本単位区では分離不能)等々、色々要修正点が見つかりました。現時点で陸繋島のどこまでを島とみなすかは、結局のところ恣意的なものに感じます。将来的に国土地理院が「島」のリストを公表してくれれば、それに準拠するべきだと思いますが、現状ではSHIMADAS(2019年)、新版 日本の島事典(2022年)、離島統計年報、ritokeiなどを参考文献に挙げ、その上で明白にコンクリート等で水路を埋め立ててしまっているケース(北海道檜山郡江差町の鴎島([109233]参照)など)を除き、独立した島として見做すぐらいに落とし込むしかないと思います。

以上のほか、2020年国勢調査人口として福岡園福岡市西区の能古島(661人)が間違っていました(誤って「合算地域あり」の2人多い数字を用いてしまった)。またritokeiの情報により長崎県西彼杵郡時津町の前島(2020年国勢調査人口5人)、長崎県諫早市の鹿島(2020年国勢調査人口7人)の人口が確定し、長崎県西海市の南串島(2020年9月30日住基人口87人)と竹ノ島(2020年9月30日住基人口3人)の推計人口やリ直しのための情報が揃いました。

というわけで10島を超える島について、追加・要修正点が見つかりましたが、まだ全国をチェックし終わっていないし、これを整理するのにも時間がかかりますので、しばらくお待ちください。
[109325] 2023年 11月 27日(月)00:32:31【4】訂正年月日
【1】2023年 11月 27日(月)09:53:40
【2】2023年 11月 27日(月)11:46:20
【3】2023年 11月 28日(火)04:17:03
【4】2023年 11月 28日(火)04:20:51
YT さん
有人島の数の検証追記、徳島県の小勝島、静岡県の弁天島
[109322] オーナー グリグリさん

同意していただけるのであれば、編集システムの作成に取り掛かります。ご検討をよろしくお願いいたします。

おそらく今後も細かい修正があるかと思いますので、ご協力させていただきます。

[109323] オーナー グリグリさん

こちらの情報について日本の有人島一覧に追加更新しました。ご確認ください。よろしくお願いいたします。

ありがとうございます。

【有人島の数の検証の続き】

前回 [109321]で、

よって国土地理院の数(416島+5島=421島)と比べると、1島だけ余計にリストアップしてしまっていることになります。これが何か・・・と問われると、おそらくritokeiの有人離島一覧に唯一掲載されていなかった島、宮崎県宮崎市の青島([109233]参照)のことだと思われます

と、不正確なことを書いてしました。正確には、ritokeiの有人離島一覧に掲載されていない島としては、広島県大竹市の猪子島、山口県周南市の黒髪島・仙島、徳島県鳴門市の高島、宮崎県宮崎市の青島、島尻郡渡嘉敷村のナガンヌ島が該当します。このほか沖縄県八重山郡竹富町の外離島は2015年以降無人しており([109309]参照)、逆に[109313] で削除しています。ナガンヌ島は国勢調査・住民基本台帳人口ともに2020年には無人化、猪子島は離島統計年報では阿多田島の陸繋島扱いしているので、残るは高島、青島、および[109321]の計算ではじめから除外していた黒髪島・仙島です(とはいえ22021離島統計年報の方では『〔附表〕法律指定外離島の概要』に、国勢調査人口では2020年に無人化している中ノ島、黒島、黄島と共に収録されている([109309] [19314]参照))。というわけで、青島と高島の2つの島が、余計に追加してしまった島ということになりますが、そうなると国土地理院の数字の方が逆に1島多くなってしまいます。

結局のところ根拠はないのですが、2020年の国勢調査上では無人化していることになっている中ノ島にはがっつりホテル従業員がいるはずであるので、これを島としてカウントしているのではないのでしょうか?

ところでwikipediaのTemplate:日本の指定離島で、「指定外の有人島」の「架橋により本土・沖縄本島と陸続となった有人島」の内、神奈川県横須賀市の天神島、静岡県浜松市西区・湖西市の弁天島、徳島県阿南市の小勝島、佐賀県藤津郡太良町の竹崎島などについてこれまで調べていなかったことに気付きました。

今回[109321]で検証した天神島、竹崎島以外の2島(徳島県の小勝島、静岡県の弁天島)についての追加情報をまとめます。

【小勝島】

令和2年国勢調査基本単位区境界データでは、該当する島は徳島県阿南市橘町袴傍示の一部(基本単位区0090-00470の一部)であり、陸地側の人口・面積を含んでしまっているため、役にたちません。ただSHIMADAS(2019)によると、小勝島は「橘湾最大の無人島」で、こちらは有人島の可能性としては無視してよさそうです。小勝島は戦時中に日本海軍の特攻隊専用の飛行場が作られた歴史を持つ島で、戦後しばらくして無人化し、今では島内には火力発電所などの工場があります。よって昼間人口は無人ではないでしょうし、夜勤もありえるという意味では無人ではありませんが(国勢調査当初用いられた「現在人口」であれば有人)、道で外と繋がっているので従業員も島の外から車で容易に通えるので、そこに今なお人が居住している可能性はゼロです。

都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
島面積
(km2)
備考
徳島県阿南市
(橘町袴傍示の一部(基本単位区0090-00470の一部)
1720240.57面積出典:SHIMADAS(2019)、なお左記の人口は四国本土側(袴傍示地区)の人口で、小勝島自体は常住人口0と推測される

【弁天島】

ここは戦国時代の大地震の津波の影響で、浜名湖が汽水湖になった際に出来た島といわれています。湖の中の島、というか中州です。また近世以降度重なる埋め立てにより人工島化しており、国土地理院の定義する島から逸脱するものですが、一応データをまとめます。

まず弁天島は単独の島ではありません。

弁天島(浜松市西区):JR弁天島駅が存在する、元来メインとなる島です。
日出島(西野島浦)(浜松市西区):弁天島の北西側にある島です。
蓬莱園(浜松市西区):弁天島の北東側に昭和7年に築かれた人工島で、日出島(西野島浦)とは水路を隔てています。
千鳥園(浜松市西区):日出島と蓬莱園の北側に昭和7年に築かれた人工島です。
渚園(浜松市西区):観月園のさらに北側に昭和22年に、当初は塩田として築かれた人工島です。
新弁天(湖西市):弁天島の西側の島です。
乙女園(浜松市西区):新弁天の北側に昭和7年に築かれた人工島です。なお新弁天と乙女園は元は分離していましたが、現在では両者は完全に埋め立てられて同一の島です、以下の表ではそれでもあえて分けて集計します。
観月園(浜松市西区):乙女園の北側に昭和7年に築かれた人工島です。
中ノ島(湖島)(浜松市西区):千鳥園、観月園をつなぐ小さな人工島ですが(ホテルなどが存在)、国勢調査の基本単位区としては、千鳥園の一部を組み込んでしまっていて分離できないので、以下の表では十鳥園とまとめて掲載します。

以下に弁天島の構成島の情報をまとめます(ただし新弁天と乙女園は現在では埋め立てられていて同一の島となっている)。なお面積の情報は、令和2年国勢調査基本単位区境界データによりますが、一部境界データは湖水面を含んでおり、実際の島の面積はこれよりもやや小さいものとなります。弁天島の総面積自体を色々調べましたが、SHIMADASにも載っていません。島の散歩では3 km2となっていますが、これも令和2年国勢調査基本単位区境界データと比べると過大な数字であるということになります。令和2年国勢調査基本単位区境界データだと弁天島の面積は1.50 km2ですが、これには各島同士の間の水路のほか、弁天島東側の水路の半分も含んでおり、目測ですが、おそらく実際の弁天島の陸地面積は合計で1.2 km2前後になると思います。【追記:浜松市の統計情報の町・字別面積(平成22年3月16日公表版)によると浜松市内の弁天島が0.8330 km2で、これに湖西市新弁天の令和2年国勢調査基本単位区境界データ(こちらは面積に湖面を含んでいない)の0.190774106 km2を合算すると合計1.02 km2となります。】また市区名、大字・町名、字・丁目名、基本単位区番号はあくまでも令和2年国勢調査で用いられているものです。

島名市区名大字・町名字・丁目名基本単位区番号人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
弁天島浜松市西区舞阪町弁天島一弁0370-05130~051704534394630.141633836
日出島浜松市西区舞阪町弁天島一弁0370-05050~051106155866300.195860712
蓬莱園浜松市西区舞阪町弁天島一弁0370-05010~05040,
0370-05120
2192322690.147917282
千鳥園
(中ノ島を含む)
浜松市西区舞阪町弁天島ニ弁0370-06060~061305415846430.160931594
渚園浜松市西区舞阪町弁天島ニ弁0370-060500000.321147533
観月園浜松市西区舞阪町弁天島ニ弁0370-06010~060405375514920.102079301
乙女園浜松市西区舞阪町弁天島ニ弁0370-06140~061825345666100.239746578
新弁天湖西市新居町新居新弁天0410-16010~160301181091250.190774106
弁天島総計3,0173,0673,2321.500090942

というわけで、今回は特に人口等の修正はありません。
[109321] 2023年 11月 25日(土)12:47:22【2】訂正年月日
【1】2023年 11月 25日(土)12:52:52
【2】2023年 11月 25日(土)15:27:05
YT さん
有人島の数の検証、竹ケ島(徳島県)の人口の訂正、天神島(神奈川県)、竹崎島(佐賀県)の追加
[109317] オーナーグリグリさん

有人島一覧はこの辺りでひと段落ということにしましょうか。また、新しい情報が見つかれば更新します。では、今後ともよろしくお願いいたします。

すみません。早速ですが、追加情報と訂正情報があります。

まず、有人島の数の検証ですが、国土交通省の資料『日本の島嶼の構成』によると、

我が国は14,125の島嶼により構成され、本州、北海道、四国、九州、沖縄本島を除く14,120島が離島。このうち、離島振興法による離島振興対策実施地域に含まれる有人離島は256島。

とあり、図による解説が載っています。すなわち

階層島数
全島嶼14,125
A.本州、北海道、四国、九州、及び沖縄本島5
B.離島14,120
B.1 有人島※416
B.1.1 法対象305
B.1.1.1 離島振興法(昭和28年制定)256
B.1.1.2 他の法律49
B.1.1.2.1 沖縄振興特措法(平成14年制定)37
B.1.1.2.2 奄美群島振興開発特措法(昭和29年制定)8
B.1.1.2.3 小笠原諸島振興開発特措法(昭和44年制定)4
B.1.2 法対象外111
B.2 無人島13,705
※令和2年国勢調査結果に基づく有人離島の数を都道県に聞き取り、内水面離島である沖島(滋賀県)を含む。

すなわち、本州、北海道、四国、九州、及び沖縄本島を含め、令和2年国勢調査時には421の有人島が存在することになります。こちらとほぼ同じ内容が公益財団法人日本離島センターでも紹介されています。

現在本サイトの日本の有人島一覧の方では、2020年国勢調査時に1人以上の常住人口が存在する有人島は、熊本県上天草市の大矢野島と分離できなかった野牛島を含めて419島が登録されています。一方『2021離島統計年報』によると、[109309]で紹介したように、愛媛県今治市の比岐島、宮崎県日南市の大島、沖縄県島尻郡渡嘉敷村の前島の3島は、「令和2年国調では無人島であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳では住民登録があったため,有人島とした」とあるので、これら3つの島を有人島としてカウントすると、合計で422島が登録されていることになります。

よって国土地理院の数(416島+5島=421島)と比べると、1島だけ余計にリストアップしてしまっていることになります。これが何か・・・と問われると、おそらくritokeiの有人離島一覧に唯一掲載されていなかった島、宮崎県宮崎市の青島([109233]参照)のことだと思われます。

ところでwikipediaのTemplate:日本の指定離島で、「指定外の有人島」の「架橋により本土・沖縄本島と陸続となった有人島」の内、神奈川県横須賀市の天神島、静岡県浜松市西区・湖西市の弁天島、徳島県阿南市の小勝島、佐賀県藤津郡太良町の竹崎島などについてこれまで調べていなかったことに気付きました。そこで調べたところ、少なくとも宮崎県宮崎市の青島を有人島として登録する限りは、神奈川県横須賀市の天神島、佐賀県藤津郡太良町の竹崎島の2島についても、追加で有人島として登録するべきではないかと考えるに至りました。さらにその面積を検証する過程で、徳島県海部郡海陽町の竹ケ島の人口に間違いがあった(四国本土側の人口を含んでいた)ことも判明しました。

以下要追加・要修正と現時点で考えている情報です。

島名都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
**天神島神奈川県横須賀市
(佐島三丁目の一部(基本単位区0990-03070))
81080.05面積出典:令和2年国勢調査基本単位区境界データ
**竹ケ島徳島県海部郡海陽町
(大字宍喰浦字竹ケ島の一部(基本単位区0220-00260の一部))
1351521730.402020年・2015年・2010年の人口は海部郡海陽町宍喰地区の人口(2020年2,430人・2015年2,737人・2010年3,109人)と住基人口比により推定、住基人口(2020年9月30日140人、宍戸地区推定2,513人)、面積出典:徳島県統計書(H17)
**竹崎島佐賀県藤津郡太良町
(竹崎)
5085516800.56面積出典:SHIMADAS(2019)

上の修正・追加に伴い、本州、四国、九州の人口も変わります。

島名都道府県人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
***本州1都2府31県102,577,812102,978,562103,498,671227,939.72滋賀県近江八幡市の沖島を含む
***四国4県3,627,3623,769,0853,892,89718,297.37竹ヶ島(徳島県海部郡海陽町)・中ノ島・戸島(高知県須崎市)の人口推定処理の影響あり
***九州7県12,346,48312,546,12212,692,79236,782.38南串島・竹ノ島(長崎県西海市)・鹿島(長崎県諫早市)・前島(長崎県西彼杵郡時津町)の人口推定処理の影響あり

以下それぞれの島の追記事項です。

【竹崎島】佐賀県藤津郡太良町にあり、SHIMADAS(2019)によると、「対岸とほぼ接しているため、陸繋島と見なされることもある」そうですが、少なくとも砂洲でつながっているようには見えません。宮崎県の青島を独立した島とみなすのであれば、ここも独立した島とみなすべきでしょう。

【天神島】天神島は昭和40年に神奈川県の名勝・天然記念物指定を受けた島で、長さ5~6メートルの天神橋で本土と結ばれています。ここも自然島です。SHIMADAS(2019)によると周囲1kmですが、面積の情報はありません。島の散歩というサイトによると面積は0.01 km2ですが・・・周囲1キロの円であれば面積は0.08 km2 (≒π*(1/2π)^2)、正方形であれば面積は0.06 km2(≒1/16)になるはずであり、0.01 km2は狭すぎます。そこで今回は令和2年国勢調査基本単位区境界データのAREA(面積)の情報を引用しました。

実は横須賀市基本単位区0990-03070は、天神島のみならず笠島などを含みますが、この内笠島に関してはSHIMADASによると「上陸不可」とあるので、事実上天神島にのみ人口が住んでいます。令和2年国勢調査基本単位区境界データでは、横須賀市基本単位区0990-03070に関しては天神島、笠島、笠島北西側の小さい岩礁の3つの閉じた境界データが含まれており、AREA(面積)の内容は、それぞれ50696.505 m2、24945,415 m2、1322.228 m2となっています。ここから天神島の面積を0.05 km2としました。

なお、国勢調査の基本単位区境界データの面積の情報があるのなら、他の面積不詳の島も同様の手法で情報が得られるのでは?と思われるかも知れませんが、天神島の場合は境域が島の輪郭に近く設定されていただけであり、笠島の場合は南に2割ほど海域を余計に含んでいるようにみえるなど、しばしば基本区境界データは海域などを境域に含んでいるため、簡単には使用できず、極力国勢調査基本単位区境界データを面積のソースとしての使用は避けたい事情があります。

そこで他の関連する島々の面積を令和2年国勢調査基本単位区境界データで算出してみると以下の通りでした。

島名都道府県市区町村
(小地域区分)
面積1
(km2)
面積1出典面積2
(km2)
面積2出典備考
**粭島山口県周南市
((大字粭島(基本単位区1020-00010~00040))
0.50山口県統計年鑑(H19)0.440070788令和2年国勢調査
基本単位区境界データ
これに関しては令和2年国勢調査基本単位区境界データ(0.44 km2)を採用しても問題ないかも知れない。
**竹ケ島徳島県海部郡海陽町
((大字宍喰浦字竹ケ島の一部(基本単位区0220-00260の一部))
0.40徳島県統計書(H17)1.573021489令和2年国勢調査
基本単位区境界データ
令和2年国勢調査基本単位区境界データの面積は本土側(金目地区、古目地区など)の面積を含んでおり、実際の中ノ島の面積は、全体の1/3程度(0.5 km2前後)か?
*中ノ島高知県須崎市
((大谷の一部(基本単位区0350-00080の一部))
0.18高知県統計書(S61)0.452003404令和2年国勢調査
基本単位区境界データ
令和2年国勢調査
基本単位区境界データの面積は本土側(白浜地区、蜂ヶ尻地区など)の面積を含んでおり、実際の中ノ島の面積は、全体の1/3~1/4程度(0.11 km2前後)か?
*戸島高知県須崎市
((大谷の一部(基本単位区0350-00080の一部))
0.37高知県統計書(S61)0.26333293令和2年国勢調査
基本単位区境界データ
これに関しては令和2年国勢調査基本単位区境界データ(0.26 km2)を採用しても問題ないかも知れない。

粭島の面積は、閉鎖されたしまっぷ統合版(0.43 km2)とほぼ同じであり、もとも下一桁(0.5 km2)の数字しかなかった山口県統計年鑑よりも引用元として最適かも知れません。一方で、竹ケ島、中ノ島は、本土側の陸地を含んだ情報となっており、引用できません。中ノ島の面積の引用として高知県統計書を採用する限りは、戸島の面積の引用も高知県統計書を用いた方が良いでしょう。

【竹ケ島】さて、この面積の検証の過程でなんと徳島県海部郡海陽町の竹ヶ島の人口に問題があることが分かりました。海部郡海陽町の基本単位区0220-00260に字竹ケ島が与えられていたこと、SHIMADASなどでも字竹ケ島の人口が採用されていたこと(2015年214人)から、勝手に字竹ケ島=竹ケ島と判断しておりましたが、実際には四国本土側の金目地区、古目地区などにも集落がありました。

改めて国勢調査人口の変遷を見ると以下の通りです。ここに登場する字竹ケ島は、本土側を含んだ数字です。

地区人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
人口
(2005年)
人口
(2000年)
海部郡海陽町8,3589,28310,44611,50712,104
旧宍喰町2,4302,7373,1093,3763,553
字竹ケ島201214239271283

一方、ritokeiを見ると、2020年10月20日頃の記録では、平成22年国勢調査人口として240人を採用していましたが、その後、2021年1月以降は、正しい人口(ただし住民基本台帳人口)に修正しており、令和2年9月末の住民基本台帳人口は140人であるという情報が得られました。また2017年5月10日付の徳島新聞の記事「みこしの「浜入れ」中止 海陽・竹ケ島神社夏祭り」によると、

町住民人権課によると、4月末時点の竹ケ島の人口は148人。うち40歳未満は37人で島民の25%しかいない。島の人口は07年4月末の人口313人と比べると半分以下になっており、過疎化が進んでいる。

以上の新聞記事と、ritokeiで発掘できた情報を並べると以下の通りになります。なお上の新聞記事に登場する「07年4月末の人口313人」というのは、国勢調査における字竹ケ島の人口(2005年271人)すら大幅に上回っており、おそらく字竹ケ島全域の人口を間違えて持ってきてしまったのではないのか?という気もしますが、一応以下の表に載せておきます。

(開く)徳島県海部郡海陽町の竹ケ島の住民基本台帳人口の変遷

一方、学校のあり方検討委員会資料集など、海陽町の資料などから海部郡海陽町や宍喰地区(旧宍喰町)の住民基本台帳人口の変遷を抽出すると、以下の通りとなります。


(開く)徳島県海部郡海陽町と宍喰地区の住民基本台帳人口の変遷


宍喰地区の2019年3月末と2020年3月末の住基人口から等比級数な人口減少を仮定して計算すると、2020年10月1日付の住民基本台帳人口は推定2513人。よって、2020年9月30日付の竹ヶ島の住民基本台帳人口140人との人口比から、2020年10月1日の竹ケ島の常住人口は135人と推定しました。

以上をまとめると:徳島県竹ケ島(と四国)の人口は修正する必要があります。神奈川県天神島、佐賀県竹崎島の人口も追加するかどうかは、宮崎県青島の扱い次第で、青島を追加した情報のまま残すのであれば、天神島、竹崎島も同様に有人島とみなすべきであり、青島を削除するのであれば、天神島、竹崎島、(ついでに[109261]で記載した鹿老渡島)と合わせて、国土地理院などが認めていない有人島として別表に参考としてまとめた方が良いと思います。

なお鹿老渡島ですが、[109261]の方で

地図で見る限り、倉橋島と鹿老渡島の間には明白に水路があり、両方の島が分けられております。にも拘わらず離島統計年報などで島として扱われていません。その理由はこの鹿老渡島が人工島の一種だからです。鹿老渡は歴瀬戸内の港として歴史的に発達した港町で、倉橋島との間の水路は、江戸時代に完成された人工的な堀であり、よって離島統計年報もSHIMADASも鹿老渡を独立した島と扱っていないのです。

などと解説文を書いて勝手に納得していましたが、あの後倉橋島との間の水路が人工的な堀であるとする文献を見つけることができていません。こちらの面積については、しまっぷ統合版(0.91 km2)を使わずに令和2年国勢調査基本単位区境界データを使ってみると、838,293.967 m2(すなわち0.84 km2)となります。[109261]から面積出典を変更した場合は以下通りとなります。

島名都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
**鹿老渡島広島県呉市
(倉橋町の一部(基本単位区2060-20010~20030))
1211341700.84面積出典:令和2年国勢調査基本単位区境界データ
[109314] 2023年 11月 21日(火)13:48:57【3】訂正年月日
【1】2023年 11月 21日(火)13:49:27
【2】2023年 11月 21日(火)13:52:50
【3】2023年 11月 21日(火)13:55:42
YT さん
山口県周南市の黒髪島・仙島
[109313] オーナー グリグリさん

ところで、
なお山口県周南市の黒髪島・仙島については、『〔附表〕法律指定外離島の概要』の方で「国調では有人だが住民登録は0」とありますが、これは平成27年10月1日の国勢調査、および平成27年4月1日現在の住民基本台帳登録人口での話です。
とのことですが、[109215]の「日本の有人島の人口、面積一覧」の備考欄には「大字大津島字黒髪島・大字富田の一部(基本単位区1330-21010)、平成27年の国調では0だが住民登録では有人」とあります。どちらが正しいのでしょうか。ご確認をお願いいたします。

すみません。[109309]の該当部分は私の間違いで、[109215]の方が正しい情報です。

2021離島統計年報の『〔附表〕法律指定外離島の概要』を読み返しましたが、山口県周南市仙島の脚注は

「国調では0だが住民登録では有人(1人)、面積は黒髪島を含む。」

となっておりました。ほかには岡山県の黒島・黄島については句点なしで、

「人口と世帯数は前島を含む」

高知県の中ノ島、戸島については句点なしで、

「人口と世帯数は須崎市大谷地区の一部を含む」

とあり、「国調では有人だが住民登録は0」との脚注が入っている島は、『〔附表〕法律指定外離島の概要』の方にはありませんでした。2021年離島統計年報の『〔附表〕法律指定外離島の概要』のリストの他の島の残りの脚注は、指定解除の年次の情報のみです。

2015離島統計年報(2010年国勢調査のデータでまとまっている)の方の『〔附表〕法律指定外離島の概要』でも、仙島、黒島、黄島は上と同一の脚注がついており(つまり黒髪島・仙島の2010年、2015年の住民基本台帳登録人口は1人のまま)、中ノ島、戸島については2010年国勢調査ベースでの人口が分割して与えられ、「国調では有人だが住民登録は0」との脚注はどこにも示されていませんでした。

以上より、黒髪島・仙島の2020年の住民基本台帳登録人口は0であることを自明のように書いてしまいましたが、現時点では2020年の住民基本台帳登録人口が1か0か、どちらの可能性も十分にあって、結論は出せません。

一応インターネットアーカイブ経由で2020年3月31日現在の地区別の住民基本台帳登録人口へのリンクのページまではたどり着きましたが、そこから先のpdf、エクセルなどは、年齢別以外はファイルが生きていませんでした(公式サイトからも削除済み)。

なお2023年3月31日現在の住民基本台帳登録人口において、大津島地区の「開拓地」なる行政区が、1世帯1人(女1人)となっていますが、こちらの津波災害警戒区域の指定に関する地図により字開拓地は大津島本体の一地区であることが確定しますし、同様に富田地区の大神の1世帯2人(男1人女1人)も本土の山の方の字名で確定なので、2023年3月末の段階で黒髪島・仙島の住民基本台帳登録人口が0人になってしまっていることは、ほぼ間違いないと思われます。
[109309] 2023年 11月 21日(火)00:46:44【6】訂正年月日
【1】2023年 11月 21日(火)01:50:25
【2】2023年 11月 21日(火)01:57:44
【3】2023年 11月 21日(火)02:03:14
【4】2023年 11月 21日(火)11:18:46
【5】2023年 11月 21日(火)11:26:41
【6】2023年 11月 21日(火)20:18:10
YT さん
外離島の有名人(【追記】愛媛県比岐島、宮崎県大島の2020年4月1日現在の住民登録人口)
[109308] オーナー グリグリさん

YTさんへ
この表をまとめて気が付いたのですが、沖縄県の外離島は2015年も0人です。住民登録などで有人が確認できているのでしょうか。

実はしつこくなるのでまとめていないのですが、離島統計年報には

「国調では有人だが住民登録は0」

という脚注がついている島が複数あります。2021離島統計年報の場合は:

1.離島振興法関係離島
①愛媛県比岐島・宮崎県大島は令和2年国調では無人島であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳では住民登録があったため,有人島とした。
②北海道小島・愛媛県赤穂根島・鹿児島県馬毛島は,令和2年国調では有人島であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳には住民登録されていないため,①「概要」には有人島として掲載したが,②「人口・世帯数・人口動態」以降は割愛した。
2.小笠原諸島振興開発特別措置法関係離島
東京都硫黄島・南鳥島は,令和2年国調では有人島(自衛隊員等の駐留による)であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳には住民登録されていないため,①「概要」には有人島として掲載したが,②「人口・世帯数・人口動態」以降は割愛
した。
3.沖縄振興特別措置法関係離島
沖縄県前島は,令和2年国調では無人島であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳では住民登録があったため,有人島とした。

――【ここから愛媛県比岐島、宮崎県大島および黒髪島・仙島、中ノ島、瀬長島の情報を追記】――

2021離島統計年報によると、令和2年10月1日現在国勢調査で無人となっていた島の、令和2年4月1日現在の住民登録人口は以下の通りです。

島名都道府県市町村名住民登録人口世帯数
比岐島愛媛県今治市2201
大島宮崎県日南市2112
前島沖縄県島尻郡渡嘉敷村1101

よって[109308]にまとめられた島の内、比岐島と大島は住民登録データが増えます。

なお山口県周南市の黒髪島・仙島については、『〔附表〕法律指定外離島の概要』の方で「国調では有人だが住民登録は0」とありますが、これは平成27年10月1日の国勢調査、および平成27年4月1日現在の住民基本台帳登録人口での話です。一応周南市の公式サイトを見たところ、残念ながら過去の住民基本台帳登録人口の記録が残っていないのですが、2023年3月31日住民基本台帳登録人口では、大津島地区の黒髪島は世帯0人口0人、黒髪島・仙島の富田地区側は該当する字名が見つからず、おそらくずっと住民登録は0人のままです。

和歌山県那須勝浦町の中ノ島の場合は、島全体が碧き島の宿 熊野別邸 中の島というホテルです。平成27年国勢調査時には、20世帯で合計20人(男8人、女12人)で、いかにもホテルの従業員の構成です。その後色々リニューアルを繰り返しながらも令和2年国勢調査時にもがっつり営業しているようなので、コロナの関係で従業員をホテル内に常住させることをやめ、交代制にしたとかかもしれません。こちらは『〔附表〕法律指定外離島の概要』掲載の島なので、残念ながら住基人口はもともと離島統計年報には掲載されていません。那須勝浦町の公式サイトでは、残念ながら「大字勝浦」の住民基本台帳登録人口は分かっても、中ノ島単独の人口は分かりません。

一方で沖縄県豊見城市の瀬長島の場合は沖縄本島と完全につながっていますが、こちらには琉球温泉 瀬長島ホテルがあります。こちらの場合は、平成22年、平成27年国勢調査時には、1世帯4人(男3人女1人)が暮らしていたことになり、ホテルの従業員とは言えません。航空写真などを見ると、いくつか海沿いに個人経営でもおかしくないような店舗や漁師小屋があるようなので、こちらの店舗の住民かも知れません。公式サイトの方では残念ながら「字瀬長」の住民基本台帳登録人口は分かっても、瀬長島単独の人口は分かりませんが、いずれにせよ中ノ島と瀬長島は常住の島民がいないというだけで、今後の国勢調査で有人島に戻ってもおかしくありません。

来年発売予定の『2022離島統計年報』の方で、『〔附表〕法律指定外離島の概要』の中身も令和2年度分にアップデートされるかも知れませんので、今後[109308]の島の内、中ノ島、黒島、黄島、黒髪島・仙島の住民登録データが増えるかもしれません(多分中ノ島以外は全部住民基本台帳登録人口も0で、中ノ島も住民基本台帳登録人口自体は0の可能性が高いですが)。また『〔附表〕法律指定外離島の概要』収録の長崎県のいくつかの離島の人口に関しては、基本単位区以下に分割された島人口の情報が増え、推計で出した人口の一部が実数へ更新可能になるかも知れません。猪子島と瀬長島は離島統計年報の完全に対象外なので、離島統計年報が新しくなっても追加の修正はありません。

――【ここまで追記】――

さて、外離島についてですが、2003離島統計年報~2015離島統計年報記載の、2000年、2005年、2010年ベースの国勢調査人口はすべて1人であり、すべて「国調では有人だが住民登録は0」の脚注がついています。2016離島統計年報以降はリストから削除され、現在に至っています。

実際、竹富島公式ホームページの竹富町地区別人口動態票には、ずっと外離島の項目はなく、長らく住民登録人口が0の扱いだったようです。

なお、2010年までの国勢調査人口1人というのが、ちょっとした有名人です。2014年頃まで外離島に不法滞在しておりましたが、その後地権者により退去を求められて、西表島の「モクタンの浜」に移住し、2015年10月1日国勢調査時には外離島は無人化したようです。

デイリー新潮:島を追われた「素っ裸おじさん」と地元民との“フクザツな関係”(2015年12月9日)
無人島暮らしをする「ナガサキおじい」こと長崎真砂弓(まさみ)さん(79)は、この生活を四半世紀近く続けている。好きな時間に起き、食事はタケノコやニガナ(沖縄特産の野菜)など。魚も獲っていたが、“何だか可哀そうになって”最近は獲らない。たまにボートに乗って買い出しに行くほかは一糸まとわぬ姿の彼を目当てに、マスコミや観光客が多く訪れる。
 ***
今から1年ほど前、長崎さんはそれまで暮らしていた「外離(そとばなり)島」を離れ、3~4キロ離れた「モクタンの浜」へ引っ越した。その理由を本人に聞くと、顔を曇らせるのだ。
「やっぱり大きかったのはフジテレビの番組(めちゃ×2イケてるッ!)に出たことだったと思う。あれで取材や観光客がどっと来てしまってね。いろいろ文句を言う人がいたんだと思う。僕が観光客に媚を売る必要はないけど、連れてくるのは西表の人たちだから。その人たちの手前、冷たくはできないよ。それもあったところに、地主の家族やその知り合いがやってきて、“出てってくれ”と言われたんだ。外離島でヤギ牧場をやるとか、シイタケ畑をやるからというのが理由だったな」
■真似する輩も
テレビなどで取り上げられ、観光客が増えたという声がある一方、実のところ、おじいの存在をめぐっては地元でも賛否が分かれている。
例えば、おじいに退去を迫ったのは、近くの集落・船浮の住人だ。その人物が言う。
「たしかに長崎さんに出て行くようにお願いしたのは私さ。東京の隅田川沿いだってホームレスが住んでいたら退去させられるでしょう。それを、自然が豊かで人が少ない西表だからと言って許される問題じゃない。年頃の女の子がいる家族連れがやってきて裸の長崎さんを見たらどう思うかね。私はテレビの番組を見たから出てけって言ったわけじゃないけど、真似する人が出てくるのも困る。実際に去年の春頃、長崎さんの真似をしてフルチンで暮らしていた人が隣の“内離(うちばなり)島”に現れました。長崎さんのことを“センパイ”って言ってたな。“あんた、自分の地元でそんなことが出来るかね”と言ってやったら、いつの間にかいなくなったけどね」
また、地元のホテルの女将に聞くと、
「長崎さんはあんな生活をしているけど、話してみると意外にまともで挨拶もする。地元で特に悪い評判はないんです。だけど、迷惑ではないのかと聞かれたら迷惑だし、心配もあります。このあたりの人たちは、当番制で消防や行方不明者の捜索を任されているんです。勝手に死なれたりしたら困るのは地元の住民ですから」
ナガサキおじいには、さらなる“追い打ち”もかかっている。今年の9月17日、「モクタンの浜」からも立ち退くよう、林野庁から通告を受けているのだ。
「外離島の長崎さんが住んでいた場所は私有地でしたが、モクタンの浜は国有林なのです。だから、長期のキャンパーなどを見かけた場合、注意しないわけにはいかない。長崎さんは“分かりました。他に場所がないか検討します”と言ってくれてはいますが、ずっと住み続けるのなら、いずれ退去命令などを出さなくてはならない。個人的には可哀相な気もするのですが」(祖納森林事務所の担当者)

その後長崎さんはどうなったのか。ここから先は日本で報道されていないようですが、海外ニュースの翻訳記事によると、まず2018年頃、モクタンの浜で倒れているのが見つかり、強制的に病院へ入れられました。

スプートニク:「裸で離島暮らし30年 日本のロビンソン・クルーソーが強制的に文明に引き戻される」(2018年6月26日)
ニュース・コム・アウの報道によれば、「82歳で水道もモバイル通信も電気も服もない離島暮らしをたった一人で送ってきた日本人ロビンソンクルーソーのマサフミ・ナガサキ」さんは、先日、地元当局に強制的によって島から連れ去られ、病院に収容された。

そしてこれも海外のニュースからの翻訳で、去年の状況です。

ARIO.NYC:全裸で孤島暮らし 長崎真砂弓さん30年ぶりに島に戻る(2022年6月21日)
ある年金生活者が4年間の文明開化を経て、離島に帰ってきた。長崎真砂弓さん(86歳)は、家族や友人を残して29年間無人島で暮らしていましたが、2018年に日本政府によって強制的に文明に戻されました。そして今、現実世界での生活で不安や不満を抱えたまま、八重山諸島の外離島にある自宅への帰還が許されたのです。今、真砂弓は南国の島で幸せに暮らすために服を捨て、再び自由を感じている。

上の記事は一部語訳があり、オリジナルの記事:Masafumi Nagasaki returned to his desert island(2022年6月16日)からかいつまんで翻訳すると:

2018年4月、地元の漁師が、長崎さんが浜で気を失っているのを見つけた。本人は浜で死ぬことを望んだにも拘わらず、日本政府は強制的に彼を入院させた。その後4年間小さな部屋を与えられて生活することとなったが、結局文明社会に馴染めないままであった。そこで記者らが、外離島を訪れたいかと誘ったところ、喜んで企画に参加してくれた。1日外離島で一晩みんなと過ごしたが、翌日一人で生活できるだけの体力がもはやないことが分かり、納得して島に別れを告げて現在の住まいに戻った。

まあこれらの記事を見る限り、もうこの老人が外離島に戻ることはなく、外離島は2014年の時点で無人化したという扱いで問題ないということになります。【追記】よって[109308]にまとめらた表では、外離島は牛ヶ首島と前ノ島と同様に2015年無人化のグループに仲間入りさせるべきとなります。
[109306] 2023年 11月 20日(月)01:36:12YT さん
スーパー三和
[109297] 伊豆之国さん
「地域限定のスーパー」というと、私にとってなじみが深いのが、町田市を本拠とする「スーパー三和」。店舗検索を見ると、そのほとんどが町田市など東京都南多摩地区と、神奈川県の県央から横浜・川崎市にかけての地域に集中していることが分かり、町田市民や相模原市民にとっては大変身近な存在ではないでしょうか。4年前まで住んでいた町田市の自宅からの徒歩圏内には2店(現在はそのうち1店は閉店)あり、現住所のマンションからも徒歩圏内に2店あって、ポイントカードも持っており、普段からよく使っているスーパーになっています。

[109299] メークインさん
伊豆之国 さんが書かれた、
「地域限定のスーパー」というと、私にとってなじみが深いのが、町田市を本拠とする「スーパー三和」。
sanwaも13位に入っており、実際の利用者数から考えると、顧客満足度はかなり高めだと思いますよ。
すみません。伊豆之国さんが言及されたスーパー三和についてすっかりスルーしていましたが、メークインさんの文章を読んで急に思い出しました。スーパー三和はてっきりかつての三和銀行系列の資本のスーパーかと勘違いしていましたが、神奈川東京ローカルのスーパーだったのですね。

自分が物心ついた頃、小田急線の新百合ヶ丘駅近くに住んでいたのですが(今でも両親が住んでいます)、当時の新百合ヶ丘駅周辺には何もなく、あったのは土木工事中の茶色の山中に佇む駅舎だけでした。で、当時買い物といえばお隣りの百合ヶ丘駅が中心でした。そこには駅前のゆりストアという超ローカルなスーパーと、やや駅から離れたところにできたスーパー三和が、熾烈な競争を繰り返していました。今から思うと信じられないことですが、当時はスーパーがそれぞれ独自のバス運行を出していて、そのタダで乗れるバスにのってスーパーに出かけたのです。当時これらのスーパーは、生鮮食料品のみならず、家電、衣類やおもちゃなども扱っており、小学校に上がる前の自分にとって、百合ヶ丘にあったこれら二つのスーパーはちょっとしたデパートのような存在でした。

ただこれらのバスの存在は、小田急バスなどの路線バスの収益を脅かすものでした。私が親の仕事の関係で日本にいなかった時期に、バス会社側から何かしらのクレームがあり、これらのバス路線はいつの間にか廃止となったようです。それでもしばらくは地域の中心の役割を果たしていました。ところが川崎市麻生区が川崎市多摩区から分離し、新百合ヶ丘駅周辺の開発が進むにつれ、徐々に百合ヶ丘周辺は寂れていきました。2000年ごろに久々に百合ヶ丘のスーパー三和に行った時には、二階の家電、衣類やおもちゃを扱っている部分が百円ショップ化しており、さらに周辺の本屋、文具店等々の店もなくなっており、昔の店舗の状況を知っている自分にとって、何か悲しくなりました。ただし今思えば業務として家電・衣類等々の扱いを止め、生鮮食料品にのみ特化するという路線は、その後の時代に沿ったものだったようです。

色々あって[109298]で書き綴ったジョイフル近くに暮らしていた頃、同じようにこの若葉台と平尾を結ぶ道路沿いに新たに商業施設が出来て大繁盛していたのですが、その店の形態は1階にスーパー三和、2階に百円ショップやその他店舗が入っていて、まさに2000年頃に百合ヶ丘で見た店舗に近いものでした。今引っ越した稲城市内にも同様に商業施設にスーパー三和が入っており、かなりの盛況っぷりです。今の百合ヶ丘のスーパー三和の状況は知りませんが、現在のこれらのスーパー三和は生鮮食料品にのみ特化しており、70年代末~バブルの頃の百合ヶ丘のスーパー三和のように自分の店舗でデパート的経営をするのではなく、商業施設に間借りすることで、それなりに盛況しているようです。

なお、この分析は私の身近な店舗の状況だけを見て私が勝手な妄想によるものであり、中で働いてきた人にとっては全然違う歴史が描かれているのかも知れません。
[109305] 2023年 11月 20日(月)00:23:49YT さん
Re: 日本の有人島一覧 更新
[109301] オーナー グリグリさん

YTさんからいただいている有人島一覧の情報に基づき、日本の有人島一覧を更新しました。

色々修正を対応していただきありがとうございます。

ところで、こちらの記事の、横山島のタイトルや表の島名と市名が間違っています(瀬戸内市と黒島と誤記)。また、黒島の朝日新聞の記事リンクも切れています。こちら「最後の島民はなぜ去った?「墓を守る」願った男性は今」に入れ替えた方がよろしいかと思います。貴重な記事なので、記事訂正期限が過ぎていますがご了承いただければ管理者権限で訂正したいと思います。ご了解をお願いします。

すみません。ご指摘の通り間違いです。修正していただけるのであればお願いします。

それならば過去の有人島という一覧表をページに追加し整理することもできるかと思います。過去をどこまでとするかが問題になるかもしれませんが、ある程度まとめられるようであれば、現時点での過去分(上記の牛ヶ首島や前ノ島のようなケース)の追加掲載を考えたいと思いますが、いかがでしょうか。

離島統計年報である程度過去の人口を調べることはできますし、既に手元には2000年国調ベース以降の離島統計年報による人口の情報はありますが、問題は離島統計年報が法的に認定した離島しか対象としない点です。正直2015年分に関しては、ekinenpyouさんのまとめや、離島経済新聞とSHIMADASの情報があったので、なんとかまとめられましたが、2010年分についても既に何らかの抜けがあるのではないかと恐れています。

また現在のところe-Statから小地域(基本単位区)(JGD2000) の境界データをダウンロードできるのは、令和2年(2020年)の国勢調査分のみです。合併を契機に国勢調査の基本単位区の番号が変わってしまっているケースや、過去と現在で基本単位区の範囲に変更があったケースなどが既にあり、基本単位区人口として絶対的に正しく検証できたといえるのは、2020年分のみであるなどの問題が既にあります。

よって2005年以前の国勢調査ベースの有人島人口までは現状では調べる気力がありません。
[109298] 2023年 11月 19日(日)02:21:50YT さん
ジョイフル&ヤオコー(八百幸)
[109297] 伊豆之国さん

その中で、[109279] でYTさんがおっしゃっているものと思われる稲城の店舗ですが、実は私は2年前にこの近くにある市の施設の改修工事の調査に行っており、その時は市役所で打ち合わせをした後、市役所の車に同乗して現地まで行ったのですが、市役所からのルートを考えると、「ジョイフル」の前を通っていた可能性が高そうですが、「ジョイフル」を見た記憶ははっきりしません…。

はい、まさにそのジョイフルです。ただ2年前当時は私は稲城市民ではなく、都県境を越えた川崎市民で、子供を遊ばせるための散歩の時によく越境して平尾団地に来てました。なおジョイフルがあるのは平尾団地から若葉台駅に抜ける大通り沿いなのですが、この大通りができたのは割と最近のことで、記憶違いでなければ若葉台方面へ抜けるトンネルが開通したは2015年前後?だったと思います。というか、ジョイフル横で交差する、栗平方面へ抜ける道ができたのも確か5年ぐらい前で、ジョイフルが出来たのも確かその後です。平尾団地の北側の再開発で、この辺りの人口は急激に増えたのですが、その結果この大通りは今では常時大渋滞となっています。

伊豆之国さんが平尾地区のどこの施設に行ったの分かりませんが、地元を良く知る住民が稲城市役所方面から平尾団地に行く場合、おそらく鶴川街道側からジョイフルの前を通る大通りを使わずに、天神通りという、昔ながらの尾根道を使うと思います。その場合はジョイフルの前をぎりぎり通らない可能性があります。

一方、「ヤオコー」の店舗検索から東京都を見ると、[109278]にある通り、特別区部には1つも店舗がありませんが、この表を見ると「八百幸 成城店」というのがあり、住所が「調布市入間町」となっています。私は以前[106033]
成城学園前駅から調布市方面へのバスに乗ったとき、車窓から「成城」を名乗るマンションなどが、住居表示板や電柱の住所表示から見て、明らかに調布市域に入る場所に何棟かあったのを見たことがありました
と書き込んでいたのですが、この「調布市にある八百幸成城店」は確かに見ており、改めて地図で確認すると、バスが通っている道路を隔ててすぐ東側は「世田谷区成城」。本当にギリギリのところで「23区外」になっていることが分かり、また、[106033]で書き込んだ通り、調布市域に「成城」を冠するマンションなどがいくつも見られることもわかります。

実はこの成城店の存在が念頭にあり、確か成城にヤオコーあったよな?と思っていたのですが、店舗自体が調布市内だったとは・・・

私は運転しないのですが、正月などに親戚が集まった時、兄などの運転する車に便乗させて貰ってます。そして成城学園にある某ファミレスに集合した際、この八百幸成城店の交差点が目印になりました。記憶違いでなければこのヤオコー、というか八百幸の店ができたのもそんなに古くはないはずです。
[109279] 2023年 11月 15日(水)02:13:29【1】訂正年月日
【1】2023年 11月 15日(水)02:23:55
YT さん
ジョイフル、ヤオコー
[109276] 伊豆之国 さん
この記事を見て、私自身がまず驚いたのは、やはり「ジョイフル」という店舗について。
東京23区に一つもないとのことですが、私の「近所にも普段の行動範囲の中でもまず見たことがなく、「業界3位の大手チェーン」てあるということはそれこそ初耳でした。

[109278] メークイン さん
また、このような記事を見てよく思うのは、「東京(城西エリア)・神奈川に存在しないと、関東全域に存在しない」と発言する事です。

横からすみません。

私は神奈川県川崎市麻生区で育ち、現在は東京都稲城市に住んでいます。おおよそ人生の85%を都県境の東京よみうりカントリークラブから半径2キロ以内に居住してきた計算になり、おそらく伊豆之国さんとは小田急線や京王線などで同じ電車に乗ったことがあるかも知れません。そんな私ですが、近くにヤオコーはありますし、ジョイフルもあります。

ただ、ヤオコーは現在使っておりますが、ジョイフルには一度も入ったことがありません。我が子の散歩でよくジョイフルの前を通りましたが、「なら今度家族でジョイフルに行こう!」とはなりませんでした。というのも、確かにそのジョイフルの店舗も車で行くような大通り沿いにあり、駅からはやや遠いからです。そう、自分は車を運転しないペイパードライバーなので、家族でのお出かけも電車中心になってしまいます。となるとファミレスを利用するにしても駅前の店舗となってしまうのです。子供はとにかくマクドナルド優先。入るとしても駅前に多いガスト、サイゼリヤ、ジョナサンとなってしまいます。よって

ジョイフルは関東でも車中心地域の出店が大半で鉄道で行かれる店は滅多にありませんね。

この分析はそれほど的外れではないと思います。

言われてみればヤオコーも、やや駅前から遠い、車に便利なところにあります。ご近所でなければ使わなかったかも知れません。

あと、年齢によっても受ける印象が違うと覆います。自分が子供のころに親の車で移動した時に使ったファミレスは、スカイラーク(正しくは平仮名で「すかいらーく」?昔のことなのでよく覚えていない)が多かった記憶がありますが、今ではありません。ほかにデニーズやロイヤルホスト、神戸屋(かなりローカル!)はよく利用しましたが、90年代になって、スカイラークがどんどんガストやジョナサンに置き換わった記憶があります。そのうちジョイフルが増えたような気がしましたが、結局今に至るまで入ったことがありません。

そう、店舗の印象は地域性のほか、その人の年齢(時代による店舗の変遷)や、生活環境の違いと変化(車中心か電車通勤通学か)によっても大分変わるかと思います。ということで地域性に加え過去何十年かのチェーン店舗数の時系列データでもあれば、より深い分析が可能かと思いましたが、ネット上にタダで転がっているデータは最新かせいぜいここ10年のものばかりで、古いデータは図書館に行かないと入手できないようです。色々面倒なのでこの分野にはこれ以上突っ込みを入れません。
[109261] 2023年 11月 12日(日)11:39:25【1】訂正年月日
【1】2023年 11月 20日(月)18:10:28 by オーナー(表組み改善)
YT さん
[109252]の補足と鹿老渡島について
[109256] オーナー グリグリさん

いろいろやることが溜まっています(変遷情報、有人島、推計人口、若年女性首長、雑学整備、都道府県データランキング更新、国勢調査更新、etc.)。歳のせいか頭の回転と体力の性能低下でご迷惑をおかけしております。気長にお待ちいただければ幸いです。実は新しい企画も検討中で、そちらに手一杯ということもあり....^^;

すみません。普段まとまった時間を作るのが難しいので、一気に有人島関連の投稿を続けます。多分これで小休止になるかと。

[109252]で投稿した「2020年・2015年・2010年の有人島別国勢調査人口」の表の内、横山島と黒島について、ウェブ上で閲覧できない新聞記事を引用しましたが、その内容について今回まとめます。

1.横山島(三重県志摩市)

島名都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
横山島三重県志摩市
(阿児町神明の一部(基本単位区0020-00230の一部))
2330.06面積出典:SHIMADAS(2019)

以下の記事から2015年10月1日頃の時点で住民は3人(夫婦と老母)と推定されます。SHIMADASで平成31年(2019年)の住民基本台帳人口が3人なのは確定していますが、「一軒の民宿を営むご夫婦だけが暮らす島 ~三重県志摩市横山島へ」(2020年3月26日デイリーポータルZ)の記事を信じる限り、既に2020年の段階で島に常住しているのは夫婦のみと読み取れるので、2010年3人、2015年3人、2020人2人と推定しました。

「島の恵み、見つけた」
(2015年9月27日 朝日新聞朝刊 名古屋 朝日プラス・シー1面)
■ただ、のんびり 究極リゾート 横山島(三重県志摩市)
大小60余の島々が浮かぶ三重県志摩市の英虞(あご)湾にいま、世界の視線が集まる。サミット開催予定地・賢島の喧噪(けんそう)の目と鼻の先に、静寂の島があった。人口3人。名を横山島という。一軒宿があり、住民は経営者一家らしい。それ以上はさっぱりわからない。
賢島の遊覧船乗り場の脇から、宿専用船で5分足らず。周囲1400メートルほどの小島についた。海岸沿いに立つ建物の屋根が大きく白ペンキで「石山荘」と主張している。不安な印象は、すぐ消えた。エントランスは多くの緑で飾られ、ハイビスカスの赤が藍色の海を渡る風に揺れている。
レトロな外見とはうらはらに、中は気持ちのいい空間だった。高い天井と木の床張りのロビー、ゆったり配置されたソファ。広いガラス窓からは、漁船がのんびり往来するのが見える。
「この島、なにもないでしょ。だからみなさん何もせず、ゆーっくりしていきます」。アジアのリゾートに通いつめた石山荘の2代目、昇さん(64)が、“ザ・昭和”の民宿を10年以上かけてアジアンリゾートに我が手で改装した。
45年ほど前、父である先代が真珠養殖の傍らに開いた。屋根の「石山荘」の文字は当時のなごり。「大事な屋号だから、母親が健在なうちは残そうかと」
細部までこだわった。視界を妨げないよう、海に面した壁はひざの高さまでで、その上は天井までガラス張り。照明はまばゆくない程度に抑える。「自然に寄り添うのが、志摩の一番の楽しみ方ですから」。旅行社にもっと上げてはと言われる宿泊料は、2食付きで1万円弱。英字ガイド本「ロンリープラネット」に紹介され、欧米の客が詰めかけたこともあるという。
バナナボートもバーベキューもない。のんびりすることに懸命に打ち込める、日本では珍しいリゾートがあった。


2.黒島(岡山県瀬戸内市)

島名区分都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
黒島岡山県瀬戸内市
(牛窓町牛窓の一部(基本単位区0870-13010の一部))
0130.10

以下の新聞記事から2010年10月1日時点では住民が3人で、2015年10月1日には1人、そして2019年の朝日新聞DIGITALの記事「最後の島民はなぜ去った?「墓を守る」願った男性は今」(2019年1月21日朝日新聞DIGITAL)」により、最後の住民が2018年中に去っって2020人には常住人口0になったことが推測されます。

「(島時間:第5便)黒島 最後の住人 いまも生かされとる」
(2012年1月7日 朝日新聞 朝刊 岡山全県1地方)
黒島(くろしま)
きしむ木の桟橋を渡る。キャベツ畑の向こうに見えるのは、島に2軒だけ残った民家。聞こえるのは波と風の音。そして、ヒヨドリの鳴く声。黒島の住人はいま3人。遠くない将来、1人になる。
牛窓港からわずか5分の距離。だが、チャーター便でしか渡れない。この島を、中上裕陽(なかうえやすはる)さん(78)は離れたことがない。誰とも話さない日がある。聴力が衰え、電話のベルや話し相手の声が聞き取りにくくなったこともある。そばにはネズミ捕りのために飼っている猫がいるだけ。一番にぎやかだったのは1970年代。6世帯約30人が、正月には餅をつき、料理を持ち寄って騒いだ。春と秋の祭りの夜は、島中に笑い声が響いた。島全体が、一つの家族のようだった。でも、一人、また一人と、櫛(くし)の歯が欠けるようにいなくなった。島の外へ出た人、亡くなった人。いたるところにあった畑は、半分以上が荒れ地になった。2001年、中上さんの妻が亡くなった。中上さんと、隣に住むいとこ夫婦が残された。80代の夫と70代の妻。この夫婦も最近、雨漏りのひどい家に耐えかね、本土に家を建てた。平日は島、週末は本土。そんなバランスもやがて、本土に傾くだろう。築約80年の中上さんの家にも、すきま風が吹く。
県内には、人口が10人以下の島がほかにも三つある。六口(むぐち)島(10人、倉敷市)、松島(4人、倉敷市)、黄島(2人、瀬戸内市)。小さい島の日常は、本土にとって「非日常」だ。黒島では、電気は自家発電。中上さんは寝る前の数時間だけ明かりをつける。夜8時に寝る生活。テレビはほとんど見ない。冷蔵庫や炊飯器はプロパンガスで動くタイプだ。水道はない。井戸水を使う。風呂は太陽熱の温水器で沸かす。郵便は本土の親類宅に届くようにしている。新聞は配達されない。ニュースはラジオで知る。中上さんは週1回、自分の船で本土を往復する。灯油や食料の買いだめ、散髪……。島でできないことを一気に済ませる。約40アールの畑で夏はカボチャ、冬はキャベツを作る。暖かい気候と島の土が育む野菜は糖度が高い。大きくした野菜を市場へ出荷するのが、何よりの楽しみだ。外周の山道に、もう人の足跡は残っていない。いまは中上さんが運転するトラクターのタイヤ痕だけ。草や竹が生い茂り、熟しすぎたイヨカンの実が道に転がる。人の気配を失って、どんどん原始の姿に戻る島。
「そりゃ、寂しいよ」
寡黙な中上さんが、ぽつりと言った。
「本土で、一緒に暮らそう」。対岸に住む長男(45)はそう言ってくれる。この正月に会った時も強く勧められた。でも、島を出る気にはならない。一緒に暮らせば、もう畑仕事をしなくなるだろう。体が動かなくなるかもしれない。張り合いをなくすかもしれない。何より、島には先祖の墓が残る。自分を守ってくれた神社が残る。頭が古いのかもしれん、とは思う。でも――。
「この島に、ここまで生かしてもらった。いまも生かされとる。お迎えがくる最後まで、島の面倒見なくちゃいけん」
決意のようにも、自分に言い聞かせているようにも、聞こえた。(藤原学思)
◇次は真鍋島へ
 <黒島>周囲約1.6キロ。干潮時に砂州が現れ、西側の中ノ小島、端ノ小島と陸続きになる。砂州を見る人のため、本土側のホテル「リマーニ」は春から秋にかけてボートを運航する。県は無料キャンプ場の「青少年の島」に指定。昨年は700人以上が訪れた。
【写真説明】キャベツ畑を歩く中上裕陽さん。海の向こうには牛窓の街並みが見える=瀬戸内市牛窓町の黒島

最後に「しまっぷ統合版」などで独立の島として採用されているものの、SHIMADASや離島統計年報などでは島として扱われていない島があるので紹介します。すなわち倉橋島と鹿島を結ぶ陸繋島である「鹿老渡島」です。調べたところ、こちらのサイトでもオーナーグリグリさんによって過去に話題になっており、まとめられていたようです([82781][82800][85771])。

島名区分都道府県市区町村
(小地域区分)
人口
(2020年)
人口
(2015年)
人口
(2010年)
面積
(km2)
備考
倉橋島安芸群島広島県呉市
(音戸町・倉橋町(鹿島を除く))
15,10616,77618,62869.46
鹿島安芸群島広島県呉市
(倉橋町の一部(基本単位区2060-21010~23020))
1862583242.63
鹿老渡島安芸群島広島県呉市
(倉橋町の一部(基本単位区2060-20010~20030))
1211341700.91面積出典:しまっぷ統合版

なお鹿老渡島の住所は実際には「倉橋町鹿老渡」のようですが、令和2年国勢調査報告書の方では小地域名に鹿老渡や鹿島を用いず、全部「倉橋町」としているので、鹿老渡島も鹿島島も「倉橋町の一部」となってしまいます。

地図で見る限り、倉橋島と鹿老渡島の間には明白に水路があり、両方の島が分けられております。にも拘わらず離島統計年報などで島として扱われていません。その理由はこの鹿老渡島が人工島の一種だからです。鹿老渡は歴瀬戸内の港として歴史的に発達した港町で、倉橋島との間の水路は、江戸時代に完成された人工的な堀であり、よって離島統計年報もSHIMADASも鹿老渡を独立した島と扱っていないのです。

【訂正】YTさんの了解を得て記事の一部修正を行いました(グリグリ)→ [109307]
[109255] 2023年 11月 11日(土)09:42:23【1】訂正年月日
【1】2023年 11月 11日(土)17:59:50
YT さん
個人的にはにいにいぜみが好き
[109247] オーナー グリグリさん

すみません。

□ん□んぜ□●

ですが、これは正しいでしょうか?
[109253] 2023年 11月 11日(土)03:14:35【4】訂正年月日
【1】2023年 11月 11日(土)03:39:08
【2】2023年 11月 11日(土)04:01:36
【3】2023年 11月 11日(土)04:03:31
【4】2023年 11月 11日(土)09:20:17
YT さん
[109241]に追加の修正点
以下主な要変更点を[109241]を含めてまとめます。

1.人口

島名都道府県市区町村項目修正前修正後備考
西表島沖縄県竹富町2020年人口2,2422,241人口推計のための住基人口を翌年1月1日付から9月30日付に変更
西表島沖縄県竹富町2015年人口2,2942,295人口推計のための住基人口を翌年1月1日付から9月30日付に変更
由布島沖縄県竹富町2020年人口1112人口推計のための住基人口を翌年1月1日付から9月30日付に変更
由布島沖縄県竹富町2015年人口2019人口推計のための住基人口を翌年1月1日付から9月30日付に変更
九州7県2015年人口12,546,68012,546,673宮崎市青島(7人)の追加による修正([109233]参照)

2.小地域区分の改訂:[109252] にまとめた通りです。

3.地域名の変更:宮城県石巻市金華島を「牡鹿諸島」に変更し、宮城県東松島市の宮戸島の地域名を空欄とする([102941]参照)。

4.岡山県岡山市の犬島の市区町村名を「岡山市東区」とする([102941]参照)。

5.宮崎県宮崎市の青島:背景色を「上記以外:SHIMADAS (2019年)などに掲載」に変更する([102941]参照)。

6.長崎県佐世保市前島・鼕泊島の2015年人口の出典をnihonshima.netからSHIMADAS(2019)に変更する([102941]参照)。

7.面積関係

島名都道府県市区町村項目修正前修正後備考
猪子島広島県大竹市面積0.130.12出典の変更([102941]参照)
猪子島広島県大竹市面積出典しまっぷSHIMADAS(2019)しまっぷ統合版閉鎖([102941]参照)
粭島山口県周南市面積0.430.50出典の変更([102941]参照)
粭島山口県周南市面積出典しまっぷSHIMADAS(2019)しまっぷ統合版閉鎖([102941]参照)
嘉弥真島沖縄県八重山郡竹富町面積出典沖縄県離島関係資料(R5)削除
(2021離島統計年報)
数値が沖縄県離島関係資料と離島統計年報とで同一なので全体を通しての離島統計年報の引用で十分
由布島沖縄県八重山郡竹富町面積出典沖縄県離島関係資料(R5)削除
(2021離島統計年報)
数値が沖縄県離島関係資料と離島統計年報とで同一なので全体を通しての離島統計年報の引用で十分

なお沖縄県竹富町の嘉弥真島・由布島の面積出典をわざわざ沖縄県離島関係資料(R5)としていましたが、改めて数値を見返したところ、これら2つに関してはどちらも2021離島統計年報記載のものと同じであり、別途引用し直す必要も無くなったので削除して構わないことになります。

改めて表を見て感じたことは、自分の感覚以上に人口減少が進んでいることですね。わずか10年ですが、本当に人口が減少している。最初ショックだったのは佐渡島の人口が江戸時代の人別改時代の記録よりも少なくなっていたことですが、よく見ると本州ですら10年で100万人弱減っており、本州が人口1億人を切るのもそう遠い日ではないことになりそうです。

【追記】最後の部分、「1億人」の漢字を修正したつもりが、「1人」のまま朝まで放置されてました!流石にそれは絶望的な未来が待ち受けないと無理!
[109252] 2023年 11月 11日(土)03:11:34YT さん
2020年・2015年・2010年の有人島別国勢調査人口と小地域区分の改訂
[109229]で予告したように一通り2020年・2015年・2010年の有人別国調人口がまとまったので、今回投稿します。これ以降はしばらく修正確認の必要はなくなるかと思います。

個人的に2003年~2021年度の離島統計年報のバックナンバー全てに目を通しましたが、[109229]で指摘したように、離島統計年報には結構間違いが多いことに気付きました。

そこで今回は、後からの検証が楽なように、すべての島について、令和2年(2020年)国勢調査報告書基準での、小地域区分をまとめました。例えば礼文島の場合、市区町村(小地域区分)欄は「礼文郡礼文町」ですが、これは礼文郡礼文町全体の人口がそのまま島の人口に相当する場合です。一方気仙沼市の大島の場合、市区町村(小地域区分)欄は「気仙沼市#(中山・浅根・廻舘・外畑・田尻・浦の浜・磯草・大初平・外浜・亀山)」となっておいますが、この場合では、気仙沼市の中のこれらの(国勢調査区分での)大字の人口の合計で島の人口が算出できます。千葉県の仁右衛門島の場合は「鴨川市(太海浜の一部(基本単位区0580-00040)」ですが、これは仁右衛門島の人口と鴨川市基本単位区0580-00040の人口が同じで、鴨川市基本単位区0580-00040は(国勢調査区分での)太海浜という大字(または小字)に含まれていることを意味します。さらに同一基本単位区が複数の島に分割されてしまっている場合は、「~の一部」と記述しました。

注意して欲しいことは、同一の基本単位区に複数の島が含まれていても、該当する島以外が無人島である可能性が高い場合、いちいち分割していません。後からこれらの無視した島が有人であることが判明した場合、修正が必要になる可能性は残っています。また基本単位区の境域データのShapeファイルがネット上に公開されているのは2020年(令和2年)分のみで、過去に遡ってその境域が保たれている保障はありません。対馬の赤島・泊島・沖ノ島の2015年人口の問題は、基本単位区の境域に微妙な変更があったことが原因であると言えます([109229]参照)。

また実際に過去に基本単位区の番号が異動している可能性があることを否定できません。例えば愛媛県今治市の比岐島の場合、2020年の境域データにおいては今治市基本単位区0280-00010が比岐島、基本単位区0280-00020が小比岐島です。実際2010年国勢調査においては基本単位区0280-00010に人口3人いますが、2015年においては基本単位区0280-00020に人口3人が計上されています。2020年基準で考えると、2010年に比岐島3人だった人口が、2015年には無人化し、そのかわり小比岐島に突然人口3人が出現したことになります。しかしながら小比岐島の航空写真を見る限り、小比岐島に集落が形成された形跡はなく、どうみてもどこかに誤りがあります。つまり2015年だけ番号が違っているのか、それとも小地域集計作成時に集計する欄を間違えてしまったのか、多分後者だとは思うのですが、はっきりと結論を出すことはできません(表では複数の基本単位区の集合体である大字名「今治村」を用いてごまかしている)。なお基本単位区の番号も普遍ではなく、一部地域では基本単位区番号から過去の人口を計算できないケースもあります。

以下島の順番は概ねritokeiの有人離島一覧に従っていますが、同一の市区町村が並ぶように一部入れ替えました。

(開く)2020年・2015年・2010年の有人島別国勢調査人口

今回、香川郡直島町の牛ヶ首島、西海市の前ノ島が追加されましたが、何れも2020年、2015年の国勢調査では無人化しています。

また沖縄県竹富町の小浜島、嘉弥真島、新城島上地、新城島下地、西表島、由布島の人口を分割・推定するに当たり、これまで沖縄県離島関係資料(R5)の住基人口を用いて按分しましたが、改めて直接竹富町の公式ホームページより9月30日現在の住基人口の情報が得られることに気付き、それにより人口推定をやり直しました。その結果、西表島、由布島の人口が微修正となりました。
[109243] 2023年 11月 7日(火)18:36:07【3】訂正年月日
【1】2023年 11月 7日(火)18:53:56
【2】2023年 11月 7日(火)20:45:44
【3】2023年 11月 8日(水)11:04:50
YT さん
北方領土の島別人口(2021年ロシア国勢調査による)
[109238] 未開人 さん

日本の有人島一覧の企画は非常に見応えがあります。YTさん、グリグリさん、ありがとうございます。一つだけ注文をつけるとすれば、北方領土の扱いでしょうか。一応日本が保有する有人島ですが、人口の推計ができないのでどう扱うべきか。

一応2021年にロシアで実施された国勢調査人口を元に、島別推定人口は算出できます。ただ自分はロシア語は読めないので、無理やり英語に翻訳して判断しています。各村の人口に離島が含まれているかどうかまでは分かりません。南クリル管区下の1市9村は、国後島に1市7村(ユジノ=クリリスク市(古釜布)6991人、ブローヴァ・ルドニー村(シベトロ)1人、ゴロヴニノ村(植内)153人、ドゥボヴォエ村(泊)84人、ジャスタヴァ・ドクチャエヴァ村(ルルイ)0人、マヤク・ロフツォフ村(安渡移矢)0人、メンデレーエヴォ村(東沸)40人、オトラダ村(近布内)414人)、色丹島に2村(クラバザヴォーツク村(穴澗)1515人、マロクリリスク村(斜古丹)2285人)設置されており、歯舞群島は無人扱いであるかのようにみえます。そしてクリル管区下の1市6村(クリリスク市(紗那)2530人、ブレヴェスニク村(天寧)30人、ゴルノイエ村816人、ゴリャチエ・クリュチ村(瀬石温泉)2030人、キトヴィ村(内岡)489人、レイドヴォ村(別飛)976人、ルイバキ村(有萌)3人)は全て択捉島にあり、それよりも北方の島(新知島、武魯頓島、知理保以島、得撫島)は無人島扱いであるかのようにみえます。

面積は日本の国土地理院のものを用いています。

島名ロシア国勢調査人口
(2021年10月15日
~11月14日)
ロシア国勢調査人口
(2010年10月14日
~10月25日)
日本の国土地理院
公表の面積
(2021年10月1日)
(km2)
人口密度
(2021年)
(人/km2)
備考
色丹島3,8002,820247.6515.34南クリル管区マロクリリスク村・クラバザヴォーツク村
国後島7,6836,6811,489,275.16南クリル管区(色丹島の2村を除く)
択捉島6,8747,3593,166.642.17クリル管区

ただベースとなる人口調査の方法も日時も違いますし、これはあくまで参考値に留めるべきものでしょう。

【追記】折角なので2010年のロシア国勢調査人口も追加しました。サハリン州全体では人口減少が進んでいますが、色丹島・国後島を含む南クリル管区は人口が増えているようです。ただしソ連崩壊時の1989年の人口(13,597人)までは回復していません。
【追記】市、村のロシア名とおおよそ対応する日本名を追加、表の順番を判り易く変更
[109241] 2023年 11月 7日(火)00:33:35【4】訂正年月日
【1】2023年 11月 7日(火)00:36:08
【2】2023年 11月 7日(火)03:41:36
【3】2023年 11月 7日(火)16:18:07
【4】2023年 11月 7日(火)21:44:55
YT さん
「しまっぷ統合版」の閉鎖問題
[109235] オーナーグリグリさん

追加情報をありがとうございました。いただいた情報を元に更新しましたのでご確認いただければと思います。なお、[109233]の青島はそのまま追加しましたが、鴎島については「■除外した法律指定外離島の項目」への追加が妥当と判断しました。また、出典資料として「ritokei」は削除し、「SHIMADAS (2019年)」を追加しました。

ありがとうございます。

すみませんが、追加で以下の修正をお願いします。

17.宮城県石巻市の金華島:現在地域名は空欄となっておりますが、「牡鹿諸島」に変更をお願いします。
18.宮城県東松島市の宮戸島:現在地域名は「牡鹿諸島」となっておりますが、こちらはむしろ空欄にして下さい。
75.岡山県岡山市東区の犬島:現在市区町村名は「岡山市」となっておりますが、「岡山市東区」に修正をお願いします。
344.宮崎県宮崎市の青島:背景色を「上記以外:SHIMADAS (2019年)などに掲載」に変更をお願いします。

また現在下の2つの島の平成27年国調人口の情報源としてWeb上のnihonshima.netを使っておりますが、どちらもSHIMADAS(2019)に平成27年島別国調人口が掲載されており、引用をSHIMADASに一本化できます。

265.前島:nihonshima.netのWeb情報と→SHIMADAS(2019)の情報(平成27年72人) と
266.鼕泊島:nihonshima.netのWeb情報と→SHIMADAS(2019)の情報(平成27年72人) と

また面積については修正するべきかどうか、まだ議論が必要かも知れませんが、後述するように第六管区海上保安本部がまとめた「しまっぷ統合版」が閉鎖してしまったため、以下の2島は面積(及び人口密度)の変更が必要かも知れません。

119.広島県大竹市の猪子島:面積を0.13 km2から0.12 km2に変更し、面積出典をしまっぷからSHIMADAS(2019)に変更する。
137,山口県周南市の粭島:面積を0.43 km2から0.50 km2に変更し、面積出典をしまっぷから山口県統計年鑑(H19)に変更する。

「しまっぷ統合版」ですが、現在は辛うじてWebArchiveの方でその内容を確認できます。


ところで、SHIMADAS (2019年) は私も以前から所持していますが、面積については注意が必要かもしれません。周南市の粭島の面積が3.33km2と明らかに間違っています。[97639] ekinenpyouさんの資料ページから辿れる説明、島面積の出典は「山口県のしまっぷ」による、H27面積調(1km2以上の島)に掲載なし(山口県統計年鑑H19年刊までは0.5km2だったが、H20年刊以降は3.33km2となっており誤りと推測)から0.43km2が正しいのは間違いありません。粭島の誤りは特異例かもしれませんがSHIMADAS利用の際に注意は必要と思います。

まずSHIMADASを出版しているところは日本離島センターであり、離島統計年報と同じところですので、SHIMADAS自体はむしろ公的な情報源に近いと考えられます。その上で、現時点で国土地理院の令和2年全国都道府県市区町村別面積調、2021離島統計年報以外の文献等を出典として面積を採用している島を有人島一覧の現状のリストから抽出してまとめてみると以下の通りです。

(開く)有人島一覧掲載の島の内、令和2年全国都道府県市区町村別面積調、2021離島統計年報を出典とする面積を採用しなかったもの

千葉県統計年鑑、神奈川県県勢要覧、三重県統計書、岡山県統計年報、熊本県統計年鑑に関しては、私自身昭和30年頃までバックナンバーを確認しましたが、島嶼部の面積の記載がありません。よって現状SHIMADASが最も公的な数字です。

なお、岡山県笠岡市の大飛島の面積に関しては、2021離島統計年報掲載の1.05 km2(平成27年国調時)が、令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に1 km2以上の面積を有する島としては未掲載の時点で微妙に誤りということで、ほかの面積を採用しています。こちらは第六管区海上保安本部がまとめた「しまっぷ統合版」にも掲載がありますが、現状の有人島一覧のリストでは、しまっぷ統合版掲載の面積(0.97 km2)ではなく、SHIMADAS(2019)掲載の面積(0.96 km2)を採用しています。同じ出版元ながら、SHIMADASと離島統計年報の間で数字が異なる事例の一つです。

徳島県海部郡海陽町の竹ヶ島に関しては、SHIMADAS(2019)掲載の面積1.30 km2は、令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に1 km2以上の面積を有する島としては未掲載の時点で誤りです。徳島県統計書の方は平成17年版まで1 km2未満の島の面積を確認でき、こちらを出典とする面積(0.40 km2)を現状の有人島一覧の方では採用しています。

高知県の中ノ島と戸島の面積は、元々2021離島統計の方にも面積が掲載されていましたが(0.23 km2と0.11 km2)、ekinenpyouさんが指摘されているように実際の島の形状に比べて面積の逆転の問題が発生しています。高知県統計書の方は昭和61年版まで1 km2未満の島の面積を確認でき、現状の有人島一覧ではこちらを出典とする面積を採用しています(0.18 km2と0.37 km2)。なおSHIMADAS(2019)掲載の面積と2021離島統計年報掲載の面積は全く同一であり、出版元の日本離島センターによって誤った面積データが共有されていることが示唆されます。

長崎県の島々は、SHIMADAS(2019)掲載の面積も長崎県統計年鑑(H28)掲載の面積もほぼ同じですが(長崎県統計年鑑の方は小数点以下第3位まで数字が示されている)、島の人口を分割する情報の根拠として用いる数値(平成27年国調ベース)が概ね長崎県統計年鑑(H28)に依拠しているので、これは現状のままで良いかも知れません。ただ現状では少数点以下第三位を四捨五入してしまっているので、すべてSHIMADAS(2019)に統一した方が正確かも知れません。

沖縄県の島々は、SHIMADAS(2019)掲載の面積も沖縄県離島関係資料(R5)掲載の面積も全く数字ですが、住基人口の情報の一部が沖縄県離島関係資料(R5)に依拠しているので、これも現状のままで良いかも知れません。なお豊見城市の瀬長島については、沖縄県離島関係資料(R5)にも沖縄県統計年鑑(R4)にもリストアップされていないので、面積のデータはSHIMADAS(2019)の引用となります。その意味では、沖縄県のこれらの面積の出典元を全てSHIMADAS(2019)に統一した方が判り易いかも知れません。

広島県大竹市の猪子島に関しては、平成13年以前の広島県統計年鑑では0.10 km2、平成14年~平成19年の広島県統計年鑑では0.12 km2が掲載されていますが、実のところ前者の引用元は「日本島しょ一覧(改訂版)」((財)日本離島センター)、後者の引用元はSHIMADAS(2019年以前の版)であり、すべて結局のところ離島統計年報を出版している日本離島センターが情報源です。現状の有人島一覧ではしまっぷ統合版を引用して0.13 km2としておりますが、現状しまっぷ統合版のサイトが閉鎖されてしまったので、SHIMADASの0.12 km2に変更した方が良いかも知れません。

最後に山口県統計年鑑ですが、平成19年以前の版では周南市粭島の面積0.5 km2、下関市竹ノ子島の面積0.2 km2と、小数点以下第1位までしか示されておりません。一方平成20年以降は、SHIMADAS(2019年や2019年以前の版)を引用するようになった結果、粭島の面積は3.33 km2、竹ノ子島の面積は0.18 km2と、SHIMADASと同じ数値が掲載され続けております。粭島の面積に関しては、令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に1 km2以上の広さの島としては未掲載の時点で誤りです。しかしながらその場合、粭島の面積としてしまっぷ統合版、山口県統計書(H19)のどちらを採用するべきかという問題が発生します。現状のリストでは、粭島の面積としてサイトが消滅してしまっているしまっぷ統合版を引用して0.43 km2としておりますが、SHIMADASを引用する前の山口県統計書(H19)を出典元とするとなると、0.43 km2→0.50 km2への修正が発生します。

下関市の竹ノ子島についてはしまっぷ統合版の対象外となり、現状ではSHIMADAS(2019)の数値(0.18 km2)を引用しています。

改めて第六管区海上保安本部がまとめた「しまっぷ統合版」掲載の面積情報を、令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)、2021離島統計年報、SHIMADAS(2019)と比較してまとめてみました。有人島のほか、1 km2以上の大きさの無人島(離島統計年報の対象外)も含めてまとめています。

(開く)令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)・2021離島統計年報・SHIMADAS(2019)・しまっぷ統合版の面積比較

並べてみると分かりますが、しまっぷ掲載の面積は令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)掲載の面積とも大分異なるものが多いようです。

※面積は、六管区本部が独自に計算した、あくまでも参考値です。

ということで、おそらく地図などから算出したのでしょうが、いくら桁が多いからと言って全面的にその数値の有効を信用してはいけません。何より第六管区本部がサイトを消してしまったことにより、数字の算出方法に問題があったように見えます。

というわけで、現在の面積のうち、しまっぷ統合版を出典とする2島(粭島、猪ノ子島)の面積と出典を、それぞれ0.50 km2(山口県統計年鑑(H19))、0.12 km2(SHIMADAS(2019))に変更した方が良いのではないかと考えるに至りました。

【訂正】数字の間違いなど色々修正。

【追記】採用する面積の優先順位をまとめると:

1.令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)
2.2021離島統計年報【ただし、1.令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に未掲載なのに1 km2以上の面積が掲載されている場合や、面積情報に矛盾が見られる場合は採用しない。】
3.地方統計書【ただしSHIMADASなど、日本離島センターが提供する面積に依拠する場合は採用しない。】
4.SHIMADAS(2019)

3と4の優先順位を交換した場合、2021離島統計年報に漏れている長崎県と沖縄県の島々の面積が一通り「面積出典:SHIMADAS(2019)」となります。

なお岡山県笠岡市の六島(1.02 km2)および大分県佐伯市の深島(1.10 km2)は、令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)に未掲載であるにも関わらず、離島統計年報掲載の面積が1km2以上ですが、他の数字が得られていないので、現状では離島統計年報掲載の面積を採用しています。大分県統計年鑑も、平成26年度版まで深島の面積を1.10 km2(離島統計年鑑、SHIMADASと同じ)、平成27年度版以降は1 km2未満除外扱い(全国都道府県市区町村別面積調引用)で面積が掲載されていません。
[109233] 2023年 11月 2日(木)15:18:41【4】訂正年月日
【1】2023年 11月 2日(木)15:27:16
【2】2023年 11月 2日(木)15:50:14
【3】2023年 11月 2日(木)15:51:16
【4】2023年 11月 3日(金)01:14:39
YT さん
追加修正(SHIMADASで有人離島という扱いをされている鴎島、青島の追加)
[109222] オーナーグリグリさん

以上、日本の有人島一覧、ほぼ完成ということになりましたが、お気付きの点があれば今後ともよろしくお願いいたします。

[109229] 自分の投稿

現在SHIMADASを注文しており、入手次第改めてリスト漏れの有人島の可能性を検討し、人口の再確認を行います。

先程図書でSHIMADAS(2019年発売)を閲覧しましたが、幾つかの有人島を無人島扱いにするなど、色々抜けがありますね。

とりあえずSHIMADASで有人島扱いをしていた2島を追加すると、以下のような修正となります。

ただし北海道の鴎島は本土と埋め立てられており、扱いが微妙です。現状では鴎島はリストに載せるだけで、北海道の人口はそのままにした方が良いかも知れません(琵琶湖の沖島と同じ扱い)。

島名都道府県市区町村人口
2020
人口
2015
面積備考
鴎島北海道檜山郡江差町470.30字鴎島、面積出典:SHIMADAS
北海道北海道5,214,7915,370,64777,984.49(鴎島を別扱いにするのであれば)
北海道北海道5,214,7955,370,65477,984.49注:北海道檜山郡江差町の鴎島を含む
青島宮崎県宮崎市770.86青島二丁目の一部(基本単位区1430-02130)、面積出典:SHIMADAS
九州7県12,346,99112,546,67336,782.38新島(2015年:2人)、青島(2020年・2015年:7人)の修正に伴うもの

【追記】鴎島に関しては、以下の「■除外した法律指定外離島の項目」に、例えば「またSHIMADASに掲載の有人離島の内、北海道檜山郡江差町の鴎島も同様の理由により本表から除外。」のような説明を追記するだけでも良いかも知れません。とりあえず現状で[109229]に追加して修正する必要があるのは宮崎市の青島です。

■除外した法律指定外離島
上記の法律指定外離島のうち、島根県松江市の田島(大根島に接続)、香川県坂出市の瀬居島と沙弥島(四国本土に接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本土に接続)などは、ほぼ完全な埋め立てで独立した島ではなくなった地域として、本表からは除外。

【追記の追記】現在、仁右衛門島、城ケ島、江の島、賢島、横山島、大飛島、竹ノ子島、野牛島、瀬長島の面積の出典をネット上のritokeiにしていますが、これらは全てSHIMADAS(2019年)で採用されている面積と同一なので、ritokei にない青島を含め、出典は全てSHIMADAS(2019年)に統一可能です。
[109229] 2023年 11月 1日(水)20:30:39【3】訂正年月日
【1】2023年 11月 1日(水)20:42:09
【2】2023年 11月 1日(水)20:59:33
【3】2023年 11月 1日(水)21:04:28
YT さん
対馬の赤島・泊島、鹿児島の新島・馬毛島・種子島、九州の2015年の人口の修正
[109222] オーナーグリグリさん

以上、日本の有人島一覧、ほぼ完成ということになりましたが、お気付きの点があれば今後ともよろしくお願いいたします。

すみません。2015年の有人島別人口などについて、再度追加で間違いが見つかったので報告します。
2010年(平成22年)の国勢調査であれば、四国や九州本土と国勢調査の基本単位区を共有する島について分割データが揃っているので、正確な人口が求まると思い、追加で色々作業をしていたのですが、その過程で間違いに気づきました。

1.2015年人口等の修正

修正前
#島名都道府県市区町村人口
2020
人口
2015
246赤島長崎県対馬市2521
247泊島長崎県対馬市922
354新島鹿児島県鹿児島市20
355種子島鹿児島県西之表市・熊毛郡中種子町・熊毛郡南種子町27,69029,847
356馬毛島鹿児島県西之表市20
377九州7県12,346,99812,546,682

修正後
#島名都道府県市区町村人口
2020
人口
2015
246赤島長崎県対馬市2534
247泊島長崎県対馬市99
354新島鹿児島県鹿児島市22
355種子島鹿児島県西之表市・熊毛郡中種子町・熊毛郡南種子町27,69029,845
356馬毛島鹿児島県西之表市22
377九州7県12,346,99812,546,680

2.島名欄背景色の追加

#島名都道府県市区町村島名欄背景色
119猪子島広島県大竹市 「上記以外」

3.脚注の説明の修正

#島名都道府県市区町村修正前修正後
153大毛島徳島県鳴門市※注:鳴門町土佐土佐泊浦・三ツ石(高島を除く)※注:鳴門町土佐泊浦・三ツ石(基本単位区0030-03040を除く)
155島田島徳島県鳴門市瀬※注:瀬戸町堂浦・大島田・室・撫佐・小島田・中島田・北泊の一部(基本単位区0040-03140)・堂浦の一部(基本単位区0040-02200)※注:瀬戸町大島田・室・撫佐・小島田・中島田・北泊の一部(基本単位区0040-03140)・堂浦の一部(基本単位区0040-02200)

4.また、離島統計年報の数字とも異なる点が生じたので、以下の脚注の説明の追加を行った方が良いと思います。

#島名都道府県市区町村脚注
52沖島滋賀県近江八幡市※注:沖島町(基本単位区0820-00030を除く)
118阿多田島広島県大竹市※注:阿多田島
246赤島長崎県対馬市※注:美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00080,平成27年は基本単位区0600-00090の一部を含む)
平成27年は2016離島統計年報を元に修正
247泊島長崎県対馬市※注:美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00090,平成27年は基本単位区0600-00090の一部)
平成27年の人口は2016離島統計年報
248沖ノ島長崎県対馬市※注:美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00060~00070)
354新島鹿児島県鹿児島市※注:新島町
356馬毛島鹿児島県西之表市※注:馬毛島
397前島沖縄県島尻郡渡嘉敷村※注:字前島の一部(基本単位区0030-00020)

まず、鹿児島市の新島と西之表市の馬毛島ですが、2021離島統計年報には記載があるものの、2016年~2020年の離島統計年報には記載がありませんでした。しかしながら2015年以前の離島統計年報には、新島と馬毛島の名前が載っております。

島名都道府県市区町村人口
2020
人口
2015
人口
2010
人口
2005
人口
2000
備考
新島鹿児島県鹿児島市2【2】4512
馬毛島鹿児島県西之表市2【2】111502000年国調では0だが住民登録では有人(13人)

そこで念のため、2015年(平成27年)の国勢調査での小地域集計によって新島と馬毛島の2015年の人口を確認したところ、どちらも2020年(令和2年)と同じ2人でした!つまり2015年国調相当のデータが掲載されるはずの5年間、離島統計年報は新島と馬毛島の数字を欠落させてしまっていたのです。

この新島と馬毛島の2015年(平成27年)の人口を0人から2人修正するに伴い、種子島と九州の人口はそれぞれ2人減る方向に修正となります。

また[109221]でも触れた対馬の赤島、泊島、沖ノ島の人口問題について、改めて対馬全域について、過去の離島統計年報、長崎統計年鑑(データがあるのは2010年まで)、および国勢調査の基本単位区の年度ごとの数字を比較してみたところ、以下の通りとなりました。

島名元文献等人口
2020
人口
2015
人口
2010
人口
2010
人口
2000
対馬島離島統計年報28,37431,30134,23038,30141,016
対馬島長崎県統計年鑑34,23038,30141,016
海栗島離島統計年報5164705262
海栗島長崎県統計年鑑705262
基本単位区対馬市1220-00020(上対馬町鰐浦)国勢調査51647052
基本単位区上対馬町0180-00020(上対馬町大字鰐浦)国勢調査62
赤島離島統計年報2513464758
赤島長崎県統計年鑑464758
泊島離島統計年報99101215
泊島長崎県統計年鑑101215
基本単位区対馬市0600-00080(美津島町鴨居瀬)国勢調査25213130
基本単位区美津島町0220-00080(大字鴨居瀬)国勢調査31
基本単位区対馬市0600-00090(美津島町鴨居瀬)国勢調査9222530
基本単位区美津島町0220-00090(大字鴨居瀬)国勢調査42
上記2基本単位区の合計国勢調査3443566073
沖ノ島離島統計年報1839213241
沖ノ島長崎県統計年鑑213241
基本単位区対馬市0600-00060(美津島町鴨居瀬)国勢調査16151624
基本単位区美津島町0220-00060(大字鴨居瀬)国勢調査34
基本単位区対馬市0600-00070(美津島町鴨居瀬)国勢調査2358
基本単位区美津島町0220-00070(大字鴨居瀬)国勢調査7
上記2基本単位区の合計国勢調査1818213241
島山島離島統計年報2531303738
島山島長崎県統計年鑑303738
基本単位区対馬市0500-00010(美津島町島山)国勢調査25313037
基本単位区美津島町0120-00010(大字島山)国勢調査38

2020年の境界データを見る限り、対馬市の基本単位区0600-00080が赤島、0600-00090が泊島に対応しています。ところが2015年以前のデータでは泊島⊂0600-00090となっております。これはどうしてなのでしょうか?

改めてekinenpyouさんが揃えてくれた2015年の境域データを参照したところ、2015年と2020年の間で、基本単位区0600-00080と基本単位区0600-00090の範囲に変化があったことが確認されました。2020年の国勢調査時では、対馬市の基本単位区0600-00080が赤島、0600-00090が泊島に対応していましたが、2015年以前の段階では、基本単位区0600-00090が、泊島と、泊島の北東に隣接する小高い山(漁業協同組合の建物など)を含んでいることがわかりました。2000年~2010年の人口(長崎統計年鑑とも一致)からも加味して、2015年の泊島の人口は離島統計年報の9人、赤島は基本単位区0600-00090の残り(13人)と基本単位区0600-00080(21人)を含む34人を採用するのが妥当と判断しました。一方で離島統計年報記載の2015年の赤島と沖ノ島の人口はやはり誤りで、基本単位区0600-00090の13人を誤って沖ノ島の人口に加算してしまったことが原因と考えられます。

なお離島統計年報や長崎統計年鑑記載の2005年の赤島(24世帯47人)と泊島の人口(3世帯12人)の合計(27世帯59人)が、基本単位区0600-00080(14世帯30人)と基本単位区0600-00090(13世帯30人)の合計(27世帯60人)よりも1人少ないというエラーがあります。これに関して対馬本島に基本単位区0600-00080または基本単位区0600-00090の飛び地があったかの可能性も考えましたが、世帯数の方では合計が一致しているので、多分赤島と泊島に人口を分割する際に1人カウントミスをしてしまったのでしょう。

現時点で2010年の日本の有人島別人口も一応はまとまめたのですが、このように離島統計年報自体に誤りが色々あり、このほか有人島を見落としている可能性もあります。現在SHIMADASを注文しており、入手次第改めてリスト漏れの有人島の可能性を検討し、人口の再確認を行います。
[109221] 2023年 10月 30日(月)15:44:47【4】訂正年月日
【1】2023年 10月 30日(月)15:48:32
【2】2023年 10月 30日(月)15:55:05
【3】2023年 10月 30日(月)15:59:18
【4】2023年 10月 30日(月)16:43:56
YT さん
日本の有人島一覧(人口・面積等)追加訂正 (中ノ島・戸島(須崎市)・四国・高島(長崎市)・九州)
[109220] オーナーグリグリさん

[109215]を投稿するにあたり、2021離島統計年報は閲覧しましたが、それ以前の離島統計年報には目を通しておりませんでした。そのため[109215]で2020年(令和2年)国調人口が判明している離島振興法等指定離島の2015年(平成27年)国調人口については、元文献の数字を自分では確認していませんでした。

そこでさきほど2020離島統計年報やそれ以前の離島統計年報を確認したところ、2015年の国調人口として間違った数字を掲載してしまったものがあり、さらに推計人口について追加情報による修正がありましたので、以下まとめます。

1. 訂正 (長崎市高島の2015年国調人口訂正、須崎市の中ノ島・戸島の2020年・2015年国調人口の推計のやり直し、それにともなう四国・九州の人口訂正)

訂正前
#島名都道府県市区町村人口
2020年
人口
2015年
面積
(km2)
人口密度
(人/km2)
備考
219中ノ島高知県須崎市20230.18111nihonshima.netのWeb情報 (平成12年43人) と基本単位区0350-00080 (平成12年124人) の人口比より令和2年・平成27年の人口を推定
220戸島高知県須崎市390.378nihonshima.netのWeb情報 (平成12年16人) と基本単位区0350-00080 (平成12年124人) の人口比より平成27年の人口を推定
令和2年の人口は個人ブログにおいて令和元年時点で3人という情報による (人口比の計算からは7人)
225四国4県3,627,2923,769,01618,297.37198
286高島長崎県長崎市3243201.19272
377九州7県12,346,99812,546,74436,782.38336

訂正後
#島名都道府県市区町村人口
2020年
人口
2015年
面積
(km2)
人口密度
(人/km2)
備考
219中ノ島高知県須崎市16180.18892016離島統計年報 (平成22年23人) と基本単位区0350-00080 (平成22年86人) の人口比より令和2年・平成27年の人口を推定
220戸島高知県須崎市370.3782016離島統計年報 (平成22年9人) と基本単位区0350-00080 (平成12年124人) の人口比より平成27年の人口を推定
令和2年の人口は個人ブログにおいて令和元年時点で3人という情報による (人口比の計算からは6人)
225四国4県3,627,2963,769,02318,297.37198
286高島長崎県長崎市3243821.19272
377九州7県12,346,99812,546,68236,782.38336


すみません。まず長崎市の高島の2015年国調人口に関しては、単純に他資料からの数字の写し間違いです。長崎県長崎市の高島の2015年国調人口を、320人から382人に修正します。同時に九州の2015年国調人口も12,546,744人から12,546,682人に修正となります。2020年の国調人口自体には修正はないので、人口密度に変化はありません。

一方須崎市の中ノ島・戸島に関しては、

[109219] の方で

ところがnihonshima.netの方には、平成12年、平成7年の中ノ島・戸島の人口が掲載されています。今回こちらの平成12年の数字を、令和2年の人口推定に用いました。結局nihonshima.netの数字の引用元がはっきりしませんが、離島統計年報のバックナンバーなどと推察します。

と書きましたが、改めて2016年以前の離島統計年報を確認したところ、なんと2010年、2005年、2000年の中ノ島・戸島の国調人口が、法律指定外離島として掲載されていることが判りました。結局nihonshima.netの数字も離島統計年報のものと同じです。2015年以降については島別の国調人口の掲載を止めてしまったようです。前の計算結果と比較すると、前の版で2000年の人口を元に2015年の推定人口として出した23人、9人というのは、2010年の実際の国調人口と一致し、島の過疎化は加速していました。

島名人口
2020年
人口
2015年
人口
2010年
人口
2005年
人口
2000年
中ノ島233643
戸島9816
須崎市基本単位区0350-00080586786100124

改めて2016離島統計年報記載の中ノ島・戸島の2010年国調人口を元に、中ノ島の2020年・2015年の推計人口、戸島の2015年の推計人口を算出し直しました。それにともない四国の2020年・2015年の推計人口も微増修正となります。また中ノ島の2020年国調人口が減ったことにより人口密度も減ります(四国の方は誤差範囲)。

2. 2020離島統計年報掲載の2015年(平成27年)国調人口が明らかに間違っているもの

島名都道府県市区町村2020離島統計年報記載の
2015年国調人口
YTによる修正値備考
沖島滋賀県近江八幡市287273※沖島町(基本単位区0820-00030を除く)
赤島長崎県対馬市1321※美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00080)
泊島長崎県対馬市922※美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00090)
沖ノ島長崎県対馬市3918※美津島町鴨居瀬の一部(基本単位区0600-00060~00070)
渡嘉敷島沖縄県島尻郡渡嘉敷村730728
ナガンヌ島沖縄県島尻郡渡嘉敷村2※前島の一部 (基本単位区番号0030-00030)
ナガンヌ島は2020離島統計年報に記載なし

実はこれらは全てekinenpyouさんが違和感を記述していたので、事前に織り込み済みで修正していまました。

琵琶湖の沖島は近江八幡市沖島町にありますが、これは陸地側の基本単位区0820-00030(令和2年22人・平成27年14人)を含みます。2020離島統計年報掲載の2015年国調人口は、がっつりこの14人を加算した287人が示されており、明確に間違いです。2021離島統計年報掲載の202年国調人口年分については、きっちり22人が除外されています。

対馬の沖島・赤島・泊島の2015年国調人口については、2020離島統計年報などで何でこのような集計の間違いを犯したのかはよく分かりません。集計する過程で、先に対馬島全体の人口を計算したあと、その後修正する過程でうっかり赤島分21人の男13人、女9人をそれぞれ赤島と泊島の総人口としてしまい、差分を沖ノ島の人口に含めてしまったとか?2021離島統計年報掲載の2020年国調分については、正しい処理がなされています。

島尻郡渡嘉敷村の渡嘉敷島については、2020離島統計年報では島尻郡渡嘉敷村の2015年(平成27年)の国調人口730人をそのまま渡嘉敷島の2015年国調人口にあてはめてしまっています。しかしながら実際には2015年国調人口では島尻郡渡嘉敷村字前島の一部に相当するナガンヌ島に2人おりますので、明確に誤りです(字前島はナガンヌ島よりも前島がメインですが、こっちは2015年国調人口は0人で、住基人口では前島もナガンヌ島も有人となっています)。2021離島統計年報掲載の島尻郡渡嘉敷村の2020年国調人口については、ナガンヌ島も前島も国勢調査の上では無人化していて正しい数字になっています。

3. 2020離島統計年報において、離島を分離していない処理がなされているもの。

島名都道府県市区町村2020離島統計年報記載の
2015年国調人口
YTによる修正値備考
阿多田島広島県大竹市252251
猪子島広島県大竹市1離島統計に記載なし

これは微妙な問題です。ekinenpyouさんの指摘により猪子島の人口1人を阿多田島の人口から分離したのですが、改めて2020離島統計年報を閲覧したところ、阿多田島の人口は252人となっていました。2021離島統計年報掲載の2020年国調人口分については、猪子島自体が無人化していてどっちの解釈でも問題ない数字になっています。

あと、271 竹ノ島、273 前島、274 鹿島などで、「離島統計年報」が「離島統統計年報」となっていた箇所があります。これは自分の作成した資料の方での誤記が原因なので申し訳ありません。

【重要な訂正】:長崎市高島の2015年国調人口は382人です。386人と最初の投稿で書いてしまいましたが、382人の間違いです!

結果として本土(四国・九州)と離島で国勢調査の基本単位区で人口を分離できない島について、2010年以降の国調ベースの分割データが全て揃うこととなり、さほど無理やりな推定人口でもなくなったようです。
[109219] 2023年 10月 30日(月)00:31:51【1】訂正年月日
【1】2023年 10月 30日(月)00:42:38
YT さん
日本の有人島一覧(人口・面積等)
[109218] オーナーグリグリさん

今回は忘れないようにすぐに取り掛かりました。[109215] YTさんの記事をもとに取り急ぎ編集しましたので、解釈ミスや間違いがあると思います。ご確認いただければ助かります。→ YTさん

ありがとうございます。ただ、私が【】付きで示した、人口推定を行った島の一部については、区分の色が抜けてしまっています。

以下は「法律指定外離島」です。

73 黒島 (岡山県瀬戸内市)
219 中ノ島 (高知県須崎市)
220 戸島 (高知県須崎市)
271 竹ノ島 (長崎県西海市)
273 前島 (長崎県西彼杵郡時津町)
274 鹿島 (諫早市)
336 黒島 (大分県臼杵市)

以下は「上記以外」になります

49 賢島 (三重県志摩市)
50 横山島 (三重県志摩市)
265 前島 (長崎県佐世保市)
266 鼕泊島 (長崎県佐世保市)
281 南串島 (長崎県西海市)

また、265前島と266 鼕泊島の平成27年の人口(それぞれ72人、64人)のソースは「2021離島統計年報」記載ではなく、nihonshima.netです。ただ合算した数字にあたる136人は、平成27年国勢調査における佐世保市内の基本単位区2750-00040の人口136人とも一致したので、何等かの公的な数字に基づくと思われます。

参考までに長崎県統計書では平成28年版まで、「島しょ一覧」という項目があり、島ごとに国勢調査人口が示されていました。平成28年版に掲載されていたのは平成22年10月1日現在の人口(でも面積の方は平成27年10月1日現在となっている)です。残念ながら平成29年度版以降は、1km2以上の面積の島の情報のみで、また島嶼の詳しい人口の情報も掲載されなくなりました。

参考までに長崎県統計書(平成28年)から関連する島嶼の情報を以下にまとめます。

市町島名面積(平成27年10月1日現在)世帯数(平成22年10月1日現在)人口(平成22年10月1日現在)
佐世保市前島0.3092368
佐世保市とう泊島0.0982176
西海市竹島0.08024
西海市南串島0.6853298
諫早市鹿島0.15838
西彼杵郡前島0.26325
新上五島町中通島168.3108,74020,159
新上五島町桐小島0.04038

この内、中通島と桐小島の方は2021離島統計年報に令和2年国勢調査人口の数字が記載されています。
竹ノ島(長崎県統計書では「竹島」表記)、前島、鹿島については2021離島統計年報に平成27年国勢調査人口の数字が記載されていますので、令和2年については人口推定を行いましました。
前島と鼕泊島(長崎県統計書では「とう泊島」表記)については、nihonshima.netの方に平成27年国勢調査人口の数字が見つかりましたので、令和2年については人口推定を行いましました。
南串島だけは、2021離島統計年報に情報がなく、平成22年の人口から令和2年、平成27年の人口を推定しました。

なお、長崎県統計書と同様に高知県統計書の方でも過去に島嶼別人口が掲載されていましたが、こちらは平成3年度版までで島嶼毎の人口の記載が終了し、平成4年以降は面積1km2以上の島のみ掲載と情報が劣化しています。高知県統計書(平成3年)における関連する島のデータは以下の通りです。

所属地名周囲(km)面積(km2)世帯数(平成2年10月1日現在)人口(平成2年10月1日現在)総数
中ノ島須崎市多ノ郷1.690.213532330
戸島須崎市多ノ郷2.820.14241212

小地域統計が公開されているのは平成7年の国勢調査以降なので、残念ながら平成2年の人口からは、市の総人口に対する各島の人口の割合を使って人口を推定する必要となっていまいます。ところがnihonshima.netの方には、平成12年、平成7年の中ノ島・戸島の人口が掲載されています。今回こちらの平成12年の数字を、令和2年の人口推定に用いました。結局nihonshima.netの数字の引用元がはっきりしませんが、離島統計年報のバックナンバーなどと推察します。

ところで、企画名称は「日本の有人島一覧(人口・面積等)」の方がよかったでしょうか。変更しようと考えています。

これに関しては「有人島」と明記した方がより正確だと思います。
[109215] 2023年 10月 29日(日)00:48:02【3】訂正年月日
【1】2023年 10月 29日(日)00:56:08
【2】2023年 10月 29日(日)02:13:35
【3】2023年 10月 29日(日)02:56:54
YT さん
令和2年、平成27年の有人島別国勢調査人口
ekinenpyouさんが[97639]で有人離島の情報をまとめられてから、すでに4年半も経っていますが、先日図書館で『2021 離島統計年報 CD-ROM版』を閲覧する機会に恵まれました。本書には、離島振興法などに指定された離島の令和2年の国勢調査人口がまとめられているほか、法律指定外離島についても人口(ただし平成27年国勢調査人口)がまとめられています。なお面積については平成27年10月1日基準のままです。

そこでこれを機に日本の有人島の国勢調査人口、面積をまとめてみようと試みました。

ただし完璧ではありません。

すでにekinenpyouさんが過去に示されたように、離島統計年報から漏れている島が大量にあります。一応ritokeiの有人離島一覧を参考にして、漏れている数字を補いました。さらにekinenpyouさんが[97639]でまとめられたデータと、国勢調査の小地域(基本単位区)の統計地理情報システムを駆使して、なんとか数字を揃えてみました。

細かいところで、こことここは別の島だろ!とか、ここは繋がっていない?とか突っ込みどころは大量にありますが、とりあえず足掛かりとして有人島の令和2年、平成27年における人口をまとめます。面積については、国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調により、令和2年10月1日時点の面積データに更新しましたが、情報が得られるのは1km2以上の島のみです。人口密度に関しては、一応令和2年基準で計算しましたが、1km2未満の島については平成27年基準など、とりあえず得られた面積データを使って人口密度を計算しました。

島についているマークは:
マーク無し:『2021 離島統計年報 CD-ROM版』収録の、離島振興法等指定離島
*:『2021 離島統計年報 CD-ROM版』収録の、法律指定外離島
**:『2021 離島統計年報 CD-ROM版』に収録されていないが、「ritokei」などの有人離島リストに掲載されているもの
***:北海道、本州、四国、九州、沖縄島(人口は差分で計算)
【】:推定人口の項目(重複あり)

を意味します。*や**のマークがあるものに関しては、2020年の人口を算出する際に、小地域集計の情報が必要で、計算に用いた大字・町名、あるいは字・丁目などを備考欄に示します。

なお、『2021 離島統計年報 CD-ROM版』収録の法律指定外離島であっても、島根県松江市の田島(大根島に接続)、香川県坂出市の瀬居島、沙弥島(四国本土に接続)、長崎県長崎市の香焼島(九州本土に接続)などはほぼ完全な埋め立てで独立した島ではなくなった地域となってしまっているので、本表から除外します。

幾つか注意点としては
1.国土地理院が規定する「島」は、周囲長0.1km以上の海岸線で囲われた自然島であり、人工島は島とはみなされません。よって関空や、神戸のポートアイランド、東京湾の平和島や令和島やお台場などは本州島の一部とされます。
2.琵琶湖に浮かぶ沖島は、上の基準では島ではありませんが、法令上離島振興法等指定離島となっているのでリストに含まれています。琵琶湖は本州の面積に含まれており、沖島の人口も本州の人口に含めました。
3.高知県須崎市の中ノ島・戸島の人口は、本土分と分離できなかったものの、推定人口を算出しました。これにより、四国の人口は正確には計算できませんが、誤差は±10人程度でしょう。
4.長崎県西海市の竹ノ島・南串島・西彼杵郡時津町の前島・諫早市の鹿島・大分県臼杵市黒島なども国勢調査の基本単位区では本土分と分離できませんでしたが、離島統計年報には国勢調査の基本単位区をさらに分割した数字が掲載されています。ただし竹ノ島、前島、鹿島、黒島は平成27年国調、南串島は平成22年国調ベースの分割された人口の情報が存在します。今回基本単位区に占める人口比から、推定人口を算出しました。これにより、九州の人口は正確には計算できませんが、誤差は±20人程度でしょう。
5.長崎県南松浦郡新上五島町の中通島と桐ノ小島については令和2年の国調ベースの分割人口が離島統計年報に掲載されていたので、そのまま使用しました。
6.以上のほか、いくつかの島で人口比などによって令和2年の推定人口を算出しました。
7.熊本県の大矢野島・野牛島だけは人口を分離するのに必要な根拠となる数字が全く見つからなかったので、推定人口を算出しませんでした。航空写真から家屋の数を見る限り、おそらく野牛島は10人~20人前後でしょうが。野牛島は一度無人化した後、道が繋がることで娯楽施設や店舗が建設され、再度有人化したという感じのようです。

(開く)日本の有人島の人口、面積一覧

人口密度が一番高いのは沖縄県の奥武島の3,217 人/km2ですが、人工島をリストに加えることが可能であれば、人口密度1万人/km2クラスがたくさん出現しそうです。

最後に日本の人口上位30位までの島の一覧です(人口1万人以上)。唯一分割に至っていない大矢野島・野牛島が30位につけました。

順位島名都道府県2020年
人口 (人)
2015年
人口 (人)
2020年
面積 (km2)
2015年
面積 (km2)
2020年
人口密度
(人/km2)
備考
1本州1都2府31県102,577,820102,978,572227,939.72227,942.41450.02琵琶湖の沖島を含む
2九州7県12,346,99812,546,74436,782.3836,782.35335.68南串島・竹ノ島(長崎県西海市)・鹿島(長崎県諫早市)・前島(長崎県西彼杵郡時津町)の人口推定処理の影響あり
3北海道北海道5,214,7955,370,65477,984.4977,984.4166.87
4四国4県3,627,2923,769,01618,297.3718,297.59198.24中ノ島・戸島(高知県須崎市)の人口推定処理の影響あり
5沖縄島沖縄県1,335,7331,301,7831,208.531,206.961,105.25
6淡路島兵庫県126,980134,717592.51592.55214.31
7天草下島熊本県65,93771,523574.95574.94114.68
8奄美大島鹿児島県57,51159,828712.41712.3580.73
9佐渡島新潟県51,49257,255854.81854.7660.24
10宮古島沖縄県47,67645,625158.93158.87299.98
11石垣島沖縄県47,63747,564222.24222.25214.35
12福江島長崎県31,94534,419326.36326.3197.88
13対馬島長崎県28,37431,301695.74696.4440.78
14種子島鹿児島県27,69029,847444.30444.3062.32
15小豆島香川県25,88127,927153.26153.25168.87
16壱岐島長崎県24,67826,750134.63134.63183.30
17天草上島熊本県23,77226,317225.93225.90105.22
18彦島山口県23,60626,38610.5810.582,231.19
19江田島・
能美島
広島県21,92424,33091.3391.32240.05
20徳之島鹿児島県21,80323,497247.85247.8587.97
21向島広島県20,99422,31122.3122.31941.01
22因島広島県20,43521,94735.0435.03583.19
23平戸島長崎県16,24017,698163.44163.4099.36
24中通島長崎県16,11318,113168.39168.3195.69
25倉橋島広島県15,10616,77669.4669.46217.48
26屋代島山口県14,47716,766128.48128.48112.68
27島後島根県13,43314,608241.53241.5555.62
28沖永良部島鹿児島県11,99612,99693.6593.65128.09
29屋久島沖縄県11,76512,913504.29504.2923.33
30大矢野島熊本県11,09011,90530.2030.20365.77野牛島(0.12 km2)の人口を分離せず(人口密度は30.32 km2で算出)

淡路島までは想像できたのですが、幕末に人口10万人を超えていたはずの佐渡島が半減している状況でびっくり。九州の離島が上位を占めています。沖縄県を除きどの地域も人口が減少していますが、本州の人口が1憶人を切るのもそう遠い未来ではなさそうです。

【誤字訂正、順位追加、九州本土は7県、前島(0.309km2)・鼕泊島(0.098km2)・南串島(0.085km2)の面積を小数点以下二桁に修正し人口密度も修正】
[107981] 2023年 6月 11日(日)22:24:18YT さん
経県と、苗字の漢字の問題
5月以降、滅茶苦茶忙しいモードに入ってしまい、色々な作業がストップしてしまってます。特に水曜日は朝6時起き、そのための準備で日曜日から火曜日までの深夜が潰れ、水曜日の深夜も疲れてなにもできず・・・の状態になってしまい、折角の色々面白いネタにも反応できませんでした。経県の話題が復活して来たので、今改めてその話題を投稿します。

[107878] サヌカイトさん

さて中身ですが、タイトルの通り「特殊ランキング」になります。といってもそんな難しい計算を用いたものではなく、ごく単純に(全県登録でない方含む)全登録者の中で「居住+宿泊」「訪問」「接地」「通過」がそれぞれただ1人だけのものが、いったい誰だったのかを調べて集計しました。

中々面白い視点でのまとめですね。ただ自分は基本、地方に行くのは仕事関連施設のある大きな都市か、家族旅行かだけですので、それにもかからわず、経県値特殊ランキングに宿泊(居住含む)が2つもあるのは本当かな?と思って調べて見ましたが、もしかしたら本当は1つかも知れません。

京都府京田辺市:これは京都厚生年金休暇センター(現在の名称:ウェルサンピア京都)ですね。ここで開かれたセミナーに学生時代に参加したのですが、いくら騒いでも周囲から文句を言われないところ・・・ということで、ここに泊まりました。当時はまだアルハラ上等の時代かつ、微妙に体育会系な分野ですので、下戸の私には色々つらかったです。

千葉県山武市:これ、もしかしたら違うかも知れません。これも学生時代、研究室旅行で九十九里浜に行ったのですが、大学生協から申し込み可能な安い雑魚寝の宿に泊まりました。ただ計画を立てたのは自分ではなく、どこに泊まったかの記憶が曖昧なのです。行きの電車は教授と二人きりの空間にいたために緊張し、どこの駅で降りたかの記憶が吹っ飛んでおり、なんとなく当時の風景とGoogle mapの映像から、蓮沼周辺だったかな?と思って勝手に山武市を宿泊設定にしたのですが、もしかしたらもっと東側:横芝光町、匝瑳市、旭市、銚子市のどこかかも知れません。そうなってくると「通過」が増えることになります。

[107811] オーナーグリグリさん
ところで私の「苗字が市名と同音同字の人」は考えてみたのですが、これまでの経歴からは会話した人の数が非常に多いため、記憶が極めて曖昧でとてもリストアップできる精度ではありません。

私は典型的な市名苗字の人です。しかも「東松山市」と「松山市」の如く、苗字の一部を含む市も存在していたりします。苗字の人口も比較的上位の方なので、多分皆さんの多くのリアルの知り合いに、私と同姓の人間はいると思います。

ただ・・・厳密にいうと、本籍の漢字は、旧字体、新字体とも異なる異字体、かつ漢字の形がSHIFT-JIS登録のものとも微妙の異なる字体だったのですが、ここ20年間の間の戸籍の電算化の過程で、戸籍に使われていた漢字の微妙な違いが、SHIFT-JISに登録されているものへ強制的に書き換えられてしまったのです。私の場合は8年前に結婚してから本籍の漢字の字体が強制的に変えられたことに気付かされました!当時住んでいた川崎市の区役所の説明によると、法的にも電算化の際の漢字の字体の変更は、対象者の同意は必要ないものになっている、とのことでした。まあそれはどうでも良いと言えばどうでも良いのですが、警察署に受け継がれている運転免許書の本籍の漢字と、役所の戸籍の漢字が異なるというわけのわからない状態になっています。運転免許書とマイナンバーカードの一本化に警察が抵抗する限り、本籍の漢字二本立て体制は続きそうです(てか住基カードはどうなったの?引っ越した先の市では住気基カードの読み込み装置が操作不良で、妻の住基カードはほとんど使うことなく、読み取り不良原因不明のまま廃止となってしまいました)。

いや、本当は漢字はどうでも良かったのです。もともと学生時代までは新字体しか使っていませんでした。私の父母も戦前生まれですが、文章執筆の際には新字体を使ってますし、そもそも試験などでは新字体の方が時間短縮になるので、本籍の漢字を意識することなどはありませんでした。運転免許書だけは当時の本籍の異字体の漢字を使いましたが、銀行のカードも新字体でした。ところが社会人になってから事務関連で強制的に本籍の漢字を使えとなり、その結果文章執筆では従来通りの新字体、予算関連では本籍の異字体の混合状態となり、その本籍の漢字もいつのまにかSHIFT-JIS登録の字体となり、自分の仕事関連のホームページでは何か旧字体と異字体と新字体が混ざって表示されており、もうどうしようもない状況です。本来なら運転免許書なんて表に出ないので、新字体だけのままでよかったのですが、社会人になってから事務が煩かったせいで、後戻りできない中途半端な漢字使いになってしまいました。
[107732] 2023年 4月 26日(水)00:11:37YT さん
折りたたみ機能について
[107718] オーナー グリグリさん

YTさんへ

勝手に記事を利用して申し訳ありません。折りたたみ機能の効果を評価したいと思い利用させていただきました。できるだけ早くこの機能を書き込みで利用できるようにしますので、何卒ご協力をよろしくお願いいたします。

皆さんへ
折りたたみ機能は、表に限らず折りたたみたい部分を次のような指定で囲むことで実現する予定です。
現在の%%による引用と同じような指定方法でタイトルが付けられる。

@@タイトル
(この部分に折りたたむ部分を記述する)
@@

「タイトル」は(開く)や(閉じる)の後ろにつけるタイトルになります。
サンプルの文字色、背景色、機能などいかがでしょうか。ご意見をお待ちしています。

わざわざこのような機能を作って頂き、大変申し訳ありせん。
今後とも活用させて頂きます。

ところで検索アイコンの問題ですが、自分はWindows 10でFirefox Ver バージョン112.0.1 (64ビット)、Microsoft Edge バージョン112.0.1722.58(公式ビルド)(64ビット)、Android 11でGoogle Chrome 112.0.5615.136などを使っておりますが、全くそのような検索アイコンが出てきません。個人的にアドオンを極力無効にして使ってますので、どちらかというと何等かのアドオンの動きを誘発してしまっているのではないでしょうか?
[107714] 2023年 4月 25日(火)01:04:31【7】訂正年月日
【1】2023年 4月 25日(火)01:06:30
【2】2023年 4月 25日(火)01:11:35
【3】2023年 4月 25日(火)01:19:06
【4】2023年 4月 25日(火)04:47:37
【5】2023年 4月 25日(火)08:12:21
【6】2023年 4月 25日(火)08:24:51
【7】2023年 5月 25日(木)17:03:15 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年(1889年)12月31日における日本国内の人口上位1位~250位市区町村など
すでに[107044][107045]で、人口上位1000位までの市区町村の表を示していますが、改めて人口上位250位までの市区町村の表をここに掲載します。今回は、高松城下や丸亀城下、小樽・江差・福山市街、あるいは町村制導入前の戸長役場や間切番所、島番所の管轄となる町村連合、沖縄県や奄美の伝統的な方、間切別の人口を併せて掲載しますが、順位を振るのはあくまでも市区町村のみで、市街、町村組合、町村連合、間切、方等々は、人口を載せるのみで、順位は降りません。表の内、「文献値」とは、『日本帝国民籍戸口表』の「各地方現住一万人以上市区町戸口表」または「各地方郡市戸口表」、あるいは『日本帝国人口静態統計』の「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」に掲載された現住人口で、「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口を優先して採用しています。251位以下であっても、県庁所在地の宮崎町(現在の宮崎市域内でも明治22年段階で最大の現住人口を有していた)、浦和町(現在のさいたま市域内でも明治22年段階で最大の現住人口を有していた)、那覇東村(【訂正:当初那覇番所の設置されていた那覇東村を県庁所在地としてましたが、県庁は那覇区成立までずっと那覇西村に置かれてたことが後から分かったので表も那覇西村に追加訂正します】現在の那覇市域内でも明治22年段階で最大の現住人口を有していた)、及びのちの政令指定都市の中心となる橘樹郡川崎町(但し現在の川崎市域内では明治22年段階で橘樹郡大師河原村5,118(890位)の方が人口が多かった)と大住郡大野村(大字淵野辺を含み、現在の相模原市域内でも明治22年段階で一番人口が多かった)については、参考として表の最後の部分に順位・人口を載せます。

なお伊豆七島の大島新島村、岡田村、泉津村、野増村、差木地村、波浮港、波浮港、新島の新島本村、若郷村、三宅島の神着村、伊豆村、伊谷村、阿古村、坪田村、八丈島の大賀郷、三根村、中之郷、樫立村、末吉村、八丈島小島の鳥打村、宇津木村、小笠原島父島の大村、扇村、袋沢村、母島の北村、沖村、聟島、弟島、媒島は、個々の町村別人口が得られなかったため、順位の対象外です。大島5,991人、新島2,886人、三宅島3,235人、八丈島8,430人、八丈島小島393人、小笠原島1,658人に関して、島単位で順位に組み込むことも考えましたが、八丈島などは人口8,430人と上位250位に食い込むほど人口が多いため、順位算出に入れると問題が発生します。『明治三十一年日本帝国人口統計』の段階では、新島本村3,081人、八丈島大賀郷2,724人、八丈島島三根村2,480人などが伊豆七島の人口上位の町村となります。

(開く)明治22年(1889年)12月31日における日本国内の人口上位1位~250位市区町村
[107713] 2023年 4月 25日(火)01:00:01【2】訂正年月日
【1】2023年 4月 25日(火)01:02:05
【2】2023年 5月 25日(木)17:09:20 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.75
[107047]でアップロードした明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.50ですが、その後丸亀営所の位置[107127]、『戸籍表 明治二十二年 上』『戸籍表 明治二十二年 下』という新たな資料の発見に伴う、市の出入寄留データの追加[107191]、入寄留の陸海軍在営艦者の改訂[107199]、無籍在監人と入寄留の囚人及懲治人の改訂[107648]で示すような修正を加え、改めて明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.75としてアップロードし直しました(すみません、ZIP圧縮せずに、エクセル形式(xlsx)のままアップロードしてしまいました)。

https://u6.getuploader.com/SR1gou/download/932

また鹿児島県大島郡に関しては、伝統的な方、間切の区分を追加しました。異なる島で同一の方、間切の名称が使われているケースがあるため、大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島も追加です。また北海道庁に関しては異なる郡に戸長役場町村連合が分布することがあるため、そのようなケースでは各郡毎に/連合(一部)/という、町村連合を分割した項目を追加しました。鹿児島県大島郡では、戸長役場管轄町村連合の区分を優先し、方、間切の方を分割して、/方(一部)/、/間切(一部)/という区分を追加しました。というのは、例えば『明治三十一年日本帝国人口統計』などを見てわかるように、鹿児島県大島郡では戸長役場管轄町村連合の区分が、方や間切などの伝統的な行政区分に優先しているからです。一方で沖縄県の場合の町村連合は、戸長役場管轄によるものではなく、島番所という中途半端な制度(例えば宮古島や八重山島は、それぞれの単一の島番所が間切、島を管轄した)の管轄を示すものであったため、『明治三十一年日本帝国人口統計』でも間切とう伝統的な行政区分で集計されることになりました。鹿児島県大島郡も沖縄県も、『明治三十一年日本帝国人口統計』では町村制施行前の町村別人口が示されておらず、明治22年~明治30年の戸籍表の時代よりも結果として得られる人口データが減ってしまっています。

以上のほか、富山県の市部は、市の出入寄留データの追加により必要なくなったので削除しました。区分に関しては、以前は/町丁/と/大字/を区別していましたが、明治22年当時は「~町」なども大字として扱われるのが普通だったようなので、すべて/大字/に統一しました。また計算式の加算、減算をすべてSUM関数表記にまとめ、計算式をより簡略化しました。さらに徴発物件一覧表掲載の人口との比較において、参考とする計算式の中身の説明を極力つけることにしました。以下にVer 0.75における主な変更点を列挙します(差分等の追加は除く)。

(開く)明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.75

最終的に残った問題点は

1. 東京府伊豆七島の内、大島の新島村、岡田村、泉津村、野増村、差木地村、波浮港、波浮港、新島の新島本村、若郷村、三宅島の神着村、伊豆村、伊谷村、阿古村、坪田村、八丈島の大賀郷、三根村、中之郷、樫立村、末吉村、八丈島小島の鳥打村、宇津木村、および小笠原島父島の大村、扇村、袋沢村、母島の北村、沖村、聟島、弟島、媒島については、各町村別人口の情報が欠落。

伊豆七島の内、大島、利島、新島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島(八丈島小島と青ヶ島を含む)および小笠原島については、それぞれの出入寄留データが存在し、結果として、一島一村状態の利島、神津島、御蔵島については、町村相当の島単位での人口データは得られます。また広義の八丈島を構成する、狭義の八丈島、八丈島小島、青ヶ島に関しては、『明治二十二年 東京府統計書』により、本籍人口、現住戸数、現住人口のデータが存在します。こちらの本籍人口、現住人口の数字を合算した結果が広義の八丈島の戸籍表からの数字と一致するので、人口データとして採用しました。

2. 虫食いのため、茨城県東茨城郡の一部の町村(石崎村、河和田村、長岡村、上野合村、伊勢畑村、磯浜町)の出寄留の囚人及懲治人が正確に得られず、現住人口が正確に算出できない。

これに関しては、虫食いの状況と、そこからの推定の根拠は以下の通りです。東茨城郡常磐村の出寄留の囚人及懲治人の部分は、和紙修正の過程で横にやや回転した状態の「八」が確かに書かれていると判断し、8を確定値としました。

町村府県庁本籍人口官報掲載[出]囚人及懲治人(推定)虫食いの状況現住人口(未確定)
東茨城郡石崎村茨城県2,6332,7152一または二2,711
東茨城郡河和田村茨城県1,9581,9523欠落1,948
東茨城郡長岡村茨城県3,2743,2963三または二3,289
東茨城郡上野合村茨城県2,6642,6695五または一2,662
東茨城郡伊勢畑村茨城県1,2521,2391一または二1,237
東茨城郡磯浜町茨城県8,8968,86813一三または一二8,850

3. 北海道庁釧路郡に所属する町村(真砂町、米町、洲崎町、幣舞町、浦見町、釧路村、桂恋村、鳥取村、昆布森村、跡永賀村、仙鳳趾村)に関し、郡全体での他町村出寄留は4人となっているものの、町村別の他町村出寄留が空欄となっており、これらの町村のいくつかの現住人口を正確に算出できない。

これに関しては対処不能なので、とりあえず各町村の他町村出寄留を0として算出しました。

2026年まで総務省第二庁舎耐震改修工事が続くため、しばらく戸籍表の原本の閲覧はできませんが、おそらく3年後に原本を閲覧しても、これ以上の大きな修正はないと思われます。



なお、さきほど偶然知ったのですが、古今署員より奥井正俊著『日本近代全国市町戸口表:国勢調査以前の戸口・人口のパネルデータ』という本が来月発売されるようです。
[107687] 2023年 4月 23日(日)01:36:38【1】訂正年月日
【1】2023年 4月 23日(日)01:38:22
YT さん
母をたずねて六千ミッリャ≡100,000/9キロメートル≡687,500/243里≒2829里
本当は明治22年12月31日調の市区町村別現住人口の修正版をアップロードしようとしてたのですが・・・どうでも良い話ではあるものの、地理には深く関わる話題に時間を取られてしまったので、そちらの話を投稿します。

自分の息子が読んでいる本に「あたまが コんガらガっち劇場「りりりりりりりりり」の謎」というのがあり、そこの中にネタとして、「母をたずねて3000マイル」という映画が登場します。これに関して息子が「3000マイルってどのくらいの距離?」と妻に質問して、それに対して妻は「1マイルが約1.6キロメートルだから、約4800キロメートル」と答えていました。

まあそれはいいんですが・・・あれ?4800キロメートルってイタリアからアルゼンチンまで全然届かない?てか「三千里」の「里」って、日本の距離の単位の「里」?原文ではどうなっているの?と疑問に思い、色々調べてみました。

まず「母をたずねて三千里」ですが、エドモンド・デ・アミーチス著「クオーレ」に挿入されている「アペニン山脈からアンデス山脈まで」 ”Dagli Appennini alle Ande”を原作とします。邦訳の方は青空文庫の方に日本童話研究会訳『母を尋ねて三千里』というのがあります。そこから文章中で三千里という言葉を探すと

けれども彼女はまるで死んだように眼をとじていました。主人と奥さんとはろうそくのかすかな光でこのあわれな女を見守っていました。「家を助けるために三千里もはなれた国へきて、あんなに働いたあとで死んでゆく。ほん当に可哀そうだ。」主人はこういってそこにぼんやりと立っていました。

「三千里」というのは邦訳の本文中でこの一回しか登場しません。残念ながら自分はイタリア語はほとんどできないので、まず英語訳から該当箇所を見てみましょう。幸いなことにProject Gutenbergに、"Cuore, libro per i ragazzi by De Amicis, Edmondo, 1846-1908"が見つかりました。該当箇所を見ると、

But she closed her eyes then in exhaustion, and fell into a doze, so that she appeared to be dead. And her master and mistress remained there a little while, by the faint light of a taper, watching with great compassion that admirable mother, who, for the sake of saving her family, had come to die six thousand miles from her country, to die after having toiled so hard, poor woman! and she was so honest, so good, so unfortunate.

あれ? six thousand miles from her country? つまり6000マイル?ということは、母をたずねて三千里の三千里は、翻訳者が日本の伝統的な尺貫法に換算した結果ということなのでしょうか?とりあえず

1 国際マイル ≡ 1.609344 キロメートル

そして日本の里は、

1 里 ≡ 216/55キロメートル ≒ 3.927キロメートル

ですので、

1 国際マイル ≡ 15367/37500 里 ≒ 0.409787 里

つまり

6000 国際マイル = 2458.72 里

これだと母をたずねて2500里で、上二桁目で四捨五入してしまうと二千里になってしまいます・・・

改めてイタリア語の該当箇所を探してみましょう。するとクオーレのイタリア語原文"Cuore, libro per i ragazzi"から該当箇所を見てみますと:

che per salvare la sua famiglia era venuta a morire a seimila miglia dalla sua partria,

seimila (セイミーラ)が「6000」、miglia (ミッリャ)が英語のマイルに相当する長さの単位、dalla sua patria が「彼(女)の祖国から」

つまりイタリア語の原文でも「祖国から6000ミッリャ離れて」なわけです。ただここで注意するべき点はマイルというのが各国で定義がバラバラだったことです。上で「国際マイル」を出しましたが、米国でごく最近まで使われて来た1米国測量マイルの場合、

1 国際マイル ≡ 0.999998 米国測量マイル

と地図の上では微妙に異なる単位を使っていました。イタリアの場合は、19世紀まではイタリア式マイル、miglio italiano ミッリョ・イタリヤーノを使っていました。国際単位系を採用するに当たり、

1 キロメートル ≡ 0.54 miglia italiane ミッリャ・イタリヤーネ (イタリア式マイル)

という換算が採用されました。つまり

1 miglio italiano ミッリョ・イタリヤーノ (イタリア式マイル) ≡ 50/27 キロ―メートル ≒ 1851.85 キロメートル
6000 miglia italiane ミッリャ・イタリヤーネ (イタリア式マイル) = 100,000/9 キロ―メートル ≒ 1万1111 キロメートル

というのがクオーレの原文に書かれた距離ということになります。ここでジェノヴァからブエノスアイレスまでの直線距離が約1万1094 キロメートルだそうですので、約1.11キロメートルと上3桁目まで概数と一致し、まさに「祖国から6000ミッリャ離れた地」に相当します。

次にこれを日本の里に換算すると、

1 miglio italiano ミッリョ・イタリヤーノ (イタリア式マイル) ≡ 1375/2916里
6000 miglia italiane ミッリャ・イタリヤーネ (イタリア式マイル) = 687,500/243里 ≒ 2829.218里

結果約2900里ですが、約2500里に比べればよほど三千里です。つまり三千里は、19世紀以前のイタリア式マイル(ミッリョ・イタリアーノ)で6000ミッリャと表現されていた距離を、ほぼ正しく日本の里に置き換えた表現であることが判明しました。

とまあ、どうでもいい話題ですが、この単位系の換算間違いで、惑星探査機が故障したり、飛行機が墜落寸前になったりするので、本当に厄介なものです。
[107648] 2023年 4月 18日(火)23:47:49【4】訂正年月日
【1】2023年 4月 18日(火)23:56:00
【2】2023年 4月 19日(水)02:39:01
【3】2023年 4月 19日(水)11:01:29
【4】2023年 5月 25日(木)16:59:20 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年:無籍在監人と入寄留の囚人及懲治人に関する訂正
[107043]でアップロードした明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口ですが、[107191]に示したように、

『戸籍表 明治二十二年 上』
『戸籍表 明治二十二年 下』

という新たな資料が見つかった結果、府県統計書で不足したデータを補う必要もなくなり、また入寄留の陸海軍在営艦者についても[107199]に示したようにより正確なデータを得ることができました。

加えて、無籍在監人と入寄留の囚人及懲治人についても見直し作業を行ったところ、いくつか間違いが見つかったので訂正します。

まず監獄の所在地と判事被告人、懲治人、囚人、無籍在監人の統計ですが、これらは『日本帝国民籍戸口表』の「各地方在監者有籍者及無籍者人口表」にまとまっています。例えば『明治二十四年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』の場合、「第十二 各地方在監者有籍者及無籍者人口表」が該当します。ただこの表をよく見ればわかるように、監獄の所在地は郡市区レベルまでは表記されているものの、町村レベルの所在地までは示されていません。よって別の文献を使って調べる必要が出てきました。

また、残念ながら明治22年版と明治23年版はオンラインで閲覧できないので、東洋書林出版『国勢調査以前日本人口統計集成 〈3〉 明治22―25年 近代日本歴史統計資料』を利用する必要がありました。しかしながら、[107043]でも言及したように、本書収録のものは、明治22年の統計に関して「各地方在監有籍者及無籍者人口表」のうち、鹿児島県(一部)・沖縄県・北海道に関する134頁~135頁分が欠落していますので、総務省統計局統計図書館所蔵の『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』原本を利用しました。

ここで驚くべき発見がありました。なんと総務省統計局統計図書館所蔵の『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』には、先人による鉛筆の書き込みがあり、なんと全ての監獄の町村レベルでの所在地が判明したのです!よってその情報をほぼ完全に信用して作成したのが、[107043]でアップロードした明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口の表でした。

しかしながら改めて見直したところ、複数の誤りが見つかりました。以下の修正は明治23年度にも関わります。

1.厳原監獄署の位置を、下県郡厳原村から下県郡国分町に訂正

これは完全に私のミスです。先人の書き込みによると「厳原国分町」と書かれていたにも関わらず私の方で下県郡厳原村で集計してしまいましたが、正しくは下県郡厳原国分町=下県郡国分町です(厳原を町村名に入れるかどうかは表記揺れの範疇)。長崎県の監獄署の所在地は、『明治十九年 長崎県統計書』の段階で既に「下県郡厳原国分町」と記載されており、島原監獄支署と名称を変更した後の『明治二十四年 明治二十五年 明治二十六年 長崎県統計書』でも、「下県郡厳原国分町」となっています。『長崎刑務所 刑務一覧表 昭和五年』の方に詳しい経緯が載っていますが、

旧牢屋の建設年代等は詳かならざるも、明治七年前迄は打廻役所と称し、同七年長崎県厳原支庁囚獄局と改め、翌八年厳原監獄署と改称す。位置は明治十余年前迄は長崎県下県郡厳原町大字今屋敷(現在は郵便局)に在りしが、同十四年、現在の厳原町大字国分旧藩主宗家所有の米倉庫内に移転し、明治二十三年十月に至り長崎県厳原監獄支署となし、同三十六年四月監獄官制施行に伴い長崎監獄厳原分監と称し、其後大正十一年十月監獄官制改正に依り長崎刑務所厳原支所と改め、更に昭和四年十二月監獄官制改正の結果、厳原刑務支所と改称し、今日に及べり。

とあり(現代仮名遣いにして濁点や句読点を追加、以降も必要に応じて原文に対して同様の措置をしています)、下県郡国分町で問題ありません。

【追記:なお、明治22年度の町村別戸口表では、欄外に官報掲載の現住人口に相当する数値が記されており、そもそも官報に掲載されていない隠岐、対馬、奄美、トカラ、沖縄県についてもその数字が揃っていました。厳原監獄署は無籍在監人が0人であり、そのため町村別戸口表に書き込まれた官報掲載の現住人口からは、厳原村/国分町の間違いを確認できませんでした。】

2.根室監獄署厚岸分署の位置を、厚岸郡湾月村から厚岸郡床潭村に訂正

監獄の位置を調べ直すきっかけとなった情報です。

まず、村尾元長編纂『袖珍増訂 北海道通覧 付全道略図』(明治22年11月増補訂正)の、明治22年8月31日調の監獄署の名称と位置において、

署名位置分署名位置
札幌監獄署石狩国札幌郡苗穂村増毛分署天塩国増毛郡増毛村
根室監獄署根室国根室郡根室村厚岸分署釧路国厚岸郡湾月町

というのを見つけました(該当箇所のみを抜粋)。この段階では先人の書き込みとは異なり、増毛分署の位置が増毛郡永寿町ではなくて増毛郡増毛村になっている!という違和感でした。そこで『現行布令提要』を調べたところ、明治23年12月調の集治監及監獄署現在表において、

監獄名称位置
札幌監獄署石狩国札幌郡苗穂村
 増毛分署天塩国増毛郡永寿町
根室監獄署根室国根室郡根室村
 厚岸分署釧路国厚岸郡床潭村

こちらでは、増毛分署の位置は先人の書き込みと同じ増毛郡永寿町になっていましたが、今度は厚岸分署の位置が先人の書き込みの厚岸郡湾月町ではなく、厚岸郡床潭村になっている!

最終的に『法規分類大全 〔第30〕 警察門 第1 警察総 衙署』の記述から、増毛分署の位置は増毛郡永寿町で正しいが、厚岸分署の方は厚岸郡床潭村の方が正しいと判断しました。

根室県告示 十七年十一月二十二日第五十号
管下黒国厚岸郡厚岸ニ監獄支署ヲ設置シ厚岸監獄支署ト称ス
右告示候事

根室県達 十七年十二月二十日丙第四十一号局県掛署
厚岸監獄支署本月八日ヨリ開庁候条為心得此旨相達候事

札幌県告示 十八年十一月二十六日丁第百五十六号
増毛郡増毛永寿町三丁目ヘ監獄支署ヲ設置シ増毛監獄支署ト名称シ来ル十二月一日ヨリ開署ス
右告示候事

北海道庁根室支庁布達 十九年三月一日甲第四号
根室郡根室弥栄町番外地厚岸郡床潭村字バラサンニ監獄ヲ設置シ根室監獄厚岸監獄ト称ス
右布達ス

北海道庁根室支庁告示 十九年八月十九日第六十四号
当根室監獄ヲ根室国根室村四百五十番地ニ移シ本月二十日ヨリ同所ニ於テ事務取扱ハシム
右告示ス

3.京橋区に大字として石川島という項目を増やし、石川島監獄署の位置を東京市京橋区佃島から東京市京橋区石川島に訂正

これは間違いというほどのことではないのですが・・・明治5年の町名改正で石川島は佃島に吸収されたため、市制施行前の段階では「京橋区石川島」という町村名は無くなっていました。実際、『東京府人員統計表 明治二十二年十二月末日現在』には京橋区佃島はありますが、京橋区石川島はありません。ところが、『明治廿二年十一月十五日 新旧対照市町村一覧 いろはわけ新町村索引 附警察区画市町 村役所役場位置 郵便電信局位置』では、石川島という大字名が復活しております。ここら辺結構曖昧なのですが、明治22年以降も京橋区石川島という住所表記が存在する点などから、明治22年の東京市成立時に、石川島監獄署の領域に限って大字名として石川島が復活したと判断しました。参考までに『全国所得納税者姓名録 : 一名・代議士撰挙の台帖 第1冊(東京府十五区ノ部)』(明治21年)によると、大浦孫兵衛と戸所芳秦なる2名の住所が、「石川島監獄署内」となっており、佃島とは区別されています。

というわけで、松本徳太郎編『明治宝鑑』(明治25年9月出版)や『司法省監獄局第三回統計年報』記載の住所との比較により、監獄の所在地の再検討を行いました。その結果、ほかには間違いは見つかりませんでした。以下記述に微妙な点があったものをまとめます。

A.横浜監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の神奈川県監獄署の住所が「横浜市」との記述がありますが、『神奈川県第二回県治一斑』によると明治20年12月31日現在の横浜監獄の位置は久良岐郡戸部町宮ノ前、『明治廿七年神奈川県監獄統計表』によると明治27年の神奈川県監獄署の位置は久良岐郡戸太村字戸部六百〇弐番地とあり、監獄署の位置は一貫して横浜市外の久良岐郡戸部町→久良岐郡戸太村です。『神奈川県警察史 上巻』によると安政2年につくられた戸部牢屋敷(久良岐郡戸部町宮ノ前)が維新後横浜監獄署となり、明治11年横浜監獄本署となり、明治19年再び横浜監獄署となり、明治23年に神奈川県監獄署となり、明治32年に久良岐郡根岸村へ移転となったようです。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人11人が久良岐郡戸太村に足されています。なお、日本帝国民籍戸口表掲載の現住人口の方は算出された現住人口を本籍人口に再び代入して現住人口を算出するという、久良岐郡戸太村の人口を過剰にする酷い計算間違いが実施されています。


B.長崎県監獄署:『長崎市史 第五巻 地誌編 名勝旧跡部』によると、長崎監獄は明治14年に片淵町一番地に建築されたとありますが、片淵郷の内、明治22年の市制施行時に長崎市に編入されたのは、 『明治廿二年十一月十五日 新旧対照市町村一覧 いろはわけ新町村索引 附警察区画市町 村役所役場位置 郵便電信局位置』によると、片淵町之内字小角のみで、残りは西彼杵郡上長崎村であり、これだけでは長崎監獄が本当に長崎市内に編入されたかどうか判断できません。幸いなことに、明治22年の『長崎市及四近之図 The Nagasaki city and environs』が閲覧可能で、この地図の右上の方に「監獄署」が市界の内側に含まれていることが確認できますので、長崎市内で確定です。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人27人が長崎市に足されていますし、日本帝国民籍戸口表掲載の現住人口でも入寄留の囚人及懲治人518人が長崎市に足されています。

C.長岡監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の長岡監獄支署の住所が「古志郡長岡町」との記述がありますが、『長岡の歴史 第5巻』によると、長岡監獄署が置かれたのは今朝白町です。今朝白町は、町村制施行時に古志郡長岡本町所属となっており、古志郡長岡町は間違いです。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人1人が古志郡長岡本町に足されています。

D.前橋監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の群馬県監獄署の住所が「東群馬郡上川淵村大字紅雲分村」との記述がありますが、『他の資料』では、明治34年末の段階で「前橋市宗甫分村」とあります。町村制施行の直前である明治21年、『前橋刑務所, 「前橋刑務所史料の一片 ―大渡橋作業隊を思う―」, 刑政, 106 (5), 60-66 (1995).』によると、明治21年に前橋刑務所が移築された場所は、東群馬郡宗甫分村・仝紅雲分村境界とあります。明治22年の町村制施行で前橋町に編入されたのは、『群馬県百年史 下巻』などによると東群馬郡紅雲分村の一部、東群馬郡宗甫分村の一部(字柿ノ宮西、柿ノ宮前、長昌寺前、川原甲四七〇番、乙同、乙四八〇番、丙四七二番、川原縁自甲三九五番至三九八番、乙ノ乙三九五版、自乙三九五番至三九七番、甲四〇一番乙同甲四〇二番乙同、乙四〇三番、乙四〇七番、乙ノ乙四〇九番、冷泉院前自三三〇番至三三二番、自三二五番至三二九番、自三一五番至317番、三一〇番、乙三〇九番)とあります。ここで『前橋市史 第7巻 (資料編 2)』収録の明治41年の地図を見ますと、監獄署のあるところはほぼ大字宗甫分村で、敷地の大部分は字柿ノ宮前、一部が字柿宮西、字冷泉院前、敷地の端の部分が字河原縁にかかっていることが見てとれます。明治41年段階では、上川淵村の一部が追加で編入されていますが、監獄の主たる敷地を形成する字柿ノ宮前、字柿宮西は全て明治22年の段階で前橋町に組み込まれており、東群馬郡上川淵村は間違いです。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人18人が東群馬郡前橋町に足されていますし、日本帝国民籍戸口表掲載の現住人口でも入寄留の囚人及懲治人656人が東群馬郡前橋町に足されています。

E.静岡監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の静岡県監獄署の住所が「静岡市」との記述がありますが、『明治十二年 静岡県統計概表』では、駿河国安倍郡井ノ宮村、『袖珍静岡県地誌小成』では、明治25年の段階で駿河国安倍郡南賤機村井ノ宮となっており、静岡監獄署は町村制施行前後で一貫して静岡市外の安倍郡安西井ノ宮村→安倍郡南賤機村です。よって静岡市は間違いです。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人12人が安倍郡南賤機村に足されています。

F.宮城集治監:『明治宝鑑』では「宮城郡南小泉村」と、仙台市外との記述がありますが、『日本監獄教誨史 下巻』によると、宮城集治監は伊達政宗が築いた若林城跡(宮城郡南小泉村字行人塚旧古城)に明治11年竣工、明治12年完成とあります。『第4回 宮城県県治一斑』によると、南小泉村字行人塚は、仙台市発足時に仙台区と共に編入されており、実際、『仙台市史 第3巻 附図』収録の明治末年の仙台市全図でも、右下の方の宮城監獄(明治36年に宮城集治監から改名)が、仙台市内となっています。よって、宮城郡南小泉村は間違いです。実際官報掲載の現住人口で、仙台監獄署と宮城集治監の無籍在監人合計64人は仙台市に足されています(が、1人人口にズレがあります)。日本帝国民籍戸口表掲載の現住人口でも仙台監獄署と宮城集治監の入寄留の囚人及懲治人の合計1100人が仙台市に足されています。

G.盛岡監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の岩手県監獄署の住所が「盛岡市字狐崎」との記述がありますが、『岩手郡誌 (岩手県郷土誌叢刊) 』によると、盛岡監獄本署は明治18年に岩手郡下厨川村字狐森、後の岩手郡厨川村大字下厨川字狐森一番地に建設とあります。明治22年の時点で南岩手郡下厨川村は南岩手郡厨川村大字下厨川となっており、よって盛岡市内は間違いで、南岩手郡厨川村が正しいです。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人1人が岩手郡厨川村に足されています。

H.青森監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の青森県県監獄署の住所が「東津軽郡荒川村」との記述がありますが、『青森市議会史 明治編』によると、青森監獄署が東津軽郡荒川村に移転したのは明治24年6月8日のことです。それ以前は、『明治十五年 青森県統計書』の段階では青森監獄本署は東津軽郡青森寺町字杉畑であり、明治22年の町村制施行時には東津軽郡青森町大字寺町に所在したことになります。実際官報掲載の現住人口で、無籍在監人1人が東津軽郡青森町に足されていますし、日本帝国民籍戸口表掲載の現住人口でも入寄留の囚人及懲治人317人が東津軽郡青森町に足されています。

I.鰺ヶ沢監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の鰺ヶ沢監獄支署の住所が「西津軽郡鰺ヶ沢町」との記述がありますが、『青森県治一覧』によると、明治23年の段階で鰺ヶ沢支署の所在地は西津軽郡舞戸村となっています。『鰺ケ沢町史 第2巻』によると、監獄があったのは西津軽郡舞戸村岩谷の南端の丘の上で、よって、西津軽郡鰺ヶ沢町は間違いであり、西津軽郡舞戸村が正しいです。

J.秋田監獄署:『司法省監獄局第三回統計年報』によると、明治34年の秋田県監獄署の所在地は秋田市土手長町上丁となっていますが、『秋田県警察史 上巻』や『秋田県史 第5巻』にあるように、明治19年秋田市長野町に未決監を新築し、そこを「監獄本署」とし、続いて「秋田監獄」と改名、一方でそれまで秋田市土手長町のは「監獄本署既決監」と呼称したとあります。秋田市長野町の秋田監獄は、歩兵位置七連隊建設用地となったため、明治30年に南秋田郡川尻村に移転し、一方で秋田県秋田市土手長町の既決監は、明治36年以降「長町出張所」と呼ばれるようになったとあります。よって、明治22年当時、秋田市内の長野町に「秋田監獄署」が、土手長町に「秋田監獄署既決監」があったことになり、統計上は一緒になっています。住所としてはとりあえず秋田市長野町の方を優先させます。どっちにせよ秋田市内ですが。

K.西郷監獄署:実は先人による鉛筆の書き込みでは、西郷監獄署の所在地が「西郷町」となっておりましたが、個人的な調査で無意識のうちに「西郷西町」に改訂していました(【追記:明治22年度の町村別戸口表では、欄外に官報掲載の現住人口に相当する数値が記されており、そもそも官報に掲載されていない隠岐、対馬、奄美、トカラ、沖縄県についてもその数字が揃っていました。西郷監獄署は無籍在監人が3人であり、その数字を加えることで西郷西町に関する官報掲載の現住人口が検算できたとこから、過去の自分は最初から西郷監獄署を周吉郡西郷西町で登録していたようです】)。『明治二十三年(一月三十一日現在) 職員録 (乙)』によると西郷監獄署の所在地は周吉郡西郷西町、『島根県令規類纂 下』でも、明治26年12月5日時点で隠岐周吉郡西郷西町に監獄支署を置き、西郷監獄支署と称すとあります。『日本監獄教誨史 下巻』などを読んでも、明治初期に設けられた隠岐懲役場からの移転の情報がなく、ずっと隠岐の監獄は周吉郡西郷西町に設置されていたと思われます。

L.広島監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の広島県監獄署の住所が「広島市水主町」との記述がありますが、『広島県案内』によると、監獄は明治21年3月に広島市吉島村に移転しています。『広島市史 第4巻』にその辺の詳しい経緯がまとまっており、水主町には拘置所が存続したようで、明治22年当時の広島監獄署の位置は広島市吉島とするべきと思われます。いずれにせよ広島市内です。

M.垣花監獄署:『明治宝鑑』では明治25年の沖縄県監獄署の住所が「首里」との記述がありますが、『沖縄案内 新版』によると、明治12年10月、那覇東村二番地天使館内に警察本著の直轄として沖縄県監獄署が設置されたが、明治13年8月に、那覇東村旧船手蔵に移転し、さらに明治15年、小禄間切儀間村二一八番地(那覇市住吉町二の一番地)に移転、大正15年になって沖縄刑務所として、島尻郡真和志村字古波蔵楚辺原一四二四番地の一に移転という経緯を取っています。よって、「首里」は完全に間違いで、明治22年当時の垣花監獄署は、島尻小禄間切儀間村にありました。

以下、明治22年当時の監獄署の位置と無籍在監人、入寄留の囚人及懲治人の数字をまとめます。

市区町村監獄署名府県庁[入]無籍在監人[入]囚人及懲治人
東京市麹町区永楽町一丁目監獄本部東京府4111
東京市京橋区石川島石川島東京府231,838
牛込区市谷谷町市ヶ谷東京府31,203
南葛飾郡南綾瀬村小菅東京集治監東京府69835
小笠原島父島大村大村東京府08
京都市上京区主税町京都京都府31,038
紀伊郡伏見町伏見京都府00
船井郡園部村園部京都府018
天田郡福知山町福知山京都府121
与謝郡宮津町島崎宮津京都府4163
堺市車之町西二町大阪府1497
西成郡川崎村字堀留堀川大阪府133,101
三浦郡豊島村深田横須賀神奈川県14427
足柄下郡小田原新玉小田原神奈川県016
久良岐郡戸太村戸部横浜神奈川県11752
南多摩郡八王子町元横山町八王子神奈川県238
神戸市神戸宇治野町神戸兵庫県1758
神戸市兵庫南逆瀬川町兵庫仮留監兵庫県0176
多紀郡篠山町北新町篠山兵庫県097
城崎郡豊岡町南本町豊岡兵庫県0116
明石郡明石町大明石明石兵庫県057
飾西郡高岡村今宿姫路兵庫県6366
楫西郡龍野町日山龍野兵庫県078
津名郡洲本町山下町洲本兵庫県0129
長崎市片淵郷小角長崎長崎県27518
東彼杵郡大村大村長崎県571
南高来郡島原村旧郭内桜馬場島原長崎県394
北松浦郡平戸村平戸長崎県144
南松浦郡福江村福江長崎県023
石田郡武生水村武生水長崎県025
下県郡厳原国分町厳原長崎県060
新潟市西大畑町新潟新潟県3573
北蒲原郡新発田本村新発田新潟県2122
古志郡長岡本町今朝白町長岡新潟県1167
中頸城郡高城村高田新潟県6152
雑太郡相川町相川新潟県036
北足立郡浦和町浦和埼玉県33632
入間郡川越町川越埼玉県2157
秩父郡大宮町大宮埼玉県196
大里郡熊谷町熊谷埼玉県173
安房郡北条町北条千葉県025
望陀郡木更津町木更津千葉県169
千葉郡千葉町千葉千葉県3683
匝瑳郡福岡町福岡千葉県055
水戸市上市北水戸茨城県3566
新治郡土浦町土浦茨城県0234
真壁郡下妻町下妻茨城県1340
東群馬郡前橋町宗甫分前橋群馬県18656
西群馬郡高崎町宮本町高崎群馬県2200
新田郡太田町太田太田群馬県136
河内郡宇都宮町松峯町宇都宮栃木県5685
下都賀郡栃木町栃木栃木県00
添上郡奈良町西笹鉾奈良奈良県2223
宇智郡五條町五条奈良県1112
阿拝郡上野町上野三重県096
津市佐伯町第一安濃津三重県1508
津市丸ノ内第二安濃津三重県055
三重郡四日市町四日市三重県0180
度会郡宇治山田町岩淵町山田三重県0290
名古屋市竪三ツ蔵町名古屋愛知県91,359
中島郡一宮町一宮愛知県01
額田郡岡崎町梅園岡崎愛知県3273
渥美郡豊橋町豊橋愛知県00
佐野郡掛川町掛川静岡県175
敷知郡浜松町浜松静岡県3230
駿東郡沼津町三枚橋町沼津静岡県480
安倍郡南賤機村安西井ノ宮静岡静岡県12555
賀茂郡下田町下田静岡県013
甲府市橘町甲府山梨県7399
南都留郡谷村谷村山梨県022
滋賀郡膳所村膳所滋賀県2810
犬上郡彦根町彦根滋賀県1101
岐阜市今泉岐阜岐阜県10886
安八郡大垣町大垣岐阜県04
可児郡御嵩町御嵩岐阜県00
大野郡(飛騨国)高山町高山岐阜県028
小県郡上田町上田長野県3176
下伊那郡飯田町飯田長野県281
東筑摩郡松本町松本長野県1208
上水内郡長野町旭町長野長野県7474
仙台市行人塚宮城集治監宮城県47560
仙台市片平丁仙台宮城県17540
柴田郡大河原町大河原宮城県029
志田郡古川町古川宮城県01
牡鹿郡石巻町石巻宮城県04
西白河郡白河町白河福島県8123
磐前郡平町福島県668
宇多郡中村町中村福島県01
信夫郡清水村福島福島県17583
北会津郡若松町栄町若松福島県0127
南岩手郡厨川村下厨川盛岡岩手県1271
西磐井郡一関町磐井岩手県014
東閉伊郡宮古町宮古岩手県10
二戸郡福岡町福岡岩手県00
弘前市馬喰町弘前青森県012
東津軽郡青森町寺町青森青森県1317
西津軽郡舞戸村岩谷鰺ヶ沢青森県09
北津軽郡五所川原村鶴野五所川原青森県010
三戸郡八戸町八戸青森県08
山形市香澄町山形山形県0619
米沢市清水町米沢山形県034
最上郡新庄町新庄山形県03
西田川郡鶴岡町鶴岡山形県018
飽海郡酒田町酒田山形県02
秋田市長野町秋田秋田県1577
仙北郡大曲村大曲秋田県081
遠敷郡雲浜村小浜福井県1128
福井市寛永上町福井福井県0338
大野郡大野町大野福井県00
敦賀郡敦賀町敦賀福井県00
金沢市尻垂坂通金沢石川県048
能美郡小松町小松石川県4309
鹿島郡七尾町七尾石川県061
富山市総曲輪富山富山県2429
高岡市坂下町高岡富山県10
下新川郡魚津町魚津富山県00
鳥取市東町鳥取鳥取県2626
久米郡倉吉町倉吉鳥取県00
会見郡米子町郭内米子鳥取県2181
松江市内中原町松江島根県6515
神門郡大津村大石大石島根県011
那賀郡浜田町浜田島根県2198
周吉郡西郷西町西郷島根県3185
西北条郡津山町津山岡山県9270
岡山市二日市町岡山岡山県8761
浅口郡玉島村玉島岡山県0196
上房郡高梁町高梁岡山県1174
御調郡尾道町尾道広島県4325
三次郡三次町三次広島県2111
広島市吉島広島広島県181,069
玖珂郡横山村岩国山口県0161
吉敷郡下宇野令村※山口山口県7528
阿武郡萩町山口県03
赤間関市関後地赤間関山口県380
和歌山市小松原通一丁目和歌山和歌山県4773
西牟婁郡田辺町上屋敷町田辺和歌山県285
美馬郡脇町脇町徳島県01
徳島市出来島町徳島徳島県71,210
香川郡高松内町高松香川県21816
那珂郡丸亀御供所町丸亀香川県2208
温泉郡雄群村藤原松山愛媛県16762
新居郡西条町西条愛媛県07
喜多郡大洲町大洲愛媛県15
北宇和郡宇和島町宇和島愛媛県6197
幡多郡中村中村高知県081
高知市西弘小路高知高知県15843
福岡市福岡須崎裏町福岡福岡県9631
山門郡城内村柳川福岡県4117
三池郡大牟田町下里三池集治仮留監福岡県421,472
久留米市篠山町久留米福岡県2203
企救郡小倉町八百屋町小倉福岡県3174
下毛郡中津町中津大分県0141
速見郡杵築町杵築大分県049
大分郡大分町大分大分県10604
南海部郡佐伯町佐伯大分県011
直入郡豊岡村竹田大分県169
日田郡豆田町豆田大分県026
東松浦郡唐津町唐津佐賀県083
西松浦郡大坪村伊万里佐賀県029
佐賀市赤松町佐賀佐賀県1421
熊本市手取本町熊本熊本県7721
八代郡八代町八代熊本県122
球磨郡人吉町人吉熊本県020
天草郡町山口村町山口熊本県117
宮崎郡宮崎町宮崎宮崎県1453
北諸県郡都城町都城宮崎県018
東臼杵郡岡富村延岡宮崎県043
熊毛郡北種子村種子島鹿児島県389
大島郡名瀬方金久村大島鹿児島県050
鹿児島市小川町鹿児島鹿児島県4299
高城郡水引村水引鹿児島県484
島尻小禄間切儀間村垣花沖縄県1193
亀田郡亀田村函館北海道庁7221
松前郡福山新荒町福山北海道庁06
檜山郡江差豊部内町江差北海道庁07
寿都郡渡島町寿都北海道庁07
高島郡色内町小樽北海道庁00
札幌郡苗穂村札幌北海道庁8264
空知郡市来知村空知北海道庁1442,831
樺戸郡月形村樺戸北海道庁1162,249
増毛郡永寿町増毛北海道庁027
川上郡熊牛村釧路北海道庁541,063
厚岸郡床潭村厚岸北海道庁010
根室郡根室村根室北海道庁078
総計総計総計1,01453,982

結果として、統計局図書館所蔵本の先人の書き込みに間違いがあったのは、隠岐西郷監獄署の所在地(×周吉郡西郷町〇周吉郡西郷西町)と、北海道庁の根室監獄署厚岸分署の所在地(×厚岸郡湾月町〇厚岸郡床潭村)だけでした。【追記:この内西郷監獄署に関しては、町村別戸口表の欄外に記された官報掲載の現住人口相当の数値との比較により、周吉郡西郷西町に監獄署の位置を事前に修正することができましたが、残念ながら北海道と伊豆小笠原に関しては、町村別戸口表の方に官報掲載の現住人口相当の数値が記載されていなかったため、根室監獄署厚岸分署の所在地の間違いに気づきませんでした。また対馬の厳原監獄署に関しては、無籍在監人がゼロであったため、町村別戸口表の欄外に記された官報掲載の現住人口相当の数値に違いが出ませんので、下県郡国分町/下県郡厳原村の間違いを見落としてしまいました。】

なお、総務省統計局統計図書館所蔵の『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方在監者有籍者及無籍者人口表」では、山口監獄署の無籍在監人男を7とする鉛筆による訂正が書き込まれており、無籍在監人の総計も1015人となりますが、現住人口や本籍人口が1人多いとする文献を見つけられなかったので、ここでは訂正しません。

例えば明治22年末の場合、無籍在監人を除く本籍人口40,071,006人に無籍在監人1,014人を足した40,072,020人が、真の明治22年12月31日の本籍人口として、『日本帝国統計年鑑』などで採用されいますが、1人多い40,072,021人は採用されていません。
[107199] 2023年 4月 1日(土)13:06:31【5】訂正年月日
【1】2023年 4月 1日(土)13:10:44
【2】2023年 4月 1日(土)15:06:56
【3】2023年 4月 1日(土)15:32:23
【4】2023年 4月 1日(土)17:13:41
【5】2023年 5月 25日(木)17:15:00 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年12月31日、入寄留の陸海軍在営艦者
すみません、十番勝負までまた8時間あるようなので、[107191]の続きを投稿します

まず陸軍在営者ですが、以下の通りとなりました。

市区町村府県庁人員下士学生・生徒馬丁区分
東京市麹町区代官町一番地東京府34644302陸軍近衛砲兵連隊二大隊
東京市麹町区代官町二番地東京府98281901陸軍近衛歩兵第一連隊二大隊
東京市麹町区代官町二番地東京府97572903陸軍近衛歩兵第二連隊二大隊
東京市麹町区大手町一丁目一番地東京府11陸軍東京憲兵隊本部
東京市麹町区大手町一丁目一番地東京府66陸軍東京憲兵隊第一管区首部
東京市麹町区元千代田町一番地東京府1919陸軍大学校馬丁
東京市麹町区元衛町一番地東京府1010陸軍蹄鉄学舎
東京市麹町区元衛町一番地東京府8787陸軍乗馬学校
東京市麹町区永楽町一丁目一番地東京府33636300陸軍第一師団輜重兵第一大隊
東京市麹町区八重洲町一丁目一番地東京府27025245陸軍近衛騎兵大隊
東京市麹町区八重洲町一丁目一番地東京府41931388陸軍第一師団騎兵第一大隊
東京市麹町区有楽町一丁目一番地東京府2828陸軍戸山学校軍楽基本隊
東京市麹町区外桜田町一番地東京府98693893陸軍近衛歩兵第三連隊二大隊
東京市麹町区外桜田町一番地東京府1,01994925陸軍近衛歩兵第四連隊二大隊
東京市麹町区飯田町四丁目三十一番地東京府124112111陸軍東京砲兵工厰生徒学舎
東京市芝区芝栄町東京府33陸軍東京憲兵隊第四管区首部
東京市麻布区新竜土町十三・十四番地東京府1,4131001,313陸軍第一師団第三連隊三大隊
東京市赤坂区赤坂檜町三番地東京府1,5021191,383陸軍第一師団歩兵第一連隊三大隊
東京市牛込区市谷本村町七十番地東京府50954455陸軍第一師団砲兵大地連隊三大隊
東京市牛込区市谷本村町七十番地東京府292181273陸軍士官学校生徒隊
東京市牛込区市谷本村町七十番地東京府103103陸軍士官学校
東京市牛込区市谷本村町七十番地東京府21184199陸軍幼年学校生徒隊
東京市牛込区市谷本村町七十番地東京府2020陸軍幼年学校
東京市牛込区市谷左内坂町一番地・市谷田町一丁目八番地東京府33陸軍東京憲兵隊第六管区首部
東京市牛込区下戸塚町東京府89844645209陸軍戸山学校教導大隊
東京市下谷区下谷車坂町十八番地~三十二番地東京府33陸軍東京憲兵隊第九管区首部
北豊島郡岩淵町東京府15815143陸軍近衛工兵中隊
北豊島郡岩淵町元袋村東京府35447307陸軍第一師団工兵第一大隊
紀伊郡伏見町伏見玄蕃町五十八・五十九番地京都府33734303陸軍第四師団工兵第四大隊
大阪市南区順慶町通安堂寺通大阪府44陸軍大阪憲兵隊
大阪市東区法円坂町一番地大阪府1,5301301,400陸軍第四師団歩兵第八連隊三大隊
大阪市東区法円坂町一番地大阪府61958561陸軍第四師団野戦砲兵第四連隊三大隊
大阪市東区法円坂町四番地・馬場町一番地 大阪旧城内大阪府1,5321261,406陸軍第四師団歩兵第廿連隊第一大隊
第三大隊
大阪市東区大手前ノ町二番地大阪府33927312陸軍第四師団輜重兵第四大隊
大阪市東成郡清堀村 (A)大阪府1128104陸軍第四師団騎兵第四大隊第一中隊
三浦郡浦賀町神奈川県156413112陸軍要塞砲兵幹部練習所生徒中隊
姫路市姫路本町 姫路旧城内 (B)兵庫県1,5681301,438陸軍第四師団歩兵第十連隊三大隊
長崎市大黒町四十六番地長崎県16115陸軍第六師団長崎分遺砲兵隊
下県郡厳原村三十八番地長崎県18720167陸軍第六師団対馬警備隊
北蒲原郡新発田本村 新発田旧城内新潟県1,5201151,405陸軍第二師団歩兵第十六連隊三大隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県6968324589陸軍教導団生徒隊歩兵大隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県8917072陸軍教導団生徒隊騎兵中隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県162396117陸軍教導団生徒隊砲兵大隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県7918061陸軍教導団生徒隊工兵中隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県11214098陸軍教導団生徒隊輜重兵中隊
東葛飾郡市川町国府台千葉県163163陸軍教導団
印旛郡志津村下志津千葉県10997822陸軍射的学校教導中隊
印旛郡佐倉町佐倉田町 佐倉旧城内千葉県1,6041191,485陸軍第一師団歩兵第二連隊三大隊
西群馬町高崎町高松町 高崎旧城内群馬県1,4781451,333陸軍第一師団歩兵第十五連隊三大隊
名古屋市外堀町 名古屋旧城内愛知県1,5541341,420陸軍第三師団歩兵第六連隊三大隊
名古屋市外堀町 名古屋旧城内愛知県1,5451321,413陸軍第三師団歩兵第十九連隊三大隊
名古屋市外堀町 名古屋旧城内愛知県61362551陸軍第三師団野戦砲兵第三連隊三大隊
名古屋市外堀町 名古屋旧城内愛知県28829259陸軍第三師団工兵第三大隊
名古屋市外堀町 名古屋旧城内愛知県31634282陸軍第三師団輜重兵第三大隊
名古屋市本町四番地愛知県33陸軍愛知憲兵隊
渥美郡豊橋町豊橋八町 豊橋旧城内愛知県1,5431251,418陸軍第三師団歩兵第十八連隊三大隊
滋賀郡大津町元別所村滋賀県1,5071251,382陸軍第四師団第九連隊三大隊
仙台市川内宮城県61460554陸軍第二師団野戦砲兵第二連隊三大隊
仙台市川内宮城県28526259陸軍第二師団工兵第二大隊
仙台市川内宮城県30727280陸軍第二師団輜重兵第二大隊
仙台市川内宮城県1,5061151,391陸軍第二師団歩兵第十七連隊三大隊
仙台市東二番町七十五番地宮城県33陸軍宮城憲兵隊
仙台市榴ヶ岡 (C)宮城県1,5651251,440陸軍第二師団歩兵第四連隊三大隊
東津軽郡筒井村青森県1,05581974陸軍第二師団歩兵第五連隊第一大隊
第二大隊
金沢市大手町 金沢旧城内石川県1,5551391,416陸軍第三師団歩兵第七連隊三大隊
広島県広島市基町 広島旧城内広島県1,5571301,427陸軍第五師団歩兵第十一連隊三大隊
広島県広島市基町 広島旧城内広島県1,5531331,420陸軍第五師団歩兵第廿一連隊三大隊
広島県広島市基町 広島旧城内広島県63055575陸軍第五師団野戦砲兵第五連隊三大隊
広島県広島市基町 広島旧城内広島県29028262陸軍第五師団工兵第五大隊
広島県広島市基町 広島旧城内広島県31630286陸軍第五師団輜重兵第五大隊
那珂郡丸亀 丸亀旧城内香川県1,5981371,461陸軍第五師団第十二連隊三大隊
松江市堀内町 松江旧城内 (D)愛媛県1,5591261,433陸軍第五師団第廿二連隊三大隊
福岡市 福岡旧城内福岡県1,5271241,403陸軍第六師団第廿四連隊三大隊
企救郡小倉町 小倉旧城内福岡県1,5031261,377陸軍第六師団第十四連隊三大隊
熊本市二ノ丸町 熊本旧城内熊本県1,3961261,270陸軍第六師団歩兵第十三連隊三大隊
熊本市二ノ丸町 熊本旧城内熊本県50245457陸軍第六師団第廿三連隊第三大隊
熊本市二ノ丸町 熊本旧城内熊本県55458496陸軍第六師団野戦砲兵第六連隊三大隊
熊本市新堀町 熊本旧城内熊本県31935284陸軍第六師団輜重兵第六大隊
熊本市山崎町十二十三番地熊本県89481813陸軍第六師団第廿三連隊第一大隊第二大隊
託麻郡大江村元渡鹿村 (E)熊本県33940299陸軍第六師団工兵第六大隊
首里当蔵村 首里城内 (F)沖縄県12011109陸軍第六師団第廿三連隊第四中隊
亀田郡亀田村 (G)北海道庁52042478陸軍第二師団歩兵第五連隊第三大隊

(A) 戸籍表には屯営配置の地名として「大阪府西成郡清堀村」が掲載されているが, 明治22年4月1日付で東成郡に異動([103922]参照)
(B) 戸籍表には屯営配置の地名として「兵庫県飾東郡姫路本町 姫路旧城内」が掲載されているが, 明治22年4月1日付で姫路市発足([103921]参照)
(C) 戸籍表には屯営配置の地名として「宮城県宮城郡榴ヶ岡南目村」が掲載されているが, これは隣接する仙台区(明治22年4月1日付で仙台市)榴ヶ岡二番地と宮城郡南目村(明治22年4月1日付で宮城郡原町大字南目)元字木藏脇囲一番地を合わせたものであり, 歩兵第四連隊営自体は仙台市榴ヶ岡に設営され, 宮城郡原町大字南目には歩兵第三旅団司令部が建設中([103922]参照)
(D) 戸籍表には屯営配置の地名として「愛媛県温泉郡堀内町 松江旧城内」が掲載されているが, 明治22年12月15日付で松江市発足([104836]参照)
(E) 戸籍表には屯営配置の地名として「熊本県託麻郡渡鹿村」が掲載されているが, 明治22年4月13日付で陸軍第六師団工兵第六大隊は熊本市宮内町より熊本郡託麻郡大江村元渡鹿村に兵営移転([104836]参照)
(F) 戸籍表には屯営配置の地名として「沖縄県真和志間切 首里城内」が掲載されているが, 真和志間切国場村は明治9年建設の兵営所在地であり, 明治14年以降は首里当蔵村の首里城内に兵営移転
(G) 戸籍表には屯営配置の地名として「北海道函館亀田郡亀田村」が掲載されているが, 亀田村千代ヶ岱兵営第三大隊亀田営所は明治24年4月12日に廃止([103887] 参照)

(C)の仙台市榴ヶ岡についてですが、より詳しい説明をしますと、戸籍表に掲載されている「宮城県宮城郡榴ヶ岡南目村」なる住所は、榴ヶ岡が仙台区/仙台市内、青目村(明治22年4月1日以降は原町)が宮城郡内に存在する時点で、併記されたものです。例えば明治18年の時点で歩兵第四連隊営は、仙台区榴ヶ岡二番地と宮城郡南目村元字木藏脇囲一番地にまたがっていることが、『陸軍省第十一年報』により確認できます。一方で、『仙台市史 第9巻別冊』収録の「明治十三年 宮城県仙台区全図」によると、地図の右上の方にある歩兵営と礮兵営は概ね仙台区内ですので、宮城郡南目村元字木藏脇囲一番地は後から拡張のために取得した土地であることが判ります。明治22年4月1日の仙台市成立の際に多少の境域変更はあったようですが、この歩兵第四連隊営周辺では明白に分かるような境域変更は行われなったようで、それよりも後の『仙台市史 第3巻 附図』収録の明治末年の「仙台市全図」を見ると、「歩兵第四連隊営」と「仙台地方陸軍幼年学校」は仙台市内の榴ヶ岡に、「歩兵第三旅団令部」は仙台市の外側(原町大字青目)にあり、歩兵第四連隊営は一貫して仙台市榴ヶ岡に存在したように見えます。そこで官報を確認したところ、明治24年7月4日に以下の項目を発見しました。

〇司令部移転 第二師団下歩兵第三旅団司令部ハ宮城県宮城郡榴ヶ岡南目村元木藏脇へ増築工事落成ニ附キ同部及仙台大隊区司令部トモ去月二十八日移転セリ(陸軍省)

陸軍省第二回統計年報』(20/271コマ目)によると、明治21年の段階で歩兵第四連隊は仙台区榴ヶ岡、歩兵第三旅団司令部は宮城郡南目村となっております。よって明治22年の段階では歩兵第四連隊営は仙台市榴ヶ岡内にのみ存在し、宮城郡原町大字南目は既に兵営所から司令部への転用されていたと考察されます。

(E)の託麻郡大江村元渡鹿村に関しては、[104836][107044]で披露した考察が間違いであり、「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」等掲載の現住人口である52,833が正しかったという結果となりました。まず『陸軍省第二回統計年報』(22/271コマ目)によると、明治21年の段階で工兵第六大隊は熊本市宮内町に兵営がありました。ところが明治22年6月15日の官報によると、

〇工兵大隊移転 第六師団工兵第六大隊ハ一昨十三日熊本県肥後国託麻郡渡鹿村兵営へ移転セリ(陸軍省)

とあり、明治22年末の段階で確かに第六師団工兵第六大隊が託麻郡内へ移転していることが確認されました。

ただ新たな疑問が生じます。明治23年の戸籍表では、第六師団工兵第六大隊は再び熊本市内に戻ってしまっていることになっているのです([103921]参照)。もしかしたら明治23年末の段階での第六師団工兵第六大隊の情報は間違っている可能性が出て来ました。

(F)の首里当蔵村 首里城内については『陸軍省第二回統計年報』(22/271コマ目)にあるように、明治21年の時点で既に首里城内に兵営が移転しているので、「真和志間切」は古い情報が残ってしまったのでしょう。一方(G)の亀田郡亀田村についても、『陸軍省第二回統計年報』(22/271コマ目)にあるように、明治21年の時点ではまだ兵営は亀田郡亀田村です。これが明治23年末の段階では函館区に移っていることになっています([103921]参照)。調べたところ、『北海道事情一斑 第1編』の明治24年4月の項目に

〇十二日亀田村千代ヶ岱兵営第三大隊亀田営所ヲ引払ヒ青森営所ニ赴く

北海道拓殖大観』では

亀田村千代ヶ岱兵営第三大隊亀田営所を廃し、青森営所に移る。

という表現になっています。よって明治22年末では亀田郡亀田村に第三大隊亀田営所があったことで問題なさそうです。

ただ新たな疑問が生じます。明治23年の戸籍表の方では陸軍第二師団歩兵第五連隊分遺隊は既に函館区内に移っていることになっているのです([103921]参照)。もしかしたら熊本の第六師団工兵第六大隊のケースと同様に、明治23年末に兵営が函館区内に既に移動していたという情報が間違っている可能性が出てきました。

以上、明治22年の入寄留の陸海軍在営艦者は、どういうわけか陸軍のみ処理がされ、海軍に関してはなぜか出入寄留側で人口統計が処理されています。ところが『戸籍表 明治二十二年 上』を読んだところ、少なくとも海軍としてのデータは載っておりました。それを最後に紹介します。

市区町村府県庁人員下士区分
京橋区築地四丁目東京府24195海軍主計学校
京橋区築地四丁目東京府824339海軍軍楽練習所
芝区芝公園地東京府422海軍水路部
芝区芝赤羽町東京府1112109海軍造兵廠
赤坂区溜池葵町東京府330海軍参謀部
芝区品川港東京府29961238海軍浪速
芝区品川港東京府33073257海軍高千穂
芝区品川港東京府33349284海軍扶桑
芝区品川港東京府20227175海軍武蔵
芝区品川港東京府20327176海軍葛城
芝区品川港東京府20326177海軍大和
荏原郡中目黒村東京府24024海軍火薬工厰
三浦郡浦郷村長浦神奈川県20736171海軍横須賀水雷隊
三浦郡横須賀町神奈川県1,923861,837海軍横須賀鎮守府
三浦郡横須賀町神奈川県1,2701751,095海軍横須賀鎮守府海兵団
三浦郡横須賀町神奈川県25861197海軍浅間
三浦郡横須賀町神奈川県21846172海軍迅鯨
三浦郡横須賀町東京府35847311海軍筑波
三浦郡横須賀町神奈川県18414海軍龍驤
三浦郡横須賀町神奈川県1052283海軍八重山
三浦郡横須賀町神奈川県18523162海軍海門
三浦郡横須賀町神奈川県521636海軍天城
三浦郡横須賀町神奈川県1293297海軍愛宕
三浦郡横須賀町神奈川県1132192海軍干珠
横浜市神奈川県19431163海軍高雄
神戸市兵庫県1381137海軍小野浜造船所
神戸市兵庫県871473海軍麻耶
神戸市兵庫県1697海軍赤城
長崎市長崎県12921108海軍日進
長崎市長崎県961779海軍磐城
東彼杵郡佐世保村長崎県631845海軍佐世保鎮守府
東彼杵郡佐世保村長崎県42967362海軍佐世保鎮守府海兵団
東彼杵郡佐世保村長崎県931974海軍鳥海
下県郡竹敷村長崎県14223119海軍春日
広島市宇品広島県12412112海軍館山
安芸郡江田島村広島県1122983海軍兵学校
安芸郡宮原村(呉)広島県672344海軍呉鎮守府
安芸郡宮原村(呉)広島県868139729海軍呉鎮守府海兵団
安芸郡宮原村(呉)広島県701654海軍鳳翔
安芸郡宮原村(呉)広島県911477海軍石川
福岡市博多福岡県29652244海軍天龍
三角浦村熊本県20521184海軍満珠
朝鮮仁川外国行15126125海軍筑紫
外国航海中(ハワイ方面遠洋航海)外国行25838220海軍金剛
外国航海中(地中海方面遠洋航海)外国行25438216海軍比叡
日本国内外総計10,5371,5299,008

なお金剛と比叡は、翌明治23年にはエルトゥールル号の被災者をトルコに届ける任務に就いています。

【訂正】リンク修正。仙台榴ヶ岡周りの説明が変だったのを追加修正。川内市→仙台市!
[107191] 2023年 3月 31日(金)13:12:05【1】訂正年月日
【1】2023年 5月 25日(木)17:15:42 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年12月31日調の現住人口、追加修正等の情報
総務省統計局図書館が所蔵している古資料を調べたところ、

『町村別戸口表 明治廿二年 上 その一』
『町村別戸口表 明治廿二年 上 その二』
『町村別戸口表 明治廿二年 下 その一』
『町村別戸口表 明治廿二年 下 その二』
『戸籍表 北海道之部 従明治十九年 至明治廿八年』

とは別に、

『戸籍表 明治二十二年 上』
『戸籍表 明治二十二年 下』

という資料があることに、今更ながら気付きました。現在総務省統計局図書館は工事中のため、古資料の閲覧はできませんが、上記資料はマイクロフイルム化されており、そちらを閲覧してみました。すると明治22年の陸軍・海軍の詳しい内訳がまとまっていました。例えば千葉県印旛郡内の場合

明治廿二年十二月丗一日調 第一師団諸隊下士卒在営現人員区分表 (抜粋)
兵種隊号屯営配置ノ地名下士(合計)
歩兵第ニ連隊三大隊千葉県印旛郡佐倉田町 佐倉旧白内1191,4851,604

明治廿二年十二月丗一日調 砲兵射的学校学校生及下士卒在営現住人員区分表
区分所在地名定期学士下士(合計)
教導中隊千葉県印旛郡下志津村22978109

というわけで、[107039]で披露した折角の考察も大分外れていました・・・

また東京府東京市芝区の3人の陸軍関係者の正体が不明でしたが、発足したばかりの東京憲兵隊の馬丁でした。

明治廿二年十二月丗一日調 憲兵隊場丁在営現住人員区分表
区分所在地名馬丁
東京憲兵隊本部麹町区大手町一丁目一番地1
東京憲兵隊第一管区首部麹町区大手町一丁目一番地6
東京憲兵隊第一管区首部牛込区左内坂町廿一番地ノ内二号・市ヶ谷田町一丁目八番地3
東京憲兵隊第一管区首部芝区栄町七・八番地3
東京憲兵隊第一管区首部下谷区下谷車坂町十八番地ヨリ三十二番地ノ内に至マデ3
大坂憲兵隊大坂市南区順慶町通安堂寺町通4
愛知憲兵隊愛知県名古屋市本町四番地3
宮城憲兵隊宮城県仙台市東二番町七十五番地3

上の事例ですと、市谷左内坂町と市谷田町一丁目を分離できないという問題がありますが、概ね東京市内町丁レベルまで陸海軍在営艦者を分けることができると思います。

以上より、[107043]

2. 千葉県印旛郡の入寄留の内、入寄留の陸海軍在営艦者1713人の分配の情報がないため、志津村(陸軍砲兵射的学校)と佐倉町(陸軍第一師団歩兵第二連隊)の現住人口が確定できない。一応[107039]に示す方法で推定値は出しました。

こちらの問題は解決しました。

また東京市, 大阪市, 堺市, 新潟市, 水戸市, 津市, 弘前市, 秋田市, 鳥取市, 福岡市, 久留米市を除く市について『町村別戸口表』に掲載がないという問題がありましたが、『戸籍表』の方には郡区レべルの出入寄留の情報が揃っており、さらに 伊豆七島, 小笠原全体の統計も載っておりました。よって他町村出入寄留の情報が全て揃いそうです。最初に町村別人口がまとまっていた『町村別戸口表』に出会ってしまったために見落としてしまっていましたが、『町村別戸口表』はむしろ『戸籍表』に付属する資料だったようです。

残る問題は

1. 東京府伊豆七島・小笠原島に関しては、細かい町村別人口の情報が完全に欠落。

3. 虫食いのため、茨城県東茨城郡の一部の町村(石崎村、常磐村、河和田村、長岡村、上野合村、伊勢畑村、磯浜町)の出寄留の囚人及懲治人が正確に得られず、現住人口が正確に算出できない。

4. 北海道庁釧路郡に所属する町村(真砂町、米町、洲崎町、幣舞町、浦見町、釧路村、桂恋村、鳥取村、昆布森村、跡永賀村、仙鳳趾村)に関し、郡全体での他町村出寄留は4人となっているものの、町村別の他町村出寄留が空欄となっており、これらの町村のいくつかの現住人口を正確に算出できない。これに関しては対処不能なので、とりあえず各町村の他町村出寄留を0として算出しました。

1と3についてはこれ以上の対処は不能で、2の虫食いの問題は、数年後、古資料閲覧が可能になった以降に、改めて確認します。

新たに情報を得た戸籍表を用いた修正はまあ数日かかりますが、修正結果の公表の方は4月末に行います。

現時点で気付いた修正点ですが、佐倉町、志津村の人口が修正されるほか、

広島県狩小川村の官報計算の現住人口を3,276から3,278に訂正、
飛騨国大野郡高山町の高山監獄の囚人28の処理に一部不具合あり
島根県楯縫郡の鳶巣村と鰐淵村は官報掲載の現住人口が計算値と±1ずれているが、こちらは修正なし
一部戸長役場連合、組合の集計に、範囲の指定の誤りあり

また区分として、東京市、函館区、札幌区内の下位区分について、~町を/町丁/、~村を/大字/として区別していましたが、徴発物件一覧表で町丁だろうが全部「大字●●町一丁目」といった表記をしていましたので、次の更新から全部/大字/に統一します。


なお、第五師団第十二連隊の「屯営配置ノ地名」は「香川県那珂郡丸亀 丸亀旧城内」となっていました。丸亀営所は戸長役場管轄地区の範囲外なのでしょうか。まあそもそも陸海軍兵営と監獄は、出入寄留届の対象外のようですので、丸亀営所の在営者は現状では、
「丸亀営所(元一番~四番丁)」として処理します。

参考までに広島の方は「広島県広島市基町 広島旧城内」、松山の方は「愛媛県温泉郡堀内町 松山旧城内」(堀内町は明治22年末の段階では松山市の一部になっており、「各地方郡市戸口表」「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」が誤って陸軍第五師団歩兵第二十二連隊1,559を温泉郡に加算してしまった原因がここに伺えます)と、大字レベルまでの住所は他の事例では示されています。
[107174] 2023年 3月 30日(木)00:48:15【2】訂正年月日
【1】2023年 3月 30日(木)01:01:05
【2】2023年 5月 25日(木)17:16:18 by オーナー(表組み改善)
YT さん
久栄村?
[107173] サヌカイトさん

一番丁~五番丁の調査、ありがとうございます。それにしても久栄村の件は、色々謎が多いですね。

昭和30年の国勢調査報告書に「付表2 市区町村の廃置分合,境界変更,名称変更一覧表-昭和25年10月2日~昭和30年10月1日」という項目があり、(pdf形式)でダウンロード可能です。これによると

年月日異動地域昭和25年人口 △は減
綾歌郡久万玉村6,172
29.4.1(新)綾歌郡栗熊村3,447
同富熊村2,725

とあって、久栄村の存在は無視されています。

一方香川県側では、例えば昭和29年の『香川県統計年鑑』に収録されている「市町村の廃置分合・境界変更及び名称変更」によると、

昭和25年国勢調査結果表より

などという謎の引用を掲げながら、

年月日合併町村
〃26.4.1綾歌郡富熊村及び栗熊村を廃し、その区域をもって久栄村を設置321141
昭和26.4.1綾歌郡久栄村を久万玉村とする。

と表記しており、久栄村の存在を示しています。

香川県側の証言としては、『香川県議会史 第1巻 (自昭和22年4月至昭和30年3月)』の346~347頁の記述によると、昭和26年3月10日土曜日の香川県議会議会で、以下のことが議決されており、この段階では4月1日付で久万村とすることが決まっています。

午後一時十三分再開

二十五号議案(仲多度郡南村を丸亀市の区域に編入)二十六号議案(綾歌郡栗熊村および富熊村を廃して久栄村とする)の二議案を追加上程、茨木議員が賛成、両議案とも賛成多数で可決承認、二十三、二十四号議案とあわせて陽春四月一日から二市一町八村が、二市一町一村として発足することとなった。

ところがむっくんさによると、[102330]に示したように、香川県報では昭和26年3月20日の段階では既に久万玉村となることが決まってしまっている。

香川縣告示第百二十一号
 綾歌郡栗熊村及び富熊村を廃して、この区域をもつて新に久万玉村を置き、昭和二十六年四月一日から施行する。
 なお、地方自治法施行令第百七十七條第一項第一号の規定に依る久万玉村の人口は六千百七拾弐人である。
昭和二十六年三月二十日 香川縣知事 金子正則

3月10日と3月20日の間の10日間に何があったのでしょう?昭和25年度3月の残りの議会の記録を読んでも、久栄村を久万玉村とすることに関する議論は掲載されていません。

そして、昭和26年5月21日の官報によると、この段階では既に4月1日付で久万玉村となったことが報告されています。

◎総理府告示第百六十五号
   村の廃置分合
地方自治法第七条第一項の規定により、昭和二十六年四月一日から、香川県綾歌郡栗熊村及び富熊村を廃し、その区域をもって久万玉村を置く旨、香川県知事から届出があった。 昭和二十六年五月二十一日
    内閣総理大臣 吉田 茂

以上を察するに、3月10日の段階で久栄村は議会で承認されたが、3月20日までに久万玉村となり、4月1日に正式に発足した際には久万玉村・・・というのが大まかな流れ。ところが、香川県内では、議案として久栄村の記録が残っており、例えば『香川県議会史 第1巻 (自昭和22年4月至昭和30年3月)』の年表の昭和26年四月一日・日の項目には、

綾歌郡栗熊村および富久万村を廃しその区域をもって久栄村を置く。綾歌郡久栄村を久万玉村とする。

と、4月1日に正式に久栄村が発足してしまったかのような記述になってしまってます。

あとは、

― (1) 「香川県報」に記載された告示が正しく、久栄村は存在しなかった
― (2) 香川県議会で決定されたように、久栄村は正式に発足したもので、香川県報の告示の記述は言葉足らずである

のどちらの立場を選択するかの問題に帰結されるかと思います。

個人的には(1)が正しく、久栄村は正式には発足しなかったと思われますが、香川県史、香川県統計年鑑、香川県議会史など、香川県側の記述は、この後大分経っても「久栄村」が正式に存在したとするものが多く、脚注で異論として併記が必要かも知れません。
[107168] 2023年 3月 29日(水)14:02:00【1】訂正年月日
【1】2023年 3月 29日(水)15:56:28
YT さん
Musashite?
[107164] サヌカイトさん

YTさん 丸亀市街問題について
 私のホームグラウンドということで郷土資料をとして手に入れやすいことから図書館で確認してきましたが、明確な記述は得られませんでした。その時メモを持って行き忘れたのでもう1回確認に行って記事にしますが、取り急ぎ香川県史(平成元年)に一から四番丁消滅の根拠記述っぽいのが載っていたことは報告しておきます。

わざわざ報告して頂きありがとうございます。[99158]の投稿からすると、サヌカイトさんは現在高校2年~3年の兄弟なのでしょうか?改めてこちらの落書き帳の年齢幅の大きさに驚かされます。

これはサヌカイトさんにとっては悪魔の囁きかも知れませんが、[107055]で示したように、国立国会図書館デジタルライブラリーの個人向けデジタル化資料送信サービス機能を使うことによって、自宅のパソコンで『香川県史』を閲覧することができます。ただそれによって自分がなすべき仕事が大いに阻害されることは間違いありません。一点問題となるのは、国立国会図書館の利用資格が年齢満18歳以上なことですが、兄の方は既に有資格者だと思います。

私が学生の時は、国立国会図書館の利用資格は満20歳以上でした。ただ当時真面目な大学生だった自分は、せっかく20歳の誕生日を迎えても、朝から晩まで授業を6コマ入れていた平日に全く利用する時間を作ることができず、確か土曜日?は夕方5時には閉まるし、行っても読みたい本を申請し(ぎりぎりOPACはあったかな・・・)、本が閲覧できるまでに30分以上も待たされ、とにかく利用し辛い図書館でした。その頃に比べたら、国立国会図書館は本館の方も大分利用し易くなりました。

おそらく丸亀営所に関する記述があるのは、『香川県史 5 通史編 近代I』(1987年3月)の92頁以降の「丸亀営所」の項目かと思います。こちらを読むと、丸亀一番丁~四番丁は「御用地」となり、さらに明治7夏の段階で丸亀五番丁~十番丁も将来の兵営地に指定されたものの、結局兵営地になったのは五番丁までで、残りは継続して住民が住み続けたことがうかがえます。ただ、結局明治22年末の段階で、一番丁~四番丁に建設された兵営所の住所表記はどうなるのかの問題は解決しませんね。

ちなみにこの県史、wikiの久栄村記述の出元ではないかと疑っております。県の呼びかけに従って早めに合併した模範事例としてわざわざ詳しく書かれており、そこにしっかり存在したと述べられていたので。ちなみに別出典ですが読みは「きゅうえい」だそうです。

こちらが載っているのは『香川県史 7 通史編 現代』(1989年3月)の359頁以降の「内海町と久万玉村」の項目ですね。いずれにせよ、国立国会図書館に利用登録をすれば膨大な数の本を閲覧できるようになります。


それにしても「サヌカイト」とは、なかなかセンスのある名前ですね。思えば自分は埼玉県浦和市生まれ、神奈川県川崎市育ち、最近は東京都稲城市在住なので、日本国内での居住は全て武蔵国内です。さしずめMusashite ムサシャイトかムササイト?となりますが、今更本名をイニシャルにしただけのメンバー名を変えるつもりはありません、


個人情報について

これまでこちらのサイトで個人情報に関する立場を表明したことはありません。ただ私の表の顔に関しては、これまでの自分の仕事をアピールするために個人情報は完全に公開されています。私の本名で検索すれば、ばっちり写真、学歴、職歴、出版物、公式のメールアドレスなどがすべて一発で分かります。将来犯罪を犯して捕まってしまえば、もうネットリンチを逃れることができないことになりそうですが、それも仕方ないような職業についています。今のところ身近な人に自分のこちらでの書き込みを公表したことはありませんが、万が一バレますと・・・「お前は自分の専門と全く関係ないことにこんなに時間を割いているのか!」と上司に言われ、職を失うリスクは多少はありますね。とはいえ、多分ポリティカルコレクトネスに重大に反する書き込みをしたことはないとは思います。

思えば個人情報は、昔は本当にユルユルでした。学校の名簿が事務からいつの間にか名簿業者に流出していたり(学習塾の広告のダイレクトメールの郵便番号が全部間違っていたので、間違った郵便番号が登録されていた学校の事務経由と推測され、また進研ゼミだけは別系統の名簿を使っていることも判明)、大学に合格すれば新聞や週刊誌に名前が出て、図書館に行けば近隣の高額納税者の名前が分かりました。それがいつの間にか法規制で個人情報の収集に制限がかかったのはいいんですが、業者を介してOB会開催した結果、OB会名簿の引継ぎが失われてしまうだとか、子供の小学校の緊急連絡網が存在しないとか、ちょっと行き過ぎているようにも感じます。個人情報に関しては幾分グリグリさんに近い意見になるかと思いますが、一方で職業柄若い人とも頻繁に会話するので、反対意見の方も理解できます。世代間の意見の違いを感じるとともに、自分も結構年増組になってしまったんだなあ・・・と思い知らされます。

【リンク修正】
[107127] 2023年 3月 21日(火)23:30:06【4】訂正年月日
【1】2023年 3月 21日(火)23:35:30
【2】2023年 3月 21日(火)23:44:31
【3】2023年 3月 21日(火)23:54:49
【4】2023年 3月 22日(水)00:06:06
YT さん
丸亀五番丁はおそらく明治23年まで存続、ただし丸亀営所は元一番丁~四番丁に設営
[107123] むっくんさん

これらからすると明治7年に、おそらく、住民の数が0人となった自治体としての丸亀一番町~四番町が無くなり、登記簿上のみに丸亀一番町~四番町が残った。その後、明治23年の市制町村制施行に伴う丸亀町の成立に伴い、他の町村の管轄区域ではない丸亀一番町~四番町(土地の登記簿上のみ存在)が自治体として一瞬だけ復活していることとしていたものと考えます。
#丸亀一番町~四番町のような事例としては、現在の京都市上京区の京都御苑に存在していた西殿町(M19.5.13廃止、M22.4.1に上京区の一部)が挙げられます。

当時の丸亀営所は丸亀五番町にあり、丸亀五番町は丸亀通町外二十二箇町連合を形成する一つの町ではないでしょうか。おそらく、何らかの手違いで丸亀五番町が抜け落ち、その為に丸亀通町外二十一箇町連合となったのでしょう。

考察ありがとうございます。

まず色々調べた結果、『丸亀市史』(閲覧には利用者登録が必要です:[107055]参照)の方に明治21年8月13日付で「丸亀通町外二十二箇町戸長」の人口戸数のデータが乗っており、「丸亀通町外二十一町丁」とするのは誤りであり、たとえ人口がゼロであっても「五番丁」は空欄として登録するべきであることが示唆されました。

一方で、この丸亀市史収録の報告書には・・・御供所町、北平山町、西平山町、瓦町、風袋町、葭町、宗古町、魚屋町、松屋町、米屋町、通町、富屋町、塩飽町、南条町、横町、福島町、六番丁、七番丁、八番丁、九番丁、十番丁の合計21町丁の情報が載っているのですが、浜町と五番丁が欠けています。五番丁は本籍人口ゼロだから仕方ないかもしれませんが、浜町は明治22年の本籍人口が522人ですし、データの収録ミスかも知れません。

さらに厄介なことが判明しました、少なくとも丸亀営所は、一番丁~四番丁の武家屋敷をつぶしたところに作られ、あとから五番丁が兵営地に編入されたと推測されるからです。

まず、国立公文書館デジタルアーカイブの方に『讃岐国丸亀絵図』がありますが、こちらの城絵図は、下の方が北、上の方が南、左の方が東、右の方が西となっています。現在の丸亀城址(丸亀市一番丁)は、中央の内堀の内側のみで、外堀は埋め立てられるか、暗渠になっているかしており、地図の上ではなんとなく過去の外堀・町割の跡を道路で確認できる程度です。

次に明治6年12月3日の山縣有朋による『丸亀兵営建築地所請取方伺』もまた、国立公文書館デジタルライブラリ―で閲覧できますが、この資料の3/7頁目に、まさに丸亀兵営地を作るために陸軍に引き渡される予定の5万9463坪4号9勺4才別紙図面が掲載されています。場所としては城の外堀の内堀に挟まれた地で、「土橋」の位置から、城絵図と比較すると、現在の丸亀城址の北側の、丸亀市大手町一丁目大手町二丁目大手町三丁目に相当する地域であることが分かります。

『新版 角川日本地名大辞典』によると、現在の「丸亀市大手町」は、

昭和25年~現在の丸亀市の町名。昭和57年からは1~3丁目がある。もとは軍用地の一部(丸亀市旧一番丁~四番丁の中央部分)。丸亀城大手門前の一帯にあたり,町名はそこに由来する。

ついでに「四番丁」は、

江戸期~明治7年の町名。丸亀城の外郭内の武家屋敷町の1つ。丸亀平野の北部に位置し,丸亀城の北にあたる。三番丁の南に位置し,南側は内堀に面した。東西に細長い町で,中央は広場となっており,橋を経て大手二の門の正面にあたった。生駒氏時代から家中の居住地であったと推定されるが,町の成立は不明。続く山崎氏時代の城郭図には町割が整い,「侍屋敷」と記されている。京極氏時代の文政11年城郭図には10前後の武家屋敷が記されている。明治7年広島鎮台丸亀営所創設にともない陸軍省が用地を買収し軍用地となり,町は消滅した。買収による取払民家数8軒(丸亀市史)

つまり、一番丁~四番丁は、現在の丸亀城址の北側に、かつての外堀と内堀の間を埋めていた城下町で、北から順番に外堀、一番丁、二番丁、三番丁、四番丁、内堀と東西に延びた町割であったようです。この地の約90家の武家屋敷が明治7年に取り潰されて、丸亀営所になったようです。現在の大手町は、かつての東西に細長い四層構造を南北のラインで東西3つの丁目にぶつ切りにしてしまっています。

丸亀市史』の方に、兵営接地のために取り払われた武家屋敷の所有者一覧と住所が書かれています。すなわち「元一番丁」、「元二番丁」、「元三番丁」、「元四番丁」が該当します。リストには華族として京極一門の名前もあり、割と上級武士の武家屋敷のようです。丸亀営所自体は明治7年9月に新築落成しています。


一方五番丁の方は

江戸期~明治初年の町名。丸亀城の外郭内の武家屋敷町の1つ。丸亀平野の北部に位置し,丸亀城の東にあたる。四番丁の南に位置した。南北に細長い町で,東西でそれぞれ外堀・内堀に面した。生駒氏時代から家中の居住地であったと推定されるが,続く山崎氏時代の城郭図では町割が整い,「侍屋敷」と記されている。京極氏時代の文政11年城郭図には30数軒の武家屋敷が記されている。また当町の北東端には番所があり,土橋を経て城外に至った。明治7年広島鎮台丸亀営所創設にともない,陸軍省が一番丁~四番丁の用地を買収,その後当町も歩兵第12連隊の作業場地域となり,町は消滅した。なお,昭和25年当町域は城東町の一部として再発足した。

こちらは現在の丸亀城址の内堀の東側に、南北に伸びた武家屋敷で、現在の丸亀市城東町二丁目に相当します。文章からすると後から陸軍に接収された土地です。ただ、『日本歴史地名大系』の方も

外郭内の武家屋敷は北から一番丁―十番丁まであったが、明治初期の丸亀歩兵連隊設置により一番丁―五番丁は消滅した。

とあり、『日本歴史地名大系』や『新版 角川日本地名大辞典』の記述に従うところの五番丁の消滅(?)時期が不明です。

結局具体的な丸亀営所の住所表記は分かりませんが、『陸軍省第十年報: 明治十七年 自一月 至十二月』の方だと、歩兵第十二連隊の営所の住所は、「那珂郡丸亀一番ヨリ九番地マデ丸亀城」となっています。

以上をまとめると、

1.「五番丁」は実態は無くとも居住地としては生きており、「町村別戸口表に掲載なし」という備考を加えた上でデータとして追加するべきである。

2.「通町外二十一町丁」は「通町外二十二町丁」に改訂するべきである。

3.「丸亀営所」は、元一番丁~元四番丁を接収して建設された。よって、「丸亀営所(旧一番丁~旧五番丁)」は「丸亀営所(元一番丁~元四番丁)」と改訂するべきである。



まあ今回改めて感心したのは、よく本丸、天守閣を潰して兵営地を建設しなかったことです!万が一天守閣を潰していたなら、丸亀城は現存十二天守の資格を失っていました。丸亀に関わった陸軍の幹部は、丸亀城の天守閣を潰さずに、あくまでも武家屋敷を潰して外堀と内堀の間に兵営所を建設し、その他の重要な軍備施設は城郭建物を転用していたようです。丸亀城が生き残れたのも、本当に幸運のなせる業と言えるでしょう。

【文章を色々修正/追記】丸亀藩・京極家は幕末尊皇派として行動し、明治維新後も率先して廃藩置県に応じたことから、丸亀城郭存続に効いたのかも知れません。明治時代~昭和時代の丸亀城周辺の地図を掲載しているサイトを見つけました。明治32年の地図(pdfファイル)を見る限り、兵営地があったのは現在の丸亀市大手町三丁目と現在の大手町二丁目で、元一番丁~四番丁の西側の半分という感じです。元一番丁~四番丁の東側は「練兵場」となり、五番丁は「作業場」になっています。
[107114] 2023年 3月 20日(月)14:42:22【3】訂正年月日
【1】2023年 3月 20日(月)18:07:40
【2】2023年 3月 20日(月)21:35:49
【3】2023年 5月 25日(木)17:21:26 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治23年北海度庁の町村別人口4カ所の人口訂正と、明治22年における丸亀営所の所属町村の問題
[107111] 白桃さん

注1:表中1886年の(人口)は、「市街名邑及町村二百戸以上戸口表」(M.21年「内務省総務局」に記載された現住人員(1886年12月31日調)、1890年の(人口)は、YTさんが算出された現住人口(日本帝国民戸口表基準)、1908年の(人口)は「日本帝国人口静態統計」によります。

早速使って頂きありがとうございます。

ただ、[107050]でアップロードしました明治23年(1890年)12月31日調市区町村別人口については、[107077]に加え、北海道庁の一部市区町村に間違いがありましたので、追加訂正します。

【1】

修正前:
市区町村本籍男本籍女本籍人口現住戸数現住人口(官報基準)現住人口(日本帝国民籍戸口表基準)
茅部郡蛯谷村29825655471559559
茅部郡石倉村13712025730268268

修正後
市区町村本籍男本籍女本籍人口現住戸数現住人口(官報基準)現住人口(日本帝国民籍戸口表基準)
茅部郡石倉村29825655471565565
茅部郡蛯谷村13712025730262262

『戸籍表 北海道之部 従明治十九年 至明治廿八年』は、明治23年の戸口表に関して、本籍人口と現住戸数をまとめた「各郡区町村別戸口表」と、出入寄留をまとめた「各郡区町村別人口出入表」が分離しているのですが、両者で順番が違っていたのを見落とし、誤って逆にまとめて算出してしまいました。この間違いは『明治二十四年 徴発物件一覧表』との数値の比較で気付きました。本籍男~現住戸数の数値は逆で、[出]外国行~[入]他町村入寄留の数値は正しいです。ただし修正するにあたっては、「各郡区町村別戸口表」の順番を優先し、石倉村と蛯谷村を逆にし、出]外国行~[入]他町村入寄留の数値を入れ替えました。結果、現住人口(官報基準)と現住人口(日本帝国民籍戸口表基準)の数値が変わります。


【2】

修正前:
市区町村本籍男本籍女本籍人口現住戸数現住人口
(官報基準)
現住人口(日本帝国
民籍戸口表基準)
備考
室蘭郡輪西村17118835967504503
室蘭郡元室蘭村8286421,4703001,5201,520M23.5.15改称

修正後:
市区町村本籍男本籍女本籍人口現住戸数現住人口
(官報基準)
現住人口(日本帝国
民籍戸口表基準)
備考
室蘭郡輪西村8286421,4703001,6151,614本籍男171, 本籍女188, 本籍人口359, 現住戸数67を修正
室蘭郡元室蘭村17118835967409409M23.5.15改称; 本籍男828, 本籍女642, 本籍人口1,470, 現住戸数300を修正

こちらはむしろオリジナルは『戸籍表 北海道之部 従明治十九年 至明治廿八年』に従ってまとめてました。即ち「各郡区町村別戸口表」の方は元室蘭村、輪西村、各郡区町村別人口出入表」の方は輪西村、元室蘭村の順番に数字が示されており、入力の際にはちゃんと順番を入れ替えて表にまとめました。しかしがら『明治二十四年 徴発物件一覧表』との数値の比較で数値がおかしいことに気付きました。明治22年、明治24年の人口と比較すると、明治23年だけ特異的に室蘭村と輪西村の人口が不自然に反転していました。そこで『明治二十四年 徴発物件一覧表』の掲載の値が正しく、「各郡区町村別戸口表」の方で誤って元室蘭村と輪西村の順番を間違えてしまったと判断し、本籍男~現住戸数の数字を輪西村と元室蘭村の間で交換するという修正を行いました。[出]外国行~[入]他町村入寄留の数値は、人口比からも数字的に元データが正しいと判断し、こちらは修正しませんでした。結果、現住人口(官報基準)と現住人口(日本帝国民籍戸口表基準)の数値が変わります。

以上の間違いは『明治二十四年 徴発物件一覧表』との数値の比較で気付きましたが、他の地域については官報掲載の現住人口との比較である程度この手の入力誤りは防げていたと思います。北海道庁・沖縄県・奄美・トカラ・対馬・隠岐に関しては、官報掲載の現住人口によるチェックができないため、このような間違いがほかにあるかも知れません(明治22年に関しては、『町村別戸口表』の方に欄外で官報掲載の現住人口が記載されているため、北海道庁と、そもそも情報漏れの伊豆・小笠原以外は数値のチェックができます)。

この他、戸長役場連合、町村組合管轄の範囲について、SUM関数の指定を誤っている箇所が既にいくつか見つかっていますが、これについてはまあ追加修正は一々メモっていないので、次回の更新で突然の修正がいくつも出てきますがすみません。


なお、今回香川県の過去の人口をまとめていらっしゃいますが、明治22年(1889年)12月31日調の香川県の現住人口について、一点扱いに困っている項目があります。それは、丸亀城下におかれた「丸亀営所(旧一番丁~五番丁)」の扱いです。明治22年末の香川県那珂郡は、無籍在監人2人、入寄留の囚人及懲治人208人、入寄留の陸海軍在営艦者1,598人の存在を確認できますが、この内無籍在監人2人は那珂郡丸亀御供所町に加えると、官報掲載の現住人口とも一致することからも、丸亀監獄が丸亀御供所町に存在したことが確認できます。一方で入寄留の陸海軍在営艦者1,598人とは、すなわち丸亀営所に現住戸籍を届けた陸軍第五師団歩兵第十二連隊の下士・卒・生徒であることに相違ありません。問題はその所在地ですが、『新版 角川日本地名大辞典』などによると、例えば那珂郡丸亀五番丁について、

明治7年広島鎮台丸亀営所創設にともない,陸軍省が一番丁~四番丁の用地を買収,その後当町も歩兵第12連隊の作業場地域となり,町は消滅した。なお,昭和25年当町域は城東町の一部として再発足した。

とあり、丸亀営所は旧那珂郡丸亀一番丁~五番丁に設置されたことがわかります。実際官報の方では那珂郡丸亀六番丁~十番丁の記載がありますが、那珂郡丸亀一番丁~五番丁はありません。

となると、丸亀営所に居住の兵卒は、どこに現住の戸籍を置いたのでしょう?既に丸亀一番丁~五番丁は消滅しています。仕方ないので「丸亀営所」とでもするしかない町丁名同等地区が存在すると仮定して集計し、戸長役場管轄としては丸亀通町外二十一箇町丁連合の方に合算しましたが、ここの当時の住所の扱いが分かれば、集計方法を今後変えるかも知れません。

【言葉の間違いや繰り返しを一部訂正】
[107077] 2023年 3月 14日(火)01:05:57【3】訂正年月日
【1】2023年 3月 14日(火)01:37:18
【2】2023年 3月 14日(火)09:49:34
【3】2023年 5月 25日(木)17:21:58 by オーナー(表組み改善)
YT さん
徴発物件一覧表との比較による明治23年(1890年)12月31日調市区町村別人口の一部修正
[107050] でまとめた明治23年(1890年)12月31日調市区町村別人口については、[105242] に書きましたように、現在総務省統計局図書館所蔵が耐震改修工事対応のため利用できないため、残った数カ所の再チェックはあと数年実行できなくなりました。

しかしながら、明治23年(1890年)12月31日調については[87941]にまとめたように、『明治二十四年徴発物件一覧表』が存在します。
本書は大字別単位で膨大な情報が掲載されており、その中に大字別人口の情報もあります。8年前、[88602]に示したように、この情報をエクセルファイルにまとめようとしましたが、結局この徴発物件一覧表の人口データは本籍人口と現住人口、その他いい加減な計算結果が入り乱れているものであり、数値のチェックが困難なことから、まとめることを断念しました。今回[107050]で戸籍表に基づく現住人口がある程度まとまったので、改めて大字別人口を盛り込んで行こうと思っています。

ところで、[105313]に示したように、明治23年12月31日調の現住人口に関しては、

2. 虫食いのため、いくつかの町村の出寄留の囚人及懲治人、陸海軍在営艦者の情報が正確に得られず、現住人口が正確に算出できない。

という問題が発生していました。具体的には京都府の相楽郡加茂村、相楽郡当尾村、愛知県の愛知郡千種村、愛知郡鍋屋上野村、知多郡半田町、知多郡亀崎町、知多郡岡田村、碧海郡大浜町、碧海郡中島村、碧海郡占部村、幡豆郡味沢村、幡豆郡五保村、額田郡相見村、額田郡深溝村、西加茂郡藤河村、西加茂郡高岡村、西加茂郡豊原村、東加茂郡介木村、東加茂郡生駒村が該当します。

改めて徴発物件一覧表掲載の人口と比較したところ、少なくとも愛知県知多郡、碧南郡、幡豆郡に関しては、徴発物件一覧表掲載の人口が現住人口に対応しているらしいことが判明しました。他の京都府相楽郡と愛知県西加茂郡は一部現住人口、愛知県愛知郡と東加茂郡は本籍人口、愛知県額田郡は本籍人口と独自算出の混合ということで、他については既に推定値と合致する場合と、本籍人口ベースのだめにそもそも検証不能の場合とが混在します。

町村府県庁本籍官報[出]陸海軍[出]囚人懲治人現住(未確定)徴発物件虫食い箇所
相楽郡加茂村京都府3,7563,734573,7223,717[出]囚人及懲治人
相楽郡当尾村京都府1,4671,452111,4501,450[出]囚人及懲治人
愛知郡千種村愛知県2,7572,612212,6092,757[出]囚人及懲治人
愛知郡鍋屋上野村愛知県1,3491,318201,3161,350[出]囚人及懲治人
知多郡半田町愛知県4,9735,162765,1495,147[出]陸海軍在営艦者,[出]囚人及懲治人
知多郡亀崎町愛知県5,8466,0501056,0356,034[出]囚人及懲治人
知多郡岡田村愛知県2,0502,017332,0112,014[出]陸海軍在営艦者,[出]囚人及懲治人
碧海郡大浜町愛知県5,6845,50015125,4735,472[出]囚人及懲治人
碧海郡中島村愛知県1,6251,446211,4431,441[出]囚人及懲治人
碧海郡占部村愛知県2,6772,299442,2912,293[出]囚人及懲治人
幡豆郡味沢村愛知県2,1381,923301,9201,919[出]囚人及懲治人
幡豆郡五保村愛知県2,6862,439022,4372,438[出]囚人及懲治人
額田郡相見村愛知県3,1332,981492,9683,133[出]囚人及懲治人
額田郡深溝村愛知県2,7692,560372,5502,608[出]囚人及懲治人
西加茂郡藤河村愛知県1,6491,595421,5891,589[出]囚人及懲治人
西加茂郡高岡村愛知県2,0132,032332,0262,026[出]囚人及懲治人
西加茂郡豊原村愛知県1,9001,833021,8311,832[出]囚人及懲治人
東加茂郡介木村愛知県1,2371,240101,2391,237[出]陸海軍在営艦者
東加茂郡生駒村愛知県73172300723731[出]陸海軍在営艦者

[107050]の段階では修正を加えていませんが、少なくとも知多郡半田町、知多郡亀崎町、知多郡岡田村、碧海郡中島村、碧海郡占部村、幡豆郡味沢村、幡豆郡五保村については以下のような修正を、次のバージョンで入れることにしました。碧海郡に関しては、項目として隣接する中島村、占部村の数字が一致するよう、大浜町よりも優先して修正しました。

町村府県庁本籍官報[出]陸海軍[出]囚人懲治人現住(未確定)徴発物件虫食い箇所
相楽郡加茂村京都府3,7563,734573,7223,717[出]囚人及懲治人
相楽郡当尾村京都府1,4671,452111,4501,450[出]囚人及懲治人
愛知郡千種村愛知県2,7572,612212,6092,757[出]囚人及懲治人
愛知郡鍋屋上野村愛知県1,3491,318201,3161,350[出]囚人及懲治人
知多郡半田町愛知県4,9735,162785,1475,147[出]陸海軍在営艦者,[出]囚人及懲治人
知多郡亀崎町愛知県5,8466,0501066,0346,034[出]囚人及懲治人
知多郡岡田村愛知県2,0502,017302,0142,014[出]陸海軍在営艦者,[出]囚人及懲治人
碧海郡大浜町愛知県5,6845,50015125,4735,472[出]囚人及懲治人
碧海郡中島村愛知県1,6251,446231,4411,441[出]囚人及懲治人
碧海郡占部村愛知県2,6772,299422,2932,293[出]囚人及懲治人
幡豆郡味沢村愛知県2,1381,923311,9191,919[出]囚人及懲治人
幡豆郡五保村愛知県2,6862,439012,4282,438[出]囚人及懲治人
額田郡相見村愛知県3,1332,981492,9683,133[出]囚人及懲治人
額田郡深溝村愛知県2,7692,560372,5502,608[出]囚人及懲治人
西加茂郡藤河村愛知県1,6491,595421,5891,589[出]囚人及懲治人
西加茂郡高岡村愛知県2,0132,032332,0262,026[出]囚人及懲治人
西加茂郡豊原村愛知県1,9001,833021,8311,832[出]囚人及懲治人
東加茂郡介木村愛知県1,2371,240101,2391,237[出]陸海軍在営艦者
東加茂郡生駒村愛知県73172300723731[出]陸海軍在営艦者

ついでに[107043]の明治22年の町村別戸口表の虫食い箇所の表がおかしくなっていたので以下のように修正します。こちらの地区の徴発物件一覧表掲載の明治22年末人口は完全に本籍人口が採用されていたので、徴発物件一覧表のデータから修正はできません。

町村府県庁本籍人口官報掲載[出]囚人及懲治人現住人口(未確定)徴発物件一覧表掲載
東茨城郡石崎村茨城県2,6332,71522,7112,633
東茨城郡常磐村茨城県2,4842,48882,4782,484
東茨城郡河和田村茨城県1,9581,95231,9481,958
東茨城郡長岡村茨城県3,2743,29633,2893,274
東茨城郡上野合村茨城県2,6642,66952,6622,664
東茨城郡伊勢畑村茨城県1,2521,23911,2371,252
東茨城郡磯浜町茨城県8,8968,868138,8508,896

【追加訂正】最後の表に本籍人口と徴発物件一覧表掲載の人口を追加
[107055] 2023年 3月 9日(木)13:01:49YT さん
国立国会図書館デジタルコレクション「送信サービスで閲覧可能」について
YTです。

国立国会図書館デジタルコレクションの個人向けデジタル化資料送信サービスが始まってそろそろ1年になりますが、こちらで誰も言及していないので、改めて紹介します。

ここでもかなりの方が国立国会図書館デジタルコレクションを利用していると思いますが、国立国会図書館デジタルコレクションに登録されている資料の方は、以下の3種類があります・

1.ログインなしで閲覧可能
2.送信サービスで閲覧可能
3.国立国会図書館内限定

この内、

1.ログインなしで閲覧可能

については既に多くの方が利用されていているので省きます。

3.国立国会図書館内限定

については、実際に国立国会図書館でカードを作り、パスワードを設定し、国立国会図書館内の端末にカードを置いて、操作して閲覧する必要があります。必要箇所のコピーを取りたい場合は、その場で会計で現金支払いが必要となります。

今回説明したいのは

2.送信サービスで閲覧可能

です。こちらに関しては、数年前から地方の図書館の端末で閲覧可能でありましたが、結局のところ図書館の端末で出向かないといけないので、それほど便利というわけではありませんでした。

ところが、2022年2月1日 「個人向けデジタル化資料送信サービス」の開始について(令和4年5月19日予定)(付・プレスリリース)を見て頂ければわかるように、去年の5月下旬から、自宅で送信サービス限定の資料を閲覧することが可能となりました。

例えば以前[76316][76317][76319]で紹介しましたが、『統計集誌』に掲載されていた明治3年頃の府藩県三治制下での府藩県別の族籍別人員表や、[77095]で紹介した、蒲生氏郷の子孫が記述した文禄2年の蒲生領での人口調査なんかも、ログインIDとパスワードがあれば簡単に閲覧できます。

また、例えば[99389]でMIさんが

なお、この『高畠町史』は国会図書館のデジタルコレクションに収められてはおりますが、「インターネット公開」ではなく「図書館送信資料」ですから、送信サービス参加館で閲覧可能となっております。しかし全国の図書館は臨時休館を余儀なくされているでしょうし、国会図書館の遠隔複写サービスも受付休止になってしまいました。

と書かれていますがが、該当する箇所も図書館に行かず、直接閲覧可能です。

いずれにせよ、閲覧するには、ログインIDとパスワードが必要です。

自分の場合、十数年前に国立国会図書館でカードを作り、さらに国立国会図書館内の端末で検索する過程でいつのまにかパスワードを設定しました。またIDの延長は3年毎に必要だったようなのですが、自分の場合国立国会図書館でのコピーサービスを仕事で利用する関係で、なんとなく自動で延長を続けていました。どうやって自動延長したか、確かなんかサイトでクリックして簡単に自動延長できたような気がしましたが、その辺の細かい経緯はすっかり忘れてしまいました。昨年新聞記事のコピーを国会図書館に依頼する過程で(ログインIDとパスワードで遠隔依頼でき、料金は後から送られてくる支払い書で銀行口座振り込み)、偶然国会図書館デジタルコレクションの送信サービスが個人で利用できることに気付きました。サービス開始は昨年の5月19日からのようです。

自分が登録した時の詳しい経緯はすっかり忘れてしまいましたが、国立国会図書館の利用者登録(個人)についてによると、

国立国会図書館の利用者登録(個人)は、利用できるサービスの範囲によって次の2種類に分かれています。登録方法については、ご希望の登録種別に該当するページをご参照ください。なお、登録は無料です。

デジタル送信サービスを利用できるのは本登録のみですので、本人確認書類の提示が必要です。

国立国会図書館の利用者登録(個人)について:本登録に詳しいことが書かれております。確実なのは、本人確認書類を持って国立国会図書館に出向いて、カードを作り、ログインIDとパスワードを設定することですが、今ならオンラインでもIDとパスワードを作る方法があるようです。

国立国会図書館オンラインの「新規利用者登録」画面から手続ができます。
本人確認書類を写した画像ファイル(JPEG形式またはPNG形式)のアップロードが必要です。

電子メールアドレスを登録すると、当館から、申込手続画面を案内するメールを送信します。発信元のドメイン名は「ndl.go.jp」です。
電子メールアドレスの登録後24時間以内に申込手続画面にアクセスして、「本登録」を選択して申込手続を行ってください。
登録申込受付後、当館から、登録利用者IDを記したメールを送信しますので、ご確認ください。本人確認が完了するまでは「簡易登録利用者」として当館のサービスをご利用いただけます。
本人確認完了後、「登録利用者(本登録)」としてご利用いただけます。当館から、本人確認完了をお知らせするメールを送信します。

本人確認には5開館日程度かかります。申請の集中等の理由により、手続に相当の日数を要することがあります。あらかじめご了承ください。
本人確認書類として有効なものについては、「本人確認書類について」の項をご参照ください。

ログイン方法や操作方法については国立国会図書館オンラインのヘルプ「9-3新規利用者登録(本登録)(1-b)」をご参照ください。


国立国会図書館デジタルコレクションの送信サービスを個人利用できるようになったことに気付いてない方は、参考までにどうぞ。
[107050] 2023年 3月 8日(水)00:05:43YT さん
明治23年(1890年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.50
以前[105313][105314]でアップロードしました明治23年(1890年)明治23年(1890年)12月31日調市区町村別人口の方ですが、こちらの方も組合の情報を追加し、一部データの誤りを訂正してVer 0.50としてアップロードし直しました。

https://u6.getuploader.com/SR1gou/download/931

[107048] かつさん

「組合」というのは、明治21年以降町村制が施行された際、複数の町村が役場業務をまとめて行うために置かれた行政組織です。

もともと町村制施行前は、戸長役場が単一または複数の町村の業務を一括して行い(単独戸長役場、連合戸長役場)、そのために複数の町村を統括する「連合」というのが置かれました。例えば香川県大内郡馬宿村に四つの村を統括する戸長役場が置かれ、[107043]でアップロードしたファイルでは、「馬宿村外三村」という名称でまとめましたが、より正確な呼称は、「馬宿村外三箇村連合」だったようです。

明治21年以降の明治の大合併後も、結局地方によっては人口希薄のために複数の町村をまとめて役場を置く方が効率が良いという事態も発生し、そういうところでは町村制施行前の「連合」に変わって「組合」が置かれたのです。例えば飽田郡の内田村と銭塘村を統括する役場が、銭塘村に置かれ、「銭塘村外一箇村組合」または「銭塘村内田村組合」が設置されたのです。

町村制施行前は大字レベルの細かい町村を統括する戸長役場連合が多数存在したのですが、町村制施行後に置かれた組合は限られた地域にのみ存在しており、結局は徐々に合併等によりこれも解消されていきます。

[107047] オーナーグリグリさん

データの本体の方はエクセルファイルの方ですが、出入寄留の生データが膨大かつ一部欠落もあり、しかも現在世間に知られている、明治22年12月31日調の人口1万人以上の市町村現住人口の表を大幅に訂正する内容となるので、そのままこれを外に見える形の表にするのは難しいかも知れません。エクセルファイルを転がしておいて、各自ダウロードして閲覧する現在の形の方が良いのではないでしょうか?

なお明治22年は試行錯誤が多かったのか、正直データとしては翌年の明治23年の方が内容の誤りが少ないように感じます。
[107046] 2023年 3月 7日(火)19:20:11【2】訂正年月日
【1】2023年 3月 7日(火)21:03:10
【2】2023年 5月 25日(木)17:22:26 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年(1889年)12月31日における人口5000人以上の戸長役場連合など
【訂正】題名が「明治22年(1890年)」からのコピペ処理になっていたので、全部修正!

『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』「人口一万以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」では、さらに香川県の高松、丸亀、沖縄県の那覇(広義)、北海道庁の福山、江差、小樽の現住人口が掲載されています。この内那覇(広義)は行政区分として存在するもの、北海道道庁の福山、江差、小樽は、「町」の人口を合算した市街のものということで予想はつきます。一方香川県に関しては、おそらく高松が高松城下六十町、丸亀が丸亀城下二十七町と、後に丸亀市に吸収される中府村・地方村の合算だと予想はされるのですが、どう足しても掲載の数字と一致しません。

城下・区域・市街府県庁現住人口官報基準本籍人口
香川郡高松城下(CE)香川県32,87732,18332,635
那珂郡丸亀城下(CF)香川県18,25416,49615,672
那覇(広義)沖縄県40,21240,22035,947
松前郡福山市街北海道庁12,03112,04711,063
檜山郡江差市街(CG)北海道庁13,88613,8999,772
小樽郡小樽市街(CH)北海道庁12,60612,6147,819

備考
(CE) 日本帝国人口静態統計掲載の高松の現住人口32,081は高松城下六十町のものと推定されるが、高松監獄の囚人及懲治人816を加算せず。差分20は計算間違いか(詳細不明)。
(CF) 日本帝国人口静態統計掲載の丸亀の現住人口18,295は丸亀城下二十七町及び中府村・地方村のものと推定されるが、計算間違いか(詳細不明)。
(CG) 日本帝国人口静態統計掲載の江差市街の現住人口13,798は他町村出寄留109、他町村入寄留190、江差分署の囚人7を加除せず。
(CH) 日本帝国人口静態統計掲載の小樽市街の現住人口12,629は他町村出寄留508、他町村入寄留485を加除せず。

連合戸長役場・島役所単位だと、宮古島、八重山島は全体で一つの島役所が管轄しており、およそ行政単位として似つかわしくないほどの巨大な組織になります。香川県では、高松が4つに分割されています。

(開く)明治22年(1889年)12月31日における人口5000人以上の戸長役場連合

今回徴発物件一覧表の情報から組合の情報をさらに加えましたが、これは戸長役場以上に変遷情報をたどるのが困難と思われます。組合に関しては局部的なまとまりもないので、ここでは集計を省略します。
[107045] 2023年 3月 7日(火)19:17:39【2】訂正年月日
【1】2023年 3月 7日(火)20:57:16
【2】2023年 5月 25日(木)17:23:19 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年(1889年)12月31日における日本国内の人口上位501位~1000位市区町村など
順位を1000位まで拡大してみます。神奈川県橘樹郡川崎町は935位ですが、この時点では川崎大師のある神奈川県橘樹郡大師河原村891位の方が人口が多かったようです。現相模原市域で最大の人口を有していた神奈川県高座郡大野村は3175位(現住人口3,327、官報基準3,333、本籍人口3,339)で、これでも圏外です。

(開く)明治22年(1889年)12月31日における日本国内の人口上位501位~1000位市区町村


『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』「人口一万以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」では追加で沖縄県の間切の人口の情報が掲載されていますので、以下人口5000人以上の間切の人口をまとめます。なお、明治22年版の『町村別戸口表』では沖縄県の間切に関し、
備考 本県ハ郡ノ設ケ無 之ニ付各間切島ヲ郡ニ該当製表ス
との脚注があり、間切は郡市相当として扱われており、間切の現住人口は他町村出入寄留の加除を行わずに算出しました。

間切現住人口官報基準本籍人口
那覇(狭義)27,95527,95923,714
首里26,20526,10226,449
中頭中城間切14,85714,85915,083
宮古島砂川間切13,79413,79413,666
島尻小禄間切12,10811,92011,857
国頭本部間切11,93911,93911,885
中頭西原間切11,80411,80611,990
中頭具志川間切(CD)11,22811,22811,224
中頭美里間切10,85410,85410,861
島尻大里間切10,55210,55210,651
国頭今歸仁間切10,49410,49710,434
中頭読谷山間切10,47310,47610,550
宮古島平良間切9,6879,6879,644
国頭名護間切9,4529,4549,120
中頭浦添間切9,4059,4059,670
国頭羽地間切9,3429,3429,240
中頭宜野湾間切9,2199,2199,342
島尻兼城間切9,0399,0399,116
中頭北谷間切8,8038,8038,929
島尻真和志間切7,6527,6527,711
島尻豊見城間切7,5397,5397,727
宮古島下地間切6,9936,9936,973
島尻南風原間切6,9386,9416,948
国頭国頭間切6,8746,8746,849
中頭与那城間切6,1906,1906,164
国頭大宜味間切6,0446,0456,038
八重山島大浜間切6,0296,0335,850
国頭金武間切5,5875,5875,582
中頭越来間切5,5735,5735,601
島尻玉城間切5,3595,3595,383
中頭勝連間切5,1985,1985,198
島尻東風平間切5,1605,1605,281

備考
(CD) 日本帝国人口静態統計掲載の現住人口11,220は計算間違いか(出入を反転?)。
[107044] 2023年 3月 7日(火)19:14:53【1】訂正年月日
【1】2023年 3月 7日(火)20:56:22
YT さん
明治22年(1889年)12月31日における日本国内の人口上位1位~500位の市区町村
折角ですので、明治22年12月31日時点で現住人口上位500位までの市区町村のリストを以下に示します。宮崎県宮崎郡宮崎町は311位、北足立郡浦和町は453位です。この時点で浦和町は南埼玉郡岩槻町(573位)などよりも人口が多かったようです。香川県、隠岐、対馬、トカラ群島、奄美群島、沖縄県、北海道庁は市制町村制施行前であり、各町村が細かく分かれていますが、北海道庁では函館区が17位に、香川県では豊田郡観音寺村が136位に、沖縄県では那覇西村が448位にランクインしています。

[105305]で示した明治23年(1890年)12月31日における日本国内の上位500市区町村における脚注の数と比べて頂ければわかるように、多くの文献で明治22年の市区町村別人口として引用されている『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」、およびそれに一部データを追加した『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』「人口一万以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」からして計算間違いが多い!またそれに加え、『町村別戸口表 明治廿二年』の方では、集計が間に合わなかったために空欄であったり、明らかに府県統計書の方がよりアップデートされた数字が採用されているケース(京都府)などがあります。ここまで間違いが多いと、今後は香川県を含む本土四島での町村制施行が完了した明治23年(1890年)12月31日の方のデータをエポック的な統計として取り上げて欲しい気がします。

(開く)明治22年(1889年)12月31日における日本国内の人口上位1位~500位の市区町村

[107043] 2023年 3月 7日(火)19:13:13【1】訂正年月日
【1】2023年 5月 25日(木)17:23:47 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年(1889年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.50
[107039]で予告した明治22年(1889年)12月31日の日本の市区町村別人口についてですが、以下のサイトからダウンロードできます。

https://u6.getuploader.com/SR1gou/download/930

原資料は基本的に総務省統計局統計図書館が所蔵する

『町村別戸口表 明治廿二年 上 その一』
『町村別戸口表 明治廿二年 上 その二』
『町村別戸口表 明治廿二年 下 その一』
『町村別戸口表 明治廿二年 下 その二』
『戸籍表 北海道之部 従明治十九年 至明治廿八年』

の5点です。男女別本籍人口、現住戸数などの情報は現住人口を計算する上で必要ありませんが、原資料に載っているのでそのまままとめました。入寄留の無籍在監人、囚人及懲治人は

『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方在監有籍者及無籍者人口表」

によります。なお、東洋書林出版『国勢調査以前日本人口統計集成 〈3〉 明治22―25年 近代日本歴史統計資料』収録のものは、「各地方在監有籍者及無籍者人口表」のうち、鹿児島県(一部)・沖縄県・北海道に関する134頁~135頁分が欠落していますので、総務省統計局統計図書館所蔵の『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』原本を利用しました。

この他、郡市区の現住人口、府県別の各種出入寄留などの情報は

『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方郡市戸口表」
『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方人口出入表」

の情報を上位とし、現住人口1万人以上の都市の現住人口の情報に関しては、

『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」
『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」

から数値を補いました。

官報掲載の現住人口は

『官報 第二千百八十二号附録 明治二十三年十月六日』「各地方市別現住人口表」、「各地方町村別現住人口表」

に示されています。

そして組合、戸長役場連合、間切番所、島役所管轄地域については

『明治二十三年 徴発物件一覧表』

の情報を用いました(中身は明治22年12月31日調の人口ですが、現住人口算出の基準がいい加減で、本籍人口を載せている箇所も多い)。戸長役場連合などの中には郡を超えて設定されているものもありますが(特に北海道)、戸長役場の人口集計方法に正式に採用されているものもなさそうなので、ここでは全て町村と同格とみなし、他町村出入寄留の加除を行いました。『明治二十三年 徴発物件一覧表』掲載の戸口、人口は戸籍表系の数字と一致することも、全く一致しないことも多々ありますが、折角なのですべて表にまとめました。

既に[104836] にもまとめましたが、以下の問題点が残っているので、現時点でVer. 0.50として公開します。次回の改訂予定は5年後になりそうです。

1. 東京府伊豆七島・小笠原島に関しては、細かい町村別人口の情報が完全に欠落。

2. 千葉県印旛郡の入寄留の内、入寄留の陸海軍在営艦者1713人の分配の情報がないため、志津村(陸軍砲兵射的学校)と佐倉町(陸軍第一師団歩兵第二連隊)の現住人口が確定できない。一応[107039]に示す方法で推定値は出しました。

3. 虫食いのため、茨城県東茨城郡の一部の町村(石崎村、常磐村、河和田村、長岡村、上野合村、伊勢畑村、磯浜町)の出寄留の囚人及懲治人が正確に得られず、現住人口が正確に算出できない。

具体的には以下の通りで、明治23年の情報などから推定して数値を入力していますが、正解である保証はありません。

町村府県庁官報掲載[出]囚人及懲治人現住人口(未確定)
東茨城郡石崎村2,71522,711
東茨城郡常磐村2,48882,478
東茨城郡河和田村1,95231,948
東茨城郡長岡村3,29633,289
東茨城郡上野合村2,66952,662
東茨城郡伊勢畑村1,23911,237
磯浜町8,868138,850

4. 北海道庁釧路郡に所属する町村(真砂町、米町、洲崎町、幣舞町、浦見町、釧路村、桂恋村、鳥取村、昆布森村、跡永賀村、仙鳳趾村)に関し、郡全体での他町村出寄留は4人となっているものの、町村別の他町村出寄留が空欄となっており、これらの町村のいくつかの現住人口を正確に算出できない。これに関しては対処不能なので、とりあえず各町村の他町村出寄留を0として算出しました。

5. 『戸籍表』原本の閲覧ができなくなった

[105242]に書いた通りです。大きな変更は今後ないでしょうが、今後修正が可能となるのは5年後です。

実は町村別戸口表 明治廿二年には、欄外に各町村、各郡市区について、官報掲載の現住人口に相当する数字の書き込みがあります。官報の方では北海道庁、沖縄県、および島嶼部については現住人口の記載がないので、ある程度数字の確認が可能です。おそらく当時町村別戸口表を作成した人は、まずそれぞれの郡市区町村について「官報掲載の現住人口」を計算した後、監獄と軍隊の統計を追加して、『日本帝国民籍戸口表』を作成したと推測されます。ただ、この作業が初めてなのかは知りませんが、[104158][104836]に示したように、「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」を作成する段階で膨大な数の計算間違いしています。
[107039] 2023年 3月 6日(月)13:10:29【1】訂正年月日
【1】2023年 5月 25日(木)17:24:01 by オーナー(表組み改善)
YT さん
明治22年の千葉県印旛郡の入寄留の陸海軍在営艦者の分配、および明治の健脚問題
色々多忙でこちらの書き込みから遠ざかってしまっておりましたが、 [104836]で問題にしておりました千葉県印旛郡の入寄留の陸海軍在営艦者の問題について、ある程度の推論を立てましたので、こちらにその詳細を記します。

2.千葉県印旛郡の入寄留の内、入寄留の陸海軍在営艦者1713人の分配の情報がないため、志津村(陸軍砲兵射的学校)と佐倉町(陸軍第一師団歩兵第二連隊)の現住人口が確定できない(明治23年に関しては[103921]に示すように分配済)。

まず総務省統計局統計図書館所蔵『戸籍表 明治廿三年 上 その一』の「廿三年十二月現在陸海軍在営艦兵士卒人口」によると、明治23年の入寄留の陸海軍在営艦者1,624は以下の内訳となっています。
明治23年末各兵営現在人員人員下士生徒
佐倉町: 第一師団歩兵第二連隊1,4741221,3439
志津村: 陸軍砲兵射的学校150911922
合計1,6241311,46231

一方『陸軍省第三回統計年報』の「諸隊人員」/「諸学校学舎及教員人員」/「学生及諸生徒人員増減」と『陸軍省第四回統計年報』の「諸隊人員」/「諸生徒隊人員」/「諸学校学舎及教員人員」/「学生及諸生徒人員増減」などによると、 陸軍第一師団歩兵第二連隊と陸軍砲兵射的学校教導中隊における下士、 卒、 生徒の人員は以下となっています。

明治23年末各兵営現在人員右合計下士生徒
第一師団歩兵第二連隊1,4871301,3570(不明)
砲兵射的学校教導中隊1701011941
合計1,6571401,47641


明治22年末各兵営現在人員右合計下士生徒
第一師団歩兵第二連隊1,5761391,4370(不明)
砲兵射的学校52100(不明)42
合計1,6281491,43742

まずいずれの年も第一師団歩兵第二連隊所属の生徒は0であり、 明治23年末の佐倉兵営現住の生徒は正式な軍人という扱いではないと推測できます。砲兵射的学校の生徒の一部が佐倉兵営に居住していた可能性も考えましたが、佐倉兵営のある佐倉城内から砲兵射的学校があった志津村下志津字下志津原までの距離は8.9キロ、徒歩約2時間も離れています(google map先生)。いくら健脚だった昔の人でも時速6キロと仮定して片道1時間半、往復3時間でちょっと考えられません(一応自転車は町中や別荘地では普及しつつあったようですが)。砲兵射的学校の生徒数41と実際に砲兵射的学校内の施設に居住する生徒の人数23の間にもえらく差がありますが、砲兵射的学校に通うような生徒は下士や卒よりも比較的裕福であり、必ず兵営の外に居住を持つ士官以上と同様に、兵営・学校の外に居住を持っていた人が多いからと推測しました。

また明治23年の砲兵射的学校の卒については、「諸学校学舎及教員人員」の方に「戸山学校教導大隊ノ下士卒並ニ砲兵射撃学校教導中隊ノ兵卒ハ近衛師団ヨリ分遣スルモノニ係ル故ニ此人員ハ所隊人員ト重複ス」との脚注があります。 明治22年の統計では「諸学校学舎及教員人員」の項目がないため、砲兵射的学校の卒の人員を示す独立した統計が存在しませんが、これは砲兵射的学校などに出向していた兵卒は、正式な所属の上では近衛師団であり、明治22年の段階ではあえて独立した統計を作らなかったせいだと考えられます。つまり上の表でいずれも「0」としたのは、真に0ではなく、実際にはこれらの階級がそれぞれの隊や学校の正式な構成員とされていなかったため、統計から数字が落ちてしまったからだと思われます。なお明治22年の砲兵射的学校の下士の人数11の方は「諸学校学舎及教員人員」にも掲載されていますので(軍人20から砲兵少佐1、砲兵大尉2、一等軍医1、砲兵中尉3、二等獣医1、砲兵少尉1を除き、砲兵曹長1、砲兵一等軍曹5、火工下長1、二等看護長1、砲兵二等軍曹3の合計)、表に数字を出すことができました。

明治23年の統計の場合、佐倉兵営における下士階級の兵営居住率は93.8%、下士階級の兵営居住率は98.9%、砲兵射的学校における下士階級の兵営居住率は90%、下士階級の兵家居住率は100%です。一方砲兵射的学校における生徒の兵営居住率は53.7%です。

参考までに戸山学校の場合は

明治23年末人員右合計下士生徒
牛込区下戸塚町の戸山学校居住者91744631242
戸山学校教導大隊98147631303

であり、兵営居住率は下士階級が93.6%、士卒階級が100%、生徒が79.9%です。

あれ?やはり砲兵射的学校の生徒の一部は佐倉城内から往復3時間かけて通っている?
その場合生徒の居住率は53.7%(22/41)ではなくて75.6%(31/41)になりますので、戸山学校の数値に近くなります。まあ真実は謎です。

以上において、 明治22年と明治23年の間における陸海軍在営艦者の減少分89人は、 第一師団歩兵第二連隊の下士の減少分9と卒の減少分80の合計89と等しいことが分かります。ただし砲兵射的学校の方も下士と生徒が1名ずつ減っております。

一応それぞれの階級の兵営居住率を考慮すると、それぞれの実際の居住者の減少の期待値は

佐倉町:9×0.938+80×0.989≒87.56
志津村:1×0.900+1×0.537≒1.44

と、それぞれ88人、1人減少とするとちょうど合計89人になります。

寄宿の生徒が佐倉町と志津村の兵営に分離して生活していたと仮定すると、期待値的には志津村の生徒の減少期待値はそのままで、佐倉町に1人×22.0%(9/41)≒0.22人減が追加されるだけなので、やはり佐倉町が88人減、志津村が1人減となります。

明治22年における砲兵射的学校の下士の人数が結局不明など片手落ちですが、以上から、明治22年の印旛郡佐倉町の入寄留の陸海軍在営艦者を明治23年よりも88人多い1,562人、印旛郡志津村の入寄留の陸海軍在営艦者を明治23年よりも1人多い151人と推定しました。

明治22年の日本全国の市区町村別の現住人口については、今週中にある程度公表できると思います。
[106124] 2022年 11月 16日(水)10:25:53YT さん
自分の経県値(市区町村版)
[106091]グリグリさん
経県値(市区町村版)リリースありがとうございます。

早速マピオンの地図を見ながら、何とか自分の経県値(市区町村版)を登録しました。道路、鉄道路線のチェックにおいては、市区町村毎に色を変えて表示可能なマピオンが一番役に立ちます。

なお自分は免許取得後の運転は、兄の車を借りた延べ1時間程度しか経験がありません。長らく車の必要のない通勤通学生活のみを続けた結果、完全に無事故・無違反のペーパードライバーでして、自分が結婚する前の家族旅行も、車好きの父や兄の車に同乗するばかりでした。そのせいで詳しい経路の記憶が曖昧なため、登録した経県値(市区町村版)の2割程度は自信がありません。

主な問題としては、

・小学校低学年までの旅行の記憶が曖昧。
・自分で手配した旅行でない場合、泊まったホテルの場所が曖昧。
・高速道路でどのSA,PAに入ったか、記憶が曖昧。

まあ私の両親は健在ですが、親も詳しいことを忘れているでしょうし、わずかな記憶と推測に基づきマッピングしました。

逆に市区町村チェックをした結果、
「そういえば山口県の萩に高校2年の時の修学旅行で泊まった気になってたけど、実際は広島から出雲まで一日の強硬スケジュール(広島からバスで移動し、岩国散策→山口はバスから見るだけでスルー→秋芳洞で昼→萩自由行動→出雲市駅まで電車で移動→出雲大社前のホテルまでバスで移動)だったかな?」
と思い出し、山口県の経県値を4から3に下げる、などといった、都道府県別経験値に関する記憶の整理も行うことができました。

一方青森県と秋田県の県境の十和田湖には、小学2年の家族旅行と、中学2年のクラス旅行で2度も泊まりましたが、困ったことに宿泊施設が青森県十和田市と秋田県小坂町の県境に分布。中学2年の時は団体で泊まれるユースホステルで、おそらく青森県十和田市側のユースホステル。一方家族旅行の時は完全に記憶が曖昧です。都道府県別経験値にも関係しますが、とりあえず青森県十和田市側と仮定して、秋田県の経験値は3を維持しました。

それにしても、自分は和歌山~四国全土~九州・沖縄5県が未踏のままです。高校2年の時の修学旅行を除けば大阪府以西は全て現在の仕事関係での宿泊であり、家族旅行での行先の選択肢が車で運転手交代せずに行ける範囲ということで、割と東日本に偏っていたようです(特に宮城県は母方の実家であるため、宿泊は2桁)。その仕事での宿泊機会も、コロナ以降の会議オンライン化のために大分減ってます。家族旅行で予定を組まない限り、当分経県値は増えそうにないです。

[106116] BANDALGOM さん
%1987年5月といったら、私も中学2年生でした。
以前[91228]で少しだけ自分のことを書きましたが、私と同い年ですね。中学2年といえば・・・冬のある日突然クラスメートが複数欠席して、「風邪が凄い流行っているんだな」と無邪気に思っていたら、なんと某有名ファミコンソフトの続編を買うために学校をサボってたとのこと(自分の家はそもそもファミコン禁止)。該当する生徒は後で集められて教師にこっぴどく叱られ、反省文を書かされていました。
[105943] 2022年 10月 13日(木)20:58:16【1】訂正年月日
【1】2022年 10月 13日(木)23:50:19
YT さん
福生市南田園に存在する非人口集中地区
[105923]あきごんさん
[103279]白桃さん

 2020年国勢調査の東京都DID地区の境界図を見てみると、前回疑ってストリートビューで捜索をしていた横田基地の南側は今回の境界図ではすべてDID地区に含められていました。
 福生市でDID地区を外れているのは、市の西部の多摩川の河川敷一帯のみのように思われます。

小地域集計には、その地域が人口集中地区に含まれるかどうかの情報も記載されています。よって小地域集計によって該当の地域がどこであるかを確認できます。

実際にチェックしてみると、令和2年の国勢調査で2世帯男2人が住む非人口集中地区とは、

市区町村コード基本単位区番号調査区番号都道府県名市区町村名大字・町名字・丁目名人口集中地区符号総数世帯数
13218007000010507.2.東京都福生市南田園2202

であることが分かります。

南田園は一丁目~三丁目がありますが、件の非人口集中地区は、唯一丁目記載なしの南田園ということになります・・・が、マピオンなどの地図ではそのような地区の確認ができません。他の統計を見ると、該当地区は個人情報保護の観点からか、「秘匿地域」という扱いとなり、「合算地域あり」として南田園一丁目の数字に含まれてしまっています。

【訂正:南田園三丁目に無人の非人口集中地区がありましたので、以下の説明文を修正します】
一応国勢調査の小地域集計の情報を信じるなら、該当する「南田園」は、大字南田園の中で、南田園三丁目の無人の非人口集中地区と並んで、有人の人口集中地区が設置されていない地域ということなります。マピオンなどの情報と比較すると、南田園三丁目の無人の非人口集中地区に該当するのは関東地方整備局京浜河川事務所多摩川上流出張所(地番の上では南田園3-64-2)です。そしてそれ以外の大字南田園内の非人口集中地区となると、該当するのは河川敷に続くロータリー的な場所の周辺の河川敷のみとなります・・・がどこまでこの情報を信用できるか分かりません。

参考までに、平成27年の国勢調査では6世帯男6人が住む非人口集中地区として、

市区町村コード基本単位区番号調査区番号都道府県名市区町村名大字・町名字・丁目名人口集中地区符号総数世帯数
13218007000010498.2.東京都福生市南田園6606

が存在し、そのまま非人口集中地区が継続していることになります。

以上を察するに、おそらく2015年の6人、2020年の2人は、多摩川河川敷に居住する生活者なのでしょう。

調査区の境界把握に用いる調査区地図・調査区一覧表によると

国勢調査の調査区地図及び調査区一覧表は,市区町村内の町丁・字等別の地域範囲や基本単位区の境界確認に用いるものです。これらは,所定の手続を行った上で,総務省統計図書館及び都道府県,市区町村の統計主管課で閲覧できます

とありますので、一応調べる方法はありますが、これ以上そこまでして調べる気力はありません。
[105314] 2022年 8月 20日(土)11:08:39【3】訂正年月日
【1】2022年 8月 20日(土)13:58:35
【2】2022年 8月 21日(日)00:14:13
【3】2022年 8月 21日(日)00:17:04
YT さん
明治23年(1890年)における人口流入、流出市区町村
せっかく明治23年(1890年)12月31日調の現住人口をまとめたので、当時の人口流入・流出について考察します。

明治23年(1890年)12月31日の人口は、すべてが戸籍をベースに集計されており、本籍人口に対して出入寄留届などを加除して現住人口を算出しておりました。よって通勤・通学による昼間、夜間人口の差異などを計算することはできませんが、本籍人口と現住人口の比較により、人口の流出、流入の状況をある程度外観することができます。そこで本籍人口に対する現住人口の超過、不足から、人口流入、流出の割合を算出し、そこから明治中頃の人の移動の様子を見てみました。

まず人口流入の状況。じつのところ本籍人口が0なのに現住人口がいるため人口流入率+∞な地域・町村が15もあり、その全てが北海道です(例えば雨竜郡(村名未定)の現住人口44、花咲郡婦羅理村の現住人口35)。また本籍人口0で現住人口0の町村という困った地域・町村も47あり、その全てが北海道です。その中には明治23年8月7日に発足し、後に栄光と転落の夕張市へと発展した夕張郡登川村も含まれます。なぜ人口ゼロなのに村が発足?と思われるかも知れませんが、人口調査が12月31日に集計されている点が重要です。つまり移住したとしても寒い北海道を越冬できないため、冬の間だけ本土や然るべき近隣の町村で過ごす、という人口の流れが相当多かったようです。

こういった除算を定義できない地域・町村を除いたとしても、流入率トップ20の内、足尾町を除く19の町村がすべて北海道です。

市区町村府県庁現住人口本籍人口流入率(%)備考
空知郡奈江村北海道庁14234,633.3
国後郡東沸村北海道庁318112,790.9
国後郡留夜別村北海道庁314112,754.5
国後郡米戸賀村北海道庁205101,950.0
厚岸郡末広村北海道庁6941,625.0
勇払郡覚生村北海道庁7871,014.3
高島郡北浜町北海道庁2221,000.0
川上郡熊牛村北海道庁2,459240924.6釧路集治監
空知郡市来知村北海道庁4,816479905.4空知集治監
勇払郡小糸魚村北海道庁202900.0
花咲郡珸瑤瑁村北海道庁7611590.9
国後郡秩苅別村北海道庁12318583.3
宗谷郡稚内村北海道庁2,238344550.6
国後郡泊村北海道庁51681537.0
上都賀郡足尾町栃木県11,8921,964505.5足尾銅山
利尻郡沓形村北海道庁645111481.1
根室郡松本町北海道庁6011445.5
利尻郡本泊村北海道庁805151433.1
紗那郡別飛村北海道庁8316418.8
釧路郡洲崎町北海道庁641127404.7

このように北海道がまさに本土人にとってのフロンティアである様がみてとれますが、このままでは本土の人口の流入・流出の状況が分からないので、以下北海道を除いた市区町村(流入率50%以上)の状況を見てみましょう。北海道であっても参考までに札幌区と函館区、および人口1万人以上の流入率40~50%の都市をリストアップしました。

市区町村府県庁現住人口本籍人口流入率(%)備考
上都賀郡足尾町栃木県11,8921,964505.5足尾銅山
西彼杵郡高島村長崎県6,2521,724262.6高島炭鉱
久米島仲里間切山城村沖縄県361140157.9明治12年より沖縄島からの移住者が銭田原と真我里原を開拓
東蒲原郡両鹿瀬村新潟県3,0671,289137.9草倉銅山
下県郡竹敷村長崎県447202121.3春日丸停泊
企救郡文字関村福岡県6,8693,230112.7門司築港開発中
東彼杵郡佐世保村長崎県10,1974,810112.0佐世保鎮守府
(札幌区)(北海道庁)24,32711,704107.9道庁所在地
郡上郡畑佐村岐阜県803398101.8畑佐銅山
西成郡川崎村大阪府7,6413,803100.9大阪市に隣接
西彼杵郡戸町村長崎県8,7394,48195.0長崎市に隣接
横浜市神奈川県127,98766,71191.9県庁所在地
三浦郡横須賀町神奈川県18,1949,92183.4横須賀鎮守府
西彼杵郡高浜村長崎県4,9642,71083.2端島炭坑(軍艦島)
宮崎郡宮崎町宮崎県7,5234,13182.1県庁所在地
北足立郡浦和町埼玉県6,7183,87773.3県庁所在地
三浦郡豊島村神奈川県8,2934,80672.6横須賀監獄支署
宇土郡三角浦村熊本県1,24772572.0三角港(明治20年8月開港)
安芸郡和庄村広島県8,5494,98171.6呉港開発中
東葛飾郡市川町千葉県4,9922,92071.0陸軍教導団
久良岐郡戸太村神奈川県11,2966,63070.4神奈川県監獄署
信夫郡福島町福島県17,68710,66165.9県庁所在地
小城郡北多久村佐賀県5,8753,55765.2唐津炭田
安芸郡宮原村広島県5,0003,05663.6呉鎮守府
池田郡池野村岐阜県82551161.4池野花柳界
千葉郡千葉町千葉県23,50814,64360.5県庁所在地
下県郡大手橋町長崎県1,6151,00660.5厳原城下町繁華街
渥美郡豊橋町愛知県14,2688,93659.7養蚕業
(函館区)(北海道庁)55,67735,19958.2陸軍第二師団歩兵第五連隊分遺隊
周吉郡西郷西町島根県2,2601,43157.9西郷監獄支署
三池郡大牟田町福岡県11,6867,42557.4三池集治仮留監
那覇西村沖縄県6,6794,31354.9那覇中心市街
南多摩郡八王子町神奈川県22,16414,35854.4織物業
北甘楽郡富岡町群馬県7,5054,96451.2富岡製糸工場
長崎市長崎県58,14238,66150.4県庁所在地
入間郡所沢町埼玉県4,9683,31150.0織物業
(岐阜市)(岐阜県)29,46219,78648.9県庁所在地
(東群馬郡前橋町)(群馬県)32,12921,80547.3県庁所在地
(神戸市)(兵庫県)136,96892,98647.3県庁所在地
(大阪市)(大阪府)473,541328,93044.0府庁所在地
(西群馬郡高崎町)(群馬県)25,98118,06643.8織物業
(東京市)(東京府)1,155,290820,01340.9帝都
(甲府市)(山梨県)32,05222,85440.2県庁所在地

一応備考には、県庁所在地以外に人口流入の原因となる要因をまとめてみました。産業としては、鉱山、養蚕・織物工業、および近代港の開港が目立ち、そして監獄と兵営地が目立ちます。詳しい分析はしませんでしたが、県庁所在地等は学校の設置が人口流入の要因の一つになっている可能性はあります。そして人口流入の原因として花街の存在なんかもあるようです。

逆に人口流出の方ですが、こちらも本籍人口に対して現住人口0、つまり流出率100%という町村が北海道だけで4つ存在します。上で述べたように、北海道の場合は越冬のために現住人口流出の事例が多々あるので、こちらも北海道を除いたリスト(流出率20%以上)を作成してみました。流出率10~20%であっても本籍人口5000人以上の市区町村も参考までに並べてみました。

市区町村府県庁現住人口本籍人口流出率(%)備考
八代郡椎原村熊本県19537648.1
敷知郡三方原村静岡県25448147.2
刈羽郡下宿村新潟県6741,12640.1下宿湊
中頸城郡柿崎村新潟県2,4013,79736.8柿崎宿
下石津郡安田村岐阜県13420935.9明治24年10月28日濃尾地震全壊14戸・半壊14戸・負傷者4
岩船郡村上本町新潟県2,5773,92634.4村上城
海西郡草場村岐阜県9714734.0明治24年10月28日濃尾地震全壊10戸・半壊9戸(全戸被害)・負傷者3
安八郡築捨村岐阜県29643431.8明治24年10月28日濃尾地震全壊23戸・半壊37戸(全戸被害)・死者2・負傷者7
愛知郡東小椋村滋賀県2,4023,50231.4
不破郡室原村岐阜県64592630.3明治24年10月28日濃尾地震全壊7戸・半壊21戸
羽栗郡坂丸村岐阜県16022127.6明治24年10月28日濃尾地震全壊30戸(全戸被害)・死者3・負傷者4
西蒲原郡角海浜村新潟県42857625.7
中頸城郡高城村新潟県4,9746,59724.6高田城下の一部
一志郡久居町三重県2,9383,84923.7久居城
益津郡西益津村静岡県3,4124,45023.3
後月郡神代村岡山県1,1871,54423.1
葛上郡東松本村奈良県20125922.4
北蒲原郡松塚村新潟県2,8923,68921.6
喜多郡新谷村愛媛県2,1912,76620.8新谷陣屋
市原郡菊間村千葉県2,5853,24020.2菊間陣屋
安八郡塩喰村岐阜県62077620.1明治24年10月28日濃尾地震全壊106戸・半壊8戸(全戸被害)・死者5・負傷者50
大野郡(美濃国)稲畑村岐阜県9612020.0明治24年10月28日濃尾地震全壊4戸・半壊4戸・負傷者3
(大分郡鶴崎町)(大分県)4,7115,66516.8鶴崎湊
(三島郡寺泊町)(新潟県)5,2306,24716.3寺泊湊
(阿武郡萩町)(山口県)19,92323,18114.1萩城
(北会津郡若松町)(福島県)24,35227,67312.0若松城
(東葛飾郡関宿町)(千葉県)5,1285,81411.8関宿城
(朝来郡生野町)(兵庫県)7,0827,95110.9生野代官所
(出石郡出石町)(兵庫県)5,3726,02810.9出石城
(北蒲原郡新発田本村)(新潟県)6,5067,32711.2新発田城
(安芸郡矢野村)(広島県)4,7075,28911.0矢野大井港
(中蒲原郡白根町)(新潟県)5,6206,29210.7明治20年に大火(800余戸焼失)
(中蒲原郡村松町)(新潟県)6,7897,59710.6村松城
(上北郡野辺地村)(青森県)6,2936,99210.0野辺地代官所

人口流出の方は微妙に原因がまとめられませんでしたが、本籍人口が多い町村では、明治時代に地方の中心都市になれなかった城下町・地方町からの人口流出が目立ちます。会津若松よりも旧長州藩庁があった萩の方が人口流出が高いという、なんともいえない状況も見てとれます。【備考を追記。ただし全ての町村について出寄留と関連しそうな内容を埋めることはできませんでした。岐阜県に関しては直前の濃尾地震の被害が多大であったことが判明。】
[105313] 2022年 8月 19日(金)15:57:20【2】訂正年月日
【1】2022年 8月 19日(金)16:11:01
【2】2022年 8月 19日(金)17:01:03
YT さん
明治23年(1890年)12月31日調市区町村別人口 ver 0.10
[105305]で予告した明治23年(1890年)12月31日の日本の市区町村別人口についてですが以下のサイトからダウンロードできます。今やGoogle driveなどでのファイル共有が当たり前となり、この手のアップローダは絶滅しかけておりますが、10年近くリンクが生きているので、折角なので使わせて貰いました。

https://u6.getuploader.com/SR1gou/download/925

原資料は基本的に総務省統計局統計図書館が所蔵する

『戸籍表 明治廿三年 上 その一』
『戸籍表 明治廿三年 上 その二』
『戸籍表 明治廿三年 下 その一』
『戸籍表 明治廿三年 下 その二』
『戸籍表 北海道之部 従明治十九年 至明治廿八年』

の五点です。男女別本籍人口、現住戸数などの情報は現住人口を計算する上で必要ありませんが、原資料に載っているのでそのまままとめました。入寄留の無籍在監人、囚人及懲治人は

『明治二十三年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方在監有籍者及無籍者人口表」

により、この他、郡市区の現住人口、府県別の各種出入寄留などの情報は

『明治二十三年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方郡市戸口表」
『明治二十三年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方人口出入表」

の情報を上位とし、現住人口1万人以上の都市の現住人口の情報に関しては、

『明治二十三年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」
『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」

から数値を補いました。

上のリンク先のファイルには元文献の入力を忘れてしまいましたが、官報掲載の現住人口は

『官報 第二千四百六号 明治24年7月8日 水曜日』

によります。

そして沖縄県の間切に関しては

『明治廿三年 沖縄県統計書』「出入人員 十二月三十一日現在」

の情報を集計に用いました。なお、明治22年版の『町村別戸口表』では沖縄県の間切に関し、
備考 本県ハ郡ノ設ケ無 之ニ付各間切島ヲ郡ニ該当製表ス
との脚注があり、間切は郡市相当として扱われており、間切の現住人口は他町村出入寄留の加除を行わずに算出しましたが、今回の明治23年版では間切は町村と同格とみなし、他町村出入寄留の加除を行いました。

そして戸長役場連合、間切番所、島役所管轄地域については

『明治二十四年 徴発物件一覧表』

の情報を用いました(中身は明治23年12月31日調の人口で、大字別の情報も含まれているが、現住人口算出の基準がいい加減で、本籍人口を載せている箇所も多い)。戸長役場連合などの中には郡を超えて設定されているものもありますが(特に北海道)、戸長役場の人口集計方法に正式に採用されているものもなさそうなので、ここでは全て町村と同格とみなし、他町村出入寄留の加除を行いました。その結果首里の現住人口については異なる二種類の数値が存在することになります。

既に[105242] にもまとめましたが、以下の問題点が残っているので、現時点でVer. 0.10として公開します。次回の改訂予定は・・・5年後になりそうです。

1. 東京府伊豆七島・小笠原島に関しては、細かい町村別人口の情報が欠落。

2. 虫食いのため、いくつかの町村の出寄留の囚人及懲治人、陸海軍在営艦者の情報が正確に得られず、現住人口が正確に算出できない。

具体的には以下の通りで、明治22年の情報などから推定して数値を入力していますが、正解である保証はありません。

町村府県庁官報掲載[出]陸海軍在営艦者[出]囚人及懲治人現住人口(未確定)虫食い箇所
相楽郡加茂村京都府3,734573,722[出]囚人及懲治人
相楽郡当尾村京都府1,452111,450[出]囚人及懲治人
愛知郡千種村愛知県2,612212,609[出]囚人及懲治人
愛知郡鍋屋上野村愛知県1,318201,316[出]囚人及懲治人
知多郡半田町愛知県5,162765,149[出]陸海軍在営艦者,[出]囚人及懲治人
知多郡亀崎町愛知県6,0501056,035[出]囚人及懲治人
知多郡岡田村愛知県2,017332,011[出]陸海軍在営艦者,[出]囚人及懲治人
碧海郡大浜町愛知県5,50015125,473[出]囚人及懲治人
碧海郡中島村愛知県1,446211,443[出]囚人及懲治人
碧海郡占部村愛知県2,299442,291[出]囚人及懲治人
幡豆郡味沢村愛知県1,923301,920[出]囚人及懲治人
幡豆郡五保村愛知県2,439022,437[出]囚人及懲治人
額田郡相見村愛知県2,981492,968[出]囚人及懲治人
額田郡深溝村愛知県2,560372,550[出]囚人及懲治人
西加茂郡藤河村愛知県1,595421,589[出]囚人及懲治人
西加茂郡高岡村愛知県2,032332,026[出]囚人及懲治人
西加茂郡豊原村愛知県1,833021,831[出]囚人及懲治人
東加茂郡介木村愛知県1,240101,239[出]陸海軍在営艦者
東加茂郡生駒村愛知県72300723[出]陸海軍在営艦者

虫食いがひどいのはほぼ愛知県です。冊子の内側がかなりやられてしまっており、他の出入寄留の情報も虫食い状態ですが、官報掲載の現住人口を合算した郡別の数値に矛盾がないので、これらの出入寄留の情報が不明でも現住人口の算出に問題ないと判断しました。実際のところ上の京都府や愛知県以外の箇所にも虫食いが散発してありましたが、該当地区の官報掲載の現住人口が信頼に足るものと判断し、現住人口の計算に影響が出た箇所がありません。また虫食いで読めない箇所であっても、集計値との差分などから単独で元の数値を類推できる個所はすべて断りなしに推定値を確定値として入力しています。

以上のほか、沖縄県中頭北谷間切に所属する北谷村、玉代勢村、伝道村、桑江村、伊礼村、平安山村、浜川村、砂辺村、野里村、野国村、屋良村、嘉手納村のいずれかの村で、他町村入寄留1人の情報が欠落しています。白黒のマイクロフイルム版ではなく、『戸籍表』原本を確認して虫食いの箇所を確定できれば、ここも修正できるかも知れませんが・・・

3. 『戸籍表』原本の閲覧ができなくなった

[105242]に書いた通りです。大きな変更は今後ないでしょうが、これらの修正が可能となるのは5年後です。

データをまとめる作業は、以下の通りに行いました。

1. 「各地方郡市戸口表」で表の骨子を作り、「各地方在監有籍者及無籍者人口表」で監獄の情報を入力。既に過去の遺産があるので新たに町村名入力は行っていませんが、この作業が簡単な県でも1時間かかります。
2. 官報計算の現住人口の入力:スムーズに行けば大体30分。
3. 本籍人口、現住戸数の入力:スムーズに行っても最低1時間
4. 出寄留の入力:スムーズに行っても最低1時間

実際のところ、階層構造が比較的単純で、マイクロフイルムのコピーが読み易かった県(山梨県、青森県など)でも入力に4時間かかっております。本表を作るのに、4月末から4ヶ月に渡り、延べ250時間程度手間がかかっております。[104836]でも書きましたが、次回は数か月後に明治22年の市区町村別人口の情報を公開しますが、こちらも既に去年の12月末から5ヶ月に渡り、延べ300時間程度、入力に時間がかかっております。

なお明治24年~明治30年の7年間についても、同様に戸籍表が存在し、表の作成が可能ではありますが・・・とてもではありませんが、自分ですべてを入力する気力はありません。残りの項目で作成するとなると、多分明治26年版(明治31年から5年毎に日本帝国静態統計として集計された情報を5年遡る形)か明治28年版(西暦1895年でキリが良い?)かのどちらかになると思いますが、現状図書館で原本を閲覧できない状況が5年続くし、白黒のマイクロフイルム版も一回A4の紙2000枚弱に物理的にコピーするという作業が必要なので、当分取り掛からないと思います。
[105305] 2022年 8月 18日(木)03:32:13【4】訂正年月日
【1】2022年 8月 18日(木)03:40:28
【2】2022年 8月 18日(木)04:05:53
【3】2022年 8月 18日(木)11:13:06
【4】2022年 8月 18日(木)11:25:23
YT さん
明治23年(1890年)12月31日における日本国内の人口上位500市区町村
[105242]で告知した明治23年(1890年)12月31日の日本の市区町村別人口についてですが、来週ぐらいにはダウンロードできる形にしたいと思います。それに先立ちとりあえず明治23年12月31日時点で現住人口上位500位までの市区町村のリストを以下に示します。

なお町村制未施行の町村(伊豆、小笠原、隠岐、対馬、吐噶喇、奄美、沖縄県、函館区と札幌区を除く北海道)について、戸長役場連合や間切ではなくて郡区町村制下、間切制下の各町村で集計しました。その結果、町村制未施行地域では唯一那覇西村のみがランクインしております。沖縄県の人口5000人以上の間切と、町村制未施行地域の戸長役場連合単位での人口5000人以上の町村連合については、人口上位500位までのリストの後に示しています。

市区町村府県庁現住人口官報基準本籍人口市区町村府県庁現住人口官報基準本籍人口
東京市東京府1,155,2901,141,991820,013吉敷郡井関村山口県8,4038,4298,581
大阪市大阪府473,541470,309328,930富士郡大宮町静岡県8,3968,4128,123
京都市京都府289,588288,867259,600津名郡洲本町兵庫県8,3948,2748,457
名古屋市愛知県170,433165,343136,118久良岐郡本牧村神奈川県8,3618,3736,955
神戸市兵庫県136,968136,22392,986佐伯郡大柿村広島県8,3208,3318,513
横浜市神奈川県127,987128,19566,711加佐郡舞鶴町京都府8,3108,3348,781
金沢市石川県94,66693,51799,954榛原郡相良町静岡県8,3048,3238,441
広島市広島県91,00086,02482,557三浦郡豊島村神奈川県8,2938,0124,806
仙台市宮城県66,31060,98460,678肝属郡高山村鹿児島県8,2828,3028,222
徳島市徳島県61,16760,12460,771日置郡中伊集院村鹿児島県8,2758,3048,647
富山市富山県58,58558,25257,842北松浦郡平戸村長崎県8,2458,2068,261
長崎市長崎県58,14257,61238,661山辺郡東金町千葉県8,2308,2447,893
鹿児島市鹿児島県56,64357,00156,626阿武郡椿郷東分村山口県8,2208,2828,917
和歌山市和歌山県56,04955,51155,457志田郡古川町宮城県8,2028,2117,856
函館区北海道庁55,67755,24835,199賀茂郡阿賀村広島県8,1418,1578,285
熊本市熊本県54,36749,62343,363今立郡上池田村福井県8,1358,1478,185
福岡市福岡県53,79251,86447,843北佐久郡小諸町長野県8,1348,1477,490
新潟市新潟県47,01946,47544,545安達郡二本松町福島県8,1218,1408,450
岡山市岡山県45,87145,17933,562御調郡向島西村広島県8,1058,1428,258
堺市大阪府45,56345,52042,825安積郡郡山町福島県8,0848,0967,300
福井市福井県40,15939,94840,753三野郡仁尾村香川県8,0808,1008,253
静岡市静岡県38,24638,32739,619西彼杵郡浦上山里村長崎県8,0398,0497,873
松江市島根県35,56535,32435,494板野郡川内村徳島県8,0148,0148,013
高松市(A)香川県34,61633,73533,863志太郡藤枝町静岡県8,0068,0297,842
松山市愛媛県34,56333,19230,282日置郡日置村鹿児島県7,9938,0048,160
東群馬郡前橋町群馬県32,12931,40921,805大野郡(飛騨国)大名田村岐阜県7,9457,9628,002
甲府市山梨県32,05231,67122,854山門郡柳河町福岡県7,9447,9737,877
高知市高知県32,04231,15726,389北魚沼郡小千谷町新潟県7,9327,9398,393
盛岡市岩手県31,86831,92532,188榛原郡川崎町静岡県7,8847,8997,976
滋賀郡大津町滋賀県31,12729,65624,237三好郡山城谷村徳島県7,8807,9058,125
河内郡宇都宮町(B)栃木県30,83130,13224,069北埼玉郡忍町埼玉県7,8627,8757,780
赤間関市山口県30,78730,43326,531大島郡久賀村山口県7,8487,8568,336
弘前市(C)青森県30,32330,38731,431南勢多郡富士見村群馬県7,8447,8587,100
高岡市富山県29,55429,61429,131海上郡銚子町千葉県7,8157,8277,940
岐阜市岐阜県29,46228,59019,786山辺郡二階堂村奈良県7,7967,8187,969
秋田市秋田県29,17528,70329,458姶良郡蒲生村鹿児島県7,7917,8367,741
山形市山形県29,08128,67526,963熊毛郡田布施村山口県7,7877,7998,017
米沢市山形県28,94428,91429,958住吉郡平野郷町大阪府7,7837,8027,471
鳥取市鳥取県28,52528,10129,445岩船郡村上町新潟県7,7787,7997,935
度会郡宇治山田町三重県28,03627,70824,891上伊那郡伊那村長野県7,7717,7777,295
姫路市兵庫県27,12025,76824,612西彼杵郡淵村長崎県7,7577,7695,960
津市三重県26,86626,16822,634熊毛郡上関村山口県7,7437,7568,003
佐賀市佐賀県26,75826,41126,017東臼杵郡富高村宮崎県7,7387,7517,679
水戸市茨城県26,60925,91523,586東葛飾郡行徳町千葉県7,7267,7418,145
西成郡難波村大阪府26,40526,50024,547美馬郡岩倉村徳島県7,7147,7147,802
東筑摩郡松本町長野県26,18726,00222,296安蘇郡植野村栃木県7,7047,7157,795
西群馬郡高崎町群馬県25,98124,26618,066東臼杵郡東海村宮崎県7,7017,7157,669
上水内郡長野町長野県25,84725,41518,931久米郡倉吉町鳥取県7,6987,7287,068
久留米市福岡県25,38025,22423,980天草郡牛深村熊本県7,6787,6907,830
谿山郡谷山村鹿児島県24,38124,51325,085甑島郡上甑村鹿児島県7,6727,6827,674
北会津郡若松町福島県24,35224,20827,673北豊島郡王子村東京府7,6657,6705,547
札幌区北海道庁24,32724,33811,704胆沢郡水沢町岩手県7,6647,6857,579
添上郡奈良町奈良県24,20924,00521,952南高来郡口之津村長崎県7,6427,6527,130
千葉郡千葉町千葉県23,50822,76514,643西成郡川崎村大阪府7,6414,7983,803
南多摩郡八王子町神奈川県22,16422,14814,358鈴鹿郡亀山町三重県7,6397,6877,354
飽海郡酒田町山形県21,03021,04020,455和気郡三津浜町愛媛県7,5837,6366,965
下都賀郡栃木町(B)栃木県20,54920,56916,126磐前郡平町福島県7,5657,5266,261
東津軽郡青森町青森県20,39918,99718,211吉野郡下市町奈良県7,5357,5537,691
中頸城郡高田町新潟県20,38120,39920,511山門郡有明村福岡県7,5297,5417,591
明石郡明石町兵庫県20,17120,21219,340宮崎郡宮崎町宮崎県7,5237,1714,131
犬上郡彦根町滋賀県20,06319,98019,686望陀郡木更津町千葉県7,5227,4626,853
那珂郡丸亀町香川県20,05218,48817,735西成郡木津村大阪府7,5197,5296,895
阿武郡萩町山口県19,92320,26923,181埴科郡松代町長野県7,5187,5338,092
頴娃郡頴娃村鹿児島県19,86819,90419,829北甘楽郡富岡町群馬県7,5057,5134,964
安八郡大垣町岐阜県19,78619,78418,306賀茂郡竹原町広島県7,4967,5157,400
西田川郡鶴岡町山形県19,51919,51520,292蒲生郡八幡町滋賀県7,4897,4976,981
川辺郡東南方村鹿児島県19,23119,28619,339薩摩郡隈之城村鹿児島県7,4847,4997,331
桑名郡桑名町三重県18,62718,65215,687窪屋郡倉敷村岡山県7,4787,5167,004
愛知郡熱田町愛知県18,35118,37217,989北村山郡東根村山形県7,4757,4937,555
小県郡上田町長野県18,32418,12314,589安蘇郡赤見村栃木県7,4687,4927,569
三重郡四日市町三重県18,31218,19313,991東臼杵郡門川村宮崎県7,4677,4817,389
三浦郡横須賀町神奈川県18,19414,7719,921仙北郡大曲村秋田県7,4657,4457,313
板野郡撫養町徳島県18,15118,24818,531楫東郡網干町兵庫県7,4337,4537,657
日置郡串木野村鹿児島県18,05918,09818,170葦北郡佐敷村熊本県7,4277,4397,355
入間郡川越町埼玉県18,03217,94516,728玖珂郡岩国町山口県7,4147,4817,902
御調郡尾道町広島県17,90017,63116,639西村山郡寒河江村山形県7,4137,4297,450
信夫郡福島町福島県17,68717,71310,661玖珂郡麻里布村山口県7,4047,4657,736
紀伊郡伏見町京都府17,24616,94716,167南高来郡島原村長崎県7,3977,3067,350
荏原郡品川町東京府17,21417,27112,897上新川郡東岩瀬町富山県7,3727,3997,362
牡鹿郡石巻町宮城県17,18417,22416,759大野郡上庄村福井県7,3597,3627,463
射水郡新湊町富山県17,05017,08417,222南高来郡深江村長崎県7,3557,3657,392
南諸県郡志布志村鹿児島県17,00517,08216,822阿蘇郡北小国村熊本県7,3447,3597,261
山田郡桐生町群馬県16,98917,01312,772北海部郡佐賀関町大分県7,3437,3727,295
企救郡小倉町福岡県16,54414,93313,624南豊島郡渋谷村東京府7,3257,3355,279
額田郡岡崎町愛知県16,25615,95912,940美馬郡江原村徳島県7,3197,3417,304
橘樹郡神奈川町神奈川県15,89715,92113,611北牟婁郡尾鷲町三重県7,3057,3187,358
大野郡(飛騨国)高山町岐阜県15,54315,52516,065名東郡加茂名村徳島県7,2977,3207,325
深津郡福山町広島県15,46515,53515,976東成郡玉造町大阪府7,2847,3046,347
海上郡本銚子町千葉県15,29215,31816,833南高来郡北有馬村長崎県7,2747,2897,285
安芸郡仁保島村広島県15,06015,12115,060吉敷郡秋穂村山口県7,2647,2907,358
足利郡足利町栃木県15,04715,06912,725東臼杵郡恒富村宮崎県7,2637,2887,430
出水郡阿久根村鹿児島県14,98715,01614,941大津郡仙崎通村山口県7,2627,2767,344
敦賀郡敦賀町福井県14,98515,04414,398西牟婁郡田辺町和歌山県7,2577,1437,135
給黎郡知覧村鹿児島県14,89114,93414,889周智郡奥山村静岡県7,2457,2557,339
揖宿郡指宿村鹿児島県14,68814,71714,757長狭郡天津町千葉県7,2317,2367,642
阿多郡伊作村鹿児島県14,63514,67815,168古志郡長岡本町新潟県7,2237,1237,549
鹿児島郡伊敷村鹿児島県14,53314,61715,414滋賀郡膳所村滋賀県7,2206,2866,915
南足立郡千住町東京府14,50314,52011,791雄勝郡湯沢町秋田県7,2117,2407,147
敷知郡浜松町静岡県14,33314,10913,250揖宿郡山川村鹿児島県7,2017,2137,314
南条郡武生町福井県14,30314,33713,629大津郡三隅村山口県7,1897,2077,299
渥美郡豊橋町愛知県14,26812,8208,936海上郡飯岡町千葉県7,1867,1937,255
吉敷郡山口町山口県14,26814,34811,356北秋田郡大館町秋田県7,1817,1897,327
東成郡天王寺村大阪府14,22614,29713,667津名郡由良町兵庫県7,1667,1857,172
足柄下郡小田原町神奈川県14,03114,04315,292南勢多郡木瀬村群馬県7,1597,1756,803
川辺郡川辺村鹿児島県13,80713,84714,200田村郡三春町福島県7,1547,1686,756
三浦郡浦賀町神奈川県13,78313,41213,049安芸郡吉浦村広島県7,1397,1516,775
川辺郡加世田村鹿児島県13,68813,73314,043日置郡西市来村鹿児島県7,1367,1607,262
川辺郡西加世田村鹿児島県13,65913,68213,744美馬郡脇町徳島県7,1327,1566,593
会見郡米子町鳥取県13,57413,42012,185山辺郡山辺村奈良県7,1307,1437,082
越智郡今治町愛媛県13,52713,56913,109石川郡上金石町石川県7,1227,1497,313
川辺郡尼ヶ崎町兵庫県13,47413,51813,555式下郡川東村奈良県7,1107,1227,373
能美郡小松町石川県13,45113,14712,290登米郡登米町宮城県7,1107,1317,176
南大隅郡垂水村鹿児島県13,28613,31213,441佐賀郡久保田村佐賀県7,0987,1177,234
下新川郡魚津町富山県13,20613,23013,285美馬郡郡里村徳島県7,0977,1257,254
賀茂郡広村広島県13,17813,21113,516南高来郡千々石村長崎県7,0967,1127,152
飯高郡松阪町三重県13,13813,17411,024宇佐郡長洲村大分県7,0967,1296,993
武庫郡西宮町兵庫県13,07913,14611,703朝来郡生野町兵庫県7,0827,0877,951
阿拝郡上野町三重県13,06713,00512,653西囎唹郡国分村鹿児島県7,0787,1097,146
下伊那郡飯田町長野県12,93312,84111,638南桑田郡亀岡町京都府7,0757,0997,208
下毛郡中津町大分県12,88312,77012,013大津郡深川村山口県7,0747,0827,017
安芸郡倉橋島村広島県12,82412,85813,330長上郡掛塚村静岡県7,0737,0876,914
添下郡郡山町奈良県12,77012,79613,310刈田郡白石町宮城県7,0737,0836,608
豊田郡観音寺町香川県12,74812,79912,815高市郡白橿村奈良県7,0707,0897,159
葦北郡水俣村熊本県12,72512,74412,506婦負郡八尾町富山県7,0617,0747,249
北蒲原郡新発田町新潟県12,62611,16211,544宇治郡山科村京都府7,0527,0597,033
雑太郡相川町新潟県12,59212,55312,107川辺郡伊丹町兵庫県7,0517,0807,166
勝浦郡小松島村徳島県12,51712,58212,617東囎唹郡財部村鹿児島県7,0437,0647,001
西北条郡津山町岡山県12,18011,89111,072玉名郡長洲町熊本県7,0397,0617,054
北宇和郡宇和島町愛媛県12,12111,99512,481南高来郡小浜村長崎県7,0357,0577,040
都濃郡徳山村山口県12,11312,14912,212幡豆郡西尾町愛知県7,0297,0476,919
東成郡東平野町大阪府12,00912,04310,416碓氷郡安中町群馬県7,0257,0435,563
上都賀郡足尾町栃木県11,89211,8951,964吉野郡大淀村奈良県7,0217,0297,011
東葛飾郡船橋町千葉県11,82211,84311,540三野郡詫間村香川県7,0097,0367,052
北諸県郡都城町(D)宮崎県11,78111,88611,412南高来郡湊町長崎県6,9977,0087,024
南秋田郡土崎港町秋田県11,75411,76911,869高岡郡高岡村高知県6,9907,0056,783
出水郡上出水村鹿児島県11,75111,77111,031上伊那郡赤穂村長野県6,9827,0016,948
三池郡大牟田町(E)福岡県11,68610,2077,425揖宿郡今和泉村鹿児島県6,9656,9867,199
射水郡氷見町富山県11,60211,63711,673香美郡槇山村高知県6,9646,9786,859
日置郡東市来村鹿児島県11,58611,61011,900北村山郡楯岡村山形県6,9506,9686,815
川辺郡東加世田村鹿児島県11,55911,57411,755大野郡勝山町福井県6,9486,9637,282
那珂郡湊町茨城県11,51511,53710,752赤穂郡赤穂町兵庫県6,9416,9637,201
安芸郡江田島村広島県11,45211,16210,550寒川郡志度村香川県6,9296,9516,940
山本郡能代港町秋田県11,42811,45411,275豊浦郡長府村山口県6,9286,9577,090
西白河郡白河町福島県11,37311,27710,246児玉郡本庄町埼玉県6,9276,9295,395
大分郡大分町大分県11,35910,6958,252美馬郡半田村徳島県6,9236,9416,959
大里郡熊谷町埼玉県11,32611,1958,480甲賀郡水口村滋賀県6,8996,9136,865
中島郡一宮町愛知県11,32311,34010,781安蘇郡佐野町栃木県6,8996,9026,569
久良岐郡戸太村神奈川県11,29610,4726,630東松浦郡入野村佐賀県6,8986,9076,929
香取郡佐原町千葉県11,27211,28910,454那賀郡池田村和歌山県6,8946,9207,395
姶良郡加治木村鹿児島県11,25711,36011,222西茨城郡笠間町茨城県6,8936,9076,960
西成郡曽根崎村大阪府11,22011,26010,706名東郡斎津村徳島県6,8846,9106,942
平鹿郡横手町秋田県11,18111,19311,408安芸郡坂村広島県6,8836,9017,107
安芸郡蒲刈島村広島県11,17811,20811,472企救郡文字関村福岡県6,8696,8733,230
海東郡津島町愛知県11,15311,17810,951楫西郡龍野町兵庫県6,8586,8016,907
最上郡新庄町山形県11,12511,13211,547西葛飾郡五霞村茨城県6,8536,8707,023
東牟婁郡新宮町和歌山県10,99011,02010,441栗原郡志波姫村宮城県6,8496,8656,879
三戸郡八戸町青森県10,88910,90510,974南都留郡桂村山梨県6,8396,8476,701
熊毛郡北種子村鹿児島県10,86910,79710,410淘綾郡大磯町神奈川県6,8356,8436,508
鹿島郡七尾町石川県10,85110,82010,426那賀郡見能林村徳島県6,8236,8526,938
西諸県郡小林村宮崎県10,79610,82710,352蒲生郡日野町滋賀県6,8216,8377,242
新治郡土浦町茨城県10,75610,4648,725那珂郡琴平町香川県6,8206,8386,428
大島郡家室西方村山口県10,71510,73111,164東諸県郡本庄村宮崎県6,8186,8316,608
東囎唹郡末吉村鹿児島県10,62010,63810,610多可郡中村兵庫県6,7966,8076,566
駿東郡沼津町静岡県10,61810,54111,320大津郡日置村山口県6,7956,8066,752
新治郡石岡町茨城県10,58210,5999,346賀茂郡伊東村静岡県6,7906,7976,744
川辺郡西南方村鹿児島県10,58110,59710,657日根郡佐野村大阪府6,7896,7996,931
安蘇郡田沼町栃木県10,57810,59110,814中蒲原郡村松町新潟県6,7896,8137,597
南高来郡西有家村長崎県10,47210,53010,563海上郡高神村千葉県6,7886,7936,779
坂井郡三国町福井県10,43410,46110,148八部郡林田村兵庫県6,7816,7966,641
上新川郡滑川町富山県10,42210,43110,647南高来郡東有家村長崎県6,7816,8066,830
吉野郡十津川村奈良県10,39910,40810,462敷知郡西浜名村静岡県6,7806,7897,015
有渡郡長田村静岡県10,35310,37010,616速見郡杵築町大分県6,7666,7796,946
鹿児島郡吉野村鹿児島県10,34810,43810,771有渡郡豊田村静岡県6,7556,7636,913
阿野郡坂出町香川県10,34310,3609,948熊毛郡中種子村鹿児島県6,7466,7586,613
安芸郡瀬戸島村広島県10,23410,24510,615宮城郡高砂村宮城県6,7446,7586,889
有田郡湯浅村和歌山県10,20010,24210,548西宇和郡伊方村愛媛県6,7356,7426,832
東彼杵郡佐世保村長崎県10,1978,9524,810磐田郡見付町静岡県6,7336,7405,919
結城郡結城町茨城県10,13910,1539,383西囎唹郡福山村鹿児島県6,7316,7506,718
佐波郡三田尻村山口県10,11910,17210,055仙北郡荒川村秋田県6,7306,7404,680
南巨摩郡増穂村山梨県10,11610,13910,204宇摩郡川之江村愛媛県6,7306,7586,967
三潴郡大川町福岡県10,11610,1489,544薩摩郡上東郷村鹿児島県6,7286,7426,788
高城郡水引村鹿児島県10,11510,1419,940北足立郡浦和町埼玉県6,7186,0473,877
北海部郡臼杵町大分県10,03410,08710,734姶良郡帖佐村鹿児島県6,7136,7856,835
鳳至郡輪島町石川県10,02110,06610,130下都賀郡野木村栃木県6,7086,7336,755
八代郡八代町熊本県9,9649,9799,832吉城郡国府村岐阜県6,7066,7257,038
坂田郡長浜町滋賀県9,8839,8976,828多度郡多度津町香川県6,6996,7186,389
給黎郡喜入村鹿児島県9,8519,90910,208庵原郡由比町静岡県6,6916,6996,911
中頸城郡直江津町新潟県9,8489,8679,227緑野郡藤岡町群馬県6,6886,6984,952
北豊島郡南千住町東京府9,8269,8396,913那覇西村沖縄県6,6796,6814,313
東茨城郡磯浜町茨城県9,7709,7919,197中蒲原郡新津町新潟県6,6716,6757,076
荏原郡大森村東京府9,7679,7809,734田方郡函南村静岡県6,6636,6786,912
西葛飾郡古河町茨城県9,7399,7599,647寒川郡長尾村香川県6,6586,6946,672
古志郡長岡町新潟県9,7299,7419,848玖珂郡高森村山口県6,6526,6816,755
岩瀬郡須賀川町福島県9,7159,7188,072南閉伊郡大槌町岩手県6,6506,6546,640
高城郡高城村鹿児島県9,6979,7519,796南蒲原郡見附町新潟県6,6496,6536,753
南諸県郡大崎村鹿児島県9,6549,6739,491南松浦郡岐宿村長崎県6,6426,6506,612
南蒲原郡加茂町新潟県9,6519,6689,859柴田郡槻木村宮城県6,6386,6526,614
南伊佐郡宮之城村鹿児島県9,6269,6589,649南那珂郡飫肥村宮崎県6,6386,6796,677
南蒲原郡三条町新潟県9,6069,6139,442長狭郡鴨川町千葉県6,6386,6476,900
志太郡島田町静岡県9,6069,6189,343宇智郡五條町奈良県6,6376,5346,300
上都賀郡鹿沼町栃木県9,5629,5827,906庵原郡蒲原町静岡県6,6336,6396,814
那賀郡浜田町島根県9,5149,3259,353那賀郡平島村徳島県6,6286,6556,844
西成郡上福島村大阪府9,4539,4648,901北諸県郡庄内村宮崎県6,6276,6566,675
北大隅郡西桜島村鹿児島県9,4059,4369,489中魚沼郡十日町村新潟県6,6136,6216,669
南松浦郡福江村長崎県9,3929,3979,406三好郡三野村徳島県6,5986,6236,779
桃生郡深谷村宮城県9,3799,4009,132厚狭郡宇部村山口県6,5876,6066,715
山田郡韮川村群馬県9,3749,3949,408南豊島郡内藤新宿町東京府6,5836,5936,004
与謝郡宮津町京都府9,3729,1749,512上都賀郡日光町栃木県6,5676,5756,334
肝属郡鹿屋村鹿児島県9,3229,3418,833牡鹿郡稲井村宮城県6,5666,5766,612
沼隈郡鞆町広島県9,3199,3519,550若江郡八尾村大阪府6,5606,5786,750
出水郡中出水村鹿児島県9,2029,2208,870海部郡牟岐村徳島県6,5496,5616,583
由利郡本荘町秋田県9,2019,2219,280栗原郡若柳町宮城県6,5236,5326,518
佐波郡佐波村山口県9,1639,2098,989北松浦郡生月村長崎県6,5156,5306,503
大野郡大野町福井県9,1559,1799,897雄勝郡院内村秋田県6,5156,5234,824
佐波郡中関村山口県9,1449,1859,080佐波郡右田村山口県6,5106,5276,650
南松浦郡富江村長崎県9,1259,1429,156南津軽郡黒石町青森県6,5086,5216,817
荏原郡羽田村東京府9,0789,0889,071北蒲原郡新発田本村新潟県6,5066,3927,327
邑楽郡館林町群馬県9,0609,0779,555平鹿郡山内村秋田県6,5066,5106,534
諏訪郡上諏訪村長野県9,0399,0618,812板野郡堀江村徳島県6,5056,5256,588
知多郡成岩町愛知県9,0379,0669,043丹羽郡犬山町愛知県6,5046,5186,791
東松浦郡唐津町佐賀県9,0229,0368,915射水郡伏木町富山県6,5036,5166,300
江沼郡大聖寺町石川県8,9949,0329,692土岐郡多治見町岐阜県6,4976,5055,152
豊田郡大野原村香川県8,9588,9819,079朝夷郡曦村千葉県6,4926,5026,211
西成郡北野村大阪府8,9268,9608,710山田郡毛里田村群馬県6,4836,4996,230
中蒲原郡沼垂町新潟県8,9248,9569,234佐伯郡大竹村広島県6,4806,5056,383
南高来郡加津佐村長崎県8,8718,8888,916南松浦郡有川村長崎県6,4736,4816,353
西村山郡谷地村山形県8,8438,8528,986南勢多郡南橘村群馬県6,4646,4735,720
西彼杵郡茂木村長崎県8,8258,8458,817愛知郡鳴海町愛知県6,4596,4786,732
益津郡焼津村静岡県8,7838,7978,686南海部郡佐伯町大分県6,4566,4716,094
足利郡北郷村栃木県8,7818,7908,644都濃郡富田村山口県6,4486,4676,561
榛原郡吉田村静岡県8,7678,7948,879三好郡三縄村徳島県6,4466,4596,491
君沢郡三島町静岡県8,7508,7687,918有渡郡大里村静岡県6,4456,4556,743
印旛郡佐倉町千葉県8,7427,2827,344加古郡高砂町兵庫県6,4336,4466,526
西彼杵郡戸町村長崎県8,7398,7504,481吉敷郡小郡村山口県6,4266,4616,302
三浦郡三崎町神奈川県8,7098,7288,866中頸城郡津有村新潟県6,4226,4356,503
阿多郡田布施村鹿児島県8,7078,7308,928豊田郡忠海町広島県6,4066,4286,362
刈羽郡柏崎町新潟県8,6918,7128,750北諸県郡三股村宮崎県6,4026,4356,407
西囎唹郡西国分村鹿児島県8,6878,7188,790東松浦郡相知村佐賀県6,4016,4146,165
熊毛郡室積村山口県8,6858,7089,044小城郡芦刈村佐賀県6,3936,4106,408
有田郡宮崎村和歌山県8,6728,6918,897三好郡三庄村徳島県6,3866,4026,525
大島郡安下庄村山口県8,6698,6838,997山辺郡片貝村千葉県6,3806,3886,602
甑島郡下甑村鹿児島県8,6448,6528,663那須郡那須村栃木県6,3596,3696,219
北秋田郡阿仁銅山村秋田県8,6418,6519,001赤穂郡塩屋村兵庫県6,3586,3706,473
小田郡笠岡村岡山県8,5918,6258,480阿多郡阿多村鹿児島県6,3526,3586,607
遠敷郡小浜町福井県8,5658,5989,255下都賀郡壬生町栃木県6,3476,3596,544
安芸郡和庄村広島県8,5498,5734,981大野郡(飛騨国)丹生川村岐阜県6,3346,3466,445
南高来郡南有馬村長崎県8,5398,5508,802三池郡三池町福岡県6,3326,3506,124
御調郡三原町広島県8,5378,5878,739養父郡北茂安村佐賀県6,3266,3426,385
礪波郡石動町富山県8,4898,4978,782那賀郡富岡村徳島県6,3256,3516,392
西成郡川南村大阪府8,4298,4426,524薩摩郡樋脇村鹿児島県6,3186,3346,277

脚注
A. 『明治二十三年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方郡市戸口表」掲載の現住人口33,357は高松市の香川県監獄署本署の囚人1,058, 懲治人1を香川郡に加算; 官報掲載の現住人口33,724は高松市の香川県監獄署本署の無籍在監人11を加算せず
B. 官報掲載の現住人口(河内郡宇都宮町30,120,下都賀郡栃木町20,581)は河内郡宇都宮町の栃木県監獄署の無籍在監人12を栃木監獄支署がある下都賀郡栃木町に加算
C. 『明治二十三年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」, 『日本帝国人口静態統計』「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」掲載の弘前市の現住人口30,316は修正前の他町村出寄留477, 他町村入寄留470を加除
D. 『明治二十三年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」, 『日本帝国人口静態統計』「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」掲載の現住人口11,768は北諸県郡都城町の都城監獄支署の無籍在監人1, 囚人12を加算せず
E 『明治二十三年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」, 『日本帝国人口静態統計』「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」掲載の現住人口10,182は三池郡大牟田町の三池集治仮留監の囚人1,504を加算せず

人口5000人以上の沖縄県の間切は以下の通りです。

間切現住人口官報基準本籍人口
那覇(狭義)30,00930,02326,455
首里25,60425,49525,720
中頭中城間切15,53215,53215,776
国頭本部間切14,75714,75714,682
宮古島砂川間切14,38214,38714,185
中頭具志川間切13,50413,50413,512
島尻小禄間切13,11212,91213,002
中頭西原間切12,98812,99113,038
中頭美里間切12,12412,12712,128
中頭読谷山間切11,35311,35511,397
島尻大里間切11,33711,34711,318
国頭今歸仁間切10,70010,70510,703
国頭名護間切10,43210,4339,986
宮古島平良間切10,04410,0519,966
中頭浦添間切9,8399,83910,070
国頭羽地間切9,7789,7819,690
島尻兼城間切9,6599,6599,659
中頭北谷間切9,6379,6379,802
中頭宜野湾間切9,4639,4639,542
島尻真和志間切8,4348,4378,497
島尻豊見城間切7,7567,7567,904
中頭与那城間切7,6627,6627,665
国頭国頭間切7,3257,3257,272
宮古島下地間切7,2077,2117,182
島尻南風原間切7,1177,1197,110
国頭大宜味間切6,5346,5356,463
国頭金武間切6,1506,1506,143
八重山島大浜間切6,0236,0235,942
島尻東風平間切5,9045,9045,971
中頭越来間切5,8875,8925,891
島尻玉城間切5,7475,7485,748
中頭勝連間切5,5005,5005,489
八重山島石垣間切5,0775,0784,943
那覇伊平屋島5,0765,0765,058
島尻佐敷間切5,0005,0005,036

一方連合戸長役場・島役所単位だと、宮古島、八重山島は全体で一つの島役所が管轄しており、およそ行政単位として似つかわしくないほどの巨大な組織になり、他方で那覇は更により細かい区分となります。そして厄介なのが奄美群島で、伝統的な間切を分断する形で戸長役場の管轄が決められた箇所があり(例えば大島郡早町村外十六村・大島郡湾村外十二村は喜界島西目間切、伊砂間切、荒木間切などを分割し、大島郡知名村外十七村・大島郡和泊村外十七村は永良部島西方を分割し、大島郡面縄村外十六村・大島郡亀津村外八村・大島郡山村外五村・大島郡阿布木名村外九村は徳之島西目間切、面連間切、東間切などを分割しています)、対応する伝統的な間切を単純に示すことができません。

町村連合(戸長役場・島役所管轄)府県庁現住人口官報基準本籍人口
宮古島西里村外三十七村(宮古島役所管轄)沖縄県34,75634,77234,455
首里当蔵村外十四村沖縄県25,62625,51725,720
那覇東村外五村地沖縄県25,59425,60821,900
小樽郡量徳町外三十八町村(小樽郡役所直轄町村;高島郡を含む)北海道庁24,59524,60814,236
中頭伊舎堂村外二十二村(中城間切)沖縄県15,53215,53215,776
八重山島登野城村外三十四村(八重山島役所管轄)沖縄県15,13715,14114,770
国頭渡久地村外十七村(本部間切)沖縄県14,75714,75714,682
中頭具志川村外十四村(具志川間切)沖縄県13,50413,50413,512
島尻小禄村外十四村(小禄間切)沖縄県13,11212,91213,002
中頭幸地村外十七村(西原間切)沖縄県12,98812,99113,038
中頭西原村外十八村(美里間切)沖縄県12,12412,12712,128
中頭喜名村外十五村(読谷山間切)沖縄県11,35311,35511,397
島尻南風原村外十九村(大里間切)沖縄県11,33711,34711,318
松前郡川原町外三十三町(松前郡役所直轄市街)北海道庁11,29111,31310,709
根室郡常盤町外二十九町村(根室郡役所直轄町村;花咲郡,得撫郡,新知郡,占守郡を含む)北海道庁11,25411,1704,218
国頭運天村外十九村(今歸仁間切)沖縄県10,70010,70510,703
大島郡面縄村外十六村鹿児島県10,54110,54810,546
国頭東江村外十二村(名護間切)沖縄県10,43210,4339,986
大島郡知名村外十七村鹿児島県10,43110,44410,380
中頭仲間村外十三村(浦添間切)沖縄県9,8399,83910,070
国頭親川村外十六村(羽地間切)沖縄県9,7789,7819,690
島尻豊見城村外二十村(兼城間切)沖縄県9,6599,6599,659
中頭北谷村外十一村(北谷間切)沖縄県9,6369,6369,802
中頭宜野湾村外十三村(宜野湾間切)沖縄県9,4639,4639,542
大島郡和泊村外十七村鹿児島県9,2279,2349,192
下県郡今屋敷町外十町村長崎県9,2109,0138,415
岩内郡御鉾内町外十二町村(岩内郡役所直轄町村)北海道庁9,1139,1135,130
有珠郡西紋鼈村外七村(室蘭郡を含む)北海道庁8,6098,6136,807
島尻上間村外十一村(真和志間切)沖縄県8,4348,4378,497
大島郡亀津村外八村鹿児島県8,3678,3738,349
大島郡湾村外十二村鹿児島県8,1718,1728,171
大島郡山村外五村鹿児島県8,1128,1168,096
大島郡阿布木名村外九村鹿児島県8,0838,0868,059
大島郡金久村外九村鹿児島県7,7807,7487,263
島尻豊見城村外二十村(豊見城間切)沖縄県7,7567,7567,904
中頭屋慶名村外八村(与那城間切)沖縄県7,6627,6627,665
大島郡早町村外十六村鹿児島県7,4247,4317,418
国頭奥間村外十五村(国頭間切)沖縄県7,3257,3257,272
島尻宮平村外九村(南風原間切)沖縄県7,1177,1197,110
余市郡浜中町外十一町村北海道庁7,0647,0685,129
札幌郡豊平村外四村北海道庁7,0587,0603,951
空知郡市来知村外三村(空知郡役所直轄村落)北海道庁6,9304,0321,259
知夫郡美田村外三村島根県6,6196,6276,565
国頭塩屋村外十五村(大宜味間切)沖縄県6,5346,5356,463
増毛郡永寿町外十四町村(増毛郡役所直轄町村)北海道庁6,4756,4723,253
爾志郡熊石村外二村北海道庁6,3586,3605,480
大島郡立長村外五村(与論島)鹿児島県6,2896,2936,306
寿都郡渡島町外六町(寿都郡役所直轄市街)北海道庁6,1986,1952,899
国頭金武村外六村(金武間切)沖縄県6,1506,1506,143
上磯郡上磯村外四村北海道庁6,1286,1345,668
島尻東風平村外十村(東風平間切)沖縄県5,9045,9045,971
中頭越来村外九村(越来間切)沖縄県5,8875,8925,891
大島郡中金久村外十一村(赤木名方)鹿児島県5,8715,8785,857
島尻富里村外十二村(玉城間切)沖縄県5,7475,7485,748
亀田郡大野村外五村北海道庁5,6355,6374,819
大島郡古仁屋村外十二村(東方)鹿児島県5,5635,5695,449
爾志郡乙部村外四村北海道庁5,5625,5624,865
亀田郡亀田村外五村北海道庁5,5115,2444,497
中頭平敷屋村外六村(勝連間切)沖縄県5,5005,5005,489
大島郡田検村外十二村(宇検方)鹿児島県5,4285,4355,418
大島郡押角村外十三村(渡連方)鹿児島県5,3575,3605,349
古平郡浜町外八町村北海道庁5,2735,2733,244
札幌郡札幌村外四村北海道庁5,1824,9334,276
那覇伊是名村外七村(伊平屋島)沖縄県5,0765,0765,058
島尻佐敷村外八村(佐敷間切)沖縄県5,0005,0005,036
『明治二十三年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」との対応については[105242]参照。なお首里の人口が間切リストと町村連合リストで微妙に違うのは、間切リストの方では首里を郡市相当として扱い、三市と同様に他町村出入寄留の加除を行わなかったのに対し、町村連合リストの方では他町村出入寄留の加除を一律で行っているからです。

過去に筑波大学村井研究室の歴史地理統計データの方で『明治二十四年 徴発物件一覧表』(データは明治23年12月31日のもの)掲載の市区町村別現住人口をまとまめたものがありますが(原本では人口は大字別で集計:[88602]参照)、徴発物件一覧表掲載の人口は現住人口の計算基準がバラバラで、一部本籍人口すら混ざったものです。今回まとめたものは戸籍表をベースとしたもので、より正確なものとなります。

【訂正・追記】:色々文章を細かく修正し、追記を行いました。修正箇所を【】のマークで示していましたが、読み辛く感じたのでマークを削除しました。
[105242] 2022年 8月 6日(土)12:05:32【2】訂正年月日
【1】2022年 8月 6日(土)12:24:44
【2】2022年 8月 6日(土)16:23:07
YT さん
明治23年の人口1万人以上の市区町村別人口まとめと今後の予定
[104836]で書いた予定通り、総務省統計局図書館所蔵の『戸籍表』を元に明治23年12月31日付の日本全国の市区町村別人口をまとめ終えました。

[103711]で書きましたように、総務省統計局図書館所蔵の『町村別戸口表』を使って明治22年12月31日付の市区町村別現住人口を再計算し、一応は作業が終わりましたが・・・色々検証するべき問題点が見つかりましたので、とりあえず公開の方は明治23年12月31日付のデータの方をまとめからにします。

ただ、明治23年度の現住人口をまとめたものの、これをそのまま公表するのは幾つか問題点が残りました。

1. 東京府伊豆七島・小笠原島に関しては、細かい町村別人口の情報が欠落しています。まあこれは大勢には影響は出ません。7年ほど前に自分は徴発物件一覧表掲載の明治23年の大字別人口をまとめようとして頓挫しましたが([87941][88602]等)、伊豆七島分の町村別レベルの人口に関しては[88602]のリンクがまだ生きていますので、そちらを参考にして下さい。

2. 虫食いのため、いくつかの町村の出寄留の囚人及懲治人、陸海軍在営艦者が得られず、現住人口が算出できない(特に愛知県):まあ官報による現住人口に相当するものを、隠岐、対馬、吐噶喇、大島、沖縄、北海道に拡大することはできました。

3. 『戸籍表』原本の閲覧ができなくなりました。

総務省統計局図書館所蔵の『戸籍表』はマイクロフイルム化されていてコピーを取ることは可能です。しかしながらこのマイクロフイルムの作成者の意識が低かったのか、冊子体のままコピーを取ったせいか、多くの頁で内側に入り込んだ数行が読めなくなっています。さらに白黒のため、朱で入れられた重ね文字が判別できません。そこで原本を閲覧することで、これらを修正することが可能となります、ところが総務省統計局の図書館に関し、工事が開始してしまい、原本閲覧ができなくなりました。

令和4年5月30日から総務省第二庁舎耐震改修工事対応のため、利用できる図書は開架式の書架(閲覧室)にある図書、電子資料、マイクロフィルムとマイクロフィッシュ、調査区関係資料のみになります。御不便をおかけして申し訳ございませんが、御了承願います。

まとめるにあたり、内側が読めないところからデータを入力し、1か月に一度ほど統計局図書館で該当箇所をチェックする、という作業をしておりましたが、6月以降は古資料の閲覧が不可となり、原本による『戸籍表』の最終チェックができなくなりました。工事が終わるのは5年後とのことですが、さすがにそこまで待つ訳にはいかないので、不完全な形として今月中に自分がまとめた明治23年12月31日の現住人口の再計算結果の表(官報掲載相当および日本帝国民籍戸口表掲載相当)を公表する予定にします。

とりあえず以下に人口1万人以上の市区町村の人口の比較をまとめます。比較対象は官報掲載の現住人口、『明治二十三年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』(残念ながら明治22、23年版はオンラインで閲覧できない:明治24年版は閲覧可能)収録の「各地方郡市戸口表」(「市」と「区」の現住人口が比較可能)と「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口、そして『日本帝国人口静態統計』収録の「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」掲載の現住人口です。

なお明治22年版の『町村別戸口表』では沖縄県の間切に関し、
備考 本県ハ郡ノ設ケ無 之ニ付各間切島ヲ郡ニ該当製表ス
との脚注があったので、明治22年の間切に関しては郡市と同等とみなし、[104158]では他町村出入寄留の加除を行わずに間切の現住人口の算出を行いましたが、明治23年版以降の沖縄県統計書では現住人口の算出に他町村出入寄留の加除を行っており、よって明治23年の間切に関しては町村と同等とみなし、他町村出入寄留の加除を行いました。

以下比較結果ですが、明治22年版([104836][104158])と異なり、官報でも明治23年版の『日本帝国民籍戸口表』でもおおむね正確に現住人口が算出されています。一部の計算間違いは、監獄の無籍在監人、囚人、懲治人の加算忘れ、加算間違いに起因するものが主です。弘前市のケースでは『戸籍表』原本に弘前市内の他町村出入寄留の数字が掲載されてしまっており、これを使って計算したか、その後の朱書きの訂正(同市内の町丁間の出入寄留は無視してゼロとするべき)を考慮して算出したかの違いです。一方明治41年版の『日本帝国人口静態統計』では後から「戸口表」を使って人口1万人以上の都市の現住人口を算出したとありますが(正に自分が行っているのと同じ方法)、比較的間違いが多いです。

市区町村府県庁旧国本籍人口現住人口(官報)再計算値現住人口再計算値備考
東京市東京府武蔵国820,0131,141,9911,141,9911,155,2901,155,290
荏原郡品川町東京府武蔵国12,89717,27117,27117,21417,214
南足立郡千住町東京府武蔵国11,79114,52014,52014,50314,503
京都市京都府山城国259,600288,867288,867289,588289,588
紀伊郡伏見町京都府山城国16,16716,94716,94717,24617,246
堺市大阪府和泉国42,82545,52045,52045,56345,563
大阪市大阪府摂津国328,930337,605337,605473,541473,541
西成郡難波村大阪府摂津国24,54726,50026,50026,40526,405
西成郡曽根崎村大阪府摂津国10,70611,26011,26011,22011,220
東成郡天王寺村大阪府摂津国13,66714,29714,29714,22614,226
東成郡東平野町大阪府摂津国10,41612,04312,04312,00912,009
三浦郡横須賀町神奈川県相模国9,92114,77114,77118,19418,194
三浦郡浦賀町神奈川県相模国13,04913,41213,41213,78313,783
足柄下郡小田原町神奈川県相模国15,29214,04314,04314,03114,031
横浜市神奈川県武蔵国66,711128,195128,195127,987127,987
久良岐郡戸太村神奈川県武蔵国6,63010,47210,47211,29611,296
橘樹郡神奈川町神奈川県武蔵国13,61115,92115,92115,89715,897
南多摩郡八王子町神奈川県武蔵国14,35822,14822,14822,16422,164
神戸市兵庫県摂津国92,986136,223136,223136,968136,968
武庫郡西宮町兵庫県摂津国11,70313,14613,14613,07913,079
川辺郡尼ヶ崎町兵庫県摂津国13,55513,51813,51813,47413,474
姫路市兵庫県播磨国24,61225,76825,76827,12027,120
明石郡明石町兵庫県播磨国19,34020,21220,21220,17120,171
長崎市長崎県肥前国38,66157,61257,61258,14258,142
東彼杵郡佐世保村長崎県肥前国4,8108,9528,95210,19710,197「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
南高来郡西有家村長崎県肥前国10,56310,53010,53010,47210,472
新潟市新潟県越後国44,54546,47546,47547,01947,019
北蒲原郡新発田町新潟県越後国11,54411,16211,16212,62612,626
中頸城郡高田町新潟県越後国20,51120,39920,39920,38120,381
雑太郡相川町新潟県佐渡国12,10712,55312,55312,59212,592
入間郡川越町埼玉県武蔵国16,72817,94517,94518,03218,032
大里郡熊谷町埼玉県武蔵国8,48011,19511,19511,32611,326
千葉郡千葉町千葉県下総国14,64322,76522,76523,50823,508
東葛飾郡船橋町千葉県下総国11,54011,84311,84311,82211,822
香取郡佐原町千葉県下総国10,45411,28911,28911,27211,272
海上郡本銚子町千葉県下総国16,83315,31815,31815,29215,292
結城郡結城町茨城県下総国9,38310,15310,15310,13910,139
水戸市茨城県常陸国23,58625,91525,91526,60926,609
那珂郡湊町茨城県常陸国10,75211,53711,53711,51511,515
新治郡石岡町茨城県常陸国9,34610,59910,59910,58210,582
新治郡土浦町茨城県常陸国8,72510,46410,46410,75610,756
東群馬郡前橋町群馬県上野国21,80531,40931,40932,12932,129
西郡馬郡高崎町群馬県上野国18,06624,26624,26625,98125,981
山田郡桐生町群馬県上野国12,77217,01317,01316,98916,989
河内郡宇都宮町栃木県下野国24,06930,12030,13230,83130,831官報掲載の現住人口は河内郡宇都宮町の栃木県監獄署の無籍在監人12を栃木監獄支署がある下都賀郡栃木町に加算
上都賀郡足尾町栃木県下野国1,96411,89511,89511,89211,892
都賀郡栃木町栃木県下野国16,12620,58120,56920,54920,549官報掲載の現住人口は河内郡宇都宮町の栃木県監獄署の無籍在監人12を栃木監獄支署がある下都賀郡栃木町に加算
安蘇郡田沼町栃木県下野国10,81410,59110,59110,57810,578
足利郡足利町栃木県下野国12,72515,06915,06915,04715,047
添上郡奈良町奈良県大和国21,95224,00524,00524,20924,209
添下郡郡山町奈良県大和国13,31012,79612,79612,77012,770
吉野郡十津川村奈良県大和国10,46210,40810,40810,39910,399
阿拝郡上野町三重県伊賀国12,65313,00513,00513,06713,067
津市三重県伊勢国22,63426,16826,16826,86626,866
桑名郡桑名町三重県伊勢国15,68718,65218,65218,62718,627
三重郡四日市町三重県伊勢国13,99118,19318,19318,31218,312
飯高郡松阪町三重県伊勢国11,02413,17413,17413,13813,138
度会郡宇治山田町三重県伊勢国24,89127,70827,70828,03628,036
名古屋市愛知県尾張国136,118165,343165,343170,433170,433
愛知郡熱田町愛知県尾張国17,98918,37218,37218,35118,351
中島郡一宮町愛知県尾張国10,78111,34011,34011,32311,323
海東郡津島町愛知県尾張国10,95111,17811,17811,15311,153
額田郡岡崎町愛知県三河国12,94015,95915,95916,25616,256
渥美郡豊橋町愛知県三河国8,93612,82012,82014,26814,268
敷知郡浜松町静岡県遠江国13,25014,10914,10914,33314,333
静岡市静岡県駿河国39,61938,32738,32738,24638,246
駿東郡沼津町静岡県駿河国11,32010,54110,54110,61810,618
有渡郡長田村静岡県駿河国10,61610,37010,37010,35310,353
甲府市山梨県甲斐国22,85431,67131,67132,05232,052
南巨摩郡増穂村山梨県甲斐国10,20410,13910,13910,11610,116
滋賀郡大津町滋賀県近江国24,23729,65629,65631,12731,127
犬上郡彦根町滋賀県近江国19,68619,98019,98020,06320,063
岐阜市岐阜県美濃国19,78628,59028,59029,46229,462
安八郡大垣町岐阜県美濃国18,30619,78419,78419,78619,786
大野郡高山町岐阜県飛騨国16,06515,52515,52515,54315,543
小県郡上田町長野県信濃国14,58918,12318,12318,32418,324
下伊那郡飯田町長野県信濃国11,63812,84112,84112,93312,933
東筑摩郡松本町長野県信濃国22,29626,00226,00226,18726,187
上水内郡長野町長野県信濃国18,93125,41525,41525,84725,847
仙台市宮城県陸前国60,67860,98460,98466,31066,310
牡鹿郡石巻町宮城県陸前国16,75917,22417,22417,18417,184
西白川郡白河町福島県磐城国10,24611,27711,27711,37311,373
信夫郡福島町福島県岩代国10,66117,71317,71317,68717,687
北会津郡若松町福島県岩代国27,67324,20824,20824,35224,352
盛岡市岩手県陸中国32,18831,92531,92531,86831,868
弘前市青森県陸奥国31,43130,38730,38730,31630,323「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」,日本帝国人口静態統計掲載の現住人口30,316は修正前の他町村出寄留477,他町村入寄留470を加除
30,32330,323「各地方郡市戸口表」掲載の現住人口は問題なし
東津軽郡青森町青森県陸奥国18,21118,99718,99720,39920,399
三戸郡八戸町青森県陸奥国10,97410,90510,90510,88910,889
山形市山形県羽前国26,96328,67528,67529,08129,081
米沢市山形県羽前国29,95828,91428,91428,94428,944
最上郡新庄町山形県羽前国11,54711,13211,13211,12511,125
西田川郡鶴岡町山形県羽前国20,29219,51519,51519,51919,519
飽海郡酒田町山形県羽後国20,45521,04021,04021,03021,030
秋田市秋田県羽後国29,45828,70328,70329,17529,175
南秋田郡土崎港町秋田県羽後国11,86911,76911,76911,75411,754
山本郡能代港町秋田県羽後国11,27511,45411,45411,42811,428
平鹿郡横手町秋田県羽後国11,40811,19311,19311,18111,181
福井市福井県越前国40,75339,94839,94840,15940,159
坂井郡三国町福井県越前国10,14810,46110,46110,43410,434
南条郡武生町福井県越前国13,62914,33714,33714,30314,303
敦賀郡敦賀町福井県越前国14,39815,04415,04414,98514,985
金沢市石川県加賀国99,95493,51793,51794,66694,666
能美郡小松町石川県加賀国12,29013,14713,14713,45113,451
鹿島郡七尾町石川県能登国10,42610,82010,82010,85110,851
鳳至郡輪島町石川県能登国10,13010,06610,06610,02110,021
富山市富山県越中国57,84258,25258,25258,58558,585
高岡市富山県越中国29,13129,61429,61429,55429,554
上新川郡滑川町富山県越中国10,64710,43110,43110,42210,422
下新川郡魚津町富山県越中国13,28513,23013,23013,20613,206
射水郡新湊町富山県越中国17,22217,08417,08417,05017,050
射水郡氷見町富山県越中国11,67311,63711,63711,60211,602
鳥取市鳥取県因幡国29,44528,10128,10128,52528,525
会見郡米子町鳥取県伯耆国12,18513,42013,42013,57413,574
松江市島根県出雲国35,49435,32435,32435,56535,565
西北条郡津山町岡山県美作国11,07211,89111,89112,18012,180
岡山市岡山県備前国33,56245,17945,17945,87145,871
御調郡尾道町広島県備後国16,63917,63117,63117,90017,900
深津郡福山町広島県備後国15,97615,53515,53515,46515,465
広島市広島県安芸国82,55786,02486,02491,00091,000
安芸郡仁保島村広島県安芸国15,06015,12115,12115,06015,060
安芸郡江田島村広島県安芸国10,55011,16211,16211,45211,452
安芸郡瀬戸島村広島県安芸国10,61510,24510,24510,23410,234
安芸郡倉橋島村広島県安芸国13,33012,85812,85812,82412,824
安芸郡蒲刈島村広島県安芸国11,47211,20811,20811,17811,178日本帝国人口静態統計は掲載せず
賀茂郡広村広島県安芸国13,51613,21113,21113,17813,178
大島郡家室西方村山口県周防国11,16410,73110,73110,71510,715
都濃郡徳山村山口県周防国12,21212,14912,14912,11312,113
佐波郡三田尻村山口県周防国10,05510,17210,17210,11910,119
吉敷郡山口町山口県周防国11,35614,34814,34814,26814,268
赤間関市山口県長門国26,53130,43330,43330,78730,787
阿武郡萩町山口県長門国23,18120,26920,26919,92319,923
和歌山市和歌山県紀伊国55,45755,51155,51156,04956,049
有田郡湯浅村和歌山県紀伊国10,54810,24210,24210,20010,200
東牟婁郡新宮町和歌山県紀伊国10,44111,02011,02010,99010,990
徳島市徳島県阿波国60,77160,12460,12461,16761,167
勝浦郡小松島村徳島県阿波国12,61712,58212,58212,51712,517
板野郡撫養町徳島県阿波国18,53118,24818,24818,15118,151
高松市香川県讃岐国33,86333,72433,73534,61634,616官報掲載の現住人口は高松市の香川県監獄署本署の無籍在監人11を加算せず;「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」,日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は問題なし
33,35734,616「各地方郡市戸口表」掲載の現住人口は高松市の香川県監獄署本署の囚人1,058,懲治人1を香川郡に加算
阿野郡坂出町香川県讃岐国9,94810,36010,36010,34310,343
那珂郡丸亀町香川県讃岐国17,73518,48818,48820,05220,052
豊田郡観音寺町香川県讃岐国12,81512,79912,79912,74812,748
松山市愛媛県伊予国30,28233,19233,19234,56334,563
越智郡今治町愛媛県伊予国13,10913,56913,56913,52713,527
北宇和郡宇和島町愛媛県伊予国12,48111,99511,99512,12112,121
高知市高知県土佐国26,38931,15731,15732,04232,042
福岡市福岡県筑前国47,84351,86451,86453,79253,792
久留米市福岡県筑後国23,98025,22425,22425,38025,380
三潴郡大川町福岡県筑後国9,54410,14810,14810,11610,116
三池郡大牟田町福岡県筑後国7,42510,20710,20710,18211,686「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」,日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は三池郡大牟田町の三池集治仮留監の囚人1,504を加算せず
企救郡小倉町福岡県豊前国13,62414,93314,93316,54416,544
下毛郡中津町大分県豊前国12,01312,77012,77012,88312,883
大分郡大分町大分県豊後国8,25210,69510,69511,35911,359
北海部郡臼杵町大分県豊後国10,73410,08710,08710,03410,034
佐賀市佐賀県肥前国26,01726,41126,41126,75826,758
熊本市熊本県肥後国43,36349,62349,62354,35754,357
葦北郡水俣村熊本県肥後国12,50612,74412,74412,72512,725
北諸県郡都城町宮崎県日向国11,41211,88611,88611,76811,781「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」,日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は北諸県郡都城町の都城監獄支署の無籍在監人1,囚人12を加算せず
西諸県郡小林村宮崎県日向国10,35210,82710,82710,79610,796
南諸県郡志布志村鹿児島県日向国16,82217,08217,08217,00517,005
姶良郡加治木村鹿児島県大隅国11,22211,36011,36011,25711,257
南大隅郡垂水村鹿児島県大隅国13,44113,31213,31213,28613,286
東囎唹郡末吉村鹿児島県大隅国10,61010,63810,63810,62010,620
熊毛郡北種子村鹿児島県大隅国10,41010,79710,79710,86910,869
鹿児島市鹿児島県薩摩国56,62657,00157,00156,64356,643
鹿児島郡伊敷村鹿児島県薩摩国15,41414,61714,61714,53314,533
鹿児島郡吉野村鹿児島県薩摩国10,77110,43810,43810,34810,348
谿山郡谷山村鹿児島県薩摩国25,08524,51324,51324,38124,381
給黎郡知覧村鹿児島県薩摩国14,88914,93414,93414,89114,891
給黎郡喜入村鹿児島県薩摩国10,2089,9099,9099,8519,851日本帝国人口静態統計は掲載せず
指宿郡揖宿村鹿児島県薩摩国14,75714,71714,71714,68814,688
頴娃郡頴娃村鹿児島県薩摩国19,82919,90419,90419,86819,868
川辺郡川辺村鹿児島県薩摩国14,20013,84713,84713,80713,807
川辺郡加世田村鹿児島県薩摩国14,04313,73313,73313,68813,688
川辺郡東加世田村鹿児島県薩摩国11,75511,57411,57411,55911,559
川辺郡西加世田村鹿児島県薩摩国13,74413,68213,68213,65913,659
川辺郡東南方村鹿児島県薩摩国19,33919,28619,28619,23119,231
川辺郡西南方村鹿児島県薩摩国10,65710,59710,59710,58110,581
日置郡串木野村鹿児島県薩摩国18,17018,09818,09818,05918,059
日置郡東市来村鹿児島県薩摩国11,90011,61011,61011,58611,586
阿多郡伊作村鹿児島県薩摩国15,16814,67814,67814,63514,635
高城郡水引村鹿児島県薩摩国9,94010,14110,14110,11510,115
出水郡上出水村鹿児島県薩摩国11,03111,77111,77111,75111,751
出水郡阿久根村鹿児島県薩摩国14,94115,01615,01614,98714,987
那覇沖縄県琉球国38,98642,26442,25042,250「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
首里沖縄県琉球国25,72025,49525,60425,604「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
小禄間切沖縄県琉球国13,00212,91213,07513,112「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず;日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は計算間違いか
大里間切沖縄県琉球国11,31811,34711,33711,337「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
浦添間切沖縄県琉球国10,0709,8399,839「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」,日本帝国人口静態統計は掲載せず
西原間切沖縄県琉球国13,03812,91112,98812,988「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
中城間切沖縄県琉球国15,77615,53215,53215,532「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
読谷山間切沖縄県琉球国11,39711,35511,35311,353「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
美里間切沖縄県琉球国12,12812,12712,12412,124「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
具志川間切沖縄県琉球国13,51213,50413,50413,504「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
名護間切沖縄県琉球国9,98610,43310,432「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」,日本帝国人口静態統計は掲載せず
今歸仁間切沖縄県琉球国10,70310,70510,80010,700「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず;日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は計算間違いか
本部間切沖縄県琉球国14,68214,75714,757「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」,日本帝国人口静態統計は掲載せず
本部村(本部間切+伊江島)沖縄県琉球国19,57319,69619,69419,694「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず;日本帝国人口静態統計では伊江島を含めて本部村として掲載
平良間切沖縄県琉球国9,96610,05110,04410,044「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
砂川間切沖縄県琉球国14,18514,38214,387「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」,日本帝国人口静態統計は掲載せず
砂川村(砂川間切+多良間島)沖縄県琉球国17,30717,51017,49517,505「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず;日本帝国人口静態統計では多良間島を含めて砂川村として掲載;日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は計算間違いか
函館区北海道庁渡島国35,19955,24855,67755,677
松前郡福山市街北海道庁渡島国10,70911,31311,29011,291「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず;日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は福山分署の囚人1を加算せず
檜山郡江差市街北海道庁渡島国9,81020,54214,62014,626「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず;日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は江差分署の囚人6を加算せず
小樽郡・高島郡小樽市街北海道庁後志国12,53921,39521,38321,383「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」は掲載せず
札幌区北海道庁石狩国11,70424,33824,32724,327

【誤字等幾つか追加訂正】
[105165] 2022年 7月 30日(土)10:38:11YT さん
薩摩藩出身者と越後では村の規模に関する常識が異なった?
[105152] 未開人さん

ところで新潟県で1901年に大合併が行われたのはなぜなのでしょうか。岐阜県に比べると合併が不十分だった印象はないのですが、人口が多かったことが影響しているのでしょうか。

新潟県の明治から平成の合併に係る各市町村の系譜に掲載されている「第1章 新潟県における市町村合併の変遷」、および井戸庄三「明治22年 新町村名の研究」(地理学評論 49 (5), 285-299 (1976))によると、柏田盛文知事の独断だそうです。

当時、全国には江戸時代の自然発生的な町村の延長である町村が7万以上、新潟県には約4,500もあった。この小さな単位から、戸籍や小学校などの事務を処理できる300~500戸を標準として、全国一律の町村合併を進めることとした。計画が明らかになると県下全域は騒然となった。当時の町村は生活習慣、水利、産業など住民生活に密着しており、住民の意思を無視するようなケースには強硬な反対があった。それでも政府はこれを断行し、その結果、新潟県の市町村数は明治22年末には、5分の1以下の800余りに減少した。

これが明治の大合併である

しかし、新潟県下では規模が小さく財政的にも脆弱な町村がまだ多く残っていた。当時は全国の町村平均戸数が583戸に対し、新潟県は351戸に過ぎなかった。明治30年に伝染病予防に関する事務と費用負担が町村に義務づけられ、赤痢の大流行などによる衛生費の大膨張(明治31年には明治28年の13倍)や教育費の負担増などによって町村の財政は逼迫していく中で、明治34年2月、柏田新潟県知事は町村合併の実施を明らかにした。県の示した合併案に反対の町村会は80%にも達したが、県はこれを強行し、同年11月には町村数は816から456に減少した。

ただしこの第二次大合併を実施した柏田盛文知事は、外城制度を有する薩摩藩出身です。郷、外城規模で町村を制定し、1万人規模の村が当たり前に存在した鹿児島県の実情を知っている人からすると、新潟県の町村規模は許しがたいほど小さなものだったのでしょう。

明治34年8月28日付の新潟県知事柏田盛文より内務大臣内海忠勝あて「県下町村合 併之件禀請」によると

本県下町村の総数八百十有八、内戸数三百に満たざるもの実に四百五十余カ村の多を占む。其余の町村亦皆概して規模狭少、随って資力薄弱にして其為すべき事を挙ぐるに苦み殆んど独立の実を保つに堪え難しと認むるもの多し。
(中略)
惟くに県下今日の計は深く町村の実情に鑑み、断然小町村を合併し大に其資力を充実し、自治の根底を鞏固ならしめ、以って経営の完成を期す

なお柏田盛文知事は、翌明治35年に発覚した、教科書採択に関する全国規模の贈収賄事件「教科書疑獄事件」に関連して政治的にも失脚します。柏田盛文は新潟県の前に茨城県の知事でしたが、その元茨城県師範学校校長で教科書出版の「普及舎」社長でもあった山田禎三郎が、鉄道内に手帳を忘れたことにより事件が発覚します。摘発された関係者としては、新潟・宮城・栃木・島根・宮崎の各県知事や県会議長・府県書記官・視学官・視学、郡視学、師範学校長・同教諭や高等師範学校教諭、中学校長・女学校長などが含まれ、ほとんどの府県から逮捕者を出すという大疑獄となりました。予審に付された者は152名に上り、有罪者は100名を超え、追徴金も7万円に達しました。柏田盛文も有罪となり、以降政界に復帰することはありませんでした。

余談ですがこの事件発覚の原因となった山田禎三郎という人物、直後に仕事で英国に逃げていたため、逮捕を免れます。後に衆議院に出馬し当選しますが、事業失敗により辞職し、株券偽造で投獄されます。さらに1907年には中ノ鳥島を発見したと主張し、リン鉱石ネタで日本政府を騙すという、この落書き帳の別の話題もリンクするとんでもない詐欺師だったりします([65212])。
[104913] 2022年 7月 8日(金)13:54:23YT さん
「春狩国」の存在はかなり怪しい
[104908] 零参弐八さん

令制国時代に目黒にあったとされる春狩国のことを知ってる人はいませんか?

確かにネット上で検索すると、目黒にあったという「春狩国」に言及するサイトが複数ありますが、どれもここ10年以内に記述されたものばかりです。また自分はJapanKnowledge(『角川日本地名大辞典』、『日本歴史地名大系』、『国史大辞典』などを含む)にアクセスして全文検索できるのですが、一つとして関東地方の地名としての「春狩」「はるかり」が引っ掛かりませんでした。国立国会図書館デジタルアーカイブで『東京府史』や『埼玉県史』の武蔵国の黎明期部分を読んでも、「知々夫」(チチブ)や「无邪志」 (ムサシ/ムザシ)、「 胸刺 」(ムサシ/ムネサシ)の考察はあっても、一つとして「春狩」(ハルカリ)に言及している文献は見つかりませんでした。『目黒町誌』/『郷土目黒』はオンラインでは閲覧できませんが、項目だけなら目黒資料のページで検索できます。「无邪志国造」という項目はあるのに「春狩」はないです。CiNiiの論文検索でも一つとして「春狩」「はるかり」が引っ掛かりませんでした。

さらに元ソースまでは未確認ですが、twitter検索で目黒出身のミュージシャンの作り話という情報も出てきたので、これ以上は調べる気になれませんでした。

そもそも「目黒」に関連して「春狩国」が言及されているようですが、「目黒」/「馬畔」/「めぐろ」/「めくろ」という地名自体、『吾妻鏡』や『承久軍物語』に登場する「目黒」という武家の姓より遡ることができません。よって「寺社などに伝わった中世以降の古文書に、何等かの形で目黒と春狩を結びつける文献が新発見された」とかじゃない限り、これまで一般的に出版されている学術書に話が全く出てこないことを説明できませんので、この時点でかなり怪しい話と考えるべきです。北奥県([79597] [79620]参照)のように中央に情報が残らない可能性も否定はできませんが、新発見の旧国名なら然るべき論文として発表されているはずであり、むしろ近年発表の日本語論文なら容易にCiNiiなどの検索に引っかかるはずであり、まあ現時点では信じない方がよいと思います。
[104836] 2022年 6月 17日(金)11:24:58【1】訂正年月日
【1】2022年 6月 17日(金)17:41:38
YT さん
明治22年の市区町村別人口まとめ(後半)
[103711]で書きましたように、総務省統計局図書館所蔵の『町村別戸口表』を使って明治22年12月31日付の市区町村別現住人口を再計算し、一応は作業が終わりましたが・・・色々検証するべき問題点が見つかりましたので、とりあえず公開の方は明治23年12月31日付のデータの方をまとめからにします。

まず[104158]の訂正

市区町村「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」等掲載の本籍人口官報掲載の現住人口「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」等掲載の現住人口町村別戸口表等掲載の本籍人口現住人口(官報基準での再計算)現住人口(日本帝国民籍戸口表基準での再計算)備考
北蒲原郡新発田町11,21310,89410,95611,22610,89410,875「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他郡市出寄留623、他郡市入寄留529を加除せず、また本籍人口11,213(男5,689、女5,524)が異なる; [出]陸海軍在営艦者19を修正

[104158]では陸軍第二師団歩兵第十六連隊1,520を北蒲原郡新発田町に加えてしまいましたが、その後『陸軍省第三回統計年報』(明治22年12月31日付の情報が載っている版はオンラインで公開されておらず、某大学某図書館のマイクロフイルム版で確認しました)を閲覧したところ、この時は北蒲原郡新発田本村に陸軍第二師団歩兵第十六連隊の兵営があったことが判明したので、日本帝国民籍戸口表基準での再計算した現住人口を12,395から10,875に訂正します。

続いて宮城県~宮崎県の残りです(宮城県、島根県、佐賀県などは前と重複しますが、説明文にも一部変更入れましたので再掲します)。

市区町村「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」等掲載の本籍人口官報掲載の現住人口「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」等掲載の現住人口町村別戸口表等掲載の本籍人口現住人口(官報基準での再計算)現住人口(日本帝国民籍戸口表基準での再計算)備考
仙台市66,35086,50590,23166,35086,50491,796「各地方郡市戸口表」、「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は仙台市榴ヶ岡在営の陸軍第二師団歩兵第四連隊1,565を宮城郡に加算、また官報掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
牡鹿郡石巻町16,52816,94416,97416,52816,94416,920「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留150、他町村入寄留96を加除せず
西白河郡白河町10,06511,02410,91610,06511,02411,121「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留100、他町村入寄留305を加除せず
信夫郡福島町10,42316,96516,62910,42316,96516,939「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留126、他町村入寄留436を加除せず
北会津郡若松町27,45921,32521,58427,45921,32521,380「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留753、他町村入寄留549を加除せず
盛岡市32,11731,23931,15332,11731,23931,153
弘前市31,61530,56030,48731,61530,56030,487
東津軽郡青森町17,55320,00619,48417,55320,00620,280「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留100、他町村入寄留889、陸軍第二師団歩兵第五連隊1,055を加除せず、また残差7は計算間違いか(詳細不明)
三戸郡八戸町10,73210,63310,56810,73210,63310,602「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留172、他町村入寄留215、八戸監獄の囚人8を加除せず、また残差9は計算間違いか(詳細不明)
山形市26,70328,45529,01926,70328,45529,019
米沢市30,23429,62029,59130,23429,62029,591
最上郡新庄町11,56511,28911,27711,56511,28911,276「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
西田川郡鶴岡町20,41719,63019,56220,41719,63019,562
飽海郡酒田町20,41420,97320,91820,41420,97320,918
秋田市29,49329,06929,56829,49329,06929,568
南秋田郡土崎港町11,80611,70811,68811,80611,70811,699「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
山本郡能代港町11,14211,42711,26911,14211,42711,395「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留18、他町村入寄留144を加除せず
平鹿郡横手町11,23411,08810,96711,23410,96711,076「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留85、他町村入寄留193を加除せず、また残差1は計算間違いか(詳細不明)
福井市40,96140,63140,84940,96140,63140,849
坂井郡三国町10,15610,43210,40910,15610,43210,409
南条郡武生町13,41414,18814,17513,41414,18814,175
敦賀郡敦賀町14,24714,65914,60614,24714,65914,606
金沢市100,72994,40794,257100,72994,40795,812「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口94,257は金沢市在営の陸軍第三師団歩兵第七連隊1,555を加算せず
能美郡小松町12,03012,68312,70312,03012,68712,964「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留29、他町村入寄留290を加除せず、また官報掲載の現住人口は小松監獄の無籍在監人4を加算せず
鹿島郡七尾町10,36910,78710,54610,36910,78710,827「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留24、他町村入寄留305を加除せず
鳳至郡輪島町10,12610,12610,08610,12610,12610,113「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留18、他町村入寄留45を加除せず
富山市57,27757,85758,15957,27757,85758,159
高岡市28,57628,98628,92828,57628,98628,928
上新川郡滑川町10,50110,21410,19510,50110,21410,205「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留11、他町村入寄留21を加除せず
下新川郡魚津町13,10513,12313,03013,10513,12313,089「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留52、他町村入寄留111を加除せず
射水郡新湊町17,13517,06817,03417,13517,06817,041「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
射水郡氷見町11,47011,38111,38811,47011,38111,357「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
鳥取市29,39527,94228,39629,39527,94228,396
会見郡米子町12,05313,37313,30412,05313,37313,497「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留82、他町村入寄留275を加除せず
松江市35,65835,70135,93435,65835,70135,934
西北条郡津山町11,03611,62711,90311,03611,62711,870「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
岡山市33,56347,72448,33333,56347,72448,333
御調郡尾道町16,94218,13418,47316,94218,13418,427「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留480、他町村入寄留434を加除せず
深津郡福山町15,77415,10814,90015,77415,10815,040「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留480、他町村入寄留434を加除せず
広島市81,91783,89688,82081,91783,89688,820
安芸郡仁保島村14,98814,37014,28314,98814,37014,314「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留22、他町村入寄留53を加除せず
安芸郡江田島村10,30010,92510,86510,30010,92510,908「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村入寄留43を加算せず
安芸郡瀬戸島村10,48310,32510,34110,48310,32510,312「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留39、他町村入寄留10を加除せず
安芸郡倉橋島村13,20212,71812,69613,20212,71812,688「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留29、他町村入寄留21を加除せず
安芸郡蒲刈島村11,43811,22611,19511,43811,22611,204「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留1、他町村入寄留10を加除せず
賀茂郡広村13,36713,08913,06113,36713,08913,058「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留44、他町村入寄留41を加除せず
大島郡家室西方村11,08910,71310,70311,08910,71310,703
都濃郡徳山村12,20012,10712,05512,20012,10712,055
佐波郡三田尻村9,98110,20910,1429,97510,20910,136「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は町村別戸籍表掲載の本籍人口と異なる本籍人口9,981(男5,068、女4,913)で算出
吉敷郡山口町11,42514,18313,65311,42514,18314,117「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留44、他町村入寄留41を加除せず
阿武郡萩町23,38920,14619,80423,38920,14619,804
赤間関市26,55629,91429,91926,55629,91429,919
和歌山市56,07656,20256,71356,07656,20256,713
有田郡湯浅村10,55810,32410,28810,55810,32410,288
東牟婁郡新宮町10,25010,64810,62410,25010,64810,624
勝浦郡小松島村12,52612,72112,49212,52612,72112,665「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
板野郡撫養町18,57418,32918,25918,57418,32918,259
徳島市60,86160,14461,10760,86160,14461,107
香川郡[高松城下]32,18332,08132,63532,18332,877日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は高松城下60町のものと推定されるが、高松監獄の囚人及懲治人816を加算せず、また差分-20は計算間違いか(詳細不明)
阿野郡坂出村9,78910,17610,0669,78910,17610,154「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留13、他町村入寄留101を加除せず
那珂郡[丸亀城下]16,49618,29515,67216,49618,254日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は丸亀城下27町及び中府村・地方村のものと推定されるが、差分-41は計算間違いか(詳細不明)
豊田郡観音寺村11,53811,49311,41811,53811,49311,455「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留38、他町村入寄留75を加除せず
松山市30,09432,88232,73830,09432,88234,297「各地方郡市戸口表」「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は松山市堀内町在営の陸軍第五師団歩兵第二十二連隊1,559を温泉郡に加算
越智郡今治町13,19913,73413,16113,19913,73413,691「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留149、他町村入寄留679を加除せず
北宇和郡宇和島町12,64211,74211,96812,64211,74211,880「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留542、他町村入寄留454を加除せず
高知市26,72631,52932,24126,72631,52932,241
福岡市47,77051,05053,01447,77051,05053,014
三池郡大牟田町9,61211,1077,0299,61211,065「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は三池集治仮留監の無籍在監人42を加算せず
久留米市23,93724,70324,85923,93724,70324,859
企救郡小倉町13,58914,44916,09913,58914,44916,099
下毛郡中津町12,01312,58312,69212,01312,58312,692
大分郡大分町8,17410,80411,1688,17410,80411,383「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留28、他町村入寄留243を加除せず
北海部郡臼杵町10,73710,13910,10110,73710,13910,091「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
佐賀市25,50626,05526,40125,50626,05526,401
熊本市43,17648,58752,83343,17648,58753,172「各地方郡市戸口表」、「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は熊本市宮内町在営の陸軍第六師団工兵第六大隊(または熊本市古京町在営の陸軍第六師団輜重兵第六大隊)339を託麻郡に加算
葦北郡水俣村12,36112,53812,51612,36112,53812,513「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
北諸県郡都城町11,22711,77611,58711,22711,77611,686「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留92、他町村入寄留191を加除せず
西諸県郡小林村10,10710,63910,63910,10710,63910,618「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留60、他町村入寄留39を加除せず

香川県の高松、丸亀の現住人口は『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』収録の「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」によりますが、これに記載されている人口の範囲がどこまでなのか、さっぱり不明なので、日本帝国民籍戸口表基準での再計算の範囲を出すにせよ、ある程度近い数字になるように想像で範囲を指定するしかありませんでした。

改めて現時点で解決できない問題点としては

1.東京府伊豆七島、小笠原島の町村別人口の情報が完全に欠落している(明治23年版に関しても、大島、三宅島、八丈島、小笠原島内の町村の情報は欠落している)。
2.千葉県印旛郡の入寄留の内、入寄留の陸海軍在営艦者1713人の分配の情報がないため、志津村(陸軍砲兵射的学校)と佐倉町(陸軍第一師団歩兵第二連隊)の現住人口が確定できない(明治23年に関しては[103921]に示すように分配済)。
3.茨城県東茨城郡の出寄留の内、出寄留の囚人及懲治人に関する部分が虫食いのために判別できない箇所があり、一部の町村(石崎村、常磐村、河和田村、長岡村、上野合村、伊勢畑村、磯浜町)の現住人口を正確に算出できない。
【4】.北海道庁釧路郡に所属する町村(真砂町、米町、洲崎町、幣舞町、浦見町、釧路村、桂恋村、鳥取村、昆布森村、跡永賀村、仙鳳趾村)に関し、郡全体での他町村出寄留は4人となっているものの、町村別の他町村出寄留が空欄となっており、これらの町村のいくつかの現住人口を正確に算出できない。

この内、2に関連する入寄留の陸海軍在営艦者に関しては、『日本帝国民籍戸口表』収録の「各地方人口出入表」の方に府県別の集計があり、最終的に『日本帝国民籍戸口表』収録の「各地方郡市戸口表」の現住人口との差分から郡市別の入寄留の陸海軍在営艦者にまではたどり着けます。ところが、この情報と『陸軍省第三回統計年報』と比較したところ、いろいろおかしい点が出てきます。

まず、明治23年版に関しては、[103921]に示すように陸軍・海軍の在営艦者が全て分配されていますが、明治22年版に関しては、色々比較したところ、そもそも海軍の在営艦者が全て通常の入寄留として処理されており、実際に入寄留の陸海軍在営艦者として扱われているのは陸軍分のみです。

改めて明治22年の入寄留の陸海軍在営艦者を郡市区別で分配すると以下のようになります。残念ながら『陸軍省第三回統計年報』には、各部隊の総人員や階級別人員の情報は載っていても、実際に兵営に住んでいる兵員の情報が載っていないので、人口を分割することができません。また新しく発足した憲兵隊の場所の情報など、一部必要な情報が欠落しています。

府県郡区市[入]陸海軍在営艦者推定町村備考
東京府東京市麹町区5,608東京市麹町区代官町陸軍近衛歩兵第一第二連隊
東京市麹町区代官町陸軍近衛歩兵砲兵連隊
東京市麹町区代官町陸軍近衛軍楽隊
東京市麹町区外桜田町陸軍近衛歩兵第三第四連隊
東京市麹町区八代洲町陸軍近衛騎兵大隊
東京市麹町区八代洲町陸軍第一師団騎兵第一大隊
東京市麹町区永楽町一丁目陸軍第一師団輜重兵第一大隊
東京市麹町区内山下町二丁目陸軍第一師団騎兵第一大隊第三中隊
東京市麹町区有楽町二丁目陸軍軍楽基本隊
東京府東京市芝区3?東京憲兵隊?
東京府東京市麻布区1,413東京市麻布区新竜土町陸軍第一師団歩兵第三連隊
東京府東京市赤坂区1,502東京市赤坂区赤坂檜町陸軍第一師団歩兵第一連隊
東京府東京市牛込区2,036東京市牛込区市谷本村町陸軍第一師団砲兵第一連隊
東京府東京市下谷区3東京市下谷区下谷車坂町?東京憲兵隊?
東京府北豊島郡512北豊島郡岩淵町陸軍近衛工兵中隊
北豊島郡岩淵町陸軍第一師団工兵第一大隊
京都府紀伊郡337紀伊郡伏見町陸軍第五師団工兵第四大隊
大阪府大阪市南区4?大阪憲兵隊?
大阪府大阪市東区4,020大阪市東区法円坂町陸軍第四師団歩兵第廿連隊第三大隊
大阪市東区法円坂町陸軍第四師団歩兵第八連隊
大阪市東区法円坂町陸軍第四師団歩兵第廿連隊
大阪市東区法円坂町陸軍第四師団砲兵第四連隊
大阪市東区大手前ノ町陸軍第四師団輜重兵第四大隊
大阪府西成郡112東成郡清堀村陸軍第四師団騎兵第四大隊
清堀村が東成郡に移管されたことを無視し、誤って西成郡に加算してしまったと思われる
神奈川県三浦郡156三浦郡浦賀町陸軍要塞砲兵幹部練習所
兵庫県飾東郡1,568姫路市姫路本町陸軍第四師団歩兵第十連隊
姫路市の発足を無視し、誤って飾東郡に加算してしまったと思われる
長崎県長崎市16長崎市大黒町陸軍第六師団長崎分遺砲兵隊
長崎県下県郡187下県郡厳原村陸軍第六師団対馬警備隊
新潟県北蒲原郡1,520北蒲原郡新発田本村陸軍第二師団歩兵第十六連隊
千葉県東葛飾郡1,301東葛飾郡市川町国府堂陸軍教導団
千葉県印旛郡1,713印旛郡佐倉町佐倉城陸軍第一師団歩兵第二連隊
印旛郡志津村下志津原陸軍砲兵射的学校
群馬県西群馬郡1,478西郡馬郡高崎町陸軍第一師団歩兵第十五連隊
愛知県名古屋市4,319名古屋市南外堀町陸軍第三師団歩兵第六連隊
名古屋市南外堀町陸軍第三師団砲兵第十九連隊
名古屋市南外堀町陸軍第三師団砲兵第三連隊
名古屋市南外堀町陸軍第三師団工兵第三大隊
名古屋市南外堀町陸軍第三師団輜重兵第三大隊
愛知県渥美郡1,543渥美郡豊橋町陸軍第三師団歩兵第七連隊
滋賀県滋賀郡1,507滋賀郡大津町別所村陸軍第四師団歩兵第九連隊
宮城県仙台市2,715仙台市榴ヶ岡陸軍第二師団歩兵第四連隊
仙台市川内陸軍第二師団歩兵第十七連隊
仙台市川内陸軍第二師団砲兵第二連隊
仙台市川内陸軍第五師団工兵第二大隊
仙台市川内陸軍第二師団輜重兵第二大隊
宮城県宮城郡1,565?仙台市榴ヶ岡の陸軍第二師団歩兵第四連隊を宮城郡に誤って加算か?
青森県東津軽郡1,055東津軽郡筒井村陸軍第二師団歩兵第五連隊
石川県金沢市1,555金沢市大手町陸軍第三師団歩兵第七連隊
広島県広島市4,346広島市基町陸軍第五師団歩兵第十一連隊
広島市基町陸軍第五師団歩兵第廿一連隊
広島市基町陸軍第五師団砲兵第五連隊
広島市基町陸軍第五師団輜重兵第五大隊
広島市白鳥北町陸軍第五師団工兵第五大隊
香川県那珂郡1,598那珂郡丸亀(丸亀一番丁~五番丁)陸軍第五師団歩兵第十二連隊
愛媛県松山市1,559松山市堀内町陸軍第五師団歩兵第廿二連隊
福岡県福岡市1,527福岡市福岡城陸軍第六師団歩兵第廿四連隊
福岡県企救郡1,503企救郡小倉町陸軍第六師団兵兵第十四連隊
熊本県熊本市3,665熊本市二之丸町陸軍第六師団歩兵第十三連隊
熊本市二之丸町陸軍第六師団砲兵第六連隊
熊本市山崎町陸軍第六師団歩兵第廿三連隊
熊本市山崎町陸軍第六師団歩兵第廿三連隊第三大隊
熊本市山崎町陸軍第六師団騎兵第六大隊第一中隊
熊本市宮内町陸軍第六師団工兵第六大隊
熊本市古京町陸軍第六師団輜重兵第六大隊
熊本県託麻郡339?熊本市内の宮内町の陸軍第六師団工兵第六大隊か古京町の輜重兵第六大隊を託麻郡に誤って加算か?
沖縄県首里120首里当蔵村陸軍第六師団沖縄分遺歩兵隊
北海道庁亀田郡520亀田郡亀田町陸軍第二師団歩兵第五連隊第三大隊

ここでなぜか仙台市、熊本市で一部の入寄留の陸海軍在営艦者が、わざわざ近隣の郡に分割されている理由が不明です。

仙台市に関しては、明治18年時点で宮城郡南目村(のちに宮城郡原町)と仙台区榴ヶ岡(のちに仙台市)に渡って兵営が造営されていたことが確認できる陸軍第二師団歩兵第四連隊の分の取り扱いの問題と推測されますが(参考:『陸軍省第十一年報』)、熊本市/熊本区分に関しては、託麻郡内には兵営官舎がなく、小銃射的場ぐらいしか確認できず(参考:『陸軍省第十一年報』、何をどう間違えたらこうなるのかさっぱり分かりません。

というわけで、千葉県印旛郡の入寄留の陸海軍在営艦者を含め、明治22年12月31日付の現住人口に関しては、もう少し調査する必要があります。

【訂正】釧路郡の町村の他町村出寄留が空欄となっており、いくつかの町村の現住人口が正確に算出できていない可能性があることを【4】として追記
[104158] 2022年 4月 16日(土)12:01:04【4】訂正年月日
【1】2022年 4月 16日(土)12:11:34
【2】2022年 4月 16日(土)12:23:19
【3】2022年 4月 16日(土)12:38:28
【4】2022年 4月 17日(日)15:39:42
YT さん
明治22年の市区町村別人口まとめ(前半を終えて)
[103711]で書きましたように、総務省統計局図書館所蔵の『町村別戸口表』を使って明治22年12月31日付の市区町村別現住人口を再計算しておりますが、4月に入って全く手が付けらないほど忙しい状況になってしまっています。

現時点で集計を終えたのは、当時の府県順でいうところの東京府から宮城県、沖縄県、北海道、および特殊な離島を含む県(島根県、鹿児島県)までで、宮城県を除く東北、新潟県を除く北陸、島根県を除く中国、南海、長崎県と鹿児島県を除く九州などがまだ残っております。現時点でどうしても解決できない問題として残っているのは、

1.東京府伊豆七島、小笠原島の町村別人口の情報が完全に欠落している。

逆に島根県隠岐、長崎県壱岐・対馬、鹿児島県吐噶喇・奄美、沖縄県、北海道庁に関してはすべて情報が揃い、「官報掲載の現住人口」に相当するものもすべて補うことができました。

2.千葉県印旛郡の入寄留の内、「[入]陸海軍在営艦者」1713人の分配の情報がないため、志津村(陸軍砲兵射的学校)と佐倉町(陸軍第一師団歩兵第二連隊)の現住人口が確定できません(明治23年に関しては[103921]に示すように分配済)。


3.茨城県東茨城郡の出寄留の内、「[出]囚人及懲治人」に関する部分が虫食いのために判別できない箇所があり、一部の町村(石崎村、常磐村、河和田村、長岡村、上野合村、伊勢畑村、磯浜町)の現住人口を正確に算出できません。

なお「官報掲載の現住人口」と『日本帝国民籍戸口表』収録の「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」や「各地方郡市戸口表」などに掲載されいてる、「民籍戸口表掲載の現住人口」(仮称)との間には、以下の式が成立します。

・官報掲載の現住人口=本籍人口-[出]外国行-[出]他府県出寄留-[出]他郡区出寄留-[出]他町村出寄留-[出]失踪+[入]他府県入寄留+[入]他郡区入寄留+[入]他町村入寄留+[入]無籍在監人

・民籍戸口表掲載の現住人口=本籍人口-[出]外国行-[出]他府県出寄留-[出]他郡区出寄留-[出]他町村出寄留-[出]陸海軍在営艦者-[出]囚人及懲治人-[出]失踪+[入]他府県入寄留+[入]他郡区入寄留+[入]他町村入寄留+[入]無籍在監人+[入]有籍囚人及懲治人+[入]陸海軍在営艦者

・民籍戸口表掲載の現住人口=官報掲載の現住人口-[出]陸海軍在営艦者-[出]囚人及懲治人+[入]有籍囚人及懲治人+[入]陸海軍在営艦者

『町村別戸口表』に載っているデータは、本籍人口、[出]外国行、[出]他府県出寄留、[出]他郡区出寄留、[出]他町村出寄留、[出]陸海軍在営艦者、[出]囚人及懲治人、[出]失踪、[入]他府県入寄留、[入]他郡区入寄留、[入]他町村入寄留です。

[入]無籍在監人、[入]有籍囚人及懲治人に関しては、『日本帝国民籍戸口表』収録の「各地方在監有籍者及無籍者人口表」の方に監獄別集計があります。

[入]陸海軍在営艦者に関しては、『日本帝国民籍戸口表』収録の「各地方人口出入表」の方に府県別の集計があるばかりで、最終的には『日本帝国民籍戸口表』収録の「各地方郡市戸口表」の現住人口との差分から郡市別の[入]有籍囚人及懲治人にまではたどり着けます。明治23年に関しては[103921]に示したようにリストが存在します。

官報掲載の現住人口に関しては、離島や沖縄県と北海道を除き、すべて官報に市町村別人口が掲載されており、そのため『町村別戸口表』掲載の[出]外国行、[出]他府県出寄留、[出]他郡区出寄留、[出]他町村出寄留、[出]失踪、[入]他府県入寄留、[入]他郡区入寄留、[入]他町村入寄留、[入]無籍在監人などに虫食いの判別不能箇所があっても、官報掲載の現住人口と郡別の各項目の集計を駆使することで、誤った箇所や虫食いの箇所を補うことができます。

一方民籍戸口表掲載の現住人口に関しては、『日本帝国民籍戸口表』収録の「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」や「各地方郡市戸口表」からわかるのは1万人以上の都市、郡市別人口までで、1万人未満の都市に関しては集計がありあませんので、[出]陸海軍在営艦者と[出]囚人及懲治人に関しては虫食いがあった場合、官報掲載の現住人口から復元することができません。

また[入]陸海軍在営艦者に関しては現時点で町村別人口への分配を記した史料を入手できていませんので、同一郡内に複数の軍の施設があり、いずれも現住人口1万人未満であれば、郡別人口からさらに町村別へ現住人口を分配することができません。


とりあえず、明治22年の現住人口として広く出回っている数値にかなりの計算間違いがあったので、本籍人口、官報掲載の現住人口、日本帝国民籍戸口表の「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」等(香川県、沖縄県、北海道に関しては『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』収録の「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)」により数字を補った)に掲載の現住人口の3種類について、新たに『町村別戸口表』掲載の本籍人口、『町村別戸口表』から再計算した官報掲載基準の現住人口、日本帝国民籍戸口表基準で再計算した現住人口について、数値が正しかった分も含めて以下にまとめてみます。

【注意:まだ手を付けていない東北や西日本の府県の都市については再計算比較をしておりませんので、下の表はまだ完璧ではありません。】

市町村「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」等掲載の本籍人口官報掲載の現住人口「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」等掲載の現住人口町村別戸口表等掲載の本籍人口現住人口(官報基準での再計算)現住人口(日本帝国民籍戸口表基準での再計算)備考
東京市817,2081,378,1321,389,684817,2081,378,1321,389,684
荏原郡品川町12,58617,22117,10812,58617,22117,166「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留44、他町村入寄留102を加除せず
南足立郡千住町11,58414,02214,01011,58414,02214,010
京都市256,452279,165279,792256,452279,165279,792
紀伊郡伏見町16,34917,19717,50316,34917,19717,508「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留39、他町村入寄留44を加除せず
堺市42,95947,88348,16542,95947,88348,165
大阪市327,682473,417476,271327,682473,417476,271
西成郡難波村23,74125,70125,61723,74125,70125,617
西成郡曽根崎村10,55711,19111,16110,55711,19111,161
東成郡天王寺村13,52914,75414,69913,52914,75414,673「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留83、他町村入寄留57を加除せず
東成郡東平野町10,18612,28112,10210,18612,28112,249「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留28、他町村入寄留175を加除せず
三浦郡横須賀町17,08617,17124,3669,80617,17117,086「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は本来の現住人口を本籍人口17,086(男8,474、女8,612)として重複算出
三浦郡浦賀町13,01613,54613,62513,01613,54613,625
足柄下郡小田原町15,14813,85613,84515,14813,85613,845
横浜市65,372122,143121,98565,372122,143121,985
久良岐郡戸太村10,32310,33915,2536,15610,33911,086「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は本来の現住人口を本籍人口10,323(男5,238、女5,085)として重複算出
橘樹郡神奈川町13,50315,88215,38213,50315,88215,859「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
南多摩郡八王子町13,99821,72121,55513,99821,72121,754「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
神戸市89,363134,901135,63989,363134,901135,639
武庫郡西宮町11,60511,28611,22911,60511,28611,229
川辺郡尼ヶ崎町13,65613,62413,58013,65613,62413,592「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は修正前の他郡市出寄留86、他郡市入寄留102で算出
姫路市24,52925,54227,05524,52925,54227,055「各地方郡市戸口表」掲載の現住人口25,487は姫路市姫路本町在営の陸軍第四師団歩兵第十連隊1,568を飾東郡に加算
明石郡明石町19,27019,79019,81919,27019,79019,819
長崎市39,03454,63555,06339,03454,63555,063
南高来郡西有家村10,54410,50110,45410,54410,50110,454
新潟市43,91145,86146,35343,91145,86446,353官報掲載の現住人口は新潟監獄の無籍在監人3を加算せず
北蒲原郡新発田町11,21310,89410,95611,22610,89412,395「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他郡市出寄留623、他郡市入寄留529、陸軍第二師団歩兵第十六連隊1,520を加除せず、また本籍人口11,213(男5,689、女5,524)が異なる
中頸城郡高田町20,20420,12220,19120,20420,12220,091「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
雑太郡相川町12,11313,21313,24912,11313,21313,234「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留38、他町村入寄留23を加除せず
入間郡川越町16,64818,65117,98816,64818,65118,766「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留258、他町村入寄留1,036を加除せず
大里郡熊谷町8,37810,71410,5718,37810,71410,780「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留213、他町村入寄留422を加除せず
千葉郡千葉町14,40821,59922,25914,40821,59922,259
東葛飾郡船橋町11,41911,63911,62611,41911,63911,626
香取郡佐原町10,39711,49511,48110,39711,49511,481
海上郡本銚子町16,98815,58715,55616,98815,58715,556
結城郡結城町9,24310,28310,2719,24310,28310,271
水戸市23,20325,08825,59123,20325,08825,591
那珂郡湊町10,64011,24110,57310,64011,24111,229「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
新治郡石岡町9,22510,49810,4809,22510,49810,480
新治郡土浦町8,78610,61010,7548,78610,61010,825「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留44、他町村入寄留115を加除せず
東群馬郡前橋町21,38727,51228,11521,38727,51228,115
西群馬郡高崎町17,93823,99324,18217,93823,99325,660「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は陸軍第一師団歩兵第十五連隊1,478を加算せず
山田郡桐生町12,56317,59317,50412,56317,59317,557「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留193、他町村入寄留246を加除せず
河内郡宇都宮町23,62929,42430,69823,62929,42430,060「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は修正前の他郡市出寄留383、他町村出寄留152、他郡市入寄留2225、他町村入寄留1138で算出
上都賀郡足尾町1,90111,86911,8151,90111,86911,862「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村入寄留47を加算せず
下都賀郡栃木町15,85119,07319,05515,85119,07319,055
安蘇郡田沼町10,68810,67710,66110,68810,67710,661
足利郡足利町12,16113,93513,92412,16113,93513,924
添上郡奈良町22,00524,27424,45922,00524,27424,459
添下郡郡山町13,33512,82812,80413,33512,82812,804
阿拝郡上野町12,53112,92012,94112,53112,92012,941
津市22,49523,51628,15622,49527,62928,156官報掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
桑名郡桑名町15,69317,91217,89015,69317,91217,890
三重郡四日市町13,77817,38417,53113,77817,38417,531
飯高郡松阪町11,04113,07013,04011,04113,07013,040
度会郡宇治山田町24,64827,12227,36524,64827,12227,365
名古屋市135,126157,505162,767135,126157,505162,767
愛知郡熱田町17,89718,31018,27617,89718,31018,276
中島郡一宮町10,56710,85510,84010,56710,85510,840
海東郡津島町11,34611,62011,59411,34611,62011,594
額田郡岡崎町12,92515,78516,03412,92515,78516,034
渥美郡豊橋町8,79412,37913,9118,79412,37913,911
敷知郡浜松町13,16313,63013,85713,16313,63013,857
静岡市39,26137,72437,66439,26137,72437,664
駿東郡沼津町11,26610,23010,30011,26610,23010,302「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
有渡郡長田村10,47210,24110,21810,47210,24110,218
甲府市22,62230,76331,13522,62230,76331,135
南巨摩郡増穂村10,10710,07510,06710,10710,07510,067
滋賀郡大津町24,44430,92029,94124,44430,92032,365「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留157、他町村入寄留1,074、陸軍第四師団歩兵第九連隊1,507を加除せず
犬上郡彦根町19,73717,92817,56819,73717,92817,973「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留446、他町村入寄留851を加除せず
岐阜市19,19026,23327,08919,19026,23327,089
安八郡大垣町19,32820,10321,64018,23420,10320,063「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)、また本籍人口19,328(男10,281、女9,047)が異なる
大野郡高山町15,38515,42614,77516,02315,42615,426「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)、また本籍人口15,385(男7,632、女7,753)が異なる
小県郡上田町14,31517,03317,24214,31517,03617,196「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留829、他町村入寄留783を加除せず、また官報掲載の現住人口は上田監獄の無籍在監人3を加算せず
下伊那郡飯田町11,45812,48512,54411,45812,48712,544官報掲載の現住人口は飯田監獄の無籍在監人2を加算せず
東筑摩郡松本町25,69125,77329,31922,27225,77425,958「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)、また本籍人口25,691(男13,199、女12,492)が異なり、官報掲載の現住人口は松本監獄の無籍在監人1を加算せず
上水内郡長野町22,90126,34528,98018,57326,35226,810「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)、また本籍人口22,901(男10,565、女12,336)が異なり、官報掲載の現住人口は長野監獄の無籍在監人7を加算せず
仙台市66,35086,50590,23166,35086,50491,796「各地方郡市戸口表」掲載の現住人口は仙台市榴ヶ岡在営の陸軍第二師団歩兵第四連隊1,565を宮城郡に加算、また官報掲載の現住人口は計算間違いか(詳細不明)
牡鹿郡石巻町16,52816,94416,97416,52816,94416,920「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村出寄留150、他町村入寄留96を加除せず
松江市35,65835,70135,93435,65835,70135,934
佐賀市25,50626,05526,40125,50626,05526,401
南諸県郡志布志村16,64316,83916,76416,64316,83916,764
姶良郡加治木村11,08911,18311,10811,08911,18311,108
東囎唹郡末吉村10,44810,53610,52210,44810,53610,522
南大隅郡垂水村13,40713,28413,25213,40713,28413,252
熊毛郡北種子村10,26110,48610,52710,26110,48610,527
鹿児島市57,16257,75057,46557,16257,75057,465
鹿児島郡伊敷村15,32414,58614,51215,32414,58614,512
鹿児島郡吉野村10,62710,40110,30610,62710,40110,306
谿山郡谷山村24,87924,37724,24824,87924,37724,248
給黎郡知覧村14,79114,82414,79314,79114,82414,793
給黎郡喜入村10,1379,8409,78410,1379,8409,784
揖宿郡指宿村14,59514,54814,51714,59514,54814,517
頴娃郡頴娃村19,45419,52819,50019,45419,52819,500
川辺郡川辺村14,04613,71313,68214,04613,71313,682
川辺郡加世田村13,86413,56313,52613,86413,56313,526
川辺郡東加世田村11,65211,47311,44811,65211,47311,448
川辺郡西加世田村13,62813,57313,54713,62813,57313,547
川辺郡東南方村19,01519,05619,00719,01519,05619,007
川辺郡西南方村10,56710,50910,49910,56710,50910,499
日置郡串木野村18,12117,98417,94018,12117,98417,940
日置郡東市来村11,77511,54911,52211,77511,54911,522
阿多郡伊作村15,01714,54814,50715,01714,54814,507
高城郡水引村9,89910,07110,0919,89910,07110,126「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の現住人口は他町村入寄留35を加算せず
出水郡上出水村10,95711,64911,61810,95711,64911,618
出水郡阿久根村14,78414,85214,81414,78414,85214,814
那覇40,21235,94740,22040,212
首里26,20526,44926,10226,205
島尻小禄間切12,10811,85711,92012,108
島尻大里間切10,55210,65110,55210,552
中頭西原間切11,80411,99011,80611,804
中頭中城間切14,85715,08314,85914,857
中頭読谷山間切10,47310,55010,47610,473
中頭美里間切10,85410,86110,85410,854
中頭具志川間切11,22011,22411,22811,228日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は計算間違いか(出入を反転?)
国頭本部間切11,93911,88511,93911,939
国頭今歸仁間切10,49410,43410,49710,494
宮古島砂川間切13,79413,66613,79413,794
函館区33,82152,90933,82152,97952,909
松前郡[福山市街三十四箇町]12,03111,06312,04712,031
檜山郡[江差市街二十六箇町]13,7989,77213,89913,886日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は他町村出寄留109、他町村入寄留190、江差分署の囚人7を加除せず
小樽郡[小樽市街二十九箇町]12,6297,81912,61412,606日本帝国人口静態統計掲載の現住人口は他町村出寄留508、他町村入寄留485を加除せず
札幌区10,02916,87610,02916,87716,876

官報掲載の現住人口が基本間違いが少ないのですが、たまに無籍在監人の追加を忘れていることがあります。あと、府県別に担当者が違うみたいで、岐阜県に関しては例外的に計算間違いが多かったです。

一方の「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」等掲載の現住人口は間違いだらけ!特に神奈川県横須賀町の計算間違いは意図的な水増しを疑ってしまいます。

【用語等を追加修正】
[104019] 2022年 2月 28日(月)04:04:19【1】訂正年月日
【1】2022年 2月 28日(月)11:26:53
YT さん
哀悼
hmtさんのご訃報に接し、心から哀悼の意を表します。

土曜日の内に訃報に気付きましたが、土日なので子供が寝ている間に仕事をするという、個人的に超絶忙しい状況に追い込まれており、なかなか追悼文を書けずにおりました。

hmtさんとの話題の共有は様々ありましたが、とりわけ過去の人口情報の書き込みには頻繁に反応を頂きました。今取り掛かっている明治22年、23年の人口の入力作業も忙しくて滞っており、hmtさんに完成版を見せることができず残念です。

ところで私の本職は実のところ実験化学なのですが、ここに来てhmtさんの本職も化学(そういえば大阪の化学会社に就職したというのを書いていたような記憶が・・・[100051])ということで、とんでもない接点がありました。私はオフ会には一度も参加したことはありませが、専門が近かったとなると、是非ともお会いして話をしたかったです。

またhmtさんは2003年7月に70歳、亡くなった時には88歳だったということは、私の父の3歳上で、小学生の時に教育制度が新制に替わった世代ですね。私の父も専門は完全に理系ですが、とにかく教養を大事にする人で、今でもアマオケに参加して練習をする傍ら、歴史の本を読むという、専門に囚われない広い知識と教養を貪欲に求め続けています。私が専門で理系を選び、趣味で歴史関係にはまっているのは完全に両親の影響ですが、専門外のことまで妥協せずに色々調べ尽くす、hmtさんなどのこの世代の教養人の姿勢は、今後も見習いたいです。

【訂正】教育制度が変わったのは父が小学6年、hmtさんが中学3年の時で、私の父の場合は中学から新制度になりましたが、hmtさん自身は旧制中学で卒業した世代でしょうか?この辺数年の違いで差が出るので、リアルタイムに経験しないと分かりません。
[103922] 2022年 2月 4日(金)19:45:50【2】訂正年月日
【1】2022年 2月 4日(金)20:23:30
【2】2022年 2月 4日(金)20:35:32
YT さん
自己解決と新たな現住人口算出処理の間違いの発見
[103921]の西成郡の兵営に関連して新たな知見が得られたのと共に、『日本帝国民籍戸口表』「各地方郡市戸口表」における現住人口算出処理の間違いを見つけてしまいました。

まず『日本民籍戸口表』「各地方郡市戸口表」と『町村別戸口表』『戸籍表』を突き合わせることにより、大阪府における[入]陸海軍在営艦者の数値は以下の変遷としてまとめられます。

郡区明治22年明治23年明治23年当時の在営隊
大阪市東区4,0203,970歩兵第八連隊・歩兵第二十連隊・砲兵第四連隊・輜重兵第四大隊・軍楽隊・大阪憲兵隊
大阪市南区40
大阪市西区0173騎兵第四大隊
西成郡1120
大阪府全体4,1364,143

明治22年と明治23年で兵営人員に変化はほとんどありません。それ以前の明治20年の段階では、すべての兵営は大阪市東区法円坂、大阪市東区大手前にありましたが、この段階では大阪憲兵隊、騎兵大隊の兵営の記載がありません。調べたところ、大阪憲兵隊(それ以前は東京の憲兵隊の分遣隊扱い)と騎兵第四大隊が大阪府内に発足したのは明治22年。この内大阪憲兵隊に関しては、明治22年に大阪分遣憲兵大隊が大阪憲兵隊へと昇格したことによる名称変更で、その司令部が大阪市南区順慶町に置かれており、明治22年の南区の4人は大阪憲兵隊の在営人員そのものと思われます。

次に騎兵隊について改めて調べたところ、騎兵大隊自体が設置されたのは明治21年のことで(明治21年2月28日の官報)、発足当初は大阪に設置されませでした。第四師団配属となる騎兵第四大隊の場合は、まず東京で訓練され、その後明治22年11月28日にようやく大阪へ移転となったようです。そして遂に明治22年12月6日の官報に以下の文章を見つけました。

○騎兵中隊移転 第四師団騎兵第四大隊第一中隊ハ去月二十八日大阪府東成郡清堀村新築騎兵営ヘ移転セリ(陸軍省)

ん?西成郡ではなくて東成郡?これはどういうこと?

一応明治22年の西成郡と東成郡の出寄留情報は以下の通りです。西成郡川崎村には堀川監獄分署があり、無籍在監人13名と囚人及徴治人3,101人が居住していましたが、その分を除しても差分として112名の陸海軍在営艦者がいることが分かります。一方の東成郡の方は町村戸口表の出入寄留情報だけで現住人口が計算可能で、監獄も兵営地も所在者がゼロです。

出入寄留等西成郡東成郡
本籍人口139,21064,043
[出]外国行1713
[出]他府県出寄留2,406667
[出]他郡市出寄留3,0801,307
[出]他町村出寄留1,297414
[出]陸海軍在営艦者14668
[出]囚人及徴治人273158
[出]失踪2,2641,516
[入]他府県入寄留14,1035,514
[入]他郡市入寄留6,7073,408
[入]他町村入寄留1,297414
[入]無籍在監人130
[入]有籍囚人及徴治人3,1010
[入]陸海軍在営艦者1120
現住人口(「各地方郡市戸口表」掲載)155,06069,236


調べたところ、町村制施行以前は、清堀村は西成郡所属でしたが、明治22年4月1日に清堀村単独で町村制を施行した際、西成郡から東成郡へと所属が変更されたことが判明しました。明治20年の『陸軍省統計年報』を調べたところ、この段階で「陸軍所用見込地」として西成郡清堀村字小橋山・宰相山12115坪を取得しており、この土地が2年後の騎兵営地となったわけです。

よって私の出した結論としては、明治22年12月31日時点で西成郡に加算された兵員112名は、陸軍第四師団騎兵第四大隊第一中隊であって、東成郡堀成村に兵営していたが、「各地方郡市戸口表」の担当者が堀成村は西成郡所轄のままと勘違いして、うっかり西成郡の現住人口に加算してしまったのだろうということです。

「各地方郡市戸口表」における東成郡/西成郡という誤りは、姫路市/飾東郡の誤りに続いて2つ目となります。

なお当初西成区の兵営地として自分が考えていた天保砲台ですが、明治21年には天保山砲台周辺の土地は民間の遊園地となっていますので、明治21年中に軍用地から民間の土地になったと思われます。

【追記】『大阪府全志』の記述により、清堀村内の小字名を「小構山」から「小橋山」に改訂。
[103921] 2022年 2月 3日(木)21:00:45【2】訂正年月日
【1】2022年 2月 3日(木)23:20:55
【2】2022年 2月 4日(金)12:37:59
YT さん
明治23年の陸海軍在営艦者のまとめと、明治22年における陸海軍在営艦者の所在地の問題
[103852]
2.明治22年に関しては入寄留側の陸海軍在営艦者の統計が記載されていません(明治23年に関しては駐屯地毎の陸海軍の統計が存在する)。ただ府県別データは『日本帝国民籍戸口表』「各地方人口出入表」に掲載されていますので、郡市別データと監獄の統計からの加除により、ある程度は推測できます。
と書きましたが、実際には明治22年と明治23年で異なることが多く、大阪府と兵庫県で陸海軍在営艦者の所在地をはっきりとは断定できない問題が発生しました。そこで比較のためにまず以下に、明治23年の戸口表記載の情報から、明治23年末における「陸海軍在営者」62,494人の情報をまとめます。

府県区町村等人員区分
東京府麹町区代官町1,160陸軍近衛歩兵第一連隊
東京府麹町区代官町1,155陸軍近衛歩兵第二連隊
東京府麹町区代官町362陸軍近衛歩兵砲兵連隊
東京府麹町区代官町45陸軍近衛歩兵軍楽隊
東京府麹町区大手町10陸軍東京憲兵隊
東京府(下谷区下谷車坂町)
東京府麹町区元衛町62陸軍乗馬学校
東京府麹町区元衛町12陸軍蹄鉄学舎
東京府麹町区外桜田町999陸軍近衛歩兵第三連隊
東京府麹町区外桜田町997陸軍近衛歩兵第四連隊
東京府麹町区飯田町115陸軍砲兵工科学舎
東京府京橋区築地四丁目8海軍大学校
東京府京橋区築地四丁目33海軍主計学校
東京府芝区芝公園地6海軍水路部
東京府芝区芝赤羽町3海軍造兵廠
東京府芝区品川港354海軍高千穂
東京府芝区品川港333海軍扶桑
東京府芝区品川港307海軍浪速
東京府芝区品川港188海軍高雄
東京府芝区品川港210海軍葛城
東京府芝区品川港202海軍大和
東京府芝区品川港237海軍筑波
東京府芝区品川港54海軍鳳翔
東京府芝区品川港101海軍磐城
東京府麻布区新竜土町1,420陸軍第一師団歩兵第三連隊
東京府赤坂区赤坂檜町1,458陸軍第一師団歩兵第一連隊
東京府赤坂区溜池葵町1海軍参謀部
東京府四谷区千駄ヶ谷村328陸軍第一師団輜重兵第一大隊
東京府牛込区市谷本村町596陸軍第一師団砲兵第一連隊
東京府牛込区市谷本村町377陸軍士官学校
東京府牛込区市谷本村町246陸軍幼年学校
東京府牛込区下戸塚町917陸軍戸山学校
東京府荏原郡目黒村264陸軍近衛騎兵大隊
東京府荏原郡目黒村340陸軍第一師団騎兵第一大隊
東京府北豊島郡岩淵町160陸軍近衛工兵中隊
東京府北豊島郡岩淵町351陸軍第一師団工兵第一大隊
東京府南豊島郡大久保村24陸軍軍楽学舎
京都府紀伊郡伏見町350陸軍第五師団工兵第四大隊
大阪府大阪市西区173陸軍第四師団騎兵第四大隊
大阪府大阪市東区1,467陸軍第四師団歩兵第八連隊
大阪府大阪市東区1,467陸軍第四師団歩兵第二十連隊
大阪府大阪市東区612陸軍第四師団砲兵第四連隊
大阪府大阪市東区323陸軍第四師団輜重兵第四大隊
大阪府大阪市東区37陸軍第四師団軍楽隊
大阪府大阪市東区4陸軍大阪憲兵隊
神奈川県三浦郡浦郷村長浦159海軍横須賀水雷隊
神奈川県三浦郡横須賀町278海軍横須賀鎮守府
神奈川県三浦郡横須賀町1,399海軍横須賀鎮守府海兵団
神奈川県三浦郡横須賀町310海軍龍驤
神奈川県三浦郡横須賀町156海軍八重山
神奈川県三浦郡横須賀町382海軍武蔵
神奈川県三浦郡横須賀町200海軍迅鯨
神奈川県三浦郡横須賀町145海軍天城
神奈川県三浦郡横須賀町183海軍干珠
神奈川県三浦郡横須賀町130海軍愛宕
神奈川県三浦郡横須賀町21海軍筑紫
神奈川県三浦郡横須賀町105海軍赤城
神奈川県三浦郡横須賀町185海軍海門
神奈川県三浦郡浦賀町37陸軍要塞砲兵幹部練習所
神奈川県三浦郡浦賀町414陸軍要塞砲兵第一連隊
神奈川県橘樹郡神奈川町1陸軍神奈川砲台分遣
兵庫県神戸市90海軍麻耶
兵庫県姫路市1,423陸軍第四師団歩兵第十連隊
長崎県長崎市1陸軍長崎砲台分遣
長崎県長崎市88海軍満珠
長崎県長崎市94海軍鳥海
長崎県東彼杵郡佐世保村96海軍佐世保鎮守府
長崎県東彼杵郡佐世保村1,030海軍佐世保鎮守府海兵団
長崎県東彼杵郡佐世保村35海軍佐世保水雷隊
長崎県東彼杵郡佐世保村104海軍日進
長崎県下県郡厳原村201陸軍対馬警備隊
長崎県下県郡竹敷村152海軍春日
新潟県北蒲原郡新発田町1,481陸軍第二師団歩兵第十六連隊
千葉県東葛飾郡市川町1,259陸軍教導団
千葉県印旛郡佐倉町1,474陸軍第一師団歩兵第二連隊
千葉県印旛郡志津村150陸軍砲兵射的学校
群馬県西郡馬郡高崎町1,495陸軍第一師団歩兵第十五連隊
愛知県名古屋市1,463陸軍第三師団歩兵第六連隊
愛知県名古屋市1,479陸軍第三師団砲兵第十九連隊
愛知県名古屋市622陸軍第三師団砲兵第三連隊
愛知県名古屋市352陸軍第三師団工兵第三大隊
愛知県名古屋市321陸軍第三師団輜重兵第三大隊
愛知県名古屋市3陸軍愛知憲兵隊
愛知県渥美郡豊橋町1,464陸軍第三師団歩兵第七連隊
滋賀県滋賀郡大津町1,557陸軍第四師団歩兵第九連隊
宮城県仙台市榴ヶ岡1,487陸軍第二師団歩兵第四連隊
宮城県仙台市川内1,472陸軍第二師団歩兵第十七連隊
宮城県仙台市川内108陸軍第二師団騎兵第二大隊
宮城県仙台市川内597陸軍第二師団砲兵第二連隊
宮城県仙台市川内343陸軍第五師団工兵第五大隊
宮城県仙台市川内333陸軍第二師団輜重兵第二大隊
宮城県仙台市川内3陸軍宮城憲兵隊
青森県東津軽郡青森町1,023陸軍第二師団歩兵第五連隊
石川県金沢市1,471陸軍第三師団歩兵第七連隊
広島県広島市1,431陸軍第五師団歩兵第十一連隊
広島県広島市1,484陸軍第五師団歩兵第二十一連隊
広島県広島市106陸軍第五師団騎兵第五大隊
広島県広島市589陸軍第五師団砲兵第五連隊
広島県広島市344陸軍第五師団工兵第五大隊
広島県広島市330陸軍第五師団輜重兵第五大隊
広島県広島市3陸軍広島憲兵隊
広島県広島市宇品41海軍館山
広島県広島市宇品35海軍石川
広島県安芸郡江田島村120海軍兵学校
広島県安芸郡江田島村181海軍天龍
広島県安芸郡宮原村101海軍呉鎮守府
広島県(安芸郡和庄村)
広島県(安芸郡荘山田村)
広島県安芸郡宮原村1,443海軍呉鎮守府海兵団
山口県赤馬関市396陸軍要塞砲兵第四連隊
香川県那珂郡丸亀町1,456陸軍第五師団歩兵第十二連隊
愛媛県松山市1,494陸軍第五師団歩兵第二十二連隊
福岡県企救郡小倉町1,494陸軍第六師団歩兵第十四連隊
福岡県福岡市1,429陸軍第六師団歩兵第二十四連隊
熊本県熊本市1,480陸軍第六師団歩兵第十三連隊
熊本県熊本市1,162陸軍第六師団歩兵第二十三連隊
熊本県熊本市177陸軍第六師団騎兵第六大隊
熊本県熊本市615陸軍第六師団砲兵第六連隊
熊本県熊本市361陸軍第六師団工兵第六大隊
熊本県熊本市357陸軍第六師団輜重兵第六大隊
熊本県熊本市3熊本憲兵隊
沖縄県首里125陸軍第六師団歩兵第二十三連隊第八中隊
北海道庁函館区493陸軍第二師団歩兵第五連隊分遺隊
日本国内合計53,194陸軍
日本国内合計9,300海軍
外国行英国129海軍千代田
外国行外国航海中243海軍金剛
外国行外国航海中263海軍天龍
外国行合計635海軍

日清戦争前夜とはいえ、兵営・艦隊に居住する兵員が6万人って案外少ないように感じました。また東京湾の艦隊は「武蔵国品川」に停泊していますが、人口統計上はすべて東京府芝区として扱われています。また呉鎮守府101名の在営地として宮原村、和庄村、荘山田村、東京憲兵隊10名の在営地として麹町区大手町、下谷区車坂町の地名が列挙されていますが、統計上はそれぞれすべて宮原村、麹町区に集計されているようです。

それはさておき、明治22年末における「陸海軍在営者」の所在地を同定しようとして『町村別戸口表』の寄留情報と突き合わせたところ、『日本帝国民籍戸口表』「各地方郡市戸口表」においては、明治22年末における兵庫県内の「陸海軍在営者」1568人はすべて飾東郡で計上されていることが分かりました。

本籍人口51,586
[出]外国行1
[出]他府県出寄留337
[出]他郡市出寄留855
[出]他町村出寄留108
[出]陸海軍在営艦者80
[出]囚人及徴治人59
[出]失踪1,093
[入]他府県入寄留82
[入]他郡市入寄留311
[入]他町村入寄留108
[入]無籍在監人0
[入]有籍囚人及徴治人0
[入]陸海軍在営艦者1,568
現住人口(「各地方郡市戸口表」掲載)51,122

一方『町村別戸口表』には姫路市など一部市の情報が欠けておりますが、『兵庫県統計書』記載の出入寄留情報と官報掲載の現住人口の情報とを比較することで、『日本帝国民籍戸口表』「各地方郡市戸口表」においては、監獄や兵営の人口が姫路市の現住人口に入っていないことが確認できます。

本籍人口24,529
[出]外国行・他府県郡市出寄留・失踪3,645
[出]陸海軍在営艦者・囚人及懲収人55
[入]他府県郡市入寄留4,653
[入]無籍在監人0
[入]有籍囚人及徴治人0
[入]陸海軍在営艦者0
官報掲載の現住人口25,542
現住人口(「各地方郡市戸口表」掲載)25,487
現住人口(「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載)27,055

ところが同じ『日本帝国民籍戸口表』でも「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」の方では姫路市の現住人口は27,055人となっており、あからさまに軍人1,568人が姫路市の方に計上されています。

なお明治23年の段階では、陸軍第四師団歩兵第十連隊1,423人はすべて姫路市となっております。一方陸軍省統計年報によると、明治20年の段階で大阪鎮台歩兵第十連隊の兵営所在地は「播磨国飾東郡姫路」となっています。一応飾東郡播磨津須賀(17331坪)にも砲台がありますが、ここに1000人規模の兵営を置いたとは思えず、考えられるのは、「各地方郡市戸口表」の作成者が明治22年成立の姫路市を無視し、うっかり「飾東郡姫路」として飾東郡に陸軍第四師団歩兵第十連隊の人口を加算してしまったということでしょう。そうなってくると現住人口算出の上で間違いだらけの「各地方郡市戸口表」([103852][103913]を参照)が、姫路市に関しては正しい処理をしたことになります。

次に明治22年末の大阪市内の現住人口から、[入]陸海軍在営艦者4,136の分布を割りだしたところ、明治23年末とは異なり、大阪市西区には兵員はおらず、大阪市南区と西成郡内に兵員がいることが判明しました【表修正】。

郡区明治22年明治23年
大阪市東区4,0203,970
大阪市南区40
大阪市西区0173
西成郡1120
大阪府全体4,1364,143

明治22年末当時、大阪府南区順慶町に大阪憲兵隊の屯所が置かれていたそうなので、南区の4人は大阪憲兵隊で間違いありません。一方問題なのが西成郡の112名です。大阪四区は10年以上郡から分離しており、明治22年発足の姫路市のように所属郡をそのまま間違えたとは思えません。とりあえず西成郡内で該当しそうなものを探すと、明治20年の段階では西成郡八幡屋新田に天保山砲台(22801坪)が存在します。明治22年当時、砲兵分遺隊として100名程度がこの地に在営していた可能性はあります。ただ明治19年の段階ですと、陸軍省年報によると目標山(=天保砲台)の砲兵分遺衛兵は10名にすぎません。それよりも前だと天王寺の茶臼山にも陸軍関連施設があったようですが、明治20年段階ではその施設は存在しません。海軍だと112名はちょっとした艦船の規模ですが、少なくとも明治22年前後に大阪府内に海軍施設があったようには見えませし、艦船が停泊する軍港もありません。それ以外に陸軍・海軍関連施設が見つからないので、とりあえず112名は大阪府西成郡の天保山砲台にいたと仮定します。

ただここで天保山砲台の所在地を、陸軍省年報や陸軍省統計年報は「西成郡天保町」とせずに「西成郡八幡屋新田」としている点が気になります。八幡屋新田は天保町に隣接する地区で、明治22年以降川南村の大字となります。よって現時点では112名を西成郡川南村の現住人口としてカウントすることにしておりますが、これが正しい見解なのかさっぱり分かりません。明治22年版の陸軍省統計年報を閲覧できたらなら、多少情報が増えるかも知れませんが、現時点ではすぐに閲覧できません。

【漢字色々修正】自分は別に軍隊に造詣が深いわけではないので、艦船の字にまだ間違っている箇所があるかも知れませんが御容赦下さい。
[103913] 2022年 2月 2日(水)00:02:15YT さん
130年以上前の計算間違い発覚
[103910] オーナー グリグリさん

明治初期の市区町村の人口データがある程度纏まったら、ぜひ当サイトにも掲載させてください。

ありがとうございます。そのつもりで頑張ります。

ところで[103852]で指摘した、『日本帝国民籍戸口表』「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」掲載の横須賀町と戸太村の本籍人口、現住人口がおかしい件ですが、あっさり解決しました。

まず横須賀町についてですが、戸籍表の本籍人口9,806人から正しく現住人口を計算すると、

9,806-(8+142+56+437+77+8+140)+(7,118+515+515)=17,086

ん? これは「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」が採用している横須賀町の本籍人口と等しい。つまり

本籍人口9,806→現住人口17,086 が正しい処理であり、それを再び本籍人口に代入して

本籍人口17,086→現住人口24,366

という二重処理をしてしまったという、とんでもない計算間違いを犯していたということになります。すでに明治22年の横須賀町の人口として24,366人(全国49位)が広く知られてしまっていますが、この数字自体が計算間違いに基づく誤りで、実際には全国77位相当の17,086人。

戸太村についてですが、こちらも戸籍表などから正しく現住人口を計算すると

6,156-(5+102+232+37+4+1+89)+(3,108+1,492+37)=10,323

これに戸籍表に載っていない情報である、無籍在監人11人、有籍囚人及懲治人752人を加えることで、正しい現住人口が求まります。

6,156-(5+102+232+37+4+1+89)+(3,108+1,492+37+11+752+0)= 11,086

そう、見ればわかりますが、監獄の人員を加える前の現住人口は、「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」が採用している戸太村の本籍人口と等しい。つまり


本籍人口9,806→現住人口11,086 が正しい処理であり、現住人口の計算の過程で出てくる10,323(監獄人口を加算する前)を再び本籍人口に代入して

本籍人口10,323→現住人口15,253

という二重処理をしてしまったという、こちらも同様の計算間違いを犯していたということになります。

こちらもすでに明治22年の戸太村の人口として15,253人(全国86位)が広く知られてしまっていますが、この数字自体が計算間違いに基づく誤りで、実際には1万人強の村(全国147位相当)だったことになります。

このように、まさかの130年以上前の人口算出の計算間違いが明らかとなりました。これは表作成者のミスなのか、故意の改ざんなのかは分かりません。
[103887] 2022年 1月 22日(土)12:51:05【2】訂正年月日
【1】2022年 1月 22日(土)12:52:54
【2】2022年 1月 22日(土)14:29:11
YT さん
明治22年、明治23年の北海道の市街地の現住人口の計算結果の比較
[103852]に関連した記事です。

明治22年~明治30年の間の都市人口に関しては、『日本帝国民籍戸口表』収録の「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」(明治22年、明治23年に関しては、残念ながらオンラインで閲覧できない)が知られておりますが、掲載されているのは現住1万人以上の市町村のみです。また函館区と札幌区を除く北海道・沖縄・その他島嶼部の町村などは市制・町村制施行前ですので行政が細かく分かれたままでしたが、『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』収録の「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)の方で現住人口1万人以上として一部集計されています。ただ、肝心の市街地の区分は行政上の連合戸長役場等を考慮せず、「~町」という呼称を持つものを適当に集めて計算されており、表に載るかどうかは編集した人の恣意に依存しています。1万人未満に関しては官報に現住人口が掲載されておりますが、こちらも北海道、沖縄、島嶼部の町村については現住人口が割愛されています。

一方総務省統計図書館には「戸籍表 北海道之部 明治19年~28年」という資料がありますが、この資料には明治22年~明治28年の間に関して北海道の各区町村別の本籍人口、出入寄留の詳細が載っておりますので、これを使えば北海道の区町村別現住人口を補完することができるはずです。そこでとりあえず北海道について『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』収録の「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)掲載の明治22年末と明治23年末の本籍人口・現住人口を比較してみました。

都市札幌区(M22)札幌区(M23)函館区(M22)函館区(M23)小樽(M22)小樽(M23)福山(M22)福山(M23)江差(M22)江差(M23)
本籍人口10,02911,70433,82135,1997,81912,53911,06310,7099,7729,810
[出]外国行12812010300
[出]他府県出寄留78434175471615278613681917
[出]他郡市区出寄留1,4256523,7763,945297823535795263272
[出]他町村出寄留00005081,6089497109154
[出]陸海軍在営艦者003230221012126
[出]囚人及懲治人11113834610121186
[出]失踪3181922913666710121715894133
[入]他府県入寄留7,28310,74521,64322,6064,2438,8081,3391,1083,6444,235
[入]他郡市区入寄留2,1033,0762,3442,4821,0911,822429450778886
[入]他町村入寄留00004851,54575167190277
[入]無籍在監人0000000000
[入]有籍囚人及懲治人0000006176
[入]陸海軍在営艦者000493000000
現住人口116,87624,32752,90955,67712,60621,38312,03111,29113,88614,626
現住人口216,87624,32752,90955,67712,62921,44612,05011,22113,80514,503
人口静態統計掲載の現住人口16,87624,32752,90955,67712,62921,38312,03111,29013,79814,620
現住人口3(官報掲載の現住人口に相当)16,88724,33852,97955,24812,61421,39512,04711,31313,89914,632


※小樽は明治22年末と明治23年末では市街地とされている範囲が異なる。明治22年末の小樽は小樽郡量徳町外二十八町のみで計算されており、高島郡内色内町外五町は含まれない。明治23年末の小樽は小樽郡量徳町外三十四町で計算されており、高島郡内色内町外五町を含むが、明治23年新設の小樽郡沙崎町は人口0人ということで戸籍表に記載なし。行政上は小樽郡と高島郡の町村全域が連合戸長役場に相当する郡役所直轄町村の管轄であったが、市街地としては実務上の行政区部を無視して計算されている。
※明治22年末・23年末の福山は松前郡役場直轄町(河原町外三十三町)で計算されており、行政区分と一致している。
※明治22年末・23年末の江差は檜山郡中歌町外二十五町で計算されている。行政上は檜山郡五勝手村を含む檜山郡中歌町外二十六町村全域が連合戸長役場に相当する郡役所直轄町村の管轄であり、市街地としては実務上の行政区分を無視して計算されている。
※現住人口1:他町村出入寄留(同一郡内の異なる町村間での転居)を含め、本籍人口から全ての出入寄留を考慮して計算。本来であれば町村別現住人口はこの方法で計算するのが妥当。
※現住人口2:他町村出入寄留を無視して計算。函館区、札幌区はこの計算で問題なし。
※現住人口3:囚人及懲治人(但し本籍人口に含まれない無籍在監人は考慮する)、陸海軍在営艦者に関する出入寄留を計算に入れない(外国行と失踪は考慮する)。官報掲載の現住人口に相当。

明治22年末は陸軍在営520人が亀田郡(おそらく五稜郭のある亀田村)で集計されているのに対し、明治23年末では陸軍在営493人(第二師団歩兵第五連隊函館分遣隊)がすべて函館区で集計されている点に関しては疑問が若干残りますが、とりあえず函館区・札幌区は同一区内に他町村が存在しないので、他町村出入寄留自体が0となっており、現住人口1=現住人口2=公式の現住人口が成立しています。

一方で小樽市街地は、明治22年末と明治23年末でその範囲が異なる点にも問題があることながら、明治22年末では他町村出入寄留を加除せずに計算、明治23年末では他町村出入寄留を含めて計算と、年度によって計算方法が異なります。

福山は明治22年末、明治23年末ともに他町村出入寄留を加除して計算しておりますが、明治23年末では福山分署(松前郡新荒町)の囚人1人を加えていません(明治22年は囚人6人を加えている)。

江差に関しては、明治22年末は他町村出入寄留の加除を行わなわなかったのに対し、明治23年末は他町村出入寄留の加除を行っています。しかしながらどちらも江差分署(檜山郡豊部内町)の囚人7人または6人を加えていません。

このように概ね明治23年末以降の郡市区未満の行政の現住人口は、同一郡内での他町村出入寄留を含めて計算する方法が確立したのに対し、明治22年末に関しては他町村出入寄留を入れたり入れなかったりといい加減です。さらにほぼ誤差範囲とはいえ、囚人等の人口の加算を忘れているケースがあったりします。

まあ北海道の市街地の現住人口に関しては20年後の再計算だから囚人のカウント忘れは仕方ないかも知れませんが、明治22年分に関しては『日本帝国民籍戸口表』収録の「各地方現住一万人以上市区及町村戸口表」の段階で、他町村出入寄留の加除の規則がいい加減という問題を抱えています。

【誤字修正】【~記載→~掲載】
[103852] 2022年 1月 17日(月)18:39:56【1】訂正年月日
【1】2022年 1月 17日(月)19:13:17
YT さん
明治22年(1889年)の現住人口の再計算、早くも頓挫
長文失礼します。ただ以下の情報は、何名かの方には非常に興味深い情報だと思いますので。

[103711]で明治22年の市区町村別人口を見直すと書きましたが、早々に『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』収録の「各地方現住一万人以上市区町戸口表」と「各地方郡市戸口表」、『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』収録の「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)記載の甲種現住人口の数字が非常にいい加減な計算の上になりたっていることがわかり、行き詰っています。

見直そうと思ったきっかけは、総務省統計図書館所蔵の戸籍表に町村別の外国行、陸海軍在営艦者、囚人及懲治人、失踪等の統計が存在することを見出したからです。これにより、[82295]でも触れていた

さらに「官報による現住人口」を『日本帝国民籍戸口表』記載の現住人口に計算し直すためには、各市町村別で、【外国行・在監行・軍務行・失踪などの出寄留の統計】が必要ですが、自分が知る限りそのような統計は公表されていないので、現状では「官報による現住人口」から人口を修正する術がありません。

という問題が解決し、[68620][68621]のリストを増やすことが可能になるわけです!

しかしながら、いざ計算してみると・・・

1.京都市や神戸市、姫路市、金沢市、その他多くの市、伊豆・小笠原に関してはデータを欠いています。なお『明治二十二年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』の「各地方現住一万人以上市区町戸口表」と「各地方郡市戸口表」とで、姫路市(27,055, 25,487)・金沢市(94,257, 95,812)の人口が異なる点が以前より気になってきましたが、両者の差は入寄留側の陸海軍在営艦者(兵庫県: 1,568; 石川県: 1,555)と一致することに改めて気付きました。しかしながら現住人口自体は、姫路市に関しては「各地方現住一万人以上市区町戸口表」の方が1568人多く、金沢市に関しては「各地方郡市戸口表」の方が1555人多い?この段階でなんかいい加減な処理をしている疑惑が出てきました。

2.明治22年に関しては入寄留側の陸海軍在営艦者の統計が記載されていません(明治23年に関しては駐屯地毎の陸海軍の統計が存在する)。ただ府県別データは『日本帝国民籍戸口表』「各地方人口出入表」に掲載されていますので、郡市別データと監獄の統計からの加除により、ある程度は推測できます。

3.町村の現住人口を計算するにあたり、他町村出入寄留の処理がいい加減!

とりあえず1万人以上の人口を有する東京府・京都府・大阪府・神奈川県の町村で検証しました。[入]無籍在監人、[入]有籍囚人及懲治人は『日本帝国民籍戸口表』「各地方在監有籍者及無籍者人口表」により、[入]陸海軍在営艦者は「各地方人口出入表」等からの推定値です。

その結果官報記載の現住人口は以下の計算式で計算していることがわかりました。

官報記載の現住人口=本籍人口-[出]外国行-[出]他府県出寄留-[出]他郡区出寄留-[出]他町村出寄留-[出]失踪+[入]他府県入寄留+[入]他郡区入寄留+[入]他町村入寄留+[入]無籍在監人

また明治23年以降の日本帝国民籍戸口表記載の現住人口は以下の計算式で計算していることがわかりました。

民籍戸口表記載の現住人口=本籍人口-[出]外国行-[出]他府県出寄留-[出]他郡区出寄留-[出]他町村出寄留-[出]囚人及懲治人-[出]囚人及懲治人-[出]失踪+[入]他府県入寄留+[入]他郡区入寄留+[入]他町村入寄留+[入]無籍在監人+[入]有籍囚人及懲治人+[入]陸海軍在営艦者

【外国行・失踪・無籍在監人】のデータは官報記載の現住人口に織り込み済みであることが判明し、あとは出ていく側の【有籍の囚人及懲治人と陸海軍在営艦者の人口】を減じ、これに各監獄の有籍囚人及懲治人と駐屯地等の陸海軍在営艦者を加えれば、現住人口が求まることになります。しかしながら実際に計算してみると、明治22年に関しては民籍戸口表記載の現】住人口の計算方法がいい加減で、とりあえず半数ぐらいは以下のように他町村出入寄留が計算から除外されているケースが混ざっていることがわかりました。

民籍戸口表記載の現住人口=本籍人口-[出]外国行-[出]他府県出寄留-[出]他郡区出寄留-[出]囚人及懲治人-[出]囚人及懲治人-[出]失踪+[入]他府県入寄留+[入]他郡区入寄留+[入]無籍在監人+[入]有籍囚人及懲治人+[入]陸海軍在営艦者

A. 他町村出入寄留の加除が行われているケース
町村千住町難波村曽根崎村浦賀町小田原町
本籍人口11,58423,74110,55713,01615,148
[出]外国行020210
[出]他府県出寄留1711,179170163876
[出]他郡区出寄留7381,292197640538
[出]他町村出寄留571563344181
[出]陸海軍在営艦者32086520
[出]囚人及懲治人96422127
[出]失踪1131,25914246170
[入]他府県入寄留1,9663,958872959196
[入]他郡区入寄留1,5091,579231542150
[入]他町村入寄留423117332137
[入]無籍在監人00000
[入]有籍囚人及懲治人000016
[入]陸海軍在営艦者0001560
官報記載の現住人口14,02225,70111,19113,54613,856
日本帝国民籍戸口表記載の現住人口14,01025,61711,16113,62513,845

B. 他町村出入寄留の加除が行われていないケース
町村品川町伏見町東平野町天王寺村
本籍人口12,58616,34910,18613,529
[出]外国行3180
[出]他府県出寄留32325312991
[出]他郡区出寄留297343228202
[出]他町村出寄留44393883
[出]陸海軍在営艦者46121213
[出]囚人及懲治人9142068
[出]失踪212202350989
[入]他府県入寄留4,0487571,6141,441
[入]他郡区入寄留1,3648851,0491,092
[入]他町村入寄留1024417557
[入]無籍在監人0000
[入]有籍囚人及懲治人0000
[入]陸海軍在営艦者033700
官報記載の現住人口17,22117,19712,28114,754
日本帝国民籍戸口表記載の現住人口17,10817,50312,10214,699

同じ府県でもこんな具合に異なる現住人口の計算方法が混在しています・・・

C. 他町村出入寄留の加除が行われているが、元となる本籍人口から異なるケース
町村横須賀町戸太村
本籍人口(日本帝国民籍戸口表)17,08610,323
本籍人口(戸籍表)9,8066,156
[出]外国行85
[出]他府県出寄留142102
[出]他郡区出寄留56232
[出]他町村出寄留43737
[出]陸海軍在営艦者774
[出]囚人及懲治人81
[出]失踪14089
[入]他府県入寄留7,1183,108
[入]他郡区入寄留5151,492
[入]他町村入寄留51537
[入]無籍在監人011
[入]有籍囚人及懲治人0752
[入]陸海軍在営艦者00
官報記載の現住人口17,17110,339
日本帝国民籍戸口表記載の現住人口24,36615,253

官報による現住人口は戸籍表の本籍人口からの計算と一致します。『日本帝国民籍戸口表』「各地方現住一万人以上市区町戸口表」記載の現住人口は、『日本帝国民籍戸口表』「各地方現住一万人以上市区町戸口表」記載の本籍人口から戸籍表の出入寄留の加除を行うことで一応同じ数字が求まりますが・・・翌年の現住人口と比較する限り、「各地方現住一万人以上市区町戸口表」の本籍人口・現住人口の方がおかしい。

なお横須賀監獄は横須賀町ではなくて豊島村に存在することを確認しています(明治22年と明治23年のデータで検証済み)。逆に横浜監獄は横浜市ではなくて戸太村にありました。明治23年には横須賀町に3,494人の海軍関係者がいますが、明治22年は陸海軍併せて神奈川県内156人、すべて三浦郡内で、浦賀町の156人で計算が合いますので、明治22年の横須賀町内の[入]陸海軍在営艦者は0人と推測しました。

D. なんか知らないが数字が一致しない・・・
町村神奈川町八王子町
本籍人口13,50313,998
[出]外国行51
[出]他府県出寄留403160
[出]他郡区出寄留1,02996
[出]他町村出寄留152606
[出]陸海軍在営艦者131
[出]囚人及懲治人104
[出]失踪20362
[入]他府県入寄留2,6223,121
[入]他郡区入寄留1,3314,283
[入]他町村入寄留2181,243
[入]無籍在監人02
[入]有籍囚人及懲治人038
[入]陸海軍在営艦者00
官報記載の現住人口15,88221,721
日本帝国民籍戸口表記載の現住人口15,38221,555

八王子町に関しては、官報掲載の現住人口が1人(計算値は21,722人)ずれており、また現住人口が計算値(21,755)と200人ずれていますが、これらは印刷ミスがそのまま残ってしまったのではないかと推測します。神奈川町に関しては官報記載の現住人口は無問題ですが、『日本帝国民籍戸口表』記載の現住人口と計算値(15,859)ではそれなりに大きなずれが生じており、その原因は不明です。監獄や駐屯地があれば、むしろ現住人口は官報掲載の現住人口よりも増えるはずなのに減ってますので、監獄や駐屯地の見落としではありません。

このほか・・・『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』「人口一万人以上ノ市町村現住人口 (自明治十九年末至同四十一年末)に示された北海道の人口の内、江差に関しては、他町村出入寄留の計算を除外したほか、江差分署の有籍囚人及懲治人7人を計算に入れていないが、福山では他町村出入寄留のみならず、ちゃんと福山分署の有籍囚人及懲治人6人を計算に入れている。函館区はちゃんと監獄、駐屯地の人口が加味されている。

というわけで、明治22年の統計は市制施行後の最初の人口統計として非常に重要なのですが、世間で知られている肝心の明治22年の現住人口の計算がいい加減という問題が様々見つかりました。数字自体はむしろ官報掲載の現住人口の方が計算方法が安定していてそれなりに信頼できます。すでに明治22年の現住人口は集計結果がいろいろ引用されており、今更現住人口の計算が結構間違っていたと指摘しても仕方ないし、正直計算し直す気力がなくなりつつあります。現状ではデータがよりしっかり残っていて、徴発物件一覧表に大字別人口まで残っている明治23年(1890年)ベースの方からまとめることになるかも知れません。

【】の部分の言い回しを微修正(有籍の囚人及懲治人の出入寄留は官報掲載の現住人口では無視)
[103711] 2022年 1月 10日(月)20:46:21YT さん
久々の投稿と今後の予定
何というか、色々なことが重なって、こちらのサイトから遠ざかってしまっているYTです。遠ざかってしまった原因としては

1.二人目の子供も生まれ、休日がすっかり子供のための時間になってしまったこと(これが一番大きい)
休日は朝から晩まで一緒に遊び、寝かせつけるとそのまま一緒に寝てしまう・・・ある意味休日を健康的に過ごすことになって、これはこれでいいのでしょうけど、調べものをする上では弊害となっています。

2.雑務の増加
自分は某大学で研究職を務めていますが、微妙に地位が中間管理職的なものとなり、雑務も増えてしまいました。拘束時間が増えることにより、勝手に専門外の調べものをする時間が減ってしまいました。

3.コロナの影響
某大学には豊富な古文書・図書があるのですが、コロナによって特に文系学部の図書室は事前予約を必要とするため、思い立った時に調べものというのができない状況となってしまいました。コロナが収束したと思いきや、この状況は3年目以降も続きそうです。

と、こういう状況が続いてしまっていますが、総務省統計図書館所蔵の戸籍表を元に、明治22年および明治23年の詳しい市区町村別本籍人口、現住人口(官報ベースと日本帝国民籍戸口表ベース)の再計算を今年中に行うことを目標に何とか頑張ります。
[99297] 2020年 3月 26日(木)02:16:20【6】YT さん
足柄郡
[99296] じゃごたろ さん

それは神奈川県の「足柄上郡」「足柄下郡」です。普通「上○○郡」「下○○郡」とか「北○○郡」「南○○郡」となるのが普通ですが、なぜここだけは「上足柄郡」「下足柄郡」とならずに、「足柄上郡」「足柄下郡」となったんでしょうかね?


明治維新の頃であれば、大和国には葛上(かつらぎのかみ→かつじょう)郡・葛下(かつらぎのしも→かつげ)郡、城上(しきのかみ→しきじょう)郡・城下(しきのしも→しきげ)郡、添上(そふのかみ→そえかみ)郡・添下(そふのしも→そえしも)郡、摂津国には島上郡(しまのかみ→しまかみ)、島下(しまのしも→しましも)郡、駿河国には長上(ながのかみ→ながかみ)郡・長下(ながのしも)郡(中世に消滅)があり、また古代には河内に堅上(かたかみ)郡・堅下(かたしも)郡(→大県郡)がありましたので、さほど珍しい名称ではないと思います(特に畿内と東海では一般的?)。ただ、足柄郡の例を除き、明治30年頃までに他はすべて合併等で消滅してしまったので、たまたま足柄上郡・足柄下郡の例が残ってしまったです。

一応『日本歴史地名体系』から解説を引用すると、奈良時代においては足上郡(あしのかみぐん)・足下郡(あしのしもぐん)が存在し、「足上郡」に関しては「続日本紀」霊亀元年(西暦715年)3月25日の条、「足下郡」に関しては正倉院文書の相模国封戸租交易帳(天平7年(西暦735年))にまで用例が遡るそうです。また倭名類聚抄では「足上」と書いて「足辛乃加美(あしがらのかみ)」と訓読させている例がみられることから、足柄上郡・足柄下郡の呼称も古代に遡り、郡名の起源は足下郡に属する郷の足柄「阿之加良(あしのがら)」に由来すると考えられます。「古事記」によると「足柄之坂本」でヤマトタケルが白い鹿に出会い、「常陸風土記」にも「足柄の岳坂」の記述があることから、「足柄」という地名は郡設置以前から存在し、「足柄郡」という呼称も地域名としては存在したが、郡としては最初から二分割されていたようです。

ただ様々な荘園の分割によりいつしか郡が意識されなくなり、平安後期の「更科日記」には「西富郡」という郡名が登場し、さらに後北条氏支配下の戦国時代の相模国は西郡(にしごおり=足柄上郡+足柄下郡に相当)・中郡・東郡・三浦郡・小坂郡(鎌倉郡)の五郡に再編され、「足柄(上・下)郡」は長らく記録から途絶えます。後に江戸時代の正保郷帳編纂の頃になって「足柄上郡」「足柄下郡」の古代に遡る(といっても完全には同じではない)地域区分が復活し、現在に至る、とのことだそうです。

【追記:江戸幕府による古代郡名の復活について】実のところ、郡というものは古代から脈々と伝わったわけではなく、荘園制度によって一度古代の郡域が乱され、そして幾つもの異なる郡へと再編されてしまっているケースが多いのです。江戸幕府は、郷帳・国絵図作成や朱印状の発給を通じて日本の国土を支配する過程で、国→郡→村という階層構造の把握と再編を行い、延喜式・倭名類聚抄に記された古代の郡名と郡域の復活を図りました。その修正の最大のものが寛文4年(1664年)の寛文印知で、正保郷帳記載の郡名や郡域がかなり訂正されています。しかしながら乱れた郡制を完全に正すことは不可能で、郡名を変えず領・庄名をもって郡名に変えざるを得なかったり、郡名を誤ったりと、色々なことが起こっています。例えば安芸国では寛文4年(1664年)古郡名復古の幕命により、安南郡を安芸郡、安北郡を高宮郡、佐東郡を沼田郡、佐西郡を佐伯郡と改めましたが、延喜式・倭名類聚抄や中世の郡域と異なり、豊田郡内の古沼田郡、高田郡内の古高宮郡とは全く違う地域となってしまい、民間ではなお従来の郡名も通用したという、古郡名復古の誤用が起こりました。

なお寛永17年~18年(1640年~1641年)の小田原領検地帳では「西郡」表記、正保年間(1645年~1648年)に作成された相模国の正保国絵図の写本とされる「慶安年間写 相模国国絵図」では「足柄上郡・足柄下郡」表記、万治元年~3年(1658年~1661年)の小田原領検地帳では「足柄上郡・足柄下郡」表記となっており、「足柄上郡・足柄下郡」の復古は正保の頃と思われます。ただし小田原藩領内の検地帳以外の行政文書では「小田原領西筋・中筋・東筋」という区分の方が一般的だったようです。
[99289] 2020年 3月 23日(月)13:29:08【1】YT さん
広島県 甲第137号布達はM.11.11.11.ではなくてM.11.11.1では?
[99259] むっくん さん
[99285] ekinenpyou さん

広島県 甲第137号布達 M11.11.11 M11.11.11

郡区町村編制法 - Wikipediaでの施行日がM11.11.1とあったため、以下の資料類を再確認した。

広島県史. 第1編(左隅)
公文録・明治十二年・第百七十一巻・府県判任官進退録第九(2コマ)

以上より、布達がM11.11.11に出されたという点に少々疑問が生じました。
(絶対にあり得ない話ではないと思いますが・・・)

戦後改訂された版の『広島県史』調べてみましたが、『広島県史 近代現代資料編I』(1974年)の393~394頁によると
八〇 郡区編制 明治一一・一一・一
               〔「広島県報」〕
 県甲第百三十七号
 今般第十七号公布ニ依り、従前之大小区ヲ廃シ別冊之通郡区編制所轄相定メ候条、此旨布達候事
  明治十一年十一月一日
    広島県令藤井勉三代理
           広島県少書記官 平山 靖彦

    郡区編制

|沼田郡 郡役所位置 沼田郡 南下安村
|高宮郡
  但元ト(二・七)大区ヲ所轄ス

 安芸郡 同     海田市
  但元ト三大区ヲ所轄ス

 佐伯郡 同     廿日市
  但元ト四大区並第一大区庚午新開ヲ所轄ス

 山県郡 同     加計村

 高田郡 同     吉田村

 賀茂郡 同     四日市

 豊田郡 同     忠海村

 御調郡 同     尾道

|深津郡 同     深津郡 福山
|沼隈郡

|安那郡
|品治郡 同     芦田郡 府中市村
|芦田郡

|甲奴郡
|世羅郡 同     世羅郡 甲山町
|三谿郡

|三次郡 同     三次郡 上里村
|恵蘇郡

|奴可郡 同     奴可郡 西城町
|三上郡

 神石郡 同     小畑村

 広島区 区役所位置 広島大手筋一丁目
  但元ト一大区(庚午新開ヲ除クノ外)ヲ所轄ス


また『広島県史年表(明治) 明治元年(1868)~明治45 年(1912)』(pdf)(24コマ目)

1878 明治11 戊寅

11- 1大区小区を廃し広島区と22 の郡を置き,15 の郡区役所を置く〔甲137〕。
11- 1広島県,新設の郡区庁の事務分課を庶務・勧業・租税・勧学・出納の5 掛と定める。177
11- 1町村戸長選挙規則制定〔甲138〕。
11- 1福山支庁廃止〔甲144〕。
11- 1区長・学区取締・医務取締・浦役人を廃止〔丙201〕。
11- 1広島左官町の瀬川浅吉,本覚寺の上隣りへ四階楼を新築し,飲食店を開店〔広島新聞10.5〕。

少なくとも『広島県史』(1972年~1984年版)の方では、明治11年11月11日絡みの法令や記述を確認できませんでした。『広島県史』の活字化の過程で元史料(「広島県報」)の記述を写し間違えた可能性は否定できませんが、[99285]でekinenpyouさんが見つけた戦前の『広島県史』の記述と、公文録の記録からすると、広島県 甲第137号布達が出されたのは明治11年11月1日の可能性の方が高いと思います。

【誤字訂正】
[99264] 2020年 3月 17日(火)16:48:20【6】YT さん
長野県のM12.1.4布達は乙第1号布達
[99259] むっくんさん
郡区町村編制法時の各府県布達の状況を詳しくまとめて頂き、ありがとうございます。
読んでいて所々「?」の箇所があったので、その辺についてこちらで調べさせて頂きました。

1.熊本県の郡区

熊本県 甲第5号布達? M12.1.20? M12.1.20?

熊本県 熊本区 甲第5号布達? M12.1.20?~M22.3.31


新熊本市史 史料編 第六巻 近代I』(1997年)の243~247頁収録の「39 〔郡区町村編成〕(抄) 明治12.1.20 布達便覧」により、甲第5号布達、M12.1.20共に間違いないと思います。以下、細かい町丁村名については(中略)と省略して引用しますと:

甲第五号
 今般太政官第十七号布告ニ拠り、従前ノ大小区画ヲ廃シ郡区トナシ、郡区ノ分割及郡区役所ノ位置別冊ノ通相定候条、此旨布達候事。
  明治十二年一月二十日    熊本県令 富岡敬明

熊本区
 役所ヲ飽田郡新町三丁目ニ置キ熊本区役所ト称ス。
  所轄町百十八 内丸印中二ヶ所当時陸軍省所轄、一ヶ所県庁敷地
 細工町一丁目 細工町二丁目 細工町三丁目
(中略)
 新屋敷町 白川町
飽田郡 詫摩郡
 役所ヲ飽田郡春日村ニ置キ飽田詫摩郡役所ト称ス。
  所轄町三 村百三十九(注:明治十二年一月二十五日甲第二十九号二つにより、「村百三十九」を「村百四十」と正誤。)
 上立田村 下立田村 弓削村
(中略)
以下詫摩郡
 本山村 平田村 高江村
(中略)
 鹿帰瀬村 戸島村
     <以下他郡は略>


『新熊本市史』は、現在熊本市の主な境域となっている熊本区・飽田郡・詫摩郡分しか掲載しておりませんが、明治12年1月20日甲第5号布達には郡区の設置と郡区役場の設置がすべて含まれていたことがわかるかと思います。

2.茨城県の郡区

茨城県 丙第123号布達? M11.12.2 茨城郡→東茨城郡、西茨城郡
葛飾郡(茨城県管下)→西葛飾郡
相馬郡(茨城県管下)→北相馬郡


なぜ「?」を残したのか分かりませんが、リンク先の通りM11.12.2の丙第123号布達で間違いないと思います。一応『茨城県史料 = 近代政治社会編 II』(1976年)の76~77頁から「一八 郡役所設置位置」の「丙第百弐拾三号」を引用しますと:

 丙第百弐拾三号
本年太政官第拾七号公布ニ依リ従前ノ大小区画ヲ廃シ郡治分画及郡役所位置左ノ通相定候条此旨布達候事
  明治十一年十二月二日     茨城県令 野村維章
  郡治分画
 常陸国東茨城郡  東茨城郡役所  東茨城郡水戸
 常陸国西茨城郡  西茨城郡役所  西茨城郡笠間町
 常陸国那珂郡   那珂郡役所   那珂郡菅谷村
 常陸国久慈郡   久慈郡役所   久慈郡太田村
 常陸国多賀郡   多賀郡役所   多賀郡高萩村
 常陸国真壁郡   真壁郡役所   真壁郡下館
 常陸国鹿島郡   鹿島郡役所   鹿島郡鉾田村
 常陸国行方郡   行方郡役所   行方郡麻生村
 常陸国新治郡   新治郡役所   新治郡土浦町
 常陸国筑波郡   筑波郡役所   筑波郡谷田部町
 常陸国信太郡   信太
             郡役所  信太郡江戸崎村
 常陸国河内郡   河内
 下総国西葛飾郡  西葛飾
             郡役所  猿島郡境町
 下総国猿島郡   猿島
 下総国結城郡   結城
 下総国岡田郡   岡田郡役所   豊田郡本宗道村
 下総国豊田郡   豊田
 下総国北相馬郡  北相馬郡役所  北相馬郡取手宿
     〔茨城県布達〕


3.新潟県の郡区

新潟県 甲第42号布達? M12.4.28? 蒲原郡→北蒲原郡、中蒲原郡、西蒲原郡、南蒲原郡
魚沼郡→北魚沼郡、南魚沼郡、中魚沼郡
頸城郡→東頸城郡、中頸城郡、西頸城郡

新潟県市町村合併誌 上巻』(1962年)の157頁収録の「甲第四十二號」により、甲第42号布達、M12.4.28共に間違いないと思います。以下、「甲第四十二號」と「甲第四十三號」を引用しますと:

 甲第四十二號
 昨十一年太政官第十七號公布ニ依リ従前ノ大小区ヲ廃シ郡区名称区域別冊之通相定候条此旨布達候事
 明治十二年四月廿八日
                新潟県令 永山盛輝


 甲第四十三號
 今般郡区制定候ニ付郡区役所位置左ノ通リ相定候左番地並開庁日限等追テ相達候迄ハ旧大小区ノ事務従前ノ通都テ旧正副区長ニ於テ取扱候条此旨布達候事
 明治十二年四月廿八日
                新潟県令 永山盛輝
    新潟区     新潟西堀通六番町
    北蒲原郡    新発田町
    中蒲原郡    新津町
    西蒲原郡    巻村
    南蒲原郡    三条町
    三島郡     与板町
    古志郡     長岡町
    北魚沼郡    小千谷町
    南魚沼郡    六日町村
    中魚沼郡    十日町村
    刈羽郡     柏崎町
    東頸城郡    安塚村
    中頸城郡    高田町
    西頸城郡    糸魚川町
    岩船郡     村上町
    雑太郡     
    加茂郡     相川町
    羽茂郡     


同日に甲第42号布達と甲第43号布達が出ており、郡区役所位置は分けて公布したようです。ただ最初に確認した『新潟県史 資料編15 近代三 政治編I』の方では「「県治報知」明治十二年」を典拠とする甲第43号しか収録されていなかったため、非常に混乱しました。困ったことに、『新潟県史 別冊1 年表・索引』の方では、以下のように謎のM12.4.9という数字が登場してしまいます。

1879  明治12.4.9  郡区改正によって、蒲原郡を4郡、魚沼・頸城郡を各3郡、岩船郡、刈羽郡、三島郡、佐渡3郡に分け、新潟に区制を敷く。これにより大区小区制廃止される((6)619)
1879  明治12.4.28  初代郡区長として16人が任命される((6)619)。


ここで「(6)619」というのは同じ新潟県史の通史編6巻の619頁を指しますが、通史編には叙述的な一般通史が記載されているだけで、詳しい日付や典拠までは示されていません。

さらに『新潟県のあゆみ : 概説』(1990年)の方の年表では:
1879  明治12.4.9  郡区改正、1区17郡となる。大区小区制廃止

新潟県百年史 下巻』(1969年)の方の年表では:
明治12(一八七九)  4-9  郡区改正、蒲原郡を四郡に、魚沼・頸城郡を各三郡に分け、新潟に区制を布く。これにより大区小区制廃止(新潟市史)。

ここでM12.4.9というのが古い方の『新潟市史 上下巻』(1934年;1973年に複製版)を典拠としていることが示されましたが(新しい方の『新潟市史』(1990年~)の方では新潟区の成立日を確認できなかった)、これ以上調べる気力が無くなったので放置します【追記2:調べました】。とりあえず『新潟県市町村合併誌』ではM12.4.9の出来事について何も触れていないので、何かしら間違った日付が残ってしまったと思われます。また元々新潟県の郡の区分の方は、あらかじめ事前に決められているものなので、その時の布告を誤って判断してしまった可能性もあります。

4.長野県の郡区


長野県 乙第4号布達? M12.1.4? 佐久郡→南佐久郡、北佐久郡
 高井郡→上高井郡、下高井郡
 水内郡→上水内郡、下水内郡
 筑摩郡→東筑摩郡、西筑摩郡
 安曇郡→南安曇郡、北安曇郡
 伊那郡→上伊那郡、下伊那郡


長野県史 近代史料編 第二巻(二)政治・行政 郡政』(1982年)の27~29頁収録の「一四 明治十二年一月 県令十六郡名称並郡役所位置・所属・町村等制定達」により、「乙第4号布達」ではなくて「乙第1号布達」が正しいと思われます。以下山林反別の情報を(中略)と省略して引用しますと:

乙第一号
 明治十一年第十七号公布ニ依リ、郡町村ヲ編制シ、郡ノ名称及郡役所ノ位置、所属町村別冊ノ通相定候条、此是布達候事
 但 郡役所仮位置ノ箇所ハ、位置未定ノ義ト可相心得事
  明治十二年一月四日     長野県令 楢崎寛直

 (別冊)
 「明治十二年乙第壱号布達
  編制郡町村
     長野県」
南佐久郡     郡役所位置 臼田村
(中略)
北佐久郡     郡役所位置 岩村田町
(中略)
小県郡     郡役所位置 上田町
(中略)
諏訪郡     郡役所位置 上諏訪村
(中略)
小県郡     郡役所位置 上田町
(中略)
上伊那郡     郡役所位置 伊那村
(中略)
下伊那郡     郡役所位置 飯田町
(中略)
西筑摩郡     郡役所位置 福島村
(中略)
東筑摩郡     郡役所位置 北深志町
(中略)
南安曇郡     郡役所位置 豊科村
(中略)
北安曇郡     郡役所位置 大町村
(中略)
更級郡     郡役所位置 塩崎村ノ内篠ノ井駅
(中略)
埴科郡     郡役所位置 屋代町
(中略)
上高井郡     郡役所位置 須坂町
(中略)
下高井郡     郡役所位置 中野町
(中略)
上水内郡     郡役所位置 長野町
(中略)
下水内郡     郡役所位置 飯山町
(中略)
     (『乙号布達綴 明治十二年』 長野市 長野県庁所蔵)


【追記】なお長野県の場合、郡の分割の方は既に明治11年12月10日付で長野県令楢崎寛直が内務卿伊藤博文に宛てた『内務省宛県令十六郡設置認可伺』(庶第486号)の方に詳しい予定が示され、明治11年12月21日付で内務卿伊藤博文が「書面伺之通聞届候事」として印を押したとしています(『長野県史 近代史料編 第二巻(二)政治・行政 郡政』に収録の史料で、典拠は(『公文編冊 官省指令 一 職務之部 知事官房外 明治十一年』長野市 長野県庁所蔵)としている)。つまりあらかじめ県の方で郡区の分割を決定して内務省に提出し、内務省から返事を貰い、改めて布達を出して郡区の分割を正式に公布するという手続きが存在したことになります。よって新潟県の場合は、郡の分割がこれらよりも前に実施されたと誤解するような文書の混入で、明治12年4月9日実施という誤った情報が一部で採択されたものと思われます。

【追記2】『新潟市史 上巻』の608頁に以下の文章があるのを確認しました。

 明治十二年四月九日、郡区改正あり、県下を新潟区・北・中・西・南蒲原郡・三島・古志郡・北・南・中魚沼郡・刈羽郡・東・中・西・頸城郡・岩船郡・佐渡三郡(雑太・加茂・羽茂)の一区十七郡に割ち新潟一円寄居・白山外新田を新潟区となし、新潟町会所を新潟区役所と改め、市中を二百四十一町一村と定めたり。


とあり、どこにも布達等の情報がありません。さらに612頁には

 明治十二年郡区改正に際し、西島屋野島を出来島新田に復帰せしめ、寄居白山外新田を合して、新潟区新潟町と称し、新潟町会所を新潟区役所と改め、四月三十日を以て、改正による処務を開始せり。


とあり、郡区が成立したとされるM12.4.9の日付も、布告のあったM.12.4.28の日付もなく、新潟区自体の都合による業務開始の日時が掲載されているだけです。よって、M12.4.9は根拠の乏しい数字ということで無視して良いでしょう。

【追記3~6】誤字修正、及び新潟県の甲第四十三號布告の文章修正
[99136] 2020年 1月 30日(木)10:47:26YT さん
99134の訂正
[99135] 白桃さん

ということから、「1947年国調時の境域に組み替えた1940年(昭和15年)国調時の小田原の人口」は55,005ということなのでしょうが、なぜ
昭和10年の国勢調査時の酒匂村の人口7,004人中、3,167人分(45.2%)
となっているのか、つまり、「昭和15年の国勢調査時の酒匂村の人口7,376人中・・・」になっていないのか?。
厚かましいお願いで恐縮ですが、この点、おわかりになれば教えてください。

すみません。内容を十分に検証せずに[99134]を投稿してしまいました。正しくは

「昭和15年(1940年)10月1日の国調時の酒匂村の人口7,376人中、3,167人分(42.9%)が小田原市に入った」

ということになります。
[99134] 2020年 1月 30日(木)04:08:59【1】YT さん
酒匂村の人口の約半分
[99133] 白桃さん

お願い
小田原が1940年(昭和15年)に市制施行した際に、【酒匂村の一部】がくっついていますが、それが何人だったかお判りになる方がおられましたらお教えください。


『昭和25年 国勢調査報告 都道府県編 第7巻 その14 神奈川県』収録の「第1表 面積、人口及び人口密度―市・町・村 (大正9年~昭和25年)」の脚注によると、【昭和10年→】昭和15年の国勢調査時の酒匂村の人口【7,004→】7,376人中、3,167人分(【45.2%→】42.9%)が小田原市に入ったようです。

105) 昭和15.2.11. 足柄下郡足柄村を足柄町とする。((15,188) 備考 昭和5 (13,580)、大正14 (12,868)、大正9 (11,945))
115) 昭和15.12.20. 足柄下郡小田原町 (27,860)、足柄町 (16,807)、大窪村 (4,688)、早川村 (2,483) 及び酒匂村の一部 (3,167) をもって小田原市 (計 55,005) を設置。


昭和10昭和5大正14大正9
(備考)小田原町27,74326,10225,33023,014
足柄町105) 参
大窪村4,4463,6443,6663,301
早川村2,4132,2012,2802,296

120) 昭和 17.4.1. 足柄下郡酒匂村を酒匂町とする。((7,376) 備考 昭和10 (7,004) 昭和5 (6,530)、大正14 (6,480)、大正9 (5,536))

【訂正】【】の部分を修正しました。
[99132] 2020年 1月 30日(木)00:33:10【1】YT さん
1944年2月22日人口調査における市部人口について新たな資料
日本占領関係資料の存在を [99122] ekinenpyou さんによって教えてもらいましたので、自分でも色々1944年人口調査の資料を漁ってみたところ、「米国戦略爆撃調査団文書(RG243」に分類されている「Population statistics: Population of cities on I February 1944. Report No. 55a(4)(d), USSBS Index Section 2」にまとめられている1944年2月22日現在の「市」の人口が、1977年出版の『昭和19年 人口調査 集計結果摘要』記載の「市」の人口と異なることに気付きました。

『昭和19年 人口調査 集計結果摘要』では、第2表に「都道府県、市町村及び男女別人口」がまとまっていますが(但し東京都に関しては集計後の原表が、1977年の出版までに何者かによって持ち去られてしまったため、1954年末~1955年始頃の境域で集計されてしまっている([98110]参照))、一部の市町村に関しては「報告もれ等を補正した人口」として、欄外に1,000人単位で修正人口が掲載されています。しかしながら「米国戦略爆撃調査団文書」に収録されていた「Population statistics: Population of cities on I February 1944. Report No. 55a(4)(d), USSBS Index Section 2」の人口は、大垣市を除き概ね『集計結果摘要』記載の人口を上回っていました。以下両者の人口と差分をまとめます。

A人口: 『集計結果摘要』記載人口
A'人口: 『集計結果摘要』記載の「報告もれ等を補正した人口」
B人口: 「米国戦略爆撃調査団文書」「Population statistics: Population of cities on I February 1944. Report No. 55a(4)(d), USSBS Index Section 2」記載人口

市区都府県庁A人口A'人口B人口差分(B-A)
札幌市北海道庁225,842225,981139
旭川市北海道庁92,12092,221101
小樽市北海道庁151,905152,148243
函館市北海道庁196,680197,351671
室蘭市北海道庁124,034124,04915
釧路市北海道庁58,92858,96234
帯広市北海道庁38,03938,06627
北見市北海道庁32,20432,2040
夕張市北海道庁75,01075,0100
岩見沢市北海道庁35,34835,3502
弘前市青森県51,03451,0395
青森市青森県100,077100,09316
八戸市青森県77,90977,9145
盛岡市岩手県90,38490,494110
釜石市岩手県41,25541,2550
宮古市岩手県34,73134,7310
仙台市宮城県261,117264,000264,2773,160
石巻市宮城県35,08735,0870
塩竈市宮城県32,12832,1280
秋田市秋田県97,36197,875514
能代市秋田県39,97539,9750
山形市山形県79,18479,20622
米沢市山形県46,82746,8314
鶴岡市山形県35,19235,1953
酒田市山形県39,18539,1905
福島市福島県47,45647,46610
若松市福島県46,74446,7495
郡山市福島県58,27958,2845
平市福島県28,73128,75625
水戸市茨城県66,08266,0820
日立市茨城県84,69984,6990
土浦市茨城県40,31245,00045,1604,848
宇都宮市栃木県90,14590,788643
足利市栃木県47,71547,7150
栃木市栃木県30,56930,854285
佐野市栃木県42,33442,3340
前橋市群馬県85,00885,386378
高崎市群馬県71,03071,04313
桐生市群馬県77,20577,2050
伊勢崎市群馬県40,45840,4580
川越市埼玉県38,45438,873419
熊谷市埼玉県52,20952,26657
川口市埼玉県99,45099,4500
浦和市埼玉県79,98780,161174
大宮市埼玉県69,93870,771833
千葉市千葉県110,130110,995865
銚子市千葉県62,90262,9020
市川市千葉県69,71169,7110
船橋市千葉県60,76260,7620
館山市千葉県31,07431,349275
木更津市千葉県31,55535,00035,2363,681
松戸市千葉県37,01137,0110
特別区東京都6,558,1616,577,62019,459
八王子市東京都77,47877,694216
立川市東京都51,62455,1443,520
横浜市神奈川県1,019,4661,035,0001,034,74015,274
横須賀市神奈川県298,132334,000333,50535,373
川崎市神奈川県380,919381,458539
平塚市神奈川県47,34650,00050,2192,873
鎌倉市神奈川県43,14843,1568
藤沢市神奈川県52,99254,6641,672
小田原市神奈川県57,51457,751237
新潟市新潟県177,289177,767478
長岡市新潟県67,12167,13918
高田市新潟県29,48229,4842
三条市新潟県36,45336,4530
柏崎市新潟県30,98230,9820
富山市富山県160,537160,58144
高岡市富山県112,818112,8257
金沢市石川県193,560193,812252
七尾市石川県31,26231,2653
小松市石川県52,20652,690484
福井市福井県99,47799,50629
敦賀市福井県30,54430,5440
甲府市山梨県105,001105,528527
長野市長野県77,66978,118449
松本市長野県70,24770,687440
上田市長野県34,52834,5379
岡谷市長野県34,08934,14556
飯田市長野県27,43727,4403
諏訪市長野県29,81629,8193
岐阜市岐阜県174,676175,655979
大垣市岐阜県56,99756,990-7
高山市岐阜県34,41334,4218
多治見市岐阜県30,67530,6750
静岡市静岡県211,666212,151485
浜松市静岡県162,754162,81662
沼津市静岡県57,33258,154822
清水市静岡県77,56577,5650
熱海市静岡県27,39827,40911
三島市静岡県35,83335,8330
富士宮市静岡県32,52532,5250
名古屋市愛知県1,344,1001,349,0001,349,2255,125
豊橋市愛知県141,220141,23515
岡崎市愛知県80,07380,443370
一宮市愛知県66,38066,3800
瀬戸市愛知県39,29239,461169
半田市愛知県60,72160,7210
春日井市愛知県38,40643,00043,2644,858
豊川市愛知県46,81675,00074,86928,053
津市三重県74,39375,6501,257
四日市市三重県114,250116,000116,3792,129
宇治山田市三重県64,79264,80715
松阪市三重県34,17534,1750
桑名市三重県42,92142,9210
上野市三重県31,32931,3290
鈴鹿市三重県55,05960,00059,5104,451
大津市滋賀県65,99566,662667
彦根市滋賀県39,69939,7034
長浜市滋賀県39,18639,1860
京都市京都府964,466965,399933
福知山市京都府30,67630,6760
舞鶴市京都府103,698121,000120,97517,277
大阪市大阪府2,833,3442,843,0002,842,9549,610
堺市大阪府217,939221,000220,8142,875
岸和田市大阪府77,71577,7150
豊中市大阪府43,98543,9850
布施市大阪府132,402132,537135
池田市大阪府36,07336,0730
吹田市大阪府63,92863,9280
泉大津市大阪府26,64126,6410
高槻市大阪府30,58430,5840
貝塚市大阪府40,96940,9690
神戸市兵庫県918,032919,1411,109
姫路市兵庫県102,359103,7331,374
尼崎市兵庫県270,073270,0730
明石市兵庫県78,58578,5850
西宮市兵庫県127,457127,4570
洲本市兵庫県27,59627,60711
飾磨市兵庫県36,68536,6850
芦屋市兵庫県37,76237,7620
伊丹市兵庫県40,70840,7080
相生市兵庫県33,52536,00036,0692,544
奈良市奈良県60,21560,727512
和歌山市和歌山県205,396205,505109
新宮市和歌山県29,71729,7170
海南市和歌山県27,16127,1610
田辺市和歌山県30,73530,78348
鳥取市鳥取県45,44945,4490
米子市鳥取県46,99447,03036
松江市島根県54,28254,791509
浜田市島根県31,48531,4927
出雲市島根県36,26936,2690
岡山市岡山県160,902162,0001,098
倉敷市岡山県38,63138,842211
津山市岡山県39,03739,05518
玉野市岡山県45,02045,134114
広島市広島県336,483343,000343,0346,551
呉市広島県293,632339,000339,27845,646
三原市広島県42,05242,0520
尾道市広島県48,36548,864499
福山市広島県57,49057,4900
下関市山口県206,961207,142181
宇部市山口県124,109124,309200
山口市山口県37,03737,11780
萩市山口県30,96030,9600
徳山市山口県42,16943,4521,283
防府市山口県59,20259,776574
下松市山口県38,16438,1640
岩国市山口県53,67255,1771,505
小野田市山口県51,27651,2760
光市山口県35,36250,00050,44615,084
徳島市徳島県116,734117,218484
高松市香川県107,202107,23735
丸亀市香川県25,67725,69114
坂出市香川県30,47530,4750
松山市愛媛県120,091120,636545
今治市愛媛県54,34154,3509
宇和島市愛媛県51,30651,32014
八幡浜市愛媛県30,69030,6900
新居浜市愛媛県51,60551,6050
西条市愛媛県35,13835,273135
高知市高知県136,699137,103404
福岡市福岡県324,499325,9251,426
若松市福岡県87,97689,7811,805
八幡市福岡県252,662252,6620
戸畑市福岡県82,73182,7310
直方市福岡県42,91942,9190
飯塚市福岡県44,76444,78521
久留米市福岡県92,02092,565545
大牟田市福岡県179,574179,5740
小倉市福岡県184,230192,000192,3688,138
門司市福岡県135,482135,4919
田川市福岡県67,48667,4860
佐賀市佐賀県49,17949,479300
唐津市佐賀県38,88338,8830
長崎市長崎県270,113272,000272,3122,199
佐世保市長崎県241,239265,000265,21823,979
島原市長崎県29,78529,7850
諫早市長崎県45,60748,00047,6432,036
大村市長崎県54,21866,00065,89111,673
熊本市熊本県211,011211,691680
八代市熊本県38,64538,6494
人吉市熊本県32,77232,7720
荒尾市熊本県44,31044,560250
大分市大分県80,00381,7871,784
別府市大分県67,26667,2693
中津市大分県41,09341,10411
日田市大分県36,33736,3370
佐伯市大分県32,96433,176212
宮崎市宮崎県79,32380,164841
都城市宮崎県59,57559,5750
延岡市宮崎県72,56672,5715
鹿児島市鹿児島県189,991190,925934
川内市鹿児島県33,85533,8550
鹿屋市鹿児島県52,14652,1460
那覇市沖縄県66,36366,3630
首里市沖縄県17,96417,9640
豊原市樺太庁42,15142,1510

【註】『集計結果摘要』には東京都武蔵野市(54,249)・三鷹市(36,943)・青梅市(26,927)・府中市(30,003)・昭島市(21,088)の人口の記載があるが、これらは1944年当時は存在しない。また豊原市の人口については[98110]を参照。

以上より「米国戦略爆撃調査団文書」でまとめられた市の人口は、『集計結果摘要』で「報告もれ等を補正した人口」とされているものに近く、調査をまとめた原表に1人単位でさらなる報告漏れ等の補正を加えたものが、「米国戦略爆撃調査団文書」のRG243 55a(4)(d)記載人口で、2000人以上の人口補正が合った場合のみ、「報告もれ等を補正した人口」として『集計結果摘要』の欄外に概数が記載されたと思われます(1977年段階で原表が失われた東京都を除く)。となると、『集計結果摘要』は補正人口に関する情報を大分切り捨てて活字化したことになります。

【追記】なお、日本全国での補正人口については[82202] にまとめた通りで、日本全国で+392,607人、都道府県別では広島県の+67,383人、神奈川県の+64,619人、長崎県の+46,344人、愛知県の+39,545人、東京都の+32,532人などの修正が加えられており、空襲等により一部集計結果が焼失してしまったことに対する補正と思われます。
[99130] 2020年 1月 28日(火)23:08:26YT さん
国勢調査報告書の情報の劣化?
DIDの集計を途中で放置して1年近く過ぎてしまい、ひさびさの書き込みです。

[99122] ekinenpyou さん

上記の詳しい経緯はわかりかねますが、S19.2人口調査における東京35区人口を記した資料は現存しています。

ご紹介ありがとうございます。ただ特別区部の問題は一部解決しても、以下のように多摩地区や島嶼部では分離できない人口情報が残ってしまっています(このほか人口異動を伴う境界変更が色々ありますが、練馬区が分離していなかったりするところから、多分そこまでは考慮されていません)。

集計調査摘要記載の市町村名1944.2.22銃後人口合併年月日1944.2.22当時の市町村
青梅市26,927(1951.4.1)西多摩郡青梅町・霞村・調布村
府中市30,003(1954.4.1)北多摩郡府中町・西府村・多磨村
昭島市21,088(1954.5.1)北多摩郡昭和町・拝島村
南多摩郡町田町19,481(1954.4.1)南多摩郡南村・町田町
三宅村2,615(1946.10.1)神着村・伊豆村・伊ヶ谷村
八丈村6,453(1954.10.1)三根村・樫立村・中之郷村・末吉村・鳥打村

CD収録一覧の6コマ(参考)に
10 都道府県間境界変更一覧
11 市区町村合併情報
とあってそのあたりに記載があるのかもしれませんが、統計表(CD収録)には含まれていないようなので、
冊子媒体付属のCDを確認しなければならないのでしょうか???

題名から察するに、冊子体の『平成27年 国勢調査報告 第1巻 人口・世帯総数』の方で、「参考4 都道府県間の境界変更一覧(大正9年10月2日~平成27年10月1日)」(792頁~801頁)と「参考5 市区町村の変更情報一覧(平成22年10月2日~平成27年10月1日)」(802頁)のことだと思います。この内「参考4 都道府県間の境界変更一覧(大正9年10月2日~平成27年10月1日)」に記入されている平成22年10月2日以降の異動は以下の相模原市~町田市のみです。

年月日移動地域
平成22.12.1神奈川県相模原市の一部(9世帯23人)を町田市に編入
平成22.12.1東京都町田市の一部を相模原市に編入(人口異動なし)
平成25.12.1神奈川県相模原市の一部(4世帯6人)を町田市に編入
平成26.12.1東京都町田市の一部を相模原市に編入(人口異動なし)

また、「参考5 市区町村の変更情報一覧(平成22年10月2日~平成27年10月1日)」の方は、熊本市の区の設置以外、基本的に人口の異動を伴う境界変更の情報が皆無です。

都道府県名実施年月日旧市町村名合併の内容合併、市・町制施行後の状況市区町村コード
岩手県2014.1.1岩手郡滝沢村市制滝沢市03216
2011.9.26東磐井郡藤沢町一関市へ編入一関市(同郡消滅)03209
栃木県2014.4.5下都賀郡岩舟町栃木市へ編入栃木市09203
2011.10.1上都賀郡西方町栃木県へ編入栃木市(同郡消滅)09203
埼玉県2012.10.1南埼玉郡白岡町市制白岡市11246
2011.10.11鳩ケ谷市川口市へ編入川口市11203
千葉県2013.1.1山武郡大網白里町市制大網白里市12239
石川県2011.11.11石川郡野々市町市制野々市市(同郡消滅)17212
愛知県2012.1.4愛知郡長久手町市制長久手市23238
2011.4.1幡豆郡一色町・吉良町・幡豆町西尾市へ編入西尾市(同郡消滅)23213
島根県2011.10.1簸川郡斐川町出雲市へ編入出雲市(同郡消滅)32203
2011.8.1八東郡東出雲町松江市へ編入松江市(同郡消滅)32201
熊本県2012.4.1熊本市政令指定都市熊本市43100
2012.4.1中央区43101
2012.4.1東区43102
2012.4.1西区43103
2012.4.1南区43104
2012.4.1北区43105

総務省統計局の方針が変わったのでしょうか?どうみても境界変更の情報が足りていません!

念のため平成22年度版の「参考6 廃置分合・境界変更・名称一覧」の「(2) 市区町村の境界変更一覧 (平成17年10月2日~平成22年10月1日)」が印刷されている冊子体を確認したところ、『平成22年 国勢調査報告 第1巻 人口・世帯総数』の方に収録されていました。しかしながら今回の平成27年度版では、市区町村の境界変更一覧は1巻に収録されていません。このほか、1巻の内には都道府県ごとに面積や人口集中地区の変更の情報はまとまっていますが、どこからどうみても境界変更の情報が、都道府県単位の場合しか掲載されていません。『人口等基本集計結果』で各都道府県の項目も調べましたが、やはり面積の変更とDIDの変更の情報は載っていても、稲沢市と清須市、貝塚市と泉南郡熊取町、高岡郡中土佐町と四万十町の間の人口異動を伴う境界変更についての情報は全く掲載されていませんでした。

これについては総務省統計局に問い合わせた方が良い案件かも知れません。
[98131] 2019年 7月 21日(日)15:49:46【1】YT さん
北海道の道名について
先日NHKで放送の「永遠のニシパ ~北海道と名付けた男 松浦武四郎~」を見ました。面白かったのですが、途中の時代描写が駆け足で、もう少し3回ぐらいに分割してじっくりとしたドラマ映像化をして欲しかったと思いました。一方で無駄にフィクション描写を増やすくらいなら、ドキュメンタリー番組として作り直して欲しい気もします。

[98123] hmt さん

この資料には、蝦夷地全体を指す「北加伊道」など6つの地名候補は示されていないようです。


いしかり市民カレッジの「第1回「明治維新と北海道~蝦夷地から北海道へ」」に詳しい経緯が載っていますが、北海道の6つの地名候補については、松浦武四郎が明治2年(1869年)旧暦7月17日付で上申した「蝦夷地道名之儀勘弁申上候書付」に掲載されているようです。残念ながら原本の写しは、北海学園大学が北駕文庫として所蔵しており、オンラインで全貌を閲覧できませんが、「北加伊道」部分の意見書については、いしかり市民カレッジのサイトで閲覧ができます。

・「北加伊道」の項には、江戸中期の尾張国の医師・伊藤信民が出版した『参考熱田大神縁起』(文化8年(1811)の「頭書」を引、「加伊」の字を使った理由を、「夷人自呼其国加伊。加伊蓋其地名。其地名加伊、其人鬚長故用蝦夷字。...」と、「夷人」が自らの「国」を「加伊」と呼んでいたから、と記している。
*文久2年(1862)に出版した『天塩日誌』安政4年(1857)6月27日の部分に、現在の音威子府の辺りでアイヌの長老アエトモから「カイとは此国に産れし者の事」という話を聞いた、という話題を紹介している。

⇒武四郎としては、「北加伊道」に、「北のアイヌ民族が暮らす大地」という意味を込めた、と考えられる。

この内、松浦武四郎著『天塩日誌』『参考熱田大神縁起』の該当箇所]は国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能です。

『天塩日誌』には松浦武四郎が音威子府の地に住む長老アエトモから聞いた話として、以下の文章が確認できます。

北蝦夷にてアイノ(蝦夷人の通称)をカイナーと呼しが此山中に来り見るに同じくカイナーと呼けり。・・・右にて考る時は此国はカイと言やらん


ただ、いしかり市民カレッジの講座の解説によると

(1) 実は、「北海道」は既定路線であった?
・水戸藩主徳川斉昭著『北方未来考』に「松前蝦夷、西ハカラフト、東ハシコタン等、北ハ千島カンサツカ迄ヲ北海道と定、新二国名御附二相成」とある。
・新政府役人であった井上石見と三澤揆一郎が慶応4年(1868)に提出した意見書に「蝦夷二嶋の儀は...北海一道を置かせられて至当の御儀と存じ奉り候、是迄、五畿七道の内、北海道の名目がこれ無きは、祖宗の深意、今日を待たせられ候にもこれ有るべきか」とあって、武四郎の提案以前、政府内部では既に道名として「北海道」が候補に上がっていた。
⇒五畿七道に照らせば、「北海道」は、ある意味、自然な名付けとも言える。
(2)決定過程の資料が確認できない。


とあり、本当に松浦武四郎が「ほっかいどう」を決めたのか、単に空気を読んで「ほっかいどう」を提案した形にしたのかは、はっきりしないところがあるようです。いずれにせよ、旧国名や郡名はほぼ松浦武四郎が提案した通りに採用されたようです。

【誤字等の修正】
[98110] 2019年 7月 14日(日)00:23:50YT さん
昭和19年2月22日における、樺太庁の銃後の市町村別現在人口
[97521]を書き込んだ後、仕事が忙しくなって、DIDの再チェックの作業が止まってしまってもう5ヶ月ぐらい経ってしまいました。こういうのは勢いがないと難しいですね。

それはさておき2ヶ月ほど前、人口集中地区関係の調べものをするために新宿区にある総務省第二庁舎にある総務省統計図書館に行った際、長年懸念事案であった、昭和19年人口調査における東京都の人口問題[82202][82278][85612][85625][85700]に関し、「昭和19年人口調査結果原表」をマイクロフィルム化したものをDVD化したものが、総務省図書館にあることに気付き、閲覧しました。

その結果・・・全国の都道府県、市町村の男女別人口表が見事に収録されていることが分かったのですが、肝心の東京都の部分の3頁分が欠落していましました。表には判子で通し番号がなされているので、丁度東京都の市町村別人口の表だけ作成後に紛失してしまったと断定できます。つまり1977年出版の『昭和19年人口調査 集計結果摘要』において、東京都に関しては1955年1月頃の境界によって人口が集計されてしまった原因は、おそらく「昭和19年人口調査結果原表」に通し番号が振られた時期(1949年出版の『昭和15年國勢調査昭和19,20,21年人口調査結果報告摘要』のために整理されたと思われる)から、1977年出版の『昭和19年人口調査 集計結果摘要』のために「昭和19年人口調査結果原表」をマイクロフィルム化した時期までの約30年弱の間に、職員の誰かが東京都の部分の表3頁を抜き去ったまま、返さなかったことが原因と考えられます。

こちらの方は残念な結果でしたが、それとは別に樺太の市町村別人口の表が収録されていることを発見しました。

というわけで、10年前[70223]

樺太の昭和15年調国勢調査人口、昭和19年2月22日調人口調査人口について市町村・大字別人口を調べましたが、どうも総人口(昭和15年10月1日現在人口41万4891人、昭和19年2月22日調現在人口39万1825人)以外の統計は、これまで公表されないという結論に達しました。

と書きましたが、今回新たに昭和19年2月22日調人口調査人口の結果が存在することが分かりました。16年前にニジェガロージェッツさんが、1920年から1935年までの国勢調査時の樺太の大字別人口をまとめられましたが([10790][10885][11105][11247][11285][11305])、今回紹介する1944年2月22日人口調査における市町村別人口は、書籍で公開されていない新しい情報の追加となると思います。

ただ(1) 残念ながら大字別人口の表はない (2) 原表に読めない箇所がある、という問題があります。特に読めない問題は深刻です。多分マイクロフィルム化した際に白黒データとなってしまったため、原表の折れやかすれや汚れが全部一緒の濃淡となってしまったのでしょう。今の技術でならグレースケールで処理できそうなものですが、そこは残念です。特に好仁村と海馬村の部分が読解不能(丁度そこで原表が二つ折りになって保存されていたと推測される)なのですが、何とか総数からの減算で、表の人口を埋めました。

地域総数備考
樺太庁計206,764184,756391,520
(樺太庁計追記)3032305
(追記修正後の樺太庁計人口)207,067184,758391,825
市部計20,95820,90941,867
(市部計追記)2822284
(追記修正後の市部計人口)21,24020,91142,151
郡部計185,806163,847349,653
(郡部計追記)21021
(追記修正後の郡部計人口)185,827163,847349,674
豊原市20,95820,90941,867
(豊原市追記)2822284
(追記修正後の豊原市人口)21,24020,91142,151
豊原支庁48,89845,03393,931
 豊北村2,1081,7743,882
 川上村3,3512,6135,964
 落合町15,36213,38028,742
 栄浜村1,6231,8413,464
 白縫村2,5602,0374,597
 大泊町11,70011,35923,059
 千歳村1,1541,2052,359
 深海村7698091,578
 長浜村1,9791,6153,594
 遠淵村1,0531,0362,089
 知床村1,0971,1422,239
 富内村1,1611,0962,257
 留多加町3,2783,6356,913
 三郷村1,4001,1792,579
 能登呂村303312615
真岡支庁46,39744,58890,985
(真岡支庁追記)21021
(追記修正後の真岡支庁人口)46,41844,58891,006
 本斗町5,6135,67011,283
 内幌町6,1595,24911,408
 好仁村2,8532,3235,176女数読解不能、総数は51*0か51*6
 海馬村297320617男数と総数読解不能、女数320か325か326
 真岡町10,22410,39520,619
 (真岡町追記)21021
 (追記修正後の真岡町人口)10,24510,39520,640
 広地村2,3412,3994,740
 蘭泊村2,9893,0806,069
 清水村2,3811,9084,289
 小能登呂村1,8921,6873,579
 野田町3,4973,4966,993
 泊居町5,1445,23510,379
 名寄村1,4761,5353,011
 久春内村1,5311,2912,822
恵須取支庁55,86344,829100,692
 珍内町6,7555,66112,416
 鵜城村2,3071,8484,155
 恵須取町18,80917,15935,968
 塔路町15,44611,02526,471
 名好町9,0256,79315,818
 西柵丹村3,5212,3435,864
敷香支庁34,64829,39764,045
 元泊村2,6002,3664,966
 帆寄村9836921,675
 知取町7,5937,47715,070女数477→7477に訂正
 敷香村16,79313,81330,606
 内路村2,9252,4885,413
 泊岸村3,2032,0775,280
 散江村5514841,035

上で(追記)と書いたのは、原表に数字が追加で書き込まれている箇所です。おそらく刑務所等に収監された在監人の人数と思われますが(『昭和17年 樺太要覧』によると、豊原市と真岡町に刑務所があって、受刑者合計401人)、これを合計した数字を仮に(追記修正後の人口)として上にまとめました(原表にはこの数字は掲載されていない)。よって[82278]
もっとも豊原市の人口が

男 女 男女合計
20,958 20,909 41,867

となっており、[82202]の樺太市部の人口42,151人と矛盾します。
に関しては、疑問が解決しました。

なお国立公文書館の方には「昭和15年・国勢調査結果原表・第14表(三重県~樺太)」なるものが存在するので、もしかしたらこちらも請求すれば、昭和15年10月1日における樺太庁の市町村別、大字別人口の情報が得られるかも知れません。
[97583] 2019年 3月 22日(金)10:24:37YT さん
Googleマップとゼンリンの契約解除
1ヶ月ほど前から仕事が再び忙しくなり、DIDの再チェックの作業が止まってしまっています。

[97574][97577] ekinenpyou さん
遅ればせながら、分かり易い時系列地図を作成して頂きありがとうございます。

※H27長野県松本市DID1の人口は138,658・面積は30.02が正当など(元データは同市DID1&2合計値を誤記と推測)

手元の『平成27年 我が国の人口集中地区 人口集中地区別人口・境界図』のコピーでは、そもそも松本市DID1の人口は138,658人、面積は30.02 km2と印刷されています。よって国土数値情報ダウンロードサービスの誤入力が原因ですね。

「有効桁数」が1桁に過ぎない、どころか1という数字で割るという行為により1桁目すら怪しいことを考慮すれば、そもそも人口密度が正確に5万人/km2以上だったのかも怪しいのですが
転じて、実態上の面積が0.1km2を下回っていた激レア?な人口集中地区がもしあった場合、
人口密度は5万を大きく上回ることもあるという事ですね・・・

[97521]に示すように、5万人/km2を超えるDIDは過去に10箇所程度しかありません。時間があれば全部検証しますが、例えば一番人口密度が高い、昭和40年の久留米町IのDIDの当時の人口集中地区について、地図から大雑把に面積を求めてみると、大体0.7 km × 0.2 kmの長方形で、総面積は0.14 km2と推定されます。よって、人口密度は8,705/0.14 ≒ 62,179前後となります。人口密度が5万人を切るには、面積が0.1741 km2以上あることが必用ですが、一応該当DIDは0.75 km × 0.22 km = 0.165 km2の長方形にすっぽり入る感じなので、実際に人口密度が5万人を超えたDIDは過去に存在したことは間違いないと思います。

それとは別に、気になったニュースがあります。

「Googleマップが劣化した」 不満の声が相次ぐ ゼンリンとの契約解除で日本地図データを自社製に変更か

なんでもGoogleマップとゼンリンの契約解除により、Googleマップのデータがカーナビの代用品とするには心もとないことになりそうとのこと。それよりも、ここのサイトでのGoogleマップの使用に多少なりとも影響が出るかも知れません。
[97521] 2019年 2月 9日(土)17:54:56【3】YT さん
人口密度5万人/km2以上の人口集中地区の共通点といえば…
[97508] 白桃さん

2.DID人口5,059人の方は、世界的に見ても人口密度が超高かったのです。また、DIDエリア内には世界遺産に登録されているものがあります。

該当人口集中地区は昭和35年において唯一人口密度が5万人/km2を超えていました。しかしながら昭和40年にはこれを上回る、人口密度87,050人/km2という人口集中地区が、現在の東京都東久留米市上の原1丁目~2丁目(東久留米団地)にありました(久留米町第1人口集中地区)。

人口密度5万人/km2を超えた人口集中地区をまとめますと、以下の通りです。

コード上位区分DIDs人口面積人口密度調査年
13-031東京都北多摩郡久留米町I8,7050.187,050昭和40年
22201静岡県静岡市II7,3940.173,940昭和55年
11329埼玉県入間郡日高町5,9230.159,230昭和50年
11219埼玉県上尾市VI5,6350.156,350昭和50年
14109神奈川県横浜市港北区III5,3260.153,260昭和50年
14109神奈川県横浜市港北区III5,2010.152,010昭和55年
11221埼玉県草加市II5,1350.151,350昭和50年
42-012長崎県西彼杵郡高島町II5,0590.150,590昭和35年
27207大阪府高槻市V5,0020.150,020昭和50年

【昭和35年と昭和40年は自治体コード導入前なので、国勢調査報告書記載の通し番号を仮に載せてます。】

これらの共通点といえば・・・要するに面積0.1 km2の人口集中地区です。人口集中地区は人口5,000人以上と定義されていますので、0.1 km2の人口集中地区は即人口密度5万人以上となります。また人口集中地区の面積が小数点以下第2位までとなって以降は人口密度5万人以上の人口集中地区はなくなりました。「有効桁数」が1桁に過ぎない、どころか1という数字で割るという行為により1桁目すら怪しいことを考慮すれば、そもそも人口密度が正確に5万人/km2以上だったのかも怪しいのですが、まあこういう結果となりました。
[97520] 2019年 2月 9日(土)17:32:26【1】YT さん
昭和60年人口集中地区の泉大津市の面積データ
[97507]で昭和55年の人口集中地区の面積データについて、表に記載されていない小数点以下第2位の数字までが人口密度、面積総計の算出に使われているケースをまとめましたが、同様に昭和60年の人口集中地区についても、該当する人口集中地区をまとめました。その結果、

(4)全域が人口集中地区に相当する市区町村の人口密度は,建設省国土地理院の「昭和60年全国都道府県市区町村別面積調」の面積を用いて算出したため個々の数値を計算して得た数値と一致しない。

に該当しない地域であるはずの、大阪府泉大津市についても、なぜか小数点以下第2位までの数字が使われていたことを見出しました。

まず、市区町村の全域が人口集中地区となっている場合の、昭和60年の『我が国の人口集中地区』記載の小数点以下第1位までの面積(面積1)、「全国都道府県市区町村別面積調」記載の小数点以下第2位までの面積(面積2)、およびそれぞれの数字を用いて算出した少数点以下第1位までの人口密度(人口密度1=人口/面積1,人口密度2=人口/面積2)とその差(人口密度1-人口密度2)を、数字に影響が出る連合人口集中地区(特別区部、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、広島市、福岡市)と都道府県(埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、広島県、福岡県)、全国のデータと共に以下にまとめます。実際に『我が国の人口集中地区』に記載されている面積は面積1で、記載されている人口密度は人口密度2であり、人口密度や面積の集計・算出に実際に使われている数字は、小数点以下第2位までの数字です。

コードDIDs人口面積1面積2人口密度1人口密度2人口密度差
00000全国73,344,12110,570.710,570.716,938.46,938.40.0
11000埼玉県4,204,944553.6553.577,595.67,596.0-0.4
11220与野市71,5978.38.288,626.18,647.0-20.9
11223蕨市70,4085.15.0913,805.513,832.6-27.1
11226鳩ヶ谷市55,4246.26.208,939.48,939.40.0
13000東京都11,483,075994.7994.7311,544.311,543.90.4
13100特別区部連合8,354,615597.9597.8913,973.313,973.5-0.2
13101千代田区50,49311.511.524,390.74,383.17.6
13102中央区79,97310.110.057,918.17,957.5-39.4
13103港区194,59120.019.999,729.69,734.4-4.8
13104新宿区332,72218.018.0418,484.618,443.641.0
13105文京区195,87611.411.4417,182.117,122.060.1
13106台東区176,80410.010.0017,680.417,680.40.0
13107墨田区229,98613.813.8216,665.716,641.524.2
13108江東区388,92736.936.8910,540.010,542.9-2.9
13109品川区357,73220.920.9117,116.417,108.28.2
13110目黒区269,16614.414.4118,692.118,679.113.0
13111大田区662,81449.449.4213,417.313,411.95.4
13112世田谷区811,30458.858.8113,797.713,795.32.4
13113渋谷区242,44215.115.1116,055.816,045.110.7
13114中野区335,93615.715.7321,397.221,356.440.8
13115杉並区539,84233.533.5416,114.716,095.519.2
13116豊島区278,45513.013.0121,419.621,403.216.4
13117北区367,57920.620.5517,843.617,887.1-43.5
13118荒川区190,06110.310.3418,452.518,381.171.4
13119板橋区505,55631.931.9015,848.215,848.20.0
13120練馬区587,88747.047.0012,508.212,508.20.0
13121足立区622,64053.353.2511,681.811,692.8-11.0
13122葛飾区419,01733.933.9012,360.412,360.40.0
13123江戸川区514,81248.348.2610,658.610,667.5-8.9
13203武蔵野市138,78311.011.0312,616.612,582.334.3
13204三鷹市166,25216.816.839,896.09,878.317.7
13208調布市191,07121.821.798,764.78,768.7-4.0
13210小金井市104,64211.411.359,179.19,219.6-40.5
13211小平市158,67320.920.857,592.07,610.2-18.2
13214国分寺市95,46711.411.408,374.38,374.30.0
13216田無市71,3316.96.8910,337.810,352.8-15.0
13217保谷市91,5688.88.7710,405.510,441.0-35.5
13219狛江市73,7846.26.1511,900.611,997.4-96.8
13222東久留米市110,07913.012.988,467.68,480.7-13.1
14000神奈川県6,622,947835.2835.187,929.87,930.0-0.2
14100横浜市連合2,673,495289.3289.269,241.39,242.5-1.2
14101鶴見区237,08332.632.567,272.57,281.4-8.9
14103西区78,8586.36.2712,517.112,577.0-59.9
14104中区118,27419.119.126,192.46,185.96.5
14105南区191,57812.512.5115,326.215,314.012.2
14130川崎市連合1,056,101117.1117.129,018.89,017.31.5
14131川崎区193,95432.932.945,895.35,888.17.2
14132幸区137,30610.110.0613,594.713,648.7-54.0
14133中原区183,45514.614.5812,565.412,582.6-17.2
14134高津区152,72616.116.149,486.19,462.623.5
23000愛知県4,336,549714.2714.186,071.96,072.1-0.2
23100名古屋市連合2,008,458253.5253.477,922.97,923.8-0.9
23101千種区163,76218.618.558,804.48,828.1-23.7
23102東区71,5067.77.709,286.59,286.50.0
23103北区175,82717.617.629,990.29,978.811.4
23104西区143,11717.117.108,369.48,369.40.0
23105中村区153,12616.316.319,394.29,388.55.7
23106中区67,2789.59.527,081.97,067.014.9
20107昭和区108,43410.910.929,948.19,929.918.2
23108瑞穂区115,12211.411.3610,098.410,134.0-35.6
23109熱田区65,0218.18.138,027.37,997.729.6
23112南区162,96818.618.568,761.78,780.6-18.9
23341西琵琶島町17,8623.23.215,581.95,564.517.4
26000京都府2,055,488231.6231.598,875.28,875.5-0.3
26100京都市連合1,332,038124.2124.1910,724.910,725.8-0.9
26102上京区92,8977.07.0113,271.013,252.118.9
26104中京区100,0157.27.2413,891.013,814.276.8
26106下京区78,7446.76.7411,752.811,683.169.7
27000大阪府8,127,754824.2824.219,861.49,861.30.1
27100大阪市連合2,635,604211.8211.8412,443.812,441.52.3
27101北区44,5015.55.548,091.18,032.758.4
27102都島区91,9255.95.8615,580.515,686.9-106.4
27103福島区57,4974.74.6812,233.412,285.7-52.3
27104此花区68,98711.111.086,215.06,226.3-11.3
27105東区27,5855.95.924,675.44,659.615.8
27106西区58,1575.35.2710,973.011,035.5-62.5
27107港区92,0338.38.2611,088.311,142.0-53.7
27108大正区82,3309.29.158,948.98,997.8-48.9
27109天王寺区55,9394.74.6811,901.911,952.8-50.9
27110南区34,8073.02.9611,602.311,759.1-156.8
27111浪速区49,0743.83.8312,914.212,813.1101.1
27112大淀区46,7844.54.5110,396.410,373.423.0
27113西淀川区92,41113.113.127,054.37,043.510.8
27114東淀川区170,83113.213.1512,941.712,991.0-49.3
27123淀川区159,98112.712.7112,596.912,587.09.9
27115東成区83,8974.54.5118,643.818,602.441.4
27116生野区162,0588.28.2419,763.219,667.296.0
27117旭区110,1476.16.1118,056.918,027.329.6
27118城東区157,4668.58.4718,525.418,591.0-65.6
27124鶴見区89,3368.18.1011,029.111,029.10.0
27119阿倍野区112,4346.16.0618,431.818,553.5-121.7
27120住吉区162,3529.29.1617,647.017,724.0-77.0
27125住之江区135,92319.319.277,042.67,053.6-11.0
27121東住吉区149,3319.79.6815,394.915,426.8-31.9
27122西成区144,2607.47.4219,494.619,442.052.6
27203豊中市413,21336.636.6011,290.011,290.00.0
27205吹田市348,94836.636.609,534.19,534.10.0
27206泉大津市67,72311.511.475,889.05,904.4-15.4
27209守口市159,40013.113.1312,167.912,140.127.8
27223門真市140,59012.212.2111,523.811,514.39.5
27226藤井寺市65,2528.78.707,500.27,500.20.0
27341忠岡町17,2233.63.564,784.24,837.9-53.7
28000兵庫県3,786,168478.9478.877,906.07,906.5-0.5
28202尼崎市509,11549.549.4710,285.210,291.4-6.2
34000広島県1,650,227269.3269.346,127.86,126.90.9
34100広島市連合781,291103.8103.847,526.97,524.02.9
34101中区135,88314.714.749,243.79,218.725.0
40000福岡県2,988,378478.3478.346,247.96,247.40.5
40130福岡市連合1,033,018127.9127.948,076.88,074.22.6
40133中央区140,70714.814.849,507.29,481.625.6

さて、問題となるのが泉大津市の人口集中地区ですが、[97502]でも書いたように、昭和55年の面積の数字が、昭和60年版でいつの間にか修正されてしまったという曰くつきの人口集中地区です。昭和60年版の『我が国の人口集中地区』に記載の数字をまとめると以下の通りです。

DID人口(S55)人口(S60)増減率(%)面積(S55)面積(S60)人口密度人口%(S55)人口%(S60)面積%(S55)面積%(S60)
206 泉大津市67,43567,7232880.411.011.55,904.499.9100.097.199.5

まず人口集中地区の人口密度5,904.4人/km2から人口集中地区の面積を計算すると、67,723÷5,904.4≒11.46992 km2、つまり面積としては11.47 km2が人口密度の算出に使われています。なお昭和60年の国勢調査報告書記載の泉大津市全域の人口と面積はそれぞれ67,723人、11.53 km2です。よって人口集中地区が占める割合は人口では67,723/67,755≒0.99953、面積では11.47/11.53≒0.99480、つまり%の小数点以下第2位で四捨五入すると100.0%、99.5%となり、『我が国の人口集中地区』の記載とも一致し、全域に占める人口集中地区の割合は、人口の方では全域ではないにも関わらず「100.0%」表記になってしまうのです。なお11.5km2で人口密度を小数点以下第1位まで算出すると5,889.0人/km2となるので、『我が国の人口集中地区』では泉大津市に限り、原則を破って少雨数点以下第2位までの数字を面積の算出に使ったという事実が判明しました。

なお平成2年版の『我が国の人口集中地区』をチェックすると・・・なぜか昭和60年における泉大津市の人口集中地区が全域に占める面積の割合が勝手に100.0%に修正されています。11.47 km2では99.5%、11.5 km2では99.7%となってしまうので、100.0%に該当するのは11.53 km2以外考えられません。ところが人口の方は67,723人のまま修正されていません。

DID人口(H02)人口(S60)増減率(%)面積(H02)面積(S60)人口密度人口%(H02)人口%(S60)面積%(H02)面積%(S60)
206 泉大津市67,03567,723-668.0-1.011.711.55729.5100.0100.0100.0100.0

仮に11.53 km2に後から修正されたとすると、面積が+0.06 km2となり、四捨五入後の大阪府の面積は824.3 km2となっていまいます・・・が、平成2年版以降に記載の昭和60年の大阪府の人口集中地区面積は824.2 km2のままです。よって平成2年版の『我が国の人口集中地区』が、昭和60年における泉大津市の人口集中地区の面積が全域に占める割合に関して誤植をしてしまったと考えるのが妥当です。

まあ泉大津市のケースは、人口集中地区の人口が全域に占める割合が四捨五入の結果100.0%になるという例外的な事態に至った結果、面積の方でも特殊な処理をしたのかも知れませんが、このような特殊例がほかにも出てくるかも知れません。
[97514] 2019年 2月 4日(月)23:22:58【1】YT さん
昭和40年の大阪市連合人口集中地区を構成する区の人口集中地区について
[97513] ekinenpyou さん

[97511]での投稿に関し、色々誤った点を指摘して頂き、大変申し訳ありません。先週の土曜日の昼にまとめた際、その辺のチェックを怠っていました。

参考・S45は全国1003・大阪府62(S50横浜市連合DIDのような集約漏れが原因?) → S55で全国1002・大阪府61

これも昭和55年版で数値を入力していて、昭和45年・昭和50年版で数字が異なることを完全に見落としていました。今調べ直したら、昭和45年版、昭和50年版ともに昭和40年の大阪府のDID数が62、全国が1003となっており、昭和55年版で再修正が行われたようです。

改めて昭和35年と昭和40年のDID数をまとめると以下の通りです。

都道府県S40年版S45・S50年版S55年版以降
全国 (S35)970888891
全国 (S40)108610031002
東京都 (S35)492424
東京都 (S40)563333
神奈川県 (S35)443636
神奈川県 (S40)524343
愛知県 (S35)574646
愛知県 (S40)695656
京都府 (S35)211313
京都府 (S40)261818
大阪府 (S35)634242
大阪府 (S40)826261
兵庫県 (S35)403434
兵庫県 (S40)423636
福岡県 (S35)514851
福岡県 (S40)464242

今となっては大阪市内のどのDIDが、昭和45年、昭和50年版で想定された、昭和40年の連合人口集中地区から抜けてしまったのか不明です。昭和40年の人口集中地区地図を見ると、大阪市を構成する22区の第1となる人口集中地区(城東区I、東住吉区I、およびその他20区の人口集中地区)が明白に連担しており、連担していないのは城東区IIと東住吉区II(八尾市を介して実際には市外から連担している)、東住吉区III、東住吉区IVでした。よってDID数に関しては82-22+1=61となる、昭和55年版以降の数字が正しいです。

【題名等訂正】
[97511] 2019年 2月 2日(土)17:31:03【1】YT さん
昭和35年の北九州市人口集中地区と、昭和50年の横浜市連合人口集中地区に関する問題点
もう少しまとまってから投稿しようと思いましたが、[97510]で白桃さんが「連合人口集中地区」について投稿されたので、改めて表題の件について問題点等を投稿します。

昭和35年の国勢調査で人口集中地区が設置された際、当初同一政令都市(東京都特別区部を含む)で連担していても、区が異なれば異なる人口集中地区が設定されていました。しかしながら昭和45年の国勢調査で編纂された『わが国の人口集中地区』では、「連合人口集中地区」が新たに設置されました。その際、過去の人口集中地区の数についても、

連合人口集中地区は、1人口集中地区として数えた。


との修正が加わり、東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県・福岡県の昭和35年と昭和40年度の人口集中地区数に変更が遡って加えられました。というわけで昭和35年版の『わが国の人口集中地区』、昭和40年度版の『わが国の人口集中地区』と、昭和45年度版以降の『わが国の人口集中地区』を比較すれば、過去の連合人口集中地区を構成する区の数が分かります。

都道府県S35(S35/S40版)S35(S40/S45版)S35(差)S35(S55-H27版)S40(S40版)S35(差)S40(S45-H27版)S40(差)
全国97088882891791086100284
東京都4924252425563323
神奈川県4436836852439
愛知県5746114611695613
京都府2113813826188
大阪府6342214221826121
兵庫県4034634642366
福岡県5148351046424

実のところ、昭和45年以降に再集計された、昭和35年と昭和40年の連合人口集中地区を構成する区の情報は、「わが国/我が国の人口集中地区」シリーズに記載されておりません。しかしながら、上の人口集中地区数の情報と、昭和35年、昭和40年の人口集中地区の地図を比べることにより、以下のように昭和35年、昭和40年の連合人口集中地区の構成が判明します。

昭和35年の連合人口集中地区
DIDs人口 (人)面積 (km2)人口密度 (人/km2)構成DIDs数構成DIDs
特別区部連合8,108,157466.617,377.126千代田区,中央区,港区,新宿区,文京区,台東区,墨田区,江東区,品川区,目黒区,大田区,世田谷区,渋谷区,中野区,杉並区,豊島区,北区,荒川区,板橋区,練馬区,足立区I,足立区II,足立区III,足立区IV,葛飾区,江戸川区
横浜市連合1,015,01087.611,586.99鶴見区,神奈川区,西区,中区,南区,保土ケ谷区I,磯子区,金沢区II,港北区I
名古屋市連合1,446,705128.711,240.912千種区,東区,北区,西区,中村区I,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区I,港区,南区
京都市連合1,137,51578.314,527.79北区,上京区,左京区,中京区,東山区I,下京区,南区,右京区,伏見区I
大阪市連合2,973,635186.515,944.422北区,都島区,福島区,此花区,東区,西区,港区,大正区,天王寺区,南区,浪速区,大淀区,西淀川区,東淀川区,東成区,生野区,旭区,城東区,阿倍野区,住吉区,東住吉区,西成区
神戸市連合944,39750.518,700.97東灘区,灘区,葺合区,生田区,兵庫区,長田区,須磨区
(北九州市連合)696,13466.810,421.24八幡市I,戸畑市,小倉市,門司市


昭和40年の連合人口集中地区
DIDs人口 (人)面積 (km2)人口密度 (人/km2)構成DIDs数構成DIDs
特別区部連合8,762,034507.717,258.324千代田区,中央区,港区,新宿区,文京区,台東区,墨田区,江東区,品川区,目黒区,大田区,世田谷区,渋谷区,中野区,杉並区,豊島区,北区,荒川区,板橋区,練馬区,足立区I,足立区II,葛飾区,江戸川区,(境界未定地域)
横浜市連合1,341,258117.511,415.010鶴見区,神奈川区,西区,中区,南区,保土ケ谷区,磯子区,金沢区,港北区I,戸塚区IV
名古屋市連合1,650,018146.211,286.014千種区I,東区,北区I,北区II,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区I,港区,南区,守山区
京都市連合1,157,39977.214,992.29北区,上京区,左京区,中京区,東山区I,下京区,南区I,右京区I,伏見区I
大阪市連合3,089,450191.216,158.222北区,都島区,福島区,此花区,東区,西区,港区,大正区,天王寺区,南区,浪速区,大淀区,西淀川区,東淀川区,東成区,生野区,旭区,城東区I,阿倍野区,住吉区,東住吉区I,西成区
神戸市連合992,08754.518,203.47東灘区,灘区,葺合区,生田区,兵庫区I,長田区,須磨区
北九州市連合867,88795.69,078.35門司区,小倉区,若松区,八幡市I,戸畑区

さて、上で問題となるのが昭和35年の「北九州市連合人口集中地区」です。昭和45年版の『わが国の人口集中地区』で過去に遡って人口集中地区が設置された際、北九州市に関しては、昭和35年の人口集中地区が設置された市町村数の項目に

昭和38年に北九州市となった若松市,八幡市,戸畑市,小倉市及び門司市はまとめて1市として数えた。


という脚注が入り、更に福岡県の人口集中地区数も51から48へと、3つ減っています。よって北九州市成立前にも関わらず、北九州市連合集中地区が過去に遡って設置され、集計されたことになります。具体的に当時の地図を見ると、八幡市I,戸畑市,小倉市,門司市の4地区が連担しており、若松市は分離していることから、八幡市I,戸畑市,小倉市,門司市の4地区に北九州市連合人口集中地区が設置されたことになるかと思います。ところが昭和55年度版の『我が国の人口集中地区』以降では、上の脚注が消え、さらに福岡県の昭和35年の人口集中地区数が、再び51に戻っています。以上をまとめると

(1) 昭和35年の国勢調査時には、八幡市I,戸畑市,小倉市,門司市の人口集中地区は連担していた。
(2) 昭和45年の国勢調査時に「連合集中地区」という概念が導入された際、昭和35年の八幡市I,戸畑市,小倉市,門司市の人口集中地区に関し、「北九州市連合人口集中地区」という集計がなされた。
(3) 昭和55年の国勢調査時になって、北九州市成立以前にまで「北九州市連合人口集中地区」を設置するのは変だという話になったのか、昭和35年の「北九州市連合人口集中地区」はなかったことになった。

こういう流れがあったと思われます。よって現在において過去の連合人口集中地区を議論する場合、昭和35年の連合人口集中地区は、特別区部・横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市のいわゆる六大都市にのみ、後から設置され、昭和40年の連合人口集中地区は北九州市を含めた七大都市に、後から設置されたとする解釈が正しいと思われます。

さて、昭和45年度から導入された『連合人口集中地区』ですが、昭和45年、昭和50年度版では連合人口集中地区を構成する区の人口集中地区にはアスタリスク(*)がつけられたものの、連合人口集中地区としての人口、面積の集計がなされておらず、連合人口集中地区としての集計がなされたのは昭和55年度版の『我が国の人口集中地区』からです。念のため昭和45年度、昭和50年度版の連合人口集中地区の集計を行ったところ、昭和50年の横浜市連合人口集中地区におかしな点を見出しました。

昭和45年の連合人口集中地区
DIDs人口 (人)面積 (km2)人口密度 (人/km2)構成DIDs数構成DIDs
特別区部連合8,793,123549.316,007.923千代田区,中央区,港区,新宿区,文京区,台東区,墨田区,江東区,品川区,目黒区,大田区,世田谷区,渋谷区,中野区,杉並区,豊島区,北区,荒川区,板橋区,練馬区,足立区,葛飾区,江戸川区,(境界未定地域)
横浜市連合1,809,305192.09,423.513鶴見区,神奈川区,西区,中区,南区,保土ケ谷区,磯子区,金沢区,港北区I,戸塚区I,港南区,旭区,瀬谷区
名古屋市連合1,771,396182.99,685.118千種区I,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区I,昭和区IV,瑞穂区,熱田区,中川区I,中川区II,港区I,港区II,港区III,南区,守山区,緑区I
京都市連合1,194,98490.013,277.69北区,上京区,左京区,中京区,東山区I,下京区,南区I,右京区,伏見区I
大阪市連合2,969,242202.914,634.022北区,都島区,福島区,此花区,東区,西区,港区,大正区,天王寺区,南区,浪速区,大淀区,西淀川区,東淀川区,東成区,生野区,旭区,城東区I,阿倍野区,住吉区,東住吉区,西成区
神戸市連合972,76561.015,947.07東灘区,灘区,葺合区,生田区,兵庫区I,長田区,須磨区
北九州市連合857,409110.17,787.55門司区,小倉区I,若松区,八幡市I,戸畑区

昭和50年の連合人口集中地区
DIDs人口 (人)面積 (km2)人口密度 (人/km2)構成DIDs数構成DIDs
札幌市連合966,057112.18,617.88中央区,北区I,東区I,白石区I,豊平区I,豊平区II,南区I.西区I
特別区部連合8,643,033576.914,981.923千代田区,中央区,港区,新宿区,文京区,台東区,墨田区,江東区,品川区,目黒区,大田区,世田谷区,渋谷区,中野区,杉並区,豊島区,北区,荒川区,板橋区,練馬区,足立区,葛飾区,江戸川区,(境界未定地域)
横浜市連合(修正前)2,106,371227.09,279.214鶴見区,神奈川区I,西区,中区,南区,保土ケ谷区I,保土ケ谷区II,磯子区,金沢区,港北区I,戸塚区I,港南区,旭区,緑区V
横浜市連合(修正後)2,195,811239.59,168.315鶴見区,神奈川区I,西区,中区,南区,保土ケ谷区I,保土ケ谷区II,磯子区,金沢区,港北区I,戸塚区I,港南区,旭区,緑区V,瀬谷区
川崎市連合947,293102.89,214.95川崎区,幸区,中原区,高津区I,多摩区I
名古屋市連合1,903,057221.08,611.121千種区,東区,北区I,北区II,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区I,港区I,港区II,南区,守山区I,守山区II,緑区,名東区I,名東区II,天白区I,天白区III
京都市連合1,194,276100.611,871.510北区,上京区,左京区,中京区,東山区II,下京区,南区I,南区II,右京区,伏見区I
大阪市連合2,778,268206.213,473.726北区,都島区,福島区,此花区,東区,西区,港区,大正区,天王寺区,南区,浪速区,大淀区,西淀川区,東淀川区,東成区,生野区,旭区,城東区,阿倍野区,住吉区,東住吉区,西成区,淀川区,鶴見区,住之江区,平野区
神戸市連合908,74367.613,442.97東灘区,灘区,葺合区,生田区,兵庫区,長田区,須磨区I
北九州市連合880,031127.76,891.47門司区,若松区,戸畑区,小倉北区,小倉南区I,八幡東区,八幡西区
福岡市連合852,862104.08,200.65東区,博多区,中央区,南区,西区I

上の表は基本的に*印のついた人口集中地区のみを合算して算出した値なのですが、これを人口集中地区の地図と比較すると、昭和50年の横浜市におかしな点がありました。

昭和50年(1975年)の横浜市瀬谷区周辺の人口集中地区地図(背景の地図は現在のもので、上に昭和50年の人口数中地区のShapeFileを張り付けたもの)をこちらにアップロードしましたが、昭和50年の横浜市瀬谷区の人口集中地区はどうみても隣接する旭区の人口集中地区と連担しているにも関わらず、『我が国の人口集中地区』の表では連合人口集中地区に含まれていません(アスタリスク(*)の表記がない)。瀬谷区は昭和45年の段階でがっつり長い接線を通じて旭区と連担しており(さらに前の昭和40年の戸塚区第4人口集中地区~保土ケ谷区の時代から連担している)、これが別個の人口集中地区されることが変なのです。

また昭和50年の神奈川県の人口集中地区の数の集計は52とあるのに対し、連合集中地区を構成する人口集中郁を全部別個の人口集中地区として数えた場合、その合計は70となります。川崎市連合人口集中地区を構成する人口集中地区が5、横浜市連合人口集中地区を構成する人口集中地区が14とすると、連合人口集中地区を1個として数えた場合の神奈川県人口集中地区の数は70-4-13=53となり、合計が合いません。この52という数字は平成27年度版の『我が国の人口集中地区』でも取り消されずに採用されている数字です。

以上から、昭和50年度版の『我が国の人口集中地区』において、「正誤表」からは記載が漏れてしまったものの、昭和50年の横浜市連合人口集中地区は実際には横浜市瀬谷区人口集中地区を含むものとして集計するのが正しく、瀬谷区の項目から誤ってアスタリスク(*)が欠落してしまったと判断しました。

なお、昭和35年~昭和45年の連合人口集中地区に関しては、wikipediaの「人口集中地区」の項目で誰かが(私ではありません)集計した結果が載っております。ここに記載の数値はほぼ私の集計と同じで、昭和35年の北九州市連合人口集中地区は設置しない点も同じですが、昭和55年の横浜市連合人口集中地区の方は瀬谷区を除いた数値を採用しています。

【リンク等を修正】
[97507] 2019年 1月 29日(火)23:52:17【1】YT さん
昭和55年人口集中地区の面積データの、表に記載されていない小数点以下第2位の数字について
[97506] ekinenpyou さん

どっとうpろだ.orgにアップロードされた画像の閲覧(参照)可能期間は恐らくかなり短いので、
(掲示板のログなどで)画像参照用として使うのはあまり適さないかもしれません。

御指摘ありがとうございます。手軽に直接リンクできるサイトで、まあ1ヶ月程度保存されていれば良いかぐらいの気持ちで使ったのですが、最後に作成したファイル以外全部消えてしまうとは思いませんでした。まあソフトの使い方の練習も兼ねていたので、重要な箇所に関してはいずれファイルを作成し直すと思います。

それはさておき[97502]で少し触れました、昭和55年の『我が国の人口集中地区』に記載の面積について検討した内容を以下まとめます。

人口集中地区の定義まわりは大体2回の調査ごとに細かい改訂が行われおり、昭和35年の回では1年前の調査で人口集中地区を設定していたのに対し、昭和45年の回からは1年前の調査で人口集中地区を設定することを止め([80928]参照)、準人口集中地区と連合人口集中地区の概念が導入され、さらに昭和55年の回からは面積に関して大きな改訂がなされました。

実のところ昭和55年の[『我が国の人口集中地区』]に記載されている面積の説明は、ほぼ昭和50年の『我が国の人口集中地区』に記載されている面積の説明と同じで:

2 面積
(1) 人口集中地区の面積は,原則として,人口集中地区境界原図に基づき,建設省国土地理院発行の5万分の1地形図を基図として作成した人口集中地区面積測定図によりプラニメーターを使用して測定した。ただし,市区町村の全域が人口集中地区に相当する場合は,建設省国土地理院発行の「昭和55年全国都道府県市区町村別面積調」によった。
(2) 人口集中地区に含まれる河川の面積の中に含めたが,港湾に設定された水面調査区の面積は,当該人口集中地区の面積から除外した。
(3) 全国,都道府県及び市区町村の全域面積は,建設省国土地理院発行の「昭和55年全国都道府県市区町村別面積調」によっている。同書では,各面積を小数点以下第2位まで掲載しているが,本書では小数点以下第2位を四捨五入した数値を用いているため,必ずしも個々の数値を合算して得た数値と総数とは一致しない。

これに対して昭和60年版の『我が国の人口集中地区』から、以下の定義が加わりました。

(4) 全域が人口集中地区に相当する市区町村の人口密度は,建設省国土地理院の「昭和60年全国都道府県市区町村別面積調」の面積を用いて算出したため個々の数値を計算して得た数値と一致しない。

つまり人口集中地区の面積は小数点以下第1位までしか示されないが、昭和60年版からは、市区町村の全域が人口集中地区に相当する場合、小数点以下第2位までの数字が載っている「全国都道府県市区町村別面積調」を使うようになったということになります。

しかしながら昭和55年度版の人口密度の数字を詳しく見ると、既に昭和55年度版から、市区町村の全域が人口集中地区に相当する場合、小数点以下第2位までの面積の数字を使って面積を算出していることが分かります。例えば昭和55年度の国勢調査で設定されている人口集中地区の人口と面積、人口密度は、それぞれ69,934,854人、10,014.7 km2、6,983.3人/km2(改訂後の数字、[97502]参照)と記載されていますが、69,934,854人を10,014.7 km2で割って得られる数字は6,983.22...人/km2となり、四捨五入しても6,083.3人/km2になりません。仮に計算に用いた面積が小数点以下第2位で離散したデータであると仮定するなら、10,014.66~10,014.74 km2の範囲では人口密度は6,083.2人/km2となり、人口密度に一致する面積は10,014.65 km2以外ありえないことになります。

以下、市区町村の全域が人口集中地区となっている場合の、昭和55年の『我が国の人口集中地区』記載の小数点以下第1位までの面積(面積1)、「全国都道府県市区町村別面積調」記載の小数点以下第2位までの面積(面積2)、およびそれぞれの数字を用いて算出した少数点以下第1位までの人口密度(人口密度1=人口/面積1,人口密度2=人口/面積2)とその差(人口密度1-人口密度2)を、数字に影響が出る連合人口集中地区(特別区部、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、広島市、福岡市)と都道府県(埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、広島県、福岡県)、全国のデータと共に示します。なお小数点以下第2位の数字がゼロの場合、人口密度に差はなくなりますが、昭和55年当時全域が人口集中地区であると設定された行政地区を示すため、表に残します。実際に『我が国の人口集中地区』に記載されている面積は、人口密度2であり、人口密度や面積の集計・算出に使われた数字は、小数点以下第2位までであることが分かります。


コードDIDs人口面積1面積2人口密度1人口密度2人口密度差
00000全国(改訂前)69,934,85410,015.610,015.556,982.66,982.60.0
00000全国(改訂後)69,934,85410,014.710,014.656,983.26,983.3-0.1
11000埼玉県3,781,440513.9513.877,358.37,358.7-0.4
11220与野市72,3268.38.288,714.08,735.0-21.0
11223蕨市70,8765.15.0913,897.313,924.6-27.3
11226鳩ヶ谷市55,9506.26.209,024.29,024.20.0
13000東京都(改訂前)11,294,147979.5979.4811,530.511,530.8-0.3
13000東京都(改訂後)11,294,147979.4979.3811,531.711,531.9-0.2
13100特別区部連合8,351,893591.9591.9414,110.314,109.40.9
13101千代田区54,80111.511.524,765.34,757.08.3
13102中央区82,70010.110.058,188.18,228.9-40.8
13103港区201,25719.519.4810,320.910,331.5-10.6
13104新宿区343,92818.018.0419,107.119,064.742.4
13105文京区202,35111.411.4417,750.117,688.062.1
13106台東区186,04810.010.0018,604.818,604.80.0
13107墨田区232,79613.813.8216,869.316,844.924.4
13108江東区362,27036.236.2410,007.59,996.411.1
13109品川区346,24720.520.5416,890.116,857.232.9
13110目黒区273,79114.414.4119,013.319,000.113.2
13111大田区661,14748.248.2013,716.713,716.70.0
13112世田谷区797,29258.858.8113,559.413,557.12.3
13113渋谷区247,03515.115.1116,359.916,349.110.8
13114中野区345,73315.715.7322,021.221,979.242.0
13115杉並区542,44933.533.5416,192.516,173.219.3
13116豊島区288,62613.013.0122,202.022,184.917.1
13117北区387,45820.620.5518,808.618,854.4-45.8
13118荒川区198,12610.310.3419,235.519,161.174.4
13119板橋区498,26631.931.9015,619.615,619.60.0
13120練馬区564,15647.047.0012,003.312,003.30.0
13121足立区619,96153.353.2511,631.511,642.5-11.0
13122葛飾区420,18733.933.9012,394.912,394.90.0
13123江戸川区495,23145.145.0610,980.710,990.5-9.8
13203武蔵野市136,91011.011.0312,446.412,412.533.9
13204三鷹市164,52616.816.839,793.29,775.817.4
13208調布市180,54821.821.798,282.08,285.8-3.8
13210小金井市102,45611.411.358,987.49,027.0-39.6
13211小平市154,61020.920.857,397.67,415.3-17.7
13214国分寺市91,01011.411.407,983.37,983.30.0
13216田無市66,9766.96.899,706.79,720.8-14.1
13217保谷市91,2598.88.7710,370.310,405.8-35.5
13219狛江市70,8366.26.1511,425.211,518.0-92.8
13222東久留米市106,55613.012.988,196.68,209.2-12.6
14000神奈川県6,109,371799.3799.297,643.47,643.5-0.1
14100横浜市連合2,419,231271.8271.808,900.88,900.80.0
14101鶴見区231,47731.531.507,348.57,348.50.0
14103西区80,5396.36.2712,784.012,845.1-61.1
14104中区121,47618.418.406,602.06,602.00.0
14105南区192,02012.512.5115,361.615,349.312.3
14130川崎市連合1,000,863113.8113.818,794.98,794.20.7
14131川崎区199,14832.532.476,127.66,133.3-5.7
14132幸区138,58510.110.0613,721.313,775.8-54.5
14133中原区185,28314.614.5812,690.612,708.0-17.4
23000愛知県4,146,376684.6684.596,056.66,056.7-0.1
23100名古屋市連合1,979,558247.4247.388,001.48,002.1-0.7
23101千種区166,83718.618.598,969.78,974.6-4.9
23102東区70,0467.77.689,096.99,120.6-23.7
23103北区179,26617.617.6110,185.610,179.85.8
23105中村区163,97816.316.3110,060.010,053.86.2
23106中区66,5629.59.527,006.56,991.814.7
20107昭和区112,91210.910.9210,358.910,339.919.0
23108瑞穂区120,67911.411.3610,585.910,623.2-37.3
23109熱田区65,5538.18.138,093.08,063.129.9
23112南区163,76818.618.568,804.78,823.7-19.0
23341西琵琶島町18,5333.23.215,791.65,773.518.1
26000京都府1,994,322224.2224.198,895.38,895.7-0.4
26100京都市連合1,347,797123.9123.8910,878.110,879.0-0.9
26102上京区99,2627.07.0114,180.314,160.120.2
26104中京区105,9217.27.2414,711.314,630.081.3
26106下京区86,8216.76.7412,958.412,881.576.9
27000大阪府(改訂前)7,957,380805.7805.709,876.49,876.40.0
27000大阪府(改訂後)7,957,380804.9804.909,886.29,886.20.0
27100大阪市連合2,647,484209.7209.7112,625.112,624.50.6
27101北区43,7415.55.547,952.97,895.557.4
27102都島区83,5845.95.8614,166.814,263.5-96.7
27103福島区60,1014.74.6812,787.412,842.1-54.7
27104此花区73,38611.010.976,671.56,689.7-18.2
27105東区27,1095.95.924,594.74,579.215.5
27106西区53,6955.35.2710,131.110,188.8-57.7
27107港区96,4168.38.2611,616.411,672.6-56.2
27108大正区84,0419.29.159,134.99,184.8-49.9
27109天王寺区55,2774.74.6811,761.111,811.3-50.2
27110南区36,9823.02.9612,327.312,493.9-166.6
27111浪速区50,1043.83.8313,185.313,082.0103.3
27112大淀区44,2284.54.519,828.49,806.721.7
27113西淀川区90,69113.113.126,923.06,912.410.6
27114東淀川区165,37013.213.1512,528.012,575.7-47.7
27123淀川区154,26912.712.7112,147.212,137.69.6
27115東成区89,1384.54.5119,808.419,764.543.9
27116生野区173,7838.28.2421,193.021,090.2102.8
27117旭区114,1826.16.1118,718.418,687.730.7
27118城東区157,1458.58.4718,487.618,553.1-65.5
27124鶴見区88,6878.18.1010,949.010,949.00.0
27119阿倍野区117,5276.16.0619,266.719,393.9-127.2
27120住吉区166,7989.29.1618,130.218,209.4-79.2
27125住之江区115,22717.317.256,660.56,679.8-19.3
27121東住吉区156,9999.79.6816,185.516,218.9-33.4
27122西成区150,8207.47.4220,381.120,326.155.0
27203豊中市403,17436.636.6011,015.711,015.70.0
27205吹田市332,41836.636.609,082.59,082.50.0
27209守口市165,63013.113.1312,643.512,614.628.9
27341忠岡町18,0533.63.565,014.75,071.1-56.4
28000兵庫県3,686,192460.7460.718,001.38,001.10.2
28202尼崎市523,65049.149.1110,665.010,662.82.2
28000広島県1,551,718245.7245.746,315.56,314.51.0
34100広島市連合698,84990.290.247,747.87,744.33.5
34101中区138,48614.714.749,420.89,395.325.5
40000福岡県2,857,791461.5461.486,192.46,192.7-0.3
40130福岡市連合966,247125.2125.187,717.67,718.9-1.3
40133中央区123,61413.113.089,436.29,450.6-14.4

注目するべき点は世田谷区のデータで、事実上人口最大の行政区である世田谷区の面積が、表の数字と計算に用いた数字が0.01 km2違うことにより、人口密度で2.3人/km2の差が出ています。つまり、小数点以下第1位まで示されている人口密度の数字で人口を割ることにより、人口密度の算出に用いた面積が仮に小数点以下第3位で離散したデータだったとしても正確な面積を算出することが可能ということになります。

実のところ平成12年以降の人口集中地区のデータはエクセル形式で既に入手済みなのですが、平成17年以降の国勢調査における人口集中地区の面積(小数点以下第2位で示されている)に関しては、個々の数字の合計が一致していないという問題を確認しており、これが何を意味しているのか、後々検討が必用となります。
[97502] 2019年 1月 27日(日)01:14:37【1】YT さん
昭和45年の国勢調査における人口集中地区面積の改訂について 追記
[97499] で疑問点として挙げた以下の点ですが、自己解決しました。

昭和45年の『わが国の人口集中地区』によると、日本全国の人口集中地区面積は沖縄県を除いて6,392.1 km2, 琉球政府下の沖縄県の人口集中地区44.9 km2を加えて6,437.0 km2とされています。これに青梅市と鎌倉市Iの面積の訂正(+2.0 km2と+5.3 km2)を加えると、訂正後の昭和45年の人口集中地区面積は、トータルで6,444.3 km2になるはずです。ところが昭和50年以降の国勢調査報告書では、昭和45年の口集中地区面積はトータルで6,444.1 km2と、0.2 km2少ない値となっており、現在に至るまでこの数値が使われております。東京都(805.6 km2 → 807.6 km2)や神奈川県(502.5 km2 → 507.8 km2)の面積は、それぞれ+2.0 km2, +5.3 km2増えているだけです。丸め誤差が原因とも考えられますが、そもそも昭和50年以前は、人口集中地区の面積は小数点以下第1位までの数字で固定されていますので、昭和45年の数字だけ例外が導入されたとは考えにくいです。よって訂正を行った際、合計を確認しなかっために誤った数値が独り歩きしている気がします。


昭和50年の『わが国の人口集中地区』の方で、長崎県西彼杵郡高島町の昭和45年の人口集中地区の面積が、1.2 km2から1.0 km2に改訂されていました。よって改訂後の総面積は「6,444.1 km2」で正しいことになります。

昭和55年の『わが国の人口集中地区』に記載の、昭和55年の人口集中地区総面積と昭和60年の『わが国の人口集中地区』記載の昭和55年の人口集中地区総面積でも、0.9 km2の違いがあったのですが、こちらも昭和60年版でしれっと大阪府泉大津市の昭和55年の人口集中地区面積が11.8 km2から11.0 km2に改訂されていました。

もう一か所の0.1 km2の改訂は東京都東村山市です。昭和55年版では、東村山市人口集中地区人口が東村山市の総人口(123,798人)の99.4%に相当する118,679人なのに対し、東村山市人口集中地区面積は東村山市の総面積(16.58 km2)の100%に相当する16.6 km2となっていました。昭和55年以降、人口集中地区設定区域が行政全域と一致する場合、面積の情報は行政域面積として採用されている下二桁までの数字を使う(即ち118,679/16.58 ≒ 7,158.0 人/km2)とされていましたが、実際に表に載っていた人口密度は118,679/16.6 ≒ 7,149.3 人/km2の方でした。

まあこの時点で色々矛盾があってもやもやしていたのですが(何故人口集中地区設定の人口が行政域全域じゃないのに、面積の方は行政域全域以上になる?)、これが昭和60年版では遡って総面積の99.5%に相当する16.5 km2に改訂されていました。

いずれにせよ、「正誤表」で対応できなかった修正が、次の国勢調査の報告書で修正されている例が色々あるみたいです。

【東村山市の詳細を追加】
[97499] 2019年 1月 25日(金)23:31:52【3】YT さん
初期の人口集中地区のデータの疑問点
[97021] 他 白桃さん
[97025] 他 千本桜さん
[97032] 他 ekinenpyou さん

数か月前から人口集中地区について話題になっていましたが、[97021][97032]で白桃さんやekinenpyouさんに国土数値情報ダウンロードサービスを紹介して頂いたことにより、自分は総ての人口集中地区のシェープファイルを入手することができました。ただ、シェープファイルを地図上に表示する方法が分からず、とりあえずフリーのSuperMap Viewer2008やQGIS3.44を導入しましたが、まだ使いこなすには至っていません。

それはさておき折角なので、改めて過去に調べた人口集中地区の連担について、人口・面積と変遷の情報をエクセルファイルにまとめ直すことにしました。とはいえ、過去の国勢調査のデータ自体は総務庁のサイトからダウンロードできますが、昭和や平成初期の報告書はpdf化された画像ファイルのままですので、数値を改めて入力し直す必要があります。現在、人口密度の計算で数値をチェックしながら1960年~1975年までの4回分を入力し終えましたが、結婚して子供が生まれてからというもの、深夜に作業するだけの気力が残らず、入力作業も相当時間がかかりそうです。今回は、[97037]でも指摘しました、

それよりもDIDの設置でわけがわからないのは、

■□
□■

のように、交差点を挟んでDIDが接している場合、「我が国の人口集中地区」付録の地図の解像度だと、「点で接している」としか言えない状況で、両者を同一のDIDとするのか、別のDIDとするのか、2種類のケースがある点です。


について、昭和35年と昭和40年のケースで、問題点を指摘した地図画像ファイルを作成しましたので、それについて投稿します。また昭和45年以前のケースで国勢調査報告書自体に誤りがるという事例が複数見つかりましたので、それについてもまとめます。なお今日になってQGIS3.44で地図上にシェープファイルを表示させる方法が分かりましたが…SuperMap Viewerで作成したシェープファイル由来のみの画像を今回は用います。

昭和35年(1960年)の国勢調査で初めて人口集中地区が設置されましたが、同一自治体内で連続しているようにしか見えないのに、わざわざ別個の人口集中地区とされてしまっている例が全国で多数散見します。例えば『わが国の人口集中地区』収録の地図では、広島市Iと広島市IIはどうみても同一自治体内で連担してますが、人口集中地区としては別にされています。その同じ広島県の呉市Iと呉市IIまわりのシェープファイルをこちら(外部アップローダ)に示しますが、『わが国の人口集中地区』に表示された地図にせよ、今回のシェープファイルにせよ、一点で接しているように見えます。同様のことが福岡市Iと福岡市IIIの連担(外部アップローダ)でも言えます。

一方、昭和40年の松原市Iと羽曳野市IIIの方に関しては、『わが国の人口集中地区』収録の地図では、羽曳野市III(外部アップローダ)や松原市I(外部アップローダ)に示すように、それぞれが一点で接しているようにみえます。ところがシェープファイルの方では、こちら(外部アップローダ)に示すように、接していません。(なお某所に投稿した昭和40年の阪神地区に取り込まれている「松原市I(河内天美)」は、「松原市II」の間違いであることが判明しました。)

『わが国の人口集中地区』収録の地図では、分かりにくいのですが、該当箇所は日本で5番目に大きい古墳である大塚山古墳(雄略天皇陵墓参考地)の北側で、近鉄南大阪線の北側の道路で接しているように見えます。先程地図を読み込ませることに成功したQGIS3.44で、該当する昭和40年の大阪府のファイルを読み込んだところ、どうも松原市Iのシェープファイルの座標が西方向にずれているのではないかという気がします。

【追記:QGIS3.44の使い方が分かって来たので、現在の地図に昭和40年の大阪府松原市I~羽曳野市III周辺の人口集中地区のシェープファイルを載せた画像を作成してみました(外部アップローダ)。『わが国の人口集中地区』収録の地図の羽曳野市III(外部アップローダ)や松原市I(外部アップローダ)が正しいとすると、松原市Iから大塚山古墳の北側の方まで伸びているはずの人口集中地区が、シェープファイルを作成した際に誤ってカットされてしまったことになります。】

以上のほか、昭和40年の『国勢調査報告 第1巻 人口総数』では、昭和35年の美唄市II→昭和40年の美唄市I、昭和35年の北海道の美唄市I→昭和40年の美唄市II、となっているのに対し、昭和40年の『わが国の人口集中地区』では美唄市I→昭和40年の美唄市I、昭和35年の美唄市II→昭和40年の美唄市IIとなっています。地図等との比較から美唄市の人口集中地区は番号が入れ替わっていたとするのが正しいことが分かります。ならば『国勢調査報告書 第1巻 人口総数』の方が正しいのかといえば、そんなことはなく、『国勢調査報告書 第1巻 人口総数』では昭和35年の京都府宇治市II→昭和40根の宇治市II、昭和35年の宇治市III→昭和40年の宇治市IIIとなっているのに対し、『我が国の人口集中地区』の方では、昭和35年の宇治市II→昭和40年の宇治市III、昭和35年の宇治市III→昭和40年の宇治市IIとなっており、こちらに関しては『我が国の人口集中地区』の情報の方が正そうです。複数の図書館で昭和40年の『我が国の人口集中地区』の中身を確認しましたが、残念ながら正誤表の存在が確認できませんでした。

さらに昭和40年の『わが国の人口集中地区』では、関西のデータを中心に、昭和35年の人口集中地区が昭和40年になって分割されたのか、昭和35年の人口集中地区が昭和40年の人口集中地区Iに成長し、一方で別に昭和40年の人口集中地区IIが形成されたのか、表記法の統一が中途半端が故の曖昧表記が生じており、人口集中地区の地図の情報からの再チェックが必用そうです。

次の昭和45年の『わが国の人口集中地区』からは正誤表が存在し、割と重要な訂正がなされております。人口密度の訂正や面積・人口の割合と増加率の訂正を除くと、重要な訂正は以下の点です。

表側表頭
209 相模原市I面積 (km2) 昭和45年19.213.2
209 相模原市I面積 (km2) 昭和40年16) 8.317) 5.1
209 相模原市II面積 (km2) 昭和45年13.219.2
209 相模原市II面積 (km2) 昭和40年17) 5.116) 8.3
222 羽曳野市I人口 昭和40年12) 882114) 6823
222 羽曳野市I面積 (km2) 昭和40年12) 1.114) 0.7
222 羽曳野市II人口 昭和40年13) 337812) 8821
222 羽曳野市II面積 (km2) 昭和40年13) 0.712) 1.1
222 羽曳野市III人口 昭和40年14) 682313) 3378
222 羽曳野市III面積 (km2) 昭和40年14) 0.713) 0.7

また

東京都青梅市の人口集中地区面積および神奈川県鎌倉市の人口集中地区I面積は、再測定の結果、つぎのように訂正する。
・東京都青梅市の人口集中地区面積 ― (旧) 3.8 km2 (新) 5.8 km2
・神奈川県鎌倉市の人口集中地区I面積 ― (旧) 10.0 km2 (新) 15.3 km2

昭和45年の[『わが国の人口集中地区』によると、日本全国の人口集中地区面積は沖縄県を除いて6,392.1 km2, 琉球政府下の沖縄県の人口集中地区44.9 km2を加えて6,437.0 km2とされています。これに青梅市と鎌倉市Iの面積の訂正(+2.0 km2と+5.3 km2)を加えると、訂正後の昭和45年の人口集中地区面積は、トータルで6,444.3 km2になるはずです。ところが昭和50年以降の国勢調査報告書では、昭和45年の人口集中地区面積はトータルで6,444.1 km2と、0.2 km2少ない値となっており、現在に至るまでこの数値が使われております。東京都(805.6 km2 → 807.6 km2)や神奈川県(502.5 km2 → 507.8 km2)の面積は、それぞれ+2.0 km2, +5.3 km2増えているだけです。丸め誤差が原因とも考えられますが、そもそも昭和50年以前は、人口集中地区の面積は小数点以下第1位までの数字で固定されていますので、昭和45年の数字だけ例外が導入されたとは考えにくいです。よって訂正を行った際、合計を確認しなかっために誤った数値が独り歩きしている気がします。

なお昭和55年以降、全域が人口集中地区となった自治体に関しては小数点以下第2位までの面積(km2)が使われるようになりますし、平成17年以降だと、小数点以下第2位までの面積の数字を足しても合計が合わない(小数点以下第2位よりも細かい数字を用いている?)という状況となっています。

初期の連合人口集中地区の数値に関しては別の機会にまとめます。

【訂正1:後半の丸め誤差の説明を訂正】
【訂正2:松原市I~羽曳野市IIIの人口集中地区の分布示す画像ファイルを追加でアップロード】
【訂正3:その他誤字訂正】
[97046] 2018年 11月 28日(水)23:46:19【1】YT さん
DID上の隠れ大都市:明石と川越
すみません。[97027]で、

(川越は2005年以降完全に京浜とつながったような気がしますが、ちょっと2005年の集計結果が手元にないので確認できません)
と書きましたが、リンク先に示すように2015年現在も、柳瀬川を境とするDIDの途切れは健在で、富士見市~ふじみ野市~川越市~狭山市~入間市~飯能市と続く、DID上の隠れ大都市川越は今なお健在のようでした。

明石~垂水と阪神を結ぶラインも、山の方の妙法寺付近で分離したままのようです。

【地理院地図へのリンクの方法を修正】
[97037] 2018年 11月 26日(月)18:18:24【1】YT さん
DIDが点で接している場合の判断
[97019] 白桃さん
[97025] 千本桜さん
[97032] ekinenpyou さん

国土地理院の地図は、国道を赤色で表示し、人口集中地区の境界線も赤色で表示しています。そのため、判読しにくい個所が生じています。地図をどんどん拡大してみましょう。すると、鎌倉市の稲村ガ崎と坂ノ下の間は境界線が途切れずに連担していることが判読できます。なので、連担する大船、腰越、鎌倉は3地区あわせて1つの鎌倉市人口集中地区になり、それに連担する逗子市、葉山町の人口集中地区も大東京DIDに組み込まれます

例えば[97019]白桃さんで取り上げられている腰越と鎌倉のDIDは[97025]千本桜さんにもある通り
現状(H27)ごくわずかな領域がつながっているだけですが、平成7年以降現状に近い領域になったらしく、
平成2年はもう少し広い領域(連担が明瞭)だったようです。(DID面積はH2→H7で27.6→24.1km2と縮小)

先程図書館で歴代の「我が国の人口集中地区」収録の地図を閲覧してようやく意味がわかりました。平成27年度版の収録の地図の方では「鎌倉海浜公園」という文字の上の方にDIDが設置されているようですが、該当する箇所には公園はなく、道路そのものがDIDとして設置されているようですね。

ekinenpyou さんも分析されていますが、1960年(S35),1965年(S40)には、該当する道路周辺にはDIDはなく、1970年(S45)には腰越方面に向けて太い帯状のDIDが設置され、1975年(S50)~1990年(H2)は腰越と鎌倉中心部が太いDIDで接続されていたが、1995年(H7)から突然、鎌倉市内のDIDの設置が地形にそったきめ細かなものに変更となり、それと同時に坂ノ下は一本の道だけでDIDが繋がる状態となり、現在に至るようです。まあ理不尽といえば理不尽ですが、国勢調査の地区ごとの担当の裁量によるところが大きいのか、あるいは市街化調整区域の設置が絡んでいるのか、その辺の事情は分かりません。

それよりもDIDの設置でわけがわからないのは、

■□
□■

のように、交差点を挟んでDIDが接している場合、「我が国の人口集中地区」付録の地図の解像度だと、「点で接している」としか言えない状況で、両者を同一のDIDとするのか、別のDIDとするのか、2種類のケースがある点です。単に地図の解像度が悪いだけで、別のローマ数字が降られているは、「本当は両者は接していないから」という解釈も成立しますが、そうなってくると、異なるDIDについて地図から「接している」と判断して加算した場合、それが本当に接しているの?という疑問も生じ得ることになります。手元にDIDのチェックをした時のメモがないので記憶が曖昧ですが、確か1960年~2005年までの間で、10箇所近く悩むようなシチュエーションがあったように記憶しています。

【追記】あと、「我が国の人口集中地区」付録の地図では、それぞれの地図でタイトルに示されるメインとなる市区町村について、DIDが実線と実線内の赤枠で囲われて示され、周辺のDIDは斜線の赤枠で示されることで、複数のDIDが接していたり、近くに存在することを察することができるのですが、確か周辺のDIDの記入漏れがそこそこあったと思います。
[97027] 2018年 11月 24日(土)17:51:15YT さん
DID人口の合算について
最近仕事と私生活がリアルに忙しくて、余りこちらに書き込む余裕がなかったのですが、DID人口の話題が出ているのでひさびさに書き込みます。

[97019]白桃 さん

[69204][80928]にも書きましたけど、その昔1960年~2000年の間について、地図の上で連続したDIDを足した人口を算出し、某所に投稿したことがあります。その後の2005年分を含め、図書館で『我が国の人口集中地区』の地図を確認しながら国勢調査報告書のコピーに連続の有無を総てメモっておりましたが。それらのメモは実家に置いて来てしまっており、現在すぐに確認はできません。今日白桃さんの投稿に気付き、そういえば『我が国の人口集中地区』では鎌倉周辺はどういう変遷となっているのかしらん?と思って昼間に仕事場から数分の距離にある某図書館に行きましたが、今日は休館日で確認できませんでした。

なお鎌倉に関して言えば、1970年以前は藤沢I~茅ヶ崎I~鎌倉II(腰越)と、鎌倉I~逗子~戸塚区II(笠間)~葉山が独立しており、藤沢や鎌倉まで京浜に飲み込まれたのは1975年以後のようです。その一方で、2000年の段階では阪神と京都、阪神と明石~垂水、京浜と川越などが分離するなど、色々合算に悩むところもあります(川越は2005年以降完全に京浜とつながったような気がしますが、ちょっと2005年の集計結果が手元にないので確認できません)。2000年の例だと、定規を使って地図を測った結果、以下のDIDが分離しているとする自作のテキストファイルメモが手元に残っていました。

我孫子市I(京浜地区)~取手市I 約1.2 km (利根川対岸)
志木市(京浜地区)~富士見市I(富士見地区) 約50 m (接するのは時間の問題?)
大井町I(川越地区)~大井町II(富士見地区) 約30 m (接するのは時間の問題?)
鶴ヶ島市II(川越地区)~鶴ヶ島市I(坂戸地区) 約50 m (過去に接しているケースあり)
所沢市I(京浜地区)~所沢市II(川越地区) 約500 m
上尾市(京浜地区)~蓮田市 約300 m
袖ヶ浦市I(京浜地区)~木更津市I 約920 m
大磯町I(京浜地区)~大磯町II(小田原地区) 約80 m (接するのは時間の問題?)
岩倉市(名古屋地区)~一宮市I(岐阜地区) 約2.3 km
岩倉市(名古屋地区)~江南市 約860 m
扶桑町(犬山地区)~江南市 約110 m
春日井市I(名古屋地区)~春日井市II(高蔵寺地区) 約170 m
東海市(名古屋地区)~大府市I 約740 m
刈谷市I(刈谷地区)~大府市I 約900 m
安城市(安城地区)~知立市I(刈谷地区) 約120 m
大津市I~大津市II(草津地区) 約160 m (瀬田川対岸; 過去に接しているケースあり)
大津市VII(京都地区)~大津市I 約1.7 km
八幡市(阪神地区)~島本町(京都地区) 約640 m (淀川対岸)
高槻市I(阪神地区)~高槻市II(京都地区) 約280 m
堺市I(阪神地区)~堺市II(光明池地区) 約100 m (接するのは時間の問題?)
神戸市須磨区II(阪神地区)~神戸市垂水区I(明石地区) 約1.2 km
神戸市須磨区II(阪神地区)~須磨区I(妙法寺桃山台地区) 約50 m (崖あり)
神戸市垂水区I(明石地区)~垂水区II(妙法寺桃山台地区) 約60 m (第二神明道越し)
北九州市門司区~下関市I 約400 m (門司区側は関門橋の中途までDID設定)
北九州市小倉南区I(北九州地区)~北九州市小倉南区II 約30 m (過去に接しているケースあり)
北九州市小倉南区II~北九州市小倉南区III 約400 m
苅田町~北九州市小倉南区III 約50 m (過去に接しているケースあり)

[81009]にも書きましたが、一番の問題点は水面調査区を介して隣接している場合、その水面調査区の設置場所を調べる術が自分にはわからない点です。

例えば北九州市の場合、1960年と1965年は、若松地区と他の北九州市の諸地区は分離していましたが、1970年には橋を介して一個の巨大なDIDとなります。ところが1975年~1985年には橋の上のDIDの設置がなくなり、両者は再び分離します・・・が、「連合人口集中地区」として連結する扱いとなっています。

1960年
696,134人/66.8km2八幡市I/小倉市/門司市/戸畑市 (全国5位)
75,721人/7.5km2若松市I

1965年
787,849人/84.2km2北九州市[八幡区I/小倉区/門司区/戸畑区] (全国5位)
80,038人/11.4km2北九州市若松区

1970年
857,409人/110.1km2北九州市[八幡区I/小倉区I/門司区/戸畑区/若松区] (全国5位)

1975年
922,081人/134.3km2北九州地区 [福岡県] (全国7位)
【1】843,382人/121.5km2北九州市[小倉北区/八幡西区/門司区/八幡東区/戸畑区/小倉南区I]
/中間市/水巻町 [福岡県]
【2】78,699人/12.8km2北九州市若松区 [福岡県]

水面調査区や準人口集中地区を含め、その詳細を調べる方法が分からないのがもどかしいです。
[95701] 2018年 4月 20日(金)01:21:54【4】YT さん
明治19年末の都市人口について(2)
[95699]の続きです。

市街名府県本籍人口現住人口無籍在監人本籍人口現住人口現住人口公称町村数本籍人口現住人口
資料11223444
大津滋賀18,95023,16723,1679118,95023,167
彦根滋賀20,01018,57718,5779220,01018,577
岐阜岐阜1618,87523,37723,3775518,87523,377
大垣岐阜14,72516,33916,3394914,72516,339
高山岐阜15,53415,26715,267115,53415,267
船津岐阜110,19010,166
上田長野1414,17315,17215,172314,17315,172
飯田長野10,79611,67211,672210,79611,672
松本長野1114,53817,47817,478214,53817,478
長野長野1316,23818,22218,222416,23818,222
仙台宮城58,50362,1963258,47161,70961,70930258,47191,709
石巻宮城15,93216,61816,618415,93216,618
若松福島22,17718,00418,0048222,17718,004
盛岡岩手329,75130,16630,166629,75130,166
青森青森115,00714,92014,9201815,00714,920
弘前青森130,00028,17028,1708930,00028,170
八戸青森110,57610,52010,5204010,57610,520
山形山形725,49526,97126,9713125,49526,971
新庄山形10,73810,54610,546510,73810,546
酒田山形20,32621,00421,0046020,32621,004
鶴岡山形20,13219,66619,6664020,13219,666
米沢山形29,63829,20329,20312929,63829,203
秋田秋田829,29129,22529,22516329,29129,225
能代秋田10,81610,73710,7372510,81610,737
福井福井138,84037,37637,3768638,84037,376
武生福井12,31013,07413,0742512,31013,074
敦賀福井11,52011,87811,8782411,52011,878
金沢石川102,28196,727102,28197,65397,653535102,28197,653
小松石川811,45011,72111,7213111,45011,721
金石石川10,0529,1104110,0529,110
富山富山453,45153,55653,5569653,45153,556
魚津富山11,44511,54011,5403011,44511,540
高岡富山17,47417,97417,9747917,47417,974
氷見富山2310,65610,595
新湊富山15,77815,76215,762815,77815,762
鳥取鳥取1729,94128,27528,2757029,94128,275
米子鳥取911,61011,86011,8603311,61011,860
松江島根233,33633,38133,3813333,33633,381
岡山岡山33,11837,8541533,10332,98932,9898333,10332,989
玉島岡山414,25616,325
津山岡山314,32914,58214,5824214,32914,582
広島広島78,92986,4051278,91781,91481,91411178,91781,914
蒲刈広島111,21611,253
倉橋広島113,19312,781
瀬戸広島110,36410,271
広島310,67511,160
広島113,34713,377
仁保島広島114,64314,766
尾道広島16,16217,30717,307416,16217,307
福山広島15,67814,66314,6632915,67814,663
徳山山口111,56511,511
山口山口1810,97311,44711,4474110,97311,447
山口23,87721,20621,2063823,87721,206
赤間関山口29,10533,448529,10030,82530,8252629,10030,825
和歌山和歌山55,56256,490455,55854,86854,86840055,55854,868
徳島徳島1458,85357,45657,4563858,85357,456
撫養徳島17,64517,07517,0751117,64517,075
高松愛媛38,41437,69837,6986438,41437,698
松山愛媛1828,67529,48729,48710028,67529,487
宇和島愛媛112,10011,70511,7053312,10011,705
丸亀愛媛15,32416,14916,1492515,32416,149
観音寺愛媛10,84610,68510,685110,84610,685
今治愛媛13,13513,10113,101913,13513,101
高知高知1426,85030,98730,9874926,85030,987
福岡区福岡45,82148,4862243,11842,61742,61715543,11842,617
福岡福岡5419,60619,663
博多福岡10123,51222,954
久留米福岡320,61120,90720,9072920,61120,907
柳川福岡12,71412,35012,3502512,71411,594
小倉福岡710,17311,59411,5944510,17312,350
大分大分512,32114,31514,315412,32114,315
臼杵大分11,88711,37011,370511,88711,370
中津大分315,52615,51815,5186615,52615,518
佐賀佐賀724,28024,65724,6572424,28024,657
熊本熊本41,19746,6413841,15944,38444,38413841,15944,384
八代熊本419,72410,069
都城宮崎69,56410,118
延岡宮崎914,14613,578
鹿児島鹿児島548,77845,09745,0974848,77845,097
那覇沖縄35,63439,03123,79827,19327,193623,79827,193
首里沖縄25,75225,58725,75225,58725,5871525,75225,587
札幌北海道6,86016,4336,86015,04115,0411486,86015,041
小樽北海道15,882338,03415,807
函館北海道29,60943,55029,60945,47745,4774429,60945,477
江差北海道9,53711,61511,615269,53711,615
福山北海道11,06510,18710,1873411,06510,187

※資料1における東京十五区、京都二区、大阪四区の集計値は自分が計算したもの。
※資料4における福岡区(福岡+博多)の集計値は自分が計算したもの。
※資料4における高岡(本文で17,464)と佐賀(本文で24,180)の本籍人口に関しては巻末に数値の訂正あり。

本籍人口に関しては、資料2と資料4は全くの同一ですが、資料1とは微妙に異なります。これは資料1においては無籍在監人の人数を本籍人口に加えているのに対し、資料2と資料4は加えていないことによります。本籍人口の全国集計値としては、無籍在監人を在監の地にて有籍の本籍人口に加えるのが正しいはずですが、資料2・資料4の都市人口資料では加えていないことになります。

無籍在監人の補正を考慮しなくても、福岡区と那覇の本籍人口は、資料1と資料2・資料4では異なります。この内那覇に関しては明白な理由があり、資料1の那覇には、泊村を含む那覇のほか、伊平野島、渡嘉敷間切、座間味間切、粟国島、渡名喜島、鳥島が含まれるのに対し、資料2・資料4の那覇は、伊平野島、渡嘉敷間切、座間味間切、粟国島、渡名喜島、鳥島の本籍人口が除外されているせいで間違いないと思われます。一方で福岡に関しては、無籍在監人22人を考慮したとしても、資料1の福岡区の本籍人口は資料2・資料4の本籍人口よりも2681人、現住人口で5847人も多いと言う結果となっています。ここからは想像なのですが、現住人口はさておいて本籍人口の違いについては、おそらく行政上の「福岡区」に含まれる福岡荒戸村、福岡伊崎浦などの「村」の人口が、都市人口としての福岡の人口から除外されてしまったためと考えております。【と1時間前に投稿した時には考えましたが、以下徴発物件一覧表などとの比較により、単に福岡区の本籍・現住人口の算出に誤りが生じただけではないかと考えを改めました。】

【【以下追加情報】なお『明治二十年 徴発物件一覧表』では福岡区は154町1村で構成されているとあり、資料4の公称町村数155と比較するとこの解釈は微妙ではあります。

戸長役場所在地町数村数現住人口
天神町236,592
本町136,435
南湊町714,752
西町104,289
川口町275,839
櫛田前町277,013
下対馬小路246,651
大浜町二丁目236,153
福岡区全域154147,724
福岡地区53122,068
博多地区10125,656

『日本帝国民籍戸口表』の「第十四 各地方本籍現住人口郡区役所戸長役場及町村比例」では、区部人口を見る限り「各地方一万人以上市街戸口」に相当する本籍人口(つまり無籍在監人を本籍人口に含まない)・現住人口が採用されていますが、福岡県内の区としては町村数155、本籍人口45,799人、現住人口45,298人が採用されています。本籍人口・現住人口ともに「各地方一万人以上市街戸口」採用の人口よりも2681人多い数字となってるのに対し、町村数は同じままです。どうも「各地方一万人以上市街戸口」や『市街名邑及町村二百戸以上戸口表』では、福岡地区に関し誤った集計をしてしまい、一部本籍人口を欠落させてしまった状態で寄留人口の加除を行ったのではないかと思われます。】

次に現住人口に関してですが、資料2・資料3・資料4ではほぼ同じ数字であり、同じ基準で現住人口が算出されたと考えられます。一方で資料1の現住人口とは大分数字が異なります。『自明治十七年至明治三十六年 道府県現住人口』の解説によると、明治18年1月1日調~明治19年12月31日調の現住人口は
但此の現住人口は道府県の本籍人口を本とし、之に出入寄留者を加除せしのみならず、更に逃亡失踪者を除きて算出したるものなり。
とあり、明治20年12月31日調以降は
道府県の本籍人人口に出入寄留者及逃亡失踪者を加除せしのみならず、陸外軍の兵営艦船に在る者、監獄に在る者及外国行の者を加除して算出したるものなり。
とありますが、これは道府県の現住人口算出に関する部分です。無籍在監人の件でもそうですが、資料1の方がより詳しく数字の訂正が行われているはずですが、その割には現住人口は資料1>資料2の傾向があります。これも自分の想像ですが、おそらく資料1の郡区レベルでは、無籍在監人の加算と逃亡失踪者の除外のほか、有籍在監人や兵員などの加除まで行っているため、都市部では人口が増える傾向にあるのに対し、資料2・資料3・資料4では、無籍有籍在監人を含め、これらの加除を行わず、出入寄留者の補正のみを行っているためではないかと考えております。

『明治二十年徴発物件一覧表』による戸長役場連合管轄域の人口との比較に関しては、時間がある時に改めてまとめたいと思います。
[95699] 2018年 4月 20日(金)00:48:25YT さん
明治19年末の都市人口について(1)
[88602]で『明治二十四年徴発物件一覧表』記載の一部府県の大字別人口についてまとめましたが、家族が増えてからというものほとんど家で調べる時間がなくなり、北海道・沖縄県の調査を追加した時点で放置状態となってしまいました。今回白桃 さんが明治19年末の都邑人口ランキングを作成され、それについてekinenpyou さんがコメントされているのを見て、改めて明治19年末の都市人口についてまとめておこうと思います。

『日本帝国民籍戸口表』などでは明治19年末の版から現住人口1万人以上の都市の人口を『 各地方一万人以上市街戸口』としてまとめ、これが『日本帝国人口静態統計』へと引き継がれています。実は古厩忠夫著『裏日本 : 近代日本を問いなおす』の中で、明治19年末の現住人口が誤って「明治9年」の都市人口として取り上げられてしまったため、今でもこの明治19年末の現住人口が、明治9年の都市人口と誤解された情報がネット上に漂っています。

[95694] 白桃 さん

また、Aには1万人以上として記載されているが、Bには記載されていない都邑は以下の通りです。
難波(26,112)、玉島(16,325)、小樽(15,807)、延岡(13,578)
広 (13,377)、倉橋(12,781)、天王寺(12,304)、四日市(11,939)
徳山(11,511)、蒲刈(11,253)、呉 (11,160)、福島※(11,132)
豊橋(10,904)、村上(10,805)、平戸(10,775)、氷見(10,595)
熊谷(10,461)、土浦(10,295)、瀬戸※※(10,271)、船津(10,166)
都城(10,118)、八代(10,069)

実は「第三乙表」の方に、肥前国南高来郡西有家村(10,012)と安芸国安芸郡仁保島(14,766)が掲載されています。

こうやってみると、「記載なし」に何らかの意図が感じられるところもありますが、四日市、豊橋などは、単なる「記載モレ」のような気がします。

四日市と豊橋が記載漏れしてしまった理由は、本籍人口が1万人未満であったためと思われます。もちろんこれだけが原因ではありませんが。

さて、現時点で私が把握している明治19年12月調の都市人口資料としては、以下のものがあります。

●資料1 『明治十九年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「第二 各地方庁及各郡区役所管内戸口表」
都市人口ではありませんが、「区」の本籍人口、現住人口が利用可能です。
●資料2 『明治十九年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「第十五 各地方一万人以上市街戸口」
本籍人口と現住人口が集計されていますので検算可能です。
●資料3 『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』「第十一表 人口一万以上ノ市町村現住人口(自明治十九年末至同四十一年末)」
現住人口が集計されていますので検算可能です。
●資料4 『市街名邑及町村二百戸以上戸口表』
●資料5 『明治二十年徴発物件一覧表』(クレス出版『明治徴発物件表集成』収録)
こちらはオンラインで閲覧できませんが、[87941]でも紹介しましたように、戸長役場所在地別人口が掲載されています。今回こちらの数字は表にはまとめませんが、徴発物件一覧表記載の数字と比較することにより、どうも『民籍戸口表』・『日本帝国民籍戸口表』・『市街名邑及町村二百戸以上戸口表』などが採用した都市人口では、行政上の戸長役場の領域を無視し、「~町」と称される町場のみを足した数字が優先されているらしいことが分かりました。ただし例外は沢山あり、一貫した規則はそこにはありません。

以下、4つの資料(『明治十九年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』から2種類、『明治四十一年十二月三十一日 日本帝国人口静態統計』、『市街名邑及町村二百戸以上戸口表』)を基に、明治19年12月31日調の本籍人口・現住人口をまとめてみます。なお無籍在監人の人数は 『明治十九年十二月三十一日調 日本帝国民籍戸口表』「第五 各地方在監有籍者及無籍者人口表」により、公称町村数は資料4『市街名邑及町村二百戸以上戸口表』記載のものです。

市街名府県本籍人口現住人口無籍在監人本籍人口現住人口現住人口公称町村数本籍人口現住人口
資料11223444
東京東京754,6961,227,49438754,6581,121,8831,121,8831,338754,6581,121,883
麹町区東京25,92358,9413
神田区東京87,270123,241
日本橋区東京74,408153,996
京橋区東京71,790173,03126
芝区東京69,749113,002
麻布区東京24,91940,814
赤坂区東京18,54728,237
四谷区東京20,37930,733
牛込区東京29,88146,7999
小石川区東京26,70040,841
本郷区東京46,25762,205
下谷区東京52,54478,464
浅草区東京96,473119,042
本所区東京61,51185,870
深川区東京48,34572,278
品川東京11,72515,87415,874611,72515,874
千住東京11,22312,50612,506711,22312,506
京都京都236,882254,5098236,874245,675245,6751,681236,874245,675
上京区京都105,734113,9298
下京区京都131,148140,580
伏見京都19,77119,83119,83121919,77119,831
大阪大阪299,162396,6208299,154361,694361,694518299,154361,694
西区大阪90,132112,419
南区大阪93,615124,707
東区大阪64,79794,607
北区大阪50,61864,8878
大阪43,18145,992143,18044,01544,01519543,18044,015
難波大阪118,40926,112
福島大阪210,21011,132
天王寺大阪112,00212,304
岸和田大阪13,08412,36612,3661013,08412,366
奈良大阪22,22022,66622,66615222,22022,666
郡山大阪13,25312,83412,8344513,25312,834
横浜神奈川60,573106,5441360,56089,54589,5458360,56089,545
神奈川神奈川10,45611,34511,345210,45611,345
八王子神奈川112,48515,77515,7751912,48515,775
横須賀神奈川106,94013,25113,251166,94013,251
小田原神奈川2514,41914,00914,009514,41914,009
神戸兵庫65,26697,140465,26280,44680,44612565,26280,446
西宮兵庫11,57311,93211,9322411,57311,932
尼ヶ崎兵庫13,06412,74212,742513,06412,742
明石兵庫18,56118,58718,5871418,56118,587
姫路兵庫622,80222,67722,6779622,80222,677
長崎長崎34,26144,044234,25938,22938,2298734,25938,229
島原長崎18,33717,59317,593318,33717,593
平戸長崎2210,23910,775
西有家長崎110,03510,012
新潟新潟41,05742,9781141,04640,77840,77823541,04640,778
新発田新潟10,87310,52710,527210,87310,527
長岡新潟17,09816,15216,1524217,09816,152
高田新潟524,99224,57124,5719524,99224,511
村上新潟211,73210,805
相川新潟11,64510,70410,7047411,64510,704
川越埼玉715,26614,18414,184615,26614,184
熊谷埼玉128,16010,461
千葉千葉1311,42318,20418,204311,42318,204
船橋千葉10,41110,41910,419310,41110,419
銚子千葉26,12425,76625,766626,12425,766
水戸茨城1618,62119,01019,010218,62119,010
土浦茨城118,74810,295
前橋群馬213,95516,58516,5853013,95516,585
高崎群馬618,26420,31220,3124318,26420,212
宇都宮栃木1917,17820,47520,4755717,17820,475
足利栃木12,50114,63214,632112,50114,632
桑名三重15,30715,20415,2045215,30715,204
四日市三重269,61711,939
三重1413,69415,88415,8845613,69415,884
松坂三重10,72911,95811,9581210,72911,958
山田三重420,32821,22321,2232220,32821,223
上野三重12,63512,78512,7853512,63512,785
名古屋愛知126,790143,56911126,779131,492131,492274126,779131,492
熱田愛知16,78716,39016,3901616,78716,390
岡崎愛知11,01212,74212,7422511,01212,742
豊橋愛知238,55910,904
浜松静岡1312,82312,14112,1413212,82312,141
静岡静岡1837,76736,83836,83812437,76736,838
沼津静岡11,67710,37110,371411,67710,371
甲府山梨2114,06418,41118,4113714,06418,411
[95377] 2018年 2月 3日(土)23:18:18【3】YT さん
寺山について追記
[95369] Takashi さん

ところで福浦の中で日生町に留まった地域のうち本土側の寺山地区については今も日生町寺山として大字が残されているようですので寺山地区は寒河にはならず寺山という独立した大字になったということなのでしょうね。


すみません、こちらが勘違いしておりました。寺山に関しては、1995年の国勢調査における岡山県の小地域集計の段階で、既に大字寺山になっていたようです。以下1995年当時の日生町に関して1995年の国勢調査報告書に登録されている町丁字までを示すと(大字大多府・大字寺山には下位区分なし)以下の通りで、取揚島の大字福浦については、人口調査の対象外となっています。【追記:国勢調査報告書では大字寒河の下の町丁も記載数が少ないので、追加で全部示すことにしました。「中日生」という地名が大字寒河と大字日生に跨っていますが、東山ハナという小字は掲載されていません。】

世帯数人口総数1995年当時の日生町の町丁字
2,9979,169総数
1,7044,965大字日生
74231 大字日生峠小路北部
59137 大字日生東小路北部
65197 大字日生四軒屋東部
141431 大字日生日陽奥南東部
152438 大字日生栄町西部
106309 大字日生宮奥北部
3389 大字日生中小路東部
65294 大字日生脇の上北部
78238 大字日生三軒屋東南部
119348 大字日生三軒屋北奥北部
223652 大字日生三軒屋西南東部
65174 大字日生後小路北部
50133 大字日生南の一
127358 大字日生南の二西部
571156 大字日生湾戸北部
102264 大字日生頭島西の谷南部,大西東部
91286 大字日生頭島,外輪,北浦
1545 大字日生鹿久居島
2051 大字日生鴻島
32134 大字日生中西生西部
1,2234,037大字寒河
171553 大字寒河中日生東部
39464 大字寒河梅灘南部
65171 大字寒河梶谷東部
123415 大字寒河西浜山北東部
109404 大字寒河西,西中,川内
99358 大字寒河大西西部
131458 大字寒河中,北,宮の下の一部
159547 大字寒河東,名切,宮の下の一部
73209 大字寒河東奥福浦峠
154458 大字寒河深谷西北部
62154大字大多府
813大字寺山

実のところ1972年の『日生町誌』は、寺山地区に関して、「大字福浦」と書いている箇所(4,25,33頁)、「大字寺山」と書いている箇所(39頁)が混在しており、もしかしたら1972年の段階で既に大字寺山となっていたのかも知れません。寺山地区が日生町に留まった経緯は『日生町誌』には全く記載がありませんが、おそらく水道事業に関係があると思います。寺山地区は吉井水系の支流金剛川の上流にありますが、一方で赤穂市側の他の福浦地区は分水嶺を挟んでいます。水源保全の観点から、寺山が分けられたのではないでしょうか?『日生町誌』96頁によると。

 この間、昭和三十五年度から同三十七年度にかけて、岡山県および日生町では、福浦地区住民の福祉向上のため、海岸堤防の改良、林道の開設、簡易水道の建設、診療所の新設など約一億三千万円(うち町費五千二百万円)にのぼる諸種の事業を進めて、いわば引きとめ工作を行なった。このため福浦地区の一部住民の間には、「日生町がこんなに力を入れてくれるのに、無理矢理に越県合併しなくてもよいではないのか」との声もあったといわれる。
 しかし、分町派では、消防団、婦人会、青年団などの組織を日生町から分離したり、町が建設した簡易水道に加入せず、私設水道をつくるなどの対抗策をとるなどして、分町実現への根強い運動をつづけた。


現在寺山地区にある寺山大池ダムは越境合併騒動前からあったようですが、備前市のホームページによると、「寺山飲料水供給施設」を通じて寺山地区に水道が供されているようです。

一方鹿久居島の鵜ノ石鼻にある鵜石鼻灯台に関し、ネット上で「岡山県備前市日生町大字福浦字」となっております。少なくとも『日生町誌』が作成された1972年までには鹿久居島の全域が大字日生となってますので、「大字福浦」というのは多分灯台が初点灯された1964年3月30日当時の情報なのでしょう。鹿久居島を分割していた3つの大字が総て日生に統一された時期は、これ以上は絞り込めません。

最後に取揚島の件ですが、例えばwikipediaなんかだと

・1963年(昭和38年)9月1日 - 福浦地区(寺山を除く)が兵庫県赤穂市へ越県分離となる。
 ・この越県分離に伴って、取揚島(日生諸島に属する無人島)の島内に岡山県・兵庫県の県境が設定された。


とありますが、これに関しては、スタンフォード大学が公開している戦前の日本の地図の段階で取揚島の上に県境が描かれているので誤りです。既に過去に紹介されていますが、『日本歴史地名大系』の「日生諸島」の項目によると

古来より好漁場であるばかりでなく、海上交通の風待地にあたる。鹿久居島周辺では、近世初頭から漁業争論が起こっている。大多府島は岡山藩の船番所として島の歴史が始まった。頭島は一九世紀前半から日生村からの移住が進み、現在はくまなく開墾されている。取揚島は「撮要録」の元禄二年(一六八九)の記事によれば、島の西南部が、備前和気郡福浦(ふくうら)村(現赤穂市)構、北東部が播磨赤穂郡真木(まき)村(現同上)構となっていた。笹草が生えていたが、両村とも海上一里も離れていたため、草刈を行っていなかった。「古今見聞雑記」(正宗文庫)によると、正保三年(一六四六)岡山藩と赤穂藩双方の役人の立会いのもとに二分され、慶安二年(一六四九)には岡山藩の郡奉行河村平太兵衛、郡目付永田三郎左衛門が出張して、国境に塚が築造された。


何か肝心のところで『日本歴史地名大系』も、島の西南部を「現赤穂市」と書き間違えておりますが、江戸時代から備前国和気郡と播磨国赤穂郡、岡山藩と赤穂藩、続いて岡山県と兵庫県の県境となったわけです。

【追記】国立公文書館デジタルアーカイブの天保国絵図の備前国や、播磨国を見たところ、見事に「とりあけ嶋」に国境が描かれていますね。


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